(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6111260
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】排気ガスターボチャージャ
(51)【国際特許分類】
F02B 39/00 20060101AFI20170327BHJP
【FI】
F02B39/00 T
F02B39/00 Q
F02B39/00 R
F02B39/00 U
【請求項の数】6
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-543513(P2014-543513)
(86)(22)【出願日】2012年11月19日
(65)【公表番号】特表2014-533806(P2014-533806A)
(43)【公表日】2014年12月15日
(86)【国際出願番号】US2012065795
(87)【国際公開番号】WO2013078115
(87)【国際公開日】20130530
【審査請求日】2015年7月17日
(31)【優先権主張番号】102011119363.8
(32)【優先日】2011年11月23日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・チルシュケ
【審査官】
稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−521608(JP,A)
【文献】
特開平03−260330(JP,A)
【文献】
実開昭60−041528(JP,U)
【文献】
米国特許第2668006(US,A)
【文献】
実開平02−112935(JP,U)
【文献】
米国特許第05323612(US,A)
【文献】
実開昭63−026727(JP,U)
【文献】
特開昭50−030110(JP,A)
【文献】
特開2003−094148(JP,A)
【文献】
特開平08−199371(JP,A)
【文献】
特開昭58−74830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサホイール(2)を有し、
タービンホイール(3)を有し、
前記コンプレッサホイール(2)及び前記タービンホイール(3)が回転方向に動かない方法で配置されるシャフト(4)を有する排気ガスターボチャージャ(1)であって、
前記タービンホイール(3)が、前記シャフト(4)の第1の端部領域(6)が配置される貫通開口部(5)を有し、
前記タービンホイール(3)が、前記端部領域(6)に接続された端側ストッパ(7)と、前記シャフト(4)に固定されたコンプレッサホイール側のシャフトスリーブ(8)との間に緊締され、
熱絞り部(15)が前記シャフト(4)の第1の端部領域(6)の内部に設けられ、
前記シャフトスリーブ(8)が圧入嵌めによって前記シャフト(4)にプレスされる、
排気ガスターボチャージャ(1)。
【請求項2】
回転に対抗して固定するために、前記タービンホイール(3)が、前記シャフト(4)の第1の端部領域(6)の多角形装置によって配置される請求項1に記載の排気ガスターボチャージャ。
【請求項3】
前記タービンホイール(3)が、前記ストッパ(7)と協働する端側の確動ロック装置によって回転方向に動かないようにされる請求項1に記載の排気ガスターボチャージャ。
【請求項4】
シャフト組立体(9)が、前記コンプレッサホイール(2)と、前記コンプレッサホイール(2)と前記シャフト(4)に配置された前記シャフトスリーブ(8)との間に配置され、かつシールブッシュ(10)から成る装置と、2つの軸受カラー(11、12)と、前記軸受カラー(11、12)の間に配置されたブッシュ(13)とを備え、かつ、緊締のために、前記コンプレッサホイール(2)の外側を支承しかつ前記シャフト(4)にねじ留めされるシャフトナット(14)が設けられる請求項1〜3のいずれか一項に記載の排気ガスターボチャージャ。
【請求項5】
前記コンプレッサホイール(2)の材料がチタンアルミニドである請求項1〜4のいずれか一項に記載の排気ガスターボチャージャ。
【請求項6】
前記コンプレッサホイール(2)が、前記シャフト(4)の第2の端部領域(17)を受容するための貫通開口部(16)を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の排気ガスターボチャージャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の排気ガスターボチャージャに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なタイプの排気ガスターボチャージャの場合、タービンホイールはシャフトにろう付けされるか又は溶接されるため、熱的な歪みのために取付け中の特定の状況下で場合により問題を引き起こし、さらには比較的複雑なものとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、材料結合なしに技術的に簡単な方法で確実にタービンホイールをシャフトに接続することができる、請求項1の前提部に規定されたタイプの排気ガスターボチャージャを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1の特徴によって達成される。
【0005】
本発明によれば、特にTiAl製のタービンホイールの形態のタービンホイールには、貫通開口部又は貫通孔が設けられ、したがって、タービンホイールをシャフトに固定されたストッパまでシャフトに押し込むことができる。次に、スリーブをシャフトの上に摺動させることができ、これによって、タービンホイールを異なる方法でシャフトに確実に固定することができる。
【0006】
ここで、軸スリーブの一方の端側は、タービンホイールの当接部として使用され、スリーブの他方の端側は、シャフトに配置されたシャフト組立体用のシャフト肩部として機能する。このシャフト組立体の長さが大きいことで、優れたテンションロッド効果(tension rod effect)が可能となる。
【0007】
したがって、排気ガスターボチャージャの本発明による装置は、ろう付け操作も溶接操作のいずれも必要としない。
【0008】
上に既述した利点に加えて、シャフト組立体によって形成されたロータ及びシャフトを、シャフトスリーブを取り付けた後に必要な場合は機械加工することができるという利点が得られる。
【0009】
さらに、本発明による装置は、熱絞り部の製造を可能にし、取付け中、装置全体を簡単に取扱うことができるようになる。
【0010】
さらに、排気ガスターボチャージャの寸法もそのロータの寸法も変更されず、その結果、本発明によるロータを既存のモデルの範囲で取り付けることができるという利点も得られる。
【0011】
従属請求項は、本発明の有利な発展形態を含む。
【0012】
本発明のさらなる詳細、特徴及び利点は、図面を参照して例示的な実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明による排気ガスターボチャージャの長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、図面の単一の図は、本発明による排気ガスターボチャージャの長手方向断面図を示しており、説明を簡略化するために、ターボチャージャ軸線Aの上に配置された排気ガスターボチャージャの構成要素の半分のみがコンプレッサ及びタービンハウジングなしに示されている。
【0015】
したがって、排気ガスターボチャージャ1は、コンプレッサホイール2及びタービンホイール3を有し、それらの各々はシャフト4に回転方向に動かない方法で配置される。
【0016】
本発明によれば、ろう付け接続又は溶接接続の必要性を回避するために、タービンホイール3は貫通開口部5を有する。タービンホイール3をシャフト4に押圧することによって、シャフト4の第1の端部領域6が貫通開口部5の内側に配置される。
【0017】
さらに、図は、タービンホイール3は、端部領域6に固定された端側ストッパ7と、コンプレッサホイール側のシャフト4に配置されるシャフトスリーブ8との間に配置されることを示している。
【0018】
回転に対抗して固定するために、タービンホイール3に、例えば、多角形装置(さらに詳細に図示せず)を設けることができ、これにより、貫通開口部5にまたシャフト4の端部領域6に相補的な多角形形状が提供される。代わりに、例えばピン孔の形態の端側の確動ロック装置を設けることができ、この装置では、保持ピンがタービンホイール3の端側又はストッパ4の隣接する端側に設けられ、ピン装置が係合する切欠きが、それぞれの他方の部分に設けられる。
【0019】
タービンホイール3を緊締するために、本発明の原理に従って異なる手段が提供される。
【0020】
一代替手段は、シャフトスリーブ8をシャフト4にねじ留めするか、あるいは圧入嵌めによってシャフトスリーブ8をシャフト4にプレスすることである。このオプションによって、タービンホイール3が、ストッパ7とシャフトスリーブ8の端面8Aとの間に緊締される。この場合、シャフトスリーブ8の他方の端側又は端面8Bは、シャフト組立体9用のシャフト肩部を形成し、図示した実施例の場合、シャフト組立体9は、
図3の詳細図から明白であるように、コンプレッサホイール2と、タービンホイール3の方向にコンプレッサホイール2に隣接するシールブッシュ10と、シールブッシュ10に隣接する軸受カラー11と、次に軸受カラー11に隣接するブッシュ13と、次にブッシュ13に隣接しかつ最終の取付け状態で端面8Bを支承する軸受カラー12とを備える。
【0021】
タービンホイール3をシャフト4に緊締する前述の方法の代替方法として、シャフトスリーブ8をシャフト4に緩く適用し、前述のシャフト組立体9を介して緊締することが可能である。このために、コンプレッサホイール2の外側に方向付けられた端面2Aを支承するシャフトナット14を設けることができ、したがって、コンプレッサホイール2及び前述のシャフト組立体9と、同様にシャフト4に緩く適用されたシャフトスリーブ8とを介してタービンホイール3を緊締することができる。特にこの構成により、非常に優れたテンションロッド効果もあり、したがって、タービンホイール3、及びコンプレッサホイール2をシャフト4にも押圧することができるように同様に貫通開口部16を有するコンプレッサホイール2の両方の非常に確実な緊締が行われる。
【0022】
単純化した取付け及び材料結合を回避するという前述の利点に加えて、排気ガスターボチャージャ1の本発明による前述の設計により、熱絞り部15をシャフト4の端部領域6に設ける可能性が与えられる。
【0023】
上述の実施形態は、コンプレッサホイール3の材料がチタンアルミニドである場合は、特に有利である。
【0024】
上述の開示に加えて、この場合、本発明の開示を補完するために、単一の図による図的表現がここに明示的に参照される。
【符号の説明】
【0025】
1 排気ガスターボチャージャ
2 コンプレッサホイール
2A コンプレッサホイール2の外側端面
3 タービンホイール
4 シャフト
5 貫通開口部
6 シャフト4の第1の端部領域
7 ストッパ
8 シャフトスリーブ
8A、8B シャフトスリーブの端面又は端側
9 シャフト組立体
10 シールブッシュ
11、12 軸受カラー
13 軸受カラーの間のブッシュ
14 シャフトナット
15 熱絞り部
16 コンプレッサホイール2の貫通開口部
17 シャフト4の第2の端部領域
18 軸方向軸受装置
19 シャフトスリーブ8のシールブッシュ部分
20 軸受ハウジング
21 熱シールド
A ターボチャージャ軸線