特許第6111279号(P6111279)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6111279
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】車両シート用リクライニング機構
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/225 20060101AFI20170327BHJP
   A47C 1/025 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   B60N2/225
   A47C1/025
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-52906(P2015-52906)
(22)【出願日】2015年3月17日
(62)【分割の表示】特願2012-524866(P2012-524866)の分割
【原出願日】2010年8月12日
(65)【公開番号】特開2015-145236(P2015-145236A)
(43)【公開日】2015年8月13日
【審査請求日】2015年3月27日
(31)【優先権主張番号】61/233,321
(32)【優先日】2009年8月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598147400
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ヒエムストラ、 ブルース エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ビットナー、 マイケル アール.
(72)【発明者】
【氏名】プロフォジッチ、 スコット エイ.
(72)【発明者】
【氏名】カプスキー、 マイケル ジェイ.
【審査官】 古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−136211(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0110322(US,A1)
【文献】 特開2007−144121(JP,A)
【文献】 特開2005−263216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00−2/72
A47C 1/00−1/037
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両シート用リクライニング機構であって、
シートベースに対するシートバックの傾斜を調整するべく相対的に回転可能に係合された外歯車及び内歯車と、
前記内歯車が形成する軸方向ハブの内輪に外面が接触するように配置された軸受と、
前記軸受の内面に対して一対のウェッジを径方向外側に押し付けるべく構成された偏心キャリアと、
前記偏心キャリアに回転駆動を与える回転調整要素と
を含み、
前記偏心キャリアは、
軸まわりに配置されかつ内周面及び外周面を含む円周部分と、
前記外周面から径方向に延びて前記一対のウェッジ間に配置されたキャリアタブと、
前記軸から離間しかつ前記円周部分から前記軸に沿って外方に延びる駆動タブと
含み
前記回転調整要素は、前記一対のウェッジが前記偏心キャリアの外周面のウェッジ負荷面領域から変位させられるのを防ぐべく前記軸受の内面と前記偏心キャリアの外周面との間に配置された軌道支持体を含み、
前記キャリアタブは、前記偏心キャリアを取り囲む前記軸受の内面に近接するキャリアタブ負荷面を含み、
前記内周面は近似的に円形であるが円形ではない、リクライニング機構。
【請求項2】
前記偏心キャリアは、前記回転調整要素と前記駆動タブとの係合によって回転する、請求項1に記載のリクライニング機構。
【請求項3】
前記内周面の大部分が前記軸まわりに前記軸から第1距離だけ延び、
前記内周面は少なくとも1つの輪郭付け部分を含み、
前記輪郭付け部分に沿った前記軸からの径方向距離が前記第1距離より大きい、請求項1に記載のリクライニング機構。
【請求項4】
前記外歯車は、前記偏心キャリアの径方向内側に、軸方向の開口部を画定するセンターハブを有し、
前記内周面は、前記キャリアタブの径方向内側において周方向に延びる円弧形状を有する第1輪郭付け部分を含、請求項1に記載のリクライニング機構。
【請求項5】
前記内周面は、前記内周面に沿って前記第1輪郭付け部分と対向する第2輪郭付け部分を含、請求項に記載のリクライニング機構。
【請求項6】
前記第1輪郭付け部分は2つの対向端を含み、
前記内周面は前記2つの対向端において、前記軸から所定の距離より大きく離間する状態から前記軸からの前記所定の距離に等しい状態へと変化する、請求項に記載のリクライニング機構。
【請求項7】
前記外周面は前記キャリアタブによって中断され、
前記外歯車は、外側部分と、前記外側部分の径方向内側にある歯の中間部分と、前記中間部分の径方向内側にある内側部分とを有する外歯車と含み、
前記ウェッジはそれぞれ、前記軸受の前記内面と係合する外面と、前記偏心キャリアの前記外周面と係合する内面とを含み、
前記中間部分は前記内歯車と係前記内側部分は前記センターハブを有する、請求項に記載のリクライニング機構。
【請求項8】
前記内周面は前記キャリアタブの径方向内側に第1輪郭付け部分を含み、
前記偏心キャリアは前記第1輪郭付け部分において前記センターハブと係合しない、請求項に記載のリクライニング機構。
【請求項9】
前記内周面は、前記一対のウェッジに対応して前記キャリアタブの両側に配置されて前記センターハブからの負荷を受ける内側負荷領域を含む、請求項に記載のリクライニング機構。
【請求項10】
前記内周面は、前記内周面に沿って前記キャリアタブの径方向反対側に配置された第2輪郭付け部分を含み、
前記第2輪郭付け部分は前記センターハブと係合しない、請求項に記載のリクライニング機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本国際特許出願は、「連続的に係合するリクライナ遊びなしシステムと精密打ち抜きギアハブ」という名称で2009年8月12日に出願した米国仮特許出願第61/233,321号の利益を主張する。上記出願の開示全体が、本出願の開示の一部と見なされ、参照により本明細書に含まれる。
【0002】
本発明は、車両シート用調整装置に関し、詳しくは、車両シートのシートバックが車両シートのベースに対して相対的に移動することを可能にする傾斜調整装置に関する。
【背景技術】
【0003】
この傾斜装置はまたリクライニング機構とも呼ばれ、一般に、シートベースに対するシートバックの相対的な傾斜調整を提供するために互いに相対的に移動可能な内歯車と外歯車とを含む。一般的に、内歯車は、外歯車内に嵌め込まれ、少なくとも1歯小さく、それにより、回転調整要素が偏心リング又はキャリアを軸まわりに駆動し、ウェッジセグメントが引きずられて回転軸まわりに偏心して押し込まれるようにすると、外歯車が軸まわりで径方向に移動する。一般的に、キャリア及びウェッジセグメントの1回転に対して、外歯車は軸まわり近似的に10度動かされる。シートバックが好ましい位置になると、内歯車と外歯車は、内歯車と外歯車を確実に噛み合ったままにするウェッジセグメントによって、相対的な移動がロックされる。
【0004】
上記回転機構は、一般的に5ドア用回転リクライニング機構と呼ばれている。5ドア用リクライニング機構は、リクライニング機構を備えたシートのシート後方に単独のドアを有する車両シートに適している。例えば、5ドア用リクライニング機構は、セダン、SUV、及びミニバンのフロントシートによく見られる。しかし、クーペのフロントシート、ステーションワゴン、SUV、ミニバンの中央シート、5ドア又はハッチバック車のリヤシートなどの一部のシート位置については、時にはシートバックを前方へ自由に旋回可能にすることが望ましい。例えば、5ドア用回転リクライニング機構を使用せずに迅速に出入りすることを可能にするために、シートバックを折り畳むことが望ましい場合がある。一般的に、一定の条件でシートベースに対するシートバックの自由な動きを可能にするこれらの追加機能を含むリクライニング機構は、3ドア用回転リクライニング機構と呼ばれている。3ドア用リクライニング機構は、一般に、軽微な変更で修正された上記5ドア用機構と、外歯車の外端にある歯車の歯と係合する付加的なラッチアセンブリとを含む。一般に、ラッチアセンブリは、シートバックが、3ドア用リクライニング機構に含まれる5ドア用リクライニング機構から独立して回転し得るように、5ドア用リクライニング機構の外歯車との係合から解放されることを可能にする。一部の実施形態では、車両シートバックの自由な回転はまた、一般的には車両シートから容易に出入りできるように、追加要素によって軌道が解放され、シートが一動作で前方にスライドすることを可能にする。
【0005】
5ドア用リクライニング機構の外歯車及び内歯車、また同様に、3ドア用回転リクライニング機構のラッチアセンブリと組み合わせて修正された外歯車と共に使用する場合の5ドア用リクライニング機構の外歯車及び内歯車は、一般的に歯車を容易に形成できるように軟鋼から打ち抜かれる。軟鋼は、金属が、様々な成形工程中に脆くなったり割れたりすることなく、容易に成形されることを可能にする。特に、外歯車は金属のシートの元の面から外方に延びるハブを含み、このハブにより、製造業者は昔から外歯車の成形のために軟鋼のみを使用することを強いられている。内歯車と外歯車の成形プロセスに軟鋼を使用するため、製造業者は成形プロセスが完了した時点で歯車を熱処理しなければならなかった。熱処理プロセスは歯車を硬化し、それによって平均寿命を増加させ、耐摩耗性を向上させた。熱処理は時間がかかり、費用がかかる付加的な処理工程を追加した。ほとんどの内歯車とすべての外歯車を1020鋼、4130鋼、又は4140鋼などの軟鋼から形成される理由は、高強度鋼の高炭素含有量がそれらを脆くさせ、成形プロセス、特に、外方に延びるハブの形成中に、ハブの端が割れるか、又は外歯車に接触して砕けることである。したがって、製造業者は熱処理プロセスを排除しつつ、高品質の鋼から外歯車を打ち抜くことは不可能だと気付いた。
【0006】
また、回転リクライニング機構は、内歯車の内側にある軸受けに対して一対のウェッジを押し付けるキャリアをさらに含む。キャリアは回転させられて、内歯車を外歯車に押し付ける。内歯車は外歯車より1つ以上少ない歯を有するように構成され、それにより、内歯車が外歯車と係合するように強いられてキャリアの各公転に対してキャリアが自転すると、外歯車が回転軸まわりに近似的に10度押し進められる。キャリアのある種のデザインは、十分なウェッジの機能を提供しながら、軸受への主要な圧力のポイントが2つウェッジ間の中心にあったため、シートバックの意図しない揺動を許していた。また、パワーチルト機構が頻繁に使用されたシートアセンブリでは、キャリアとベアリングの設計が早期故障の原因となることがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、これまで、製造業者は寿命が改善された耐揺れ性キャリアを提供することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、シート用調整装置に関し、詳しくはシートバック用傾斜調整装置に関する。調整装置は、シートフレームに対するシートバックの相対的な調整を提供するために、互いに相対的に移動可能な内歯車と外歯車を含む。シートバックの好適な調整が行われた後、内歯車と外歯車は、調整要素によって駆動される偏心要素の使用によってそのような相対的な運動からロックされる。
【0009】
本発明は、外歯車を鍛造及び成形する外歯車成形のプロセスを用いる。この鍛造のプロセスは、後で廃棄されるハブのエンドキャップからハブ自体に材料を移動するように、ある時点で凹面を作成する。以下の詳細な説明に記載される特定の領域に凹面を形成することにより、本発明は、従来よりも硬い鋼を使用することができ、追加の熱処理工程の必要がなくなる。また、鍛造及び成形のプロセスは、外歯車が最終的に成形されたとき、鍛造部分に隣接する摩耗領域に最終的に生じる材料の硬度が増大するように、材料をさらに冷間焼き戻しする。
【0010】
本発明は、耐揺れ性かつ長寿命のキャリアを作成するために、少なくとも3つの優れた特徴を有するキャリアを利用する。本発明のキャリアはまた、追加の負荷面を提供するために、軸受面に圧接するウェッジ間の中心に置かれたキャリアタブを利用する。また、キャリアの内周面は、事実上非円形となるように輪郭形成される。より詳細には、キャリアが、キャリアタブの下に輪郭形成部分を有するように形成され、それにより、キャリアの真下にある外歯車のセンターハブに負荷がかからない。代わりに、外歯車のハブへの負荷は、キャリアタブの両側に変位し、ウェッジの下に生じる。したがって、変位した接触の2つの点によって、負荷がキャリアタブの真下にかけられるか又は2つのウェッジ間の中心にあるキャリアで生じるようなシートバックの揺れが防止される。また、内周面の第1輪郭形成面は、追加のグリースがたまり得るポケットを受け入れ、それにより寿命の増加をもたらす。耐揺れ動作をさらに提供し、かつ寿命をさらに延ばすために、キャリアはまた、一部の実施形態では、第1輪郭形成部分の正反対に第2輪郭形成部分を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】回転リクライニング機構の部分的な分解斜視図である。
図2】回転調整要素の斜視図である。
図3】回転調整要素軸受、キャリア、及びウェッジの切欠側面図である。
図4】軸受及び回転調整要素内に組み込まれたキャリア及びウェッジの斜視図である。
図5】軸受及び回転調整要素内に組み込まれたキャリア及びウェッジの組み立て側面図である。
図6】軸受及び回転調整要素内に組み込まれたキャリア及びウェッジの組み立て側面図である。
図7】軸受及び回転調整要素内に組み込まれたキャリア及びウェッジの斜視図である。
図8】輪郭形成部分と変位した負荷点とを示す、軸受と回転調整要素内に組み込まれたキャリア及びウェッジの拡大側面図である。
図9】成形されたセンターハブを示す外歯車の内面の斜視図である。
図10】外歯車の様々な部分の輪郭をよりよく示すために半分に切断した外歯車の背面斜視図を示す。
図11】凹状エンドキャップを有する密閉されたハブを有するように金属シートを成形する第1工程を示す。
図12図11の金属シートの反対側を示す。
図13図11及び12の金属シートを成形するのに使用されるダイの断面図を示し、また、金属シートが成形後のダイ間の断面で示されている。
図14】ハブからのエンドキャップの除去を概略的に示す。
図15】ハブを取り囲む歯車の部分的に成形された内面の斜視図である。
図16図15の外歯車の外面の斜視図である。
図17図15及び16に示すように金属シートを成形するのに使用されるダイの概略図であり、成形後のダイ間にある金属シートの断面図を含む。
図18】ハブの外端への追加の成形工程後の外歯車の内面を示す。
図19】ハブへの追加の成形工程を示す図18の外歯車の外面の斜視図である。
図20図18及び19の金属シートを成形するのに使用されるダイの断面の概略図と、その間にある成形後の金属シートの断面図である。
図21】完成した外歯車の外面の斜視図である。
図22図20の完成した外歯車の内面の斜視図である。
図23図21及び22に示した外歯車を成形するのに使用されるダイの断面の概略図であり、成形後の外歯車をそれらの間に断面で示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、概して、回転リクライニング機構又は調整装置10を対象とし、回転リクライニング機構又は調整装置10は、一般的に、回転軸14まわりのシートベースのシートバックに対する電動チルト調整を提供するために使用される。回転リクライニング機構10は、様々な構成で存在することができ、一般に、通常5ドア用回転リクライニング機構又は3ドア用回転リクライニング機構と呼ばれるものに適用され得る。修正された5ドア用回転リクライニング機構が、特に外歯車30への微調整によって、一般的に、3ドア用回転リクライニング機構に含まれることを理解されたい。例えば、外歯車は、外歯車が5ドア用回転リクライニング機構にあるように構成されるか、3ドア用回転リクライニング機構にあるように構成されるかによって、異なる輪郭の外端を有することが一般に知られている。図示しないが、外歯車は、一般に、3ドア用回転リクライニング機構においてシートバックの回転軸まわりの自由な傾斜を可能にするために、ラッチ機構と係合する歯車の歯を有するように構成される。図1に示すように、回転リクライニング機構10の主要な構成要素は、ワッシャ又はリテーナ20と、外歯車30と、内歯車70と、軸受90と、ウェッジ102及び偏心リング又はキャリア120を有する偏心要素アセンブリ100と、ばね170と、回転調整要素180とを含む。組み立てられると、これらは全体として回転リクライニング機構10を形成する。ワッシャ又はリテーナ20は、一般的に、回転調整要素180のハブ184まわりに嵌まるように構成され、それにより、上記の図1にあるすべての要素を連結させる。
【0013】
外歯車30は、それが配置される所望の実施形態に応じて、様々なスタイル、形状、構成を有し得るが、外歯車30は、一般に、外端34を有する外側部分32と、歯の領域42を含む中間部分40と、センターハブ56を有する内側部分50とを含む。図に示される外歯車30は、一般に、通常5ドア用回転リクライニング機構として知られているものにおいて使用される。ただし、輪郭への他の軽微な変更によって、その外歯車を容易に、本発明も適用できる他の回転リクライニング機構において使用することができる。
【0014】
外歯車30は、一般的に、第1側面26と第2側面28とを含み得る。第1側面26を外歯車の内面と称することもでき、第2側面28を外歯車の外面と称することもできる。外側部分32は、一般に、外端34を有する外延部33を含む。外端34と外延部33は、様々な異なる用途に適合するのに望ましいように構成され得る。外側部分32はまた、一般に平面を形成する第1面36と第2面38とを有すると見なされることもある。
【0015】
上記の中間部分40は、一般に、歯の領域42を含む。歯の領域42は、一般に、内面26にある雌歯車の歯44と、外面28にある雄歯車の歯46とを含む。雌歯車の歯44及び雄歯車の歯46は、外歯車30に歯車の歯をスタンピングした結果であり、それにより、外歯車30が成形され、中間部分40と内側部分50により画定される歯車キャビティ48が雌歯車の歯を有すると、その中に内歯車70を配置することができる。
【0016】
内側部分50は、外歯車30の所望の用途に応じて様々なスタイル、形状、構成を有し得る。内側部分50は、隆起部分を含む他の部材に溶接されるように構成することができ、隆起部分は、外歯車を回転リクライニングシステム10で動作するのに望ましいように構成するために、他の成形技術のための溶接面として作用する。図示した外歯車30の場合、内側部分は、一般に、回転の中心又は軸14に向かって内側に延びる第1部分52と、第1部分52から奥まっているオプションの第2部分54とを含む。内側部分50はセンターハブ56を含み、センターハブ56は、第1部分52によって形成される平面から歯車キャビティ48内へと、一部の実施形態では外歯車の内面の第1面36を超えて、外方に延びる。センターハブ56は、歯車キャビティ48内に又は歯車キャビティ48を超えて所定の距離だけ延び、一般に、外周面58と内周面60を有するように構成される。内周面60は、一般に、センターハブ56内に特定の直径を有する軸方向の開口部を画定し、端面64で終わっている。図に示すように、端面64は、様々な傾斜面を有するように形成され得る。図11及び12に示すように、成形プロセス中、センターハブ56は後で取り除かれるエンドキャップを含むことができ、成形プロセス中、このエンドキャップは凹面69を有することができる。また、外歯車30の外面28は、センターハブ56の領域の周囲で、望みどおりに様々な斜面又は他の形状を有するように構成され得る。図示しないが、凹面69はまた、エンドキャップ68の内側にあってもよく、或いは、エンドキャップ68の両側が凹面を含んでもよい。
【0017】
内歯車70は、一般に、外側部分72と、雄歯車の歯80を有する歯車部分78と、内輪84を有する軸方向ハブ82とを含む。上記の内歯車70は、一般に、外歯車30によって形成された歯車キャビティ48内に収まる。雄歯車の歯80は、一般に、外歯車30の雌歯車の歯44より1つ少ないか、場合によっては2つ以上少ない歯車の歯を有する。内歯車70によって形成される軸方向ハブ82は内輪84を含み、内輪84に接触して軸受90が配置される。一部の実施形態では、軸受90を内輪と接触して自由に回転できるようにするか又は自由に回転するように構成してもよく、他の実施形態では、軸受90を内輪84に対して圧入することができる。
【0018】
軸受90は一般に内面と外面94とを含み、外面94は内輪84に対して係合するように構成される。軸受90はまた、一般に、内歯車70の軸方向ハブ82と同等の幅を有する。軸受90は一般に、当技術分野でよく知られるように形成される。
【0019】
偏心要素アセンブリ100は、軸受90内に、詳細には内面92内に収まるように構成され、そこで内面92に接触して回転し、軸受90の1つの領域に圧力を加える。偏心要素アセンブリ100は、一般に、偏心リング又はキャリア120と、キャリア120と軸受90の内面92との間に配置されたウェッジ102とから形成される。ウェッジ102は、一般に、軸受の内面92に圧接する外面104と、キャリア120に圧接する内面106とを有するように構成される。ウェッジ102は、幅広端108と幅狭端110とを有し、幅広端108はキャリア120上のキャリアタブ132に近接するように構成される。ウェッジ102はまた、幅広端108にノッチ112をさらに含み得る。
【0020】
キャリア120は一般に、円周部分122を含む。円周部分122は、内面124と、外方に延びるキャリアタブ132によって中断される外周面126とを有する。外周面126は、キャリアタブ132に近接してウェッジ負荷面128の領域を含む。1つ又は複数の駆動タブ130が、円周部分122から、一般に円周部分122の半径の中心としても機能する回転軸14に対して近似的に平行に延びてもよい。キャリアタブ132は、様々なサイズ、形状、及び構成で成形され得るが、一般に、軸受90の内面92に極めて近接するキャリアタブ負荷面134を含む。キャリアタブ負荷面134と円周部分122、特に外周面126との間に延びるのは、キャリアタブ側面136である。キャリアタブ132、特にキャリアタブ負荷面134は、衝突荷重などの高負荷がリクライニングチェアに見られるときに軸受90の内面92を支持するように構成される。この負荷は中央領域を崩壊させやすく、キャリアタブ312はこの崩壊に抵抗する。より詳細には、キャリアタブ132は、リクライニングチェアをより強くするために負荷を分散して負荷支持能力を増大させるように、高負荷の状況において軸受90とハブ56との間でブレースとして働くことができる。加えられる負荷は偏心荷重である。その結果、キャリアタブが軸受90の内側で回転するとき、キャリアタブ132に近似的に径方向に位置合わせされた内歯車の雄歯80及び外歯車30の雌歯車歯44が直接係合する。この径方向の位置合わせは、回転軸14からキャリアタブ132を通って延びる。これとは対照的に、直接対向する雄歯車の歯80と雌歯車の歯44は、内歯車70が外歯車30より1つ少ない歯車の歯を有するので、上述のような係合が解除される。したがって、キャリア120が軸受90内で回転すると、キャリアタブ132及びウェッジ102を介して加えられた偏心荷重により内歯車が外歯車に偏心して接触するようになる。その結果、内歯車がこの偏心態様で外歯車と係合するように駆動されるので、外歯車は内歯車に対して強制的に回転される。より詳細には、上述したように、外歯車は、キャリア120の回転軸14まわりの1回転に対して、回転軸まわりで径方向に近似的に10度駆動される。
【0021】
キャリア120の寿命と回転リクライニング機構10の寿命とを向上させ、及び耐揺れ構成を提供するために、キャリア120、特に内面124は、少なくとも1つの内側輪郭付け部分140を含む。これらの内側輪郭付け部分140の追加は、キャリア120の内面124が回転軸14から一定の半径を有する真円ではなく、代わりに、内側輪郭付け部分140に、内側輪郭付け部分140と見なされない領域より回転軸14から内面124までの距離がわずかに大きい領域を有することを意味する。図示の実施形態では、特に図8に示すように、内側輪郭付け部分が、第1輪郭付け領域150と、また、オプションの第2輪郭付け領域160とを含む。第1輪郭付け領域150は、内面124上のキャリアタブ132の真下に生じ、本発明の回転リクライニング機構10の耐揺れ機能を作り出す。第1輪郭付け領域150は、一般に、キャリアタブ132の下に完全に延び、一般的に、キャリアタブ132の両側にウェッジ102の下に向かってある距離延びる。第1輪郭付け領域が終了し、内面124が所定の半径に戻るところが、変位した内側負荷領域154である。変位した内側負荷領域154は、ウェッジ102の下でキャリアタブ132の両側に離間配置される。負荷領域154を、通常は一般的であるキャリアタブ132の真下から変位させることにより、外歯車の揺動を引き起こし得る1点の負荷の代わりに、2つの変位した負荷領域が安定した耐揺れ構成を提供する。
【0022】
第2輪郭付け領域160は、一般に、内面124の第1輪郭付け領域150から反対側にある。第2輪郭付け領域160は、任意であるが図8に示されており、グリース用の付加的なグリースポケットが配置されることを可能にし、それにより、それが軸受90内で回転するとき、キャリア120の寿命を向上させる。
【0023】
回転リクライニング機構10は、半径部分172及び脚端部174を有する複数又は1つのばね170をさらに含み得る。ばね170は、一般に、キャリア120と軸受90との間の適切な位置にウェッジ102を配置しかつウェッジ102を保持するように構成される。
【0024】
キャリア120は、回転調整要素180によって回転運動に駆動される。回転調整要素180は、一般に、外側カバー182と、外側カバー182から延びるハブ184と、雌歯肩部194とを含む。雌歯肩部194はキャリア120の駆動タブ130と係合し、回転調整要素が回転するとき、雌歯肩部194が駆動タブ130と係合し、キャリア120を軸受90内で回転させる。回転調整要素180のハブ184は、リテーナ又はワッシャ20が共に完全な機構を組み立てるために連結されるリテーナリング溝188をさらに含み得る。回転調整要素180はまた、軌道面192を有する軌道支持体190を含み得る。軌道支持体190は、ウェッジ102がキャリア120上のウェッジ負荷面領域128から変位させられるのを防ぐ。ハブ184は、キー止めを有する軸方向穴186を含むことができ、このキー止めに、動力駆動機構が、回転調整要素180を回転させるために係合される。
【0025】
上述したように、本発明は、外歯車30を成形する独特の方法を提供する。従来、外歯車30は、4130鋼や他の低炭素鋼などの軟鋼から形成され、それを高強度にするために熱処理されていた。一部の製造業者は、より高い炭素含有量を有する550X鋼、550XF鋼、又はS700鋼などの強力鋼から外歯車を作ろうとしたが、問題は、外歯車30に必要とされる相当量の成形のために、外歯車の様々な場所にひびが入りやすいことであった。したがって、現時点では、製造業者は550X鋼などの高炭素含有鋼から外歯車を成形することはできなかった。
【0026】
本発明は、550X鋼などの高炭素含有鋼の平らなシートから始まり、続いて、鍛造及び成形プロセスの両方によって鋼を加工する。図11に示すように、最初に、エンドキャップ68を含むセンターハブ56が成形される。さらに図13に示すように、ハブ56が成形されるとき、ダイ200は、図11に示す凹面69を作るために凸状のダイ202を使用する。したがって、ハブ56が成形されるとき、ダイ200、詳細には凸状のダイ202は、凹面69を有するエンドキャップを備えたセンターハブ56を打ち出し、エンドキャップ56の中心からセンターハブ56の端面64に材料を移動する。この材料の移動が、エンドキャップ68を圧縮し、材料をセンターハブ56の外側に特に端面64付近に流れさせ、それによりハブ56の成形中のひび割れを防止する。図11、12及び13は、1つの凹面69の成形のみを示すが、外歯車30の内側26で、エンドキャップ68の反対側又はエンドキャップ68の両側が凹面69を含んでもよい。
【0027】
センターハブ56が図14に示すように凹面69を有するエンドキャップ68を備えて部分的に成形された後、エンドキャップ68は、外歯車30を形成する金属シートから打ち抜かれ得る。当然ながら、打ち抜きの工程中に、例えば図15及び16で成形される形状など、他の成形工程がある場合がある。センターハブ56に凹面69とエンドキャップ68を形成した後の工程は変わることがあるが、本発明は、その例示的な工程において、外歯車30の内側部分50の輪郭を大まかに成形する。図15及び16に示す内側部分50の輪郭は例示であり、所望の構成に応じて変わる可能性がある。
【0028】
外歯車30の内側部分50が所望の輪郭に成形された後、本発明は、センターハブ56を冷間鍛造し、さらに詳細には図18及び19に明確に見られる特定の傾斜面を作る。これらの傾斜面は面取りした面であり、センターハブのさらなる冷間鍛造をもたらし、熱処理を必要としない、より硬い面を作り出す。図20は、概して、内側輪郭付け部分50の成形とセンターハブ56への付加的な成形工程を行うために使用するダイ200の例示的なセットを示す。
【0029】
図21及び22は、外側部分32と中間部分40、特に歯の領域42の成形をさらに示す。ダイ200は、一般に、成形されたセンターハブを支持し、雌歯車の歯44と雄歯車の歯46を有する歯の領域42を成形するために金属シートの中間部分40を半貫通する。ダイ200は、金属シートから外歯車30を打ち出すように接近し続けて、外端34と外延部33とを成形することができる。完成した歯車が図21及び22に示され、成形に使用される例示的なダイ200が図23に示される。
【0030】
前述の発明は、関連する法的基準に従って記載されており、したがって、記載は限定というよりは、むしろ例示的である。開示された実施形態への変更及び修正は、当業者に明らかであり、本発明の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23