特許第6111261号(P6111261)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6111261人の便および尿中の血液の遠隔検知のための装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6111261
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】人の便および尿中の血液の遠隔検知のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/76 20060101AFI20170327BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   G01N21/76
   G01N33/50 N
【請求項の数】26
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-544879(P2014-544879)
(86)(22)【出願日】2012年11月29日
(65)【公表番号】特表2015-500471(P2015-500471A)
(43)【公表日】2015年1月5日
(86)【国際出願番号】US2012067033
(87)【国際公開番号】WO2013082267
(87)【国際公開日】20130606
【審査請求日】2015年11月24日
(31)【優先権主張番号】61/565,085
(32)【優先日】2011年11月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514136598
【氏名又は名称】ホウィールドン,エリック・ビィ
【氏名又は名称原語表記】WHEELDON, ERIC B.
(73)【特許権者】
【識別番号】514136602
【氏名又は名称】バルゾッティ,ロバート・ジェイ
【氏名又は名称原語表記】BARSOTTI, ROBERT J.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホウィールドン,エリック・ビィ
(72)【発明者】
【氏名】バルゾッティ,ロバート・ジェイ
【審査官】 加々美 一恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−002017(JP,A)
【文献】 特開平07−113804(JP,A)
【文献】 特開平07−140143(JP,A)
【文献】 特開平05−126826(JP,A)
【文献】 特開平8−160039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/75−21/83
G01N 33/48−33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿中または便表面の血液を検出するための装置であって、前記装置は光検出器を含み、前記光検出器は、便器内において水の中での鉄によって触媒されるルミノールと酸化剤との反応によって放射される光を検出するように構成され、前記光検出器は、前記便器内の前記水には触れないように、前記便器内の前記水に近接して配置され、それにより、前記光検出器は、アルカリ性条件下で便器の水の中に血液が前記ルミノールおよび前記酸化剤とともに存在する場合、血液中のヘムから前記鉄を検出するように構成される、装置。
【請求項2】
前記光検出器は前記光の波長の範囲を検出するように構成され、前記光の波長の前記範囲は、前記鉄によって触媒される前記ルミノールと前記酸化剤との前記反応によって放射される前記光の波長の前記範囲に対応しており、または、前記光の波長の前記範囲は、前記鉄によって触媒される前記ルミノールと前記酸化剤との前記反応によって放射される前記光によって、前記便器の前記水の中の蛍光色素分子が励起される場合、前記蛍光色素分子によって放射される前記光の波長の範囲に対応している、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記光検出器は前記光の波長の範囲を検出するように構成され、前記光の波長の前記範囲は、前記便器の前記水の中での前記鉄によって触媒される前記ルミノールと前記酸化剤との前記反応によって放射される前記光の波長の前記範囲に対応しており、前記光検出器は、前記便器の前記水の中での前記鉄によって触媒される前記ルミノールと前記酸化剤との前記反応によって放射される前記光の波長の前記範囲に実質的に含まれない前記光を検出しないように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記装置はさらにディスプレイを含み、前記ディスプレイは、前記検出器が前記光を検出したかどうかを表示するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記光検出器は、フォトダイオード、電荷結合素子、およびアクティブ画素センサからなるリストから選択される、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記装置はさらに、
a.マイクロプロセッサを含み、前記マイクロプロセッサは前記光検出器に動作可能に接続され、前記光検出器は検出された前記光に応答して光検出器信号を生成するように構成され、前記光検出器信号はある値を有し、前記値は前記光の輝度に対応しており、前記マイクロプロセッサは前記光検出器信号を受信するように構成されており、前記装置はさらに、
b.コンピュータメモリを含み、前記コンピュータメモリは前記マイクロプロセッサに動作可能に接続され、前記マイクロプロセッサは前記光検出器信号を前記コンピュータメモリに格納するように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記マイクロプロセッサは第1の時間での前記光検出器信号を受信するように構成され、前記第1の時間での前記光検出器信号はバックグラウンド信号を規定し、前記バックグラウンド信号は前記第1の時間での前記光の前記輝度に対応しており、前記マイクロプロセッサは第2の時間での前記光検出器信号を受信するように構成され、前記第2の時間での前記光検出器信号はサンプル信号を規定し、前記第2の時間での前記光検出器信号は前記第2の時間での前記光の前記輝度に対応しており、前記第2の時間は前記第1の時間の後であり、前記第1の時間は、前記便器の前記水の中に前記ルミノール、前記酸化剤、および塩基が存在しているものの、前記便器の前記水の中に便または尿が存在していない時間となるように選択され、前記第2の時間は、前記便器の前記水の中に前記ルミノール、前記酸化剤、および塩基が存在しており、加えて、便器の水の中に便または尿が存在している、前記第1の時間の後の前記時間となるように選択され、前記マイクロプロセッサは、前記サンプル信号および前記バックグラウンド信号を前記コンピュータメモリに格納するように構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記マイクロプロセッサは、前記サンプル信号を前記バックグラウンド信号と比較するように構成され、前記マイクロプロセッサは、前記サンプル信号が前記バックグラウンド信号を上回っているかどうかを判断して、結果を規定するように構成され、前記結果は、前記サンプル信号が前記バックグラウンド信号を予め定められた量以上上回っている場合、尿または便中に血液が検出されるということであり、前記結果は、前記サンプル信号が前記バックグラウンド信号を前記予め定められた量以上上回っていない場合、尿または便中に血液が検出されないということである、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記装置はさらに、前記マイクロプロセッサに動作可能に接続されたディスプレイを含み、前記ディスプレイは、前記結果をユーザに表示するように構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記マイクロプロセッサは、前記サンプル信号が前記バックグラウンド信号を複数の段階的増分のいくつか分上回っているかどうかを判断して、前記結果をさらに規定するように構成され、前記複数の段階的増分は、尿または便中に存在する段階的な量の血液に対応している、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記マイクロプロセッサは、前記結果をユーザに報告するように構成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記マイクロプロセッサはネットワークへの接続用に構成されており、前記ネットワークは、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、インターネット、および無線通信ネットワークのうちの1つであり、前記マイクロプロセッサは、前記ネットワークを通して前記結果を通信するように構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記装置はさらにディスペンサを含み、前記ディスペンサは、便器の水の中の予め定められた濃度よりも大きい血液の存在下で前記ルミノールを発光させるのに十分な、ある量の前記ルミノール、前記酸化剤、および塩基を、便器の水に分配するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記ルミノール、前記酸化剤、および前記塩基は、錠剤、粉末、小袋、溶液、および懸濁液からなるリストから選択される形状である、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記ディスペンサは複数の容器を有し、前記複数の容器は、前記ルミノール、前記酸化剤、および前記塩基を含むように構成され、前記ディスペンサは、前記ルミノール、前記酸化剤、および前記塩基を前記便器の前記水に充填する構成を有する、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記ディスペンサの前記水に充填する前記構成は、
a.アクチュエータを含み、前記アクチュエータはユーザによって動作可能であり、前記構成はさらに、
b.エフェクタを含み、前記エフェクタは前記アクチュエータに動作可能に接続され、前記エフェクタは、前記ユーザが前記アクチュエータを起動すると、前記ルミノール、前記酸化剤、および前記塩基を前記水に分配するように構成されている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記アクチュエータは、手動制御装置、便座上の重量を検出するように構成された制御装置、前記便座の位置の変化を検出するように構成された制御装置、およびユーザの存在を検出するように構成された制御装置からなるリストから選択される、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記装置はさらに水洗トイレを含み、前記水洗トイレは便器を含み、前記アクチュエータは水洗アクチュエータであり、前記水洗アクチュエータは、前記ユーザが前記水洗アクチュエータを起動すると前記水洗トイレの水を流すように構成され、前記エフェクタは、前記水洗アクチュエータの作動後に前記便器に前記水を再充填する際に、前記ルミノール、前記酸化剤、および前記塩基を前記便器の前記水に分配する、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
便器の水の中で尿または便中の血液を検出する方法であって、前記方法は、
a.光検出器を提供するステップを含み、前記光検出器は、前記便器内の前記水には触れないように、前記便器内の前記水に近接して配置され、適切なアルカリ性条件下で便器の水の中に血液が存在する場合、便器の水の中の血液中に存在する鉄によって触媒されるルミノールと酸化剤との反応によって便器の水の中で放射される光を検出するように構成されており、前記方法はさらに、
b.指示を提供するステップを含み、前記指示はユーザに、
i.前記ルミノールおよび前記酸化剤を水に添加し、
ii.尿または便を水に追加し、
iii.前記光が検出されるかどうかを判断するために前記光検出器を配備するように
指示する、方法。
【請求項20】
前記光検出器は、第1の時間および第2の時間での検出された前記光に応答して光検出器信号を生成するように構成され、前記光検出器信号はある値を有し、前記値は前記光の輝度に対応しており、前記第1の時間での前記光検出器信号はバックグラウンド信号を規定し、前記バックグラウンド信号は前記第1の時間での前記光の前記輝度に対応しており、前記第2の時間での前記光検出器信号はサンプル信号を規定し、前記サンプル信号は前記第2の時間での前記光の前記輝度に対応しており、前記第2の時間は前記第1の時間の後であり、前記第1の時間は、前記ルミノールおよび前記酸化剤が前記水に添加された後で、かつ便または尿が水に追加される前となるように選択され、前記第2の時間は、前記第1の時間の後で、かつ便または尿が水に追加された後である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記光検出器は、前記サンプル信号を前記バックグラウンド信号と比較して、結果を規定するように構成され、前記結果は、前記サンプル信号の前記値が前記バックグラウンド信号の前記値を予め定められた量以上上回っている場合、尿または便中の血液に対して陽性であり、前記結果は、前記サンプル信号が前記バックグラウンド信号を前記予め定められた量以上上回っていない場合、尿または便中の血液に対して陰性である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記光検出器は、前記光検出器に動作可能に取付けられたマイクロプロセッサと、前記マイクロプロセッサに動作可能に接続されたコンピュータメモリとをさらに含み、前記マイクロプロセッサは、前記サンプル信号と前記バックグラウンド信号とを比較して、前記結果を規定するように構成されている、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記マイクロプロセッサは、前記結果を前記ユーザに表示するように構成されている、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記マイクロプロセッサはネットワークへの動作可能な接続用に構成されており、前記ネットワークは、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、インターネット、および無線通信ネットワークからなるリストから選択され、前記マイクロプロセッサは、前記ネットワークを通して前記結果を通信するように構成されている、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ルミノールおよび前記酸化剤を水に添加するように前記ユーザに指示する前記指示は、ディスペンサを起動させるように前記ユーザに指示することを含み、前記ディスペンサは、有効量の前記ルミノール、有効量の前記酸化剤、および有効量の塩基を便器の水に分配するように構成されている、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記指示は、便または尿を水に追加した後に前記ルミノールおよび前記酸化剤を水に添加するように前記ユーザに指図する、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
I.発明の背景
A.発明の分野
この発明は、非侵襲的な医学的モニタリングまたはスクリーニングのために、便器の水の中の便または尿中の血液を検出するための装置および方法である。血液は、潜血であっても非潜血であってもよい。
【背景技術】
【0002】
B.関連技術の説明
国立癌研究所によれば、結腸直腸癌(colorectal cancer:CRC)は、米国での癌関連死の原因の第2位であり、年間新患数は約148,500人、死亡者数は約56,000人で、米国での癌関連死全体の10%を占める。これらの死亡者数の50%以上は、より良好でより早期のスクリーニング検査の使用を通して防止できたかもしれないと考えられている。しかしながら、現在のスクリーニング奨励および手続きの順守は、不十分である。たとえば、2002年には、50歳以上の大人の40%しか、過去5年間にS状結腸鏡検査または大腸内視鏡検査を受けておらず、22%しか、過去12ヶ月間に便潜血検査を受けていなかった。特に乳癌および子宮頸癌スクリーニングと比べてCRCスクリーニングの受診率が低いのは、患者の苦痛、コスト、認識の欠如、および現在のスクリーニング方法の低い受容性を含む、多くの要因による。
【0003】
結腸癌の予後は、疾患の進行とともに著しく悪化する。転移した患者(ステージIV)の5年生存率はたった5%である。早期疾患の患者(ステージI)の5年生存率は90%以上である。進行疾患の予後が非常に悪く、早期疾患の生存が非常に好ましいため、早期発見がCRC管理にとって依然として主要な選択肢であり、結腸直腸癌の早期発見のための簡単で非侵襲的な信頼できるスクリーニング方法が、長年の目標であった。
【0004】
便物質中の血液の検出は、CRC用のスクリーニングツールとして機能し得る。なぜなら、これらの腫瘍は出血しやすいため、初期の段階で発見可能であるからである。血液の存在は、病院に行って血液の出所を診断してもらうよう、患者に警告する。
【0005】
便の血液についての先行技術のスクリーニング検査は、便グアヤク検査、免疫化学的便検査(fecal immunochemical testing:FIT)、免疫化学的便潜血検査(immunochemical fecal occult blood test:iFOBT)、便ポルフィリン定量化、および便DNA検査を含む。しかしながら、これらはすべて、便物質の取扱いを必要とする。たとえば、便グアヤク検査では、直腸指診からのまたは汚れたトイレットペーパーからの便物質を、グアヤクでコーティングされたフィルムに取付けられた紙に擦り付ける。フィルムの反対側に、過酸化水素が塗布される。過酸化水素とグアヤクとが反応する。この反応は、血液中のヘモグロビンの成分であるヘムによって触媒される。血液が存在する場合、この反応は急速な色の変化を引起す。
【0006】
尿中の血液の検出も、膀胱癌のスクリーニングにおいて有用となり得る。米国では、膀胱癌は男性では4番目に最もよく診断される癌であり、女性では9番目に最もよく診断される癌である。米国では2009年におよそ70,980人の膀胱癌の新患が診断され、約14,330人がこの病気で死亡した。膀胱腫瘍は典型的には、主な、そして時には唯一の臨床症状として、無痛性血尿を引起す。したがって、膀胱癌のすべての症例のおよそ1/4は、診断の時点で既に転移していた。ここでも、簡単で非侵襲的な信頼できるスクリーニング方法があれば、より容易にかつ効果的に治療できるであろうより初期の段階で、膀胱癌を特定できたであろう。
【0007】
尿中の血液を検出するための現在の手法は、試験紙を尿サンプルで濡らして試験紙の色の変化に注目する「ディップスティック」検査を含む。ディップスティック検査は、技師が物理的にディップスティックを取扱い、ディップスティックを尿と直接接触させることを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
先行技術は、この発明のスクリーニング装置または方法を教示していない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
II.発明の概要
この発明は、便器の水の中の便物質または尿中の血液を遠隔検出するための装置および方法である。この装置および方法は、患者の自宅または任意の他の場所で患者が利用可能なスクリーニング検査を含む。患者は、便物質または尿に物理的に接触しなくてもよい。いくつかの実施例では、患者は便物質または尿を見ることさえしなくてもよい。
【0010】
この発明の装置および方法は、便器内での、化学発光性のルミノール(C8332)と酸化剤との発光反応を利用する。この発明の検査を行なうために、患者は、排便または排尿(もしくはその双方)をする前に3つの物質を水に添加することにより、便器の水を準備する。いくつかの実施例では、これら3つの物質は、患者が排尿または排便した後に水に添加されてもよい。
【0011】
添加される第1の物質は、便器の水の中で有効モル濃度のルミノールを達成するのに十分な量のルミノールである。1リットル当たり50ミリモル(mM)のルミノール濃度が有効であることが公知であり、1〜200mMのルミノール濃度が有効であると考えられている。第1の物質はまた、当該技術分野において公知であるように、蛍光物質である1つ以上の蛍光色素分子を含んでいてもよい。明細書および請求項で使用されるように、蛍光色素分子とは、水中に存在する状態で、ルミノールと酸化剤との反応によってまたは別の蛍光色素分子によって放射された光子が衝突すると、蛍光を発して光を放射する物質である。明細書および請求項で使用されるように、「ルミノール」という用語は、ルミノールを含み、また、ルミノールと1つ以上の蛍光色素分子との組合せを含む。蛍光色素分子の例は、フルオレセイン、ボディパイ、Cy3およびCy5を含む。
【0012】
第2の物質は塩基であり、それはルミノールと組合されてもよい。便器内に導入される塩基の量は、反応を進行させるために便器の水において適切な塩基性pHを達成するのに十分なものである。10〜11の塩基性pHが最適であると考えられている。50〜3000mMのモル濃度のホウ酸ナトリウムが、所望の塩基性pHを達成するのに好適であると考えられている。他の受容可能な塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、および炭酸ナトリウムを含む。
【0013】
第2の物質は、当該技術分野において公知であるようなアルカリ性緩衝剤、好ましくは9〜12のpH範囲を有するアルカリ性緩衝剤であってもよい。ルミノールと酸化剤との反応を進行させるのに有効なpH範囲を有する任意の他のアルカリ性緩衝剤が選択されてもよい。好適であると考えられるアルカリ性緩衝剤は、「トリズマ」、「キャブス」および「キャプス」という頭字語によって公知であるものを含む。塩基とアルカリ性緩衝剤との組合せも、第2の物質として使用されてもよい。請求項および明細書で使用されるように、「塩基」という用語は、塩基、アルカリ性緩衝剤、および1つ以上の塩基とアルカリ性緩衝剤との組合せを含む。
【0014】
第3の物質は、有効量の適切な酸化剤、たとえば過ホウ酸ナトリウム(NaBO3)を含む。便器内で50〜2000mMの範囲のモル濃度が、有効であると考えられている。過酸化水素(H22)、過マンガン酸塩、次亜塩素酸塩、ヨウ素、過炭酸ナトリウム、または過炭酸カリウムなどの他の酸化剤も好適である。ルミノールと酸化剤とは好ましくは、理論混合比で便器の水に添加される。
【0015】
水を準備した後で、患者は便器内に排便または排尿する。化学発光性のルミノールは、触媒の存在下で適切な酸化剤と混合されると、一時的に鮮やかな青い輝きを生じる。便の表面または尿中の赤血球が、ルミノールと酸化剤とを含む低張性の便器の水に溶解して、便器の水にヘモグロビンを放出する。放出されたヘモグロビンは鉄を含有しており、それは、ルミノールと酸化剤との反応にとって有効な触媒である。便または尿中に存在する血液の量が検査の検出限界を上回る場合、便器の水は一時的に青く輝くであろう。
【0016】
便器の水の中の、残存する量の、漂白剤を含有する家庭用洗剤は、ルミノールと酸化剤との反応を弱く触媒し、何らかの残存するバックグラウンドの輝きを引起す場合がある。強度がバックグラウンドレベルよりも強い一時的な青い輝きの検出は、便器における鉄、ひいては血液の存在を示す陽性の検査結果である。一時的な青い輝きおよびバックグラウンドの輝きは、患者による直接観察によって、または検出装置の使用を通して検出されてもよい。
【0017】
ルミノール、酸化剤、および塩基は、ルミノール、酸化剤、および塩基を含有する固形錠剤、粉末、小袋、水溶液、または懸濁液を患者が手動で添加することなどにより、任意の便利な形状で便器に分配されてもよい。ルミノール、酸化剤、および塩基は、トイレタンク内に配置され、ソレノイドバルブであってもよいバルブによって制御される1つ以上のディスペンサなどの分配装置によって分配されてもよい。また、これに代えて、ディスペンサは、便器の上流の任意の給水場所にルミノール、酸化剤、および塩基を分配するように構成されてもよい。トイレタンク内にまたは上流の任意の他の場所にルミノール、塩基、および酸化剤を分配する分配装置のために、検査を行なう直前にトイレの水を流して、新しいルミノール、塩基、および酸化剤が混合された水を便器に充填する必要がある。トイレタンクにまたは便器の上流の任意の他の場所にディスペンサがルミノール、酸化剤、および塩基を分配することを提供することは、検査中に便器内にあるであろう水とルミノール、酸化剤、および塩基とを混合することを提供する。分配装置は、ルミノール、塩基、および酸化剤を、トイレタンクにまたは便器の上流の別の場所に分配する代わりに、便器に直接分配してもよい。
【0018】
分配装置は手動であっても自動であってもよい。たとえば、分配装置は、トイレの水を流したとき、トイレの蓋を上げたり下げたりしたとき、患者によってスイッチが操作されたとき、または従来の接近検出器が患者の存在を検出したときに、ルミノール、塩基、および酸化剤を分配してもよい。分配装置は、人が便座に座っていることをセンサが検出したとき、または、人が便座に座っていたものの、もはや便座に座っていないことを検出する検出器によって、ルミノール、酸化剤、および塩基を分配してもよい。患者による排尿または排便の前に便器の水にルミノール、塩基、および酸化剤を分配するあらゆる装置が、好適である。
【0019】
この発明の方法は、ルミノール、酸化剤、塩基、および便器以外の別個の装置なしで血液を検出するために使用され得るが、電子検出装置は、検出精度を高め、結果を自動的に記録し、偽陽性または陰性結果を減らし、患者が物理的にバックグラウンド光レベルを観察したりまたは物理的にルミノールと酸化剤との反応を直接観察する必要性を回避することができる。患者がバックグラウンド光レベルを観察したりまたは反応を直接観察することは、患者側の先入観というリスクを生み出す。
【0020】
ルミノールと酸化剤との化学発光性反応は、波長が約450nmの放射ピークを有する光を放射する。好適な検出装置は、その波長の光を検出するように構成されている。検出器は、いくつかの構成のいずれかを採用してもよい。第1に、検出器は、すべての波長の可視光に、またはより狭くは波長が約450nmの光に応答するように構成されたフォトダイオードを利用してもよい。カリフォルニア州トランス(Torrance)のインターナショナル・ラジエーション・ディテクターズ社(International Radiation Detectors, Inc.:IRD)から入手可能なモデルUVG−20C光検出器は、450nmを中心とし、±40mの帯域幅を有する光学フィルタと組合せると、好適であると考えられている。そのようなフィルタは、当該技術分野において公知である。
【0021】
フォトダイオードは電源および適切な増幅器に動作可能に接続されて、フォトダイオードによって生成された信号がルミノールからの光に応答して増幅される。検出装置は、増幅器に取付けられ、信号が予め定められたしきい値に達するとトリガされて、輝くルミノールの存在を示し、便器内の鉄ひいては血液の存在を示す、警報回路と同じくらい単純なものであってもよい。
【0022】
また、これに代えて、検出装置はマイクロプロセッサによって制御されてもよい。マイクロプロセッサにより制御される装置の場合、光検出器はマイクロプロセッサおよびコンピュータメモリに動作可能に接続される。波長が450nmの光を検出可能なあらゆるセンサがマイクロプロセッサとともに使用されてもよく、他の可能な光検出器は、電荷結合素子またはアクティブ画素センサを含む。
【0023】
マイクロプロセッサは、ルミノール、酸化剤、および塩基が添加された後で、かつ患者が便器の水に排便または排尿する前に、便器内の準備された水の450nmの範囲の光のベースラインレベルを判断するようにプログラミングされている。
【0024】
たとえば、患者は検出装置の電源を入れて、便座に座ってもよい。装置はルミノール、塩基、および酸化剤をトイレタンクに分配し、トイレの水を流させ、準備された水で便器を満たす。装置の電源が一旦入ると、マイクロプロセッサは光検出器から光検出器信号を連続的に受信する。光検出器信号は、ルミノールと酸化剤との反応によって放射される波長の範囲における、光検出器によって検出された光の輝度に対応している。
【0025】
マイクロプロセッサは、検査シーケンスの初期に第1の時間に受信した光検出器からの信号が、バックグラウンド信号であると判断する。ここに「ベースライン」信号とも呼ばれるバックグラウンド信号は、好ましくは、患者が便座に座った後に判断される。正常な患者の便には血液がないはずなので、フォトダイオードによって検出された450nmの光の強度は、バックグラウンド信号のレベルに留まっているはずであり、検査の間に増加しないはずである。
【0026】
マイクロプロセッサは、ベースライン信号の検出された光レベルを、第2の時間での光検出器からのサンプル信号と比較する。第2の時間は第1の時間の後であり、マイクロプロセッサは、便器内に尿または便が存在すると推論する。マイクロプロセッサは、検査の間に光検出器信号ひいては光レベルがベースラインから著しい量変化しているか、ひいては、ヘモグロビンからの鉄がルミノールと酸化剤との反応を触媒しているかどうかを判断する。
【0027】
マイクロプロセッサは結果をコンピュータメモリに記録し、結果を患者に表示する。450nmの範囲の光レベルがバックグラウンドを上回って著しく増加しているとマイクロプロセッサが判断した場合、マイクロプロセッサは、視覚警報または可聴警報などの警告を患者に提供してもよい。マイクロプロセッサは、サンプル信号がバックグラウンド信号を複数の段階的増分のいくつか分上回っているかどうかを判断してもよい。ディスプレイは、携帯電話の信号インジケータと同様の、5本のバーといった予め定められた最大数まで数が増え続けるバーを用いて、バックグラウンドを上回るあらゆる光強度を表示してもよい。ディスプレイは複数のランプ、たとえば4つのLEDランプを含んでいてもよく、バックグラウンドを上回る検出された光の強度に対応する数のランプを灯すことによって、バックグラウンドを上回る光強度を表示してもよい。
【0028】
第2の物質がルミノールと1つ以上の蛍光色素分子との双方を含む場合、蛍光色素分子は、ルミノールとは異なる波長の光を放射してもよい。フルオレセインの場合、水中での最大放射の波長は521nmである。蛍光色素分子の使用により、便器内で放射される光の波長が、検出器の最大感度の波長に調整されてもよい。蛍光色素分子はまた、ルミノール単体よりも多い光を放射してもよく、光を検出する作業を容易にする。蛍光色素分子の使用はまた、検出すべき2つ以上の異なる波長の光を提供することによってバックグラウンド光を遮断することを助けてもよい。たとえば、ルミノールと蛍光色素分子とが存在し、検出器が(ルミノールによって放射される光に対応する)450nmと(フルオロセインによって放射される光に対応する)521nmとで光を検出したものの、これら2つの波長の中間の光をあまり検出しなかった場合、検出器は、便器内で放射される光がバックグラウンド光を上回っていると結論付けてもよい。複数の蛍光色素分子の使用は、放射される波長が、検出器に適合するように、または検出された光をもっと見やすくするようにさらにシフトされることを可能にし得る。なぜなら、ある蛍光色素分子によって第1の波長で放射される光が、第2の蛍光色素分子に第2の波長の光を放射させ、第2の波長の光は検出器によってより容易に検出され、または人間によってより容易に見えるためである。
【0029】
この発明の方法および装置の一利点は、数年毎に単一のスナップショットサンプルを集める代わりに、検査が排便毎に、またはより延長された期間、たとえば毎週繰返されてもよく、検出装置が多数のサンプリング事象の結果を容易に集め得るということである。検出装置は、サンプルを互いに比較して結果の統計的分析を行なうようにプログラミングされていてもよい。統計的に有意な数のサンプル結果が便または尿中の血液を示すと検出装置が判断した場合、検出装置は患者に警告してもよい。多数のサンプル結果の分析は、月経血、大腸炎、痔、または食事の変更から生じ得る偽陽性を修正し得る。
【0030】
検出装置は、便器の便座に組込まれ得る、1つ以上のフォトダイオードを有する光検出器と付随する増幅器とを特徴としてもよい。フォトダイオードは便座の底またはトイレの蓋に組込まれて、便器の水に面していてもよい。マイクロプロセッサおよび他の電子機器は便座または蓋に組込まれていてもよく、または、便座から遠隔にあるものの光検出器に動作可能に接続された別個の筐体内に収容されていてもよい。別個の筐体は、装置の状態を患者に助言し、患者に装置をオンオフさせ、検出された光の強度を表示し、または他の態様で血液検出動作の結果を患者に知らせるために、ディスプレイを含んでいてもよい。筐体は、サイズが携帯電話のハウジングに似た小さい箱であってもよい。装置はDCを動力源としてもよく、バッテリまたは外部電源を特徴としてもよい。検出装置は、光検出器が便器内のヘモグロビンと酸化剤とルミノールとの反応から放射される光を検出できるようにする任意の他の形状因子および任意の他の場所を利用してもよい。検出装置は、便座とは別であってもよい。検出装置は、便器によって支持されるスタンドアローンの装置であってもよい。また、これに代えて、検出装置は、便器自体に組込まれていてもよい。
【0031】
実際には、発明者らは、便器内の血液中の鉄によって触媒されるルミノールと酸化剤との反応が、便座または蓋の下側から便座の水に向かって下向きに向けられ、蓋が閉じられている期間に動作される指向性フォトダイオードを用いて容易に検出可能であるということを発見した。この構成を用いると、バックグラウンド光レベルの測定は不必要であり、蛍光色素分子の使用も不必要であった。発明者らは、バックグラウンド光レベルの検出および測定、ならびに蛍光色素分子の使用は、装置および方法の感度を高め得ると考えている。発明者らは、便器への周辺光の入射が蓋によってではなくトイレに座った患者によって部分的に遮断される場合に、この段落の構成が役に立つであろうと考えており、また、ルミノール、酸化剤、および塩基は、患者が排尿または排便する前または後に、ディスペンサによってまたは患者によって手動で添加可能であると考えている。
【0032】
患者は、集まったデータを評価のために自分の医師まで運んでもよい。患者は別個の筐体を物理的に運んでもよく、または、フラッシュドライブなどの別個のコンピュータメモリを運んでもよい。患者は、たとえば電子メールメッセージへの添付により、またはインターネットを通して、データを医師に電子的に送信してもよい。検出装置は、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、インターネット、または無線通信システムなどのネットワークに取付けられてもよい。装置は、患者からの介入なく、通信ネットワークを通して医師と通信してもよい。医師は結果を評価し、さらなる検査または介入が患者にとって適切であるかどうかを判断してもよい。
【0033】
装置は、「スマートフォン」などの適切にプログラミングされた携帯型コンピューティング装置の形状を取っていてもよい。携帯型コンピューティング装置の実施例を使用するために、ルミノールおよび酸化剤を便器に添加した後で、患者は、携帯型コンピューティング装置のコンピュータメモリに入っている専用のソフトウェアアプリケーションを始動して、排尿および/または排便する前に携帯型装置の内蔵カメラを用いて便器の第1の写真を撮影するであろう。このアプリケーションは、第1の写真の検出された光を電子的にフィルタリングして、450nmの波長の光の強度を判断するように、携帯型装置をプログラミングしている。携帯型コンピューティング装置は、第1の写真における450nmで検出された光レベルをバックグラウンドとして記録する。排便および/または排尿後、患者は次に便器の第2の写真を撮影する。携帯型コンピューティング装置は、第2の写真に記録された光を電子的にフィルタリングして、450nmの波長の光レベルを判断する。装置は、第2の写真で検出された450nmの光の強度を、バックグラウンドのものと比較するであろう。携帯型コンピューティング装置は、結果をコンピュータメモリに記録し、双方の写真を消去するようにプログラミングされている。携帯型コンピューティング装置は、携帯電話システムを通して、患者の医師によって操作されるコンピュータなどのコンピュータに結果を通信するようにプログラミング可能である。
【0034】
上述のスクリーニング装置および方法は、便または尿の取扱いを必要としない。現在のスクリーニング実例とは異なり、それは安全でかつ安価であり、頻繁に使用可能である。使用の容易性およびプライバシーは、患者の順守を促すであろう。
【0035】
III.図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】ルミノールと酸化剤との反応の図である。
図2】この発明の一方法のフローチャートである。
図3】装置の一実施例の概略図である。
図4】単純な検出器回路の回路図である。
図5図4の検出器の平面および側面図である。
図6図4の検出器回路の部品リストである。
図7】マイクロプロセッサにより実現される検出装置の概略図である。
図8図7の装置を通る情報フローのフローチャートである。
図9】検出装置の概略図である。
図10】トイレに搭載された装置の第1の実施例の斜視図である。
図11】トイレに搭載された装置の第2の実施例の斜視図である。
図12】携帯型検出装置用のアプリケーションのフローチャートである。
図13A】異なる量の光を検出するように構成された検出装置のための回路図である。
図13B】異なる量の光を検出するように構成された検出装置のための回路図である。
図13C】異なる量の光を検出するように構成された検出装置のための回路図である。
図13D】異なる量の光を検出するように構成された検出装置のための回路図である。
図14A】異なる量の光を検出するように構成された検出装置の別の実施例のための回路図である。
図14B】異なる量の光を検出するように構成された検出装置の別の実施例のための回路図である。
図14C】異なる量の光を検出するように構成された検出装置の別の実施例のための回路図である。
図14D】異なる量の光を検出するように構成された検出装置の別の実施例のための回路図である。
図14E】異なる量の光を検出するように構成された検出装置の別の実施例のための回路図である。
図14F】異なる量の光を検出するように構成された検出装置の別の実施例のための回路図である。
図15】装置供給業者または製造業者の観点からの方法の図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
IV.実施例の説明
この方法および装置は、便器10内での血液についての便および尿のスクリーニング用である。図1に示すように、この発明の装置および方法は、便器10の水8の中でのアルカリ性条件でのルミノール4と酸化剤6との反応を利用する。図1の図面では、酸化剤6は過酸化水素である。しかしながら、上述のように、いくつかの異なる酸化剤6が好適である。アルカリ性条件は、便器10の水8の中で、ホウ酸ナトリウムなどの塩基12の添加によって達成される。他の塩基12も、必要なアルカリ性条件を達成するのに好適である。ルミノール4と酸化剤6との反応は、赤血球のヘモグロビン内に含有される鉄14などによって反応が触媒されない限り、遅い。反応は、適切な塩基性条件では、および鉄14の存在下では迅速であり、血液の存在下で反応するルミノール4からの光16の特徴的な青い輝きをもたらす。
【0038】
この方法の最も単純な形態を、図2に示す。
図2の第1のステップ18で、患者は、ルミノール4、塩基12、および酸化剤6を水8に添加することによって、便器10の水8を準備する。この方法の第2のステップ20で、患者は便器10に排尿または排便もしくはその双方を行なう。図2の第3のステップ22で、便器10の水8と便器10の便または尿中の赤血球の含有物との浸透圧の差により、赤血球は溶解される。赤血球の溶解により、赤血球はその含有物を便器10の水8に放出する。放出された含有物はヘモグロビンを含み、それは鉄14を含有する。血液が存在する場合、ヘモグロビンからの鉄14によって触媒される、ルミノール4と酸化剤6との反応により、便器10の水は青く輝く。
【0039】
図2の第4のステップ24で、患者は便器10の水8を観察し、便器10の水8が青く輝いているかどうかを判断する。水8が青く輝いている場合、この方法の結果は陽性であり、患者はおそらく自分の排便または尿に血液を有するであろう。青い輝きは、銅または漂白剤など、血液以外の物質の存在によって生じる場合がある。患者は、血液の存在を確認し、血液の出所を判断し、出血の原因を治療するために、この陽性の検査の後に他の検査を続けるべきかどうか判断するために、自分の医師と相談してもよい。ステップ28から、患者が青い輝きを観察しない場合、血液は検出されない。
【0040】
この発明は、単純または複雑であり得る検出装置を含んでいてもよい。図3〜6は、ルミノール4、酸化剤6、および塩基12を水8に分配するディスペンサ30を利用する検出装置を示す。ルミノール4、酸化剤6、および塩基12は、固形錠剤の形状を取っていてもよい。ルミノール4と塩基12とが1つの錠剤へと形成され、一方、酸化剤は第2の錠剤へと形成される。また、これに代えて、ルミノール4、酸化剤6、および塩基12は、小袋、粉末、溶液、または懸濁液32の形状であってもよい。ルミノール4、酸化剤6、および塩基12は容器34に保存されていてもよく、容器34はトイレタンク35内にあり、またはトイレタンク35によって規定され、これらはすべて図7に示す。ルミノール4は、1つ以上の蛍光色素分子を含んでいてもよい。
【0041】
図3の装置では、アクチュエータ36がディスペンサ30に動作可能に接続されている。アクチュエータ36はディスペンサ30に動作可能に接続され、光検出器38にも接続されている。アクチュエータ36は、ボタン、タッチスクリーン、ダイヤル、一連のボタン、または当該技術分野において公知の任意の他の制御装置といった手動制御装置であってもよい。アクチュエータ36は、便座40上の患者の存在または不在を検出するように構成された、圧力スイッチなどの自動制御装置であってもよい。アクチュエータ36は、便座40の位置を検出するように、または便座40の位置の変化を検出するように構成されてもよい。アクチュエータ36は、患者の接近を検出するように構成されてもよい。
【0042】
アクチュエータ36は、患者によって作動されると、ソレノイドバルブなどのエフェクタ42を起動して、ルミノール4、酸化剤6、および塩基12を便器10に分配する。アクチュエータ36は、先行技術の水洗トイレ8にある水洗レバーなどのよく知られたレバー水洗アクチュエータ44の形状であってもよい。エフェクタ50は、トイレ8の水を流し、便器8に水10を再充填するように構成されてもよい。便器10が再度満たされると、ディスペンサ30は、入ってきた水にルミノール4、酸化剤6、および塩基12を充填する。
【0043】
図3から、アクチュエータ36は光検出器38も起動する。光検出器38は、1つ以上のフォトダイオード54であってもよい。また、これに代えて、光検出器38は、電荷結合素子56またはアクティブ画素センサ58などの、反応するルミノール4および酸化剤6によって放射される光16を検出する任意の他の技術を利用してもよい。
【0044】
光検出器38は、便器10内の反応2によって放射される光16の波長の範囲の光16を検出するように構成されている。光検出器38は、ルミノールと酸化剤との反応2によって放射される光16の波長であると考えられている約450nmの波長を感知するように選択される。光検出器38がフォトダイオード46で構成される場合、フォトダイオード46には、フォトダイオード46に到達する光16を制限するためのフィルタ60が搭載されてもよい。450nm±40nm、すなわち410nm〜490nmの波長の範囲62を有するバンドパス光学フィルタ60が、好適であると考えられている。1つ以上の蛍光色素分子が使用される場合、光検出器38は、その1つ以上の蛍光色素分子によって放射される光を感知するように選択されてもよい。光検出器38は波長の2つ以上の範囲を感知してもよく、その場合、光検出器は、ルミノールと酸化剤との反応2からの光または別の蛍光色素分子からの光にさらされる場合、ルミノールと酸化剤との反応2によって放射される波長の範囲、および蛍光色素分子によって放射される波長の範囲を感知する。
【0045】
図3の比較的複雑でない装置では、光検出器38はフォトダイオード54であり、増幅器66とディスプレイまたは警報68とを含む信号処理モジュール64に取付けられている。
【0046】
増幅器回路70は、1つ以上のフォトダイオード46からの信号を増幅する。図4の増幅器回路70の平面および側面図を図5に示す。フォトダイオード54には、上述のような光学フィルタ60が搭載される。図4および図5の増幅器の部品リストが、図6として含まれる。450nmの範囲の検出された光16が患者に警告する警報しきい値に達すると、増幅器70の出力はランプまたは可聴警報を動作可能である。図4〜6の単純な増幅器回路は、450nmの範囲の周辺光16のベースラインを考慮しない。しかしながら、装置の警報しきい値は電位差計72で調節されてもよい。図4および図5に示すもののような単純な光検出器38はディスペンサなしで使用されてもよく、その場合、患者はルミノール4、酸化剤6、および塩基12を水8に手動で添加する。
【0047】
図7〜11は、より複雑な検出装置を示す。図7の概略図から、光検出器38は、バンドパスフィルタ60などによって450nm±40nmの範囲の光16を検出するように構成されたフォトダイオード54を含む。光検出器38は、フォトダイオードによって検出された450nmの範囲の光16に応答して光検出器信号76を生成する。光検出器信号はある値を有しており、光検出器信号の値の大きさは、フォトダイオード54に当たる光16の輝度、期間、またはその双方によって判断される。光検出器38はマイクロプロセッサ74に動作可能に接続されている。マイクロプロセッサ74は、コンピュータメモリ78、ディスプレイ68、ポート80、およびネットワーク接続部82にも接続されている。装置を動作させるプログラムがコンピュータメモリ78に格納されており、コンピュータメモリ78は、マイクロプロセッサ74からの命令に応答してデータを格納するようにも構成されている。電源が電力を装置に提供し、装置はバッテリまたはライン電力によって動力を提供されてもよい。マイクロプロセッサ74は、結果をディスプレイ68に表示するように構成されている。コンピュータメモリ78に格納されたデータは、ポート80を通してダウンロードされてもよい。コンピュータメモリ78内にあるプログラムも、ポート80を通してロードされてもよい。
【0048】
マイクロプロセッサにより制御される図7の装置の動作を、図8のフローチャートに示す。マイクロプロセッサ74はアクチュエータ36から命令を受信して、検査を開始する(84)。マイクロプロセッサ74は、トイレ10の水を流し、トイレ10に水8を再充填するようにエフェクタ50に命令する。マイクロプロセッサ74は、バルブを開け、入ってきた水8にルミノール4、酸化剤6、および塩基12を充填するように、エフェクタ50に命令する(ステップ86)。ここで水8が検査用に準備される。
【0049】
図8のステップ88から、光検出器38は、患者が便器10に排便または排尿する前の「第1の時間」にフォトダイオード54によって検出された450nmの範囲の光16に対応する光検出器信号76を生成する。ステップ90で、マイクロプロセッサ74は、周辺光16およびヘモグロビンが触媒となっていないルミノールと酸化剤との反応2からのどんなバックグラウンド光16も示すためのバックグラウンド信号として、第1の時間に受信した光検出器信号76を格納する。バックグラウンド光16を記録することは、便器10で以前に使用した漂白剤を含有する家庭用洗剤から、または任意の他の汚染物質から生じる微量のルミノール4の化学発光を勘案する。図8のステップ92で、マイクロプロセッサ74は、患者に便器10に排尿または排便させてルミノールと酸化剤との反応2を生じさせるように、システムクロックを参考にして予め定められた期間をカウントする。予め定められた期間の終了時、マイクロプロセッサ74は、光検出器信号76をサンプル信号として記録する(94)。
【0050】
図8のステップ92の第1の代替例として、マイクロプロセッサ74は、光検出器38からサンプル信号を受信して記録する(94)ために、アクチュエータ36の第2の起動を待ってもよい。図8のステップ92の第2の代替例として、マイクロプロセッサ74は、光検出器信号76を連続してコンピュータメモリ78に記録してもよい。ステップ92の時間の経過、または患者によるアクチュエータ36の起動、または第1の時間の後の期間、または検出された光検出器信号の値が、サンプル信号が記録される(94)「第2の時間」を規定する。
【0051】
マイクロプロセッサ74は、「第2の時間」の間に受信した光検出器38からの光検出器信号76を「サンプル信号」としてコンピュータメモリ78に記録する(94)。サンプル信号は、患者が便器10内に排尿または排便もしくはその双方を行なった後に、および反応2が生じた場合に検出される、便器10からの光16の輝度に対応している。
【0052】
図8のステップ96で、マイクロプロセッサ74は次に、患者が準備された水8に排尿または排便した後の第2の時間に集められたサンプル信号を、患者の排尿または排便前の第1の時間に集められたバックグラウンド信号と比較する。第1の時間から第2の時間にかけて450nmの範囲の光16のレベルが少しでも増加する場合、それは便器10の水8の中でのルミノールと酸化剤との反応2によるものと考えられる。図8のステップ98で、マイクロプロセッサ74は、結果をコンピュータメモリ78に記録する。
【0053】
偽陽性結果を減らすために、マイクロプロセッサ74は、サンプル信号がバックグラウンド信号を予め定められた量以上、または統計的に有意な量上回っている場合にのみ、陽性結果を報告するように構成されてもよい。マイクロプロセッサは、サンプリングの技術分野において公知であるように、複数のサンプリング事象の複数の結果を統計的に評価して、陽性結果が予め定められた統計的検査に合格した場合にのみ陽性結果を報告するように構成されてもよい。マイクロプロセッサ74は、予め定められた境界外の結果を放棄し、または他の態様で無視するように構成されていてもよい。たとえば、光検出器38が、サンプル信号の記録中に目標波長範囲外の過度の量の光16を検出した場合、それは周辺光16によるサンプリング信号の汚染を示す。
【0054】
図8のステップ100で示すように、検出装置にディスプレイ68が搭載されている場合、マイクロプロセッサ74は、結果が患者に表示されるようにしてもよい。マイクロプロセッサ74は、血液が存在するか存在しないかという二値判断を行ない、その「はい」か「いいえ」の判断を患者に通信するように構成されてもよい。
【0055】
マイクロプロセッサ74は、ルミノールと酸化剤との反応2による光16の増加が生じているかどうかという二値判断をするだけでなく、ルミノールと酸化剤との反応2による輝度の段階的相違も検出するように構成されてもよい。輝度の相違は、尿または便中に存在する異なる量の血液に対応していてもよい。そのような構成では、マイクロプロセッサ74は、サンプル信号において第2の時間に記録された光16の輝度がバックグラウンド信号よりも検出しきい値だけ大きいかどうかを判断し、また、検出しきい値を上回る光16の検出された変化の輝度を参考基準と比較する。マイクロプロセッサ74は、血液が全く存在しないか、少しだけ存在するか、または大量に存在するかをディスプレイ68を用いて患者に表示するように構成されている。マイクロプロセッサ74は、結果を一連の段階的増分として患者に表示するように構成されてもよい。段階的増分の表示は、無線電話の信号強度を示すためによく使用されるような、平行なバーの形状を取っていてもよい。段階的増分の表示は、図13および図14に示すような一連のLEDランプの形状を取っていてもよい。便器10の水8の中の血液について結果が陽性である場合、患者は、追加の行動が適切かどうかを判断するために自分の医師と相談してもよい。
【0056】
患者は検出装置を自分の医師まで持っていってもよく、医師は装置106をポート80を通してコンピュータに取付けてもよい。図8のステップ102で、マイクロプロセッサは、医師のコンピュータによってコンピュータメモリ78からポート80を通してバックグラウンド信号およびサンプリング信号にアクセスすることを許可してもよい。また、これに代えて、患者は、バックグラウンド信号およびサンプリング信号をフラッシュドライブなどの外部コンピュータメモリにロードし、外部メモリを物理的に医師まで運んでもよい。ステップ104で示すように、マイクロプロセッサ74は、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、インターネット、または無線通信ネットワークなどのネットワークを通して、患者、医師、他のヘルスケア提供者、または他の指定された人に結果を通信するために、ネットワーク接続部82にアクセスしてもよい。
【0057】
図8の方法の簡略化された代替例として、ステップ90〜96が除外されてもよい。患者が便器10に排尿または排便する前または後に、ステップ86から、マイクロプロセッサ74は、ルミノール4、塩基12、および酸化剤6を分配するように装置に命令する。トイレの蓋118は閉じられ、トイレの蓋118の下側に位置するかまたは他の態様で便器10内へと向けられた指向性フォトダイオード54は、便器10内でのルミノールと酸化剤との反応2から検出された光16に対応する信号を生成する。ステップ98で示すように、マイクロプロセッサ74は結果を記録する。マイクロプロセッサはまた、上述のようにステップ100〜104を行なってもよい。
【0058】
図8の方法の第2の簡略化された代替例として、ステップ86およびステップ90〜96が除外される。患者が便器10に排尿または排便する前または後に、患者は手動でルミノール4、塩基12、および酸化剤6を便器10の水8に添加する。トイレの蓋118は閉じられ、トイレの蓋118の下側に位置するかまたは他の態様で便器10内へと向けられた指向性フォトダイオード54は、便器10から検出された光16に対応する信号を生成する。ステップ98で示すように、マイクロプロセッサ74は結果を記録する。マイクロプロセッサ74はまた、上述のようにステップ100〜104を行なってもよい。
【0059】
図8の方法の第3の簡略化された代替例として、患者が便器10に排便または排尿する前または後に、患者は手動でルミノール4、塩基12、および酸化剤6を便器10の水8に添加する。トイレの蓋118は閉じられ、トイレの蓋118の下側に位置するかまたは他の態様で便器10内へと向けられた指向性フォトダイオード54は、便器10から検出された光16に基づいて信号を生成する。増幅器66が信号を増幅し、一群の段階的ライトなどのディスプレイまたは警報68が結果を患者に表示する。
【0060】
図9〜11は、この発明の装置の実施例を示す。図9は、検出装置の一実施例を示す。筐体106は、電源108、マイクロプロセッサ74、コンピュータメモリ78、ディスプレイ68、ポート80、およびネットワーク接続部82を収容する。フォトダイオード54は、ワイヤ110によってマイクロプロセッサ74に接続されている。ポート80は筐体106上に現われている。筐体106はディスプレイ68を含む。筐体106はアクチュエータ36を含む。アクチュエータ36は、マイクロプロセッサ74に動作可能に接続されている。アクチュエータ36は、ボタン、タッチスクリーン、ダイヤル、一連のボタン、または当該技術分野で公知の任意の他の制御装置であってもよい。アクチュエータ36が検査事象時に初めて起動されると、アクチュエータ36の起動は、図8のステップ84、および図8に示す一連の事象を開始させる。ディスペンサ30は、トイレタンク35内に含まれる容器34を含む。一方の容器34はルミノール4と塩基12とを含み、他方の容器34は酸化剤6を含む。容器34にはバルブ62が搭載され、それらはソレノイドバルブであってもよく、マイクロプロセッサ74に動作可能に接続されている。ディスペンサ30は、ルミノール4、酸化剤6、および塩基12のうちの1つまたはすべてが、トイレタンク35に、ひいてはトイレの水8に、患者の命令でまたは自動的に、装置によって添加されるようにする。また、これに代えて、容器34は、ルミノール4、酸化剤6、および塩基12を便器10の水8に直接分配するように位置していてもよい。
【0061】
図10は、トイレ114に設置された図9の装置を示す。トイレ114は、水8を含む便器10を有する。トイレ114は、便座40と蓋118とを特徴とする。便座40および蓋118は各々、開いた位置と閉じた位置との間で、ヒンジ120を中心として回転する。1対のフォトダイオード54であってもよい光検出器38は、便座40の下側122に搭載されている。フォトダイオード54は、便座40が閉じた位置にある場合に便座10の方向から光16を受けるように構成されている。フォトダイオード54はワイヤ110によって、筐体106内に収容されたマイクロプロセッサ74に接続されている。筐体106は、電源108、コンピュータメモリ78、ディスプレイ68、およびポート80も含む。筐体106は、トイレ114のタンク35の上、もしくはテーブルまたはキャビネットの上といった任意の便利な場所に配置されてもよい。
【0062】
図11は、フォトダイオード54および筐体106が便座40に組込まれている代替的な一実施例を示す。図11の実施例では、図9に示す装置の構成要素のすべてが、便座40に組込まれている。また、これに代えて、光検出器38は、便器の蓋118に取付けられ、または組込まれていてもよい。
【0063】
検出装置は、トイレ114に搭載されなくてもよく、代わりに、「スマートフォン」などの携帯型コンピューティング装置であってもよい。図12は、携帯型コンピューティング装置を利用するこの発明の一方法を示す。ステップ124で示すように、患者は、ルミノール4、酸化剤6、および塩基12を添加することによって便器10の水8を準備することにより、検査を開始する。ステップ126で示すように、患者は次に、携帯型コンピューティング装置のアプリケーションを始動する。アプリケーションは、装置メモリに格納され、携帯型装置のマイクロプロセッサ上で走るプログラムである。また、これに代えて、プログラムはサーバコンピュータ上に格納されてもよく、アプリケーションが走るたびに携帯型装置によってコンピュータネットワークを通してダウンロードされてもよい。
【0064】
装置によって促されると、図12のステップ128で示すように、患者は、携帯型装置に内蔵されたカメラを用いて、「第1の時間」での便器10の内部の写真を撮影する。「第1の時間」に撮影された写真は、ルミノール4、酸化剤6、および塩基12の添加後でかつ便器10への排尿または排便前の便器10の光16の状態を示す。携帯型装置は、従来の手法を用いて、450nmの波長の光16について、検出された光16を電子的にフィルタリングすることによって写真を分析する。図2のステップ130で示すように、携帯型装置は、第1の時間に450nmの波長で検出された光の輝度の値を「バックグラウンド信号」として格納する。
【0065】
図12のステップ132で示すように、患者は、便器10の水8を含む便器10に排尿または排便する。携帯型装置によって促されると、ステップ134として示すように、患者は、第2の時間での便器10の内部の第2の写真を撮影する。携帯型装置は、450nmの波長の光16について、第2の時間に撮影された写真をフィルタリングする。第2の写真はある持続期間を有する映像であってもよく、第2の時間はその期間の間延びていてもよい。携帯型装置のマイクロプロセッサは、第2の時間での450nmの波長の光16を、第1の時間に検出された光16と比較する。ステップ136で示すように、携帯型装置は、第2の時間での光16が第1の時間での光16よりも明るいかどうかを判断する。携帯型装置が第2の時間での450nmの波長の光16をより多く検出した場合、装置は、便器10内に血液が存在すると結論付ける。図13のステップ138で示すように、携帯型装置は結果を患者に報告する。携帯型装置は次に、双方の写真を消去してもよい。オプションで、図12の要素140で示すように、装置は結果を患者の医師に電話するかまたは電子メールで送信してもよい。携帯型装置は、静止画像ではなく映像を撮影してもよい。携帯型装置はまた、データを写真または映像として記録または表示することなく、第1および第2の時間での画像データを集めてもよい。
【0066】
図13A〜13Dおよび図14A〜14Fは、図3の光検出器38、増幅器66、およびディスプレイ68のための代替的な回路図である。図13A〜Dおよび図14A〜Fの回路は、ルミノールと酸化剤との反応2による輝度の段階的相違を検出する光検出器36回路の例を提供する。輝度の相違は、尿または便中に存在する異なる量の血液に対応している。図13A〜Dおよび図14A〜Fの光検出器36は、フォトダイオード(D9)が入射光を電流に変換する電池式(CON1)装置(光度計)である。図13A〜Dの0.1〜1Luxおよび図14A〜Fの0.02Lux〜1Luxの光(電流)の量が、図13A〜Dおよび図14〜Fの一連のダイオード(D1〜D4)および(D1〜D8)を介して、それぞれ表示される。図13Aおよび図13Bは、素子「A」で接合された単一の回路を提示する。図14Aおよび図14Bは、素子「B」および「C」で接合された単一の回路である。
【0067】
図15は、装置供給業者または製造業者の観点からのこの発明の一方法のフローチャートである。ステップ142で、供給業者または製造業者は、光検出器装置36を提供する。装置は上述のように構成されている。供給業者または製造業者はまた、尿または便中の血液の検出のためにユーザがどのように装置を使用すべきかについての指示を提供する。この発明の他の局面は上述のとおりである。
【0068】
番号が付された要素のリスト
【符号の説明】
【0069】
反応2、ルミノール4、酸化剤6、水8、便器10、塩基12、鉄14、光16、ディスペンサ30、錠剤、粉末、溶液および懸濁液32、複数の容器34、トイレタンク35、アクチュエータ36、光検出器38、便座40、手動制御装置42、便座上の重量を検出するように構成された制御装置44、前記便座の位置の変化を検出するように構成された制御装置46、ユーザの存在を検出するように構成された制御装置48、エフェクタ50、ソレノイドバルブ52、フォトダイオード54、電荷結合素子56、アクティブ画素センサ58、バンドパス光学フィルタ60、410nm〜490nmの光の波長の範囲62、信号処理モジュール64、増幅器66、ディスプレイまたは警報68、増幅器回路70、電位差計72、マイクロプロセッサ74、光検出器信号76、コンピュータメモリ78、ポート80、ネットワーク接続部82、指示、筐体106、電源108、ワイヤ110、ディスペンサ30、容器34、バルブ112、トイレ114、蓋118、ヒンジ120、下側122、指示144
図1
図2
図3
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図11
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図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
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図14D
図14E
図14F
図15