(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6111199
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】ウインドスクリーン据付装置及び据付け方法
(51)【国際特許分類】
B62D 65/06 20060101AFI20170327BHJP
【FI】
B62D65/06 B
【請求項の数】35
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-537207(P2013-537207)
(86)(22)【出願日】2011年11月2日
(65)【公表番号】特表2013-541465(P2013-541465A)
(43)【公表日】2013年11月14日
(86)【国際出願番号】GB2011052130
(87)【国際公開番号】WO2012059755
(87)【国際公開日】20120510
【審査請求日】2014年10月3日
(31)【優先権主張番号】1102518.6
(32)【優先日】2011年2月14日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1021286.8
(32)【優先日】2010年12月15日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1018558.5
(32)【優先日】2010年11月3日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508325119
【氏名又は名称】ベルロン ハンガリー ケーエフティー − ツーク ブランチ
(74)【代理人】
【識別番号】100064469
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100099612
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100073450
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 英俊
(72)【発明者】
【氏名】ウイリアム フィンク
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー デイヴィス
【審査官】
田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】
英国特許出願公開第02273517(GB,A)
【文献】
欧州特許出願公開第01923243(EP,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第01826044(EP,A1)
【文献】
米国特許第07610666(US,B1)
【文献】
欧州特許出願公開第01849634(EP,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第02316678(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 65/06
B25B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウインドスクリーンを車等に据え付ける際にウインドスクリーンを操作するために用いるウインドスクリーン据付装置であって、
ウインドスクリーンアンカー装置と、該ウインドスクリーンアンカー装置から離れる方向に延びる細長いサポートアームとを備えたウインドスクリーンアンカーアッセンブリと、前記ウインドスクリーンアンカーアッセンブリを支持するマウントアッセンブリとを備え、
前記マウントアッセンブリは、前記サポートアームと係合するマウント構造体を備え、前記サポートアームは、前記マウント構造体に対して、その長手方向にスライドすることができるようになっており、
前記マウント構造体は、相対する起立壁部を有するくびき型又は鞍型の構造体を備えていて前記マウントアッセンブリに回転自在に取り付けられ、
且つ、前記マウント構造体は、前記ウインドスクリーンアンカーアッセンブリの細長いアームが前記マウント構造体との接続位置の周りを回動又は枢動することを許容しているウインドスクリーン据付装置、
【請求項2】
前記アームは、前記マウント構造体を貫通又は通過してスライドするように設けられている請求項1による装置。
【請求項3】
前記細長いサポートアームは、前記マウント構造体の相対する側壁部上を外側に延びることができる請求項1又は2による装置。
【請求項4】
前記マウント構造体とサポートアームとの係合は、相対的にスライドする係合である請求項1、2又は3による装置。
【請求項5】
前記マウント構造体とサポートアームとの係合は、前記アームを下降して前記マウント構造体とスライド係合する位置に到達させるように行われる請求項1,2,3又は4による装置。
【請求項6】
前記マウント構造体は、開口した上部を備えていて、前記アームは、前記開口部内に下降するようになっている請求項5による装置。
【請求項7】
前記マウント構造体とサポートアームとの係合は、前記アームを前記マウント構造体と係合する位置から外れて昇降させるように行われる請求項1乃至6のいずれかによる装置。
【請求項8】
前記マウント構造体は、前記サポートアームのスライド運動を案内するガイド部を備えている請求項1乃至7のいずれかによる装置。
【請求項9】
前記ウインドスクリーンアンカーアッセンブリの細長いサポートアームは、
i)前記マウント構造体と相互作用する領域に円形の断面を有し、及び/又は,
ii)前記マウント構造体をあまり容易ではなく通過してスライドするように設けられた摩擦面又は抵抗面部分を備えている、
請求項1乃至8のいずれかによる装置。
【請求項10】
前記ウインドスクリーンアンカーアッセンブリの細長いサポートアームは、一定の長さを有する実質的に堅固なアームである請求項1乃至9のいずれかによる装置。
【請求項11】
前記ウインドスクリーンアンカー装置は、前記細長いサポートアームの長さ方向の一定位置に取り付けられている請求項1乃至10のいずれかによる装置。
【請求項12】
前記ウインドスクリーンアンカーアッセンブリの細長いサポートアームは、端部同士が係合するように、且つ使用時の一定の長さを得るように設けられた2以上のロッド部品の形態を有している請求項1乃至11のいずれかによる装置。
【請求項13】
前記サポートアームは、端部同士が接続される2つのロッド部品の形態を有していて、該2つのロッド部品に対してクイック操作が可能な接続/切離し機構が設けられている請求項12による装置。
【請求項14】
前記接続/切離し機構は、ロッド部品の継手部から離れた一方のロッド部品の端部側に配置されたアクチュエータを備えている請求項13による装置。
【請求項15】
細長いアクチュエータロッドが前記一方のロッド部品の長手方向に沿って延びて戻り止め装置に接続されている請求項14による装置。
【請求項16】
前記ウインドスクリーンアンカーアッセンブリの細長いサポートアームは、該アームの一端が前記マウント構造体を通過してスライドするのを阻止するストッパを備えている請求項1乃至15のいずれかによる装置。
【請求項17】
前記マウントアッセンブリは、該マウントアッセンブリを車に固定することを可能にする車両アンカー装置を備えている請求項1乃至16のいずれかによる装置。
【請求項18】
前記マウントアッセンブリは、前記マウントアッセンブリを車のサイドガラスに固定することを可能にするサイドガラスアンカー装置を備えている請求項17による装置。
【請求項19】
前記サイドガラスアンカー装置は、吸引装置を備えている請求項18による装置。
【請求項20】
前記ウインドスクリーンアンカー装置は、吸引装置を備えている請求項1乃至19のいずれかによる装置。
【請求項21】
前記マウントアッセンブリは、第1の端部が前記マウント構造体を保持するように接続され、第2の端部が前記マウントアッセンブリを構成する回転自在なマウントに接続されているアーム部分を備えている請求項1乃至20のいずれかによる装置。
【請求項22】
車にウインドスクリーンを据え付ける方法であって、該方法は、
ウインドスクリーンに固定されるウインドスクリーンアンカー装置と前記ウインドスクリーンアンカー装置から離れていく方向に延びる細長いサポートアームとを備えたウインドスクリーンアンカーアッセンブリを所定位置にセットする工程と、
前記サポートアームと係合するマウント構造体を含み、前記ウインドスクリーンアンカーアッセンブリを支持するマウントアッセンブリを所定位置にセットする工程と、
前記ウインドスクリーンを車のウィンドスクリーン用開口部に位置決めするために、前記サポートアームを前記マウント構造体を通して長手方向にスライドさせると共に前記マウント構造体との接続位置の周りを回動又は枢動するように、且つ前記サポートアームを前記マウント構造体と共に回動することができるように、前記アームの両端から離れて前記サポートアームの長手方向に沿った位置で前記サポートアームを前記マウント構造体と係合させる工程と、
を備えているウインドスクリーン据付け方法。
【請求項23】
ウインドスクリーンを車等に据え付けるためにウインドスクリーンを操作するのに用いるマウントアッセンブリであって、
車に固定するための車両アンカー装置と、前記アンカー装置から延びる細長いアームとを備え、
前記細長いアームは、前記アンカー装置に対して支持されていて、択一的に選択される取付け位置の間を動くことができ、前記アームは、前記択一的に選択される取付け時位置で、前記アンカー装置から反対方向に延びているマウントアッセンブリ。
【請求項24】
前記アームを択一的に選択される取付け時位置に固定するための手段が設けられている請求項23によるマウントアッセンブリ。
【請求項25】
前記アームは、直立した回転軸線の回りを回動又は枢動することができる請求項23又は24によるマウントアッセンブリ。
【請求項26】
前記車体アンカー装置は、前記マウントアッセンブリを車のサイドガラスに固定することを可能にするサイドガラスアンカー装置を備えている請求項23乃至25のいずれかによるマウントアッセンブリ。
【請求項27】
前記車体アンカー装置は、吸引装置から成っている請求項23乃至26のいずれかるマウントアッセンブリ。
【請求項28】
前記マウントアッセンブリは、ウィンドスクリーンアンカー装置と前記ウインドスクリーンアンカー装置から離れていく方向に延びる細長いサポートアームとを備えたウインドスクリーンアンカーアッセンブリと組み合わせて用いられるものであって、前記マウントアッセンブリは、前記サポートアームと係合するマウント構造体を含んでいて前記サポートアームがその長手方向に沿って前記マウント構造体に対してスライドすることができるようになっている請求項23乃至27のいずれかによるマウントアッセンブリ。
【請求項29】
前記マウント構造体は、該マウント構造体を下降位置と上昇位置との間で移動するのを可能にするように回動自在又は枢動自在な取付け具に設けられて前記アンカー装置に対して支持されている請求項28によるマウントアッセンブリ。
【請求項30】
ウインドスクリーンを車等に据え付ける際にウインドスクリーンを操作するために用いるウインドスクリーン据付装置であって、
ウインドスクリーンアンカー装置と、前記ウインドウクリーンアンカー装置から離れていく方向に延びる細長いサポートアームとを有するウインドスクリーンアンカーアッセンブリを備え、
前記細長いサポートアームは、保管のために2以上の部分に切り離すことが可能であり、
前記アンカー装置と前記アームの切り離されたアーム部分とが保管のために相互に結合し合う手段を備えているウインドスクリーン据付装置。
【請求項31】
保管状態で、前記ウインドスクリーンアンカー装置に取り付けられた切り離しのアーム部分と、前記残りの固定アーム部分とがほぼ同じ長さを有している請求項30によるウインドスクリーン据付装置。
【請求項32】
保管状態で、前記ウインドスクリーンアンカー装置に取り付けられた切り離しのアーム部分と、前記残りの固定アーム部分とがほぼ横並びに配置されている請求項30又は31によるウインドスクリーン据付装置。
【請求項33】
前記2つのアーム部分は、相互に接続することができる相補的な端部接続部を備え、
前記切り離し可能なアーム部分の端部接続部は、前記アンカー装置に設けられた相補的な接続部に接続するのに用いられる請求項30乃至32のいずれかによるウインドスクリーン据付け装置。
【請求項34】
前記一方のアーム部分の端部に配置された接続部アクチュエータを含んでいる請求項33によるウインドスクリーン据付装置。
【請求項35】
保管の目的で前記アンカー装置に接続するために、変位可能な戻り止めを備えた接続エレメントが前記一方のアーム部分の端部に設けられている請求項34によるウインドスクリーン据付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウインドスクリーン据付装置及び据付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一人の技術者がウインドスクリーン(風防)を手で操作する(ハンドリングする)ことを可能にする種々の装置、例えば、ウインドスクリーンを車両のウインドスクリーン用開口部(windscreen aperture)又はオープンフレームに位置決めすることを可能にする装置が知られており、これらは、EP1826044,EP1923243,US7610666及びDE202007016885に開示されている。この装置は、特に装置を携帯して使用する場合、例えば、典型的な例を挙げると、一人の技術者が、ウインドスクリーンを交換する必要がある車両の所に出向く場合に適している。このような状況では、一人の技術者が運んで組立てるのに便利で、使用することも容易な装置が非常に有用である。本発明の装置はまた、工場や倉庫で使用するのにも適している。
【0003】
EP1826044,EP1923243及びUS7610666に開示された構成では、車両のサイドウインドウガラスにピボット構造体を据え付けるために、サイドウインドウガラスアンカーが用いられる。ウインドスクリーン固定機構は、サイドウインドウガラスアンカーに設けられたピボット構造体のピボットピンに一端が係合するように、かつアンカーをウインドシールドに固定するために保持するように設けられている。技術者は、ウインドスクリーンの一面を支え、他の面をサイドガラスアンカーのピボットピンに取り付けられたアームにより支えた状態で、ウインドスクリーンの位置決め操作を行うことができる。アンカー(係留装置)は、通常は、ポンプにより駆動される公知の吸引装置である。EP1826044及びEP1923243の構成では、ウインドスクリーン固定機構のアームが伸縮自在で、延長が可能である。US7610666の構造では、ウインドスクリーンアンカーが、アームを備えたロッドに沿ってスライド可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】EP1826044号公報
【特許文献2】EP1923243号公報
【特許文献3】US7610666号公報
【特許文献4】DE202007016885
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の装置は、構成が複雑である点、重量が重い点、及び寿命期間中に破損する可能性がある点で、欠点があった。そこで改良された構成が発明された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、その第1の態様によれば、ウインドスクリーンを操作する際に使用する装置、例えば、ウインドスクリーンを車両に据え付ける際に使用する装置を提供するものであって、該装置は、ウインドスクリーンアンカー装置(windscreen anchor device)と該ウインドスクリーンアンカー装置から離れる方向に延びる細長いサポートアーム(support arm)とを備えたウインドスクリーンアンカーアッセンブリ(windscreen anchor assembly)と、前記ウインドスクリーンアンカーアッセンブリを支持するマウントアッセンブリ(mount assembly)とを備えており、マウントアッセンブリは、サポートアームが該マウント構造体に対して該サポートアームの長手方向に移動する(好ましくはスライドする)ことができるようにして前記サポートアームと係合するマウント(架台)構造体(mount structure)を含んでいる。
【0007】
サポートアームは、その全体がマウント構造体に対して該サポートアームの長手方向に移動するように設計される。
【0008】
従って、他の態様によれば、本発明は、ウインドスクリーンを操作する際に使用する装置、例えばウインドスクリーンを車両に据え付ける際に使用する装置を提供するものであって、該装置は、ウインドスクリーンアンカー装置と該ウインドスクリーンアンカー装置から離れる方向に延びる細長いサポートアームとを備えたウインドスクリーンアンカーアッセンブリと、ウインドスクリーンアンカーアッセンブリを支持するマウントアッセンブリとを備えており、マウントアッセンブリは、サポートアーム全体を該マウント構造体に対して、該サポートアームの長手方向に移動することができるようにしてサポートアームと係合するマウント構造体を含んでいる。
【0009】
マウント構造体とサポートアームとの間の係合は、該サポートアームがマウント構造体を通過して長手方向にスライドするスライド係合であることが好ましい。
【0010】
マウント構造体とサポートアームとの間の係合は、該アームをマウント構造体と係合する位置に向けて下降することができ、かつアームをマウント構造体と係合する位置から外して上昇又は持ち上げることができるような係合であることが好ましい。マウント構造体は、上向きの開口部を備えていて、該開口部を通してサポートアームをマウント構造体内に進入させてスライド係合状態に着座させることができることが好ましい。
【0011】
本発明の構成は、マウント構造体が、サポートアームのスライド変位を案内するためのガイドとして働くような構成であることが有益である。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、マウント構造体は、相対する直立した側壁部又は側壁要素を備えてウインドスクリーンアンカーアッセンブリのサポートアームの互いに反対側を向いた側面をガイドし、かつ保持するくびき(yoke)形又は鞍形の構造を備えている。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、マウント構造体により、ウインドスクリーンアンカーアッセンブリの細長いアームがマウント構造体との接続箇所を中心にして回動又は枢動するのが許容される。このような結果を得るためには、マウント構造体が回転自在に取り付けられていることが有用である。
【0014】
ウインドスクリーンアンカーアッセンブリの細長いサポートアームは、マウント構造体と相互作用をする領域が円形の横断面を有していることが好ましい。このように構成しておくと、サポートアームをマウント構造体と係合させたときに、該サポートアームをその長手方向にスライドさせることができることに加えて、その縦方向に延びる軸線を中心にして容易に回転させることができる。
【0015】
好ましい実施形態においては、ウインドスクリーンアンカーアッセンブリの細長いサポートアームは、細長いロッドからなっている。サポートアームは、該アームの両端から該アームの長さ方向に離れた位置でマウント構造体と係合することが好ましい。
【0016】
ウインドスクリーンアンカーアッセンブリの細長いサポートアームは、該アームの一端がマウント構造体を通過してスライドするのを禁止するストッパを備えていることが好ましい。該ストッパは、スライド変位の一方の限界位置でマウント構造体と係合するようにすることができる。一実施形態では、該ストッパを球形のストッパデバイスとすることができる。
【0017】
好ましい実施形態では、ウインドスクリーンアンカーが細長いサポートアーム上の一定位置に取り付けられる。
【0018】
一実施形態では、ウインドスクリーンアンカーアッセンブリの細長いサポートアームを、端と端とが接続される2以上の部分からなる形態とすることができる。
【0019】
本発明の好ましい実施形態では、マウントアッセンブリが、該マウントアッセンブリを車両に固定することを可能にする車体アンカー装置を備えている。好ましい構成では、マウントアッセンブリは、該マウントアッセンブリを車のサイドガラス(側面ガラス)に固定することを可能にするサイドガラスアンカー装置を備えている。
【0020】
典型的には、サイドガラスアンカー装置は、ウインドスクリーンアンカー装置がそうであるように、吸引装置から成っている。当技術分野で知られているポンプ駆動の吸引装置を用いることができる。
【0021】
一実施形態では、マウントアッセンブリは、マウント構造体を保持するように第1の端部が接続され、第2の端部がマウントアッセンブリを構成する回転自在な取付具に接続されるアーム部分を含んでいる。
【0022】
更に他の態様によれば、本発明は、ウインドスクリーンを操作する際に使用する装置、例えばウインドスクリーンを車両に据え付ける際に使用する装置を提供するものであって、該装置は、車に固定するための車体アンカー装置と、該アンカー装置から延びている細長いアームとを備えている。細長いアームは、アンカー装置に対して回動自在に取り付けられていて、該アームが択一的に選択される取付け部の間を移動することができるようになっている。
【0023】
択一的に選択される取付け部に前記アームを固定するための手段を設けることが好ましい。このような目的に対しては、ブレーキハンドル、固定ボルト又は他の機械的な手段を用いることができる。
【0024】
択一的に選択される取付け部においては、前記アームは、アンカー装置から互いに反対の方向に延びるように設けられていることが好ましい。
【0025】
前記アームは、ほぼ直立した回転軸線の周りを枢動又は回動することができることが好ましい。
【0026】
本発明の好ましい実施例では、車体アンカー装置が、マウントアッセンブリを車のサイドガラスに固定することを可能にするサイドグラスアンカー装置を備えている。
【0027】
車体アンカー装置は、吸引装置を備えていることが好ましい。
【0028】
マウントアッセンブリは、好ましくは、ウインドスクリーンアンカーアッセンブリと組み合わせて使用するのに適合したもので、ウインドスクリーンアンカー装置と該ウインドスクリーンアンカー装置から離れる方向に延びる細長いサポートアームとを備えている。マウントアッセンブリは、サポートアームと係合するマウント構造体を有して、該マウント構造体は、サポートアームを該マウント構造体に対してサポートアームの長手方向にスライドさせることができるようにしてサポートアームと係合する。
【0029】
マウント構造体を下降位置(下げられた位置)と上昇位置(持ち上げられた位置)との間で移動させることを可能にするため、マウント構造体は、回動又は枢動が可能な取付具に設けられてアンカー装置に対して支持されることが好ましい。
【0030】
更に他の態様によれば、本発明は、ウインドスクリーンを操作する際に使用するマウントアッセンブリ、例えばウインドスクリーンを車両に据え付ける際に使用するマウントアッセンブリを提供するものであって、該マウントアッセンブリは、車に固定するための車体アンカー装置と、ウインドスクリーンアンカーアッセンブリのサポートアームと係合するマウント構造体とを備えている。マウント構造体を下降位置と上昇位置との間で移動させることを可能にするため、マウント構造体は、枢動又は回動が可能な昇降取付具に設けられてアンカー装置に対して支持される。
【0031】
昇降取付け具の回動中心軸線はほぼ水平方向に延びていることが好ましい。
【0032】
細長いアームがアンカー装置から延びていて、前記取付具の回動軸線は、アームの長手方向にほぼ整列しているか又はアームの長手方向と平行であることが好ましい。
【0033】
細長いアームは、昇降取付具から離れて該取付具との間に間隔を隔てて配置されたマウント構造体まで延びていることが好ましい。
【0034】
前記昇降取付具は、回転方向に順次間隔を隔てて並ぶ一連の複数の位置の間で指標が指示されるように回転自在であることが好ましい。
【0035】
本装置は、昇降取付具を所望の位置に固定するための固定手段を備えていることが好ましい。
【0036】
好ましい態様では、昇降取付具が、マウント構造体を左右に移動させることを可能にする左右回動取付具と直列に設けられている。
【0037】
他の選択可能な態様によれば、本発明は、ウインドスクリーンを手で操作する際に使用する装置、例えばウインドスクリーンを車両に据え付ける際に使用する装置を提供するものであって、該装置は、ウインドスクリーンアンカー装置と該ウインドスクリーンアンカー装置から離れる方向に延びる細長いサポートアームとを有するウインドスクリーンアンカーアッセンブリを備えている。細長いサポートアームは、保管の目的で2以上のアーム部品に分解することが可能であって、アンカー装置及び取り外されたアーム部品には保管のために互いに連結される部分が設けられている。
【0038】
保管の状態では、ウインドスクリーンアンカー装置に付着された取外しのアーム部品と残りの固定アーム部品とは、ほぼ同じ長さを有していることが好ましい。
【0039】
保管の状態では、ウインドスクリーンアンカー装置に付着された取外しのアーム部品と残りの固定アーム部品とは、ほぼ隣り合った状態で配置されることが好ましい。
【0040】
2つのアーム部品は、互いに連結することが可能な相補的な端部連結部を備えていて、分解可能なアーム部品の端部連結部は、アンカー装置に設けられた相補的な連結部に連結するのに用いられることが好ましい。
【0041】
他の態様によれば、本発明は、車にウインドスクリーンを据付ける方法を提供するものであって、該方法は、
ウインドスクリーンに固定されるウインドスクリーンアンカー装置と該ウインドスクリーンアンカー装置から離れる方向に延びる細長いサポートアームとを備えたウインドスクリーンアンカーアッセンブリを所定の位置にセットすることと、
ウインドスクリーンアンカーアッセンブリを支持するために、サポートアームと係合するマウント構造体を備えたマウントアッセンブリを所定の位置にセットすることと、
ウインドスクリーンを車のウインドスクリーン開口部に位置決めするために、サポートアームをその長手方向に沿ってマウント構造体に対してスライドさせることができるようにして、サポートアームの両端から該アームの長手方向に離れた一点で該アームをマウント構造体に係合させること
を行う。
【0042】
以下、一例を示すだけの目的で、本発明の具体的な実施例を添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】
図1は、本発明に則った典型的な装置の概略的な斜視図である。
【
図2】
図2は、限界的な動作位置にある装置を示した
図1と同様な図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る装置の僅かに異なる実施形態の斜視図である。
【
図6】
図6は、2つの部品に分解されるサポートアームを備えたウインドスクリーンサポートアッセンブリの概略図である。
【
図7】
図7は、
図5の構成のサポートアームの2つの部品間の接続部を示した概略断面図である。
【
図9】
図9は、本発明による装置に用いるアンカー装置の他の実施形態を示した拡大された斜視図である。
【
図10】
図10a乃至
図10cは、本発明に係る装置で用いるウインドスクリーンアンカー装置の他の実施形態(ツーピース型サポートロッドの保管時の構成)を示した図である。
【
図11】
図11a乃至11cは、本発明に係る装置で用いるウインドスクリーンアンカー装置の他の実施形態(ツーピース型サポートロッドの保管時の構成)を示した図である。
【
図12】
図12は、本発明に係る装置で用いるアンカー装置の他の実施形態の概略的な斜視図である。
【
図15】本発明の装置で用いるウインドスクリーンアンカー装置の他の実施形態の概略図である。
【
図16】本発明の装置で用いるウインドスクリーンアンカー装置の他の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
先ず
図1及び
図2を参照すると、ウインドスクリーン据付装置1が、サイドウインドウマウントアッセンブリ3と協働するウインドスクリーンアンカーアッセンブリ2の形で示されている。図示の実施形態では、EP1923243号公報に示された構成と同様に、サイドウインドウマウントアッセンブリ3が車のサイドウインドウに据付けられるように構成されている。
【0045】
サイドウインドウマウントアッセンブリ3は、EP1923243号公報(特に当該書類の
図11)に示された構成とほぼ同様であって、コネクティングアーム5にピボットハブ7により回動可能に取付けられたスイングアーム4を備えている。
【0046】
コネクティングアーム5はブラケット8を備え、該ブラケット8は、ポンプにより駆動される吸引装置9に接続されている。吸引装置9は、ポンプが駆動されたときに、車のサイドウインドウをしっかりとつかんで(吸引して)マウントアッセンブリ3を据え付ける。ブラケット5は、必要時にロック位置から解放されて下方に枢動し、最終的にウインドスクリーンを車のウインドウの開口部に位置させる。この機構は従来技術であるEP1923243号公報に記述されている。
【0047】
マウントアッセンブリ3は、概略、ピボットロッド(又はUS7610666号公報に示されたようなピン)の代りに、改良されたマウント構造体11が設けられている点で、EP1923243号公報に示された構成と相違している。改良されたマウント構造体11は、相対する直立した側壁部11a,11bと上方への開口部11cとを有するU字形のマウント構造体(この構造体はY形構造体、(ボートの)オール受け形の構造体、或いは鞍形構造体と記述することもできる。)を備えている。マウント構造体11は、スイングアーム4から上方に延びる柱状部材12に回転自在に取り付けられていて、柱状部材12により画定される垂直軸線または鉛直軸線の周りを回転することができるようになっている。
【0048】
ウインドスクリーンアンカーアッセンブリ2は、装置9と同様のポンプ駆動真空吸引装置14を備えており、真空吸引装置14は、ブラケット15により細長く強固なサポートアームロッド16に取り付けられている。サポートアームロッド16の吸引装置14から離れた側の端部には、球体状のストッパ部材17が設けられている。ロッド16は、2部品により構成されていて、その長さ方向の途中の位置で接続用継手部18により接続されている。
【0049】
図に見られるように、サポートアームロッド16は、開口部11cを通してマウント構造体11内に下降されて、直立した側壁部11a,11bの間に受け止められる。サポートアームロッド16は、この位置でその相対する(互いに反対側の)端部の間の部分がマウント構造体11と係合する。そのため、ロッド16はU字形のマウント構造体11のベース部分と接触して、マウント構造体11内に支持されたままの状態でその長さ方向にスライドすることができる。サポートアームロッド16は、マウント構造体11を通過してその全体が一体となってその長手方向に(
図2の矢印A方向に)変位する。マウント構造体11はまた回転可能な取付具7上で支柱(spar)12に対して(
図2の矢印B方向に)回転することができる。またロッド16はほぼ円形な断面を有しているため、マウント構造体上に着座した状態で該ロッド自体の軸線の周りを(
図2の矢印C方向に)回転することができる。
図2においては、装置がその細長いサポートロッド16を一方向にその限界位置まで伸した状態で図示されており、この限界位置では、球状のストッパ部材17がマウント構造体11の側面と接触する状態に近づいている。そのため、球状のストッパ部材17は、細長いサポートアーム16がスライド変位してマウント構造体11から外れるのを阻止する。
【0050】
マウント構造体は、回転するように取り付けられたプーリーホイール又はローラを備えていて、サポートアームを該プーリーホイール又はローラの上に載せてスライド変位させるようになっていてもよい。しかしながら、殆どの場合、サポートアームをマウント構造体上で直接スライドさせることで十分である。
【0051】
使用に際しては、サイドウインドウマウントアッセンブリ3が車のサイドウインドウに取り付けられ、ウインドアンカーアッセンブリ2が、従来技術を示すEP1826044,EP1923243及びUS7610666に開示された取り付け方と同様の取り付け方で、ウインドスクリーンに取り付けられる。
【0052】
取付け操作を行う技術者は、次いで、サポートアームロッド16がその長さ方向に沿ったいずれかの位置でマウント構造体11の直立壁11a,11bの間に受け止められた状態になる位置までサポートアームロッド16を下降する必要がある。
【0053】
従来技術文献であるEP1826044,EP1923243及びUS7610666に開示された取り付け方では、技術者がウインドスクリーンアンカーアッセンブリの開口部をサイドウインドウマウントに設けられた取付けピンの上に配置することが必要とされる。ウインドスクリーンと支持装置とを含む総重量を支えた状態で、この取付け作業をある距離を置いて行うことは容易ではない。本発明によれば、サポートアーム16とマウント構造体11とを係合させる際の位置合せが非常に簡単で、従来技術において係合ピンと係合孔とを係合させる際の位置合せに比べて、細かい位置合せを必要としないという点で、従来技術に勝る改良がなされる。
【0054】
サポートロッド16がマウント構造体11内に受け止められた状態では、技術者によるウインドスクリーンの位置決め操作もまた容易に行うことができる。何故なら、サポートロッド全体が変位することと、サポートロッドがマウント構造体11に対してスライド変位することと、サポートロッド16がその中心軸線の周りに回転することと、マウント構造体11が直立した支柱12により画定される鉛直軸線の回りを容易に回転することとにより、サポートロッドの多方向への変位を容易に行わせることができるからである。サポートアームロッド16は更に、マウント構造体11の回りの垂直面内で旋回運動を行うことができる。
【0055】
本発明による装置は、US7610666で工夫された支持ブロック68や、EP1826044に開示された伸縮構造と比べて、サポートアームロッド16の動きを抑制するように工夫される支持部を有しないため、重量を軽くすることができ、従来技術による装置よりも更に頑丈にすることができる。例えば、本発明のウインドスクリーンアンカーアッセンブリのサポートアームロッド16が傷ついたり、僅かに曲がったりしたとしても、装置の操作が著しく損なわれることはない。本発明の装置は、このような状態でも満足に動作するであろうし、サポートアームロッド16をマウント構造体11内で完全にスライドさせて、装置の使途を完遂することができるであろう。
【0056】
損傷を受ける可能性という点で本発明とEP1826044又はEP1923243の伸縮可能ロッドとを比較すると、EP1826044又はEP1923243の伸縮可能ロッドは使用を継続することができなくなるという結果を招きやすい。同様に、US7610666の吸引装置を支持しているロッドも、損傷する可能性があることにより、装置が操作不能な状態になり易いという結果を招く可能性がある。
【0057】
図3に最も明瞭に示されているように、サポートアーム
16は、マウント構造体11を軽々と通過してスライドすることがないように設けられた摩擦抵抗部分又は抵抗部分35を備えていてもよい。摩擦抵抗部分35がマウント構造体11に接触した際に摩擦が増加させられるということは、スイングアーム4がピボットアーム107の回りを一層容易に枢動することを意味する。摩擦抵抗部分35はこのように利用することができるが、ユーザが、高い摩擦抵抗を有する高摩擦抵抗部分35を、マウント構造体11を通過させて変位させることを望む場合には、ロッド16を更に一押し(又は一突き)することにより、摩擦部分を、マウント構造体11を通して変位させることができる。
【0058】
高摩擦抵抗部分は、ロッドの長手方向に沿った所定の位置に固定された比較的高い摩擦抵抗を有する摩擦抵抗材料とすることができるが、これに代えて、例えば、ロッドに設けたギザギザ部分とすることもできる。またロッドの断面積を変化させるか又は段付き部を設けることによっても、そのような効果を得ることができ、例えば、断面にくびれ部を設けたり、ロッドの径方向に段差部を設けたりすることによってもそのような効果を得ることができる。高摩擦抵抗部分又は段付き部は、通常は、ロッド16の端部であるロッド16のストッパ部材17に比較的近い位置に設けられる。
【0059】
本発明の装置のサポートアームロッド16は、接続用継手部18により分解することができる。
図7及び
図8に示されているように、ロッドの第1の部分16aの継手部20は、第2のロッド部16bの雌型継手部21内に受け止められる。継手部20はロッドの第1の部分16aの内部に挿入されたインサート24を備えている。インサート24はカラー25を備えていて、外側にネジが設けられたインサート26がカラー25に受入れられて支持されている。
【0060】
継手部21は、雌型インサート27を有していて、ネジが設けられたインサート26と螺合するネジが内面に設けられたネジ孔31を有する更に他のインサート28がインサート27に受入れられて支持されており、インサート28にはカラー25と緊密に嵌合する支持部29が設けられている。これにより、ネジによる強固な接続が達成され、如何なる曲げ変位もカラー25と支持面29との接触部で負担される。
【0061】
図15及び
図16は、ウインドスクリーンアンカーロッド416の2つの部分416a及び416bの他の構成を示している。この実施形態では、部分416bに端部ストッパ部材417が設けられている。端部ストッパ部材417が設けられた部分416bには、また、係合用カラー425から外側に延びる係合ピン426を備えた雄型コネクタ420が設けられている。係合ピンはバネが装着された一対の戻り止め424を備えた部品である。戻り止め424は、
図15及び
図16に示されたように外側に突出した状態になるノーマル位置から、後退してアンカーロッド416bの外面と面一になる位置に達するまでの間バネで付勢された状態にされるように設けられている。(戻り止めの)後退機構は、アンカーロッド416bの全長に亘って延びて、端部ストッパ部材417内に設けられたバー495を貫通して操作用端部493に達する後退ロッド492を備え、操作用端部493は端部ストッパ部材417に設けられた凹所494内に突出している。後退ロッドの操作用端部493を押すことにより、後退ロッド492を変位させて、ピン426の内部に設けられた機構を動作させ、これにより、戻り止め424を引っ込める。
【0062】
ロッド部分416aの雌型コネクタが設けられた端部421には、カラーインサート428が設けられ、このインサートは、係合用カラー425又はロッド部
416bに衝合する面を形成するように設けられている。係合用カラー425及びインサート428の表面には、これらの2つの部品のかみ合いを容易にするために、テーパが付けられている。カラー形インサート428には締め付け部427が設けられており、締め付け部427は、戻り止め424が引っ込んでいる場合にのみ係合ピン426を通過させることができるように形成されている。係合ピン426が締め付け部427を通して挿入され、戻り止めがバネで外側に戻されると、係合ピンが固定されて、2つの部分416a及び416bが接続される。
【0063】
本構成によれば、ユーザーは、ロッドの端部であるストッパ部材417のところで操作用端部493を押すことにより、2つのロッド部分416a,416bを、迅速かつ扱いやすく、接続したり切り離したりすることができる。
【0064】
図9には、サイドウインドウアンカーアッセンブリ103の他の実施形態が示されており、このアッセンブリ103は、先の図に示されたサイドウインドウアンカーアッセンブリ3と置き換えることができるものである。本実施形態では、装置に、更に有意な技術的改善がなされている。特に、図示の実施形態においては、ポンプにより駆動される吸引装置109に、ブラケット108に回転可能に取り付けられた取付け用ボス160を介してコネクティングアーム105が取り付けられている。ブラケット108は、吸引装置のボス160の中央の孔161を受ける取付け用の差込み部(図示せず。)を備えていてもよい。コネクティングアーム105は、2つの極限位置(例えば180度離れた位置)の間を枢動することができるようになっていて、
図9に示された吸引装置
109から離れる方向又はそれとは反対の方向に延びる。これにより、サイドウインドウアンカーアッセンブリ103を、ユーザーの好みに従って、乗客側サイドウインドウ又は運転者側のサイドウインドウの何れにも取り付けることができる。
【0065】
装置をセットする過程で(又はセットする前に)アーム105を所望の方向に向けて枢動させる際には、アーム105を所望の位置に固定することができる。このことは、吸引ボス160の頂部にクランプキャップ170をボルトにより固定することにより達成することができる。
【0066】
上記のようにする代わりに、ボスの孔161を受ける据付け用差込み部(図示せず)の上部に、キャップ170内にねじ込むことができるネジ付き部を設けて、キャップを回転させてボス160にしっかりと締め付けることにより、ボス160を所定の位置に固定し得るようにすることもできる。吸引ボス160を所定の位置に固定するために、種々の手段を想定することができるのは明らかである。重要なのは、アーム105を回動させて、該アームを互いに反対の2方向の内の一方に沿って、吸引装置109から離れていく方向に伸すことができるようにしておくことである。
【0067】
前に示した図に示された構成においては、スパー(支柱)(spar)12にピボットハブ7が設けられていて、このピボットハブが、スウイングアーム4が鉛直方向の軸を中心にして両側に枢動するのを許容している。同様に、
図9の構成においては、鉛直軸線Xを中心に回転することができるピボットハブ107が設けられていて、このピボットハブ107により、スウイングアーム104がピボットハブ107との接続部を介して両側に(横並びに)枢動するのを可能にしている。しかしながら、
図9の構成においては、更に、スパー112が、昇降するインデックス(指標)ハブ150を備えていて、このインデックスハブがコネクティングアーム105の長手方向の軸線の回りを回転することができる。これにより、マウント111の昇降が可能にされる。これを達成するため、プレート193は、コネクティングアーム105とブレーキディスク195に固定され、またインデックスホイール180がアーム105に取り付けられている。インデックスホイール180は、周方向に配列された一連の指標用凹部又は孔部を備えていて、該指標用凹部又は孔部がインデックスピン(指標ピン)190の端部を受入れる。インデックスホイールは、インデックスハブ150に形成された円筒状のハウジング155内で回転する。インデックスホイール180及びブレーキディスク195は、ハウジング155とプレート193との間にしっかりとクランプされている。ハウジング155はまたインデックスピン190を保持している。インデックスピン190は、ばね負荷されていて、インデックスピン190を引っ張って、インデックスホイール180に設けられたインデックス用凹部とインデックスピンとの係合を外すことができ、インデックス凹部とインデックスピンとの係合を外すことにより、インデックスハブがコネクティングアーム105の軸線を中心に回転することが許容される。所望の位置に達したとき、インデックスピンが解放されると、インデックスホイールと係合した状態に復帰して、インデックスハブは、コネクティングアーム105の軸線に対する回転が方向付けされる。インデックスホイール180に設けられた選択された関連するインデックス用凹部内にインデックスピンが完全に係合することができるのを保証するために、カム兼ハンドル構成体175は、インデックスホイール180のスロット178に受入れられてインデックスホイールを微調整するカム176を含んでいる。このように、コネクティングアーム105の軸線の向きに対してインデックスハブ150を角度調整するようにすると、車のサイドウインドウ上の領域内の適当な位置に装置をセットするのに有益である。
【0068】
この特徴は、更に、ウインドスクリーンのエッジを所定の位置に向けて下降させるのを容易にするのにも用いることができる。この場合、ユーザーが端部ストッパ17の近くでロッド16を保持すると、インデックスピン190を解放して、マウント構造体111を下向きに(矢印Y方向に)回転させることができ、これにより、車のウインドスクリーン用開口部内に下降させられるガラスのエッジに対して障害物となるものを最早生じさせないようにすることができる。本発明の構成は、サイドウインドウアンカーアッセンブリ向きに効果的に設計されて上記の効果を達成する有意な手段を提供するという点で、上記の効果を達成する従来技術とは著しく相違する。本発明の構成は、マウント構造体111を下降位置と上昇位置との間で変位させることを可能にする回転式又は枢動式取付構造体を効果的に提供する。
【0069】
特定の操作の状況に対して要求されるか好ましいなら、アーム104が垂直軸線Xを中心に回動するのを阻止するために、ピボットハブ107には、固定ピン198を受け入れるための受入れ孔196が設けられる。
【0070】
図12乃至し
図14には、サイドウインドウアンカーアッセンブリ303の更に他の実施形態が示されている。この実施形態のサイドウインドウアンカーアッセンブリは、既に記述された実施形態(複数)のサイドウインドウアンカーアッセンブリの代りに用いることができる。この実施形態のサイドウインドウアンカーアッセンブリ303は、(コネクティングアーム305の向きを反転させることにより)乗客側のサイドガラス又は運転者側のサイドガラスに使用するのに適合させることができる点、及びスウイングアームピボットハブ307をコネクティングアーム305の長手方向の軸線の周りに(
図12の矢印X方向に)枢動させることができるようにするために昇降インデックスハブ350が設けられている点で、
図9のサイドウインドウアンカーアッセンブリ103にほぼ一層類似している。
【0071】
この実施形態では、昇降インデックスハブ350がコネクティングアーム305の吸引装置309側に設けられて吸引ブラケット308に取り付けられている。コネクティングアーム305は、フレーム357により取付け用プラットフォーム330に固定された端部ベアリング327に一端を回転可能に取り付けている。フレーム357は、弧状歯付レールを有する内面を備え、ロッキングギア380とロッキングカム376とのアッセンブリがコネクティングアーム305の端部に取り付けられている。ロッキングギア380は、コネクティングアーム305の端部と共に回転するように固定され、ロッキングカム376は回転可能で、操作ハンドル392に接続されている。ロッキングカム376は、カムハンドル392に隣接させて径方向に位置決めされたカム凹部377を備えている。カムハンドル392を(
図13に示されるように)水平位置に回動すると、カム凹部377がロッキングギア380に隣接しない状態にあり、ロッキングギア380は、ロッキングカム376のカム部分により上方に押されて、ギアレール372と係合した状態にされる。この位置では、レール372及びロッキングギア380の歯部が噛み合い、アーム305が回転しないように保持される。ロッキングギア380は直線変位のみを行うように規制されている。カムハンドル392が(
図14に示されるように)垂直位置に回動すると、カム凹部377がロッキングギア380に隣接した状態になって、ロッキングギアがカム凹部377内に入り込むように下降する(この目的のために図示しないバイアス用バネが設けられている)。ロッキングギア380が下降位置にあると、レール372の歯部とロッキングギア380とが噛み合い状態から外され、コネクティングアーム305がその支持ベアリング327で(
図12の矢印X方向に)回転することができ、スウイングアームピボットハブ307がマウント111を容易に下降動作することできるようにする。
図15に示されているように、ロッキングギア380とロッキングカムは、コネクティングアーム305と共に回転することができる。ロッキングギア380は、一定の角度範囲にわたって、固定されたギアレール372と係合することができる。これにより、技術者が異なる車にセットするために位置調整を行うことが可能になる。回転可能なベアリング327は、コネクティングアーム305の動きに制動をかけるための制動装置を備えることができる。これにより、無制御な下降変位と車の損傷の危険を防止する。
【0072】
図13乃至
図15の実施形態においては、取付け用プラットホーム330を外して、その取付け位置を180度反転させ、ブラケット308に再固定することにより、サイドウインドウアンカーアッセンブリを車の反対側のサイドで使用するためにその向きを反転させることができる。典型的には、この目的のために、取付けネジ又はボルトが用意される。
【0073】
前に説明したように、ウインドスクリーンサポートロッド16は、接続継手部18を備えた2部品の形態で形成されている。
図10a及び10bに示された構成においては、ウインドアンカーアッセンブリ202が、サポートロッド116が別個の部品216a及び216bに分解された状態で保管できるように分解性を有する。ロッド216aの固定末端は、吸引装置214から樹脂成形覆い部276を経て外側に延びている。ロッド部品216bの端部に設けられた雌型コネクタ221は、吸引装置据付け用ブラケット215に取り付けられた受けソケット285と協働して切り離し可能に係合するように構成されている。受けソケット285は、第2のロッド部品216bの雌型継手221と螺合するためのネジが設けられた雄型のシャフト289を備えている。ロッド216bの端部は、先ず、取付け用ブラケット215上に設けられた支持用カラー286を通過する。図示の位置では、延長用ロッド部分216bは、吸引装置214に固定的に取り付けられて、固定ロッド部品216aと横並びの関係で延びている。操作の目的で、固定ロッド部品216aは、(ほぼ7°の)傾斜角で外側に延びている。
図10aに示された構成では、延長用ロッド部品216bは、傾斜させられることなく、ほぼ水平方向に延びている。
【0074】
本装置は、ユニット全体の寸法を保管に備えて小形化した形で、延長用ロッド部品216bを保管するための便宜な手段を提供する。本装置は、ウインドスクリーンアンカー吸引装置214と、このウインドスクリーンアンカー吸引装置から離れる方向に延びていて保管のために部品216a及び216bに分解することができる細長いサポートアームとを備えたウインドスクリーンアンカーアッセンブリを有効に提供し、このアンカー吸引装置214及び分解されたアーム部品216bは、保管の目的で相互に結合する手段221及び285を備えている。
【0075】
ある場合には、延長用ロッド部品216bと固定されたロッド部品216aとの間を接続するネジ接続以外の他の手段、例えば、バヨネット式の嵌め合せ部や、他のクイックリリース式の嵌め合せ部を設けることが想定される。このような場合には、吸引装置取り付け用ブラケットに設けられた延長用ロッド部品216bの端部を受け止める手段が、延長用ロッド部品216bの端部と必要とされる強固な接続をもたらすように構成される必要がある。
図11a乃至11cを参照すると、
図10a乃至
図10cに示された構成にほぼ類似した構成が示されている。しかしながら、図示の構成においては、延長用ロッドブラケット285は、固定されたロッド部品216aの傾斜角に相応した傾斜角を持って延長用ロッド部品216bを受け止めるように構成され、配置されている。
【0076】
本発明の装置は、使用に便利で丈夫である上に著しく軽量であり、従来の装置よりも安価に製造することができる。
【0077】
本発明の装置は主として、サイドウインドウに固定されるマウントとして説明されたが、その最も広い範囲内で、他のマウント、例えばフロアーに取り付けられるマウントや車の屋根に取り付けられるマウントにも用いることができることは理解されるであろう。