(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6111324
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】モータビークルの電気機械の回転子及び固定子の間の角度オフセットを決定するための方法
(51)【国際特許分類】
H02P 21/18 20160101AFI20170327BHJP
H02P 6/32 20160101ALI20170327BHJP
G01D 5/244 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
H02P21/18
H02P6/32
G01D5/244 A
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-509471(P2015-509471)
(86)(22)【出願日】2013年4月19日
(65)【公表番号】特表2015-532079(P2015-532079A)
(43)【公表日】2015年11月5日
(86)【国際出願番号】FR2013050868
(87)【国際公開番号】WO2013164527
(87)【国際公開日】20131107
【審査請求日】2016年4月18日
(31)【優先権主張番号】1253965
(32)【優先日】2012年4月30日
(33)【優先権主張国】FR
(31)【優先権主張番号】61/654,370
(32)【優先日】2012年6月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】ネーグル, エドゥアール
【審査官】
森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−100648(JP,A)
【文献】
特開2006−033993(JP,A)
【文献】
特開2003−333884(JP,A)
【文献】
特開2006−136123(JP,A)
【文献】
特開平6−165560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 21/00−27/18
H02P 6/00− 6/34
G01D 5/244
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械の回転子及び固定子間の角度オフセットを決定するための方法であって、前記回転子には回転子励磁電流及び電圧が供給され、前記固定子には3相の固定子相電流及び電圧が供給され、前記方法は、
前記電気機械が静止していることを確認するステップ、
前記回転子の部分的な磁化をもたらすことができる一定の継続時間に対して、回転子励磁信号を適用するステップ、
非磁化の間に前記固定子相電流を測定する一方で、かつ前記固定子の位相間のゼロ電圧を維持する一方で、前記回転子の機敏で急速な前記非磁化をもたらすことができる、回転子非励磁信号を適用するステップ、
Park−Clarke変圧を適用することによって、かつ前記回転子の電気的な位置の測定値の関数として、測定される前記固定子相電流に対応して、直接固定子電流及び直角位相固定子電流を決定するステップ、
前記直接固定子電流、及び前記直角位相固定子電流のうちの最大値を決定するステップ、
前記直角位相固定子電流の最大値の絶対値が閾値を超えた場合、角度設定故障信号を送信するステップ、
前記直角位相固定子電流の最大値及び前記直接固定子電流の最大値の比の逆正接を計算することによって、ラジアンにおける角度オフセット補正を決定するステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記回転子の部分的な磁化が、磁化閾値電流を超える回転子励磁電流の出現をもたらすことによって、実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記回転子の前記非磁化が、非磁化閾値以下への前記回転子励磁電流の低減をもたらすことによって実行される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記回転子励磁信号及び前記回転子非励磁信号は、回転子励磁電流又は回転子励磁電圧である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記回転子励磁信号及び前記回転子非励磁信号は、矩形状、三角形状、正弦曲線状、又はDirac形状のパターンのうちから選ばれるパターンを形成する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記回転子励磁電流がゼロである場合、非磁化の終了において、前記直接固定子電流の前記最大値及び前記直角位相固定子電流の前記最大値が決定される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記回転子励磁電流が調整可能な閾値に到達する場合、磁化の始まりにおいて、前記直接固定子電流の前記最大値、及び前記直角位相固定子電流の前記最大値が決定される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械の技術分野に関し、かつより具体的には、そのような機械の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
同期交流電気モータとしてまた言及される、同期機の原理は、2つの磁場の相互作用に基づいて、駆動トルク又は抵抗トルクを生み出すことにある。磁場の一方は、回転子、すなわち機械の回転部分に関連しているので、回転子の励磁場として言及される。磁場の他方は、固定子、すなわち機械の固定部分に関連しているので、固定子の磁場として言及される。固定子の磁場は、機械の位相を通り抜けて流れる交流電流によって生み出される磁束の結果による。これらの電流は、回転子に関して同期する、すなわち回転子と同じ速度で回転する磁束を生み出すように制御される。それ故、固定子の磁場は、直角位相において制御され、すなわち、回転子の磁場から90度の一定な位相シフトの中にあるように制御される。そのような構成は、位相シフトがポジティブであるかネガティブであるかに応じて、駆動又はブレーキの機械的なトルクを生み出す。高い速度において、固定子によって回転子をデフラックス(deflux)すること、かつ、この目的のために90度よりも大きい角度に対して位相シフトを設定することが必要である。
【0003】
全ての場合において、磁場の位相シフトを制御するために、固定子電流を制御するためのシステムは、機械の回転子の位置についての情報を必要とする。これは、固定子に関する回転子の絶対角度位置を測定するための装置の手段によって得られる。そのような測定装置は、回転子の回転の中心に配置され、それはまた、
図2に図示されるような、基準座標(XA、Xb、Xc)及び(d、q、f)の原点でもある。
【0004】
ほとんどの場合において、この測定装置は、絶対角度位置を直接に、しかしむしろ相対角度位置を提供するのに十分な精密さをもって位置決めされる。相対角度位置は、絶対角度位置に関する一定の角度オフセットによってオフセットされる。それ故、絶対角度位置を計算することができるように、システムに角度オフセット値を提供することが必要である。これは、決定又は学習の手順の間になされる。固定子電流を制御するために、一旦、このオフセットがシステムによって決定され保存されると、角度測定装置は操作可能であり、かつ固定子電流は、機械の回転子に関して適切な位相を伴って生み出されることができる。
【0005】
先行技術は、位置測定オフセットとしてまた言及される、角度オフセットを学習するための手順を備え、固定子及び回転子の磁場の配置による固定子上の回転子の位置確認をすることにある。それ故、これらの手順は、回転子上に機械的な負荷が存在しない前提で、1以上の回転にわたる回転子の回転を必要とする。
【0006】
同期機の工業的な用途のほとんどは、初期始動位相がトルクの適用において特定の遅れを許容する速度制御の用途である。これらの場合において、センサを有しない位置推定器を有する装置が想定される。
【0007】
以下の文書がまた、先行技術として知られている。
【0008】
文書DE 1020 100 174 11 A1 及びWO 20 1203 825 A2は、機械の起電力を使用し、かつ0ボルトを通り抜けることを検出することによって、位置測定の角度オフセットを相殺するための方法を開示する。
【0009】
文書EP 10 145 54 A2は、位置測定の誤差を検出するための、かつ同期パークプレーン(Park plane)中の電流及び電圧間の相関関係によって、適応可能な補正を行う方法を開示している。
【0010】
文書JP 2006 136 123 Aは、センサを有しない、巻線形回転子を有する同期機の制御を開示している。回転子の電源回路に対する交流電圧発電機の付加は、励磁のサイクルを生成することを可能にし、固定子中の誘導電圧を生み出し、かつ回転子の位置の推定値を得ることを可能にする。
【0011】
自動車のパワートレーンに対する適用の場合、負荷のない回転子の回転は、回転子をトランスミッションから切断するか、又は車輪を自由に回転させるように車両を持ち上げるかのいずれかを含む。
【0012】
新しいパワートレーンを最初に使用する場合において、又は電気機械、角度位置センサ、若しくは電流を制御するためのシステムの交換に後に、位置測定オフセットの決定を実行することが必要である。これが省略され又は正しく実行されない場合、モータは、任意の駆動トルクを生み出すことができず、又は意図されるのと反対方向のトルクを生み出すことさえあり、それは望ましくなく、かつ潜在的に危険な効果をもたらす。
【0013】
それ故、実施することがより単純な回転子及び固定子の間の角度オフセットを決定するための方法の必要性が存在する。
【0014】
本発明は、自動車に電力を供給する電気機械の回転子及び固定子の間の角度オフセットを決定するための方法に関し、回転子には、回転子の励磁電流及び電圧が、固定子には、3相の固定子の相電流及び電圧が供給される。この方法は、以下のステップを備える。電気機械が静止していることを確認し、回転子の部分的な磁化をもたらすことができる一定の継続時間に対して、回転子の励磁信号を適用し、回転子の機敏で急速な非磁化をもたらすことができる回転子の非励磁信号を適用し、一方、非磁化の間に固定子の相電流を測定し、かつ固定子の位相間のゼロ電圧を維持する。その後、Park−Clarkeの変圧を適用することによって、かつ回転子の電気的な位置の測定値の関数として測定される、固定子の相電流に対応し、直接固定子電流及び直角位相固定子電流を決定し、直接固定子電流及び直角位相固定子電流のうちの最大値を決定し、直角位相固定子電流の最大値の絶対値が、閾値よりも大きい場合に角度設定故障信号を送信し、かつ直角位相固定子電流の最大値、及び直接固定子電流の最大値の比の逆正接を計算することによって、ラジアンにおける角度オフセット補正を決定する。
【0015】
回転子の部分的な磁化は、磁化の閾値電流よりも大きい、回転子の励磁電流の出現をもたらすことによって、実行され得る。
【0016】
回転子の非磁化は、非磁化の閾値以下への回転子の励磁電流の低減により実行され得る。
【0017】
回転子の励磁信号及び回転子の非励磁信号は、回転子の励磁電流又は回転子の励磁電圧であり得る。
【0018】
回転子の励磁信号及び回転子の非励磁信号は、矩形状、三角形状、正弦曲線状、又はDirac形状のパターンのうちから選ばれるパターンを形成する。
【0019】
回転子の励磁電流がゼロである場合、非磁化の終わりにおいて、直接固定子電流の最大値及び直角位相固定子電流の最大値が決定され得る。
【0020】
回転子の励磁電流が最大である場合、非磁化の始めにおいて、直接固定子電流の最大値及び直角位相固定子電流の最大値が決定され得る。
【0021】
回転子の励磁電流の勾配が最大となる、回転子の励磁電流又は電圧のプロフィールの途中の好適な瞬間において、直接固定子電流の最大値及び直角位相電流の最大値が決定され得る。
【0022】
本方法は、回転子の回転又はトルクの発生を必要としないので、ユーザにとって完全に透過的であるという利点を有する。
【0023】
この方法はまた、先行技術に関して説明される、一般に使用される従来の手順が、1分を超える時間を必要とする一方で、約300から400ミリ秒の間に実行されることが可能なので、迅速である。
【0024】
この方法は、必要とされる全ての装置が、すでにモータの制御システム中に存在するので、その実装において任意の余剰の費用を伴わない。
【0025】
本方法は、任意の開始の前に体系的に実行されることができるので、それ故、回転子の位置を測定するための装置の角度設定誤差のリスクを消去する。そのような体系的な処理は、先行技術の方法においては不可能である。
【0026】
他の目的、特性、及び利点は、単に非限定的な実施例として与えられ、かつ添付の図面とともに提供される、以下の説明を読むことによって、明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本方法の主要なステップを図解している。
【
図2】
図2は、電気機械の様々な基準座標及び角度を図解している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
導入部において見られるように、電気機械は、固定子、すなわち機械の固定部分、及び回転子、すなわち、出力軸に接続され、かつ生み出される機械的なトルクを伝達することを可能にする回転部分を備える。
【0029】
固定子は、固定子電流が流れ、かつ回転子の上にクローズ(closed)されるために、固定子の本体によってガイドされる磁束を生み出す、巻き線を備える。
【0030】
回転子は、回転子の励磁電流が流れ、かつ固定子の上にクローズ(closed)されるために、回転子の本体によってガイドされる励磁磁束を生み出す、巻き線を備える。
【0031】
本発明が関連する自動車のモータは、巻線形回転子を有する同期機である。
【0032】
先行技術にしたがって、Fresnelダイヤグラムによる磁束及び電流のベクトル表現は、機械の良いモデルを提供する。採用される基準座標系は、回転子に固定される回転基準座標系である。回転子の巻き線の軸は、「直接」すなわちdとして表示されている。直角位相における軸は、qとして表示されている。
【0033】
固定子電流は、電流ベクトル
、すなわち回転基準座標系
の中の構成要素i
d及びi
qを有する固定ベクトルによって表現される。直接固定子電流i
d及び直角位相固定子電流i
qは、固定子の相電流(i
A、i
B、及びi
C)、及びPark−Clarkeの変圧の手段による電気的な位置Θの測定値に基づいて得られる。回転子の励磁電流は、軸dと共線的なベクトル
によって表現される。
【0034】
固定子電流
及び回転子電流
は、固定子の巻き線を通る磁束
及び回転子の巻き線を通る磁束
を生み出す。固定子電流は、制御システムによって生み出される位相の間の電圧から生じる電圧ベクトル
により発生される。回転子の励磁電流は、励磁制御システムによって生み出される回転子の非励磁電圧V
fにより発生される。
【0035】
機械のベクトル電気方程式は、以下のものである。すなわち、固定子に対して、
及び、回転子に対して、
ここで、R
sは位相が中立的な固定子の抵抗であり、かつR
fは回転子の巻き線の抵抗である。
【0036】
電流ベクトル
は電流i
d及びi
qに分解されることができるので、電圧ベクトル
もまた同様に構成要素V
d及びV
qに分解されることができ、磁束
もまた磁束Φ
d及び磁束Φ
qに分解されることができる。
【0037】
それによって、以下の方程式のシステムが得られる。すなわち、
ここで、ωは、機械の角振動数(角速度にポールペア(pole pairs)の数をかけたもの)である。
【0038】
低い電流において、磁束のレベルは低く、かつ機械は磁気的に飽和していないので、これらの方程式は線形化することができる。それによって、以下の方程式が得られる。すなわち、
【0039】
特に、ゼロの速度(ω=0)において、かつV
d=V
q=0の場合、式4は以下のものとなる。すなわち、
【0040】
i
qがi
fに依存しない、ということは注意されるべきである。それ故、i
fにおける変化は、i
dを変化させるがi
qは変化させない。
【0041】
それ故、決定法は、機械が静止し
かつ固定子の電圧がゼロ
の場合、電流i
fにおける急速な変化を実行することにある。このことは、例えばステップパターンなどのパターンにしたがって電圧V
fを制御することによって得られる。この制御の効果は、回転子の急速な非磁化によってフォローされる回転子の磁化であり、それは、固定子の中に誘導電流の出現をもたらす。
【0042】
電流に対する微分方程式(式5)を積分することによって、測定された相電流に基づいて得られる電流i
d、i
qに対して、Park−Clarkeの変圧の後に、不変の電流i
qは、位置測定オフセットが正しく学習された場合に得られ、かつ電流i
qは逆の場合にi
dに比例する。そして、電流i
qにおける変化を観察することによって、例えば電流i
qを保存されている検出閾値と比較することによって、オフセットの決定の分析を実行することが可能である。すなわち、電流i
qが非磁化の間にこの閾値を超える場合、角度設定故障信号の有効化が、始動される。
【0043】
その後、位置測定オフセット(アークの程度におけるΔΘ)の実際の値は、i
d及びi
qの最大電流値を取得することによって得られることができ、それらは、回転子の急速な非磁化の時間においてi
d_dr及びi
q_drとして表示され、その時間は、瞬間tのd
rとして表示され、かつ以下の式を適用する。すなわち、
【0044】
回転子及び固定子の間の角度オフセットを決定するための方法は、以下のステップを含み、それらは、単一の図面によって図解される。
【0045】
第1のステップ1の間に、方法が初期化される。この目的に対して、回転速度の絶対値
は閾値
未満であるという事実が、確認される。代替的に、方法は、機械の制御システムが初期化される毎に初期化され、又は例えば保守のオペレーションの後などの特定のトリガ条件の下においてのみ初期化される。
【0046】
第2のステップ2の間に、励磁電圧V
fの適用が回転子の部分的な磁化をもたらすことができる継続時間に対して制御される。すなわち、磁化閾値電流を超える電流i
fの出現をもたらす。例えば、V
f=30ボルトが、0.3秒の間、適用される。
【0047】
ステップ2の継続時間の終わりの直後に、第3のステップ3の間、回転子の機敏で急速な非磁化をもたらすことができる新しい電圧Vf、すなわち、非磁化の閾値の下への電流i
fの低減が適用される。例えば、V
f=−V
batが適用され、ここで、V
batはバッテリ電圧である。
【0048】
i
fにおける急速な変化は、式5によって予測されるように、軸dに沿ってのみ固定子の中の電流を誘導する。
【0049】
電圧V
f、又は電流の設定値i
fに適用される矩形波の変化は、固定子の中の電流の誘導をもたらすことができる、励磁電流における変化から成る任意のパターンによって、置き代えられることができる。三角形状、正弦曲線状、又はDirac形状の変化が、特に挙げられるだろう。
【0050】
代替的に、回転子の磁化及び非磁化は、電圧V
fよりもむしろ励磁電流i
fを制御することによって実行される。このことは、オフセットの決定を加速する一方で、電流のプロフィールのより良い再現性という利点を有する。
【0051】
さらに、固定子の相電流i
A、i
B、及びi
Cは、非磁化期間の間に測定される。
【0052】
ステップ2及び3の間に、電圧が、誘導固定子電流の位相によるルーピング(looping)を得るために、固定子のゼロ位相の間に適用される。
【0053】
第4のステップ4の間に、Park−Clarkeの変圧が、測定されるPark電流i
d及びi
qを得るために、回転子θ
eの電気的な位置測定値の関数として、測定される電流に適用される。
【0054】
Park−Clarkeの変圧の表現は、以下のようになることが思い出されるべきである。すなわち、
【0055】
さらに第4のステップの間に、電流i
d及びi
qの測定値のうちの最大値が決定される。これらの最大値は、値i
d_dr及びi
q_drとして測定される。最大電流は、回転子の励磁電流の勾配が、その最大値となるときに到達する。このことは、例えば、電流i
fがゼロに到達するとき、すなわち非磁化の終わりにおいて生じ得る。
【0056】
第5のステップ5の間に、i
q_drの値は、閾値i
q_maxと比較される。
【0057】
比較、|i
q_dr|<i
q_maxが満足される場合、設定誤差は生じない。方法は、制御システムを承認し、モータの機能モードが入力されることを可能にするステップ6において終了する。
【0058】
逆の場合において、角度設定故障信号が送信される。この故障は、固定子に関する回転子の実際の位置に関して測定された、絶対角度位置の不十分な角度設定を表現する。この不十分な設定の結果は、固定子電流の不十分な位相整合であり、かつそれ故、固定子の磁束の不十分な位相整合であり、そのことは、機械的なトルクの不十分な生成、又は機械の回転方向の反転さえもたらす。
【0059】
その後、方法は、ステップ7へと続き、その間に、式6を適用することによって、角度オフセットΔΘの補正が決定され、オフセットの補正値が送信される。代替的に、第8のステップ8の間に、位置測定オフセットθ
oの補正値θ
o_corrが、以下のやり方で決定される。すなわち、
【0060】
補正されたオフセットθ
o_corrが、以下のやり方で適用される。すなわち
ここで、θ
rawは、角度設定なしに測定装置によって提供される、加工されていない位置測定値であり、かつθ
eは、絶対角度位置の値である。
【0061】
オフセットθ
oの補正が、非磁化の間に誘導される固定子電流の測定値に基づいて計算されることは注意されるべきである。また、磁化の間に測定される固定子電流に基づいて、オフセットの補正を計算することも可能である。この場合において、これらの電流の最大値は、電流i
fの勾配が最大となる場合に、一連の出来事の始めにおいて得られ、又は例えば、電流i
fの勾配が調整可能な所定の閾値とクロス(crosses)するときに得られる。