(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記上位燃料電池表面ボンディング領域および上記下位燃料電池表面ボンディング領域は、合計して、上記第2構造体表面ボンディング領域より大きい請求項1記載の燃料電池システム。
さらに、境界構造体を上記第2構造体の上位表面の上に被着するステップを含み、上記境界構造体は、上記カップリング層のカップリング材料が上記第2構造体の表面に広がるのを制御するように位置づけられる請求項8記載の、上記方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明において、具体的な詳細はこの発明の理解をより確実にするために提示される。しかしながら、この発明はこのような詳細を伴うことなく実施できる。他の例においては、この発明が不必要に不明瞭にならないようにするために周知の事柄は示されないし、説明されない。図は、理解を助けるために、この発明が実施できる具体的な実施例を示す。この発明の趣旨を逸脱することなく、これら実施例は組み合わされて良く、他の要素または構造上、または論理状の修正を行って良い。したがって、明細書および図面は説明のためのものであり、制約的でないものとして理解されなくてはならない。
【0012】
この文書において参照されている文献、特許、および特許文書は、個々に参照してここに組み入れているけれども、ここで、すべて参照して組み入れることとする。当該文書とそれら文書との間で一貫性のない用例がある場合には、それら組み入れられた文書中の用例は当該文書の用例を補充するものと理解すべきであり、調整ができない場合には当該文書の用例が採用される。
【0013】
当該文書においては、用語「1」が用いられる場合には、特許文献で通常のように、1または1より大きな場合を含み、これは任意の他の事例、または「少なくとも1つ」や「1または複数」の用例とは別である。当該文書においては、用語「または」は、そうでないと示される場合を除いて、非排他的なものを指すものとして用いられ、例えば、「A、B、またはC」は「A」のみ、「B」のみ、「C」のみ、「AおよびB」、「BおよびC」、「AおよびC」、および「A、BおよびC」を含む。当該文書において、用語「上」(above)および「下」(below)は、複合材(composite)の中心との関係で2つの異なる方向を記述するのに採用され、用語「より上」(upper)および「より下」(lower)は複合材の異なる2つの面を記述するのに採用される。しかしながら、これらの用語は、単に記述を容易にするために用いられ、説明される実施例の燃料電池層の配位を固定するものとして理解されない。添付の側面およびいずれの請求項においても、用語「第1」、「第2」、および「第3」等は単にラベルとして採用され、それらの対象の数的な要求を課すものでないことに留意されたい。この文書において明示的に開示されたいかなる数値範囲は、その明示的に開示された数値範囲の任意の部分範囲を、その部分範囲が明示的に開示されたのと同様に、含むことに留意されたい。例えば、開示された1〜100の範囲は、1〜80の範囲、2〜76の範囲、または1〜100の間に入る任意の他の数値範囲を含むと理解される。
【0014】
携帯電子機器(例えば、移動体電話、ラップトップコンピュータ、コンピュータアクセサリ、ディスプレイ、パーソナルオーディオまたはビデオプレーヤ、医療機器、テレビ、トランスミッタ、レシーバ、野外照明および懐中電灯、電子おもちゃ、電動工具、またはバッテリとともに慣用的に用いられる機器)はサイズが小さくなり、他方、性能要求も増大している。そのため、燃料電池システムは、電気機器の全体の体積中わずかなスペースしか占めないことが必要になる。コンパクトな電源が必要なので、燃料電池が高仕様電力(すなっわち電力密度が大きい)を有して所要の電力を最も小さな実現可能な体積で実現し、また燃料に利用できる体積を最大化することが必要になる。
【0015】
好ましくは、燃料電池は、できるだけ小さくするとともに、携帯電力用途における良好な動作に繋がる全体形状も有する。最も良好な形状は、平坦に成りがちであり、もって、燃料電池により給電される全体のシステムのフォーマットに対する要請を伴うことなしに、電力源として組み込めるようにする。大きな電力出力を伴う燃料電池は、平面フォーマットに構成されるので、燃料電池の全体の表面面積は増大し、これは、燃料電池に接触する流体の量が増大するので、内部に発生する力を増大させる傾向がある。これらの力は平面燃料電池の種々の部分、例えば、平面燃料電池を一緒に保持する周囲シールに応力を加える。
【0016】
燃料電池システムの体積要件を減少させる燃料電池システムおよび方法が、本出願人の出願に係る、2008年9月25日に提出の、「省スペース流体プレナムを含む燃料電池システムおよび関連方法」という題名の米国特許出願公開第2009/0081493号に説明されており、その内容は参照してここに組み入れる。
【0017】
携帯用途に使用される燃料電池は、空気呼吸カソードを具備し、これは周囲環境に、直接に、または何らかの低圧力降下ダクトを介して、露出される。燃料を電池中に押し込み、高電力動作での燃料消費を維持するために、燃料(これは基体でも液体でも良い)は、外部環境に対していくらかの正の圧力を維持して良い。したがって、層状燃料電池構造は、少なくとも部分的に層構造によって形成されるプレナムを含み、こらは、シールされてシステムから燃料がもれないようにする。
【0018】
慣用的な面シールを用いて燃料電池システムの周囲をシールすることが可能であるけれども、いくらかの力をシールに加えて活性化させる必要がある(すなわち、システムは外からクランプされて漏れを防ぐ必要がある)。代替的には、なんらかの自己保持燃料電池層が、試されて、接着シール部材を用いて非クランプ型のシールを形成する。そのような部材は、燃料プレナムが圧力を受けるときに、引き離し負荷にさらされる。クランプなしのシールでそのような負荷に耐えるのは、挑戦的であり、とくに、燃料電池層が複数の材料の複合材から製造されるときには、そうであり、なぜならば、接着材料は種々の材料に同一の結合力では接着しないからである。例えば、ペルフルオロスルホン酸(PFSA)タイプの膜は、プロトン伝導性のために使用されて良く、接着剤を用いて二次構造にシールするのは挑戦的である。
【0019】
燃料電池において部品の個数を削減し、もって、システム全体のサイズを小さくすることが望まれる。例えば、改善された周囲シールを用いて、外部クランプまたはシール手段を除去または削減できる。
【0020】
この発明は、平面燃料電池が大きなサイズで製造でき、または大きな圧力に耐えるようにできる改善された周囲カップリングを提供する。この発明は、いずれの外部支持部または固定部を必要とすることなしに印加力に耐えることができる自己支持周囲カップリングを有する燃料電池システムを含む。カップリングはシーリング部材およびボンディング部材として動作する
【0021】
[定義]
ここで使用されるように、「接着材料」、「接着シール」または「ボンディング材料」は接触領域において働く分子力によって1または複数の要素を統合する物質を指す。接着材料は、ポリウレタン、ウレタン、エポキシ、ポリアミド、ポリエステル、圧力感応接着剤、アクリル、シアノアクリレート、またはこれらの組み合わせを含んで良い。
【0022】
ここで使用されるように、「カップリング」は、2つの物体のボンディングおよびシーリングを助長する黙時的または明示的な部品である。例えば、黙時的なカップリング部材は、2つの物体を結合する、気密接着剤、または溶接を含んで良い。明示的なカップリング部材は、例えば、機械ファスナを含んで良い。カップリングは接着材料を含んで良い。
【0023】
ここで使用されるように、「柔軟性電気化学層」は、全体的に、または部分的に柔軟性がある電気化学層を指し、例えば、1または複数の堅固な部品を1または複数の柔軟性部品と一体にするように抱え込む化学電気層を指す。「柔軟性燃料電池層」は1または複数の燃料電池を層中に組み込んだ層を指す。
【0024】
ここで使用されるように、「柔軟性二次元(2−D)燃料電池アレイ」は、1つの次元で薄く、多くの燃料電池を支持する柔軟性シートを指す。柔軟性二次元燃料電池アレイは、柔軟性燃料電池層の1例であって良い。燃料電池はシートの1つのフェースまたは主フェースからアクセス可能な1タイプの活性領域(例えばカソード)と、シートの反対側のフェースまたは主フェースからアクセス可能な他のタイプの活性領域(例えばアノード)とを具備する。アクティブ領域は、シートのそれぞれのフェース上に領域内に横たわるように配置されて良い(例えば、シート全体が活性領域で覆われることが必須ではないが、燃料電池の性能は活性領域が増大すれば増大させることができる)。2−D燃料電池アレイの形状は平坦でも曲がっていても良い。
【0025】
ここで使用されるように、「平面燃料電池層」は、1つの次元において薄い燃料電池層を指す。平面燃料電池層は、1つのユニット燃料電池または複数のユニット燃料電池を含んで良い。平面燃料電池は柔軟であっても堅固であっても良く、また、平坦であっても曲がっていても良い。
【0026】
ここで使用されるように、「自己支持」は、基体に結合されているなら、または、そのようなときに、それらが機能するために何ら外部固定部を必要としない部品を指す。
【0027】
ここで使用されるように、「基体」は、包囲された空間を形成するのに充分な、電気化学電池層に結合された部品を指す。基体は、数あるなかでも、流体マニホールド、燃料電池構造部材、流体制御部品、流体貯蔵部、電子機器の一部、または、これらの組み合わせを含んで良い。流体制御部品は例えば安定化装置のアレイのような圧力安定化素子を含んで良い。
【0028】
いくつかの実施例において、この発明は、平面燃料電池層および第2構造体の間に周囲シールまたはカップリングを含む。周囲シールまたはカップリングは燃料電池層を第2構造体に結合させ、電池層の上位および下位表面に接着して良い。この発明のカップリング部材は、平面燃料電池層の全体を第2構造体に結合させて良く、または、平面燃料電池層の周囲の所定の部分を結合させて良い(例えば、四辺形平面燃料電池層の1、2、または3つの側面)。いくつかの実施例において、平面燃料電池層は、1、2、または3つの側面で第2構造体に結合されて良く、他方、燃料電池層の残りの側面は慣用的なカップリング手段(例えば慣用的な面シール、または外部クランプ手段)を用いて第2構造体に結合される。
【0029】
図1は、燃料電池システム100の分解図を示す。システム100は、流体貯蔵部102、オプションの流体圧力安定化組立体104、マニホールドシーリング層106、マニホールド管層108、カップリング部材110燃料電池層112、および、外部支持構造114を含む。オプションの流体圧力安定化組立体104は圧力安定化器または流体制限器126を含む。
【0030】
流体貯蔵部102は、燃料電池システム100の燃料、または、他の反応流体を提供し、充填ポート116を介して充填または再供給できる。流体貯蔵部102は、セルラー燃料タンクを有して良く、これは、例えば、本出願人の2007年1月9日の出願に係る、「セルラー貯蔵部および関連する方法」という名称の米国特許出願第11/621,501号である、米国特許出願公開第2007/0178335号に説明されているもの、または、2009年7月21日に発行された、本出願人の出願に係る「流体筐体および関連する方法」という名称の米国特許第7,563,305号(Zimmermann等)に説明されている他の燃料用筐体のようなものであって良い。これら2つの文献の内容は参照してここに組み入れる。
【0031】
流体マニホールドは、流体圧力安定化組立体104、マニホールドシーリング層106、およびマニホールド管層108を含んで良く、流体貯蔵部102から燃料電池層112への燃料の分配、安定化、および搬送を実現する。流体圧力安定化組立体104は、主たる(より高い)流体圧力をより一定の二次的な(より低い)流体圧力に減少させて燃料電池層112に供給することにより、流体貯蔵部102から出てくる燃料圧力を調整できる。
【0032】
流体マニホールドの種々の部品は、材料方向付けリセス120を介して燃料電池層112と流体連通している。流体マニホールドの材料方向付けリセス120は燃料の流れを流体分配組立体104から燃料電池層112に隣接する領域へと方向付け、これは、マニホールド管層108に1または複数の溝を生成して形成される。システム100の流体マニホールドは、層構造であり、これによって、マニホールドが、必要のない体積や不必要に大きな設置面積をとることがない寸法になっており、それでいて、燃料電池システム100の圧力、体積、または温度の要件が満たされている。
図1は、流体マニホールドの1つの実施例を示すけれども、この発明は流体マニホールドの他の形態を含んで良く、これは、例えば、本出願人の出願に係る、「流体マニホールドおよびその方法」という名称で、2008年3月21日に、米国特許第12/053,366号として提出された米国特許出願公開第2008/0211458号に説明されているようなものである。その内容は参照してここに組み入れる。
【0033】
燃料電池層112は、燃料電池層(すなわち、少なくとも1つのアノードおよびカソードを有する)を含み、その間に電解質を介挿させている。システム100に採用される燃料電池層112は、本出願人の出願に係る、「電気化学反応層の下の電流搬送構造を具備する電気化学電池」という名称で、2005年2月2日に、米国特許第11/047560号として提出された米国特許出願公開第2005/0250004号に説明されるような平面燃料電池であって良く、その内容は参照してここに組み入れる。
【0034】
図2は、周囲カップリング部材110を介して流体マニホールド122に結合された燃料電池層112を含む、システム100の部分の断面を示す。明確にするために、マニホールド122の置換部品または層は
図2において示されていない。包囲領域124は、流体プレナムであり、燃料電池層112、カップリング部材110、および流体マニホールド122によって形成される。使用中、包囲領域124の体積は、流体128の流れ込みによって大きくなっていき、これが燃料電池層112の内部の圧力を外の圧力に較べて大きくする。流れ込んでくる流体128は、柔軟な燃料電池層112に力を加えて、これを流体マニホールド122から方向130に向かって曲げる。周囲カップリング部材110は流体マニホールド122および燃料電池層112の間の気密シールを維持する。いくつかの実施例において、付加的なカップリングを燃料電池層およびマニホールドの間に設けて周囲カップリングにかかる応力を削減して良い。しかしながら、そのような付加的なカップリングがあっても、周囲カップリングは、システムが加圧されるときや燃料電池層がマニホールドから遠ざかるように曲がるときに形成される負荷にさらされる。
【0035】
図3は、システム300の一部の断面を示す。システム300は、平面燃料電池層302と、マニホールド304の形態の第2構造体を含み、両者は、慣用的に、接着性カップリング層306で結合されている。接着性カップリング層306は層302およびマニホールド304の間に横たわる。接着性カップリング層306は、燃料電池層302の下位側面の周囲の部分に接触してボンディングされて下位燃料電池表面ボンディング領域308を形成する。接着性カップリング層306は、流体マニホールド304の上位側面の周囲の部分にも接触してボンディングされて第2構造体表面ボンディング領域310を形成する。ボンディング領域310は長さ312を伴う。
【0036】
ボンディング領域308は、長さ314を伴うけれども、システム300の加圧中に、燃料電池層302がマニホールド302から離れるように変形して接着性カップリング層306の上位表面に引っ張りおよび引き剥がし負荷318を加える。負荷318が充分に大きいと、これによって、燃料電池層302の下位表面の部分が、接着性カップリング層306から引き剥がされ、積層解除され、もって、接着性カップリング層306の上側表面316を燃料電池層302の下位表面から分離して、下位燃料電池表面ボンディング領域308の寸法を減少させる。このため、接着性カップリング層306により形成される慣用的なボンディングの強度は、長さ310に沿って負荷318に抵抗するカップリング層306の能力によって決定される。ボンディングに支障が生じると、流体漏れの経路長は、下位燃料電池表面ボンディング領域308の長さ314であり、これは任意の引き剥がし、または積層解除の前の長さ312とほぼ等しい。
【0037】
この発明では、周囲カップリングが燃料電池層と、流体マニホールドのような第2構造体との間に形成されて良い。カップリングは組立体の周囲全体の回りを伸びても良いし、または間欠的に配置されても良い。いくつかの実施例において、周囲カップリングは、この発明のカップリングを、燃料電池システムの2つの端部に沿って含み、他方、なんらかの他の方法が燃料電池システムの他の2つの端部を結合するために利用される(例えば、慣用的なカップリング、すなわち、外部カップリングがシステムの他の2つの端部をシールするのに採用されて良い)。
【0038】
図4は、燃料電池システム400の一部を減圧状態で含むこの発明の1実施例を示す。システム400は、燃料電池層402、カップリング層404、および第2構造体406を含む。第2構造体406は流体マニホールドであって良い。
【0039】
カップリング層404は、燃料電池層402の上位表面の部分に接触して接着し、長さ416の上位燃料電池表面ボンディング領域408を形成する。カップリング層404は、また、燃料電池層403の下位表面の部分に接触して接着し、長さ418の下位燃料電池表面ボンディング領域410を形成する。カップリング層404は、また、燃料電池層402の周囲の後の、または、垂直表面に接触して接着し、長さ420の周囲燃料電池表面ボンディング領域412を形成する(これは燃料電池層402の厚さとほぼ等しい)。カップリング層404は、また、第2構造体406の上位表面に接触して接着し、第2構造体表面ボンディング領域424を形成する。このようにして、カップリング層404は燃料電池層の端部を主側面の双方でカプセル化する。
【0040】
図4において、ボンディング領域408の長さ416は、ボンディング領域410の長さ418より長い。ただし、この発明のいくつかの実施例において、上位燃料電池表面ボンディング領域の長さは、上位燃料電池表面ボンディング領域の長さと等しく、または、短くても良い。
【0041】
流体漏れの経路長は、長さ416、長さ418、および長さ420の合計である。したがって、この発明の1つの長所は、慣用的なボンディング(例えば
図3に示すようなもの)により実現されるものよりかなり長い漏れ経路長を伴う周囲カップリングを実現できるという点である。故障のためには、周囲カップリングに支障が生じる前に、漏れが、この発明のカップリングのこれら3つの長さの合計を通じて伝搬していかなければならない。
【0042】
カップリング層404の強度は、その材料特性に左右される。燃料電池システムに使用される材料に良好に接着する任意の材料を利用して周囲カップリング層を形成して良い。そのような材料は、例えば、ポリウレタン、エポキシ、またはポリアミドを含んで良い。
【0043】
カップリング層404の強度は、その幾何形状にも左右される。例えば、層404の上側部分の厚さ422および長さ416が、上位燃料電池表面ボンディング領域408を形成し、これが、層404の強度に影響を与える。また、第2構造体表面ボンディング領域424の長さ414、および、周囲燃料電池表面ボンディング領域412の長さ420も、層404の強度を左右し、これは、燃料電池層402の下位側面から上位側面に広がる、カップリング層404の部分の幅426が影響を与えるからである。所与の用途の要件に基づいて、この発明のカップリング層のこれら寸法および他の寸法が可変されて所望の強度特性を具備する周囲ボンディングが形成される。
【0044】
この発明のカップリング部材の寸法は所与の用途に合致するように可変できるけれども、いくつかの実施例において、第2構造体表面ボンディング領域の長さ(
図4に示される長さ414に対応する)は約1.9mm+−40%であり、下位燃料電池表面ボンディング領域の長さ(長さ418に対応する)は約0.9mm+−40%であり、上位燃料電池表面ボンディング領域の長さ(長さ416に対応する)は1.25mm+−40%である。いくつかの実施例において、カップリング部材の全体の厚さ(厚さ422、長さ422、および、下位燃料電池表面ボンディング領域410および第2構造体表面ボンディング領域424の最短距離の輪に対応する)は約1.2mm+−40%である。
【0045】
図5は、燃料電池システム500の一部が加圧状態で含まれるこの発明の他の実施例を示す。燃料電池システムは燃料電池層502、カップリング層504、および第2構造体506を含む。カップリング層504は燃料電池層502の周囲を包囲して、この層502を第2構造体506にボンディングする。燃料電池層502は加圧され、第2構造体506から離れるように変形される。
【0046】
カップリング層504の下位燃料電池表面ボンディング領域510は、引っ張りおよび引き剥がし負荷518を受け、他方、上位燃料電池表面ボンディング領域508は、燃料電池層502から加えられる剪断応力520および圧縮負荷530を受ける。
図5に示すように、引っ張りおよび引き剥がし負荷518は、下位燃料電池表面の一部がカップリング層504、すなわち露出表面564から引き剥がされ、または積層解除するように働いてしまう。引っ張りおよび引き剥がし負荷518が表面564の引き剥がしを引き起こす反面、上位燃料電池表面ボンディング領域508に加わる圧縮負荷はボンディングの維持を支援する。
【0047】
単純な慣用的な接着フェース結合に較べ、この発明の周囲カップリングでは、結合長が増大し、大きな結合表面面積を実現する。燃料電池システムで漏れが生じるためには、周囲カップリングの接着が、燃料電池層の上位および下位の表面の双方で支障が生じる必要がある。この発明のカップリングに使用される材料の剪断強度は、その引き剥がし強度の約10倍大きいであろうから、周囲カップリングの一体性は引っ張りおよび引き剥がし負荷に左右されず、むしろ剪断応力に左右される(例えば
図5に示される剪断応力520)。
【0048】
この発明の周囲カップリングは、組立体の破裂を阻止するために、種々の燃料電池層および流体マニホールド構造とともに使用されて良く、これは、内部支持構造(例えば、ボンディング部材、スペーサ、折り畳み可能柱状物、その他、組立体において燃料電池相が外側に拡大するのを阻止するように意図されたもの)、または、堅固または柔軟な燃料電池および/または第2構造体を含む構造を含む。
図6A〜
図6Cはここで説明されたこの発明のカップリング部材を具備する燃料電池層の種々の構成の断面を示す(カップリング部材および燃料電池層の間の接触に固有ないくつかの側面は明瞭化のために省略されている)。
【0049】
第2構造体はいくつかの実施例においては堅固であるけれども、他の実施例においては柔軟性を有する。
図6Aは、柔軟な第2構造体606を具備する加圧燃料電池システム600の一部を含むこの発明の1実施例を図説する。システム600は柔軟な第2構造体606、カップリング部材604、および、堅固な燃料電池層602を含む。柔軟な第2構造体606は、流体マニホールドの一部である。カップリング部材604は、堅固な燃料電池層602の外側周囲部分の
両側面を包囲して層602を構造体606にボンディングする。
【0050】
図6Bは、燃料電池システム610の一部が加圧状態で含まれる、この発明の1実施例を図説する。燃料電池システム610は、燃料電池システム610は2つの柔軟な燃料電池層612および618を含み、これらは各々第2構造体の対抗する面に配置される。カップリング部材615は層618を構造体616に接着させ、他方、カップリング部材614は層612を構造体616の他方の表面に接着させる。第2構造体616は堅固でも柔軟であっても良い。
【0051】
図6Cは、燃料電池システム620の一部を含むこの発明の1実施例を図説する。システム620は燃料電池層622、カップリング部材624、および第2構造体628を含む。カップリング部材624は層622の周囲部分を構造体628にボンディングする。層622はボンディング部材626の形態の内部サポートによって構造体628にも接着される。ボンディング部材626は長さに渡る種々の点で燃料電池層622の外側への拡大を制約する。
【0052】
潜在的な燃料電池層および第2構造体(例えば、流体マニホールド)の構成は、先に述べた、本出願人の出願に係る、米国特許出願公開第2009/0081493号にさらに説明される。
【0053】
接着に最適な任意の製造方法を使用して、この発明の周囲シールを形成して良い。そのような方法は、注射器被着またはスクリーン印刷を含んで良い。
【0054】
図7Aおよび
図7Bは、周囲シールを形成する方法を含む、この発明の1実施例を順次的に示す。
図7Aは燃料電池層702および第2構造体706を図説する。第2構造体706は例えば流体マニホールドであって良い。
【0055】
図7Aは、カップリング材料(例えば接着剤)の第1の量732を示し、これが、第2構造体706および燃料電池層702の間に被着される。カップリング材料の第1の量732は第2構造体706の上位表面に接触して接着し第2構造体表面境界領域724を形成する。カップリング材料の第1の量732は、また、燃料電池層702の下位表面に接触し、これと接着し、下位燃料電池表面ボンディング領域710を形成する。カップリング材料の第1の量732は、また、燃料電池層702の周囲の側方表面に接触し、これと接着し、周囲燃料電池表面ボンディング領域712を形成する。
【0056】
図7Bは、燃料電池層702の上位表面および第1の量712の上位表面の一部の上に被着される、カップリング材料の第2の量734を示す。カップリング材料の第2の量734は、燃料電池層702の上位表面に接触し、これと接着し、上位燃料電池表面ボンディング領域708を形成する。カップリング材料の第2の量734は、第1の量712の上位表面の一部と接触し、これと接着する。カップリング材料の第1の量732および第2の量734は、同一の材料でも良いし、異なる材料でも良いけれども、どのような場合でも、双方が接着して周囲カップリングを形成する。
【0057】
図7Aおよび
図7Bは、境界構造体738も示し、これは燃料電池層702および第2構造体706の間に配される。境界構造体738は、第1部分732が第2構造体706の上位表面のより多くの部分、または燃料電池層702の下位表面のより多くの部分に接触して接着するのを阻止する。いくつかの実施例において、境界構造体は機械強度を実現する内部支持構造体、または、でき上がった組立体に対する他の構造サポート、例えば、ボンディング部材、スペーサ、または折り畳み柱状物である。他の実施例において、境界構造体は、リブ付きの台座層であり、これは、「燃料電池および非対称アーキテクチャを具備する燃料電池部品ならびにその方法」という名称で、2010年12月23日に提出された、本出願人の出願に係る、PCT国際出願公報第WO2011/079377号に説明されているようなものであり、その内容は参照してここに組み入れる。
【0058】
燃料電池組立体の種々の部品は固定部782の上に載置され、これは第1および第2の量732および734が配置されるプロセスの間中、それら部品をその場に保持できる。開放層780が第2構造体706の下すなわち下位に位置決めされ、固定部782の上すなわち上位に位置決めされ、組立体が固定部782に固着するのを阻止する。開放層780は種々の材料、例えば、微多孔性ポリエチレンフィルム、または多孔性ポリプロピレンから形成できる。いくつかの開放層材料(例えばポリプロピレンフィルム開放層)を複数の燃料電池アレイのために複数の周囲シールを製造するために再利用して良い。
【0059】
いくつかの実施例において、この発明は、第2構造体(例えば流体マニホールド)および燃料電池層の間に配されるカップリング材料を比較的多くの量だけ利用する製造方法を含む。被着されるカップリング材料の部分は、充分に大きく、もって、第2構造体および燃料電池層により囲まれる空間を満たし、燃料電池層の周囲段部の側方表面を越えて流れ、燃料電池層の上位表面に一部の上に流れ、これによって、燃料電池層の頂部の表面の一部を被覆する。第2構造体の頂部の上で、かつ燃料電池層の下、または燃料電池層の頂部の上に位置決めされる境界構造体(例えば内部支持構造体)は、カップリング材料が制御不可能に第2構造体の上を広がっていくのを阻止できる。
【0060】
この発明の他の1つの実施例が
図8Aおよび
図8Bに図説され、これは、この発明の周囲シールを具備する燃料電池システム800を製造する方法を順次的に示す。燃料電池層802は、第2構造体806の上に配され境界構造体838の上に保持される。垂直寸法を伴う周囲境界構造体836は第2構造体806の上位表面の周囲部分の付近に配される。
図8Aに示すように、開放溝842が、第2構造体806の上位表面の一部、境界構造836および838、および燃料電池層802の下位表面の一部によって形成される。第2構造体806は開放部材880によって固定部882上に支持され、開放部材880は第2構造体806および固定部882の間に配される。境界構造体838は内部支持構造体または台座部の一部であって良い。
【0061】
溝842は、カップリング材料を被着可能な開放空間を形成する。
図8Bはそのような被着を図説し、ここでは、カップリング材料804がそれまで空だった溝842内に被着される。カップリング材料804は、溝842を形成する燃料電池層802の下位表面の一部に接触して接着し、これによって、下位燃料電池表面ボンディング領域810を形成する。カップリング材料804は、溝842を形成する第2構造体806の上位表面の一部に接触して接着し、これによって、第2構造体表面ボンディング領域824を形成する。カップリング材料804は、また、燃料電池層802の上位表面の一部に接触して接着し、これによって、上位燃料電池表面ボンディング領域810を形成する。燃料電池層802は第2構造体806より若干小さい点に留意されたい。これによって、カップリング材料804が溝842に流れ込んで燃料電池802の周囲部分をカプセル化できるように充分な余裕が設けられる。
【0062】
いくつかの実施例において、この発明のカップリングは、接着材料の薄膜層を利用してその場にボンディングされるプレフォームカップリング部材を用いて形成する。
図9Aおよび
図9Bはそのような実施例を逐次的に示す。
図9Aにおいて、第1構造体部材932の形態のカップリング部材の一部が燃料電池層902の表面に配置され、他方、プレフォームカップリング部材の一部が第2構造体部材934の形態で第2構造体906の上に配される。部材932および/または934は、これら部材932および/または934と、層902または構造体906のそれぞれの表面との間に、塗布された薄膜の接着剤を使用して、それぞれの位置に保持することができる。
図9Bにおいて、2つのプレフォーム構造体部材を、例えば、薄膜の接着剤材料を利用して結合し、これによって、カップリング部材またはシールが燃料電池層902および第2構造体906の間に界面936の位置で掲載される。
【0063】
代替的には、カップリング部材は接着剤材料で全部構成されて良い。
【0064】
内部支持構造体を使用することは、燃料電池システムの堅牢性を向上させる補完的な方法である。内部支持構造体は、流体ガス圧によって印加される力を分散する非伝導性多孔性層であって良い。内部支持構造体は、本出願人の出願に係る、「燃料電池および非対称アーキテクチャを具備する燃料電池部品ならびにその方法」という名称で、2010年12月23日に提出された、本出願人の出願に係る、PCT国際出願公報第WO2011/079377号に説明されており、その内容は参照してここに組み入れる。
【0065】
以上の記述は説明的であることを意図しており、制約的ではない。他の実施例も利用でき、例えば、当業者は以上の記述を検討することにより採用できる。また、以上の発明の詳細な説明において、種々の特徴をグループ化して説明を簡便にしている。これは、特許請求の範囲に記載されていない特徴がいずれかの請求項において基本的であると理解されてはならない。したがって、特許請求の範囲は発明の詳細な説明に組み込まれ、各請求項はそれ自体で個別の実施例を表す。この発明の範囲は、特許請求の範囲や、そのような特許請求の範囲の権限が及ぶ均等の全範囲を参照にして決定されるべきである。
【0066】
要約は規則(37C.F.R 1.72(b))に適合するものであり読者に技術的開示の本質を即座に把握させることを可能にする。これは、請求項の範囲の意味を解釈したり範囲を限定するのに使用されないことに留意されたい。
以下、ここに説明した技術的特徴についてまとめておく。
[技術的特徴1]
上位燃料電池表面、下位燃料電池表面、および周囲燃料電池表面を含む平面燃料電池層と、
上記下位燃料電池表面の下位に位置決めされる第2構造体と、
上記平面燃料電池層を上記第2構造体にボンディングするカップリング層とを有し、
上記カップリング層は、上位燃料電池表面と接触して接着し上位燃料電池表面ボンディング領域を形成し、下位燃料電池表面と接触して接着し下位燃料電池表面ボンディング領域を形成し、周囲燃料電池表面と接触して接着し周囲燃料電池表面ボンディング領域を形成し、第2構造体と接触して接着し第2構造体表面ボンディング領域を形成することを特徴とする燃料電池システム。
[技術的特徴2]
上記カップリング層は上記周囲燃料電池表面の全体に接着して上記燃料電池層を上記第2構造体に気密にボンディングする技術的特徴1記載の燃料電池システム。
[技術的特徴3]
燃料電池層、上記第2構造体、および上記カップリング層は流体プレナムを形成する技術的特徴2記載の燃料電池システム。
[技術的特徴4]
上記流体プレナム中に含有される流体の漏れだし経路長は、上記下位燃料電池表面ボンディング領域の長さより長い技術的特徴3記載の燃料電池システム。
[技術的特徴5]
上記第2構造体は流体マニホールドである技術的特徴1記載の燃料電池システム。
[技術的特徴6]
上記上位燃料電池表面ボンディング領域は上記下位燃料電池表面ボンディング領域より大きい技術的特徴1記載の燃料電池システム。
[技術的特徴7]
上記上位燃料電池表面ボンディング領域および上記下位燃料電池表面ボンディング領域は、合計して、上記第2構造体表面ボンディング領域より大きい技術的特徴1記載の燃料電池システム。
[技術的特徴8]
上記第2構造体の上位表面の上に配される境界構造体をさらに含む技術的特徴1記載の燃料電池システム。
[技術的特徴9]
上記境界構造体は、上記第2構造体の周囲の少なくとも一部あたりまで伸び、しかも、上記燃料電池層に接触しない技術的特徴8記載の燃料電池システム。
[技術的特徴10]
上記境界構造体は、上記第2構造体および上記下位燃料電池表面の間に配される技術的特徴8記載の燃料電池システム。
[技術的特徴11]
上記境界構造体は構造支持部材である技術的特徴8記載の燃料電池システム。
[技術的特徴12]
上記境界構造体は土台層である技術的特徴8記載の燃料電池システム。
[技術的特徴13]
上記平面燃料電池層は曲がっている技術的特徴1記載の燃料電池システム。
[技術的特徴14]
さらに、上記第2構造体の下位表面に結合される第2の燃料電池層を含む技術的特徴1記載の燃料電池システム。
[技術的特徴15]
上記燃料電池層は柔軟性を有する技術的特徴1記載の燃料電池システム。
[技術的特徴16]
上記第2構造体は柔軟性を有する技術的特徴1記載の燃料電池システム。
[技術的特徴17]
上記カップリング層は、ポリウレタン、ウレタン、エポキシ、ポリアミド、ポリエステル、圧力感応接着剤、アクリル、シアノアクリレート、またはこれらの組み合わせを含む技術的特徴1記載の燃料電池システム。
[技術的特徴18]
上記上位燃料電池表面ボンディング領域の長さは、約0.75mm〜約1.75mmであり、
上記下位燃料電池表面ボンディング領域の長さは、約0.54mm〜約1.26mmであり、
上記第2構造体表面ボンディング領域の長さは、約1.14mm〜約2.66mmである技術的特徴1記載の燃料電池システム。
[技術的特徴19]
電気を生成する方法であって、
技術的特徴1〜18のいずれかに記載の燃料電池システムを設けるステップであって、上記燃料電池システムは上記平面燃料電池層および上記第2構造体によって形成される包囲体を含む、上記ステップと、
上記包囲体を流体燃料で加圧するステップと、
上記流体燃料を上記燃料電池層に接触させて電力を発生させるステップとを有することを特徴とする、上記方法。
[技術的特徴20]
上記下位燃料電池表面ボンディング領域は、上記包囲体の加圧により生じる引き剥がし負荷および引っ張り負荷の双方を受け、他方、上記上位燃料電池表面ボンディング領域は、上記包囲体の加圧により生じる引き剥がし負荷または引っ張り負荷を受けない技術的特徴19記載の、上記方法。
[技術的特徴21]
上記上位燃料電池表面ボンディング領域は上記包囲体の加圧により生じる圧縮負荷および剪断応力を受ける技術的特徴19記載の、上記方法。
[技術的特徴22]
上記圧縮負荷および上記剪断応力は上記カップリング層を介して上記上位燃料電池表面ボンディング領域に印加される技術的特徴21記載の、上記方法。
[技術的特徴23]
上記包囲体は15および50psiの間の圧力まで加圧される技術的特徴19記載の、上記方法。
[技術的特徴24]
燃料電池システムを製造する方法であって、
平面燃料電池層と、上記燃料電池層の下位表面の下方に位置決めされる第2構造体を設けるステップと、
上記第2構造体の上にカップリング材料の少なくとも一部を被着してカップリング層を形成するステップとを有し、
上記カップリング層は上位燃料電池表面、下位燃料電池表面、周囲燃料電池表面、および第2構造体表面に接触して接着する、上記方法。
[技術的特徴25]
さらに、カップリング材料の第2の部分を被着して上記カップリング層を形成するステップをさらに含む技術的特徴24記載の、上記方法。
[技術的特徴26]
カップリング材料の上記第1の部分および上記第2の部分は非類似の物質である技術的特徴25記載の、上記方法。
[技術的特徴27]
さらに、境界構造体を上記第2構造体の上位表面の上に被着するステップを含む技術的特徴24記載の、上記方法。
[技術的特徴28]
上記境界構造体は構造支持部材または土台層である技術的特徴27記載の、上記方法。
[技術的特徴29]
上記境界構造体は上記下位燃料電池表面に接触する技術的特徴27記載の、上記方法。
[技術的特徴30]
上記境界構造体は上記燃料電池層に接触せず、上記第2構造体の周囲端部の上に被着される技術的特徴27記載の、上記方法。
[技術的特徴31]
上記第2構造体の上記上位表面、上記下位燃料電池表面、および上記境界構造体が、カップリング材料の少なくとも一部の被着に先立って、開放溝を形成する技術的特徴30記載の、上記方法。