(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6111262
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】炭化水素坑井の掘削と採掘のための管状コンポーネントおよびもたらされたねじ付き接続部
(51)【国際特許分類】
F16L 15/04 20060101AFI20170327BHJP
E21B 17/042 20060101ALI20170327BHJP
F16B 7/18 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
F16L15/04 A
E21B17/042
F16B7/18 A
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-546597(P2014-546597)
(86)(22)【出願日】2012年12月14日
(65)【公表番号】特表2015-507723(P2015-507723A)
(43)【公表日】2015年3月12日
(86)【国際出願番号】FR2012000520
(87)【国際公開番号】WO2013093233
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2015年10月23日
(31)【優先権主張番号】11/03930
(32)【優先日】2011年12月19日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】504255249
【氏名又は名称】ヴァルレック オイル アンド ガス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100080001
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 大和
(74)【代理人】
【識別番号】100093023
【弁理士】
【氏名又は名称】小塚 善高
(74)【代理人】
【識別番号】100117008
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 章子
(72)【発明者】
【氏名】グレンジャー,スコット
(72)【発明者】
【氏名】キャロン,オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルジェ,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ルシュー,ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】フランキ,ジョナサン
【審査官】
柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭59−083887(JP,A)
【文献】
仏国特許出願公開第02937077(FR,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0084541(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0174482(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 15/04
E21B 17/042
F16B 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素坑井の掘削と採掘のためのねじ付き接続部(1)を形成するアッセンブリーであって、前記接続部は回転軸(10)を有する第1と第2の管状コンポーネントを備え、これらの管状コンポーネントは雄型端部(2)と雌型端部(3)を夫々備え、前記雄型端部(2)と前記雌型端部(3)の内の少なくとも一つには、他端に生成された肩部に設けられた第2の当接面(70)に対して組み立てられた状態において干渉接触し得る第1の当接面(60)を備える終端面で終端し、前記第1の当接面(60)と第2の当接面(70)の内の少なくとも一つには外部当接領域(9)と内部当接領域(12)を定義する溝(7)が形成され、
前記組み立てられた状態において、前記外部当接領域(9)と前記内部当接領域(12)の内の少なくとも一つが軸方向に突出し、それによって前記溝(7)の近傍(12a)にかかる前記内部当接領域(12)の接触圧Pint(a)が前記外部当接領域(9)にかかる接触圧の最小値より大きいか又は等しいことを特徴とするねじ付き接続部(1)を形成するアッセンブリー。
【請求項2】
前記第1の当接面(60)を前記雄型端部(2)の前記終端面に設け、
前記第2の当接面(70)を前記雌型端部(3)に生成される肩部に設けることを特徴とする請求項1に記載のねじ付き接続部(1)を形成するアッセンブリー。
【請求項3】
前記溝(7)が形成された前記当接面(70)の前記外部当接領域(9)と前記内部当接領域(12)は、別個の第1の平面と第2の平面に夫々属し、この第1の平面と第2の平面は回転軸(10)に垂直であり、前記内部当接領域(12)は前記外部当接領域(9)より突出することを特徴とする請求項1又は2に記載のねじ付き接続部(1)を形成するアッセンブリー。
【請求項4】
前記第1の平面と前記第2の平面は0.025mmから0.075mmの範囲の値εだけ分離されることを特徴とする請求項3に記載のねじ付き接続部(1)を形成するアッセンブリー。
【請求項5】
前記溝(7)が形成された前記当接面(70)の前記外部当接領域(9)と前記内部当接領域(12)は、半径Rを有する球状の包絡線に属する凸状表面にあることを特徴とする請求項1又は2に記載のねじ付き接続部(1)を形成するアッセンブリー。
【請求項6】
前記球状の半径Rは500mmから2700mmの範囲にあることを特徴とする請求項5に記載のねじ付き接続部(1)を形成するアッセンブリー。
【請求項7】
前記溝(7)が形成された前記当接面(70)の前記外部当接領域(9)は、前記回転軸(10)に垂直な平面に対して0.5度から2度の範囲の角度αだけ傾斜した平面に位置し、それによって、前記溝に近接する部分(9b)は前記溝から遠位の部分(9a)に対して突出することを特徴とする請求項1又は2に記載のねじ付き接続部(1)を形成するアッセンブリー。
【請求項8】
前記溝(7)が形成された前記当接面(70)の前記内部当接領域(12)は、前記回転軸(10)に対して垂直な平面に対して0.5度から2度の範囲の角度βだけ傾斜した平面に位置し、それによって、前記溝に近接する部分(12a)は前記溝から遠位の部分(12b)に対して突出することを特徴とする請求項7に記載のねじ付き接続部(1)を形成するアッセンブリー。
【請求項9】
前記外部当接領域の断面esupは前記内部当接領域の断面einfの1.5倍から3倍の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のねじ付き接続部(1)を形成するアッセンブリー。
【請求項10】
前記第1の当接面(60)と前記第2の当接面(70)には溝が夫々形成され、
前記第1の当接面(60)に形成された前記溝(6)が外部当接領域(8)と内部当接領域(11)を定義し、
前記第2の当接面(70)に形成された前記溝(7)が外部当接領域(9)と内部当接領域(12)を定義することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のねじ付き接続部(1)を形成するアッセンブリー。
【請求項11】
前記雄型端部(2)と前記雌型端部(3)は、前記接続部が他端に生成される肩部に設けられる第2の当接面(70、13)に対して組み立てられた状態にあるとき、終端面で干渉接触することができる第1の当接面(60、14)を備えることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のねじ付き接続部(1)を形成するアッセンブリー。
【請求項12】
前記第1と第2の管状コンポーネントは管状掘削コンポーネントであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載のねじ付き接続部(1)を形成するアッセンブリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、炭化水素坑井の掘削と採掘のために使用されるコンポーネントに関し、更に詳しくはこのようなコンポーネントの端部に関し、前記端部には雄型と雌型とがあり、炭化水素坑井の掘削と採掘のために使用される他のコンポーネントの対応する端部と接続可能である。
【0002】
用語“炭化水素坑井の掘削と採掘のために使用されるコンポーネント”は、炭化水素坑井の掘削のためのステム、又はメンテナンス用坑井改修ライザー等、又は採掘用ライザー等、又は坑井採掘に関係するケーシング・ストリング、又はチュービング・ストリングを構成することによって同じタイプの要素または他のタイプの要素と接続されて完了することが意図される実質的に管状の任意の要素を意味する。特に、本発明は、ドリルパイプ、大重量ドリルパイプ、ドリルカラー、および工具ジョイントとして知られるパイプと大重量パイプを接続する部品等のドリルステムにおいて使用されるコンポーネントに適用可能である。
【0003】
既知の方法では、ドリルステムにおいて使用される各コンポーネントは一般的に雄型ねじ領域を有する端部と雌型ねじ領域を有する端部を備え、各端部は他のコンポーネントの対応する端部と組立によって接続されるように意図されており、組立によって接続部が特定される。このようにして作られたステムが坑井の表面から掘削時に回転されるので、坑井の掘削において分解や、これとは対照的な過剰トルクを受けることなく、十分な回転トルクが伝達できるように、高トルクでコンポーネントが組立てられなければならない。組立トルクは、一般的に、組み立てられる各コンポーネントに設けられた当接面同士の干渉協働によって達成される。
【0004】
しかしながら、所定の掘削条件や接続状態で、加圧下でガスに遭遇する可能性がある。当接面によって今まで設けられていた密封がもはや確保できない。加えて、二つのコンポーネント間の接続部に高圧力に対応するより高い品質を確保することが必要である。このため、出願人のカタログNo.940に記述されたVAM(R)TOP接続部のような他のタイプの接続部を有する、ねじ領域を越えた接続部の雄型端部に、接続部の雌型端部に設けられた封止面との半径締まりばめと協働することが意図される封止面を設けることが知られている。より正確には、これら二つの面間の締まりばめタイプの協働は、組立による接続部のアセンブリ中に雌型端部の封止面の下方に雄型端部の封止面を嵌める力によって達成される。力ばめを促進するために、例えば、雄型端部と雌型端部の各々に先細り形状を有する封止面を使用することが知られている。
【0005】
しかしながら、現在の仕様では非常に高い圧力に匹敵するシールを必要とする傾向があるため、雄型要素と雌型要素の間の干渉によって生成される高い接触圧を封止面に課す必要がある。用語“干渉”とは、力ばめ前の雄型端部の封止面の部分の平均直径の値と雄型端部が雌型端部に嵌合されたときの雄型端部の封止面の部分の平均直径の値との差を意味している。
【0006】
ドリルステムにおいて使用されるコンポーネントの厚みが掘削コンポーネントのための米国石油協会(American Petroleum Institute)によって規定された規格であるAPI規格7によって与えられた寸法仕様の4.8から101.6mm(即ち、0.19から4インチ)と同程度であるため、力ばめ中に摩耗の問題が生じ、この摩耗は、接触圧の値、コンポーネントの干渉と厚みの関数である。これと同じ問題が、高圧坑井改修ライザーのための又は厚いケーシング管や製造管のための接続部に対して生じる。
【0007】
摩耗のリスクを減じるため、幾つかの解決策が想定される。干渉を減じることからなる改良の第1ルートが研究されている。そのルートは許容される機械加工公差と両立しないことが分かった。実際に、シールを保持しながら、雄型封止面を担持する部分の平均直径の同心度における最大許容分離と傷が制限されなければならなかった。
【0008】
改良のための第2のルートは、干渉を減少すると共に封止面を拡大することよりなっていた。しかしながら、研究によって、二つの封止面同士の接触部を長くすることによって接触部の不安定性が増加し、ある使用条件下でシールのロスが誘発され得ることが示された。
【0009】
第3の改良方法は、主として雄型封止面の部分の半径方向の剛性を減じることである。これは、内部当接面に雄型端部の端部と雌型端部の肩部に溝を設けることによって得られる。
【0010】
その解決策は、軸方向の剛性の減少のため、内部当接面で向上された接触圧を確保する利点を有している。したがって、管状コンポーネントに張力が加えられるとき、肩部に抗して最初に固く組み立てられる雄型端部の端部の弾性歪みエネルギーに起因して当接面が接触したままである。そのため、当接面で封止を確保することによって、雄型端部と雌型端部の外部および内部周面に夫々設けられる封止面を無しで済ませることが可能である。
【0011】
しかしながら、特許FR2937077の従来技術は、雄型端部の端部と雌型端部の肩部の厚肉に形成された溝に近接するときに減少する当接面の接触圧を分配することを提案している。更に、接触圧は、溝と管状コンポーネントの外側との間に定義された領域にかかる接触圧に比較して、溝と管状コンポーネントの内側との間に定義される領域においてより小さい。接触圧におけるこれらのアンバランスは当接面同士の接触を弱める不利益を有し、それは密封の欠陥やコンポーネントの分解までももたらすことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このため、本発明は、溝の内部の当接面における接触圧を強化するために当接面を再定義することを目的とする。このように、軸方向の密封は当接領域で接触を最適化することによって得られる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
より詳細には、本願発明は、炭化水素坑井の掘削と採掘のためのねじ付き接続部を形成するアッセンブリーに関し、前記接続部は回転軸を有する第1と第2の管状コンポーネントを備え、これらの管状コンポーネントは雄型端部と雌型端部を夫々備え、前記雄型端部と前記雌型端部の内の少なくとも一つが、他端に生成された肩部に設けられた第2の当接面に対して組み立てられた状態において干渉接触し得る第1の当接面を備える終端面で終端し、前記第1の当接面と第2の当接面の内の少なくとも一つには外部当接領域と内部当接領域を定義する溝が形成され、前記組み立てられた状態において、前記外部当接領域と前記内部当接領域の内の少なくとも一つが軸方向に突出し、それによって前記溝の近傍にかかる前記内部当接領域の接触圧が前記外部当接領域にかかる接触圧より大きいか又は等しい。
【0014】
本願発明における付加または置き換えてもよい選択的特徴は下記の通りである。
【0015】
前記第1の当接面を前記雄型端部の前記終端面に設け、前記第2の当接面を前記雌型端部に生成される肩部に設ける。
【0016】
前記溝が形成された前記当接面の前記外部当接領域と前記内部当接領域は、別個の第1の平面と第2の平面に夫々属し、この第1の平面と第2の平面は回転軸に垂直であり、前記内部当接領域は前記外部当接領域より突出する。
【0017】
前記第1の平面と前記第2の平面は0.025mmから0.075mmの範囲の値εだけ分離される。
【0018】
前記溝が形成された前記当接面の前記外部当接領域と前記内部当接領域は、半径Rを有する球状の包絡線に属する凸状表面にある。
【0019】
前記球状の半径Rは500mmから2700mmの範囲にある。
【0020】
前記溝が形成された前記当接面の前記外部当接領域は、前記回転軸に垂直な平面に対して0.5度から2度の範囲の角度αだけ傾斜した平面に位置し、それによって、前記溝に近接する部分は前記溝から遠位の部分に対して突出する。
【0021】
前記溝が形成された前記当接面の前記内部当接領域は、前記回転軸に対して垂直な平面に対して0.5度から2度の範囲の角度βだけ傾斜した平面に位置し、それによって、前記溝に近接する部分は前記溝から遠位の部分に対して突出する。
【0022】
前記外部当接領域の断面esupは前記内部当接領域の断面einfの1.5倍から3倍の範囲にある。
【0023】
前記第1の当接面と前記第2の当接面には溝が夫々形成され、前記第1の当接面に形成された前記溝が外部当接領域と内部当接領域を定義し、前記第2の当接面に形成された前記溝が外部当接領域と内部当接領域を定義する。
【0024】
前記雄型端部と前記雌型端部は、前記接続部が他端に生成される肩部に設けられる第2の当接面に対して組み立てられた状態にあるとき、終端面で干渉接触することができる第1の当接面を備える。
【0025】
前記第1と第2の管状コンポーネントは管状掘削コンポーネントである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本願発明の特徴と利点は、添付図面を参照して以下に詳細に記述される。
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る、組立によって二つの管状コンポーネントを接続する結果として生じた接続部の長手方向断面の線図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る、組立によって接続される前の二つの管状コンポーネントの長手方向断面の線図である。
【
図3】
図3Aは従来技術の接続部における接触圧の線図であり、
図3Bは従来技術の接続部における細部の長手方向断面の線図である。
【
図4】
図4Aは本発明の第1の実施の形態に係る接続部における接触圧の線図であり、
図4Bは本発明の第1の実施の形態に係る接続部における細部の長手方向断面の線図である。
【
図5】
図5Aは本発明の第2の実施の形態に係る接続部における接触圧の線図であり、
図5Bは本発明の第2の実施の形態に係る接続部における細部の長手方向断面の線図である。
【
図6】
図6Aは本発明の第3の実施の形態に係る接続部における接触圧の線図であり、
図6Bは本発明の第3の実施の形態に係る接続部における細部の長手方向断面の線図である。
【
図7】
図7Aは本発明の第4の実施の形態に係る接続部における接触圧の線図であり、
図7Bは本発明の第4の実施の形態に係る接続部における細部の長手方向断面の線図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は回転軸10を有する組み立てられた状態のねじ付き接続部1を示し、このねじ付き接続部1は、雄型端部2が設けられ、同じ回転軸10を有する第1の管状コンポーネントと、雌型端部3が設けられ、同じ回転軸10を有する第2の管状コンポーネントと、を備え、雄型端部と雌型端部が組み立てられている。二つの端部2,3は、ねじ付き接続部の回転軸10に対して実質的に半径方向に向けられた終端面60,14で夫々終端し、組立による二つのコンポーネントの相互接続のために協働するねじ領域5を夫々備えている。用語“ねじ領域”は、管状コンポーネントの周面部分には連続するねじ構造(threading)、即ち、中断することのないねじの螺旋構造(threading helix)があることを意味している。
【0028】
図2は
図1の接続部1を生成する部品を示しており、第1の管状コンポーネントと第2の管状コンポーネントが分解された状態にある。参照番号は
図1のそれらと同じである。
【0029】
図1と
図2において、接続部1は、雌型端部3の終端面14と雄型端部2に設けた肩部13とを対面させる外部当接部を備え、接続部が組み立てられた状態にあるとき、前記終端面と前記肩部が干渉接触するように配置されている。
【0030】
図1と
図2によれば、接続部1は、雄型端部2の終端面に設けられた第1の当接面60を雌型端部3の内側に設けられた肩部に設けられた第2の当接面70とを対面させる内部当接部を備え、第1の当接面60と第2の当接面70は、接続部1が組み立てられた状態において、干渉接触するように配置されている。
【0031】
図1と
図2で詳述された実施の形態によれば、雄型端部2の終端面と雌型端部3の内側に設けられた肩部は、夫々参照番号6,7を有する凹部を備える。凹部6,7は夫々実質的に環状の溝である。溝6,7は、半径方向の剛性と軸方向の剛性が減少し得ることを意味している。当業者は、特に形状、長さ、厚みの観点から、溝6を半径方向の剛性の望ましい減少関数で定義できる。このため、摩耗のリスクが限定され、接続部に張力や圧縮力が加えられるときでも当接面間の接触が確保される。同様に、当業者は、特に形状、長さ、厚みの観点から、溝7を軸方向の剛性の望ましい減少関数で定義できる。このため、接続部に張力/圧縮力が加えられるとき、内部当接部は当接面の接触が確保される弾性的な挙動を有する。
【0032】
図1と
図2に記述したように、雄型端部の終端面に形成された溝6は外部当接領域8と内部当接領域11を形成し、この外部当接領域と内部当接領域は内部当接部の第1の当接面60を形成する。
【0033】
同様に、
図1と
図2に記述したように、雌型端部の肩部に形成された溝7は、したがって、外部当接領域9と内部当接領域12を形成し、この外部当接領域と内部当接領域は、内部当接部の第2の当接面70を形成する。
【0034】
図3Bには溝6,7が夫々形成された第1と第2の当接面を備える従来技術の接合部が記述され、
図1と
図2と同じ参照番号が使用されている。したがって、これらの溝が外部当接領域8,9および内部当接領域11,12を夫々定義する。第1の当接面60の当接領域8,11は、溝6に近接する部分8b,11aを夫々備え、且つ溝6から遠位の部分8a,11bを夫々備えている。同様に、第2の当接面70の当接領域9,12は、溝7に近接する部分9b,12aを夫々備え、且つ溝7から遠位の部分9a,12bを夫々備えている。
【0035】
図3Aには
図3Bに記述された従来技術の接続部の接触圧(Contact Pressure)の分布が記述され、外部当接領域8と外部当接領域9および内部当接領域11と内部当接領域12において前記接続部は組み立てられた状態にある。外部当接領域8と外部当接領域9は相互に共平面である。同様に、内部当接領域11と内部当接領域12もまた相互に共平面である。
【0036】
したがって、内部当接領域11、12の溝6,7に近接する部分11a,12aにかかる接触圧Pint(a)は、第1と第2の当接面60,70の外部当接領域8,9にかかる最小接触圧Pext(min)より小さいようである。このため、接触は、内部当接領域11,12において外部当接領域8,9よりも安定しない。
【0037】
対照的に、本発明の主な特徴によれば、組み立てられた状態において、第2の当接面70の外部当接領域9と内部当接領域12の内の少なくとも一つが軸方向に突出し、且つ溝7の近傍12aにかかる内部当接領域12の接触圧Pint(a)が外部当接領域9にかかる接触圧Pext(min)の最小値より大きいか又は等しくなるように当接領域が配置される。用語“軸方向の突起”は、当接領域の両方ではない場合、少なくとも一つが外側に突出することを意味している。当接領域は同じ平面にはない。この突出は、内部当接領域の接触圧を最適化するように溝の近傍に位置される。このように、接触は外部当接領域8,9におけるよりも内部当接領域11,12においてより大きい。管の内側から外部に向かう漏れのリスクが減少する。
【0038】
本発明には第2の当接面70の外部当接領域9と内部当接領域12の配置に関して幾つかの変形例がある。
【0039】
図4Bは、本発明の第1の変形例に係る接続部を記述しており、参照番号は先の図に与えられた参照番号と同じである。即ち、第1と第2の当接面には溝6,7が夫々形成され、これらの溝が外部当接領域8,9および内部当接領域11,12を夫々定義する。第1の当接面60の当接領域8,11は、溝6に近接する部分8b,11aを夫々備え、且つ溝6から遠位の部分8a,11bを夫々備えている。同様に、第2の当接面70の当接領域9と当接領域12は、溝7に近接する部分9b,12aを夫々備え、且つ溝7から遠位の部分9a,12bを夫々備えている。
【0040】
このバリエーションでは、溝7が形成された当接面70の外部当接領域9と内部当接領域12は、夫々第1と第2の平面に属し、それらの面は別個であり、回転軸10に対して夫々垂直であり、内部当接領域12は外部当接領域9より突出する。
図4Aに見られるように、溝7の近傍12aにかかる接触圧Pint(a)は、外部当接領域9にかかる最小接触圧Pext(min)より大きい。
【0041】
都合よく第1と第2の平面は0.025mmから0.075mmの範囲で値εだけ分離している。そうすれば、溝7の近傍12aにかかる接触圧Pint(a)は、外部当接領域9にかかる最小接触圧Pext(min)より大きい。そうすれば、10mmから25mmの溝の深さに対して、この実施の形態では、
図3の標準接続部に対する300MPaのように高い、面11,12と面8,9の間の接触圧の反転を防止する。
【0042】
図5Bは、本発明の第2の変形例に係る接続部を記述しており、参照番号は先の図で与えられた参照番号と同じである。即ち、第1の当接面と第2の当接面には溝6,7が夫々形成され、これらの溝は外部当接領域8,9および内部当接領域11,12を夫々定義する。第1の当接面60の当接領域8,11は、溝6に近接する部分8b,11aを夫々備え、且つ溝6から遠位の部分8a,11bを夫々備えている。同様に、第2の当接面70の当接領域9,12は、溝7に近接する部分9b,12aを夫々備え、且つ夫々溝7から遠位の部分9a,12bを備えている。
【0043】
このバリエーションでは、溝7が形成された当接面70の外部当接領域9と内部当接領域12は、半径Rを有する球状包絡線に属する凸状表面である。
図5Aから見て取れるように、溝7の近傍12aにかかる接触圧Pint(a)は外部当接領域9にかかる接触圧Pext(min)の最小値より大きい。
【0044】
都合よく球の半径Rが500mmから2700mmの範囲にあり、そうすれば、溝7の近傍7aの接触圧Pint(a)が外部当接領域9の接触圧Pext(min)に対する最小値より大きい。本実施の形態の利点は、接触圧が部分8b,9b,11a,12aで最大になることである。この実施の形態では、接触圧の分布が容易に制御でき、製造も容易な半径が採用されている。Rの最小である500mmは、面8b,9b,11a,12aで可塑化(Plastification)が生じたとしても面8b,9b,11a,12aが接触状態にあることを保証するように面8a,9a,11b,12bが選択されている。
【0045】
図6Bは、本発明の第2のバリエーションに係る接続部を記述しており、先の図で与えられた参照番号と同じ参照番号を有し、即ち、第1と第2の当接面には溝6,7が夫々形成され、これらの溝は外部当接領域8,9と内部当接領域11,12を夫々定義する。第1の当接面60の当接領域8,11は、溝6に近接する部分8b,11aを夫々備え、且つ溝6から遠位の部分8a,11bを夫々備えている。同様に、第2の当接面70の当接領域9,12は、溝7に近接する部分9b,12aを夫々備え、且つ溝7から遠位の部分9a,12bを夫々備えている。
【0046】
このバリエーションでは、溝の近位部分9bが遠位部分9aより突出するように、回転軸10に垂直な平面に対して0.5度から2度の範囲の角度αで傾斜する平面に、溝7が形成された当接面70の内部当接領域9が配置される。
【0047】
同様に、溝に近接する部分12aが遠位部分12aより突出するように、回転軸10に対して垂直な平面に対して0.5度から2度の範囲の角度βで傾斜する平面に、溝7が形成された当接面70の内部当接領域12が配置されている。
【0048】
図6Aから見て取れるように、溝7の近傍12aにかかる接触圧Pint(a)は外部当接領域9にかかる接触圧Pext(min)の最小値より大きい。角度が大きすぎる場合には、部分8b,9b,11a,12aにかかる接触圧が高過ぎて、当接面の可塑化(Plastification)のリスクや密封の欠陥さえあり得ることに留意すべきである。対照的に、角度が小さすぎる場合には、機械加工を制御することが困難になり、求めた効果、即ち、部分8b,9b,11a,12aにかかる接触圧の増加が不十分になる。
【0049】
都合よく、また
図7Bに記述されるように近傍12aにかかる接触圧Pint(a)を更に補強する目的で、外部当接領域の断面esupが内部当接領域の断面einfの1.5から3倍の範囲にある。より詳しくは、断面esupが断面einfの1.5倍の場合には、部分8b,9bと部分11a,12aの接触圧が等しくなる。対照的に、断面esupが断面einfの3倍の場合には、部分8b,9bの接触圧は部分11a,12aの接触圧より低く、50%から100%の範囲にある。
【0050】
図7Aから見て取れるように、溝7,6に夫々近接する部分11a,12aの近傍の接触圧Pint(a)は、外部当接領域8,9の最小接触圧Pext(min)より夫々大きい。
【0051】
図面には示されていないが更なるバリエーションが可能であることは明白である。
【0052】
したがって、雄型端部の当接面60には溝6が形成されているが、軸10に対して実質的に垂直な中実ディスクであってもよい。
【0053】
上述のバリエーションが雄型端部に適用され得ることも予想可能である。この場合には、溝6が形成された当接面60の外部当接領域8と内部当接領域11は夫々互いに異なる第1の平面と第2の平面に属し、これらの平面は回転軸10に対して垂直であり、内部当接領域11は外部当接領域8より突出している。この場合、溝6の近傍11aの接触圧Pint(a)は外部当接領域8の最小接触圧Pext(min)の値より高い。
【0054】
同様に、他のバリエーションでは、溝6が形成された当接面60の外部当接領域8と内部当接領域11が半径Rの球状の包絡線に属する凸状表面である構成が可能である。
【0055】
同様に、他のバリエーションでは、溝に近接する部分8bが遠位部分8aに対して突出するように、回転軸10に垂直な平面に対して0.5度から2度の範囲の角度αだけ傾斜した平面に、溝6が形成された当接面60の外部当接領域8が配置される構成が可能である。
【0056】
同様に、溝に近接する部分11aが遠位部分11bに対して突出するように、回転軸10に垂直な平面に対して0.5度から2度の範囲の角度βだけ傾斜した平面に、溝6が形成された当接面60の内部当接領域11が位置している。
【0057】
雄型当接面60と対面する雌型端部の当接面70には溝7が形成されているが、軸10に対して実質的に垂直な中実ディスクであってもよいことは明白である。
【0058】
本発明は、雌型端部3の終端面14を雄型端部2に設けられた肩部13と対面させる外部当接部にも適用可能である。この場合、二つの当接面13,14の内の少なくとも一方に溝を設けることが必要であり、その溝が外部当接領域と内部当接領域を定義する。外部当接領域と内部当接領域は、前記溝に対する遠位部分と近位部分を夫々備えている。
【0059】
本発明は、コンポーネントの肩トルクが特に高いので、特に管状掘削コンポーネントに有利に応用される。