(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記生データ単位は、BGGRパターンに配列されたデータ単位、GRBGパターンに配列されたデータ単位、またはGRBWパターンに配列されたデータ単位である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の画像処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施形態の説明
本発明の目的、技術的解決策、および利点をより明確にするために、以下に、本発明の実施形態における添付の図面を参照して、本発明の技術的解決策を明確にかつ完全に説明する。記載される実施形態は、本発明の実施形態の一部であることが明らかである。本発明の実施形態に基づき、当業者であれば、本発明の技術的課題を解決することのできる他の実施形態を得て、創作的労力なしに技術的特徴の一部またはすべてを同等に変更することにより、本発明の技術的効果を実現することができる。変更により得られた実施形態は、本発明に開示される範囲から逸脱しないことは明らかである。
【0014】
Rawデータに基づいてHDR画像を合成するための方法は、産業界でさらに提案されている。この方法では、多数の露出フレームの露出時間比が、正規化のために各フレーム画像の画素値として用いられ、次に、重み付けされた合成を実行することによりHDR画像が得られ、トーンマッピング法を用いて、表示に適したローダイナミックレンジ(略してLDR)画像が得られる。
【0015】
しかしながら、上記の方法では、露出時間を用いることにより異なる露出フレームの画素を正規化するプロセスにおいて、較正が必要とされ、露出時間およびゲインの数を画素輝度の倍数と同一にすることができない。特に、上記の方法は、多くの行記憶およびフレーム記憶を使用する必要があるため、結果として、大きな記憶領域および複雑な算出プロセスが生じてしまう。
【0016】
本発明の実施形態における関連する生データは、異なる色の多数の隣接する画素により一般的に形成される単一チャンネルデータである。
図1に示されるように、
図1は、生データの配列構造の概略図を示す。この生データは、R、G、およびBの3色の画素により形成されるGRBGパターンで繰返し配列されるベイヤー形式の生データであり、各画素の位置は、1つの値しか有さない。
【0017】
本発明の実施形態では、異なる露出時間の生データフレームが主にHDR生データフレームに合成される。さらに、HDR生データを合成する上記のプロセスは、先行技術のISP処理技術と互換性があり得る。さらに、最終的な映像信号のダイナミックレンジは、元の色および局所コントラストを変えることなく有効に拡大されることができ、記憶コストおよびデータの算出量を有効に減少することができる。本発明では、事前にカメラ応答曲線を較正する必要なく、単一チャンネルデータのみを処理すればよいため、記憶コストおよびデータの算出量が有効に減少される。
【0018】
本発明の本実施形態で述べる生データフレームとは、生データにより形成される画像フレームを指す。
【0019】
図1および
図2を参照して、
図1は、本発明の実施形態に従った生データ単位の配列構造の概略図であり、
図2は、本発明の実施形態に従った画像処理方法の概略フローチャートを示す。以下に、本実施形態の画像処理方法を説明する。
【0020】
201.異なる露出時間中の同一のシーンにおいて異なる輝度を有する少なくとも2つの露出フレームを回収する。
【0021】
実際の適用においては、HDR処理には、2つの露出または3つ以上の露出であり得る異なる露出のデータ入力が必要とされる。一般的に、最適な露出フレームは、参照露出フレームと呼ばれ、他の露出フレームは、拡張露出フレームと呼ばれる。
【0022】
特定の適用シナリオにおいて、異なる露出時間中の異なる輝度を有する多数の露出フレームが回収され得る。この場合、最適な露出フレームが参照露出フレームとして選択され、他の露出フレームは、拡張露出フレームとして用いられる。
【0023】
202.各露出フレーム毎に、当該露出フレーム内に繰返し配列された生データ単位を合成して、合成後の第1の輝度データを得る。
【0024】
たとえば、このステップにおける生データ単位は、BGGRパターンに配列されたデータ単位、GRBGパターンに配列されたデータ単位、またはGRBWパターンに配列されたデータ単位であり得る。本発明の本実施形態は、他のパターンの生データにも適用可能である。
【0025】
図1に示されるように、
図1は、GRBGパターンに配列されたデータ単位を示す。すなわち、GRBGベイヤーパターンでは、4つの隣接するGRBG画素位置における単一チャンネルデータが1つの生データ単位を形成する。
【0026】
異なる画像センサ製造業者の生データは、異なるパターンに配列されている。しかしながら、すべてのパターンについて、4つ以上の隣接する画素が、繰返し配列され得る基本単位を形成する。したがって、本発明の本実施形態における一例として、GRBGに配列された一般的なベイヤーパターンが用いられる。本発明の本実施形態では、単純な拡張後に、BGGRベイヤーパターンおよびGRBWパターンなどの他のパターンの生データも用いられ得る。
【0027】
203.すべての第1の輝度データに従ってすべての露出フレームの補正パラメータを取得し、補正パラメータを用いることによりすべての露出フレームに重み付け処理を行い、補正された生データのHDR画像を得る。
【0028】
上記の生データは、単一チャンネルデータであり、さらに、最終的に取得される生データのHDR画像もまた、単一チャンネルデータ画像であることが理解され得る。
【0029】
上記の実施形態から、生データ単位は、本実施形態の基本単位であることがわかり得る。まず、異なる露出フレームの生基本単位が、たとえば合成されて、事前処理され、人間の目に適した第1の輝度データが出力される。次に、補正された生データのHDR画像に必要な補正パラメータが算出され、生データ単位内の各生データが合成されることにより、既存の輝度処理後効果が生データの出力HDR画像に合成されることが実現される。
【0030】
さらに、例示的な実施形態では、上記ステップ203における、すべての第1の輝度データに従ってすべての露出フレームの補正パラメータを取得することは、
図3に示される、次のステップ2031〜ステップ2033を具体的に含み得る。
【0031】
2031.すべての第1の輝度データに従って各露出フレームの重み付け係数を取得する。
【0032】
2032.各露出フレームに輝度処理を行い、処理後の第2の輝度データを得る。
随意的には、各露出フレームに輝度処理を行うために、輝度ヒストグラム均等化方法を用いて、処理後の第2の輝度データを得てもよい。
【0033】
2033.重み付け係数、第2の輝度データ、および第1の輝度データに従って、すべての露出フレームに対応する補正率を取得し、重み付け係数および補正率を含む補正パラメータを得る。
【0034】
随意的には、別の適用シナリオでは、上記ステップ203における、補正パラメータを用いることによりすべての露出フレームに重み付け処理を行い、補正された生データのHDR画像を得ることは、図示されない次のステップ2034を含む。
【0035】
2034.各露出フレームに対応する、当該露出フレーム内の各画素の、重み付け係数を取得し、補正率に各露出フレーム内の各画素を掛けることにより得られる積を取得することと;すべての露出フレーム内の対応する位置における画素に対応する積を合計して、合計後に得られるすべての画素により形成される画像を補正された生データのHDR画像として用いる。
【0036】
上記実施形態から、本実施形態の画像処理方法によれば、各露出フレームの第1の輝度データが取得され、さらに、第1の輝度データに従って、すべての露出フレームの補正パラメータが取得され、補正パラメータを用いることにより露出フレームに重み付け処理が行われ、補正されたRawデータのHDR画像が得られることにより、Rawデータから得られる画像の色、輝度、およびコントラストが著しく歪んでしまう先行技術における課題が解決されることがわかり得る。
【0037】
別の適用シナリオでは、上記ステップ202における、露出フレーム内に繰返し配列された生データを合成して、合成後の第1の輝度データを得ることは、具体的には、図示されない次のステップ2021を含む。
【0038】
2021.露出フレームの参照輝度値を取得し、予め設定されたガンマ係数を用いることにより参照輝度値を補正して、第1の輝度データを得る。
【0039】
たとえば、露出フレームの参照輝度値を取得することは、次を含み得る。
1) 生データ単位内の画素の平均値を取得して、平均値を参照輝度値として用いる。たとえば、
図1に示されるGRBGベイヤーパターンにおいては、参照輝度値は、(G+R+B+G)/4であり得る。
【0040】
または、2) 生データ単位内のG画素の平均値を取得して、平均値を参照輝度値として用いる。たとえば、
図1に示されるGRBGベイヤーパターンでは、参照輝度値は、(G+G)/2であり得る。
【0041】
上記の参照輝度値は、従来の算出方法を用いることにより、または単純な合成により得られ得る。
【0042】
すなわち、
図1に示されるベイヤーパターンでは、合成後のデータ量は、生データの1/4であり、これにより、画像処理プロセスにおけるデータ量が有効に減少される。
【0043】
上記の実施形態から、生データ単位が、本実施形態における画像処理方法の基本単位として用いられることがわかり得る。まず、異なる露出フレームの生基本単位が、合成などの事前処理され、人間の目に適した第1の輝度データが出力される。次に、補正された生データのHDR画像に必要な補正パラメータが算出され、生データ単位における各生データが合成され、同一の生データ単位において同一の重み付け係数および補正率を用いることにより、合成前後の色の統一性が確保され得る。人間の目に適した輝度データを用いて合成係数が算出され、これにより、既存の輝度処理後効果が生データの出力HDR画像に合成されることが実現され得る。
【0044】
別の適用シナリオでは、画像処理方法は、次のステップS01〜S06に示される。補正パラメータは、重み付け係数および補正率を含み、各露出フレームは、1つの重み付け係数に対応し、すべての露出フレームは、1つの補正率に対応する。
【0045】
2つの露出フレームは、以下に一例として用いられる。
S01.異なる露出時間中の同一のシーンにおいて、第1の露出フレームおよび第2の露出フレームである異なる輝度を有する2つの露出フレームを回収する。
【0046】
第1の露出フレームの輝度は、第2の露出フレームの輝度より低く、第1の露出フレームの露出時間は、第2の露出フレームの露出時間より短い。R
1は、第1の露出フレームを示し、R
2は、第2の露出フレームを示す。
【0047】
S02.各露出フレーム毎に、当該露出フレーム内に繰返し配列された生データ単位を合成して、合成後の第1の輝度データを得る。
【0048】
第1の露出フレームの第1の輝度データは、I
1′であり、第2の露出フレームの
第1の輝度データは、I
2′である。
【0049】
例示的に、露出フレームの参照輝度値が取得され、参照輝度値は、表を参照する手法で予め設定されたガンマ係数1/2.2を用いることにより補正され、第1の輝度データが得られる。
【0050】
S03.第1の露出フレームについては、第1の輝度データI
1′に従って第1の露出フレームの重み付け係数w
1を取得し;第2の露出フレームについては、
第1の輝度データI
2′に従って第2の露出フレームの重み付け係数w
2を取得する。
【0051】
たとえば、重み付け係数w
1およびw
2は、次の式に従って取得される。
【0053】
(式中、w
1′およびw
2′は、重み付け係数を算出するための中間値を示し、δは、ガウス分布係数を示す。)
S04.輝度ヒストグラム均等化手法で、第1の露出フレームに輝度処理を行い、処理後の第2の輝度データI
1″を得;輝度ヒストグラム均等化手法で第2の露出フレームに輝度処理を行い、処理後の第2の輝度データI
2″を得る。
【0054】
S05.重み付け係数w
1およびw
2、第2の輝度データI
1″およびI
2″、ならびに第1の輝度データI
1′およびI
2′に従って、すべての露出フレームに対応する補正率αを取得する。
【0056】
S06.重み付け係数w
1およびw
2ならびに補正率αを用いることによりすべての露出フレームに重み付け処理を行い、補正された生データのHDR画像を得る。これは、次の式に示される。
【0058】
(式中、R
1は、第1の露出フレームを示し、w
1は、第1の露出フレームの重み付け係数を示し、R
2は、第2の露出フレームを示し、w
2は、第2の露出フレームの重み付け係数を示し、αは、補正率を示し、Rは、補正された生データのHDR画像を示す。)
したがって、上記の画像処理方法を用いることにより、歪みのない色、輝度、およびコントラストを有する画像を得ることができる。
【0059】
図4は、本発明の別の実施形態に従った画像処理方法の概略フローチャートである。
図4に示されるように、本実施形態の画像処理方法のステップは、次のように説明される。
【0060】
401.異なる露出時間中の同一のシーンにおいて異なる輝度を有する少なくとも2つの露出フレームを回収する。
【0061】
402.各露出フレーム毎に、当該露出フレーム内に繰返し配列された生データを合成して、合成後の第1の輝度データを得る。
【0062】
403.明露出フレーム内の画素の第1の輝度データと暗露出フレーム内の対応する位置における画素の第1の輝度データとの相関性を、統計ヒストグラム手法で取得し、輝度マッピング関数を得る。
【0063】
統計ヒストグラム手法は、統計的手法により得られるヒストグラムである。
なお、本明細書における輝度マッピング関数を取得するための方法は、当業者に周知の方法である。
【0064】
404.輝度マッピング関数およびすべての第1の輝度データに従ってすべての露出フレームの補正パラメータを取得し、補正パラメータを用いることによりすべての露出フレームに重み付け処理を行い、補正された生データのHDR画像を得る。
【0065】
上記の実施形態から、画像処理方法において、単一チャンネル生データが用いられて、補正された生データのHDR画像が直接取得されることにより、処理プロセスにおける算出量が減少されることがわかり得る。上記の画像処理方法では、ヒストグラム均等化、コントラスト調整、および暗領域の輝度向上などの輝度処理方法が用いられる。したがって、生HDR画像の色一貫性および輝度統一性を維持することができる。
【0066】
別の適用シナリオでは、画像処理方法は、次のステップM01〜M06に示される。補正パラメータは、重み付け係数および補正率を含み、各露出フレームは、1つの重み付け係数に対応し、すべての露出フレームは、1つの補正率に対応する。
【0067】
2つの露出フレームが、以下に一例として用いられる。
M01.異なる露出時間中の同一のシーンにおいて、第1の露出フレームおよび第2の露出フレームである異なる輝度を有する2つの露出フレームを回収する。
【0068】
第1の露出フレームの輝度は、第2の露出フレームの輝度より低く、第1の露出フレームの露出時間は、第2の露出フレームの露出時間より短い。R
1は、第1の露出フレーム、短い露出フレーム、および暗露出フレームを示し、R
2は、第2の露出フレーム、長い露出フレーム、および明露出フレームを示す。
【0069】
M02.各露出フレーム毎に、当該露出フレーム内に繰返し配列された生データ単位を合成して、合成後の第1の輝度データを得る。
【0070】
第1の露出フレームの第1の輝度データは、I
1′であり、第2の露出フレームの
第1の輝度データは、I
2′である。
【0071】
例示的に、M02は、次のサブステップを行うことにより実現され得る。
M021.第1の露出フレームおよび第2の露出フレームの参照輝度値を算出する。
【0072】
ステップM021において、参照輝度値を算出するための方法は、従来の輝度算出方法または(R+G+G+B)/4などの単純な合成であり得る。別の実施形態では、G画素の値を参照輝度値として直接用いてもよい。
【0073】
上記で算出されたデータ量は、生データの1/4であり、これにより、次の画像処理プロセスにおいて算出量が有効に減少される。
【0074】
M022.ガンマ係数を用いることにより上記参照輝度値にガンマ補正を行い、第1の輝度データを得る。
【0075】
なお、既存のガンマ補正は、ISP処理において、画像の輝度およびコントラストに最大の影響を及ぼすステップであるとともに、生データを人間の目に適したデータに変換する1つの重要なステップである。したがって、ステップM022は、ISP処理と同じガンマ係数を用いて参照輝度値を処理する。
【0076】
実際の適用では、ガンマ係数の値は、1/2.2であり得る。この実施形態では、ガンマ補正は、テーブル参照法を用いることにより実現されてもよい。さらに、生データのビット幅、すなわち、露出フレームの生データは、一般的に、10ビット、12ビット、または14ビットなど比較的大きい。
【0077】
算出リソースを節約するために、生データ内の初めの8ビットのみがテーブル参照を行うために用いられ、出力値も8−ビットデータであり得る。
【0078】
すなわち、ガンマ補正後の参照輝度ビット幅は、ベイヤーデータと同じでなくてもよい。ガンマ補正後の輝度データは、I′として示され、すなわち、第1の露出フレームの第1の輝度データは、I
1′であり、第2の露出フレームの
第1の輝度データは、I
2′である。
【0079】
M03.明露出フレーム(第2の露出フレーム)内の画素の第1の輝度データと暗露出フレーム(第1の露出フレーム)内の対応する位置における画素の第1の輝度データとの相関性を、統計ヒストグラム手法で取得し、輝度マッピング関数を得る。
【0080】
たとえば、輝度マッピング関数は、b=f(a)であり、式中、aは、明露出フレーム内の画素の輝度値であり、f(a)は、暗露出フレーム内の対応する位置における画素の輝度値を示す。
【0081】
aおよびf(a)の各群は、1つのマッピング対と呼ばれ、求められたマッピング対がマッピングとして用いられる。
【0082】
すなわち、(a、b)が、長い露出フレーム(第2の露出フレーム)から短い露出フレーム(第1の露出フレーム)の対応する明度マッピング関数fの値である場合、b=f(a)である。
【0083】
図5A、
図5B、および
図5Cを参照して、本実施形態の輝度マッピング関数b=f(a)は、第1の露出フレームおよび第2の露出フレームの統計ヒストグラムから容易に得られ得る。
【0084】
以下の
図5Aは、第1の露出フレームおよび第2の露出フレームのヒストグラムである。単純な累積の後に、
図5Bの累積ヒストグラムが得られ得る。輝度マッピング後に、
図5Cに示されるように、輝度マッピング値(第2の線は概略曲線である)が得られ得る。図中、横軸上の第2の露出フレーム(拡張フレーム)の画像に多数の過露出画素が存在する。
【0085】
M04.輝度マッピング関数およびすべての第1の輝度データに従ってすべての露出フレームの補正パラメータを取得し、補正パラメータを用いることによりすべての露出フレームに重み付け処理を行い、補正された生データのHDR画像を得る。
【0086】
具体的には、上記ステップM04は、次のサブステップM041〜M044を行うことにより実現され得る。
【0087】
M041.第1の露出フレームについては、第1の輝度データI
1′および輝度マッピング関数b=f(a)に従って第1の露出フレームの重み付け係数w
1を取得し;第2の露出フレームについては、
第1の輝度データI
2′および輝度マッピング関数b=f(a)に従って第2の露出フレームの重み付け係数w
2を取得する。
【0088】
たとえば、重み付け係数w
1およびw
2は、次の式に従って取得される。
【0090】
(式中、w
1′およびw
2′は、重み付け係数を算出するための中間値を示し、δは、ガウス分布係数を示す。)
一般的に、長い露出フレーム(第1の露出フレームおよび第2の露出フレームにおいて、より長い露出時間を有する露出フレーム)における暗(I
1′)シーンは、短い露出フレーム(第1の露出フレームおよび第2の露出フレームにおいて、より短い露出時間を有する露出フレーム)における暗(I
2′、より暗く、露出不足となる傾向がある)シーンより適している。
【0091】
同様に、短い露出フレームにおける明(I
2′)シーンは、長い露出における明(I
1′、より明るく、過露出となる傾向がある)シーンより適しているため、ガウス分布に基づく上記の式を用いて重み付け係数を算出し、正規化を実現する。
【0092】
M042.輝度ヒストグラム均等化手法で第1の露出フレームに輝度処理を行い、処理後の第2の輝度データI
1″を得;輝度ヒストグラム均等化手法で第2の露出フレームに輝度処理を行い、処理後の第2の輝度データI
2″を得る。
【0093】
例示的に、輝度ヒストグラム均等化方法が採用されるとき、画像のコントラストは著しく変更されるおそれがある。たとえば、ダイナミックレンジが比較的小さいシーンは、高過ぎるコントラストを有する。したがって、マッピング後のヒストグラムを制御するためには、いくつかのキーポイントが使用され得る。たとえば、マッピング後の累積ヒストグラムにおいて25%に相当する輝度値は、マッピング前の長い露出累積ヒストグラムにおいて25%に相当する輝度値と、マッピング前の短い露出累積ヒストグラムにおいて25%に相当する輝度値との間でなければならない。すなわち、I′
2_25≦I″
25≦I′
1_25である。
【0094】
M043.重み付け係数w
1およびw
2、第2の輝度データI
1″およびI
2″、ならびに第1の輝度データI
1′およびI
2′に従って、すべての露出フレームに対応する補正率αを取得する。
【0096】
なお、第1の露出フレームの露出時間は、第2の露出フレームの露出時間と異なり、これは、輝度が異なることを意味する。単純な合成が対応する画素に行われると、最終的な画像の輝度統一性が損なわれる。したがって、この実施形態では、補正率αが、異なる露出フレームを「1つの同一の露出値」として補正するように設定される。
【0097】
M044.重み付け係数w
1およびw
2ならびに補正率αを用いることによりすべての露出フレームに重み付け処理を行い、補正された生データのHDR画像を得る。これは、次の式に示される。
【0099】
(式中、R
1は、第1の露出フレームを示し、w
1は、第1の露出フレームの重み付け係数を示し、R
2は、第2の露出フレームを示し、w
2は、第2の露出フレームの重み付け係数を示し、αは、補正率を示し、Rは、生データのHDR画像を示す。)
輝度マッピング関数に依存する上記の重み付け算出手法の利点の1つは、長い露出フレームおよび短い露出フレームの輝度がマッピング値(a,b)と同等であるとき、同一の合成重みを得ることができるため、出力HDRフレームの質がより高くなることである。
【0100】
上記の実施形態から、単一チャンネル生データのみが記憶されればよく、これにより、算出量が減少されることがわかり得る。ヒストグラム均等化、コントラスト調整、および暗領域の輝度向上などの輝度処理方法が直接用いられてもよい。生データのHDR画像の色一貫性および輝度統一性を維持することができる。
【0101】
特に、本発明において、従来の処理後HDR合成法と比較すると、予めカメラ応答曲線を較正する必要なく、単一チャンネルデータのみを処理すればよく、これにより、記憶コストおよびデータの算出量が有効に減少される。
【0102】
図6に示されるように、
図6の
図Aは、先行技術の処理後手法で合成されたHDR画像であり、
図Bは、処理後合成手法が生データ処理に単純に適用されたHDR画像である(グレースケールの色およびコントラストは、
図Bにおいて著しく変更されている)。
【0103】
図Cは、輝度補正が行われていないHDR画像であり(カラーチップ中の最終行など、輝度統一性が損なわれている)、
図Dは、本発明の本実施形態において輝度補正後に取得されたHDR画像である(色およびコントラストは、現実のシーンにより近い)。
【0104】
さらに、上記の例示的な実施形態では、重み付け係数を算出するために、実施形態の一部では輝度マッピング関数が用いられており、重み付け係数を算出するために、実施形態の別の一部では輝度マッピング関数が用いられていない。この実施形態は一切限定を設定するものではなく、輝度マッピング関数は、実際のニーズに従って選択されればよい。
【0105】
さらに、本発明の本実施形態で列挙される実現の手法の任意の1つにおいては、重み付け係数は、ガウス分布法を用いることにより取得される。別の実施形態では、ポアソン分布または円錐曲線などの方法を採用して重み付け係数を取得してもよく、この実施形態では、一切限定は設定されない。
【0106】
本発明の別の局面によれば、本発明の実施形態はさらに、
図7Aおよび
図7Bに示される画像処理装置を提供する。
図7Aおよび
図7Bに示される画像処理装置は、プロセッサ71とメモリ72とを含む。
【0107】
プロセッサ71は、異なる露出時間中の同一のシーンにおいて異なる輝度を有する少なくとも2つの露出フレームを回収し、各露出フレーム毎に、当該露出フレーム内に繰返し配列された生データ単位を合成して、合成後の第1の輝度データを得;すべての第1の輝度データに従ってすべての露出フレームの補正パラメータを取得し、補正パラメータを用いることによりすべての露出フレームに重み付け処理を行い、補正された生データのHDR画像を得るように構成され、メモリ72は、プロセッサにより回収された異なる輝度を有する少なくとも2つの露出フレームを格納するように構成される。
【0108】
実際の適用では、プロセッサ71は、具体的には、各露出フレーム毎に、当該露出フレームの参照輝度値を取得し、予め設定されたガンマ係数を用いることにより参照輝度値を補正して、第1の輝度データを得る;および/または、すべての第1の輝度データに従って各露出フレームの重み付け係数を取得し;各露出フレームに輝度処理を行い、処理後の第2の輝度データを得;重み付け係数、第2の輝度データ、および第1の輝度データに従って、すべての露出フレームに対応する補正率を取得し、重み付け係数および補正率を含む補正パラメータを得る;および/または、各露出フレームに対応する、当該露出フレーム内の各画素の、重み付け係数を取得し、補正率に各露出フレーム内の各画素を掛けることにより得られる積を取得し;すべての露出フレーム内の対応する位置における画素に対応する積を合計して、合計後に得られるすべての画素により形成される画像を補正された生データのHDR画像として用いるように構成される。
【0109】
随意的には、プロセッサはさらに、明露出フレーム内の画素の第1の輝度データと暗露出フレーム内の対応する位置における画素の第1の輝度データとの相関性を、統計ヒストグラム手法で取得し、輝度マッピング関数を得;輝度マッピング関数およびすべての第1の輝度データに従って各露出フレームの重み付け係数を取得し;各露出フレームに輝度処理を行い、処理後の第2の輝度データを得;重み付け係数、第2の輝度データ、および第1の輝度データに従って、すべての露出フレームに対応する補正率を取得し、重み付け係数および補正率を含む補正パラメータを得;さらに、各露出フレームに対応する、当該露出フレーム内の各画素の、重み付け係数を取得し、補正率に各露出フレーム内の各画素を掛けることにより得られる積を取得し;すべての露出フレーム内の対応する位置における画素に対応する積を合計して、合計後に得られるすべての画素により形成される画像を補正された生データのHDR画像として用いるように構成される。
【0110】
本実施形態のプロセッサは、具体的には、上記の実施形態の任意の1つに記載される画像処理方法を行ってもよい。詳細はここでは再度説明しない。
【0111】
上記の実施形態から、本発明の本実施形態の画像処理装置によれば、各露出フレームの第1の輝度データが取得され、さらに、第1の輝度データに従ってすべての
露出フレームの補正パラメータが取得され、補正パラメータを用いることにより露出フレームに重み付け処理を行い、補正されたRawデータのHDR画像を得ることにより、Rawデータから得られる画像の色、輝度、およびコントラストが著しく歪んでしまう先行技術における課題が解決されることがわかるであろう。
【0112】
当業者であれば、方法の実施形態のステップのすべてまたは一部を、関連するハードウェアに指示するプログラムにより実現してもよいことが理解されるであろう。プログラムは、コンピュータ読取可能記憶媒体に格納されてもよい。プログラムが実行されると、方法の実施形態のステップが行われる。上記の記憶媒体は、ROM、RAM、磁気ディスク、または光ディスクなどのプログラムコードを格納可能な任意の媒体を含む。
【0113】
最後に、上記の実施形態は、本発明の技術的解決策を説明することを意図するに過ぎず、本発明を限定するものでないことに留意されるべきである。上記の実施形態を参照して本発明を具体的に説明したが、当業者であれば、本発明の実施形態の技術的解決策の範囲から逸脱することなしに、上記の実施形態に記載される技術的解決策にさらに改良を行ったり、これらの一部またはすべての技術的特徴に同等の置き換えを行ってもよいことが理解されるべきである。