特許第6111255号(P6111255)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6111255
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】ガスセンサを検査するための方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/404 20060101AFI20170327BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   G01N27/404 341Z
   G01N27/416 323
   G01N27/416 381
   G01N27/416 376
   G01N27/416 311A
   G01N27/416 311G
   G01N27/404 341A
【請求項の数】16
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-535923(P2014-535923)
(86)(22)【出願日】2012年10月12日
(65)【公表番号】特表2014-528594(P2014-528594A)
(43)【公表日】2014年10月27日
(86)【国際出願番号】US2012059968
(87)【国際公開番号】WO2013059087
(87)【国際公開日】20130425
【審査請求日】2015年10月9日
(31)【優先権主張番号】61/698,153
(32)【優先日】2012年9月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/547,245
(32)【優先日】2011年10月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/650,613
(32)【優先日】2012年10月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515150586
【氏名又は名称】エムエスエー テクノロジー, リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】シェフラー,タウナー,ベネット
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,グレゴリー,エル.
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,マイケル,アルヴィン
【審査官】 黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−509589(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/094118(WO,A1)
【文献】 米国特許第07413645(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26−27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムのハウジング内の検体ガスを検知するための少なくとも一つの電気化学センサを有する前記システムを検査する方法であって、
前記システムの前記ハウジングが、吸気口と、前記ハウジング内の第二センサであって、前記検体ガス以外の化学成分の濃度の変化に対して反応する第二センサと、一以上の拡散部材であって、ガスがそこを通って拡散するが液体がそこを通る移動性を制限した一以上の拡散部材とを有し、前記一以上の拡散部材が、前記吸気口の外部環境と前記電気化学センサおよび前記第二センサとの間にあるように、前記電気化学センサおよび前記第二センサは、前記システムの前記ハウジング内に配置され、
前記システムの前記ハウジングの前記吸気口付近に前記ハウジング内における前記検体ガス以外の前記化学成分の前記濃度を変化させるために息を吹き込むことと、
前記システムの前記吸気口と前記少なくとも一つの電気化学センサとの間で、前記システムの一以上の移送経路であって、前記一以上の拡散部材のそれぞれを通過する移送経路を検査するために、前記第二センサを介して、吹き込んだ息に応じた前記検体ガス以外の前記化学成分の前記濃度の変化を測定することと、
前記少なくとも一つの電気化学センサに電気信号を作用させることと、
前記電気信号に対する前記電気化学センサの反応を測定することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第二センサが、吹き込んだ息内のガスに反応する電気化学的活性電極を備え、前記第二センサの前記反応を測定することは、前記電気化学的活性電極の前記反応を測定することを含む、請求項記載の方法。
【請求項3】
前記電気化学的活性電極が二酸化炭素または酸素に反応する、請求項記載の方法。
【請求項4】
定電流を前記電気化学センサの第一の作用電極と対向電極との間に流し、前記測定される反応が電位差である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記電気化学センサの第一の作用電極と対向電極との間に定電位差が保持され、前記測定される反応が電流である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記電気化学センサが電流測定センサである、請求項1記載の方法。
【請求項7】
少なくとも一つの検体ガスを検知するためのシステムであって、
吸気システムを備えているシステムハウジングと、
一以上の拡散部材であって、ガスがそこを通って拡散するが液体がそこを通る移動性を制限した拡散部材と、
前記システムハウジング内にあり、一以上の拡散部材のそれぞれを介して前記吸気システムと流体的に接続し、前記少なくとも一つの検体ガスに反応する少なくとも一つの電気化学センサと、
前記システムハウジング内にあり、前記一以上の拡散部材のそれぞれを介して前記吸気システムと流体的に接続し、前記電気化学センサが反応する前記少なくとも一つの検体ガスまたは模擬ガスの追加による以外の前記吸気システム付近に作り出された少なくとも一つの駆動力に反応し、前記吸気システムと前記一以上の拡散部材のそれぞれを通過する移送経路を含む前記電気化学センサとの間の移送経路の状態の指標を与える少なくとも一つの他のセンサと、
前記少なくとも一つの電気化学センサに電気信号を作用させるために前記電気化学センサに電気的に接続された電力供給装置と、
前記電気信号に対する前記電気化学センサの反応を測定する電気回路と、を備えている、システム。
【請求項8】
前記駆動力が、息の吹き込みによって引き起こされるガス濃度の変化、湿度の変化、温度の変化、圧力の変化、または流量の変化である、請求項記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも一つの他のセンサは、前記少なくとも一つの駆動力に対する電気化学的活性電極を備える、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記電力供給装置は、前記電気化学センサの第一の作用電極と対向電極との間に電流を流すように構成され、前記測定された反応は、電位差である、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記電力供給装置は、前記電気化学センサの第一の作用電極と対向電極との間に電位差を保持するように構成され、前記測定された反応は、電流である、請求項に記載のシステム。
【請求項12】
前記電気化学センサは、電流測定センサである、請求項に記載のシステム。
【請求項13】
前記電気化学センサは、前記検体ガスに反応する第一の作用電極を備え、前記少なくとも一つの他のセンサは、前記少なくとも一つの駆動力に反応する第二の作用電極を備える、請求項に記載のシステム。
【請求項14】
前記電気化学センサは、内部に少なくとも一つの吸気口を備えたセンサハウジングを備え、前記第一の作用電極および前記第二の作用電極は、前記センサハウジング内に配置されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第一の作用電極および前記第二の作用電極のそれぞれは、拡散膜上に置かれた電極触媒活性物質を個々に備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記第一の作用電極は、第一の拡散膜上に置かれた電極触媒活性物質を備え、前記第二の作用電極は、第二の拡散膜上に置かれた電極触媒活性物質を備える、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国仮特許出願第61/547,245号(2011年10月14日出願)、米国仮特許出願第61/698,153号(2012年9月7日出願)、および米国特許出願第13/650m613号(2012年10月12日出願)の利益を主張するものであり、その開示は参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
例として、以下に開示する装置、システムおよび/または方法を含む特定の技術、ならびにそのような技術を用いることができる代表的な環境の理解を援助するために、以下の情報が読者に与えられる。本明細書に用いる用語は、本文書において特に明確に指定しない限り、いかなる特定の狭い解釈に限定されることを意図しない。本明細書に説明する参考文献は、技術またはその背景技術の理解を容易にすることができる。本明細書に引用するすべての参考文献の開示は、参照により組み入れられる。
【0003】
思慮があれば、ガス検知機器が機能性を一定の間隔で検査されることが要求される。例として、携帯用ガス検知機器に「バンプ試験」または機能性試験を日常的に実施することが慣習となっている。この検査の目的は、一般に機器と称されるガス検知システム全体の機能性を保証することである。定期的なバンプ試験または機能性試験は、例として、完全な較正間の期間を長くするために、恒久的なガス検知機器にも実行することができる。ガス検知システムは、少なくとも一つのガスセンサ、電子回路、および電力供給装置を含み、センサを駆動してその反応を解釈し、そしてその反応をユーザに表示する。システムは、そのような構成要素を囲んで保護するためのハウジングをさらに含む。バンプ試験は、通常、a)対象となるガス(通例、機器が検知することが意図される目標ガスまたは検体ガス)を加えることと、b)センサ反応を収集して解釈することと、c)エンドユーザにシステムの機能状態(換言すれば、機器が適切に機能しているか否か)を示すことと、を含む。
【0004】
そのようなバンプテストは、定期的に、通常では毎日実行される。バンプ試験は、ガス検知装置が適切に作動していることの比較的高程度の保証をユーザに与える。バンプ試験は、警報レベルの有害ガスを検知するのに必須の試験と同じように、ガス検知装置のすべての部品のすべての必須の機能性について行われる。その意味で、バンプ試験は、(例として、任意の保護膜および/または拡散膜を含む)任意の移送経路を通って能動的センサの構成要素に連絡する、機器の外部からのガス送出が有効であることを保証する。バンプ試験はまた、センサそれ自体の検知特徴が適切に作動しており、センサが正常の反応作用または信号を与えることも保証する。バンプ試験はさらに、センサが、それが関連する電力供給装置および電子回路に適切に接続し、センサ信号が適切に解釈されることも保証する。なおさらに、バンプ試験は、ガス検知機器のインジケータ(一つまたは複数)またはユーザインターフェース(一つまたは複数)(例として、表示および/または告知機能)が意図する通りに機能することも保証する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、定期的なおよび/または毎日のバンプ試験の要件には、多くの重大な欠点がある。例として、そのようなバンプ試験は、とりわけ、多数のガス検知システムまたは機器を含む設備では多くの時間を要する。バンプ試験はまた、高価かつ潜在的に危険な較正用ガスを使用する必要性も生じる。さらに、バンプ試験は、通例、加圧ガスボトル、減圧弁および管類を含む特殊なガス送出システム、ならびに較正用ガスを機器に正確に供給するためのアダプタも必要となる。特殊なガス送出システムの要求は、多くの場合、ガス送出設備の可用性により、個人使用のガス検知装置についてのバンプ試験の機会がある場所および時間に制限されることを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、システムを検査する方法において、このシステムは、システムのハウジング内の検体ガスを検知するための少なくとも一つの電気化学センサを有し、このハウジングは吸気口を有し、この方法は、システムの一以上の移送経路を検査するために、システムのハウジングの吸気口付近に息を吹き込むことと、吹き込んだ息に対する反応を測定することと、を含む。吹き込んだ息に対する反応の測定は、例として、吹き込んだ息の存在に反応する、システムのハウジング内のセンサの反応の測定を含むことができる。吹き込んだ息の存在に反応するセンサは、例として、吹き込んだ息内のガスに反応する電気化学的活性電極を含むことができる。電気化学的活性電極は、例として、二酸化炭素または酸素に反応することができる。
【0007】
方法は、検体ガスの存在を電子的にシミュレートし、電子シミュレーションに対する電気化学センサの反応を測定することをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、定電流を電気化学センサの第一の作用電極と対向電極との間に流し、測定される反応が電位差となる。いくつかの実施形態では、電気化学センサの第一の作用電極と対向電極との間に定電位差が保持され、測定される反応が電流となる。電気化学センサは、例として、電流測定センサでもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、電気化学センサは、検体ガスに反応する第一の作用電極と、吹き込んだ息内のガスに反応する第二の作用電極と、を含む。電気化学センサは、例として、その内部に通じる少なくとも一つの吸気口を含むセンサハウジングを含むことができ、第一の作用電極および第二の作用電極は、センサハウジング内に位置付けられる。第一の作用電極および第二の作用電極の各々は、例として、個々に、ガスがそこを通り拡散できる多孔質膜上に沈積される電極触媒活性物質を備えることができる。
【0009】
別の態様では、システムは、システムハウジングと、システムハウジングに形成された少なくとも一つの吸気口と、システムハウジング内の検体ガスを検知するための少なくとも一つの電気化学センサと、システムハウジング内に吹き込んだ息の存在に反応する少なくとも一つのセンサとを含む。吹き込んだ息の存在に反応するセンサは、例として、吹き込んだ息内のガスに反応する電気化学的活性電極を含むことができる。電気化学的活性電極は、例として、二酸化炭素または酸素に反応することができる。
【0010】
システムは、電気化学センサに電子的に問い合わせるシステムをさらに含むことができる。電気化学センサに電子的に問い合わせるシステムは、例として、検体ガスの存在を電子的にシミュレートし、電子シミュレーションに対する電気化学センサの反応を測定する電気回路を含むことができる。いくつかの実施形態では、電気回路は、定電流を電気化学センサの第一の作用電極と対向電極との間に流すように構成され、測定される反応が電位差となる。いくつかの実施形態では、電気回路は、電気化学センサの第一の作用電極と対向電極との間の定電位差を保持するように構成され、測定される反応が電流となる。
【0011】
電気化学センサは、例として、検体ガスに反応する第一の作用電極と、吹き込んだ息内のガスに反応する第二の作用電極と、を含むことができる。電気化学センサは、例として、センサハウジングの内部に通じる少なくとも一つの吸気口を含むセンサハウジングを含むことができ、第一の作用電極および第二の作用電極は、センサハウジング内に位置付けられる。第一の作用電極および第二の作用電極の各々は、例として、個々に、ガスがそこを通り拡散できる多孔質膜上に沈積される電極触媒活性物質を含むことができる。
【0012】
さらなる態様では、少なくとも一つの検体ガスを検知するためのシステムは、吸気システムと、ハウジング内にあり、吸気システムと流体的に接続する電気化学ガスセンサとを備えたシステムハウジングを含む。電気化学センサは、少なくとも一つの検体ガスに反応する。システムは、ハウジング内にあり、吸気システムと流体的に接続する少なくとも一つのセンサをさらに含む。このセンサは、電気化学センサが反応する少なくとも一つの検体ガスまたは模擬ガスの追加による以外の吸気システム付近に作り出された少なくとも一つの駆動力に反応し、吸気システムと電気化学ガスセンサとの間の移送経路の状態の指標を与える。
【0013】
駆動力は、例として、息の吹き込みによって引き起こされるガス濃度の変化、湿度の変化、温度の変化、圧力の変化、または流量の変化であり得る。いくつかの実施形態では、駆動力は、吸気システム付近の息の吹き込みによって作り出される。
【0014】
なおもさらなる態様において、ハウジングおよびハウジングにおける吸気口を有するシステムにおける少なくとも一つの移送経路を検査する方法では、システムの主要機能は、吹き込んだ息の特性を測定すること以外にも、システムの少なくとも一つの移送経路を検査するために、ハウジングの吸気口付近に息を吹き込むことと、吹き込んだ息に対する反応を測定することと、を含む。
【0015】
本発明は、その特質およびそれに伴う利点とともに、添付図面と併せた以下の詳細な説明を考慮して最もよく認識および理解される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ユーザが吹き込んだ息が、吹き込んだ息の少なくとも一つの特性に敏感なセンサを囲むハウジングを含むシステムの吸気口に作用する方法でのユーザの吹き込みを例示する図である。
図2A】少なくとも一つのセンサを含むシステムまたは機器の実施形態を例示する概略断面図である。このセンサは、検体に敏感なまたは反応する第一の作用電極と、例として、吹き込んだ息の存在に関連する駆動力に敏感なまたは反応する第二の電極と、を含む。
図2B】ガス拡散空間および多孔質のガス拡散膜と流体的に接続するようにガス注入穴が形成されたハウジングのふたを含む図2Aのセンサの一部分を例示する拡大垂直断面図である。第一の作用電極および第二の作用電極は、拡散膜の内側に形成される、または取り付けられる。
図2C図2Bに例示したセンサの一部分を例示する底面図である。
図3A】検体に敏感なまたは反応する第一の作用電極と、吹き込んだ息の存在に敏感なまたは反応する第二の電極とを含むセンサの別の実施形態を例示する斜視拡大図である。第一の作用電極は第一の拡散膜に形成され、第二の作用電極は第二の拡散膜に形成される。
図3B】機器またはシステムハウジング内の図3Aのセンサを例示する断面図である。
図3C】2つのガス注入穴が形成されたハウジングのふたを含む図3Aのセンサの一部分を例示する拡大垂直断面図である。第一の作用電極および第二の作用電極の各々は、2つのガス注入穴のうちの1つに大まかに位置を合わせる。
図3D図3Cに例示するセンサの一部分を例示する底面図である。
図3E】検体に敏感なまたは反応する第一の作用電極と、吹き込んだ息の存在に敏感なまたは反応する第二の電極とを含むセンサの別の実施形態を例示する概略断面図である。第一の作用電極は、第一のセル内に位置付けられた第一の拡散膜に形成され、第二の作用電極は、第二のセル内に位置付けられた第二の拡散膜に形成される。
図3F】延長スロットの形態の吸気口を有するハウジング、および吸気口と流体的に接続する拡散部材を含むセンサの別の実施形態の一部分を例示する垂直断面図である。
図3G図3Fのセンサを例示する上面図である。
図4図3Aのセンサの反応の試験を例示する図である。第一の作用電極は硫化水素に敏感であり、第二の作用電極は酸素に敏感であり、吹き込んだ息が接触され、15容積%の酸素と20ppmの硫化水素との混合物、それに続いて窒素が接触された。
図5A】この文書のシステム内にセンサ素子を形成するのに用いることができるリボンおよび配線を例示する図である。このセンサ素子は、システムの一以上の移送経路を検査するために、例として、吹き込んだ息に対する反応を測定するように構成される。
図5B】電極触媒物質で被覆または固定化された導電性リボンおよび導電性配線を含むこの文書のセンサ素子を例示する図である。
図5C】延長リボンよりも幅広の矩形の端部材を有する延長リボンを含むこの文書のセンサ素子を例示する図である。
図5D】端部材に固定化された電極触媒物質を有する図5Cのセンサ素子を例示する図である。
図5E】端部にらせん部分を有する延長配線を含むこの文書のセンサ素子を例示する図である。
図5F】らせん部分に固定化された電極触媒物質を含む図5Eのセンサ素子を示す図である。
図6】この文書の交互嵌合電極システムの実施形態を例示する図である。電極システムの第一の分岐は第一の電極触媒物質を含み、第二の分岐は第二の電極触媒物質を含む。
図7】この文書の電極システムの実施形態を例示する図である。第一の電極および第二の電極は、環状に形成されたガス多孔性の円板に支持される。
図8】検体、吹き込んだ息および窒素に反応する電極触媒物質を含むように作られた単一電極を有するこの文書の単一チャネルの電流測定センサの代表的な例の反応を例示する図である。
図9】この文書のシステムの動作モードまたは方法の代表的な実施形態を説明する決定木図を例示する図である。
図10】電気化学セルを表現するのに用いられる等価回路を例示する図である。
図11】電子的問い合わせのための測定電気回路の実施形態を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書および添付の請求項に用いられる、単数形「a」、「an」および「the」は、その文脈が別用に明確に示さない限り、複数への言及も含む。したがって、例として、「一つの移送経路」(a transport path)という言及は、そのような移送経路の複数、および当業者に公知のその均等物などを含み、「その移送経路」は、一以上のそのような移送経路、および当業者に公知のその均等物などを意味する。
【0018】
例として、図1に概略的に例示するように、いくつかの実施形態では、この文書の装置、システムおよび/または方法は、ガス検知または他のシステム10の移送特性を検査するように動作できる。この検査では、容器からシステム10の包囲ハウジング20の一以上の吸気口22に、検体ガスまたは模擬ガス以外(換言すれば、システムの分析電極からの反応を再現することによって、検体ガスをシミュレートするガス)の駆動力を加える。いくつかの実施形態では、駆動力は、例として、吸気口(一つまたは複数)22に吹き込んだ息の追加でもよい。ハウジング20は、例として、その内部に、吸気口22と流体的に接続する質量移送経路(例として、拡散経路)を含むことができる。経路は、例として、質量移送もしくは拡散部材または障壁30(例として、ガスが(例として、拡散によって)そこを通り動くことができるが、液体がそこを通ることは制限される、またはそこを通り移動できない膜)を含む、またはそれらと流体的に接続することができる。ハウジング20は、吹き込んだ息の存在に敏感なセンサ40を囲む。例として、センサ40は、(その濃度が吹き込んだ息の存在によって変化する)環境ガス、吹き込んだ息内のガス、湿度の変化、温度の変化、圧力の変化、流量の変化などに敏感であり得る。吹き込んだ息に対するセンサ40の反応は、システム10の一以上の移送経路の移送特性および/または機能性についての測定値を与える。
【0019】
本明細書に論じるいくつかの代表的な実施形態では、この文書の装置、システムおよび/または方法は、貯蔵した較正用(例として、検体または模擬)ガスを用いたガス検知機器のバンプ試験の必要性を減少または排除する。システム、装置および/または方法のそのような代表的な実施形態は、例として、(例として、米国特許第7,413,645号に記載されているような)内部でのセンサ機能性の電子的試験もしくは問い合わせ、接続および/または補正と、検体ガスまたは模擬ガスの存在以外の駆動力(例として、先に記載したような人間が吹き込んだ息の存在に起因する駆動力および/または可変の変化)に敏感な「補助」センサを用いた移送経路検査とを組み合わせることができる。
【0020】
多数のガス検知装置、機器またはシステム(例として、携帯用ガス検知機器)は、電流測定電気化学ガスセンサを含む。これらのセンサは、多くの場合に、動作の主要原理を指す「燃料電池」型センサと称される。そのような電気化学ガスセンサは、通常、バッテリもしくは他の電力供給装置、(例として、ポテンシオスタットを含む)適切な電子駆動回路、表示部、および一以上のアラーム(または、ユーザに危険レベルの有害もしくは有毒ガスの存在、または危険な酸素欠乏もしくは富化の状態を連絡する他の手段)を有する装置、システムまたは機器と組み合わされる、またはそれらに組み込まれる。センサ、電気回路および表示部は、通常、丈夫な、密閉されたハウジング内に収容される。そのような機器に関して用いられる「密閉された」という用語は、有害な環境危険(例として、ほこり、塗料または被覆剤などの凝縮蒸気、ならびに水および/または他の液体)からのセンサ、電気回路および表示部の保護を意味する。しかしながら、密閉されたハウジングは、外部の機器ハウジングからセンサそれ自体のハウジング内への目標または検体ガス(一つまたは複数)の有効な移動を継続的に提供する必要がある。多くの場合、この結果は、機器ハウジングの外側のほこり、蒸気および液体を締め出すが、移送される対象となる一以上の検体ガスをセンサそれ自体内に通す一以上の多孔質の拡散膜を用いて達成される。この移送は、通常、ガス拡散またはセンサの面へ、もしくはそれを通して検体ガス流をポンプすることによって達成される。
【0021】
先に記載したように、容器からの較正用ガスまたは模擬ガスを用いたガス検知システムおよび/または装置のバンプ試験の必要性が、例として、吹き込んだ息の存在などのシステムの吸気口付近における駆動力または可変の変化に敏感なまたはそれに反応するセンサ(例として、補助センサ)を提供することによって、減少または排除される。いくつかの実施形態では、(酸素以外の検体を検知するように機能する)センサを酸素に反応するようにさせる構成要素が、電流測定電気化学センサに提供される。人間が吹き込む息は、通常、4〜5体積%(vol%)の二酸化炭素(CO2)と、15.8〜16.8vol%の酸素(O2)とを含む。対照的に、環境大気は、約20.8vol%のO2と0.035vol%のCO2とを含む。したがって、ユーザが一以上の吸気口付近から検知システムまたは機器のハウジング内に息を吹き込むと、吹き込んだ息によって、ハウジング内のセンサ内の拡散体積内のガス体積(環境大気)が置き代えられる。環境大気と比較して濃度が減少した吹き込んだ息内の酸素に対する反応を利用して、ガス検知装置に用いることができる(例として、一以上のガス拡散膜を含む)すべてのガス移送経路または機構の移送特性を検査することができる。同じ結果は、例として、有毒ガス、可燃性ガスまたは他のセンサチャネルを、吹き込んだ息の任意のまたはすべての成分に反応する(検体用の検出素子と同じでもよいし、異なるものでもよい)検出素子に、例として、組み込む、その内に入れる、またはそれに加えることによって達成することができる。例として、類似の結果は、環境大気と比較して濃度が増大する吹き込んだ息内のCO2に反応するセンサまたは検出機能を含むことによって得ることができる。その意味で、吹き込んだ息は、約600ppm(0.06vol%)のCO2を含有する環境大気と比較して多い約5vol%のCO2を含有する。CO2濃度を測定するセンサまたは検出システムは、例として、電気化学センサおよび/または非分散型赤外線センサを含むことができる。
【0022】
電流測定または燃料電池型ガスセンサは、通常、少なくとも2つの電極触媒電極(陽極および陰極)を含み、それらの少なくともいずれかは、ガス拡散電極または作用電極である。作用電極は、任意の与えられたセンサにおいて陽極でもよいし、陰極でもよい。ガス拡散電極は、通常、多孔質膜またはガス透過性膜の一面に付着する電極触媒物質の微粒子を含む。
【0023】
作用電極の電極触媒側は、電解質(例として、液体電解質、固体電解質、半固体電解質、またはイオン液体)を介して第二の電極(陽極でも、陰極でもよい対向電極)とイオン的に連絡する。液体電解質は、通常、好適な溶媒、例えば、水に溶解された強電解質塩の溶液である。有機溶媒を用いることもできる。半固体電解質は、例として、高表面積、高細孔容積の固体によって固定化された液体電解質を含むことができる。作用電極と対向電極はまた、センサを通り流れる電流の測定に用いられる外部回路を介して電気的接続もする。
【0024】
また、決して必須ではないが、多くの場合に第三のまたは参照電極が含まれる。参照電極は、一般に生じる環境条件においてその電位が比較的不変となるように構成される。参照電極は、作用電極の動作電位を電位空間に対して固定できる電位空間における固定点としての機能を果たす。このようにして、通常では利用しにくいであろう電気化学反応を用いて、対象となる検体ガスを検知することができる。この結果は、例として、ポテンシオスタットを含むことができる制御回路および駆動回路によって達成することができる。
【0025】
図2A図2Cは、少なくとも一つの電気化学センサまたはセンサシステム110を含む機器またはシステム100を例示する概略図である。システム100はシステムハウジング102を含み、これは、周囲環境と流体的に接続するようにシステムハウジング102の内側に設置された吸気口または吸気システム104を含む。電気化学センサシステム110は、少なくとも一つの検体ガスに反応する少なくとも一つの一次センサを含む。システム100は、少なくとも一つの補助センサをさらに含む。補助センサは、容器からシステム100に適用される検体ガスまたは模擬ガスの濃度変化以外の(換言すれば、一次センサが反応する検体ガス以外のガスの)、吸気口104付近のシステムハウジング102の外部の駆動力または可変の変化に反応する。そのような駆動力または可変の変化を作り出すためのシステム50を、図2Aに概略的に例示する。システム50は、例として、システムの吸気口104付近のガス濃度、湿度、温度、圧力、流量などを変化させることができる。補助センサは、システム50によって作り出された駆動力に反応する。駆動力に対する補助センサの反応は、吸気口104と補助センサとの間の経路または移送経路の状態を示す。概して、移送経路は、(例として、拡散でもよいし、ポンピングでもよく)ガスがそこを通り、外部ハウジング102から(吸気口104を介して)補助センサに移送される経路である。吸気口104と補助センサとの間の移送経路と、吸気口104と一次センサとの間の移送経路とは、例として、同じでもよいし、類似のものでもよく、システム100の寿命にわたって一般的に同じ条件にさらされる。補助センサは、例として、一次センサにごく接近して位置付けることができる。駆動力に対する補助センサの反応は、システムの吸気口104と一次センサとの間の移送状態の指標を与える。
【0026】
本明細書に記載するいくつかの代表的な実施形態では、システム50は、吸気口104付近に息を吹き込む人に相当する。吹き込まれた息の場合は、駆動力は、ガス(例として、酸素または二酸化炭素)濃度の変化、湿度の変化、温度の変化、圧力の変化、または流量の変化の任意の一つ(または、二つ以上)でもよい。補助センサは、したがって、ガスセンサ、湿度センサ、温度センサ、圧力センサおよび/または流量センサを含むことができる。例として、補助センサが湿度センサ、温度センサ、圧力センサまたは流量センサである場合には、システム50は、システムの吸気口104付近に吹き込む人である必要はない。システム50は、例として、湿度の変化、温度の変化、圧力の変化、または流量の変化を作り出すのに好適な任意のシステムまたは装置でもよい。対象となる可変量の変化の程度を、例として、制御して、補助センサの対応する反応をモニタすることができる。温度の変化の場合、システム50は、例として、加熱素子を含むことができる。圧力または流量の変化の場合、システム50は、例として、小さな、手動空気ポンプ、例えば、ベローズを含むことができる。
【0027】
この文書のいくつかの代表的な実施形態では、補助センサは、システムの吸気口104付近の吹き込みによって変化するガス濃度に反応するガスセンサを含む。いくつかのそのような実施形態では、センサ110はハウジング120を含み、このハウジング120は、センサ110内に検体ガスおよび人間の息を進入させるための(センサハウジング120のふた122に形成された)ガス吸気口130を有する。例示の実施形態では、吸気口130はガス拡散体積または空間118と流体的に接続する。電解質が飽和したウィック材料140a、140bおよび140cが、(検体ガスの存在に反応する)第一の作用電極150aおよび(人間の息の存在に反応する)第二の作用電極150bと、センサ110内の参照電極(一つまたは複数)170および対向電極(一つまたは複数)180とを分離し、その中に吸収された電解質によってそれらの間にイオン伝導を与える。第一の作用電極150a、参照電極170および対向電極180は、電解質が飽和したウィック材料140a、140bおよび140cと相まって一次センサの一部分を形成する。第二の作用電極150b、参照電極170および対向電極180は、電解質が飽和したウィック材料140a、140bおよび140cと相まって補助センサの一部分を形成する。例として、作用電極150aおよび150bと、参照電極(一つまたは複数)170との間の所望の電位を保持するために、当技術分野で公知の電子回路190が提供される。この電子回路は、センサ110からの出力信号を処理し、(例として、一以上の表示部、通信システム、電力供給装置などを含む)システム100の他の構成要素と接続および/または通信する。
【0028】
例示の実施形態では、第一の作用電極150aおよび第二の作用電極150bは、センサハウジング120内において概して同一平面上に位置する。例示の実施形態では、第一の作用電極150aは、(例として、センサ技術において公知の触媒沈積技術を用いて)拡散膜152に触媒の第一の層154aを沈積させることによって形成される。第二の作用電極150bもまた、(例として、センサ技術において公知の触媒沈積技術を用いて)拡散膜152に触媒の第二の層154bを沈積させることによって形成される。拡散膜に電極を作る方法は、例として、米国特許出願公開第2011/0100813号に記載されている。触媒層152aおよび152bは、同じ電極触媒物質を用いて形成してもよいし、そうでなくてもよい。第二のガス拡散または作用電極150bが、第一のガス拡散または作用電極150aの動作に対して陽極または陰極として動作するか否かは重要ではない。
【0029】
図3A図3Dに、センサ110に設計および動作が類似するセンサ210の実施形態を例示する。センサ210の同類の要素は、センサ110の要素とそれに対応するセンサ210の要素のように、参照番号に100を足して番号付けられる。図3Aに例示するように、参照電極270、対向電極280ならびに電解質吸収性のウィック240a、240bおよび240cは、支持部材284によってハウジング220内に支持される。プリント基板292がハウジング220に接続し、センサ210の電子回路の一部を形成することができる。
【0030】
例として、図3Aおよび図3Cに例示するように、ハウジングのふた222は、第一のガス吸気口230aおよび第二のガス吸気口230bを含む。第一のガス吸気口230aおよび第二のガス吸気口230bは、例として、機器またはシステム200のハウジング202に形成された(例として、一以上の吸気口を含む)吸気システム204(図3B参照)と流体的に接続することができる。第一の吸気口230aは、例として、検体ガス、例えば、硫化水素に対して、第一の作用電極250aに関連して使用するように設計することができる。第一の作用電極254aの第一の触媒層254aは、第一の拡散膜252aに沈積されるが、例として、検体ガスが硫化水素(H2S)である場合にはイリジウムを含むことができる。第二の吸気口230bは、加えた吹き込んだ息を、第二の作用電極250bに適用することに関連して使用するように設計される。第二の作用電極250bは、第二の拡散膜252b上に第二の触媒層254bを沈積することによって形成される。分離したガス吸気口230aおよび230bは、例として、2つの異なるガスの通路用に設計または最適化することができる。その意味で、第一のガス吸気口230aは、対象となる検体ガス用に(例として、寸法および/または形状を)最適化することができる。一方、第二のガス吸気口230bは、吹き込んだ息の成分用に最適化することができる。
【0031】
水溶性電解質の場合は、ガス拡散膜の材料(一つまたは複数)(同じでもよいし、異なるものでもよい)は、そこを通る水溶性電解質の任意の流れを最小化または削減するように、概して疎水性の性質を有するものであることができる。非水性(例として、有機)電解質の場合は、ガス拡散膜の材料は、そこを通る非水電解質の任意の流れを最小化または削減するように、概して疎油性の性質を有するものであることができる。材料(一つまたは複数)は、疎水性でもよいし、疎油性でもよい。そのような材料は「多疎性」と称される。材料は、そこを通る液体電解質の流れまたは漏洩を最小化または削減するように、化学的またはほかの方法でも処理することができる。
【0032】
概して、本明細書に用いる「疎水性」という用語は、電気化学センサ内に認められる圧力において、水による湿潤に実質的または完全に耐性がある(したがって、そこを通る水溶性電解質の流れを制限する)材料を意味する。概して、本明細書に用いる「疎油性」という用語は、電気化学センサ内に認められる圧力において、低表面張力液体、例えば、非水電解質系による湿潤に実質的または完全に耐性がある(したがって、そこを通る非水電解質の流れを制限する)材料を意味する。本明細書に用いる「低表面張力液体」という表現は、一般的に、水の表面張力よりも小さい表面張力を有する液体を意味する。電極に用いる疎水性、疎油性および多疎性材料は、例として、米国特許第5,944,969号に論じられている。
【0033】
本明細書に用いるガス拡散膜は、例として、これらに限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(例として、GORETEX(登録商標))、ポリエチレン、またはフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)などのポリマー材料から形成することができる。そのようなポリマー材料は、例として、そこを通るガス拡散をもたらす細孔構造をそこに含むことができる。
【0034】
センサ110および210では、第一の作用電極150aおよび250aは、それぞれ、第二の作用電極150bおよび250bと、共通の電解質、共通の対向電極(180および280)、および共通の参照電極(170および270)を共用する。ある特定の状況では、例として、検知される検体ガスおよび関連する電気化学次第で、共通の電解質、対向電極および/または参照電極を有することは望ましくない、または不可能であることがある。図3Eは、センサ110および210に動作および構成が類似するセンサ210’の別の実施形態を例示する。センサ110および210とは異なり、210’の実施形態では、第一の作用電極250a’および第二の作用電極250b’は、ハウジング120’’内の互いに流体接続はしない分離セルに位置付けられる。このようにして、電解質が飽和したウィック材料140a’、140b’および140c’との接続に用いる電解質とは異なる電解質を、電解質が飽和したウィック材料140a’’、140b’’および140c’’に関して用いることができる。同様に、参照電極170a’を、参照電極170b’とは異なるように形成し、かつ/または対向電極180a’を対向電極180b’とは異なるように形成することができる。例示の実施形態では、分離した吸気口230a’および230b’が、それぞれ、第一の作用電極250a’および第二の作用電極250b’と流体的に接続するように共通のふたまたはキャップ222’に形成される。
【0035】
図3Fおよび図3Gに、センサ110および210に動作および構成が類似する別の実施形態のセンサ310を例示する。センサ310はハウジング320を含み、このハウジング320は、センサ110内への検体ガスおよび人間の息の進入のための(センサハウジング320のふた322に形成された)ガス吸気口330を有する。例示の実施形態では、吸気口330は、ふた322に延長スロットとして形成され、ガス拡散部材318と流体的に接続する。ガス拡散部材318は、例として、多孔質ポリマー材料から形成され、(検体ガスの存在に反応する)第一の作用電極350a、および(人間の息の存在に反応する)第二の作用電極350bへのガスの比較的速い側方拡散を提供して、センサ310の反応時間を短縮する。第一の作用電極350a、第二の作用電極350b、およびセンサ330の残りの構成要素は、例として、作用電極150a、第二の作用電極150b、およびセンサ110の残りの構成要素について先に記載したのと同じ方法で形成することができる。ガス拡散部材318は、例として、(それぞれ、触媒層354aおよび354bが沈積される)第一の作用電極350aの拡散膜352aおよび第二の作用電極350bの拡散膜352bよりも堅く構成することができる。ガス拡散部材318は、比較的速い側方拡散の提供に加えて、機械的圧縮の結果生じる「圧迫」から拡散膜352aおよび352bを保護することもできる。
【0036】
センサ210、210’および310の第一の作用電極250a、250a’および350aの移送経路と、第二の作用電極250b、250b’および350bの移送経路とはわずかに異なるが、特定の機器のすべての移送経路が、概して同じ環境および環境条件において用いられる。それ故、吹き込んだ息による接触、および第二の作用電極250b、250b’および350bの測定された反応によって、システムまたは機器内のすべての移送経路の機能性の指標が与えられる。
【0037】
この文書のセンサ210の様式で作られたセンサのいくつかの試験では、第一のガス拡散または作用電極250aが、硫化水素(H2S)の検知に用いられ、一方、第二のガス拡散または作用電極250bが、吹き込んだ息の酸素成分の検知に用いられた。センサ110、センサ210’またはセンサ310の様式で作られたセンサは、同じ方法で動作するであろう。具体的に試験した実施形態では、第一の電解触媒層254aは、イリジウム(Ir)金属を含んでいた。第二の電解触媒層254bは、白金(Pt)族金属を含んでいた。酸素還元に好適な他の電解触媒を第二の電解触媒層254bに用いることができる。
【0038】
図4は、吹き込んだ息、続いて15容積%の酸素と20ppmの硫化水素との混合物、それに続く窒素に接触させられたたときのセンサ210の反応を例示する。H2Sチャネル追跡は、(硫化水素を検知するように設計された)第一の作用電極250aの反応であり、O2チャネル追跡は、(吹き込んだ息の酸素成分を検知するように設計された)第二の作用電極250bの反応である。示すように、第二の作用電極250bは、グラフの約50秒のマークに生じる吹き込んだ息内の減少した酸素含有量に反応する。15vol%の酸素と20ppmの硫化水素との混合物は、約100秒の時点で加えられた。第一の作用電極250aおよび第二の作用電極250bの各々は、この接触ガスに適切に反応した。最後に、250秒に窒素が加えられた。窒素の追加時に、(酸素を検知するように設計された)第二の作用電極250bが、その接触ガスに適切に反応した。
【0039】
図4に示すような吹き込んだ息に対する第二の作用電極250bの反応を利用して、例として、携帯用ガス検知機器の(ガス拡散部材および/または膜を含む)移送経路が、例として、ほこり、蒸気および/または液体によって障害を受けていないことを確定できる。換言すれば、吹き込んだ息の減少した酸素濃度に対する第二の作用電極250bの反応に基づいて、ガス拡散部材がセンサ210自体の一部であるか、機器全体の一部であるかにかかわらず、すべてのガス拡散部材(例として、ガス拡散膜252aおよび252b)を通る流体が適切であることを確定することができる。このガス反応を、内部の電子的問い合わせ信号、例えば、米国特許第7,413,645号に記載のものと組み合わせたときに、電流測定電気化学センサの内部での導電状態と、センサセル自体の一部であるか、機器全体の一部であるかにかかわらず、(例として、関連するガス拡散膜を含む)任意のガス移送経路(一つまたは複数)との両方の試験を提供するのに使用できる。このようにして、バンプテストに全体の結果が類似する検査が、高価かつ潜在的に危険な較正用ガスおよびそれに関連する設備を使用せずに遂行することができる。
【0040】
吹き込んだ息の検査またはバンプ試験に関連して用いられるこの文書のいくつかの実施形態では、電流測定酸素(または、他のガス)検出素子が、例として、対象となる検体を検知するための電流測定有毒(または、他の)ガスセンサ内に配置される。前述のいくつかの実施形態では、検体ガス検出作用電極と酸素検出電極との両方が、従来、ガス拡散電極として作られている。多くの場合では、そのようなガス拡散電極は、多孔質支持膜に分散された高表面積電解触媒を含む。一以上の移送経路の検査に、この文書のシステムにおいて補助センサとして電流測定ガスセンサを用いる実施形態では、分析信号を出すために補助センサ(例として、酸素センサ)を用いないため、拡散電極または高表面積電解触媒のいずれも用いる必要がない場合がある。
【0041】
例として、多くの場合にガス拡散電極から電気信号を伝えるのに用いられる導体、例えば、接触リボンまたは別の導電部材は、酸素、CO2または他のガス感応電極として用いるのに十分な表面積および電極触媒活性を有することができる。例として、図5Aは、この文書のシステムにおいて非分析的なセンサ素子を形成するのに用いることができるリボン450aおよび配線450a’を例示する。そのようなリボンまたは配線は、例として、電極触媒物質、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、金(Au)、または炭素(C)から作ることができる。図5Bに例示するように、この文書のセンサ素子550aおよび550a’は、例として、それぞれ、電極触媒物質554aおよび554a’(例として、Pt、Ir、Au、Cなど)が、それぞれ、被覆または固定化された導電性リボン552aまたは導電性配線552a’でもよい。リボン552aおよび配線552a’の材料は、そこに固定された電極触媒物質554aおよび554a’の材料と同じものでもよいし、異なるものでもよい。
【0042】
移送経路の検査のためのこの文書のセンサ素子または電極は、多種多様な二次元形状または三次元形状を取ることができる。例として、図5Cは、矩形の端部材653aを有する延長リボン652aを含む、この文書のセンサ素子650aを例示し、この矩形の端部材653aは延長リボン652aよりも幅広であり、例として、同じ全長のリボンと比較して、増大した単位長さ当たりの表面積を提供する。同様に、図5Dは、矩形の端部材653aを有する延長リボン652a’を含む、この文書のセンサ素子650a’を例示する。図5Dの実施形態では、電極触媒物質654a’が端部材653aに固定化される。図5Eは、端部にらせん部分653aを有する延長配線752aを含む、この文書のセンサ素子750aを例示する。このらせん部分は、例として、同じ全長の延長配線と比較して、増大した単位長さ当たりの表面積を提供する。同様に、図5Fは、端部にらせん部分653aを有する延長配線752a’を含む、この文書のセンサ素子750a’を例示する。図5Fの実施形態では、電極触媒物質754a’がらせん部分753a’に固定化される。図5Dおよび図5Fの実施形態では、電極触媒物質654a’および754a’は、電極触媒物質が固定化された材料と同じものでもよいし、異なるものでもよい。
【0043】
前に論じた実施形態では、第一の電極が、検体を検知するために用いられ、第一の電極と分離して形成された第二の電極が、例として、酸素濃度を検知するために用いられる。検体H2Sを検知するための有毒ガスセンサの代表的な例では、例として、(H2Sの場合では)有毒ガスチャネルが、電解触媒イリジウム(Ir)を含むように作られ、酸素検出電極が、電解触媒白金(Pt)を含むように作られる。それらの電解触媒は、例として、同じ多孔質基体ではあるが2つの違うかつ異なる領域に個々に分散することができる。例として、PtとIrとの混合物を用いる場合に、同じまたは類似の機能性を得ることができる。例として、そのような混合物は、高表面積の触媒粉末の物理的混合物でもよいし、そのような混合物は合金でもよい。いくつかの実施形態では、一つの電極触媒物質または材料は、例として、二段階の処理で別の電極触媒物質または材料の上に作ることができる。
【0044】
さらに、2つの電極触媒物質を、例として、交互嵌合電極システム内に作ることができる。図6に、交互嵌合電極システム850の実施形態を例示する。電極システム850の第一の分岐850aは第一の電極触媒物質を含み、第二の分岐850bは第二の電極触媒を含む。2つの分岐の第一および第二の電極触媒物質、すなわち電極システム850の「指」850aおよび850bは、例として、同じ電極触媒物質(もしくは、物質の混合物)を含むように作ってもよいし、異なる電極触媒物質を含むように作ってもよい。
【0045】
図7に例示するこの文書の電極システム950の別の実施形態では、第一の電極950aおよび第二の電極950bは、例示の実施形態では環状に形成されたガス多孔性の円板960に支持されている。円板960は、例として、ガス多孔性または透過性(換言すれば、ガスがそこを通り移送するように構成された)ポリマー、またはセンサシステムに用いられる電解質に不活性の別の材料から作ることができる。先に記載したように、円板960は、第一の作用電極950aおよび補助作用電極950bをその上に作る電極支持体としての機能を果たすが、図7に例示するように円板960のそれぞれ反対の側面において支持する。第一のまたは(図7の向きにおける)上部電極950aは、環状に形成される。第二のまたは下部電極950bは、円板960の環状部に中心を合わせた円板として形成される。電極システム950は、第一のまたは上部電解質ウィック970a、および第二のまたは下部電解質970bをさらに含む。電極システムはまた、第一の電極電流コレクタ980aおよび第二の電極電流コレクタ980bも含む。
【0046】
図7の構成は、例として、その図示した向きから垂直に反転または180°回転してもなおも意図する通り機能できる。本明細書の使用において、電極の多数の他の形状および構成が可能である。さらに、この文書の電極は、例として、多層に積層してもよいし、目標ガスの多様性に対する感度を持つセンサを作り出すような他の配置でもよい。
【0047】
この文書のいくつかの実施形態では、単一の作用または検出電極は、対象となる分析ガス(検体)および別の駆動力(例として、吹き込んだ息の成分)の両方に反応するものを用いることによって、システムの電極(一つまたは複数)に対する一以上の移送経路の検査を可能にすることができる。例として、図2に記載する代表的なセンサシステムでは、H2S作用電極は吹き込んだ息にも反応する。図8に、対象となる分析ガスまたは検体(代表的な例ではH2S)、吹き込んだ息および窒素に反応する電極触媒物質を含むように作られた単一電極を有する単一チャネルの電流測定センサの代表的な例の反応を例示する。電極は、単一の電極触媒物質、電極触媒物質の物理的混合物、または電極触媒物質の合金から作ることができる。
【0048】
この文書のセンサシステムのいくつかの実施形態では、上に固定化された同じ電極触媒物質を含む2つの検知または作用電極が提供される。これらの電極は、例として、同一の方法で作ることができる。そのような実施形態では、検体ガス、例として、吹き込んだ息内の対象となるガスは、各々、電極触媒物質に電気活性である。いくつかの実施形態では、2つの電極の機能は(例として、ユーザが先に記載したような息試験を始動するたびに)交互に代わる。例として、図6を参照すると、2つの分岐の第一および第二の電極触媒物質、すなわち電極システム850の電極850aおよび850bは、同じ電極触媒物質を含むであろう。電極850aおよび850bを含む機器の起動の第一の場合では、電極850aが、目標検体ガス用の作用電極として用いられ、電極850bが、例として、吹き込んだ息の成分(例として、酸素)を検知するために用いられるであろう。ユーザが内部の息試験を始動する次の時(第二の場合)に、電極850aおよび850bの機能が、外付け回路ならびにセンサ850aおよび850bを含むシステムまたは機器の論理によって切り替えられるであろう。換言すれば、第二の例では、電極850bが、目標検体ガス用の作用電極として用いられ、電極850aが、吹き込んだ息の成分を検知するために用いられるであろう。このようにして、各電極領域が、交互に、対象となる目標ガスおよび電子寿命に照らして較正され、以下に記載する調子の試験が、各電極について定期的に行われるであろう。そのようなシステムおよび手法は、多大な監査および保証を検査手法に与える。本明細書においてユーザに適応することができる検知または検出素子切り替え方式は、米国特許出願公開第2011/0100090号に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み入れられる。
【0049】
(例として、息の検査の結果生じる)酸素の変動を測定する場合には、例として、電流測定酸素検出素子以外の検出素子を用いることができる。これに関して、任意の代替の酸素検出システムを、電流測定酸素検出の代わりに用いることができる。好適な酸素検出システムの代表的な例は、これらに限定されないが、金属酸化膜半導体もしくはMOS(口語的に「フィガロ」センサとも称される)酸素検出素子、高温電位差酸素センサ(ジルコニアセンサ)、または常磁性酸素センサを含む。特定の酸素検出技術は、例として、所与の有毒ガスを補完するのにより好適なものでもよいし、特定の使用に応じた他の検出技術でもよい。例として、MOSまたはジルコニアベースの酸素検出素子は、MOS有毒センサまたは加熱した触媒ビード可燃性ガスセンサと共に用いるのによく適し得る。
【0050】
図9は、この文書の動作モードまたは方法の代表的な実施形態を描写する決定木図を例示する。図9に例示する方法は、最終組み立ておよび検査または現場でのいずれかのある時点での(較正用ガスを用いた)機器の成功的な完全な較正を想定している。日常の使用において、機器のスイッチを入れると、通常、機器はそれに必須の自己診断試験を実行する。この自己診断の一部は、例として、米国特許第7,413,645号に記載のものに類似する寿命および調子の試験の適用を含むことができる。
【0051】
米国特許第7,413,645号に記載のように、かつ図10に例示するように、センサは、概して、抵抗と容量との直列の組み合わせとして描写することができる。図10の参照電極に起因する抵抗RRは、センサの分析信号の電流経路の一部ではない。この回路の抵抗部は、主に、作用電極(RW)と対向電極(RC)との間に散在された電解質の溶液(イオン)抵抗の結果である。等価回路の容量性部(CW)は、主に、作用電極を成す金属粒子の表面に極めて近い位置に見られるマイクロ溶液環境の結果である。静電力の結果、電極表面に極めて近い位置の体積の溶液は、非常に高度な秩序構造となる。この構造は、電極処理を理解するのに重要である。電極表面に極めて近い位置の体積の溶液は、拡散層、拡散した層、および/またはヘルムホルツ層もしくは面のようにさまざまに称される。
【0052】
電気化学セルに存在する抵抗および容量の大きさは、その製造に用いられる材料の性質および固有性の結果である。電解質の抵抗は、溶媒中に溶解するイオンの数および種類の結果である。電極の容量は、主に、電解触媒の有効な表面積の関数である。理想の世界では、これらの量は不変である。しかしながら、水溶性(水性)電解質を利用する電流測定ガスセンサに存在する溶液抵抗は、例として、異なる周囲相対湿度レベルにさらされる結果として変化することがある。水がセンサから蒸発すると、イオン性電解質の化学的濃度が増大する。この濃度変化が、実際に用いる電解質に応じた電解質の抵抗力の増大または減少を引き起こすことがある。
【0053】
センサの反応曲線は、コンデンサの充電曲線に応じて予期された形状、換言すれば、典型的な「RC」曲線を有する。いくつかの実施形態では、センサの「調子」を確定するのに用いられる分析信号は、電流パルスの印加の直前と、電流パルスの終了時とに観測した電位の代数的差異である。電流パルスの印加の関数として観測された電位差の大きさは、センサの存在および調子の指標である。
【0054】
電流パルスの大きさおよび持続時間の制限は、実験的便宜と大いに関係があるが、電流パルスの大きさは、例として、合理的に予期された目標ガスの追加量に対応するように選択することができる。
【0055】
センサの存在および調子は、電流パルスの開始時と終了時とにおけるセンサ出力の差異を観測することによって測定された、センサのRC充電曲線の形状によって確定することができる。センサがない場合は、観測される電位は、電流パルスおよびセンサの負荷抵抗器の大きさに基づいて予期されるであろう電位に等しい。
【0056】
図11は、米国特許第7,413,645号に記載され、かつ本明細書に記載するシステムのいくつかの実施形態に用いられるような電子的問い合わせ回路の一実施形態のブロック図を例示する。図11では、電圧フォロワおよび電流フォロワ部分が、当業者に公知のように機能する。例として、A.J.Bard and L.R.Faulkner, Electrochemical Methods:Fundamentals and Applications,John Wiley&Sons:New York(1980)を参照されたい。その開示は参照により本明細書に組み入れられる。電圧フォロワは、参照電極(R)と作用電極(W)との間の定電位を保持する。電流フォロワは、対向電極(C)と作用電極(W)との間の電気化学センサに流れる電流をバッファおよび増幅する。いくつかの実施形態では、電流ポンプが、既知の電流を対向電極(C)と作用電極(W)との間に流すことによって、電子的問い合わせをセンサに送る。
【0057】
上に記載したような電子的問い合わせ検査に続いて、ユーザは、例として、機器面に近接して息を吹き込むことによって、この文書の吹き込んだ息の検査または(較正用ガスを用いない)「バンプ試験」を実行するように指示され得る。組み込まれた機器ソフトウェアは、例として、(吹き込んだ息に関連する何らかの駆動力および/または可変の変化、例えば、酸素濃度の変化に反応するように設計された)第二の作用電極250bに結果生じた信号を観測する。センサ210の実施形態では、観測される反応は、人間が吹き込んだ息内の減少した酸素含有量である。組み込まれた機器制御ソフトウェアは、電子的問い合わせ検査の結果および吹き込んだ息の検査の結果と、確立されたパラメータとを比較する。電子的問い合わせ検査または吹き込んだ息の検査のいずれかの反応が、これらの予め確立された基準を満たさない場合には、機器はユーザに、完全な較正または何らかの他のメンテナンスを実行するように指示することができる。電子的問い合わせ検査および吹き込んだ息の検査の両方の結果が、予め確立された基準を満たすまたは上回る場合には、機器はユーザに、それが適切に機能しており、日々の使用に対する準備が整っていることを示すことができる。
【0058】
前の記述および添付図面は、現時点での本発明の好ましい実施形態を説明する。当然ながら、さまざまな変更、追加および代替的な設計が、前述の教示を考慮すると、本発明の範囲から逸することなく、当業者に明らかになるであろう。本発明の範囲は、前の記述ではなく、むしろ以下の請求項によって示される。請求項の意図、および同等の範囲内に入るすべての変更および変形は、本発明の範囲内に含まれる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7
図8
図9
図10
図11