(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記収納凹部の開口部は、平面視矩形状であり、該開口部の隅部近傍の、前記容器本体の側面には、前記蓋体を取り外すための凹部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の梱包容器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような梱包容器の収納凹部の底面に形成されたリブ状凸部は、容器本体の強度確保を目的とするため硬質であり、例えばレンコン、イモ類等の根菜類(不定形農産物)を直接入れて搬送する場合、リブ状凸部に根菜類の表面がスポット的に接触してこすれ、根菜類の表面にこすれ傷が発生することがあった。このようなこすれ傷により、根菜類の表面にしみのような変色が発生することがあった。根菜類の表面に変色が発生すると、根菜類の商品価値が下がるという問題が起こりうる。また、このような梱包容器に、長ねぎ等の茎菜類を梱包すると、梱包容器の移動中等に茎菜類が転がって表面に転がり傷が発生し、商品価値が下がるという問題が起こりうる。
【0006】
特に、上述した根菜類を容器本体の収納凹部に収納後、根菜類を保冷するためにクラッシュアイスを入れた場合、収納凹部の底面に接触した根菜類の表面にかかる荷重は、根菜類の自重に加えクラッシュアイスの自重も加わるため、上述した課題は顕著なものとなる。
【0007】
このような点を鑑みると、これまでのように、収納凹部の底面にリブ状凸部を設けず、収納凹部の底面を平坦面にすることが望ましいとも考えられるが、このような場合であっても、収納凹部の底面は根菜類や茎菜類の表面(曲面)に対して点接触または線接触するため、これらを拘束することができず、根菜類や茎菜類の表面にこすれ傷や転がり傷が生じてしまうことがある。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、レンコン、イモ類等の根菜類や長ねぎ等の茎菜類を梱包して搬送する際に、根菜類や茎菜類の表面を傷付けることなく搬送することができる梱包容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成すべく、本発明に係る梱包容器は、根菜類または茎菜類を収納する収納凹部が形成された容器本体と、該収納凹部の開口部に被着自在な蓋体とからなる梱包容器であって、前記容器本体の収納凹部の底面には、一方向に沿って複数の凸条が形成されており、該凸条は、前記根菜類または茎菜類を収納した状態で、該根菜類または茎菜類の形状に応じて変形可能となっていることを特徴としている。
【0010】
前記のごとく構成された本発明の梱包容器は、根菜類または茎菜類を容器本体の収納凹部に収納すると、根菜類や茎菜類は、収納凹部の底面に形成された複数の凸条の上に載置される。すると、複数の凸条は、根菜類や茎菜類の自重で押圧され、この押圧力により根菜類や茎菜類の形状に合わせて変形して根菜類や茎菜類を支持する。このため、根菜類や茎菜類の表面にはスポット的に大きな荷重が作用することがなくなり、根菜類や茎菜類は複数の凸条の変形した表面に応じた広い範囲で密着する(容器本体に対する根菜類または茎菜類表面の接触面積がこれまでのものに比べて増加する)。その結果、根菜類や茎菜類の表面にこすれ傷、転がり傷などの傷が付くことが抑えられ、これによる変色等も防止することができる。特に、根菜類を容器本体の収納凹部に収納後、根菜類を保冷するためにクラッシュアイスを入れた場合には、根菜類およびクラッシュアイスの自重により、複数の凸条は、根菜類の形状に応じてさらに変形するので、根菜類と複数の凸条との密着力はさらに増し、この結果、上述した効果を一層期待することができる。
【0011】
本発明でいう「根菜類の形状に応じて変形可能となっている」とは、根菜類または茎菜類を収納した状態で、少なくとも根菜類または茎菜類の自重により複数の凸条が変形するような材質および形状に構成されていることをいう。また、複数の凸条は、根菜類または茎菜類の形状に応じて変形し、上述した効果を期待することができれば、必ずしも凸条が弾性変形する必要はなく、凸条とともに凹部が弾性変形するものでもよい。なお、複数の凸条が弾性変形する場合には、根菜類または茎菜類を取り出したときに、その復元力により変形した複数の凸条がもとの形状に戻るため、梱包容器の再利用の観点から好ましい。
【0012】
また、本発明に係る梱包容器の好ましい具体的な態様としては、前記梱包容器は、長辺方向及び短辺方向を有する矩形状に形成され、前記複数の凸条は、前記長辺方向に沿って形成されている。このように構成された梱包容器では、長手方向を有する根菜類または茎菜類の形状に合わせて複数の凸条が形成されているため、根菜類または茎菜類を複数の凸条の長い面積で支持できるため接触圧が小さくなり、こすれ傷、転がり傷などの傷の発生をより抑えることができる。さらに長辺方向に沿って形成された複数の凸条により、梱包容器を持ち上げる際に、容器の長辺方向の撓みを抑えることができる。
【0013】
好ましい他の態様としては、前記複数の凸条が、前記収納凹部の開口部を覆う蓋体の裏面にもさらに形成されている。このように構成された梱包容器では、根菜類または茎菜類が梱包容器で搬送される際に、例えば移動中に梱包容器に衝撃が加わることにより根菜類や茎菜類が蓋体の裏面に接触したり、梱包時に根菜類または茎菜類が蓋体で容器本体内に押し込まれてその裏面に接触したりしても、収納凹部を覆う蓋体の裏面に形成された複数の凸条が根菜類または茎菜類の形状に応じて変形して吸収するため、表面に傷が付くことを防止できる。
【0014】
このような観点から、好ましい態様としては、前記収納凹部の開口部は、平面視矩形状であり、該開口部の隅部近傍の、前記容器本体の側面には、前記蓋体を取り外すための凹部が形成されている。このように構成された梱包容器では、容器本体の側面に形成された凹部に、例えば指を差し入れて蓋体を容易に取り外すことができる。特に、凹部が容器本体中心に対して偏位して形成されると、蓋体を持ち上げる際の蓋体の破損を防止でき、より容易に蓋体を取り外すことができる。
【0015】
さらに、本発明に係る梱包容器の好ましい具体的な他の態様としては、前記複数の凸条が、前記収納凹部の内側面に前記開口部から前記底面に沿って形成されている。このように構成された梱包容器では、根菜類または茎菜類が梱包容器内に収納されて搬送される際に、根菜類や茎菜類が収納凹部の内側面に接触しても、容器本体の内側面に開口部から底面に沿って形成された複数の凸条が根菜類や茎菜類の形状に応じて変形して吸収するため、根菜類や茎菜類の表面に傷が付くことを防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の梱包容器は、レンコン、イモ類等の根菜類または長ねぎ等の茎菜類を梱包して搬送する際に、根菜類や茎菜類の表面に傷付けることなく搬送することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る梱包容器の一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る梱包容器の分解状態の斜視図、
図2は、
図1の梱包容器を重ねる状態を示す斜視図である。
【0019】
図3(a)は
図1に示す梱包容器の蓋の平面図、(b)は(a)の右側面図、(c)は正面図、(d)は裏面図、(e)は(a)のA−A線断面図、(f)はB−B線拡大断面図、(g)はC−C線拡大断面図である。
【0020】
図4は、
図1の蓋体が嵌合する容器本体を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のD−D線断面図、(c)は(a)の正面図、(d)は(a)のE−E線断面図、(e)は(a)のF−F線矢視側面図であり、
図5は
図4(b)のG部要部拡大図である。
【0021】
図1,2において、本実施形態に係る梱包容器1は、不定形の農産物としてレンコンなどの根菜類または長ねぎなどの茎菜類を収納し、保管および運搬するための成型容器であり、必要に応じて保冷することもできる容器である。
図1に示すように、梱包容器1は、容器本体10及び蓋体30からなる。容器本体10及び蓋体30は、発泡樹脂からなり、たとえば、ポリスチレン、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−エチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等の各種合成樹脂の発泡体を用いることができる。
【0022】
中でも、ポリスチレンまたはスチレン改質ポリオレフィン系樹脂のビーズ発泡による成型体が好適に用いられる。スチレン改質ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂粒子にスチレン系単量体を含浸重合させて得られるものであり、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂の中でも、スチレン改質ポリエチレン樹脂が好ましく、例えば、スチレン成分の割合は40〜90重量%、好ましくは50〜85重量%、さらに好ましくは55〜75重量%のものが用いられる。
【0023】
また、ポリスチレンの発泡体の発泡倍率は30〜80倍が好ましい。本実施形態の梱包容器1で使用する発泡樹脂は、従来に比較して発泡倍率を高めに設定している。このように発泡倍率を高めることで、荷重が加わったときに従来の発泡倍率の場合と比較して、より潰れやすく緩衝効果に優れた構成となっている。
【0024】
図1〜5に示すように、容器本体10は、長辺方向及び短辺方向を有する平面視矩形状の形状であり、長辺および短辺からなる4つの壁部10a、10bにより、上方に開口した開口部11が形成されている。容器本体10の内部には、開口部(開口端部)11を介して、レンコン、イモ類等の根菜類や長ねぎ等のねぎ類を含む茎菜類を収納するための収納凹部12が形成されている。一例として挙げたレンコン、イモ類は太さや長さ、曲がり具合等の一定でない不定形の農産物である。
【0025】
平面視矩形状の容器本体10は、外周の4辺に沿って上方に立ち上がる長辺側の壁部10a、10a、短辺側の壁部10b、10bにより根菜類や茎菜類を収納する収納凹部12が形成される。容器本体10の底面から立ち上がる4つの壁部10a、10bの上部には、上面から凹んだ外周側の段差部13と、段差部13の内周側に上方に突出する嵌合凸部14が全周にわたって形成されている。嵌合凸部14は上面が平坦であり、この凸部の外周側の立ち上がり面と、内周側の立ち上がり面には断面円弧状に凹んだ嵌合凹条14a、14bが形成されている。外側の嵌合凹条14aと、内側の嵌合凹条14bは、同じ深さに形成されている。本実施の形態では、嵌合凹条の幅は4〜5mm程度、深さは1〜2mm程度に設定されている。
【0026】
容器本体10の収納凹部12の底面には、本実施形態では容器本体10の長辺方向(一方向)に沿って複数の凸条15が形成されている。この凸条15は断面が凹円弧と凸円弧とを連続した波状に形成されている。複数の凸条15は、収納凹部12内に根菜類や茎菜類が収納された時に弾性変形してへこんで根菜類や茎菜類との接触面積を大きくすることによりこれらの密着性を高めるとともに、運搬等で根菜類や茎菜類が移動した際に凸条15が変形して衝撃等を吸収する機能を有するものである。容器本体10を成形する際には、一般的に容器の底部の密度が高く傾向があるため、凸条15を設けることにより平坦面に比べて変形し易くすることができる。
【0027】
本実施形態では、凸条15の断面の円弧の曲率半径が5〜10mm(たとえば7.5mm)、ピッチが15〜20mm(たとえば18mm)に設定され、凸条15の本数は9本に設定され、凸条15の高さが2mm〜5mm(たとえば3mm)に設定されている。なお、このように設定された寸法は、上述した機能を満たすべく、梱包容器の材質および発泡倍率等に合わせて設定される。
【0028】
また、本実施形態では、このような円弧を組み合わせた凸条とすることにより、収納凹部12に収納された根菜類または茎菜類の表面に、スポット的な荷重が作用することを好適に回避することができるが、たとえば、凸条の頂部が円弧以外の湾曲した形状等であってもよい。
【0029】
収納凹部12の長辺側の壁部10aの内周側の側面(内側面)には、複数の凸条16,17が、収納凹部12の開口部11から底面に向かって(上下方向に沿って)形成されている。長辺方向に沿って形成される複数の凸条16は複数本の凸条が1セットとなって、複数セット形成され、各セットの間は平坦な側面となっている。本実施の形態では、長辺方向に沿った内側面には、4本の凸条16が2セットずつ形成され、中心部には3本の凸条16が1セット形成され、合計5セット形成されている。対向する側面にも、図示していないが、同様に複数の凸条16が形成されている。
【0030】
収納凹部12の短辺側の壁部10bの内周側の側面(内側面)にも、複数の凸条17が収納凹部12の開口部11から底面に向かって(上下方向に沿って)形成されている。複数の凸条17は短辺側の側面のほぼ全幅にわたって、上下方向に沿って形成され、本実施の形態では、9本の凸条17が形成されている。対向する短辺側の内側面にも、図示していないが、同様に複数の凸条17が形成されている。収納凹部12の側面に形成される複数の凸条16,17は、基本的には底面に形成される凸条15と同じ寸法に設定されているが、円弧の曲率半径、ピッチ、高さ、本数等は、根菜類または茎菜類の大きさおよび形状、梱包容器の寸法等に合わせて適宜設定される。
【0031】
このように収納凹部12が形成された容器本体10の開口部11に対し嵌合被着される蓋体30は、外周に沿って下方に立ち下がる壁部31が形成されている。この壁部31は外周側より外周縁部32、下方に向けて開口する溝部33、内周縁部34から構成されている。そして、外周縁部32の高さより内周縁部34の高さが大きく形成され、外周縁部32より内周縁部34が下方に突出している。外周縁部32の立ち下がる内周側の面と、内周縁部34の立ち下がる外周側の面には、断面円弧状の嵌合凸条32aと、嵌合凸条34aが対向して形成されている。この嵌合凸条32a、34aは、容器本体10の嵌合凹条14a、14bと対応し、同じ断面形状に形成されている。
【0032】
このように構成された蓋体30の外周縁部32、溝部33、内周縁部34に対して、容器本体10の段差部13と嵌合凸部14とが嵌合して、容器本体10の開口部11を蓋体30で塞ぐことができる構成となっている。具体的には、蓋体30の外周縁部32と内周縁部34との間の溝部33に、容器本体10の上方に突出する嵌合凸部14が挿入され、嵌合凸条32a、34aが嵌合凹条14a、14b内に嵌合し、両者が結合される構成となっている。
【0033】
また、蓋体30の裏面には、外周の下方に突出する壁部31の内周側の中央部の平坦面に、複数の凸条35が長辺方向に沿って形成されている。この複数の凸条35も、基本的には容器本体10の収納凹部12の底面に形成された複数の凸条15、側面に形成された複数の凸条16,17と同様に、凹円弧と凸円弧を連続して形成した波状であり、曲率半径、ピッチ、凹凸の高さは同じに設定され、短辺方向の側面に形成された複数の凸条17より多い10本の凸条で形成されている。
【0034】
このように梱包容器の容器本体10の底面および蓋体30の裏面には、複数の凸条15、35が、長辺方向に沿って形成されている。このように構成された梱包容器1では、長手方向を有する根菜類または茎菜類の形状に合わせて複数の凸条が形成されているため、根菜類または茎菜類を複数の凸条15,35の長い面積で支持できるため接触圧が小さくなり、こすれ傷、転がり傷などの傷の発生をより抑えることができる。
【0035】
また、容器本体10の長辺方向に沿って形成された複数の凸条15により、梱包容器1を持ち上げる際に、容器本体10の長辺方向の撓みを抑えることができる。さらに、蓋体30の長辺方向に沿って形成された複数の凸条35により、後述する蓋体30を容器本体から取り外す(嵌合状態を解除する)際の蓋体30の長辺方向の撓みを抑えることができる。
【0036】
蓋体30の裏面には、さらにエア抜きのスリット36が形成されている。このスリット36は、短辺側の外周辺の中心部に、長辺方向に沿って外周の壁部31の内周縁部34を貫通する形状に形成され、その幅は10mm程度に設定されている。このスリット36により、容器本体10に蓋体30を被せるとき、収納凹部12内の空気は途中段階で容器本体の嵌合凸部14を通過することができ、被着動作が容易となるものである。
【0037】
蓋体30の上面には、四隅に平面視略L字状の平坦な隆起部37が形成されている。この隆起部37は突出高さが4〜5mm程度に設定されている。一方、容器本体10の外周底面には、四隅に平面視略L字状の平坦な陥没部18が形成されている。この陥没部18も、深さは4〜5mm程度に設定され、蓋体30の上面の隆起部37と略同じ形状となっている。これらの隆起部37と陥没部18とは、容器本体10に蓋体30を被着した梱包容器1を上下方向に重ねておくとき(
図2参照)、上下方向に揃えることができるとともに、上下に位置する梱包容器1,1が位置決めされることにより、各々が単独で移動することを防止する機能がある。
【0038】
容器本体10は前記のように平面視矩形状であり、収納凹部12の入口である開口部11も平面視矩形状となっている。そして、矩形状の開口部11の隅部近傍の、容器本体10の短辺側の壁部10bには、蓋体30を取り外すための凹部19が形成されている。この凹部19は梱包容器1の容器本体10から蓋体30を外す時に、指をかけることができる凹部であり、凹部に指を差し入れて蓋体30の下面を上方に持ち上げ、蓋体30と容器本体10の嵌合を解除し、蓋体30を容器本体10から取り外すことができるものである。この凹部19は、短辺側の壁部の中心から側方にずらして形成されることで、ずらした側の蓋体30の隅部が持ち上がり、軽い力で嵌合を解除することができる。特に平板状の蓋体30はコーナー部分が弱いため、軽い力で持ち上げることで蓋体の破損を防止できる。
【0039】
また、容器本体10には、短辺側の壁部10bの下部に梱包容器1を持ち上げるための中央凹部20が形成されている。この中央凹部20は対向する反対側の壁部10bの下部にも凹んで形成され、収納凹部12内に根菜類や茎菜類が梱包された重い状態でも、傾くことなくバランス良く持ち上げることができるものである。
【0040】
前記の如く構成された本実施形態の梱包容器1の動作について以下に説明する。このように構成された梱包容器1を用いて、根菜類として、例えばレンコン等の根菜類を梱包する場合には、梱包容器1の容器本体10の開口部11を上方に向けた状態で、開口部11を介して収納凹部12に根菜類を一方向に揃えて収納する。すなわち、根菜類の長手方向と容器本体10の長辺方向をそろえて収納凹部12に収納する。
【0041】
根菜類は収納凹部12の底面に形成された複数の凸条15上に載置され、根菜類の外表面が接触する凸条15はへこんで(本実施形態の場合弾性変形して)、その荷重を支持する。このように、根菜類の表面は複数の凸条15の接触部がへこんで広い面積で支持される(容器本体10に対する根菜類表面の接触面積がこれまでのものに比べて増加する)。このため、容器底面により根菜類にスポット的に過大な荷重が作用することを防止でき、容器本体10の底面に対する根菜類の密着性が高まるので、根菜類の表面にこすれ傷などの傷が付きにくい状態で、根菜類を底面上に載置することができる。なお、弾性変形した複数の凸条15は、根菜類を取り出すことにより復元して元の状態に戻る。
【0042】
このような結果、根菜類の表面の傷に起因する変色等を防止することができ、商品価値を高めることができる。また、輸送中には、根菜類が揺れることがあるが、根菜類が側方に移動しても、収納凹部12の内周側面には複数の凸条16,17が形成されているため、輸送中の衝撃を緩和することができるため、傷の発生を抑えることができる。
【0043】
つぎに、容器本体10の開口部11を蓋体30で閉じる作業を、
図6〜10の図面を参照して以下に説明する。
図6は、蓋体と容器本体との嵌合部の離れた状態の要部断面図であり、
図7は
図6の蓋体と容器本体との嵌合動作状態を示す要部断面図である。
図8は、
図6の蓋体と容器本体とが嵌合した状態を示す要部断面図であり、
図9は、
図6の蓋体のエア抜き部と容器本体との位置関係を示す要部断面図である。
図10は、
図9の蓋体のエア抜き部と容器本体との動作状態を示す要部断面図である。
【0044】
具体的には、容器本体10の収納凹部12に根菜類を収納したあと、容器本体10の開口部11を蓋体30で閉じる。これにより、収納凹部12の開口部11は閉塞され、密封される。このときは、
図6に示すように、容器本体10の嵌合凸部14の上方に蓋体30の溝部33を位置させ、蓋体30を下方に移動させて嵌合凸部14の先端を溝部33に合わせる。
【0045】
このあと、
図7に示すように、蓋体30を下方に押し付けると、外周縁部32が外側に湾曲し、内側縁部34が内側に湾曲して溝部33が広がり、溝部33内に嵌合凸部14が挿入される。そして、嵌合凸部14が溝部33に完全に挿入されると、
図8に示すように、蓋体30側の嵌合凸条32a、34aが容器本体10の嵌合凹条14a、14bに合わさり、密着状態で容器本体10の開口部11が閉塞される。レンコン等の根菜類は、収納凹部12に収納される際にクラッシュアイスと一緒に収納されるが、容器本体10が蓋体30で密封されるため冷気が逃げず、保冷状態が安定する。
【0046】
その際、
図10に示されるように、容器本体10と蓋体30とが完全に嵌合状態となる直前まで、容器本体10の収納凹部12内の空気は空気抜き用のスリット36から外部へ逃げることができるため、蓋体30を容器本体10に容易に嵌合することができ、さらには、蓋体30を被せる際に蓋体の上面が内部空気で膨らんで湾曲することを防止できる。この結果、梱包容器1を上下に重ねて保管する場合等に、保管状態が安定する。
【0047】
さらに、本実施形態の場合には、複数の凸条35が、蓋体30の裏面にもさらに形成されているので、根菜類が梱包容器1で搬送される際に、例えば移動中に梱包容器に衝撃が加わることにより根菜類が蓋体30の裏面に接触しても、蓋体30の裏面に形成された複数の凸条35が根菜類の形状に応じて変形して、その衝撃を吸収するため、根菜類表面に傷が付くことを防止できる。レンコン等の根菜類の代わりに、長ねぎ等ねぎ類を含む茎菜類を収納した場合でも、容器本体10の底面に形成された複数の凸条15、内側面に形成された複数の凸条16,17により、前記の作用効果を達成することができる。
【0048】
また、梱包容器1,1が上下に重ねて保管されたとき、容器本体10の底面近傍に形成された中央凹部20に指をかけて、梱包容器1を容易に持ち上げることができる。さらに、開梱時に、蓋体30が被着された容器本体10から蓋体30を外すときは、容器本体10の上部の蓋体接触面の中央からずらして形成された凹部19に指を差し入れ、蓋体30を上方に引き上げることで、蓋体30の隅部を容易に引き上げることができ、蓋体30の取り外しが容易に行え、被収納物を容易に取り出すことができる。
【0049】
すなわち、従来から、たとえば、レンコン等の夏季における流通では、品質保持のためのクラッシュアイスの追加、入れ替えのため、蓋体の開閉を行う必要があるが、この際、上述した嵌合構造では、蓋体30の開閉が固いと蓋体に割れが生じやすく、割れ等の破損が生じた場合には収容物の入れ替え等の時間がかかり、梱包容器の継続使用が不可能となる問題があった。
【0050】
ここで、凹部19が短辺側の壁部10bの中心に形成されていると、蓋体30の短辺側の中心を持ち上げるため、短辺側の全幅で嵌合する嵌合凸条14a、14bと嵌合凹条32a、34aとを外すには大きな力が必要であり、蓋体30は中心部で割れる可能性があるが、本実施の形態では、凹部19は中心よりずらして形成されているため、ずらした側の蓋体30を斜めの状態で持ち上げることができ、持ち上げる力が小さくて済み、割れを防止して容易に蓋体30を取り外すことができる。
【0051】
図11は、本実施形態の梱包容器に根菜類を収納するときの動作説明図であり、(a)は底面に形成した複数の凸条の断面図、(b)は接触したときの変形断面図、(c)は底面に形成した複数の凸条に根菜類が接触したときの変形断面図、(d)は側面に形成した複数の凸条の変形断面図であり、根菜類としてレンコンを梱包する動作を説明するための図である。
【0052】
梱包容器1の容器本体10の開口部11から収納凹部12にレンコン2を収納後、クラッシュアイス(図示せず)をさらに収納すると、レンコン2およびクラッシュアイスの自重により容器本体の底面に形成された複数の凸条15は弾性変形して下方に潰れた凸条15aとなる(
図11b参照)。この結果、レンコン2は広い接触面積で収納凹部12の底面と接触する。容器本体10の発泡樹脂は、従来と比較して発泡倍率を高く設定しており、より変形しやすい材質であるため、自重を広い面積を負担することができるため、スポット的な大荷重がレンコン2の表面に作用せず、これらの密着性を高めることができる。このため、レンコン2に表面の傷付きを防止することができる。
【0053】
この状態を長辺方向の断面図(
図11c参照)でみると、長辺方向に沿って形成された複数の凸条15はレンコン2の自重でへこみ、凸条15が潰れた凸条15aとなって、レンコン2を広い面積で支持することができる。この断面図で分かるように、レンコン2の形状や凹凸状態、曲がり具合等によって、複数の凸条15の部分だけでなく、凹んだ凹部分でも弾性変形してレンコン2を支持するため、レンコン2の表面に加わる荷重を面接触させることで分散させることができるのである。
【0054】
また、梱包容器1の収納凹部12に収納され、梱包されたレンコン2等の根菜類を搬送するときは、移動中の振動で根菜類が水平方向に移動しても、長辺方向の壁部10aの内側面に開口部11から底面に沿って形成された複数の凸条16や、短辺方向の壁部10bの内面に形成された複数の凸条17、上述した蓋体の裏面の複数の凸条35により、根菜類の移動による衝撃が緩衝されるため、茎菜類の表面への傷付きを防止することができる。
【0055】
たとえば、レンコン2の側面が、収納凹部12の内側面に形成された複数の凸条16に接触すると、接触された凸条16は弾性変形して押し込まれて潰れた凸条16aとなり(
図11d参照)、それによりエネルギーが吸収されるとともに、接触面積が広がりスポット的に大きい荷重が作用することを防止できる。この結果、レンコン2の表面に傷が付くことを防止でき、変色等の不具合を解消することができる。
【0056】
図11において、不定形の農産物として、レンコンを収納、梱包する例を示したので、レンコンの長手方向のくびれに合わせて収納凹部の長辺方向の側面には複数の凸条を並べたセットを間隔をあけて複数セット形成する例を示したが、長手方向にくびれのない根菜類を収納する場合は、複数の凸条を連続して形成することが好ましい。また、レンコン等の根菜類の他に、長ねぎ等の茎菜類を収納する場合にも適用できることは勿論である。
【0057】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【0058】
一般的に収納される根菜類の種類によってその形状や重量が概ね決まるため、容器本体の収納凹部の内面や蓋体の裏面に形成される複数の凸条は、収納される根菜類の形状および自重等によって変更することができる。
【0059】
梱包容器として、外形が平面視矩形状で、収納凹部の平面形状が矩形状の容器の例を示したが、これに限られるものでなく、外形の平面視が矩形状で、収納凹部の平面視が円形や、楕円形等の形状のものでもよい。例えば、円形状の収納凹部内にその他の根菜類を梱包する場合にも、本発明を適用できることは当然である。
【0060】
また、本実施形態では、容器本体の底面および内側面に形成された複数の凸条、および、蓋体の裏面に形成された複数の凸条は弾性変形可能なように構成され、これにより、容器本体および蓋体が再利用可能となっていたが、これらの複数の凸条は、上述した効果を期待することができるのであれば、必ずしも弾性変形する必要はない。
【0061】
さらに、本実施形態では、容器本体10の底面に形成された複数の凸条15、蓋体30の裏面に形成された複数の凸条35は長辺方向(長手方向)に沿って形成され、容器本体10や蓋体30の強度を向上させるものであるが、収納されるものが軽量の場合、あるいは強度が要求されない場合は凸条の方向は長辺方向でなく短辺方向でもよく、また、斜め方向等、適宜選択できるものである。