特許第6111191号(P6111191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6111191
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】台間装置及び遊技システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20170327BHJP
【FI】
   A63F7/02 328
   A63F7/02 352F
【請求項の数】4
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-270505(P2013-270505)
(22)【出願日】2013年12月26日
(62)【分割の表示】特願2009-7028(P2009-7028)の分割
【原出願日】2009年1月15日
(65)【公開番号】特開2014-140695(P2014-140695A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2013年12月26日
【審判番号】不服2015-22865(P2015-22865/J1)
【審判請求日】2015年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】東 千絵
(72)【発明者】
【氏名】春名 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】福永 省三
(72)【発明者】
【氏名】岡山 享平
(72)【発明者】
【氏名】松崎 剛
【合議体】
【審判長】 長崎 洋一
【審判官】 加舎 理紅子
【審判官】 小島 寛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−237554号公報
【文献】 特開2006−55296号公報
【文献】 特開2006−280430号公報
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技台に対応して設けられ、遊技客が獲得した獲得遊技媒体及びプリペイド価値の関連付けが可能な記録媒体を受け付け、前記遊技台において前記獲得遊技媒体に基づく遊技媒体を使用可能にする使用可能化処理及び前記プリペイド価値に基づく遊技媒体の使用可能化処理を行う台間装置であって、
前記獲得遊技媒体に関する情報を管理する管理装置と通信を行う通信手段と、
前記通信手段による前記管理装置との通信状態がオンラインであるかオフラインであるかを検出する通信状態検出手段と、
前記記録媒体を受け付けて、前記記録媒体に関連付けられた獲得遊技媒体の数を特定するための獲得遊技媒体数特定情報を、前記管理装置が管理している情報あるいは前記記録媒体に記録されている情報から取得し、記憶する獲得遊技媒体数特定情報記憶手段と、
前記獲得遊技媒体数特定情報記憶手段に記憶された情報を更新しつつ、対応する遊技媒体を前記遊技台において使用可能にする使用可能化処理手段と、
前記記録媒体の返却指示を受け付けた場合に、前記通信状態検出手段によって検出された通信状態と、前記使用可能化処理手段による使用可能化処理を反映した獲得遊技媒体数とを特定可能な情報を記録した前記記録媒体を返却処理する返却処理手段と
を備え、
前記獲得遊技媒体数特定情報記憶手段は、前記管理装置との通信状態がオンラインでありかつ前記記録媒体に記録された情報から特定した前記通信状態がオフラインを示すものである場合、及び、前記管理装置との通信状態がオフラインである場合には、前記記録媒体に記録された情報に基づいて、獲得遊技媒体数特定情報を記憶して、前記使用可能化処理手段による使用可能化処理を可能にする
ことを特徴とする台間装置。
【請求項2】
前記記録媒体に関する処理履歴を記憶する履歴記憶手段をさらに備え、
前記通信状態検出手段により検出される状態がオフラインからオンラインに復帰したことを条件として、前記履歴記憶手段に記憶された処理履歴を前記通信手段により前記管理装置に送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の台間装置。
【請求項3】
遊技台に対応して設けられ、遊技客が獲得した獲得遊技媒体及びプリペイド価値の関連付けが可能な記録媒体を受け付け、前記遊技台において前記獲得遊技媒体に基づく遊技媒体を使用可能にする使用可能化処理及び前記プリペイド価値に基づく遊技媒体の使用可能化処理を行う台間装置と、前記台間装置と通信可能に設けられ、前記獲得遊技媒体及びプリペイド価値に関する情報を管理する管理装置とを有する遊技システムであって、
前記台間装置は、
前記管理装置と通信を行う通信手段と、
前記通信手段による前記管理装置との通信状態がオンラインであるかオフラインであるかを検出する通信状態検出手段と、
前記記録媒体を受け付けて、前記記録媒体に関連付けられた獲得遊技媒体の数を特定するための獲得遊技媒体数特定情報を、前記管理装置が管理している情報あるいは前記記録媒体に記録されている情報から取得し、記憶する獲得遊技媒体数特定情報記憶手段と、
前記獲得遊技媒体数特定情報記憶手段に記憶された情報を更新しつつ、対応する遊技媒体を前記遊技台において使用可能にする使用可能化処理手段と、
前記記録媒体の返却指示を受け付けた場合に、前記通信状態検出手段によって検出された通信状態と、前記使用可能化処理手段による使用可能化処理を反映した獲得遊技媒体数とを特定可能な情報を記録した前記記録媒体を返却処理する返却処理手段と
を備え、
前記管理装置は、
前記台間装置から受信した情報に基づいて、前記獲得遊技媒体に関する情報を更新する情報更新手段を備え、
前記獲得遊技媒体数特定情報記憶手段は、前記管理装置との通信状態がオンラインでありかつ前記記録媒体に記録された情報から特定した前記通信状態がオフラインを示すものである場合、及び、前記管理装置との通信状態がオフラインである場合には、前記記録媒体に記録された情報に基づいて、獲得遊技媒体数特定情報を記憶して、前記使用可能化処理手段による使用可能化処理を可能にする
ことを特徴とする遊技システム。
【請求項4】
前記台間装置は、
前記記録媒体から取得した前記通信状態と、前記記録媒体が正当であることを確認するための所定の数値を前記通信手段により前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、
前記通信状態がオフラインを示している場合に、前記数値が所定の条件を満たすか否かを判定する正当性判定手段をさらに備えた
ことを特徴とする請求項3に記載の遊技システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、有価価値となる現金(紙幣)または遊技用記録媒体を受け入れて遊技機に対して、遊技媒体を使用可能にするための台間装置及び遊技システムに関し、特に、遊技用記録媒体に記録される識別情報と対応付けて遊技客が獲得した遊技媒体を記憶管理する管理装置に接続され、前記管理装置との通信が不可能である場合であっても、遊技客が獲得した遊技媒体または遊技用記録媒体に基づいて遊技媒体を使用可能にする処理を行う台間装置及び遊技システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、パチンコ玉やメダル等の遊技媒体を払い出す払出処理機(以下、「台間装置」と記載する)が知られている(たとえば、特許文献1参照)。かかる台間装置は、挿入された現金(紙幣)または遊技用記録媒体(以下、単に「カード」と記載する)に対応付けられた価値に基づいて遊技媒体を払い出す。
【0003】
また、遊技台において遊技客が獲得した遊技媒体(以下、「持ち玉」と記載する)の数量を各台間装置と接続された計数部が計数し、計数値をカードに対応付けておく、いわゆる各台計数方式も知られてきた。
【0004】
かかる台間装置に挿入されるカードに対応付けられたプリペイド価値の残額または持ち玉の残数(以下、「有価価値」と記載する)は、台間装置と通信接続される管理装置にてカードの識別子(カードID)と対応付けて管理される。
【0005】
このように、カードの有価価値管理は、台間装置の上位装置である管理装置にて行われているので、何らかの原因で台間装置と管理装置間の通信が途絶した状態(オフライン状態)に陥った場合には有価価値管理を行うことができない。
【0006】
このため、オフライン中には、低額紙幣(例えば、千円札)のみを受け付けて、その価値に相当する遊技媒体を一括して払い出す払出システム(特許文献2参照)を利用することで、少なくとも低額紙幣だけは使えるような運用(縮退運用)をしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−140394号公報
【特許文献2】特開2005−7016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
また、上記した従来技術に代表される台間装置では、オフライン状態になった場合あるいはオンライン復旧時に、台間装置毎に遊技店の係員が、オフライン移行処理またはオンライン復旧処理を行う必要があった。
【0009】
したがって、オフライン移行処理を行う場合には、運用を一定時間停止することとなり、遊技客はカードに対応付けられた価値、たとえば、遊技客が獲得した遊技媒体の残数が対応付けられたカードを持って遊技台を移動することができないだけでなく、遊技自体の中断を余儀なくさせられてしまうという問題があった。
【0010】
さらに、オフライン移行処理時は、挿入されたカードに対応付けられた遊技媒体数が不明確となることが考えられるという問題もあった。
【0011】
そこで、台間装置と管理装置間の通信がオフライン状態に陥った場合であっても、台間装置に挿入されるカードに関連付けられた遊技媒体を管理することができ、継続して、カードによって遊技客が遊技することができる遊技システムをいかにして実現するかが大きな課題となっている。
【0012】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであって、オンライン/オフライン遷移時における遊技店側の作業負荷を過度に必要としないとともに、台間装置と管理装置間の通信がオフライン状態に陥った場合であっても、台間装置に挿入されるカードに関連付けられた遊技媒体を管理することができる台間装置及び遊技システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、遊技台に対応して設けられ、遊技客が獲得した獲得遊技媒体及びプリペイド価値の関連付けが可能な記録媒体を受け付け、前記遊技台において前記獲得遊技媒体に基づく遊技媒体を使用可能にする使用可能化処理及び前記プリペイド価値に基づく遊技媒体の使用可能化処理を行う台間装置であって、前記獲得遊技媒体に関する情報を管理する管理装置と通信を行う通信手段と、前記通信手段による前記管理装置との通信状態がオンラインであるかオフラインであるかを検出する通信状態検出手段と、前記記録媒体を受け付けて、前記記録媒体に関連付けられた獲得遊技媒体の数を特定するための獲得遊技媒体数特定情報を、前記管理装置が管理している情報あるいは前記記録媒体に記録されている情報から取得し、記憶する獲得遊技媒体数特定情報記憶手段と、前記獲得遊技媒体数特定情報記憶手段に記憶された情報を更新しつつ、対応する遊技媒体を前記遊技台において使用可能にする使用可能化処理手段と、前記記録媒体の返却指示を受け付けた場合に、前記通信状態検出手段によって検出された通信状態と、前記使用可能化処理手段による使用可能化処理を反映した獲得遊技媒体数とを特定可能な情報を記録した前記記録媒体を返却処理する返却処理手段とを備え、前記獲得遊技媒体数特定情報記憶手段は、前記管理装置との通信状態がオンラインでありかつ前記記録媒体に記録された情報から特定した前記通信状態がオフラインを示すものである場合、及び、前記管理装置との通信状態がオフラインである場合には、前記記録媒体に記録された情報に基づいて、獲得遊技媒体数特定情報を記憶して、前記使用可能化処理手段による使用可能化処理を可能にすることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記の発明において、前記記録媒体に関する処理履歴を記憶する履歴記憶手段をさらに備え、前記通信状態検出手段により検出される状態がオフラインからオンラインに復帰したことを条件として、前記履歴記憶手段に記憶された処理履歴を前記通信手段により前記管理装置に送信することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、遊技台に対応して設けられ、遊技客が獲得した獲得遊技媒体及びプリペイド価値の関連付けが可能な記録媒体を受け付け、前記遊技台において前記獲得遊技媒体に基づく遊技媒体を使用可能にする使用可能化処理及び前記プリペイド価値に基づく遊技媒体の使用可能化処理を行う台間装置と、前記台間装置と通信可能に設けられ、前記獲得遊技媒体及びプリペイド価値に関する情報を管理する管理装置とを有する遊技システムであって、前記台間装置は、前記管理装置と通信を行う通信手段と、前記通信手段による前記管理装置との通信状態がオンラインであるかオフラインであるかを検出する通信状態検出手段と、前記記録媒体を受け付けて、前記記録媒体に関連付けられた獲得遊技媒体の数を特定するための獲得遊技媒体数特定情報を、前記管理装置が管理している情報あるいは前記記録媒体に記録されている情報から取得し、記憶する獲得遊技媒体数特定情報記憶手段と、前記獲得遊技媒体数特定情報記憶手段に記憶された情報を更新しつつ、対応する遊技媒体を前記遊技台において使用可能にする使用可能化処理手段と、前記記録媒体の返却指示を受け付けた場合に、前記通信状態検出手段によって検出された通信状態と、前記使用可能化処理手段による使用可能化処理を反映した獲得遊技媒体数とを特定可能な情報を記録した前記記録媒体を返却処理する返却処理手段とを備え、前記管理装置は、前記台間装置から受信した情報に基づいて、前記獲得遊技媒体に関する情報を更新する情報更新手段を備え、前記獲得遊技媒体数特定情報記憶手段は、前記管理装置との通信状態がオンラインでありかつ前記記録媒体に記録された情報から特定した前記通信状態がオフラインを示すものである場合、及び、前記管理装置との通信状態がオフラインである場合には、前記記録媒体に記録された情報に基づいて、獲得遊技媒体数特定情報を記憶して、前記使用可能化処理手段による使用可能化処理を可能にすることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記の発明において、前記台間装置は、前記記録媒体から取得した前記通信状態と、前記記録媒体が正当であることを確認するための所定の数値を前記通信手段により前記管理装置に送信し、前記管理装置は、前記通信状態がオフラインを示している場合に、前記数値が所定の条件を満たすか否かを判定する正当性判定手段をさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、オフライン状態に陥った場合であっても、継続して、カードによって遊技客が遊技することができるとともに、台間装置に挿入されるカードに関連付けられた遊技媒体を管理することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明にかかる遊技媒体払出システムの概要を示す図である。
図2】本実施例にかかる店内システムのシステム構成図である。
図3】本実施例にかかる遊技媒体払出システムの構成を示すブロック図である。
図4】個別履歴情報を示す図である。
図5】カード管理情報を示す図である。
図6】本実施例にかかるカードの挿入時処理手順を示すシーケンス図である。
図7】本実施例にかかるカードの挿入時処理手順を示すシーケンス図である。
図8】本実施例にかかるカードの挿入時処理手順を示すシーケンス図である。
図9】本実施例にかかるオンライン中の処理手順を示すシーケンス図である。
図10】本実施例にかかるオンライン中の処理手順を示すシーケンス図である。
図11】本実施例にかかるオフライン移行処理手順を示すシーケンス図である。
図12】本実施例にかかるオフライン移行処理手順を示すシーケンス図である。
図13】本実施例にかかるオンライン復旧処理手順を示すシーケンス図である。
図14】本実施例にかかるオンライン復旧処理手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる台間装置及び遊技システムの好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明にかかる遊技システムの概要について図1を用いて説明した後に、本発明にかかる遊技システムについての実施例を図2図7を用いて説明することとする。また、ここでは、本発明をパチンコ遊技に適用する場合について説明することとする。
【0020】
パチンコ玉を払い出す台間装置は、挿入された紙幣または遊技用記録媒体(以下、「カード」と記載する)に対応付けられた価値に基づいてパチンコ玉を払い出す。台間装置に挿入されるカードに対応付けられたプリペイド価値の残額または遊技客が獲得した持ち玉の残数(以下、「有価価値」と記載する)は、台間装置と通信接続される管理装置にてカードの識別子(カードID)と対応付けて管理される。
【0021】
しかし、何らかの原因で台間装置と管理装置間の通信が途絶した状態(オフライン状態)に陥った場合には、有価価値の記憶管理を行うことができないため、台間装置では、カードおよび高額紙幣での払出処理ができなくなってしまっていた。
【0022】
そこで、今回の本発明にかかる遊技媒体払出システムでは、台間装置と管理装置間がオフラインになった場合であっても、遊技客がこれまで通りに、カードおよび持ち玉によって遊技を行うことができる点に主たる特徴がある。
【0023】
図1は、本発明にかかる遊技媒体払出システムの概要を示す図である。同図上部に示すように、パチンコ店には、有価価値情報をデータベースに記憶して各台間装置に挿入されたカードの残額を管理している管理装置と、島コントローラ経由で各台間装置とが接続されている。
【0024】
ここで、島コントローラとは、周囲を通路に囲まれたスペース(遊技島)に設けられた一群の台間装置および図示しないパチンコ機を束ねる中継装置であり、管理装置と複数台の島コントローラとが、それぞれ接続されている。
【0025】
通常時、すなわち、台間装置と管理装置との通信状態が正常であるオンライン中は、台間装置では、挿入されたカードの残額、パチンコ玉の払出処理を行う際の出金情報および紙幣の入金情報等の取引履歴を管理装置へ送信して、管理装置側で有価価値情報として記憶管理している。
【0026】
ところが、台間装置と管理装置との通信が途絶した状態になった、つまりオフラインの状態になった際に(同図の(1)参照)、たとえば、台間装置Bにカードが挿入された場合(同図の(2)参照)について説明する。
【0027】
この場合、台間装置Bでは、パチンコ玉の払出処理や入金が行われた際に、台間装置Bに備えるデータベース等の記憶部に、カードの残額および取引履歴を記憶する(同図の(3)参照)ことで、カードの返却をすることなく、払出処理を続行することができる。
【0028】
さらに、台間装置Bで、カード返却を要求する操作が行われた後、オンライン中である島コントローラBに接続されている台間装置Cに対応するパチンコ機に移動して、返却されたカードを用いて遊技をすることができる(同図の(4)参照)。
【0029】
また、オフライン中である島コントローラAに接続されている台間装置Aに対応するパチンコ機であっても、返却されたカードを用いて遊技をすることができる(同図の(4)’参照)。
【0030】
なお、図1に示したネットワーク環境で遊技客が利用可能なカードの種別としては、台間装置に内蔵された内蔵カード(一般遊技者用カード)、遊技客が紙幣を用いて遊技した際の残額保持用のプリペイドカード、遊技店の会員に対して発行される会員カードがあげられる。
【0031】
このように、オンライン/オフライン遷移時における遊技店側の作業負荷を必要としないとともに、台間装置と管理装置間の通信がオフライン状態に陥った場合であっても、台間装置に挿入される紙幣またはカードの有価価値を管理することができ、オンライン状態と同等の遊技環境を遊技客に対して提供することができる。以下では、本発明にかかる遊技媒体払出システムについての実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0032】
まず、本実施例にかかる遊技店の店内システムのシステム構成について説明する。図2は、本実施例にかかる店内システムのシステム構成図である。同図に示すように、遊技店に設置された管理装置20には、LAN(Local Area Network)等のネットワーク経由で、島コントローラ30と、精算機50と、景品管理装置60と、会員カード端末機65と、会員管理用ターミナルコントローラ(以下、「会員管理T/C」と記載する)70とが接続されている。
【0033】
また、島コントローラ30には、台間装置10と、パチンコ機40とが接続されている。なお、同図には、1台の島コントローラ30のみを示しているが、管理装置20には所定数の島コントローラ30が接続されるものとする。
【0034】
台間装置10は、島コントローラ30と各パチンコ機40との間に介在し、ひとつの島コントローラ30に対して、所定数の台間装置10が接続されるものとする。
【0035】
管理装置20は、有価価値情報を管理装置20が備える図示しないデータベースに記憶して、カードの残額を管理している。島コントローラ30は、周囲を通路に囲まれたスペース(遊技島)に設けられた一群のパチンコ機40および台間装置10を束ねる中継装置である。
【0036】
パチンコ機40は、パチンコ玉を遊技領域に発射して遊技客がパチンコ遊技を行う装置であり、本実施例では、カード対応のパチンコ機であるものとしている。精算機50は、カードの残額が残っているカードが挿入されたら、残額に相当する現金の払出を行い、カードの精算を行う。
【0037】
景品管理装置60は、遊技店内の景品交換カウンタに配設された景品交換用の端末装置であり、図示しない交換玉数管理情報を用いて獲得玉と景品との交換を管理する。この交換玉数管理情報は、景品ごとにその景品との交換に要する交換玉数を対応付けて記憶している。
【0038】
また、遊技客は、景品交換カウンタへカードを持参し、景品管理装置60に併設された会員カード端末機65にカードをかざしたり挿入したりすることで、計数値に応じた景品を受け取ることができる。その際、景品交換カウンタ内の従業員が、遊技客により指定された景品に対応する交換ボタンを押下し、景品管理装置60は、当該景品に相当する交換玉数を獲得玉から減算する交換制御を実行させ、その後に従業員による手作業で遊技客に受け渡す。
【0039】
会員管理T/C70は、会員に登録した遊技客に会員カードを発行し、発行するカードに記憶される図示しない会員管理情報を用いて遊技店に登録された会員の統括管理を行う管理装置である。この会員管理情報は、会員番号に対応付けてプリペイド価値の残額または遊技客が獲得した持ち玉の残数等を記憶している。
【0040】
このように、遊技店には、会員をはじめ遊技客に対してサービスを提供するシステムとして、会員カードを取り扱う店内機器(例えば、台間装置10や景品管理装置60等)とこれらの店内機器を管理する会員管理T/C70とを含んで構成される会員管理システム、そして、カードを取り扱う店内機器(例えば、台間装置10や精算機50等)を含んで構成されるカードシステム、さらには、遊技台の台データを取り扱う店内機器(例えば、台間装置10やパチンコ機40等)を含んで構成されるシステムが併存している。
【0041】
つづいて、本実施例にかかる遊技媒体払出システムを構成する各装置の構成を、図3を用いて説明する。図3は、本実施例にかかる遊技媒体払出システムの構成を示すブロック図である。
【0042】
同図に示すように、本実施例における遊技媒体払出システムは、台間装置10と、管理装置20とから構成される。なお、同図には、1台の台間装置10のみを示しているが、管理装置20には所定数の台間装置10が図示しない島コントローラ30経由で接続されるものとする。
【0043】
まず、台間装置10の構成について説明する。台間装置10は、カード保持部11と、記憶部12と、通信I/F13と、制御部14と、紙幣処理部15とを備える。また、制御部14は、通信モード検出部14aと、切替部14bと、通常処理部14cと、個別履歴生成部14dと、復旧指示部14eとをさらに備えており、記憶部12は、個別履歴情報12aを記憶する。
【0044】
カード保持部11は、台間装置10に内蔵されるカードを保持する。このカード保持部11は、カードが挿入された場合には、このカードを保持する処理を併せて行う。なお、カード保持部11は、制御部14からカード返却の指示を受けた場合に、挿入された紙幣の残額および通信モードをカードへ関連付けたうえで、残額および通信モードが関連付けられたカードを装置外へ排出(返却)するものとする。また、紙幣処理部15は、挿入された各種紙幣を読み取り、真偽や額面等の判定を行い、入金額を制御部14へ通知する処理を行う処理部である。
【0045】
記憶部12は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部であり、個別履歴情報12aを記憶する。個別履歴情報12aは、オフライン中に、パチンコ玉の払い出しを行う、または、紙幣が挿入されるたびに更新される。
【0046】
ここで、個別履歴情報12aの一例について図4を用いて説明する。図4は、個別履歴情報12aを示す図である。同図に示すように、個別履歴情報12aは、「取引番号」、「カードID」、「取引種別」、「更新額」および「取引日時」項目等を含んでいる。
【0047】
「取引番号」は、台間装置10で操作されたパチンコ玉の払出処理、または、紙幣の入金処理等の操作処理(以下、「取引」と記載する)ごとに付加され、1つの取引に対して一意になるよう設定された番号である。
【0048】
「カードID」は、取引が行われた際、カード保持部11に保持していたカードのカードIDである。「取引種別」は、取引の種別であり、たとえば、台間装置10でパチンコ玉の払出処理時には「出金」、紙幣の入金時には「入金」となる。「更新額」は、パチンコ玉の払出処理時の出金額、または、紙幣の入金額である。「取引日時」は、取引が行われた日時である。
【0049】
たとえば、カードIDが「111」であるカードが挿入されて、遊技客が、1万円紙幣を挿入した場合、取引番号「1010」、取引種別「入金」、紙幣の挿入した時点の取引日時「08/08/0811:00」である情報が個別履歴情報12aに登録される。
【0050】
その後、遊技客が、1000円分のパチンコ玉の払出処理を要求する操作を行った場合に、取引番号「1011」、カードID「111」、取引種別「出金」、取引日時「08/08/0811:01」と個別履歴情報12aに登録される。
【0051】
そして、遊技客が、カードを返却し、遊技を終了した後に、別の遊技客が、カードIDが「222」であるカードを挿入して5千円紙幣を挿入した場合、取引番号「1012」、カードID「222」、取引種別「入金」、取引日時「08/08/0812:30」と個別履歴情報12aに登録される。
【0052】
このように、取引番号は、1つの取引に対して一意になるように付加される。ここでは、連番で取引番号が付加されるよう説明したが、一意になるような値であり、ランダムに付加されてもよい。
【0053】
また、ここでは、カードの残額によって払出処理を行う際に使用する、「更新額」の項目についてのみ説明したが、持ち玉によって払出処理を行う際に必要な、図示しない「持ち玉更新数」の項目も、個別履歴情報12aには含んでいるものとする。
【0054】
図3の説明に戻り、記憶部12は、図示しない個別カード管理情報を記憶し、個別カード管理情報は、カード保持部11に保持するカードおよび挿入されたカードのカードIDとともにカードIDに対応付けられたカードの残額が記憶される。
【0055】
そして、カードが挿入された場合に、台間装置10で、記憶部12に記憶される個別カード管理情報に基づいて、カードに書き込まれているカードIDおよび関連付けられた有価価値等の情報が正しいか否かのチェックが行われることとなる。
【0056】
なお、遊技店内で遊技可能なカードに書き込まれているカードIDの記憶管理は、図示しない島コントローラで一括して行ってもよく、この場合、カードに書き込まれているカードIDの不正チェックは、島コントローラで行うこととなる。
【0057】
通信I/F13は、台間装置10と管理装置20との間で、図示しない島コントローラ経由で、データ通信を行うためのインターフェースである。
【0058】
通信モード検出部14aは、管理装置20からの応答が、所定時間以上なかった場合、または、図示しない島コントローラから管理装置20との通信が途絶した旨の通知を受けた場合に、オフラインであることを検出し、通信モードをオフラインとする。
【0059】
また、通信モード検出部14aは、管理装置20から通信状態の復旧通知を受けた場合、または、台間装置10と管理装置20との通信状態が正常である場合、オンラインであると判定し、通信モードをオンラインとする処理を行う処理部である。
【0060】
切替部14bは、通信モード検出部14aで決定した通信モードによって、処理を切り替える。たとえば、通信モードがオンラインである場合、払出処理を行う際、通常処理部14cに処理を切り替え、オフラインである場合には、払出処理を行う際、個別履歴生成部14dに処理を切り替える処理を行う処理部である。
【0061】
通常処理部14cは、カードが挿入された際、カードに書き込まれているカードIDおよび関連付けられた有価価値等の情報が正しいか否かのチェックを管理装置20で行うため、カードID、カードに書き込まれている通信モードおよびカードの残額を、管理装置20に送信する処理を行う処理部である。
【0062】
また、通常処理部14cは、管理情報20のカード管理情報21aに記憶される残額を、払出用の残額として払出処理を行う処理を行う処理部である。また、通常処理部14cは、オンライン中のパチンコ玉の払出処理時の出金情報、または、紙幣の入金情報等を取引履歴として、管理装置20に送信する処理を行う処理部である。
【0063】
個別履歴生成部14dは、カード保持部11に保持するカードに関連付けられた残額を、払出用の残額として払出処理を行う処理を行う処理部である。また、個別履歴生成部14dは、オフライン中の取引履歴を、個別履歴情報12aへ記憶させる処理を行う処理部である。
【0064】
復旧指示部14eは、通信モード検出部14aが、オフラインからオンラインへ復旧したことを検出した場合、オフライン中には更新されていなかった、管理装置20の記憶部21に記憶される情報を復旧させるために、オフライン中に記憶した個別履歴情報12aすべてを管理装置20に送信する処理を行う処理部である。
【0065】
次に、管理装置20の構成について説明する。管理装置20は、記憶部21と、通信I/F22と、制御部23とを備えている。また、制御部23は、通常処理部23aと、復旧処理部23bとをさらに備えており、記憶部21は、カード管理情報21aと、カード取引情報21bと、総履歴情報21cとを記憶する。
【0066】
記憶部21は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部であり、カード管理情報21aは、カードのカードIDとともにカードIDに対応付けられたカードの残額が記憶される。
【0067】
ここで、カード管理情報21aの一例について図5を用いて説明する。図5は、カード管理情報21aを示す図である。同図に示すように、カード管理情報21aは、「「カードID」、「残額」、「持ち玉数」および「入金日付」項目等を含んでいる。
【0068】
「カードID」は、管理装置20で管理されるカードのカードIDである。「残額」は、「カードID」に対応するカードの残額であり、「持ち玉数」は、「カードID」に対応するカードで遊技中の遊技客が獲得した遊技媒体の残数である。
【0069】
「入金日付」は、「カードID」に対応するカードで遊技中の遊技客が、紙幣を入金した最終日付である。なお、図示しない持ち玉を獲得した日付である「持ち玉獲得日付」や、払出処理が行われた日時などの項目をもつこととしてもよい。
【0070】
たとえば、カードID「111」のカードの残額が8000円で、持ち玉数が10000個ある場合に、同図2行目に示すような情報がカード管理情報21aに登録される。
【0071】
図3の説明に戻り、カード取引情報21bは、パチンコ玉の払出処理時の出金情報、または、紙幣の入金情報等を取引履歴として記憶され、管理装置20では、カード取引情報21bに基づいて、カード管理情報21aのカードの残額等を更新することとなる。
【0072】
そして、総履歴情報21cは、オフラインからオンラインへの遷移時に、オフライン中には更新されていなかった、カード管理情報21aおよびカード取引情報21bを復旧させるために、オンライン遷移時に送信したすべての台間装置10からの個別履歴情報12aが一括して記憶される。
【0073】
通信I/F22は、台間装置10と管理装置20との間で、図示しない島コントローラ経由で、データ通信を行うためのインターフェースである。
【0074】
通常処理部23aは、オンライン中のパチンコ玉の払出処理時の出金情報、または、紙幣の入金情報等を取引履歴として、台間装置10から受信して、カード取引情報21bに記憶し、受信した取引履歴に基づいて、カード管理情報21aを更新する処理を行う処理部である。
【0075】
また、通常処理部23aは、台間装置10から送信されたカードID、カードに書き込まれていた通信モードおよびカードの残額に基づいて、カードに書き込まれていた情報が正しいか否かのチェック処理を行う処理部である。
【0076】
たとえば、通常処理部23aは、受信した通信モードが「オンライン」の場合、カードIDがカード管理情報21aに存在するか否かをチェックし、存在した場合、カードの残額値と、カードIDに対応する通常処理部23aの残額値とが一致するかをチェック行い、チェック結果を台間装置10に通知する。
【0077】
また、通常処理部23aでは、受信した通信モードが「オフライン」の場合、カードIDがカード管理情報21aに存在するか否かをチェックし、存在した場合、カードに書き込まれていた情報の中で、カード保持部11によって偽造防止のために付加された所定値が、あらかじめ決められている安全であるとする数値の範囲内であるかのチェックを行い、チェック結果を台間装置10に通知する。
【0078】
復旧処理部23bは、オフラインからオンラインへ復旧する際、オフライン中に個別履歴生成部14dが記憶した個別履歴情報12aのすべてを、台間装置10から受信し、受信した個別履歴情報12aを、総履歴情報21cに記憶する処理を行う処理部である。
【0079】
その際、復旧処理部23bは、何らかの理由で、個別履歴情報12aを既に受信していた場合、重複して総履歴情報21cに記憶されないように、個別履歴情報12aの取引番号等に基づいて、重複チェックを行い、受信済みの個別履歴情報12aは、破棄するよう構成した。
【0080】
また、復旧処理部23bは、オフラインになっていたすべての台間装置10からの個別履歴情報12aを受信して総履歴情報21cに記憶した後、総履歴情報21cに基づいて、カード取引情報21bを更新し、さらに、更新したカード取引情報21bに基づいて、カード管理情報21aを更新する処理を行う処理部である。
【0081】
また、カード取引情報21bおよび総履歴情報21cには、図3で説明した個別履歴情報12aに含まれる項目「取引番号」、「カードID」、「取引種別」、「更新額」および「取引日時」の他に、全ての台間装置10からの個別履歴情報12aを記録管理する必要があるので、いずれの台間装置10で取引があったかを識別する「台番号」の項目が含まれる。
【0082】
次に、本実施例にかかる遊技媒体払出システムおよび遊技媒体払出方法の処理の流れを説明する。なお、ここでは、図6図8を用いて、カード挿入時から払出処理開始までの処理を説明した後に、図9図14を用いて、カード挿入後、遊技中の処理を説明することとする。
【0083】
まず、オンライン時、通信モードが「オンライン」と記録されたカードの挿入時から払出処理開始までの処理を、図6を用いて説明する。図6は、本実施例にかかるカードの挿入時処理手順を示すシーケンス図である。
【0084】
同図に示すように、台間装置10では、通信モードが「オンライン」と記録されたカードが挿入されたら、カード書込み情報のチェックを行い(ステップS101)、カードID、通信モードおよびカードの残額を管理装置20に送信する。
【0085】
一方、管理装置20では、受信したカードIDが、カード管理情報21aに登録されているかどうかのチェックを行い(ステップS102)、受信したカード書込み情報と、カード管理情報21aとが一致するかのチェックを行い(ステップS103)、一致した場合、正常応答を台間装置10へ送信する。
【0086】
その後、台間装置10は、カード書込み情報(すなわち、管理装置による管理情報と同じ)に基づいて台間装置10で払出処理を行う際に使用する払出用の残額にセットし(ステップS104)、カードに通信モードを「オンライン」と書き込む(ステップS105)。
【0087】
そして、台間装置10は、挿入されたカードのカードIDに基づいて、個別カード管理情報を更新して(ステップS106)、払出処理が開始可能な状態にする(ステップS107)。
【0088】
次に、オンライン時、通信モードが「オフライン」と記録されたカードの挿入時から払出処理開始までの処理を、図7を用いて説明する。図7は、本実施例にかかるカードの挿入時処理手順を示すシーケンス図である。
【0089】
同図に示すように、台間装置10では、通信モードが「オフライン」と記録されたカードが挿入されたら、カード書込み情報のチェックを行い(ステップS201)、カードID、通信モードおよびカードの残額を管理装置20に送信する。
【0090】
一方、管理装置20では、受信したカードIDが、カード管理情報21aに登録されているかどうかのチェックを行い(ステップS202)、受信したカード書込み情報に基づいて、範囲チェックを行う(ステップS203)。
【0091】
管理装置20は、ステップS203のチェックで承認された場合、受信したカード書込み情報によってカード管理情報21aを上書きして(ステップS204)、正常応答を台間装置10へ送信する。
【0092】
その後、台間装置10は、カード書込み情報を台間装置10で払出処理を行う際に使用する払出用の残額にセットし(ステップS205)、カードに通信モードを「オンライン」と書き込む(ステップS206)。
【0093】
そして、台間装置10は、挿入されたカードのカードIDに基づいて、個別カード管理情報を更新して(ステップS207)、払出処理が開始可能な状態にする(ステップS208)。
【0094】
次に、オフライン時の、カード挿入時から払出処理開始までの処理を、図8を用いて説明する。図8は、本実施例にかかるカードの挿入時処理手順を示すシーケンス図である。
【0095】
同図に示すように、台間装置10では、通信モードが「オフライン」と記録されたカードが挿入されたら、カード書込み情報のチェックを行い(ステップS301)、カード書込み情報によって個別履歴情報12aを更新する(ステップS302)。
【0096】
その後、台間装置10は、カード書込み情報を台間装置10で払出処理を行う際に使用する払出用の残額にセットし(ステップS303)、カードに通信モードを「オフライン」と書き込む(ステップS304)。
【0097】
そして、台間装置10は、挿入されたカードのカードIDに基づいて、個別カード管理情報を更新して(ステップS305)、払出処理が開始可能な状態にする(ステップS306)。
【0098】
次に、オンライン時、カード挿入後から遊技終了までの処理を、図9および図10を用いて説明する。図9および図10は、本実施例にかかるオンライン中の処理手順を示すシーケンス図である。
【0099】
同図に示すように、台間装置10では、カードが挿入された状態で、遊技客によって紙幣(ここでは、5000円)を挿入されたら(ステップS401)、取引種別「入金」、カードID(カード保持部11内で次に払出される位置にあるカードのID)および入金額を管理装置20に送信する。
【0100】
管理装置20は、受信した情報によって、カード取引情報21bを更新し、受信した入金額をカード管理情報21aの残額に加算し(ステップS402)、正常応答を台間装置10へ送信し、台間装置10では、入金額を払出用の残額に加算する(ステップS403)。
【0101】
その後、払出処理を要求する操作、たとえば、1000円分のパチンコ玉を払い出すボタンが押下されたら(ステップS404)、台間装置10は、取引種別「出金」、カードIDおよび利用額を管理装置20に送信する。
【0102】
そして、管理装置20は、受信した情報によって、カード取引情報21bを更新し、受信した利用額をカード管理情報21aの残額から減算し(ステップS405)、正常応答を台間装置10へ送信する。
【0103】
一方、台間装置10では、利用額を払出用の残額から減算し(ステップS406)、利用額分のパチンコ玉を投出する(ステップS407)。遊技中は、ステップS404〜ステップS407の払出処理を繰り返す。なお、ステップS407のパチンコ玉の投出は、台間装置10から投出指示を受けた台間装置10に併設されるパチンコ機40から投出されてもよい。
【0104】
その後、カード返却を要求する操作、たとえば、カード返却ボタンが押下されたら(ステップS408)、台間装置10は、取引種別「カード返却」およびカードIDを管理装置20に送信し、受信した管理装置20は、折り返し正常応答を台間装置10へ送信する。
【0105】
そして、台間装置10は、管理装置20から正常応答を受信したら、カードに通信モードを「オンライン」と書き込み(ステップS409)、さらに、払出用の残額をカードの残額としてカードに書き込む(ステップS410)。
【0106】
つづいて、台間装置10は、カードの返却を行い(ステップS411)、スタッカーより新規のカードを読み取り(ステップS412)、読み取ったカードのカードIDに基づいて、個別カード管理情報のチェックを行う(ステップS413)。
【0107】
ステップS413のチェックで承認された場合、台間装置10は、払出用の残額を0円にセットして(ステップS414)、カードや紙幣を挿入されて払出処理が可能な待機状態にする(ステップS415)。
【0108】
次に、オンライン時の遊技中に、オフラインに移行する処理を、図11および図12を用いて説明する。図11および図12は、本実施例にかかるオフライン移行処理手順を示すシーケンス図である。
【0109】
同図に示すように、台間装置10では、カードが挿入された状態で、遊技客によって払出処理を要求する操作、たとえば、1000円分のパチンコ玉を払い出すボタンが押下されたら(ステップS501)、取引種別「出金」、カードIDおよび利用額を管理装置20に送信する。
【0110】
しかし、この場合、台間装置10と管理装置20との通信が途絶した状態であることから、所定の時間以上経っても管理装置20からの応答が、帰ってこないことから、台間装置10では、オフラインを検出する(ステップS502)。
【0111】
そして、台間装置10は、ステップS501時点の、取引種別「出金」、カードIDおよび利用額によって、個別履歴情報12aの更新を行い(ステップS503)、利用額を払出用の残額から減算し(ステップS504)、利用額分のパチンコ玉を投出する(ステップS505)。
【0112】
その後、払出処理を要求する操作が行われたら(ステップS506)、台間装置10は、利用額を払出用の残額から減算し(ステップS507)、利用額分のパチンコ玉を投出し(ステップS508)、取引種別「出金」、カードIDおよび利用額によって、個別履歴情報12aの更新を行う(ステップS509)。遊技中は、ステップS506〜ステップS509の払出処理を繰り返す。
【0113】
その後、カード返却を要求する操作が行われたら(ステップS510)、台間装置10は、カードに通信モードを「オフライン」と書き込み(ステップS511)、さらに、払出用の残額をカードの残額としてカードに書き込む(ステップS512)。
【0114】
つづいて、台間装置10は、カードの返却を行い(ステップS513)、スタッカーより新規のカードを読み取り(ステップS514)、読み取ったカードのカードIDに基づいて、個別カード管理情報のチェックを行う(ステップS515)。
【0115】
ステップS515のチェックで承認された場合、台間装置10は、払出用の残額を0円にセットして(ステップS516)、カードや紙幣を挿入されて払出処理が可能な待機状態にする(ステップS517)。
【0116】
次に、オフライン時の遊技中に、オンラインに復旧する処理を、図13および図14を用いて説明する。図13および図14は、本実施例にかかるオンライン復旧処理手順を示すシーケンス図である。
【0117】
同図に示すように、台間装置10では、カードが挿入された状態で、管理装置20からオンラインへ復旧した旨を通知され後、遊技客によって払出処理を要求する操作を行われたら(ステップS601)、利用額を払出用の残額から減算する(ステップS602)。
【0118】
そして、台間装置10は、利用額分のパチンコ玉を投出し(ステップS603)、取引種別「出金」、カードIDおよび利用額によって、個別履歴情報12aの更新を行う(ステップS604)。
【0119】
その後、台間装置10は、取引種別「カード挿入」、カードID、通信モード「オフライン」およびカードの残額を管理装置20に送信し、管理装置20は、受信したカードの残額によってカード管理情報21aの残額を補正し(ステップS605)、正常応答を台間装置10へ送信する。
【0120】
そして、台間装置10は、個別履歴情報12aを管理装置20へ送信し(ステップS606)、管理装置20は、個別履歴情報12aの取引番号および台番号等に基づいて、個別履歴情報12aの重複チェックを行い(ステップS607)、受信済みであったら破棄する。
【0121】
その後、管理装置20は、ステップS607で重複していない個別履歴情報12aを総履歴情報21cに登録し(ステップS608)、オフライン中に更新していたすべての個別履歴情報12aについて受信が完了するまで、ステップS606〜ステップS608の処理を繰り返す。
【0122】
その後、台間装置10は、カード返却を要求する操作が行われた時の処理として、ステップS609〜ステップS616の処理を順次実行する。これらステップS609〜ステップS616の処理は、オンライン中にカード返却を要求する操作が行われて実行した処理ステップS408〜ステップS415と同様の処理であるので、ここでは、説明を省略する。
【0123】
一方、管理装置20では、オフライン中に通信が途絶した状態となっていた、すべての台間装置10から個別履歴情報12aの受信が完了した後、ステップS608で登録した総履歴情報21cに基づいて、カード管理情報21aおよびカード取引情報21bを更新し、データベースの復旧を行う(ステップS617)。
【0124】
上述してきたように、本実施例では、台間装置10で、オンライン/オフライン時の処理を切り替え、オンライン復旧時に、遊技媒体払出システムを停止することなく復旧処理を行うよう構成したので、オンライン/オフライン遷移時における遊技店側の作業負荷を必要としないとともに、台間装置と管理装置間の通信がオフライン状態に陥った場合であっても、台間装置に挿入される紙幣またはカードの有価価値を管理することができ、オンライン状態と同等の遊技環境を遊技客に対して提供することができる。
【0125】
なお、本発明請求項記載の管理装置は管理装置20、台間装置は台間装置10、有価価値情報記憶手段は通常処理部23a、通信状態検出手段は通信モード検出部14a、取引履歴記憶手段は個別履歴生成部14d、切替手段は切替部14b、遊技媒体払出制御手段は通常処理部14cおよび個別履歴生成部14dに相当するものである。
【0126】
なお、上述した実施例では、カードの残額によって払出処理を行うようにしたが、持ち玉の残数によって払出処理を行ってもよく、この場合、遊技客が獲得した持ち玉を有効に利用することができる。
【0127】
また、上述した実施例では、復旧指示部14eが台間装置10にあり、通信モード検出部14aで検出されたオンライン復旧の際、台間装置10から復旧の指示を出すように構成したが、復旧指示部14eは管理装置20にあってもよい。
【0128】
また、上述した実施例では、パチンコ遊技に適用する例を説明したが、パチスロ遊技を対象としてさらに含めた場合又はパチスロ遊技のみを対象とした場合にも同様に適用することができる。なお、ここでは、パチンコ店に本発明を適用する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ゲームセンタ等の遊技施設にも同様に適用することができる。
【0129】
以上のように、本発明にかかる台間装置及び遊技システムは、台間装置と管理装置間の通信がオフライン状態に陥った場合であっても、台間装置に挿入されるカードに関連付けられた遊技媒体を管理することができ、継続して、カードによって遊技客が遊技することを可能とする場合に適している。
【符号の説明】
【0130】
10 台間装置
11 カード保持部
12 記憶部
12a 個別履歴情報
13 通信I/F
14 制御部
14a 通信モード検出部
14b 切替部
14c 通常処理部
14d 個別履歴生成部
14e 復旧指示部
15 紙幣処理部
20 管理装置
21 記憶部
21a カード管理情報
21b カード取引情報
21c 総履歴情報
22 通信I/F
23 制御部
23a 通常処理部
23b 復旧処理部
30 島コントローラ
40 パチンコ機
50 精算機
60 景品管理装置
65 会員カード端末機
70 会員管理T/C


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14