特許第6111104号(P6111104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社SCREENセミコンダクターソリューションズの特許一覧

<>
  • 特許6111104-基板洗浄乾燥方法および基板現像方法 図000002
  • 特許6111104-基板洗浄乾燥方法および基板現像方法 図000003
  • 特許6111104-基板洗浄乾燥方法および基板現像方法 図000004
  • 特許6111104-基板洗浄乾燥方法および基板現像方法 図000005
  • 特許6111104-基板洗浄乾燥方法および基板現像方法 図000006
  • 特許6111104-基板洗浄乾燥方法および基板現像方法 図000007
  • 特許6111104-基板洗浄乾燥方法および基板現像方法 図000008
  • 特許6111104-基板洗浄乾燥方法および基板現像方法 図000009
  • 特許6111104-基板洗浄乾燥方法および基板現像方法 図000010
  • 特許6111104-基板洗浄乾燥方法および基板現像方法 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6111104
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】基板洗浄乾燥方法および基板現像方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20170327BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   H01L21/304 651L
   H01L21/304 643A
   H01L21/304 651B
   H01L21/30 569C
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-53342(P2013-53342)
(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公開番号】特開2014-179510(P2014-179510A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2015年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】506322684
【氏名又は名称】株式会社SCREENセミコンダクターソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(72)【発明者】
【氏名】後藤 友宏
(72)【発明者】
【氏名】柏山 真人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 保夫
(72)【発明者】
【氏名】森田 彰彦
【審査官】 溝本 安展
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−081311(JP,A)
【文献】 特開2006−066579(JP,A)
【文献】 特開2009−111219(JP,A)
【文献】 特開2009−111220(JP,A)
【文献】 特開2010−109087(JP,A)
【文献】 特開2009−224513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像後の基板に洗浄液を供給して基板を洗浄する洗浄工程と、
基板上に洗浄液を盛る液盛工程と、
基板上に盛られた洗浄液の膜厚を薄くする薄膜化工程と、
基板を回転させ、基板の上方を覆う外気流を形成し、基板上の洗浄液を移動させるための内気流を外気流と基板との間に形成する乾燥工程と、
備え、
乾燥工程は、外気流が基板の上方を覆った状態で内気流が基板の中央部に向かって流れることによって、基板の中央部における洗浄液を周囲に移動させ、基板の中央部を露出させる基板洗浄乾燥方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板洗浄乾燥方法において、
内気流は基板の上面に向かって流れ、
外気流は基板の上方を略水平方向に流れる基板洗浄乾燥方法。
【請求項3】
請求項2に記載の基板洗浄乾燥方法において、
内気流は基板の上面に当たって周囲に広がり、
外気流は周囲に広がる内気流の高さ位置を低くさせる基板洗浄乾燥方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の基板洗浄乾燥方法において、
外気流は平面視で基板の中央部から周縁部に向けて流れ、
内気流は基板の中央部に当たって基板の周縁部に広がる基板洗浄乾燥方法。
【請求項5】
請求項4に記載の基板洗浄乾燥方法において、
外気流は、基板の中央部の上方から略水平方向に気体を吐出することによって生成され、
内気流は、基板の中央部の上方から略鉛直下方に気体を吐出することによって生成される基板洗浄乾燥方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の基板洗浄乾燥方法において、
外気流および内気流を、単一の気体ノズルによって同時に生成する基板洗浄乾燥方法。
【請求項7】
請求項6に記載の基板洗浄乾燥方法において、
外気流は、気体ノズルの側面から気体を周囲に吐出することによって生成され、
内気流は、気体ノズルの下面から気体を下方に吐出することによって生成される基板洗浄乾燥方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載の基板洗浄乾燥方法において、
気体ノズルは平面視で基板よりも小さい基板洗浄乾燥方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の基板洗浄乾燥方法において、
乾燥工程では、気体ノズルによって外気流および内気流を生成させながら、気体ノズルを基板の中央部の上方の位置から略水平方向に移動させる基板洗浄乾燥方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の基板洗浄乾燥方法において、
乾燥工程では基板に洗浄液を供給しない基板洗浄乾燥方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の基板洗浄乾燥方法において、
乾燥工程では、基板の回転数を所定の上限値以下として、基板の周縁端をその内側よりも先に乾燥させない基板洗浄乾燥方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の基板洗浄乾燥方法において、
乾燥工程では、外気流は基板の上方全域を覆う基板洗浄乾燥方法。
【請求項13】
基板現像方法であって、
請求項1から12のいずれかに記載の基板洗浄乾燥方法を含み、
さらに、基板に現像液を供給して基板を現像する工程と、
を備える基板現像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用のガラス基板、液晶表示装置用のガラス基板、光ディスク用の基板など(以下、単に基板と称する)を洗浄し、乾燥する基板洗浄乾燥方法と、この基板洗浄乾燥方法を含む基板現像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィ技術は、基板上にレジスト膜を形成し、このレジスト膜を所定のパターンで露光し、露光されたレジスト膜を現像する。現像では、基板に現像液を供給してレジスト膜の可溶性部位を溶解する。続いて、基板に洗浄液を供給して現像液や溶解によって生成された溶解生成物等を洗い流す。可溶性部位が除去されると、基板上にレジストパターンが現れる。この基板から洗浄液を除去し、基板を乾燥する。
【0003】
ここで、基板を洗浄し、乾燥する1方法が、特許文献1に開示されている。この方法では、洗浄液を吐出する洗浄液ノズルとガスを吐出するガスノズルとを互いに近接して基板の上方に配置する。そして、両方のノズルを移動させながら、各ノズルから洗浄液/ガスを基板に同時に吐出させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−165000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来技術では、乾燥領域を、ガスノズルの直下を中心とした基板上の局所的な領域にとどめている。よって、基板全体を乾燥させる時間が比較的に長い。
【0006】
また、洗浄液ノズルとガスノズルが近接しており、ガスの流れによって洗浄液の流れが乱れ、ミストや液滴が発生してしまうおそれがある。このため、ガスの吐出量を増大させることが困難であり、乾燥時間を短縮することが困難である。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、基板を短時間で乾燥できる基板洗浄乾燥方法および基板現像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明は、現像後の基板に洗浄液を供給して基板を洗浄する洗浄工程と、基板上に洗浄液を盛る液盛工程と、基板上に盛られた洗浄液の膜厚を薄くする薄膜化工程と、基板を回転させ、基板の上方を覆う外気流を形成し、基板上の洗浄液を移動させるための内気流を外気流と基板との間に形成する乾燥工程と、を備え、乾燥工程は、外気流が基板の上方を覆った状態で内気流が基板の中央部に向かって流れることによって、基板の中央部における洗浄液を周囲に移動させ、基板の中央部を露出させる基板洗浄乾燥方法である。
【0009】
[作用・効果]本発明に係る基板洗浄乾燥方法によれば、洗浄工程では、基板上の現像液や溶解生成物等を洗い流す。この結果、基板の上面にはレジストパターンが現れる。
【0010】
液盛工程では、基板の上面が撥水性であっても、基板の上面全体に洗浄液の液膜を形成できる。レジストパターンの全体は、この液膜(洗浄液)中に浸かる。
【0011】
薄膜化工程では、基板上に液膜が形成された状態を保ったまま、その液膜の膜厚を薄くする。これにより、レジストパターンの全体を液膜(洗浄液)内に浸漬したまま、基板上の洗浄液の量が減る。
【0012】
乾燥工程では、内気流の力と基板の回転によって生じる遠心力とによって洗浄液を移動させる。内気流の上方に形成されている外気流は、内気流の力を洗浄液に効果的に作用させる。よって、洗浄液は速やかに基板上から除去される(すなわち、基板は速やかに乾燥する)。また、乾燥工程の前に薄膜化工程を予め行っているので、乾燥工程において移動させる洗浄液の量は少ない。よって、一層短い時間で基板を乾燥できる。
【0013】
ここで、洗浄液に起因して生じ、レジストパターンを倒壊させる力(以下、適宜に「倒壊力」という)を考える。この倒壊力は、レジストパターンの全部が洗浄液中にしずんでいるときには生じず、レジストパターンの一部のみが洗浄液に浸かっているとき(すなわち、レジストパターンの一部が乾燥しているとき)に生じる。本発明では液盛工程及び薄膜化工程を備え、乾燥工程を開始するまではレジストパターンの全体を洗浄液内に浸し続け、倒壊力を生じさせない。唯一倒壊力が生じる可能性がある乾燥工程は、上述したように短時間で完了する。よって、倒壊力が生じている時間は短く、レジストパターンが倒れることを好適に抑制できる。
【0014】
上述した発明において、内気流は基板の上面に向かって流れ、外気流は基板の上方を略水平方向に流れることが好ましい。外気流は、略水平姿勢で保持される基板の上方を好適に覆うことができる。内気流は、基板の上面に当たる(衝突する)ので、基板上の洗浄液を積極的に移動させることができる。
【0015】
また、上述した発明において、内気流は基板の上面に当たって周囲に広がり、外気流は周囲に広がる内気流の高さ位置を低くさせることが好ましい。内気流は、その向きによって、基板に当たるまでの気流と、基板に当たった後の気流に分けられる。当たった後の気流は周囲に広がる。外気流は、主として周囲に広がる内気流を案内する。これにより、周囲に広がる内気流は基板の上面の近くを流れ、洗浄液を好適に移動させる。よって、洗浄液を基板上から効率よく除去できる。
【0016】
また、上述した発明において、外気流は平面視で基板の中央部から周縁部に向けて流れ、内気流は基板の中央部に当たって基板の周縁部に広がることが好ましい。基板の上面のうち、基板の中央部がまず乾燥する。乾燥領域は基板の中央部から周縁部に向かって拡大し、やがて基板全体が乾燥する。ここで、外気流の向きは、周縁部に広がる内気流の向きと略平行である。よって、外気流は周縁部に広がる内気流を円滑に案内でき、周縁部に広がる内気流は洗浄液を好適に移動させることができる。
【0017】
また、上述した発明において、外気流は、基板の中央部の上方から略水平方向に気体を吐出することによって生成され、内気流は、基板の中央部の上方から略鉛直下方に気体を吐出することによって生成されることが好ましい。適切な位置から適切な方向に気体を吐出することによって外気流および内気流を生成する。よって、気体を特定の方向に流すための案内部材を別途に備えることなく、外気流および内気流を好適に形成できる。
【0018】
また、上述した発明において、外気流および内気流を、単一の気体ノズルによって同時に生成することが好ましい。これによれば、部品点数を減らすことができる。特に、外気流を生成するための気体の吐出位置と、内気流を生成するための気体の吐出位置が同じである場合、この気体ノズルを好適に小型化できる。
【0019】
また、上述した発明において、外気流は、気体ノズルの側面から気体を周囲に吐出することによって生成され、内気流は、気体ノズルの下面から気体を下方に吐出することによって生成されることが好ましい。気体ノズルの側面から気体を吐出することで、基板を覆う外気流を好適に形成できる。また、気体ノズルの底面から気体を吐出することで、基板と外気流との間に内気流を好適に形成できる。
【0020】
また、上述した発明において、気体ノズルは平面視で基板よりも小さいことが好ましい。装置の大型化を防ぐことができる。
【0021】
また、上述した発明において、乾燥工程では、気体ノズルによって外気流および内気流を生成させながら、気体ノズルを基板の中央部の上方の位置から略水平方向に移動させることが好ましい。基板の中央部に向けて内気流を吐出した後、基板の中央部以外の領域に向けて内気流を吐出する。これにより、基板上の洗浄液を一層効率よく移動させることができる。
【0022】
また、上述した発明において、乾燥工程では基板に洗浄液を供給しないことが好ましい。外気流および内気流の各流量を容易に増大できる。よって、基板をより短い時間で乾燥できる。
【0023】
また、上述した発明において、乾燥工程では、基板の回転数を所定の上限値以下として、基板の周縁端をその内側よりも先に乾燥させないことが好ましい。洗浄液を基板の周縁端まで円滑に移動させることができる。これにより、洗浄工程および乾燥工程を含む基板処理の品質が低下することを抑制できる。
【0024】
また、本発明は、基板現像方法であって、請求項1乃至11のいずれかに記載の基板洗浄乾燥方法を含み、さらに、基板に現像液を供給して基板を現像する工程と、を備える基板現像方法である。
【0025】
[作用・効果]本発明に係る基板現像方法によれば、基板を短時間で乾燥できる。よって、レジストパターンが倒れることを好適に抑制できる。すなわち、現像工程、洗浄工程および乾燥工程等を含む一連の基板処理の品質が低下することを抑制できる。
【0026】
なお、本明細書は、次のような基板洗浄乾燥方法及び基板現像方法に係る発明も開示している。
【0027】
(1)上述した発明において、周囲に広がる内気流が基板の上面に沿って流れるように、外気流が案内することが好ましい。
【0028】
前記(1)に記載の発明によれば、周囲に広がる内気流が、洗浄液を好適に移動させることができる。
【0029】
(2)上述した発明において、周囲に広がる内気流が基板の上面に接しながら流れるように、外気流が案内することが好ましい。
【0030】
前記(2)に記載の発明によれば、周囲に広がる内気流が、洗浄液を好適に移動させることができる。
【0031】
(3)上述した発明において、液盛工程、薄膜化工程および乾燥工程はそれぞれ、その上面にレジストパターンが現れている基板を処理し、液盛工程および薄膜化工程では、基板上に盛られた洗浄液中にレジストパターンの全体が浸かっていることが好ましい。
【0032】
前記(3)に記載の発明によれば、液盛工程および薄膜化工程では倒壊力が生じないので、レジストパターンを好適に保護できる。
【0033】
(4)上述した発明において、洗浄工程、液盛工程及び薄膜化工程の全てが完了した後に乾燥工程を開始することが好ましい。
【0034】
前記(4)に記載の発明によれば、乾燥工程を、洗浄工程、液盛工程及び薄膜化工程のいずれとも同時に行わないので、乾燥工程に要する乾燥時間を一層短縮できる。
【発明の効果】
【0035】
この発明に係る基板洗浄乾燥方法および基板現像方法によれば、基板を短時間で乾燥できる。また、レジストパターンが倒れることを好適に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】実施例1に係る現像装置の概略構成を示すブロック図である。
図2図2(a)は気体ノズルおよび洗浄液ノズルの側面図であり、図2(b)は気体ノズルの平面図である。
図3】気体ノズルの内部構造を示す図である。
図4】現像装置による基板現像方法の手順を示すフローチャートである。
図5】基板現像方法の手順を示すタイミングチャートである。
図6図6(a)乃至図6(h)はそれぞれ基板に対する処理を模式的に示す図である。
図7】先行乾燥の説明図である。
図8】実施例2に係る現像装置の概略構成を示すブロック図である。
図9】基板現像方法の手順を示すタイミングチャートである。
図10】乾燥工程における処理を模式的に示す図である。
【実施例1】
【0037】
以下、図面を参照してこの発明の実施例1を説明する。
【0038】
1.現像装置の構成
図1は、実施例1に係る現像装置の概略構成を示すブロック図である。現像装置1は、露光済みのレジスト膜が表面に形成された基板(例えば、半導体ウエハ)Wを処理する。具体的には、現像装置1はこの基板Wを現像し、洗浄し、乾燥する。本明細書では、これら全体の処理を「基板現像方法」と呼び、洗浄および乾燥を特に「基板洗浄乾燥方法」と呼ぶ。
【0039】
現像装置1は、基板Wを略水平姿勢で保持するスピンチャック3を備えている。スピンチャック3スピンチャック3は基板Wの下面を吸着する。スピンチャック3は回転軸5を介してモータ7に連結されている。モータ7は回転軸5を回転駆動する。これにより、基板Wはその中心を通る略鉛直軸VA周りに回転する。
【0040】
スピンチャック3の周囲には飛散防止カップ11が配置されている。飛散防止カップ11は基板Wから飛散する現像液等を回収し、下方へ案内する。飛散防止カップ11の下部には排液管12と排気管13が接続されている。排液管12は回収された現像液等を飛散防止カップ11の外部に排出する。排気管13は飛散防止カップ11内の気体(ミストやパーティクルを含む)を外部に排出する。
【0041】
さらに、本装置1は、現像液ノズル15と洗浄液ノズル17と気体ノズル19を備えている。各ノズル15、17、19は、それぞれ現像液、洗浄液、気体を吐出する。洗浄液ノズル17と気体ノズル19とは一体に構成されている。洗浄液は例えば純水である。気体は例えば窒素ガスである。
【0042】
現像液ノズル15は現像液配管21を介して現像液供給源22に連通接続されている。現像液配管21の途中には開閉弁23が設けられている。現像液ノズル15は現像液ノズル移動機構24に支持されている。現像液ノズル移動機構24は、基板Wの中央部の上方に当たる処理位置と、基板Wの上方から外れた待機位置(図1において実線で示す位置)とにわたって現像液ノズル15を移動させる。
【0043】
洗浄液ノズル17は洗浄液配管25を介して洗浄液供給源26に連通接続されている。洗浄液配管25の途中には開閉弁27が設けられている。
【0044】
気体ノズル19は気体供給管31a、31bを介して気体供給源32a、32bにそれぞれ連通接続されている。気体供給源32a、32bは同種の気体(例えば窒素ガス)を供給する。気体供給管31aの途中には開閉弁33aが設けられ、気体供給管31bの途中には開閉弁33bが設けられている。
【0045】
気体ノズル19は、気体ノズル移動機構(以下、適宜に「移動機構」と略記する)34に支持されている。移動機構34は気体ノズル19を移動させる。具体的には、基板Wの中央部の上方に当たる処理位置(図1において点線で示す位置)と、基板Wの上方から外れた待機位置(図1において実線で示す位置)とにわたって気体ノズル19を移動させる。さらに、移動機構34は、処理位置にある気体ノズル19を上下方向に移動させて、気体ノズル19と基板Wとの間隔(離隔距離)を調整する。なお、洗浄液ノズル17は気体ノズル19と一体に移動する。
【0046】
図2(a)、(b)は、気体ノズルおよび洗浄液ノズルの側面図および平面図である。図3は、気体ノズルの内部構造を示す図である。
【0047】
図2(a)、(b)に示すように、気体ノズル19は略円筒形状であり、その中心軸CAが略垂直となるような姿勢で保持されている。平面視で気体ノズル19は基板Wよりも小さい。気体ノズル19は下部吐出口19a(図3参照)と側部吐出口19bとを有する。下部吐出口19aには気体供給管31aが連通接続され、側部吐出口19bには気体供給管31bが連通接続されている。
【0048】
図3を参照する。下部吐出口19aは気体ノズル19の下面に形成されている。下部吐出口19aは円形状である。下部吐出口19aの直径は数十mmであり、下部吐出口19aは比較的に大きい。下部吐出口19aは気体を略鉛直下方に吐出する。各図においては、下部吐出口19aから吐出される気体の流れを実線で模式的に示す。
【0049】
下部吐出口19aの上方には内部空間SIが形成されている。内部空間SIに洗浄液ノズル17が配置されている。洗浄液ノズル17は直管型(いわゆるストレートノズル)である。洗浄液ノズル17の先端(下端)の高さ位置は下部吐出口19aよりも高い。洗浄液ノズル17の先端には洗浄液を吐出する吐出口17aが形成されている。
【0050】
図2(a)を参照する。側部吐出口19bは気体ノズル19の側面(側部外周面)に形成されている。側部吐出口19bは周方向に細長く延びるスリットである。側部吐出口19bの幅(中心軸CA方向の長さ)は下部吐出口19aの直径に比べて小さい。側部吐出口19bの幅は例えば4mmである。側部吐出口19bは外周面の全周にわたって連なっている。すなわち、側部吐出口19bは環状である。側部吐出口19bは気体ノズル19の下端面より僅かに高い位置に配置されている。
【0051】
各図においては、側部吐出口19bから吐出された気体の流れを点線で模式的に示す。図示するように、側部吐出口19bは気体を略水平方向に吐出する。略水平方向は、水平方向又は斜め下方向を含む。図2(a)では、側部吐出口19bが斜め下方向に気体を吐出している場合を示す。斜め下方向は、例えば水平方向に対して下向きに約5度である。また、図2(b)に示すように、側部吐出口19bは、平面視で気体ノズル19の側部外周面を囲む全周囲(360度にわたる全方向)に気体を放出する。
【0052】
気体ノズル19は処理位置において気体を吐出する。ここで、下部吐出口19aから吐出された気体の流れを適宜に「内気流」と呼び、側部吐出口19bから吐出された気体の流れを適宜に「外気流」と呼ぶ。内気流、外気流および基板Wの位置関係は、以下の通りとなる。
【0053】
外気流は基板Wの上方を略水平方向に流れ、基板Wの上方を覆う。外気流は、平面視で基板Wの中央部から周縁部に向けて流れる。平面視において、外気流の向きは基板Wの径方向外方と略一致する。内気流は外気流と基板Wの間を流れる。具体的には、内気流は基板Wの上面の中央部に向かって流れ、中央部に当たる。その後、内気流は周囲に広がり、基板Wの周縁部の全周に到達する。
【0054】
さらに、本装置1は、上述した各構成を操作する制御部37を備えている。具体的には、モータ7を駆動して基板Wの回転を制御し、移動機構24、34を駆動して各ノズル15、17、19の位置を制御し、開閉弁23、27、33a、33bを開放・閉止させて現像液、洗浄液、気体の供給と停止を切り替える。制御部37は基板Wの処理に関する処理レシピ(処理プログラム)等を予め記憶しており、外部から基板Wの処理に関する命令等を受け付けることができる。そして、処理レシピ等や命令等に基づいて各構成を統括的に制御する。制御部37は、各種処理を実行する中央演算処理装置(CPU)や、演算処理の作業領域となるRAM(Random-Access Memory)や、各種情報を記憶する固定ディスク等の記憶媒体等によって実現されている。
【0055】
2.動作
次に、実施例に係る現像装置1の動作について説明する。
図4は、現像装置1による基板現像方法の手順を示すフローチャートである。図5は基板現像方法の手順を示すタイミングチャートである。図6は、基板に対する処理を模式的に示す図である。
【0056】
図4図5に示すように、基板現像方法は5つの工程からなり、1つの工程が完了すると、次の工程に進む。各工程は、前の工程の完了と同時に開始する。
【0057】
以下の説明では、既に、基板Wが、その表面を上にしてスピンチャック3に保持されているものとする。基板Wの表面には、図6(a)に示すように、露光済みのレジスト膜Rが被着されている。また、各部材の動作は基本的に制御部37の制御による。
【0058】
<ステップS1> 現像工程
現像液ノズル移動機構24は現像液ノズル15を処理位置まで移動させる。モータ7は基板Wを回転し、開閉弁23が開放する。現像液ノズル15は現像液Dを基板Wに吐出する。基板Wに供給された現像液Dは、基板Wの全面に広がる(図6(b)参照)。所定の期間が経過すると、基板Wの回転数を所定の回転数(例えば、0rpmまたは数十rpm)に低下させ、基板W上に現像液Dを盛る。開閉弁23が閉止し、現像液ノズル15は現像液Dの吐出を停止し、待避位置に移動する。現像液Dが基板W上に盛られた状態を、所定の時間が経過するまで維持する。現像液Dはレジスト膜Rの可溶性部位を溶解する。溶解により溶解生成物が生成される。
【0059】
<ステップS2> 洗浄工程
ノズル17、19が待避位置から処理位置に移動する。基板Wの回転数を、例えば1000rpmまで上昇させる。開閉弁27が開放し、洗浄液ノズル17は洗浄液Cを基板Wに吐出する。基板Wに供給された洗浄液Cは、基板W上の現像液Dや溶解生成物などを洗い流す。レジスト膜Rの可溶性部位も除去され、基板W上にレジストパターンP1乃至P4が現れる(図6(c)参照)。
【0060】
<ステップS3> 液盛工程
基板Wの回転数を低下させ、基板W上に洗浄液Cを盛る。本工程における基板Wの回転数は、例えば0rpmまたは数十rpmである。開閉弁27は閉止し、洗浄液ノズル17は洗浄液Cの供給を停止する。基板W上の洗浄液Cは、分離した複数のかたまり(液粒等)ではなく、単一のかたまり(液膜)であり、この液膜が基板Wの上面全体を覆っている。以下では、洗浄液Cの液膜を適宜に「液膜C」と記載する。液膜Cの厚さ(高さ)は例えば約2mmから約3mmであり、各レジストパターンP1乃至P4の高さに比べて十分に大きい。各レジストパターンP1乃至P4の全体は洗浄液C中に浸かる(図6(d)参照)。
【0061】
<ステップS4> 薄膜化工程
基板Wの回転数をやや上昇させる。本工程における基板Wの回転数は例えば約400rpmであり、回転時間は例えば約3秒以下である。これにより、基板W上に液膜Cが形成された状態を保ちつつ、基板W上の洗浄液Cの一部を捨て、液膜Cの厚さを薄くする。本工程は、例えば膜厚を約半分程度に減少させる。また、例えば膜厚を約1mm程度に減少させる。本工程後であっても、液膜Cの厚さは各レジストパターンP1乃至P4の高さに比べて十分に大きい。よって、各レジストパターンP1乃至P4の全体は依然として洗浄液C中に浸かっている(図6(e)参照)。
【0062】
<ステップS5> 乾燥工程
気体ノズル19が下降し、基板Wに近接する。これにより、例えば、気体ノズル19と基板Wとの離隔距離が約4mmとなる。基板Wの回転数をさらに上昇させる。開閉弁33a、33bが開き、気体ノズル19は下部吐出口19a及び側部吐出口19bから同時に気体を吐出する。
【0063】
側部吐出口19bは基板Wの中央部の上方から略水平方向に気体を吐出し、外気流を生成する。外気流は基板Wの上方を覆う。下部吐出口19aは、基板Wの中央部の上方から略鉛直下方に気体を吐出し、内気流を生成する。内気流は、基板Wの中央部に略垂直に入射する。
【0064】
基板Wの中央部における洗浄液Cは、内気流の衝突による力と基板Wの回転による遠心力を受け、周囲に移動し始める。基板Wの中央部におけるレジストパターンP2、P3の一部が露出する(図6(f)参照)。
【0065】
レジストパターンP2、P3の一部が洗浄液Cから露出すると、レジストパターンP2、P3を倒壊させようとする力が発生する。この力は洗浄液Cの表面張力等に起因する力であり、「応力」とも呼ばれる。以下の説明では、この力を便宜上「倒壊力」と呼ぶ。図6(f)の場合、レジストパターンP2、P3のみに対して倒壊力が生じ、レジストパターンP1、P4に対して倒壊力は生じていない。
【0066】
やがて、図6(g)に示すように、基板Wの中央部から洗浄液Cが除去され、中央部が乾燥領域となる。レジストパターンP2、P3の全部が露出すると、レジストパターンP2、P3に働く倒壊力も消滅する。
【0067】
内気流は、基板Wの中央部に当たった後、周囲に広がる。周囲に広がる内気流の上方においては外気流が略水平方向に流れている。外気流は、周囲に広がる内気流の高さ位置が低くなるように案内する。例えば、外気流は、周囲に広がる内気流を基板Wの上面に押さえ付けるように作用する。これにより、内気流は基板Wの表面に沿って基板Wの表面の近傍を流れ、基板Wの周縁端に達する。この周囲に広がる内気流が、基板W上の洗浄液Cをさらに周縁部に移動させる。基板Wの回転による遠心力は、この内気流の力を補い、洗浄液Cの移動を促進する。
【0068】
洗浄液Cの移動に伴って、乾燥領域は基板Wの中央部から同心円状に拡大する。そして、基板Wの周縁端まで移動した洗浄液Cが基板W外に捨てられることによって、基板W上から洗浄液Cが除去され、基板Wの全面が乾燥する(図6(f)乃至(h))。
【0069】
ここで、外気流と基板Wの周縁端との間には一定のクリアランスが形成されていることが好ましい。これによれば、内気流は、外気流と干渉せずに円滑に基板Wの周縁端に到達できる。
【0070】
周縁端まで達した内気流および外気流は、排気管13に吸引されることによってそれぞれ下方に向きを変え、基板Wよりも下方に向かって進む。
【0071】
乾燥工程における基板Wの回転数については、所定の上限値以下として、基板Wの周縁端をその内側よりも先に乾燥させないことが好ましい。
【0072】
図7を参照する。図7は、先行乾燥を説明する図である。図示するように、基板W上に洗浄液Cがまだ存在しているにも関わらず、基板Wの周縁端が先に乾燥している。このような先行乾燥は、基板Wの回転数が高すぎると起こる。先行乾燥が起こると、洗浄液Cが円滑に周縁端に移動できなくなり、ウォーターマーク等の発生を招き、基板処理の品質が低下する。
【0073】
上述した上限値は、基板Wの大きさ(直径を含む)が大きくなるに従って小さくなるように設定することが好ましい。これにより、先行乾燥を好適に防止できる。基板Wの直径が300mmの円形基板である場合、基板Wの回転数は例えば約2000rpm以下であることが好ましい。
【0074】
3.効果
このように、本実施例1によれば、乾燥工程は、内気流の力と遠心力とによって洗浄液Cを移動させる。さらに、基板Wを覆う外気流を形成し、この外気流と基板Wとの間に内気流が流れることによって、内気流は洗浄液Cを効果的に移動できる。よって、基板Wから洗浄液Cを速やかに除去でき、基板Wを短時間で乾燥できる。
【0075】
外気流は略水平方向に流れるので、略水平姿勢の基板Wを好適に覆うことができる。
【0076】
内気流は基板Wの上面に向かって流れ、基板W上の洗浄液Cに当たるので、洗浄液Cを積極的に移動できる。また、内気流は基板Wの中央部に当たるので、基板Wの中央部を最初に乾燥できる。さらに、内気流は、中央部に垂直に入射するので、洗浄液Cを基板Wの中央部から周縁部の全周に均一に移動できる。
【0077】
そして、内気流は、基板Wに当たった後、周囲に均一に(同心円状に)広がる。外気流は、周囲に広がる内気流が基板Wの上面付近を流れるように案内する。周囲に広がる内気流は基板W上の洗浄液Cの近傍を流れ、あるいは、基板W上の洗浄液Cに接しながら流れ、洗浄液Cを周縁部へ移動できる。
【0078】
さらに、平面視で基板Wの中央部から周縁部へ向かう外気流の向きは周囲に広がる内気流の向きと略同じであるので、外気流は内気流を円滑に案内できる。よって、洗浄液Cを周縁部へ一層好適に移動できる。
【0079】
これらの結果、乾燥領域は基板Wの中央部から全体に均一に拡大し、基板Wの全面を均一に乾燥できる。
【0080】
また、外気流は、さらに、ミストやパーティクル等を遮り、それらが基板Wに付着することを抑制できる。
【0081】
上述した外気流を、基板Wの中央部の上方から略水平方向に気体を吐出することによって生成する。同様に、内気流を、基板Wの中央部の上方から略鉛直下方に気体を吐出することによって生成する。このように、気流ごとに個別に、適切な位置から適切な方向へ気体を吐出することによって、外気流および内気流を好適に形成できる。
【0082】
また、上述した外気流および内気流を同時に生成する単一の気体ノズル19を備えているので、部品点数を削減できる。気体ノズル19は、下部吐出口19aおよび側部吐出口19bを有するので、2種の気流をそれぞれ好適に生成できる。
【0083】
また、乾燥工程では、図5の下段に明示するように、洗浄液Cや現像液D等を吐出せず、気体のみを吐出するので、気体の吐出量(各気流の流量)を容易に増大できる。よって、乾燥工程に要する時間を短縮できる。
【0084】
また、液盛工程を備えているので、レジスト膜Rが撥水性であっても、各レジストパターンP1乃至P4を洗浄液C内に確実に沈めることができる。これにより、乾燥工程の直前までレジストパターンP1乃至P4を倒壊力から保護できる。さらに、乾燥工程は上述したとおり短時間で基板Wを乾燥できるので、倒壊力が生じている期間を短くすることができる。よって、レジストパターンP1乃至P4が倒れることを好適に防止できる。
【0085】
また、薄膜化工程を備えているので、倒壊力を生じさせることなく基板W上に盛られた洗浄液(液膜)Cの量を低減できる。これにより、乾燥工程に要する乾燥期間を一層短縮できる。
【0086】
また、薄膜化工程では気体ノズル19から気体を供給しない。すなわち、遠心力のみによって基板Wに盛られた洗浄液Cの一部を除去する。よって、洗浄液Cの飛沫の発生量を抑制できる。
【実施例2】
【0087】
次に、図面を参照してこの発明の実施例2を説明する。
図8は、実施例2に係る現像装置の概略構成を示すブロック図である。なお、実施例1と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0088】
洗浄液ノズル17には、2種類の洗浄液を選択的に吐出する。2種類の洗浄液は表面張力の点で異なる。以下では、表面張力が比較的に高い一方の洗浄液を「洗浄液Ca」と呼び、他方の洗浄液を「洗浄液Cb」と呼ぶ。洗浄液Caは例えば純水であり、洗浄液Cbは例えば純水と界面活性剤を混合した溶液(「界面活性剤溶液」という)である。なお、洗浄液Ca、Cbを特に区別しない場合には、単に「洗浄液C」と記載する。
【0089】
洗浄液配管25はその途中で2本の分岐管25a、25bに分岐している。各分岐管25a、25bはそれぞれ洗浄液供給源26a、26bに連通接続されている。洗浄液供給源26a、26bはそれぞれ洗浄液Ca、Cbを供給する。各分岐管25a、25bの途中には開閉弁27a、27bがそれぞれ設けられている。
【0090】
2.動作
次に、実施例に係る現像装置1の動作について説明する。
図9は、現像装置1による処理の手順を示すフローチャートである。以下の説明では、既に、基板Wが、その表面を上にしてスピンチャック3に保持されているものとする。スピンチャック3基板Wの表面には、露光処理が施されたレジスト膜Rが被着されている。また、各部材の動作は基本的に制御部37の制御による。
【0091】
<ステップS11> 現像工程
基板Wに現像液を供給して基板Wを現像する。
【0092】
<ステップS12> 洗浄工程
現像後の基板Wに洗浄液Caを供給して基板Wを洗浄する。
【0093】
<ステップS13> 置換工程
基板Wに洗浄液Cbを供給して基板W上の洗浄液Caを洗浄液Cbに置換する。
【0094】
<ステップS14> 液盛工程
基板Wの回転数を低下させる。これにより、洗浄液Cbを基板W上に盛る。
【0095】
<ステップS15> 薄膜化工程
基板W上に盛られた洗浄液Cbの膜厚を薄くする。
【0096】
<ステップS16> 乾燥工程
基板Wを回転させ、外気流と内気流を形成する。本実施例では、さらに、気体ノズル19を処理位置(基板Wの中央部の上方)から移動させる。
【0097】
図10を参照する。図10は、乾燥工程における処理を模式的に示す図である。
【0098】
乾燥工程の初期では、気体ノズル19は処理位置に位置する。内気流は基板Wの中央部に当たる(図10(a)参照)。これにより、基板Wの中央部が最初に乾燥領域となる(図10(b)参照)。
【0099】
続いて、気体ノズル19は気体を吐出しながら、処理位置から略水平方向(例えば基板Wの半径方向)に移動する。内気流は中央部とは異なる領域に当り、この領域の洗浄液Cbを積極的に移動させる(図10(c)参照)。よって、この領域の乾燥が一層促進される。なお、気体ノズル19が移動した後も、外気流は基板Wの上方を覆っている。これにより、基板Wの全体がより短時間に乾燥する(図10(d)参照)。
【0100】
3.効果
このように、本実施例2によっても、基板Wを短時間で乾燥できる等といった実施例1と同様の効果を奏する。
【0101】
また、乾燥工程では、気体ノズル19が移動することによって、基板Wの中央部以外の領域を一層速やかに乾燥できる。この結果、基板Wの全体をより短時間に乾燥できる。。
【0102】
また、置換工程を備えているので、洗浄工程と液盛工程以降においてそれぞれ適した洗浄液Ca、Cbを使い分けることができる。例えば、洗浄工程では洗浄液Caとして純水を使用するので、洗浄処理の品質を高めることができる。また、液盛工程以降では洗浄液Cbとして界面活性剤溶液を使用するので、倒壊力の大きさ自体が小さくなる。また、より小さい力で界面活性剤溶液を移動できるので、基板Wから界面活性剤溶液をより速やかに除去でき、基板Wをより短時間で乾燥できる。よって、レジストパターンP1乃至P4の倒壊を一層抑制できる。
【0103】
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0104】
(1)上述した各実施例1、2では、現像工程は、基板Wに現像液を盛っていたが、これに限られない。現像工程は種々の方法に変更できる。例えば、現像工程が終了するまで現像液を吐出し続けてもよい。また、現像液ノズル15を基板Wの直径と略同等の長さを有するスリットノズルに変更してもよい。
【0105】
(2)上述した各実施例1、2では、単一の気体ノズル19が外気流及び内気流を生成したが、これに限られない。例えば、専ら外気流を生成する外気流用ノズルと、専ら内気流を生成する内気流用ノズルとを別個に備えてもよい。
【0106】
(3)上述した実施例1では1種類の洗浄液を使用し、実施例2では2種類の洗浄液を使用したが、これに限られない。例えば、3種類の洗浄液を使用してもよい。
【0107】
(4)上述した各実施例1、2および上記(1)から(3)で説明した各変形実施例については、さらに各構成を他の実施例の構成に置換または組み合わせるなどして適宜に変更してもよい。
【符号の説明】
【0108】
1 … 現像装置
15 … 現像液ノズル
19 … 洗浄液ノズル
19 … 気体ノズル
19a … 下部吐出口
19b … 側部吐出口
37 … 制御部
C、Ca、Cb … 洗浄液(液膜)
R … レジスト膜
P1、P2、P3、P4 … レジストパターン
W … 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10