(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
パック電池やモータなどの機器は、温度が異常に高くなる状態で電流を遮断することで安全に使用できる。この目的のために、設定温度になると接点をオフに切り換えるブレーカが使用される。たとえば、リチウムイオン電池を内蔵するパック電池は、異常な使用状態で充放電されると温度が高くなるので、設定温度よりも高温になるとブレーカで電流を遮断することでより安全に使用できる。また、モータ等は過負荷な状態や異常な電流が流れる状態で温度が異常に高くなることがあるので、この状態ではブレーカで電流を遮断して安全に使用できる。
【0003】
以上の用途に使用されるブレーカとして、電池など、機器の温度が設定値まで上昇すると電流を遮断するブレーカが開発されている。従来のブレーカを
図19に示す。このブレーカは、固定金属片104と、可動金属片106との間にバイメタル108を配置している。バイメタル108は、設定温度になると熱変形して反転し、可動接点107を固定接点105から離して接点をオフ状態とする。反転湾曲状態のバイメタル108が可動金属片106の弾性アーム部106Aを押し上げて、可動接点107を固定接点105から離すからである。反転しない、すなわち非変形状態のバイメタル108は、可動金属片106の弾性アーム部106Aを押し上げることなく、可動接点107を固定接点105に接触させてオン状態となる。
【0004】
図19の(a)は、バイメタル108が反転しない非変形状態にあって、オン状態となるブレーカを示している。このブレーカは、非変形状態のバイメタル108が可動金属片106を押し上げず、弾性アーム部106Aの弾性で可動接点107を固定接点105に接触させる。周囲温度が高くなると、ブレーカは、
図19の(b)で示すように、バイメタル108が熱変形して反転し、反転湾曲状態となって、可動接点107を固定接点105から離してオフ状態に切り換えられる。反転する反転湾曲状態のバイメタル108が可動金属片106の弾性アーム部106Aを押し上げるからである。
【0005】
以上のブレーカは、固定金属片104をインサート成形して外装ケース101のプラスチック成形部110に固定している。固定金属片104は、プラスチック成形部110を成形する金型に仮止めされ、インサート成形によって外装ケース101の定位置に固定される。固定金属片104は、
図20の拡大断面図に示すように、固定接点105となる接点部104Cの両側をプラスチック成形部110に埋設して、外装ケース101に固定している。固定金属片104は、所定の幅の金属板を折曲加工して製作されて、平面状の接点部104Cの片側を外装ケース101の外側に向かって延長して固定部104Bと接続端子104Xとを設け、接点部104Cの他方には折曲部104Eを介して立上部104Dを連結して、固定部104Bと立上部104Dとをプラスチック成形部110に埋設している。接点部104Cと立上部104Dとの境界の折曲部104Eは、表面をプラスチック111で被覆する形状となるが、このプラスチック111は接点部104Cに向かってナイフ状に薄くなるように延びて、固定接点105と可動接点107との間に挟まれて接触不良の原因となる。
【0006】
この弊害を防止するために、
図21に示すように、可動接点207の一部であって、固定接点205との対向面に退避部207Aを設けるブレーカが開発されている。(特許文献2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図21の拡大断面図に示すブレーカは、固定金属片204の折曲部204Eの表面にナイフ状に付着するバリ211を、可動接点207の退避部207Aに案内して接触不良を防止する。しかしながら、この構造のブレーカは、固定金属片204の折曲部表面に付着するプラスチックのバリ211が、固定接点205に向かって次第に薄くなるので、ナイフ状のバリ211の発生を防止できず、バリ211の先端位置を特定できない。このため、バリ211が長く延びると接点の間に挟まれて接触不良の原因となる。さらに、先端に向かって次第に薄くなるバリ211は途中が切れやすく、分離されると接点の間に挟まれて接触不良の原因となる弊害もある。さらに、以上のブレーカは、可動接点207に退避部207Aを設けるので、接点の電流容量が小さくなる欠点もある。
【0009】
本発明は、以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、極めて簡単な構造としながら、オン状態における接触不良を防止できるブレーカを提供することにある。
【0010】
本発明のブレーカは、プラスチック成形部2、52を有する外装ケース1、51と、この外装ケース1、51に固定部6Bを固定され、かつ先端に可動接点7を設けてなる弾性アーム部6Aを有する可動金属片6と、この可動金属片6の可動接点7と対向する位置に固定接点5を配置し、かつ外装ケース1、51のプラスチック成形部2、52にインサート成形して固定してなる固定金属片4と、可動金属片6の弾性アーム部6Aを変形させて可動接点7を固定接点5から離すバイメタル8とを備えている。固定金属片4は、表面を固定接点5とする接点部4Cに立上部4Dを連結する形状であって、接点部4Cと立上部4Dとの間を折曲部4Eで連結しており、折曲部4Eが、所定の曲率半径で折り曲げられて出隅側の表面をプラスチック成形部2、52のプラスチックで被覆している。固定金属片4は、折曲部4Eの出隅側の表面に段差凹部4Fを有し、この段差凹部4Fは、接点側の出隅4Gを接点部4Cの表面と同一平面に配置すると共に、プラスチック成形部2、52に連続する被覆プラスチック24を密着している。さらに、被覆プラスチック24は、その表面を接点部4Cの表面と同一平面に配置している。
さらにまた、外装ケース1、51は、バイメタル8を加温するヒーター9を内蔵しており、プラスチック成形部52は、ヒーター9を配置するヒーター収納部29を有し、ヒーター収納部29の外周縁に沿って突出部14が設けられると共に、ヒーター収納部29の外側にはバイメタル収納部28を設けている。さらに、突出部14と被覆プラスチック24との間を凹部形状としてバイメタル収納部28としている。
【0011】
以上のブレーカは、極めて簡単な構造としながら、オン状態における接触不良を有効に防止できる特徴がある。それは、以上のブレーカの固定金属片が、折曲部の出隅側の表面に段差凹部を設けて、この段差凹部の接点側の出隅を接点部の表面と同一平面に配置し、さらに、段差凹部にはプラスチック成形部に連続する被覆プラスチックを密着して、この被覆プラスチックの表面を接点部の表面と同一平面に配置しているからである。
【0012】
以上のブレーカは、段差凹部に密着される被覆プラスチックが、
図21に示す従来のブレーカのように先端縁に向かって次第に薄くなることがない。すなわち、被覆プラスチックがナイフの刃先のようになって先端縁から薄く延びてバリができることがない。このため、薄いバリが接点間に挟まれることがなく、また薄く延びるバリがプラスチックから離れて、可動接点と固定接点との間に移動することもない。このため、成形時にできるプラスチックの薄いバリによる接触不良を有効に阻止できる特徴を実現する。
【0013】
以上のブレーカが、固定金属片の折曲部にプラスチックの薄いバリができないのは、
図12の拡大断面図に示すように、折曲部4Eの出隅4G側の表面に段差凹部4Fを設けると共に、段差凹部4Fの接点側の出隅4Gを接点部4Cと同一平面に配置して、段差凹部4Fに密着する被覆プラスチック24の表面を接点部4Cの表面と同一平面としているからである。この構造のプラスチック成形部を成形する金型の拡大断面図を
図13に示している。この図に示すように、金型80に仮止めされた固定金属片4は、接点部4Cを成形室81の内面81Aに密接させる状態で、段差凹部4Fに溶融状態のプラスチックが注入される。段差凹部4Fに注入される溶融状態のプラスチックは、金型80の成形室81の内面81Aと接点部4Cとの隙間には侵入されず、段差凹部4Fに注入されて被覆プラスチックとして成形される。段差凹部に注入される溶融状態のプラスチックは、従来のように、接点部と成形室の内面との間に次第に狭くなる隙間に侵入されず、接点部の表面に薄いバリを発生することがない。とくに被覆プラスチックと接点部の表面を同一平面とするので、固定金属片をインサート成形する成形工程においては、接点部を金型成形室の内面に隙間なく密接するように固定金属片を金型に仮止めして、被覆プラスチックを成形できる。このため、段差凹部に注入されるプラスチックが接点部の表面に侵入することがなく、接点部の表面に付着するプラスチックのバリによる接触不良を極減する。
【0014】
本発明のブレーカは、固定金属片4の表面の一部を切削し、又は押し潰して段差凹部4Fを設けることができる。
以上のブレーカは、段差凹部の出隅の曲率半径を小さく加工できるので、接点部の表面にプラスチックが侵入して起こる接点の接触不良を確実に阻止できる。
【0015】
本発明のブレーカは、固定金属片4が、立上部4Dの両面をプラスチック成形部2、52に埋設することができる。
以上のブレーカは、固定金属片を安定してプラスチック成形部に固定できる特徴がある。
【0016】
本発明のブレーカは、バイメタル8を加温するヒーター9を外装ケース1、51に内蔵して、このヒーター9を固定金属片4に接続すると共に、オフ状態のバイメタル8を介して可動金属片6に接続することができる。さらに、ブレーカは、固定金属片4が、外装ケース1、51の底部に配置されて、ヒーター9に接続してなる底面部4Aを有し、この底面部4Aを立上部4Dを介して接点部4Cに連結することができる。
以上のブレーカは、接点のオフ状態において、ヒーターに通電してオフ状態に保持できる。
【0017】
本発明のブレーカは、固定金属片4が、接点部4Cに連結してなる固定部4Bを有し、固定部4Bと立上部4Dとをプラスチック成形部2、52に埋設して、可動金属片4を外装ケース1、51に固定することができる。
以上のブレーカは、接点部の両端側に位置する固定部と立上部とをプラスチック成形部に固定して、固定金属片を確実に安定して外装ケースに固定できる。
【0018】
本発明のブレーカは、パック電池に使用されて、パック電池の電池30、60と直列に接続される保護素子とすることができる。
以上のブレーカは、パック電池に使用されて、電池の異常な状態で電流を遮断して安全に使用できる。また、ヒーターを備えるブレーカにおいては、オフ状態でヒーターに通電して電池を放電できるので、より安全性の高いパック電池を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのブレーカを例示するものであって、本発明はブレーカを以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0021】
図1ないし
図11に示すブレーカ40、50は、プラスチック成形部2、52を有する外装ケース1、51と、この外装ケース1、51に固定部6Bを固定されて、先端には可動接点7を設けている弾性アーム部6Aを有する可動金属片6と、この可動金属片6の可動接点7と対向する位置に固定接点5を配置して、外装ケース1、51のプラスチック成形部2、52にインサート成形して固定している固定金属片4と、可動金属片6の弾性アーム部6Aを変形させて可動接点7を固定接点5から離すバイメタル8とを備える。さらに、図のブレーカ40、50は、バイメタル8を加温するヒーター9も備える。図のブレーカ40、50は、ヒーター9を備えるが、本発明のブレーカは、必ずしもヒーターを内蔵する必要はない。
【0022】
可動金属片6の弾性アーム部6Aは、バイメタル8で押圧されない状態では、それ自体の弾性で可動接点7を固定接点5に接触させる弾性を有する。バイメタル8は、弾性アーム部6Aとヒーター9との間に配置される。このバイメタル8は、設定温度よりも低い状態では熱変形しない非変形状態にある。この状態ではバイメタル8が弾性アーム部6Aを押さず、ブレーカ40、50は、弾性アーム部6Aの弾性で可動接点7を固定接点5に接触してオン状態となる。ブレーカ40、50は、設定温度よりも高くなると、バイメタル8が熱変形して反転して、反転湾曲状態となる。反転湾曲状態のバイメタル8は、弾性アーム部6Aを押し上げて、可動接点7を固定接点5から離してオフ状態に切り換える。
【0023】
以上のブレーカ40、50は、接点のオフ状態でヒーター9に通電する。ブレーカ40、50のオフ状態で通電されるヒーター9はバイメタル8を加温して、バイメタル8を反転湾曲状態に保持する。オフ状態に保持できるブレーカ40、50は、パック電池に使用されて、パック電池の安全性をより向上する。パック電池の電池が完全に放電されるまでヒーター9に通電して接点をオフ状態に保持できるからである。オフ状態のブレーカは、電池を負荷に接続することなく、ヒーター9で次第に放電する。電池が完全に放電されると、ブレーカはオン状態に復帰するが、この状態では電池はすでに放電されているので、電池が負荷に接続されても負荷電流は流れず、安全性は保障される。また、パック電池を充電器に接続して充電する状態でパック電池が異常な温度になって、ブレーカで電流を遮断する場合においても、充電器から供給される電力でヒーターに通電してオフ状態に保持できるので、ブレーカがオン状態に復帰することなく、充電器から電力が供給される間は電流を遮断する状態に保持できる。したがって、このパック電池は、ブレーカがオフに切り換えられた後は、通電状態が解除されるまでヒーターに通電してブレーカをオフ状態に保持できるので、安全性をより向上できる。
【0024】
図1ないし
図11に示すブレーカ40、50は、外装ケース1、51を、熱可塑性のプラスチックを射出成形しているプラスチック成形部2、52で製作している。プラスチック成形部2、52は、第1のプラスチック成形部2A、52Aと、第2のプラスチック成形部2B、52Bとからなり、第1のプラスチック成形部2A、52Aに第2のプラスチック成形部2B、52Bを固定して、第1のプラスチック成形部2A、52Aに設けている収納スペース20の開口部を第2のプラスチック成形部2B、52Bで閉塞している。
【0025】
第1のプラスチック成形部2A、52Aは、収納スペース20を内部に設けて、固定金属片4をインサート成形して固定している。第1のプラスチック成形部2A、52Aは、両端部分(図において左右の両端部)に、第1の外壁11Aと第2の外壁11Bとを設け、さらに第1の外壁11Aと第2の外壁11Bの両側で連結する対向壁12を設けて、一対の対向壁12と、一対の外壁11とで収納スペース20の周囲を囲む外周壁10を構成して、外周壁10の内側に収納スペース20を設けている。収納スペース20は、底面を固定金属片4で閉塞して、上面を第2のプラスチック成形部2B、52Bで閉塞している。
【0026】
固定金属片4は、所定の幅の金属板を折曲加工して製作している。
図2、
図3、
図5、
図8、
図9、
図11、及び
図12に示す固定金属片4は、長手方向に、底面部4Aと、立上部4Dと、折曲部4Eと、接点部4Cと、固定部4Bと、外部接続端子4Xとを順番に設けている。底面部4Aは、収納スペース20の底面を閉塞する。立上部4Dは、底面部4Aと接点部4Cとの間にあって、接点部4Cを底面部4Aよりも上方に配置する。折曲部4Eは、立上部4Dと接点部4Cとの境界部分にあり、所定の曲率半径で折曲加工されて、立上部4Dを接点部4Cに連結している。固定部4Bは接点部4Cと同一平面にあって、第1のプラスチック成形部2A、52Aに埋設して固定される。外部接続端子4Xは第1のプラスチック成形部2A、52Aから外部に突出している。
【0027】
図の固定金属片4は、底面部4Aの両端と、立上部4Dと、折曲部4Eと、固定部4Bとを第1のプラスチック成形部2A、52Aに埋設している。
図13に示すように、固定金属片4を金型80に仮止めしてインサート成形する工程において、金型80に注入される溶融状態のプラスチックが接点部4Cの表面に薄いバリとなって付着しないように、折曲部4Eは、
図12に示すように、出隅4G側の表面に段差凹部4Fを設けている。段差凹部4Fは、固定金属片4となる金属板の一部を押し潰し、あるい切削して、出隅4G側の表面に、断面形状をL字状とする凹部として設けられる。段差凹部4Fは、金属板を折曲加工して固定金属片4とする状態で、折曲部4Eの一部をプレス加工して押し潰し、あるいは切削加工して設けられる。ただ、平面状の金属板にあらかじめ段差凹部を設けた後、折曲加工して固定金属片に加工することもできる。
【0028】
金属板をプレス加工して押し潰し、あるいは切削加工して設けられる段差凹部4Fは、
図12に示すように、接点部4C側にある段差境界となる接点側の出隅4Gの曲率半径(r)を、折曲部4Eの曲率半径(R)よりも小さくできる。このため、固定金属片4をインサートする第1のプラスチック成形部2A、52Aの成形工程において、接点部4Cの表面にプラスチックが侵入するのをより確実に阻止できる。断面形状をL字状とする段差凹部4Fは、接点側の出隅4Gを接点部4Cの表面と同一平面に配置して、被覆プラスチック24を密着する。段差凹部4Fの被覆プラスチック24は、第1のプラスチック成形部2A、52Aに連続して、その表面を接点部4Cの表面と同一平面に配置する。
【0029】
段差凹部4Fの接点側の出隅4Gを接点部4Cと同一平面に配置して、被覆プラスチック24の表面と接点部4Cの表面とを同一平面に配置する構造は、固定金属片4の接点部4Cを金型の成形室内面に密接させる状態で被覆プラスチック24を成形する。この状態で成形される被覆プラスチック24は、その端縁を接点部4C側の出隅4Gとなる段差境界に配置して、接点部4Cの表面にプラスチックの薄いバリが付着するのを確実に阻止する。
【0030】
固定金属片4は、インサート成形して第1のプラスチック成形部2A、52Aに固定される。固定金属片4は、
図2、
図3、
図8、及び
図9に示すように、底面部4Aを収納スペース20の底部13に埋設し、固定部4Bを収納スペース20の底部13から第1のプラスチック成形部2A、52Aの第1の外壁11Aに埋設するようにインサート成形して、第1のプラスチック成形部2A、52Aに固定している。固定金属片4は、ヒーター収納部29の底部を閉塞する底面部4Aよりも、第1の外壁11Aに埋設される固定部4Bを高くするように立上部4Dを設けて、立上部4Dを第1のプラスチック成形部2A、52Aの底部13に埋設して、立上部4Dの後端側の接点部4Cを底部13の上面に露出させて、この露出部を固定接点5としている。
【0031】
可動金属片6は、弾性変形する金属板で、外装ケース1、51に固定される固定部6Bと、先端に可動接点7を設けている弾性アーム部6Aとを有する。可動金属片6は、
図2、
図3、
図8、及び
図9に示すように、固定部6Bを外装ケース1、51に固定して、先端側の弾性アーム部6Aを、外装ケース1、51に設けている収納スペース20に配置している。可動金属片6は、固定部6Bの外側を外装ケース1、51から突出させて外部接続端子6Xとしている。可動金属片6は、外装ケース1、51に設けている第2の外壁11Bの上部に固定部6Bを固定している。
【0032】
可動金属片6は、収納スペース20に配置される弾性アーム部6Aを、あるいは全体を弾性変形できる金属板としている。さらに、可動金属片6は、この弾性アーム部6Aの先端部であって固定接点5と対向する面に可動接点7を設けている。この可動金属片6は、バイメタル8の非変形状態では、可動接点7を固定接点5に接触させてブレーカをオン状態とし、バイメタル8の反転湾曲状態では、バイメタル8に押されて弾性アーム部6Aを弾性変形して、可動接点7を固定接点5から離してブレーカをオフ状態とする。
【0033】
さらに、
図2ないし
図5、及び
図8ないし
図11に示す可動金属片6は、バイメタル8側に凸部6Cを設けている。図の可動金属片6は、バイメタル8に接触する一対の凸部6Cを、バイメタル8側に突出して設けている。一対の凸部6Cは、
図6に示すように、可動金属片6の長手方向に延びる中心線m上であって、可動金属片6の長手方向に離して配置している。この可動金属片6は、一対の凸部6Cにバイメタル8の両端の外周縁部8bを接触させて互いに押圧するようにしている。図に示す凸部6Cは、外形を円弧状としており、バイメタル8の外周縁部8bを横方向に摺動させることなく確実に接触させて互いに押圧できるようにしている。図示しないが、可動金属片は、バイメタルの両端部と対向する下面に、複数の凸部を設けることもできる。
【0034】
可動金属片6と固定金属片4と第2のプラスチック成形部2B、52Bは、第1のプラスチック成形部2A、52Aに固定される。第1のプラスチック成形部2A、52Aは、バイメタル8やヒーター9を収納する収納スペース20の両側に、第1の外壁11Aと第2の外壁11Bとを設け、さらに第1の外壁11Aと第2の外壁11Bとの間を連結する対向壁12を設けて、一対の対向壁12と、一対の外壁11とで収納スペース20の周囲を囲む外周壁10を構成している。したがって、収納スペース20は、周囲を外周壁10で囲み、底面を固定金属片4で閉塞し、さらに上面を第2のプラスチック成形部2B、52Bで閉塞して内部を閉塞された中空状としている。
【0035】
第1のプラスチック成形部2A、52Aは、固定金属片4の固定部4Bを第1の外壁11Aに、底面部4Aを底部13にインサート成形して固定している。この固定金属片4は、第1の外壁11Aを貫通する状態で第1のプラスチック成形部2A、52Aに固定され、収納スペース20の内部に露出する部分を固定接点5とし、外部に引き出される部分を外部接続端子4Xとしている。
【0036】
さらに、第1のプラスチック成形部2A、52Aは、第2の外壁11Bに可動金属片6の固定部6Bを固定して、可動金属片6の弾性アーム部6Aを収納スペース20に配置している。
図2、
図3、
図8、及び
図9のブレーカ40、50は、第2の外壁11Bの上端面に可動金属片6の固定部6Bを固定している。第1のプラスチック成形部2A、52Aは、
図5、
図6、及び
図10に示すように、第2の外壁11Bの上端面に、外周壁10の上面よりも一段低い段差凹部21を設けており、この段差凹部21に可動金属片6の固定部6Bを嵌合させて定位置に配置している。図の第1のプラスチック成形部2A、52Aは、この嵌着凹部21の中央部から突出して、可動金属片6の固定部6Bを貫通する連結凸部15を設けている。可動金属片6の固定部6Bには、連結凸部15を貫通させる貫通孔6Fを設けている。
図6に示す連結凸部15は、水平断面形状を長円形として、可動金属片6の固定部6Bを正確な姿勢で段差凹部21に配置できるようにしている。さらに、
図6に示す段差凹部21は、可動金属片6の両側部を位置決めする位置決リブ22を第2の外壁11Bの上端部に形成している。
図6に示す第2の外壁11Bは、その上端面において、位置決リブ22以外の部分を、外周壁10の上面よりも低くして嵌着凹部21を設けることにより、段差形状の位置決リブ22を形成している。可動金属片6は、固定部6Bの両側に位置決リブ22を案内する位置決凹部6Gを設けている。可動金属片6は、固定部6Bに開口された貫通孔6Fに連結凸部15が挿入されると共に、固定部6Bの両側に設けた位置決凹部6Gに位置決リブ22が案内されて、第2の外壁11Bの段差凹部21の定位置に配置される。固定部6Bが段差凹部21に配置された可動金属片6は、接着して第2の外壁11Bに固定され、あるいは第1のプラスチック成形部2A、52Aに固定される第2のプラスチック成形部2B、52Bに挟まれて、すなわち、第2の外壁11Bの段差凹部21の底面と第2のプラスチック成形部2B、52Bの対向面とで上下両面から挟着されて外装ケース1、51の定位置に固定される。
【0037】
第2のプラスチック成形部2B、52Bは、
図1ないし
図5、及び
図7ないし
図11に示すように、第1のプラスチック成形部2A、52Aの上端開口部側において、可動金属片6の外側に積層される積層金属板25、55と、この積層金属板25、55を固定している連結プラスチック26、56とを備えている。第2のプラスチック成形部2B、52Bは、内面側、すなわち、第1のプラスチック成形部2A、52A側に積層金属板25、55を表出させており、この積層金属板25、55で可動金属片6の上方をカバーする状態で、第1のプラスチック成形部2A、52Aの開口部側に配置されている。
図1ないし
図5に示す第2のプラスチック成形部2Bは、上面側において積層金属板25の外周部を除く中央部分を連結プラスチック26から露出させている。
図7ないし
図11に示す第2のプラスチック成形部52Bは、上面側において積層金属板55のほぼ全面を連結プラスチック56で被覆して絶縁している。積層金属板25、55は、連結プラスチック26、56にインサート成形して固定される。インサート成形される積層金属板25、55は、連結プラスチック26、56を成形する金型の成形室に仮止めされ、成形室に溶融状態のプラスチックを注入して連結プラスチック26、56に固定される。
【0038】
図1ないし
図5に示す第2のプラスチック成形部2Bは、上面側に露出する積層金属板25の露出部を露出端子43としている。図の第2のプラスチック成形部2Bは、積層金属板25の露出部と連結プラスチック26の上面を同一平面としている。このブレーカ40は、露出端子43にリードを確実に接触して溶接できる。すなわち、連結プラスチック26が突出して、溶接されるリードを露出端子43から離すことがなく、露出端子43に確実に安定してリードを溶接できる。第2のプラスチック成形部2Bは、積層金属板25の露出部と連結プラスチック26の上面を同一平面とするために、
図4に示すように、上面の外周部に低くなる段差部25aを設けて、段差部25aに連結プラスチック26を成形している。このブレーカ40は、外装ケース1の底面側の表面に固定金属片4を露出させて露出端子44とし、外装ケース1の上面側の表面に積層金属板25を表出させて露出端子43としている。
【0039】
以上の第2のプラスチック成形部2B、52Bは、連結プラスチック26、56の外周縁部を第1のプラスチック成形部2A、52Aの外周壁10の上面に固定して、第1のプラスチック成形部2A、52Aに固定している。第2のプラスチック成形部2B、52Bの連結プラスチック26、56は、
図5と
図11に示すように、第1のプラスチック成形部2A、52Aの外周壁10と対向する外周縁部に、第1のプラスチック成形部2A、52A側に突出する外周壁27、57を備えており、この外周壁27、57の内側に積層金属板25、55を表出させている。連結プラスチック26、56の外周壁27、57は、第1のプラスチック成形部2A、52Aの両端部に設けている第1の外壁11Aと第2の外壁11Bに固定され、さらに対向壁12に固定される。
【0040】
図5と
図11に示す外装ケース1、51は、第2のプラスチック成形部2B、52Bと第1のプラスチック成形部2A、52Aとを正確に位置決めしながら連結するために、互いに嵌合する連結凸部15、17と連結凹部16、18とを備えている。第1のプラスチック成形部2A、52Aは、前述のように、第2の外壁11Bの上面において、可動金属片6の固定部6Bを貫通して位置決めする連結凸部15を突出して設けている。第2のプラスチック成形部2B、52Bは、第1のプラスチック成形部2A、52Aの第2の外壁11B側の端部において、この連結凸部15と対向する位置に、連結凸部15を案内する連結凹部16を設けている。さらに、
図5と
図11に示す第2のプラスチック成形部2B、52Bは、第1のプラスチック成形部2A、52Aの第1の外壁11A側の端部の両側において、外周壁27、57の下面から第1のプラスチック成形部2A、52Aに向かって突出する連結凸部17を設けている。第1のプラスチック成形部2A、52Aは、
図6に示すように、これらの連結凸部17と対向する対向壁12の上面に、連結凸部17を案内する連結凹部18を設けている。以上の外装ケース1、51は、第1のプラスチック成形部2A、52Aの第1の外壁11A側の端部において、第2のプラスチック成形部2B、52Bの両側の連結凸部17が第1のプラスチック成形部2A、52Aの連結凹部18に案内されると共に、第1のプラスチック成形部2A、52Aの第2の外壁11B側の端部において、可動金属片6の固定部6Bを貫通する連結凸部15が第2のプラスチック成形部2B、52Bの連結凹部16に案内されて、第2のプラスチック成形部2B、52Bが第1のプラスチック成形部2A、52Aの正確な位置に連結される。
【0041】
連結凸部15、17と連結凹部16、18を介して定位置に連結される第2のプラスチック成形部2B、52Bと第1のプラスチック成形部2A、52Aは、超音波溶着して連結プラスチック26、56が第1のプラスチック成形部2A、52Aに固定される。
図5と
図11に示す第2のプラスチック成形部2B、52Bは、連結プラスチック26、56の外周壁27、57の下面であって、第1のプラスチック成形部2A、52Aの外周壁10との対向面に位置して、超音波振動で溶融される溶融凸条19を設けている。図の第2のプラスチック成形部2B、52Bは、外周壁27、57の下面に沿って溶融凸条19を突出して設けている。この第2のプラスチック成形部2B、52Bは、可動金属板6の固定部6Bと対向する部分を除く外周縁部に、底面視略コ字状の溶融凸条19を設けている。この第2のプラスチック成形部2B、52Bは、前述の連結凸部15、17と連結凹部16、18とを介して第1のプラスチック成形部2A、52Aの定位置に連結する状態で、外周部を超音波振動させて、溶融凸条19を摩擦熱で溶融させて第1のプラスチック成形部2A、52Aの外周壁10に溶着させる。さらに、超音波振動される第2のプラスチック成形部2B、52Bと本体ケース3は、互いに連結された連結凸部15、17と連結凹部16、18の接触部分も摩擦熱で溶融されて互いに溶着される。ただ、外装ケースは、第2のプラスチック成形部の連結プラスチックと本体ケースとを接着して、あるいは嵌着構造や係止構造で連結して固定することもできる。
【0042】
図1ないし
図5の外装ケース1は、第1のプラスチック成形部2Aの第2の外壁11Bと第2のプラスチック成形部2Bの積層金属板25とで可動金属片6の固定部6Bを挟着して外装ケース1に固定している。この外装ケース1は、第2のプラスチック成形部2Bの積層金属板25の一端部を、可動金属片6の固定部6Bに接触状態に積層して、積層金属板25を可動金属片6に電気接続している。このブレーカ40は、積層金属板25を可動金属片6の外部接続端子として使用することもできる。積層金属板25と可動金属片6は、積層部をレーザー溶接することで、より確実に電気接続される。図に示す積層金属板25は、連結プラスチック26から引き出された突出部25Xを可動金属片6の上面に積層してレーザー溶接している。この構造は、第2のプラスチック成形部2Bの積層金属板25を可動金属片6に直接に積層して固定するので、全体をより薄くしながら、積層金属板25を可動金属片6に確実に電気接続できる。
図1ないし
図5に示すブレーカ40は、第2のプラスチック成形部2Bの積層金属板25を可動金属片6に電気接続するので、第2のプラスチック成形部2Bの上面から露出する積層金属板25を露出端子43として外部接続し、あるいは可動金属片6に外部接続端子6Xを設けて外部接続することができる。
【0043】
図7ないし
図11に示すブレーカ50は、第2のプラスチック成形部52Bから積層金属板55を露出させないので、可動金属片6の固定部6Bに積層金属板55を接触させることなく積層している。さらに、
図7と
図8に示すブレーカ50は、バイメタル8が熱変形しない状態で、可動接点7を確実に固定接点5に接触できるように、弾性アーム部6Aの後端部を下方に押圧する押圧凸部58を積層金属板25の内面から突出して設けている。この可動金属片6は、弾性アーム部6Aの後端部が押圧凸部58で下向きに押圧されることで、弾性アーム部6Aの先端部が下方に付勢されて、先端の可動接点7を確実に固定接点5に接触させる。
【0044】
図1ないし
図11のブレーカ40、50は、プラスチック成形部2、52の収納スペース20に、底から順番に、ヒーター9とバイメタル8と可動金属片6の弾性アーム部6Aを収納して、プラスチック成形部2、52の第1の外壁11Aには固定金属片4の中間部4Bを固定して、第2の外壁11Bには可動金属片6の固定部6Bを固定している。
【0045】
バイメタル8は、温度が上昇して熱変形するように、熱膨張率が異なる金属を積層したものである。バイメタル8は、外形を四角形とし、かつ中央凸に湾曲する形状である。バイメタル8は、図において、弾性アーム部6Aとヒーター9との間にあって、設定温度になると熱変形して反転し、反転湾曲状態となる。
図2、
図3、
図8、及び
図9のバイメタル8は、非変形状態においては、反転湾曲状態とは上下反対に湾曲する。反転湾曲状態のバイメタル8は、ヒーター9の表面である対向面23に接触する支点8aをヒーター9側、すなわち下方に突出させる。非変形状態のバイメタル8は、中央部を上方の弾性アーム部6A側に突出させる中央凸形状に湾曲する。バイメタル8は、
図2と
図8に示すように、中央部、正確には外周縁部8bの内側を、図において上方に突出させて非変形状態となる。バイメタル8は、熱変形して反転湾曲状態となるが、反転湾曲状態のバイメタル8は、
図3と
図9に示すように、ヒーター9に接触する支点8aを下方のヒーター9側に突出させる湾曲形状となる。
【0046】
反転湾曲状態のバイメタル8は、支点8aをヒーター9の表面である対向面23に接触させて、両端の外周縁部8bで弾性アーム部6Aを押し上げて可動接点7を固定接点5から離してオフ状態に切り換える。反転湾曲状態のバイメタル8は、
図3と
図9に示すように、ヒーター9の対向面23に接触する支点8aよりも可動接点7側にある接点側長さ(L1)を、支点8aよりも固定部6B側にある固定部側長さ(L2)よりも長くしている。接点側長さ(L1)を長くするバイメタル8は、弾性アーム部6Aの変形を大きくして、可動接点7と固定接点5の間隔、すなわち接点ギャップを大きくする。さらに、
図3と
図9のブレーカ40、50は、オフ状態にある弾性アーム部6Aを、可動金属片6の固定部6Bから可動接点7側に向かって、図において左から右に向かって、ヒーター9の対向面23に対して上り勾配に傾斜して、可動接点7と固定接点5との接点ギャップを大きくしている。
【0047】
バイメタル8は、非変形状態から反転湾曲状態に変形でき、かつ位置ずれしないように外装ケース1、51に設けたバイメタル収納部28に配置される。外装ケース1、51は、
図6の平面図に示すように、四角形のバイメタル8を定位置に配置するバイメタル収納部28を設けている。外装ケース1、51は、バイメタル8の周囲に外周壁10を設けて、外周壁10の内側をバイメタル収納部28としている。外周壁10で囲まれるバイメタル収納部28は、その内形をバイメタル8の外形よりもわずかに大きくして、バイメタル8を非変形状態と反転湾曲状態に変形できる状態で定位置に配置している。
【0048】
ヒーター9は、通電されることによって発熱して、バイメタル8を加熱する。ヒーター9は、対向面23を円形あるいは長円形とする厚みのあるPTCヒーター9Aで、上面と下面に電極を設けている。ただし、ヒーターには必ずしもPTCヒーターを使用する必要はなく、通電されてバイメタル8を加熱できる全てのヒーターを使用することができる。上下面に電極を設けているヒーター9は、下面を固定金属片4に接触して、上面をバイメタル8を介して可動金属片6に接触できるようにしている。このヒーター9は、可動金属片6の可動接点7が固定接点5に接触するオン状態では、可動金属片6とバイメタル8とが非接触状態となって通電されず、可動金属片6の可動接点7が固定接点5から離れてオフ状態となる状態では、可動金属片6に接触するバイメタル8と固定金属片4とを介して通電されて発熱し、バイメタル8を加熱する。加熱されるバイメタル8は、
図3と
図9に示すように、可動接点7を固定接点5から離すオフ状態に保持する。
【0049】
さらに、
図2ないし
図5、及び
図8ないし
図11に示す外装ケース1、51は、第1のプラスチック成形部2A、52Aの収納スペース20の底部にヒーター9を配置するヒーター収納部29を設けている。ヒーター収納部29は、バイメタル収納部28の内側にあって、その底部に設けられる。ヒーター収納部29は、ヒーター9を定位置に抜けないように固定する凹部である。ヒーター9は、このヒーター収納部29に接着して固定され、あるいは抜けないように嵌着して固定される。ヒーター収納部29は収納スペース20の中央部にあって、その底面を固定金属片4の底面部4Aで閉塞している。ヒーター収納部29は、ここにヒーター9を挿入できるように、内形をヒーター9の外形よりもわずかに大きくしている。また、ヒーター収納部29は、外周縁に沿って突出部14を設けている。ヒーター収納部29に挿入されるヒーター9は、突出部14の上面からわずかに突出して、上面に湾曲するバイメタル8を熱結合状態に載せている。
【0050】
以上のブレーカ40、50は、例えば、パック電池に使用されて、パック電池の電池と直列に接続される保護素子として使用することができる。保護素子であるブレーカは、電池温度や周囲温度を検出して、検出温度が設定温度を越えるとバイメタルを熱変形させて電流を遮断する。以上のブレーカをパック電池に使用する例を以下に示す。
【0051】
図14ないし
図16に示すパック電池は、電池30と、この電池30と直列に接続しているブレーカ40と、このブレーカ40の外部接続端子と電池30とにリード36を介して接続している回路基板35とを備えている。
【0052】
図14ないし
図16のパック電池は、角形電池の電池30を備える。電池30は、金属製の外装缶31の開口部を、金属製の封口板32で閉塞して、内部に電解液と正負の電極を収納している。封口板32はレーザー溶接して外装缶31の開口部を気密に閉塞している。封口板32は、凸部電極33を中央部に設けている。凸部電極33は、絶縁して封口板32に固定される。電池30は、リチウムイオン電池である。ただし、電池には、リチウムイオン電池に代わってニッケル水素電池などの全ての二次電池とすることができる。リチウムイオン電池は、凸部電極33を負極、封口板32と外装缶31を正極とし、ニッケル水素電池は、凸部電極を正極、封口板を負極とする。
【0053】
パック電池は、電池30と直列にブレーカ40を接続している。ブレーカ40は、電池30の温度が設定温度よりも高くなるとオン状態からオフ状態に切り換えられて、電池30の電流を遮断する。また、過電流が流れる状態にあっても、オフ状態に切り換えられて、電池30の電流を遮断する。
図14ないし
図16のパック電池は、電池30の凸部電極33と回路基板35との間にブレーカ40を接続している。回路基板35は、電池30の過充電や過放電を防止する保護回路などを実現する回路を実装している。また、回路基板35は、パック電池の出力端子(図示せず)も設けている。この回路基板35は、リード36とブレーカ40を介して電池30に接続している。ここで、図に示すパック電池は、リード36をリード板としているが、リードはリード線とすることもできる。
【0054】
ブレーカ40は、電池30と回路基板35との間に接続される。
図14と
図15のパック電池に使用されるブレーカ40は、上面に露出端子43を設けている。露出端子43は、第2のプラスチック成形部2Bに固定された積層金属板25の露出部に設けている。この第2のプラスチック成形部2Bは、積層金属板25を可動金属片6の固定部6Bに接触状態に積層して第1のプラスチック成形部2A、52Aに固定され、上側面を露出して露出端子43としている。このパック電池は、ブレーカ40の固定金属片4の外部接続端子4Xを電池30の凸部電極33に溶接して、上面に設けている露出端子43を外部接続端子として、回路基板35に接続しているリード36に溶接している。図において、回路基板35に接続しているリード36はリード板であって、L字状に折曲されて、水平方向に折曲している折曲片36Aをブレーカ40の露出端子43に溶接している。このリード36は、ハンダ付けして回路基板35に接続している。
【0055】
図14と
図15のブレーカ40は、リード37を介して固定金属片4を凸部電極33に接続している。図に示すリード37は、リード板としているが、リード線とすることもできる。固定金属片4を凸部電極33に接続するリード37は、一端を固定金属片4に溶接して、他端を凸部電極33に溶接している。図示しないが、固定金属片は、外部接続端子を本体ケースから長く突出させて、直接に凸部電極に溶接することもできる。さらに、図に示すパック電池は、ブレーカ40と封口板32との間に絶縁層34を設けており、この絶縁層34でブレーカ40を封口板32から絶縁している。
【0056】
以上のパック電池は、以下の工程で組み立てられる。
(1)固定金属片4を直接あるいはリード37を介して電池30の凸部電極33に溶接する。
(2)回路基板35に接続しているリード36を、電池30の封口板32とブレーカ40上面の露出端子43である外部接続端子とに溶接する。
【0057】
図16のパック電池は、
図14のパック電池のブレーカ40を上下反転して電池30に溶接している。したがって、このブレーカ40は、固定金属片4を上面に、第2のプラスチック成形部2Bを下面に配置している。上面に配置している固定金属片4は、両端部分を除く部分を露出させて露出端子44とし、この露出端子44を外部接続端子として、ブレーカ40の上面に配置している。露出端子44は、回路基板35に接続しているL字状のリード板であるリード36の折曲片36Aに溶接している。さらに、ブレーカ40は、可動金属片6を第1のプラスチック成形部2A、52Aから突出させて外部接続端子6Xとし、この外部接続端子6Xを電池30の凸部電極33に溶接している。さらに、図に示すパック電池は、ブレーカ40と封口板32との間に絶縁層34を設けており、この絶縁層34でブレーカ40を封口板32から絶縁している。
【0058】
以上のパック電池は、以下の工程で組み立てられる。
(1)可動金属片6の外部接続端子6Xを直接あるいはリード37を介して電池30の凸部電極33に溶接する。
(2)回路基板35に接続しているリード36を、電池30の封口板32とブレーカ40上面の露出端子44である外部接続端子とに溶接する。
【0059】
以上のパック電池の製造工程において、ブレーカ40と電池30とリード36は、スポット溶接して接続され、あるいはレーザー溶接して接続される。
【0060】
さらに、パック電池は、
図17と
図18に示すように、外装をフィルムとするポリマー電池60Aを備えることもできる。図に示すポリマー電池60Aは、正負の出力リード61を外装フィルム62で絶縁状態に挟着して外部に引き出している。ポリマー電池60Aは、一方の出力リード61をブレーカ40の外部接続端子に溶接して、ブレーカ40に直列に接続され、他方の出力リード61を回路基板65に接続している基板リード66に溶接している。
【0061】
図17と
図18のポリマー電池60Aは、出力リード61を引き出している一方の端面から突出する突出壁63を有する。突出壁63は、片方の表面とほぼ同一平面に位置する。突出壁63のあるポリマー電池60Aが、鎖線で示す電池ケース70に収納されて、突出壁63によって空隙64ができる。ブレーカ40は、この空隙64にあって、電池60の端面に接近して熱結合状態に配設される。
【0062】
さらに、突出壁63によってできる空隙64には、回路基板65を定位置に配置する鎖線で示す絶縁ホルダー68が配置される。絶縁ホルダー68は、空隙64の定位置に配置され、さらに、回路基板65を定位置に配置する形状にプラスチックを成形している。絶縁ホルダー68は、嵌着構造で、あるいは接着されて、あるいはまたパック電池の電池ケース70にネジ止めされて、空隙64の定位置に配置され、また回路基板65を定位置に配置する。
【0063】
図17のパック電池は、絶縁ホルダー68でもって回路基板65をパック電池の端面に配置している。図示しないが、パック電池は、回路基板を電池の表面側に配置することもできる。以上のパック電池は、回路基板65に、一対の基板リード66の一端をハンダ付けして固定し、この基板リード66の一方をポリマー電池60Aの出力リード61に、他方をブレーカ40を介してポリマー電池60Aの他方の出力リード61に溶接して接続している。回路基板65は、基板リード66や出力リード61であるリード69を折曲して、パック電池の端面又は表面側に配置している。
【0064】
以上のパック電池は、以下の工程で組み立てられる。
(1)
図18に示すように、ブレーカ40の外部接続端子である露出端子43にポリマー電池60Aの一方の出力リード61の先端部を載せてスポット溶接し、ブレーカ40の他方の外部接続端子4Xと回路基板65に接続している基板リード66とを積層して積層部をスポット溶接して接続し、さらに、ポリマー電池60Aの他方の出力リード61と回路基板65に接続している他方の基板リード66とを積層して積層部を溶接して接続する。
以上の工程で、回路基板65の一方の基板リード66はブレーカ40を介して電池60の一方の出力リード61に、他方の基板リード66は電池60の他方の出力リード61に溶接して接続される。
(2)その後、
図17に示すように、基板リード66と出力リード61からなるリード69を折曲加工して回路基板65を絶縁ホルダー68の定位置にセットし、絶縁ホルダー68を電池60の定位置にセットして、回路基板65とブレーカ40と電池60を電池ケース70の定位置に配置する。