(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記基体が上記第1および第2のフェースの間で実質的に気密になるように上記基体をシールするのに充分な程度に、上記基体を押圧し、または上記基体に新たな材料を付加するステップをさらに有する請求項1〜5のいずれかに記載の電気伝導性経路形成方法。
上記基体を押圧する処理は、少なくとも、上記電気伝導性材料が被着される位置において、上記基体の上記第1および第2のフェースに圧縮圧力を印加することを含む請求項6記載の電気伝導性経路形成方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明において、具体的な詳細はこの発明の理解をより確実にするために提示される。しかしながら、この発明はこのような詳細を伴うことなく実施できる。他の例においては、この発明が不必要に不明瞭にならないようにするために周知の事柄は示されないし、説明されない。図は、理解を助けるために、この発明が実施できる具体的な実施例を示す。この発明の趣旨を逸脱することなく、これら実施例は組み合わされて良く、他の要素または構造上、または論理状の修正を行って良い。したがって、明細書および図面は説明のためのものであり、制約的でないものとして理解されなくてはならない。
【0014】
この文書において参照されている文献、特許、および特許文書は、個々に参照してここに組み入れているけれども、ここで、すべて参照して組み入れることとする。当該文書とそれら文書との間で一貫性のない用例がある場合には、それら組み入れられた文書中の用例は当該文書の用例を補充するものと理解すべきであり、調整ができない場合には当該文書の用例が採用される。
【0015】
当該文書においては、用語「1」が用いられる場合には、特許文献で通常のように、1または1より大きな場合を含み、これは任意の他の事例、または「少なくとも1つ」や「1または複数」の用例とは別である。当該文書においては、用語「または」は、そうでないと示される場合を除いて、非排他的なものを指すものとして用いられ、例えば、「A、B、またはC」は「A」のみ、「B」のみ、「C」のみ、「AおよびB」、「BおよびC」、「AおよびC」、および「A、BおよびC」を含む。当該文書において、用語「上」(above)および「下」(below)は、複合材(composite)の中心との関係で2つの異なる方向を記述するのに採用され、用語「より上」(upper)および「より下」(lower)は複合材の異なる2つの面を記述するのに採用される。しかしながら、これらの用語は、単に記述を容易にするために用いられ、説明される実施例の燃料電池層の配位を固定するものとして理解されない。添付の側面およびいずれの請求項においても、用語「第1」、「第2」、および「第3」等は単にラベルとして採用され、それらの対象の数的な要求を課すものでないことに留意されたい。この文書において明示的に開示されたいかなる数値範囲は、その明示的に開示された数値範囲の任意の部分範囲を、その部分範囲が明示的に開示されたのと同様に、含むことに留意されたい。例えば、開示された1〜100の範囲は、1〜80の範囲、2〜76の範囲、または1〜100の間に入る任意の他の数値範囲を含むと理解される。
【0016】
この発明が適用できる、複合層アーキテクチャの多数の例は、複合層として利用できる燃料電池層のような電気化学電池のアレイを含み、本出願人の出願に係る、PCT/CA/09/00253号のPCT出願として2009年2月27日に提出され、「電気化学電池およびこれに関連する膜」という題名の、米国特許出願公開第2011/0003229号に記載されており、その内容は参照してここに組み入れる。
【0017】
複数のユニット電池を含む燃料電池層は、複数のイオン伝導性要素および複数の電気伝送性要素を含む複合基体を用いて構築できる。そのような基体は、例えば、明示的にイオン伝導性膜シートから材料を除去して1または複数の開口を形成することにより実現でき、これら開口は、伝導性材料で埋められ、シートを通じて1または複数の個別の電気経路を形成する。このような方法の例は、本出願人の出願に係る、2010年3月25日に提出され、「燃料電池層、燃料電池システム、および燃料電池層を製造する方法」という題名の、米国特許出願公開第2011/0236785号に説明されており、その内容は参照してここに組み入れる。マイクロ燃料電池の場合では、開口は全般的に小さくなくてはならず、絨毯材料は大きなギャップに広がる必要はない。電気伝送性経路は、相互接続体として近傍のユニット燃料電池を電気的に接続するために使用できる。これら経路は、1つの主たる表面から反対の表面に基体を通り抜ける必要があるであろう。
【0018】
この発明の方法では、シート材料を刺し通して、連続したシート材料中に、平面を通り抜ける伝導性経路を形成できる。これは、材料を基体から除去して明瞭な穴を残す、従来の方法と異なる。連続シート材料は、一様に、プロトン伝導性材料、プロトン伝導性および誘電体材料の複合体、またはプロトン伝導性材料および誘電体材料の複合体で、その材料の表面の上、またはその近くに電気伝導性の領域が配されるものであって良い。ユニット燃料電池の相互接続に必要な面積を最小化することにより、燃料電池の全体的な活性面積が最大化されて良い。
【0019】
この発明の方法によれば、機械パンチを利用して材料を除去するときにツールの詰まりを招いたり平面の歪みを形成したりする、小さな穿孔くずが生じない。また、この方法の発明によれば、アブレーション技法を用いて材料を除去するときの、連続シートの機械的な特性を代えてしまう表面および領域効果を回避できる。このような結果は、プラス処理のような後続の処理ステップを完了困難にする。そのため、この発明は連続シート材料の歪みやその機械特性の変化を最小限にする。
【0020】
[定義]
ここで使用されるように、「触媒」はそれが変更または消費されることなしに反応の開始や反応速度の増加を支援する材料または物質である。触媒層は、手近な塗布に適した任意のタイプの電極触媒を含んで良い。触媒または触媒層は純粋な白金、炭素支持白金、炭素黒、白金−ルテニウム、パラジウム、銅、酸化錫、ニッケル、金、カーボンブラックの混合物、および、1または複数のバインダを含んでよい。バインダはアイオノマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、フルオロポリマー、および他のポリマー材料を含んでよく、フィルム、粉末、または分散剤であってよい。ポリイミドの一例はKapton(商標)である。フルオロポリマーの一例は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)すなわちTefron(商標)である。他のフルオロポリマーは、PFSA(ペルフルオロスルホン酸)、FEP(フルオロ化エチレンプロピレン)、PEEK(ポリエーテルエチレンケトン)、および、PFA(ペルフルオロアルコエチレン)を含む。バインダは、PVDF(ポリビニリデンジフルオライド)粉末(例えばKynar(商標))、および二酸化珪素粉末であってもよい。バインダは、ポリマーまたはアイオノマーの任意の組み合わせを含んでよい。カーボンブラックは、適切に細かく分割した炭素材料、例えば、アセチレンブラックカーボン、炭素粒子、炭素フレーク、炭素繊維、炭素針、カーボンナノチューブ、およびカーボンナノ粒子のうちの1つまたは複数を含んでよい。
【0021】
ここで使用されるように、「コーティング」は複合層の表面に配される伝導性薄膜を指す。例えば、コーティングは、触媒層、または、アノードおよびカソードのような電極であって良い。
【0022】
ここで使用されるように、「複合層」または「複合材」(composite)は、厚さを伴う少なくとも2つの表面を含む層であって、1または複数のイオン伝導性の通路および1または複数の電気伝導性通路がそれら表面の間に設けられているものを指す。複合材のイオン伝導性および電気伝導性は、イオン伝導性通路および電気伝導性通路を異なる寸法、形状、密度、または配列で設けることにより、当該複合材の異なる領域で変化されてよい。複合層は、例えば、非イオン伝導性シートを選択的に処理してイオン伝導性領域を形成することにより、形成でき、これは、例えば、本出願人の出願に係る、2005年2月2日提出の、「膜、およびそのような膜を食い込んだ電気化学電池」という題名の米国特許第7,378,176号に記載されており、その内容は参照してここに組み入れる。複合層は、流体(例えば、気体または液体)に対して非透過性、または実質的に非透過性であって良い。複合層は誘電体材料を含んで良い。複合層は、所望の電気伝導性、イオン伝導性、気体透過性、気体非透過性、および機械強度特性を、複合層の全空間に渡って実現することができ、また複合層の種々の領域に渡ってそれらの程度を可変させることができる。複合層は基体として使用されて良い。この発明の方法が適用されて良い複合層は、ここに説明される複合層、または、ここで参照して組み入れる特許文献に説明される任意の複合層を含んで良く、その複合層の主たる表面に一方または双方の上に、またはこれに隣接して配されるコーティングを含み、または含むであろう。
【0023】
ここで使用されるように、「誘電体材料」は無視できる電気伝導性しか示さない物質を指す。誘電体材料は、イオン伝導性材料、非イオン伝導性材料、またはこれらの組み合わせを含むと理解されて良い。イオン伝導性材料の例は、イオン交換ポリマーのような所定の用途に適用可能なアイオノマーまたは電解質、アルカリ性溶液、酸性溶液、リン酸、アルカリカーボネート、および、酸化イオン伝導性セラミックを含む。非イオン伝導性材料の例は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミド、フルオロポリマー、および他のポリマーフィルムのようなポリマーを含む。ポリイミドの例はKepton(商標)フィルムを含む。フルオロポリマーの例はPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)またはTefron(商標)フィルムを含む。他のフルオロポリマーはPFSA(ペルフルオロスルホン酸)、FEP(フッ素化エチレンプロピレン)、およびPFA(ペルフルオロアルコキシエチレン)を含む。誘電体材料は、また、ファイバグラスのような強化複合材料、珪素またはガラスのような任意の適切な非ポリマー材料、およびこれらの組み合わせを含んで良い。誘電体材料は電解質を含んで良い。電解質は固体電解質膜であって良い。
【0024】
ここで使用されるように、「電気化学反応層」は電気化学反応が起こる領域を指す。電気化学反応層は、電気化学反応におけるアノード、カソード、またはそれら双方として機能する材料または要素を含んで良い。電気化学反応層は、電極材料、触媒材料、電気伝導性材料、基体透過性材料、および水反応性材料(例えば、親水性、および疎水性材料)を含むことができ、機械的な耐久性を付与する構造添加物を含んで良い。電気化学反応層の組成物は反応を助長するように最適化されて良い。
【0025】
ここで使用されるように、「電極領域」、「電極材料」、または「電極」は、電気化学反応におけるアノード、カソード、またはそれら双方として機能する材料または要素を指す。電極領域は、触媒を含んで良い。電極領域は、純粋な白金、白金ブラック、炭素支持白金、パラジウム、銅、ニッケル、金、織物および不織の炭素繊維紙、カーボン紙、カーボンブラックの混合物、炭素粉末、黒鉛粉末、伸長黒鉛、黒鉛充填エポキシのような伝導性接着剤、黒鉛充填Nafion(商標)のような伝導性プライマー、Nafion(商標)、またはこれらの組み合わせを含んで良い。電極領域は、微多孔性層も含んで良い。微多孔性層は、電極中において熱、水、電気の搬送を支援する機能を有し、電極に構造上の支持を付与する機能も有する。微多孔性層は、黒鉛粉末、炭素粉末、炭素ニードル、黒鉛フレーク、黒鉛ニードル、酸化錫、酸化珪素、およびバインダを含んで良い。バインダはアイオノマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、フルオロポリマー、および他のポリマー材料を含んでよく、フィルム、粉末、または分散剤であってよい。ポリイミドの一例はKapton(商標)である。フルオロポリマーの一例は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)すなわちTefron(商標)である。他のフルオロポリマーは、PFSA(ペルフルオロアルコエチレン)を含む。バインダは、PVDF(ポリビニリデンジフルオライド)粉末(例えばKynar(商標))、および二酸化珪素粉末であってもよい。バインダは、ポリマーまたはアイオノマーの任意の組み合わせを含んでよい。そのような微多孔性層の例は、コートされたカーボン紙、およびコートされたカーボン繊維紙の形態で商業的に入手可能なもの、さらには、France、ClichyのSociete BICにより製造されるものを含む。電極領域は、本出願人の出願に係る、2010年12月23日に提出され、名称が「燃料電池用の性能助長層」のPCT出願公報第WO2011/079378号に記載されているような層性能助長層を含んで良く、その開示内容は参照してここに組み入れる。電極領域は、コーティングの形態で、複合層の表面上に配されて良い。「電極領域」および「電極」はここでは交換可能に使用される。
【0026】
ここで使用されるように、「電子伝導性要素」または「電気伝導性要素」は電気的な伝導性通路を形成する複合層の要素を指す。電子伝導性要素は、例えば、複合層の一方の層から、この複合層を通じて、この複合層の反対の表面に至る1または複数の電気的な伝導性通路を形成して良い。電子伝導性要素は、電気的に伝導性の材料、たとえば、金属、金属フォーム、炭素質材料、電気伝導性セラミック、電気伝導性ポリマー、黒鉛、黒鉛充填エポキシ、金属充填エポキシ、伸長黒鉛、炭素、炭素充填エポキシ、これらの組み合わせ等の1つまたは複数を含む。
【0027】
ここで使用されるように、「電解質膜」は、イオン伝導性経路を実現する複合層の要素を指す。イオン伝導性要素はイオン伝導性材料、例えば、フルオロポリマーベースのイオン伝導性材料、または炭化水素ベースの伝導性材料を含む。電解質膜は、「電解質」または「イオン伝導性要素」とも呼ばれる。イオン伝導性経路は、プロトンが、1つの経路から他の経路へとジャンプするのではなく、各経路に沿って流れ、もって個別のイオン伝導性経路を流れる効果を実現するように、離間されなくてはならない。
【0028】
ここで使用されるように、「平面」(plane)は、既知拡張および空間方向または位置を伴う2次元仮想表面を指す。例えば、矩形ブロックは、相互に直交する、1つの垂直の平面および2つの水平な平面を具備して良い。平面は相互との関係で、例えば、90°より大きな、または小さな角度を用いて定義されて良い。
【0029】
ここで使用されるように、「燃料電池アレイ」は複数の個別のユニット電池(セル)を指す。複数の電池(セル)はイオン交換膜材料のシートまたは他の基体の上に形成されて良く、また、複数の要素を具体的な態様で組み立てることにより形成して良い。アレイは任意の適切な幾何形状に形成することができる。燃料電池の平面アレイの例は、本出願人の出願に係る、2005年2月2日に提出された、名称が「電気化学反応層の下に電流担持層を具備する電気化学電池」の米国特許出願公報第2005/0250004に説明されており、その内容は、本出願人の出願に係る他の出願とともに参照してここに組み入れる。アレイ中の燃料電池は、他の平面表面、例えばチューブ(筒状燃料電池に見いだされるようなもの)をたどってもよい。代替的には、またはこれに加えて、アレイは、種々の幾何形状に順応できる柔軟な材料を含むことができる。
【0030】
ここで使用されるように、「実質的」は、過半数、または、ほとんどを指し、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、または少なくとも約99.999%のようなものである。
【0031】
ここで使用されるように「イオン伝導性」はイオン伝導な材料を指す。
【0032】
ここで使用されるように「プロトン伝導性」はプロトン伝導性の材料を指す。
【0033】
図1A〜
図1Dは、この発明の1実施例を順次的に図説し、基体中に配された電気伝導性材料の断面図を示す。この基体は任意の適切な基体であって良い。基体は連続シートであって良い。基体はイオン伝導性基体であって良い。基体は少なくとも1つのイオン伝導性の領域を含んで良い。基体のイオン伝導性の領域は、いくつかの例においてプロトン伝導性であって良い。いくつかの実施例において、基体は複合層であって良く、これは、イオン伝導性層および他の1または複数の層の混合物であって良い。イオン伝導性基体、または基体のイオン伝導性領域は10μm厚より小さく、または、約10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、110μm、120μm、130μm、140μm、または150μm厚と同一か、これより大きくて良い。イオン伝導性基体、または基体のイオン伝導性領域は、例えば、約25から約50μm、または約10から約100μmの厚さである。
【0034】
基体は少なくとも1つ
のイオン伝導性の領域を含んで良い。イオン伝導性の領域は、プロトン伝導性の領域であって良い。当該領域は任意の適切な領域であって良い。基体は第1および第2の主フェースを具備して良い。基体は第1の体積を具備して良い。基体は平面基体であって良い。平面基体は柔軟性があっても堅固であって良く、平坦であっても曲がっていても良い。背面基体は平面の歪みを具備して良く、平面基体と考えられる。
【0035】
図1Aは基体102の一部を図説し、これは第1の側面(主フェース)120および第2の側面(主フェース)122を含む。
図1Bは、機械ツール110により形成された、基体102の破砕領域、すなわち開口104を図説する。この開口は任意の適切な開口であって良い。機械ツール110は、不規則な開口であって良く、例えば、基体102の表面の窪み形状で、底近くに小さな孔があるようなものであり、頂部から底部まで対称な穴ではない。任意の適切なツールを用いて穴を形成して良い。そのような穴を形成するのに使用するツールの断面直径は、例えば、約50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、1000μmより小さく、または約1000μmより大きくて良い。いくつかの例において、穴を形成するツールは、一定の直径を有するのでなく、むしろ、テーパ付けを有し、または、同様のパターン形状化され、例えば、表面が平坦化され、または表面に螺旋刻印付けがなされている。種々の例において、ツールは軸に固定され、または軸の回りを回転できる。
【0036】
1または複数の穴が基体に形成されて良い。穴は1度に1つ形成され、またはいくつかの穴が同時に形成されて良い。いくつかの実施例のいて、約2、5、10、20、50、100、200、300、500個、または約1000個以上の開口が同時に形成されて良い。種々の機械ツールを使用して穴を形成して良く、例えば、穿孔シート、その他を製造するためのシートコンバージョンに使用するものを用いて良い。他の例は、スチールスケール用ダイ、穿孔ダイ、およびピンダイを含む。複数のピンを具備するダイは、基体102に複数の不規則な穴を形成できる。典型的なダイは、約1インチ当たり50ピンまでのピンピッチで形成されてよい。そのような大は1列にピンを配列させたり、または複数列にピンを配一度に複数セットの穴を形成して良い。1例において、
図4に示すような複数のユニット燃料電池を含む燃料電池アレイは約1000から約4000個の穴を含んで良い。
【0037】
ツールは一方の主表面から反対の表面まで基体を刺し通すことができる。ツールは任意の適切な深さまで基体を押し通して良い。いくつかの実施例において、ツールの先端の上で径は増大しても一定でも、または、これの組み合わせでも良く、また、ツールの形状に応じて、基体への浸入深さは所望の開口寸法を実現するように選択されて良い。他の実施例において、ツールは二重であり、穴の中に挿入される電気伝導性材料として、また、クランプとして働き、他の例は以下に説明する。他の実施例において、ツールは伝導性要素(例えば伝導性糸)を運び、ツール挿入深さを選択して伝導性要素が、ツールから除去される前に適切な深さだけ開口を通り抜けるようになされる。
【0038】
種々の実施例において、基体に形成される開口は、穴を形成するために基体から材料を除去することが実質的にないよう、形成される。微量の材料が開口形成時に除去されるかもしれないけれども、開口は、開口からコアを除去して形成されず、除去される材料は、コア形状の小片(「穿孔くず」)では決してない。いくつかの実施例において、穴形成に円錐または針形状の道具を利用することにより、材料の除去を回避し、この場合、道具の先端が基体を刺し通し、道具の幅広の部分が先端に続いて開口を押し広げる。先端が基体を通り抜けるときに、少量の材料が、穴形成に際して開口の内側側面からかきとられるかもしれないけれども、少量の材料の除去は、穴形成時に基体から実質的に材料が除去されない程度のものである。さらに、平面基体は刺し通し力によって変形させられ、開口のまわりに窪んだ形状が形成される。他の実施例では、平面基体は、刺し通し力により最小限しか変位せず、ほとんど、またはまったく窪み形状が形成されない。
【0039】
開口形成時に材料除去がないことを表現する1方法では、基体が開口形成前に第1の体積を有し、開口形成後に第2の体積を有し、第2の体積が
ほぼ第1の体積と同一ということである。いくつかの実施例において、第1の体積は、基体の全体の総体積の任意の部分を包囲する、任意の適切な方法で定義されて良い。ただし、この体積が、開口が形成される基体
の部分の全体を包囲しなければならない。同様に、第2の体積も、それが、第1の体積と対応する限りにおいて、任意の適切な方法で定義できる。第2の体積は、ほぼ直交方向から見たときに、第1の体積と同一の基体の断面領域を表すことにより、第1の体積と対応付けることができる。いくつかの実施例において、体積は、開口が形成される領域のすぐ回りに形成されて良い。他の実施例において、体積は、開口が形成される領域の回りを幅広く含むように形成されて良い。開口形成が窪みの形成、または基体の平面の他の変形を伴うときには、体積は、変形のすべてを含んで良い。いくつかの実施例において、第2の体積は、第1の体積の約90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、99.99%、99.999%、99.9999%、99.99999%、またはそれ以上であり、または約100%である。
【0040】
種々の実施例において、開口形成により除去される材料の総合量は、ほとんどなく、または実質的になくすることができる。ただし、いくつかの例において、開口が形成された後、第1の体積および第2の体積が同等であっても、基体の特性の変化がこれを縮小または膨張されることがあり、そのため全体の体積が当初の体積より大きく、または小さいことがある。さらに、種々の実施例において、電気伝導性材料を基体に付加すると、
材料の全体の総体積は当初の(第1の)体積、または第2の体積より大きくなるかもしれない。第1および第2の体積を比較することにより開口形成に伴う体積変化を記述でき、この場合、第2の体積は開口形成および刺し通し道具の抜き去りの後に直ちに、例えば直後に、測定して良い。ただし、基体の体積、または総合体積のさらなる変動、例えば、体積の増大が、開口の形成後に起こることがあることに留意されたい。
【0041】
この発明の種々の実施例は、「ぶら下がり穿孔くず」、例えば開口の端部、または電気伝導性経路の端部からぶら下がっている残留分の基体材料の形成も回避できる。ぶら下がり穿孔くずは、一般的には、基体を通り抜ける穴の除去コアを含む、このコアは、形成された穴の周囲の近くで基体の所定部分に依然として結合されている。ぶら下がり穿孔くずは、基体中に穴を形成するためにコアを除去することにより生成される。種々の実施例では、先に説明したように、コアの除去を避けることによってぶら下がり穿孔くずの生成を回避する。むしろ、先端は、基体を刺し通すために使用され位、これは、穴の端部からコアがぶら下がる場合に、このコアを基体の外部に押し出すことを避ける。
【0042】
上述したように、穴を形成するときに基体材料が変位させられ、平面基体に窪み形状ができる。材料を除去したり、それを穴の外部にぶら下がり穿孔くずとして配置するのでなく、単に基体を変形させることにより、ぶら下がり穿孔くずにより引き起こされる問題を避けることができる。コアの除去や移動がない場合でなく、開口形成時に材料の移動が起こりうる場合に、それを記述する1つの方法は、開口の形成の前および後の双方において基体が上側体積および下側体積を有すると想定することであり、上側および下側体積は穴形成の前と後で実質的に同一である。穴形成前の基体の上側および下側体積は、穴形成後の基体の上側および下側体積に対応する。「対応」させるために、上側および下側体積の間の分離部が、全体を通じて、基体の厚さのほぼ同一の割合で形成され、ただし、開口の位置を除く。開口形成により変形する平面基体については、開口の近くで、上側および下側堆積の分離部は曲がることになる。逆に、開口形成により材料を除去させる基体については、失われた材料の分、開口形成後の上側および下側体積は異なる。基体の上側および下側体積が穴形成の前後で実質的に同一になるためには、穴形成後の上側および下側体積が、穴形成前の上側および下側体積の90%、96%、97%、98%、99%、99.9%、99.99%、99.999%、99.9999%、または約99.99999%、またはそれ以上、または約100%であって良い。
【0043】
基体は任意の適切な手段でその場に保持されて良い。いくつかの実施例において、基体102は、固定具においてその場に保持でき、ダイはこれに整合させられる。固定具は係合機構を含んで、基体が刺し通されるときに屈曲するのを制約または阻止して良い。
図1Cは、基体102の第1側面120、第2側面122、または双方の側面に配置される電気伝導性材料106(触媒材料を含んで良い)を示す。伝導性材料は例えばスラリの形態であって良い。伝導性材料は、一回に1つ
の穴に配置されても、同時に複数の穴に配置されても良い。
【0044】
材料は穴を形成することにより移動させられたので、処理されたシートを押圧すると、移動した材料が元の位置に戻る。これによって、基体の再シールが簡単に実現される。押圧は、任意の適切なプレス、例えば、軸プレス、油圧プレス、機械プレス、トグルプレス、ロータリプレスを用いて、任意の適切な圧力、例えば、約50〜約200psi、転移の適切な時間、例えば、1〜10分で、実現して良い。シートが押圧されるときに熱を加えて良く、その温度は基体の融点および使用される伝導性材料の特性に左右される。例えば、印加される熱は、約50°Cおよび約200°Cの間、約80°Cおよび約160°Cの間、約130°Cおよび約180°Cの間、または、約80°Cおよび約130°Cの間であって良い。
【0045】
図1Dは、基体102および伝導性材料106が、その組み合わせが押圧された後の状態で示す。基体および伝導性材料を押圧し、または他の処理を行うことは、オプションのステップであり、いくつかの実施例においては、押圧または他の処理が行われ、他の実施例においては、押圧または他の処理が行われない。いくつかの実施例において、電気伝導性材料は基体へと充分にシールされて、基体が、押圧または他の処理が施されなくても、実質的に気体非透過性である。他の実施例においては、イオン伝導性
層は押圧され、または他の処理を施されて層をシールして良い。
図1に示されるような実施例においては、押圧が、
基体を平坦にし、伝導性材料を開口内へと押し込み、基体は平坦になり、またシールされ、その結果としての伝導性経路および包囲膜は、気密になる。押圧の間に、伝導性材料の粒子が破れた領域に押し込まれる。破砕の性質上、その結果としての電気相互接続において、所望の平面を通じた伝導性を助長するのに充分なほど広い面積が形成できる。複数のそのような相互接続が相互に近接した領域で形成されるときに、全体として低抵抗の電気相互接続特性が形成できる。
【0046】
得られる電気伝送性経路と、この電気伝送性経路を包囲する基体とは、実質的に気密である。電気伝導性経路を具備する、この得られた基体が気密特性を有するので、基体燃料が、種々の適切な圧力で、当該基体を含む燃料電池に供給できる。膜を実質的に気密にするために、それは100%気密である必要がない。例えば、いくつかの気体分子が充分に大きな圧力で、充分に長い時間間隔を掛けて膜から漏れて良い。しかしながら、基体が燃料電池中で有効に使用されるように、気体の漏出は最小限であるべきである。例えば、約15psigで、約0.3sccm未満の気体しか、基体の一方の側面から他方の側面に漏れない。例えば、約5psig、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、または、約60psigで、約0.001sccm、0.005、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、5、10、20、50、100、500、または1000sccm未満の気体しか、基体の一方の側面から他方の側面に漏れず、漏出の試験を行った表面面積は約0.001cm
2、0.005、0.01、0.05、0.1、1.0、1.5、2、5、10、50、100、150、200、500、または約1000cm
2である。いくつかの実施例において、漏出レートは約0.0667sccm/cm
2以下にできる。いくつかの実施例において、全体の漏出レートは約0.0032g/h以下にできる。いくつかの実施例において、任意の単一点からの漏出レートは約3sccm以下、または約0.016g/h以下にできる。
【0047】
種々の実施例において、開口を形成するステップは、電極材料(図示しない)を基体102に配置する前または後で実行して良い。いくつかの実施例において、付加的な伝導性またはシーリング層を、電気相互接続が形成された後に、電極材料層の表面またはその上方に、開口104の近傍で、被着して良い。任意の適切な材料の、任意の適切な厚さ、および適切な形状の、任意の適切な固執の付加的な層を付加して良い。
【0048】
この発明のいくつかの実施例において、電気伝導性要素は基体を刺し通すのに使用して良く、例えば、電気伝導性要素は刺し通し具である。いくつかの実施例において、先に説明したように、刺し通し具は電気伝導性要素を運ぶことができ、例えば、刺し通し具は針状の道具で、伝導性要素は例えば伝導性糸の形態であって良い。
図2A〜
図2Dは、この発明の1実施例を順次的に図説し、伝導性糸が配されるイオン伝導性層の断面を示す。
【0049】
図2Aにおいて、基体202の部分は
図1Aの基体102の部分と類似である。種々の実施例において、基体202のような基体は、例えば、イオン伝導性層であって良く、他の実施例において、基体202は選択的に処理されたイオン伝導性領域を形成する層であって良く、または、選択的に、所定の部分を、例えば、選択的にNafion(商標)先駆体樹脂を加水分解することにより、比較的大きなイオン伝導性を有する状態に変換した層であって良い。そのような変換は、プロセス中の任意の適切な時間で、例えば、電気伝導性経路が基体に埋め込まれる前、またはその後に、実施して良い。いくつかの実施例において、基体は、イオン伝導性がより少ない、または非イオン伝導性の形態で、寸法上、より安定することが可能であり、これはいくつかの実施例において所定の製造方法を採用するときに利点を有する。基体材料は、任意の適切な技法を用いて、比較的イオン伝導性のある状態に変換されてイオン伝導性経路を形成して良い。非制約的な例によれば、イオン伝導性経路は基体シートの選択的な領域を化学物質、照射、加熱、その他に露出することにおり形成できる。マスクを用いて、基体シートの選択的な領域を化学物質、照射、加熱、その他に露出して良い。他のリソグラフィ、エッチング、および/または印刷回路ボード製造技術も採用して良い。1つの具体的な実施例において、非イオン伝導性材料はNafion(商標)の樹脂先駆体であり、イオン伝導性経路の選択された位置において、非イオン伝導性材料からイオン伝導性材料への変換は、基体シートをマスクし、水に露出させてシートの当該領域を選択的に加水分解させることを含む。基体材料の選択的変換により形成されたイオン伝導性膜は、種々のイオン伝導性および/または機械特性を伴って具体的な用途に適合するようにした種々の空間膜領域を実現するように仕上げ処理されて良い。
【0050】
図2Aにおいて、基体202の部分は
図1Aの基体102の部分と類似である。イオン伝導性層202は第1の側面220および第2の側面222を具備して良い。ツール210は、電気伝導性糸206を担持し、イオン伝導性層202を刺し通し、これは
図2Bに示すとおりである。慣用的な縫製技術を用いて、電気伝導性糸を開口内に配置でき、これは当業者において容易に理解できる。径が例えば約50〜約300μmの針を用いて伝導性糸を挿入して良い。イオン伝導性層202が加水分解された樹脂を含む場合、いくつかの実施例において、この発明の方法は、寸法的に安定した非加水分解樹脂先駆体に
対して実行して良く、これが後に、上述のとおり、加水分解される。
図2Cにおいて、糸206は、イオン伝導性層202の双方の側面220および222に露出させられ、伝導経路を形成する。伝導性糸は任意の適切な数の繊維から構成されて良く、繊維は任意の適切な伝導性材料を含んで良い。伝導性糸206は複数の比重の細い繊維から構成されて良く、その結果、その断面を圧縮時に変更できる。いくつかの実施例において、電気伝導性要素は、基体に充分にシールされ、もって、基体が、押圧ステップやその他の処理を伴うことなしに、実質的に気密になっている。他の実施例において、イオン伝導性層は押圧、またはその他の処理を施されて層をシールして良い。伝導性糸の特性や縫い込みのピッチは電気性能および機械的耐久性の最も良好な組み合わせを実現するように選択して良い。例えば、伝導性糸は、炭素繊維糸を含んで良く、この炭素繊維糸は貴金属のような金属を含んで伝導性等を改善させて良い。
【0051】
図3A〜
図3Bは
図2の実施例により形成される電気伝導性線の断面図を示す。図に示すような平面を通じる伝導性経路の線を形成することにより、平面を通じる接続の全体の断面面積は顕著に
増大し、電気性能を改善させる。
図3Aの伝導性糸の部分は基体302の対抗する側面で、例えば、ループ306および308として、露出可能である。これらの部分は切断された個別の電気伝導性経路を形成し、
図3Bに示すように複数の繊維端部316が露出し、これら端部316は、適切なローリング、梳き通し処理、および押圧によって、イオン伝導性層302の表面322上に平坦化されて良い。複数の繊維端部を露出させること
により伝導性を増大させることができる。
【0052】
図4は、この発明の方法によって電気伝送性経路を形成させた
平面燃料電池アレイの模式図を示す。単一の糸は、イオン伝導性膜層の幅を横断して良く、あるいは、任意の適切なパターンを実装して良い。糸は基体102においてループ306を形成する。単一の位置が1ライン分横断したら、ループを切断して複数の繊維端部を露出させて良い。
【0053】
図5A〜
図5Bはこの発明の方法の1実施例を順次的に図説し、プレフォーム構造のクランプ要素510により締めつけられたイオン伝導性層502の断面を示し、このクランプ要素510は1または複数の突起530を具備し、この突起は1または複数の電気伝導性層506を具備する。当該1または複数の電気伝導性層はプレフォーム要素の任意の適切な部分の表面にあって良く、例えば、有効な電気接続が平面燃料電池アレイの適切な電極の間に形成されるようになっている。プレフォーム構造要素は、基体の平面にほぼ平行な複数のフェースを具備してよく、基板の平面とほぼ直交する1または複数の突起530を具備して良い。突起は任意の適切な形状を具備して良い。例えば、突起は、端部にポイント形状であり、これが基体を通り抜ける。例えば、突起は全体として筒形状であって良く、突起の大部分が実質的に同一の径を有するようになっている。いくつかの実施例において、イオン伝導性層は1または複数のコーティングを含んで良い。
図5Aおよび
図5Bは、コーティング516を第1の側面520に、コーティング518を第2の側面522に具備するイオン伝導性層502の断面を示す。コーティングは電極または触媒材料を含んで良い。コーティングは不連続部分512および514を含んで良い。1または複数の燃料電池層における非連続の領域の例は、本出願人の出願に係る、2008年12付き22日に提出の「非連続領域を含む電気化学電池組立体」という題名の米国特許出願公開第2009/0162722号に説明されており、その内容は参照してここに組み入れる。プレフォーム構造クランプ要素510はコーティングされたイオン伝導性層、または、その上の非連続領域に整合されて良い。1または複数の電気伝導性層506が、基体上で隣接伝導性層との電気的接続を形成して良い。このため、プレフォーム要素は基体を通じて電気伝導性経路を形成して平面燃料電池アレイを製造する簡単で効率的な方法を提供できる。
【0054】
プレフォーム構造のクランプ要素は、所望の電気伝導性素との間の良好な電気接続を形成できるように、充分に大きく適切に配置される伝導性表面を具備して良い。いくつかの実施例において、伝導性表面は、突起または平行なフェースの上にコーティングを設けることにより、伝導性表面を形成する。いくつかの実施例において、突起自体が伝導性材料から形成され、または平行なフェース自体が伝導性材料から形成され、もって、伝導性表面が形成される。いくつかの実施例において、伝導性は、伝導性コーティングと、それ自体が伝導性材料から形成されるフェースまたは突起との組み合わせによって実現される。伝導性表面は、当該1または複数の突起の任意の適切な部分、当該1または複数の平行なフェースの任意の適切な部分、またはその双
方にあって良い。いくつかの実施例において、平行なフェースの面積または突起の寸法は気密シールが形成される基体との界面面積が形成されるのに充分なものであって良い。いくつかの実施例において、プレフォーム要素の2つの平行なフェースの間の圧縮力が、気密シールを実現するのを助長でき、また、いくつかの例において圧縮力の他の利点も実現でき、これをさらに説明する。1例において、伝導性層506を具備する1または複数の突起530は、イオン伝導性膜502を突き通して、イオン伝導性膜502の反対側面の受けクランプ540と結合できる。いくつかの実施例において、受けクランプは、適切な寸法の伝導性表面を具備し、これが突起または基体状の電気伝導性層と接触して良く、また、他方で、他の実施例において、受けクランプは伝導性表面を有しない。いくつかの実施例において、ツールを用いて開口を部分的にまたは完全に形成し、この後、突起を通り抜けさせて良い。種々の実施例において、構造化クランプ要素は突起530を有して良く、これは伝導性でなく、純粋に
構造機能として働き、例えば、クランプ要素の頂部および底部の間で圧縮力を維持するように働く。使用に際しては、いくつかの例において、プレフォーム構造クランプ要素は、2つの燃料電池のアノードおよびカソード領域の間の重なり領域の上に配置されて良く、この後、伝導性の突起が印伝導性膜を刺し通し1つの表面から反対の表面へと、例えば、1つの燃料電池のアノードから他の隣接燃料電池のアノードへと、伝導性経路を形成するように、当該クランプ要素が押圧される。突起530は頂部構造要素510と受けクランプ540との間の機械結合を形成でき、これをその場所に保持し、他方、その電気伝導性表面は平面を通り抜ける電気伝導性を実現できる。突起530とこれに対応する受けクランプ540との間の係合により、平面を通り抜ける伝導性突起の近傍で基体に静的な圧縮負荷が印加されるようになす。
【0055】
いくつかの実施例において、プレフォーム構造クランプ要素は、イオン伝導性膜のような
基体を燃料電池システムの他の要素、例えば、流体マニホールドに結合させることができる。これによって、複数の要素を結合するための付加的な接着剤が必要でなくなる。流体マニホールドの例は、本出願人の出願に係る、2009年3月26日に提出の、「省スペース流体プレナムを含む燃料電池システムおよび関連方法」という題名の米国特許出願公開第2009/0081493号に説明されており、その内容は参照してここに組み入れる。
【0056】
プレフォーム構造クランプ要素は、燃料電池層の幅全体を横切って伸びて良く、あるいは、
図6Cに示すように、より短いクランプ要素610と受けクランプ要素640とが列をなすように実装されて良い。クランプ要素は、任意の適切でかつ便利なパターンで配列されて良く、このパターンは、全体的な電気化学電池システムに適切なものと考えられるものでなければならず、クランプ要素の領域が、具体的な燃料電池設計に適切な、クランプおよび電気の統合的な相互接続構造を形成するために、選択的に電気伝導性を施される。
図6Aは、頂部のプレフォーム構造クランプ要素610の断面を示し、これは複数の突起630aおよび630bを具備し、これらは伝導性コーティング606を具備する。頂部のクランプ要素610は基体602を刺し通して良く、またはは、部分的または完全に予め再通しされた基体602に中へと挿入して良い。基体602は第1のコーティング616、第2のコーティング618、および非連続領域612、614を具備して良い。頂部のクランプ要素610は1または複数の受けクランプ要素640と結合して1または複数の伝導性経路を形成できる。単一の受けクランプ要素640は1または複数の頂部クランプ要素610と結合できる。単一の頂部のクランプ要素610は1または複数の受けクランプ要素640と結合して良い。1例において、頂部の要素のバルクは非伝導性であり、頂部の要素の突起630が伝導性コーティングを具備し、複数の突起630が、近隣のユニット燃料電池を電気的に接続する相互接続を形成する。
【0057】
いくつかの例において、プレフォーム構造は伝導性または非伝導性の材料から形成できる。例えば、プレフォーム構造はプラスチックまたは金属から形成できる。いくつかの実施例において、当該構造の表面に導電性材料を被着して、当該構造に伝導性の表面を実現できる。プレフォーム構造が伝導性材料から形成される例では、伝導性材料を被着してプレフォーム構造をより伝導性あるものにできる。実装されたとき、低抵抗伝導性経路が近隣燃料電池のカソードおよびアノードの間に形成できる。いくつかの例において、プレフォーム構造はされにシール部材を含んで、刺し通しのための突起の回りで漏れが生じないようにする手段を提供して良い。シール部材は
任意の適切な形状であって良く、任意の適切な材料から製造されて良い。例えば、シール部材は、基体とプレフォーム構造の平行なフェースの1つとの間にフィットする、または他の適切な位置にフィットする、ゴムリングまたはワッシャーの形態であって良い。
【0058】
この発明のいくつかの実施例において、燃料電池層は1または性能増強層を含む。そのような性能増強層の例は、本出願人の出願に係る、PCT国際公開出願番号第WO2011/079378号に説明され、これは先に参照した。
図6Bは第1の側面620および第2の側面622を具備するイオン伝導性膜602の断面を図説する。第1のコーティング616および性能増強層636が第1の側面620の上、および、これに隣接して配置されて良く、これらは非連続領域614を具備する。頂部のクランプ要素610は、突起630を具備し、これが電気伝導性コーティング606を具備し、この頂部のクランプ要素610がイオン伝導性膜および性能増強層を刺し通して(または、予め部分的または完全に形成された開口に挿入され)底部のクランプ要素640と結合できる。
【0059】
図7A〜
図7Bは、この発明の方法の1実施例を順次的に図説し、イオン伝導性層702の断面を示し、このイオン伝導性層702は第1の側面720に電極材料の層716を被着させ第2の側面722に電極材料の層718を被着させている。層716および718はそれぞれ非連続領域712および714を具備する。非連続領域712および714は、長く、かつ狭くて良く(例えば、線条状)、または、これらは他の形状をとって良い。
図7Aにおいて、イオン伝導性層702はキャップすなわちインサート710と整合させられて良く、このキャップ710は電気伝導性部分738および非伝導性部分739を含む。非伝導性部分739は誘電体部分であって良い。キャップ710は任意の適切な材料であって良く、例えば、キャップ710は所望の部分を電気伝導性にするために選択的にコーティングされたプラスチックまたは誘電体材料であって良い。キャップ710は、長く、かつ狭くて良く(例えば、線条状)、または、全般的には非連続領域712の形状と合致するような任意の他の形状をとって良い。キャップ710は燃料電池層の幅全体に沿って伸びて良く、または複数の短いキャップが設けられて良く、これらは
図6Cに示される複数の短いクランプ要素と同様である。キャップ710は伝導性および非伝導性領域の双方を含むので、基体状に設けられた隣接ユニット燃料電池の間の非伝導性ギャップを省略できる。これによって、燃料電池アレイを形成するうえでの複雑さが和らげられる。
【0060】
イオン伝導性層702も、伝導性部分748および非伝導性部分749を含む流体マニホールド750に整合させられて良い。いくつかの実施例において、非伝導性部分749は誘電体部分であって良い。
図7Bにおいて、キャップ710はイオン伝導性層702の1つの表面720の近傍に配置され、他方、流体マニホールド750はイオン伝導性層702の反対の表面722の近傍に配置される。電気伝導性材料706が、キャップ710、イオン伝導性層702の一部、および、流体マニホールド750の一部を通り抜けて良い。伝導性材料706は例えば伝導性糸の形態をとっている。この例では、キャップ710およびマニホールド層750がクランプ要素として働き、ただし、イオン伝導性層702に穴を形成する突起はない。したがって、キャップ710およびマニホールド層750は、イオン伝導性層702の表面を横切ってクランプ付加を分散させ、いくつかの例では、これが付加的なクランプ要素の必要性を減少させ、または除去する。伝導性糸706はイオン伝導性層702を通り抜けて伸びる。糸706を、強く引いて、クランプ力を形成できる。糸の締め付けを適切に選択して所望の量のクランプ力を生成でき、もって、例えば気密シールを形成するようになす。代替的には、キャップ710をイオン伝導性層702の表面の近傍に配置する前に、伝導性
材料をキャップ710中に挿入して良い。
【0061】
図8は、
基体中に電気伝導性経路を形成するための本発明の方法の実施例のブロックフローを図説する。この方法800においては、ステージ860において穴が基体において形成される。ステージ870において、伝導性材料が基体の穴に配置される。ステージ890において、基体が押圧され、基体の第1の側面から第2の側面に伸びる伝導性経路が形成される。基体を押圧するのに必要な圧力は例えば約50から約200psiであって良い。基体の押圧は、硬化ステップ、アニーリングステップ、またはこれらの組み合わせを伴って良い。押圧、硬化、およびアニーリングは連続的に実行されても同時に実行されても良い。
【0062】
以上の記述は説明的であることを意図しており、制約的ではない。他の実施例も利用でき、例えば、当業者は以上の記述を検討することにより採用できる。また、以上の発明の詳細な説明において、種々の特徴をグループ化して説明を簡便にしている。これは、特許請求の範囲に記載されていない特徴がいずれかの請求項において基本的であると理解されてはならない。したがって、特許請求の範囲は発明の詳細な説明に組み込まれ、各請求項はそれ自体で個別の実施例を表す。この発明の範囲は、特許請求の範囲や、そのような特許請求の範囲の権限が及ぶ均等の全範囲を参照にして決定されるべきである。
【0063】
[付加的な実施例]
来ん発明は以下の事例的な実施例を実現し、ただし、その番号付けは重要性のレベルを示すものと考えられてはならない。
【0064】
実施例1は、電気伝導性経路を形成する方法であって:第1の主フェースおよび第2の主フェース、ならびに第1の体積を具備し、少なくとも1つのイオン伝導性領域を有する平面基体を、取得するか、形成するかの少なくとも1つのステップと;上記平面基体の上記少なくとも1つのイオン伝導性領域に少なくとも1つの開口を形成するステップであって、上記開口は上記第1の主フェースから上記第2の主フェースに伸び、上記第1の体積と実質的に同一の第2の体積を具備する刺し通し平面基体を形成する、上記ステップと;上記刺し通し平面基体の上記開口に電気伝導性材料を配置するステップであって、上記第1及び第2のフェースの間を伸びる電気伝導性経路を付与する、上記ステップとを含み、上記電気伝導性経路は上記基体にシールされて上記基体が上記第1および第2のフェースの間で実質的に気密である電気伝導性経路形成方法を実現する。
【0065】
実施例2は、1または複数のぶら下がり穿孔くずなしに、上記開口が形成される実施例1の電気伝導性経路形成方法を実現する。
【0066】
実施例3は、電気化学電池を形成する方法を含む実施例1の電気伝導性経路形成方法を実現する。
【0067】
実施例4は、上記イオン伝導性領域はプロトン伝導性領域である実施例1の電気伝導性経路形成方法を実現する。
【0068】
実施例5は、上記形成するステップおよび上記配置するステップは実質的に同時に行われる請求項1の電気伝導性経路形成方法を実現する。
【0069】
実施例6は、突き通し要素が実質的に同時に上記膜の形成および上記電気伝導性材料の配置を行う実施例1の電気伝導性経路形成方法を実現する。
【0070】
実施例7は、上記基体が上記第1および第2のフェースの間で実質的に気密になるように上記基体をシールするのに充分な程度に、上記基体を押圧し、または上記基体に新たな材料を付加するステップをさらに有する実施例1の電気伝導性経路形成方法を実現する。
【0071】
実施例8は、上記基体を押圧する処理は、少なくとも、上記電気伝導性材料が被着される位置において、上記基体の上記第1および第2のフェースに圧縮圧力を印加することを含む実施例7の電気伝導性経路形成方法を実現する。
【0072】
実施例9は、上記基体を押圧する処理は、上記第1および第2のフェースの間を伸びる上記電気伝導性経路を約15psiまでの気体圧力からシールする実施例7の電気伝導性経路形成方法を実現する。
【0073】
実施例10は、上記
基体を押圧する処理は
基体をロール処理することを有する実施例7の電気伝導性経路形成方法を実現する。
【0074】
実施例11は、上記配置するステップは、コーティング、挿入、押圧、および被着の少なくとも1つを含む実施例1の電気伝導性経路形成方法を実現する。
【0075】
実施例12は、上記電気伝導性経路は隣接する燃料電池のアノードおよびカソードを電気的に結合させる実施例1の電気伝導性経路形成方法を実現する。
【0076】
実施例13は、上記伝導性
材料は触媒を有する実施例1の電気伝導性経路形成方法を実現する。
【0077】
実施例14は、上記伝導性材料は、粉末、液体溶液、糸、プレフォーム構造要素、および非多孔性要素から選択される実施例1の電気伝導性経路形成方法を実現する。
【0078】
実施例15は、上記伝導性材料は、糸であり、上記第1および第2のフェースの間を伸びる上記電気伝導性経路が形成された後に、上記気体の外に伸びる上記糸の少なくとも1つの部分が1または複数の電極との接続に利用できる実施例14の電気伝導性経路形成方法を実現する。
【0079】
実施例16は、プレフォーム構造要素は上記伝導性材料を有する実施例14の電気伝導性経路形成方法を実現する。
【0080】
実施例17は、上記プレフォーム構造要素は上記平面気体において上記開口を形成する実施例16の電気伝導性経路形成方法を実現する。
【0081】
実施例18は、上記プレフォーム構造要素はクランプを有する実施例16の電気伝導性経路形成方法を実現する。
【0082】
実施例19は、上記プレフォーム構造要素はさらにシール部材を有する実施例16の電気伝導性経路形成方法を実現する。
【0083】
実施例20は、上記配置するステップの後に、上記気体の1または複数の領域が選択的に処理されてそれらの領域のイオン伝導性が増大させられる実施例1の電気伝導性経路形成方法を実現する。
【0084】
実施例21は、電気伝導性経路を形成する方法であって:第1の主フェースおよび第2の主フェース、ならびに第1の体積を具備し、少なくとも1つのイオン伝導性領域を有する平面基体を、取得するか、形成するかの少なくとも1つのステップと;上記平面基体の上記少なくとも1つのイオン伝導性領域に少なくとも1つの開口を生成するステップであって、上記開口は上記第1の主フェースから上記第2の主フェースに伸び、上記開口を生成する際に、上記平面基体が実質的にまったく除去されない、上記ステップと;上記開口に上記伝導性材料を有する電気伝導性材料を配置するステップであって、上記電気伝導性経路は上記第1および第2のフェースの間を伸びる、上記ステップとを有し、上記電気伝導性経路は上記基体にシールされて上記基体が上記第1および第2のフェースの間で実質的に気密であることを特徴とする電気伝導性経路形成方法を実現する。
【0085】
実施例22は、電気伝導性経路を形成する方法であって:第1の主フェースおよび第2の主フェース、ならびに第1の体積を具備し、少なくとも1つのイオン伝導性領域を有する平面イオン伝送性基体を、取得するか、形成するかの少なくとも1つのステップと;上記平面基体の上記少なくとも1つのイオン伝導性領域に少なくとも1つの開口を形成するステップであって、上記開口は上記第1の主フェースから上記第2の主フェースに伸び、上記第1の体積と実質的に同一の第2の体積を具備する刺し通し平面基体を形成する、上記ステップと;上記刺し通し平面基体の上記開口に電気伝導性材料を配置するステップであって、上記第1及び第2のフェースの間を伸びる電気伝導性経路を付与する、上記ステップとを有し、上記平面基体は、上記第1の主フェースを含む上側の第1の体積と、上記第2の主フェースを含む下側の第1の体積とを有し、上記刺し通し平面基体は、上記第1の主フェースを含み上記上側の第1の体積に対応する上側の第2の体積と、上記第2の主フェースを含み上記下側の第1の体積に対応する下側の第2の体積とを有し、上記第1の上側体積は上記第2の上側体積と実質的に同一であり、上記第1の下側体積は上記第2の下側体積と実質的に同一であり、上記電気伝導性経路は上記基体にシールされて上記基体が上記第1および第2のフェースの間で実質的に気密である電気伝導性経路形成方法を実現する。
【0086】
実施例23は、すべての要素またはオプションが利用または選択するように利用可能に、実施例1〜22の任意の1つまたは任意の組み合わせを構成する装置および方法を実現する。