(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6111377
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】イソシアネートを含まないアクリル化またはメタクリル化ウレタンオリゴマー
(51)【国際特許分類】
C08G 71/04 20060101AFI20170327BHJP
C08F 299/02 20060101ALI20170327BHJP
C09D 11/00 20140101ALI20170327BHJP
C09J 175/16 20060101ALI20170327BHJP
C09D 175/16 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
C08G71/04
C08F299/02
C09D11/00
C09J175/16
C09D175/16
【請求項の数】31
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-514460(P2016-514460)
(86)(22)【出願日】2014年5月20日
(65)【公表番号】特表2016-520144(P2016-520144A)
(43)【公表日】2016年7月11日
(86)【国際出願番号】FR2014051173
(87)【国際公開番号】WO2014188116
(87)【国際公開日】20141127
【審査請求日】2016年1月19日
(31)【優先権主張番号】1354685
(32)【優先日】2013年5月24日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モニエ,ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】デュケンヌ,クリストフ
【審査官】
井津 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2013/0004677(US,A1)
【文献】
特開2008−225244(JP,A)
【文献】
特開平06−230571(JP,A)
【文献】
特開2012−041452(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/129697(WO,A1)
【文献】
特開2011−231231(JP,A)
【文献】
特開平05−271367(JP,A)
【文献】
特開2012−067303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 71/00−71/04
C08G 18/00−18/87
C08F 2/00−299/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直鎖状または分枝状であってもよく、少なくともp個のアクリレートまたはメタクリレート末端基を有するウレタンオリゴマーであって、ウレタン結合が、環状モノカーボネート(カーボネート)(III)nモルと、モノアミンまたはポリアミンであるn個の第1級アミン官能基のアミン(II)1モルとの間のカーボネート−アミンの反応によりイソシアネートを使用せずに得られ、続いてn個のウレタン結合の各々に対するβ位で形成されたn個のヒドロキシルの少なくとも1つが、環状無水化合物(IV)との等モル反応によってエステル−酸へ変換され、その後に前記酸官能基がm個のエポキシド官能基を有するポリエポキシ化合物(V)との反応によりp個のアクリルまたはメタクリル末端基へ完全に変換され、ここでnは1以上であり、ここでmは少なくとも2に等しく、そのうちm’=m−1個のエポキシド基はアクリレートおよび/またはメタクリレートエステルに変換され、ここで最終官能性pは少なくともm’に等しい、ウレタンオリゴマー。
【請求項2】
ヒドロキシルの変換が完全変換であり、全体的な官能性pがm’×nに等しい、請求項1に記載のオリゴマー。
【請求項3】
以下の一般式(I)の生成物を含むか、これからなる、請求項2に記載のオリゴマー。
【化1】
[ここで、
−R
1:
価数nを有するヒドロカルビル残基(ここでヒドロカルビル残基は、アミン化合物(II)からn個のアミン−NH
2基
を除去した残基である)、
−R
2またはR’
2:同一または異なり、位置を交換でき、H、アルキルまたはヒドロキシアルキルから選択できる置換基、ここでアルキルはC
1からC
3アルキルであり、R
2およびR’
2は、r=0ならば2つの隣接炭素上に、r=1ならばメチレン基で分離された2つの炭素上に位置することもでき、組み合わされた基−CH(R
2)−(CH
2)
r−CH(R’
2)−は、反応前の開始時に環状カーボネート化合物(III)の環の一部を形成するC
5またはC
6シクロアルキレン基を表すこともできる、
−R
3:メチルもしくはエチルからのアルキルまたはハロゲンまたはアルコキシにより置換されていてもよい、または置換されていなくてもよいアルキレン
基、シクロアルキレン基またはアリーレン基、R
3は、開始時(反応前)に環状無水化合物(IV)の無水環の一部を形成する、
−R
4−R
5(−R
4−)
m’は、m個のエポキシド基の反応後のエポキシド化合物(V)に対応する全体的な価数m(m’=m−1)のヒドロカルビル残基であり、R
4は−CH
2−CH(OH)−基を表し、その前駆体はエポキシ基であり、R
5は、開始時に基R
4のm個の前駆体エポキシド(オキシラン)基を有するエポキシド化合物(V)中の価数mのヒドロカルビル基であり、化合物(V)はとりわけ鎖を形成する炭素上でエポキシ化された炭化水素鎖であることができる、
−R
6:CH
2=C(R
7)−(C=O)−O−はR
7が−Hの場合アクリレート、またはR
7が−CH
3の場合メタクリレート、またはp>1に対しては2つの基、即ちアクリレートおよびメタクリレートの混合物であり、オリゴマーは単官能性、即ち1に等しいm’
×nを有するか、多官能性、即ち2以上のp=m’
×nを有する。]
【請求項4】
オリゴマーは、p=m’×n=1、m’=1、n=1で単官能性である、請求項1から3のいずれか一項に記載のオリゴマー。
【請求項5】
オリゴマーは多官能性であり、官能性p=m’×nが2以上、m’≧1、n≧2である、請求項1から3のいずれか一項に記載のオリゴマー。
【請求項6】
オリゴマーは多官能性であり、官能性p=m’×nが2以上、m’≧2、n≧1である、請求項1から3のいずれか一項に記載のオリゴマー。
【請求項7】
オリゴマーは多官能性であり、2から32の範囲の官能性p=m’×nを有する、請求項5または6に記載のオリゴマー。
【請求項8】
環状無水化合物(IV)が、以下の環状一無水物、即ち、無水コハク酸(R3:エチレン)、無水マレイン酸(R3:ビニレン)、無水フタル酸(R3:1,2−フェニレン)、無水イタコン酸、無水クロレンド酸、無水ナジック酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ナフテンジカルボン酸、無水グルタル酸、無水トリメリット酸、無水アジピン酸、無水セバシン酸、無水ドデシルコハク酸から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載のオリゴマー。
【請求項9】
環状カーボネート(III)が、エチレングリコール(R2=R’2:−Hおよびr=0)、1,3−プロピレンジオール(R2=−H、R’2:−CH3、r=0)、1,2−プロピレンジオール(R2=R2:−H、r=1)、グリセロール(R2:H、R’2:−CH2−OH、r=0)、1,2−ブタンジオール(R2:−H、R’2:−CH2CH3)、2,3−ブタンジオール(R2およびR’2:−CH3)および1,3−ブタンジオール(R2またはR’2:−CH3およびr=1)からのカーボネート、またはCO2を対応するエポキシドを添加することによる、C1〜C4アルコールまたはフェノールのグリシジルエーテルに対応するカーボネートから選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載のオリゴマー。
【請求項10】
エポキシド化合物(V)が、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、水素化または非水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(BADGE)、水素化または非水素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル(BFDGE)、これらの化合物は、場合によりアルコキシル化され、またはテレフタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステルもしくはヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルからのジエポキシドモノマーである、請求項1から9のいずれか一項に記載のオリゴマー。
【請求項11】
エポキシド化合物(V)が、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、もしくはトリグリシジルイソシアヌレートから選択されるトリエポキシド、またはペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、もしくはジトリメチロールプロパンテトラグリシジルエーテルから選択されるテトラエポキシド、またはジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテルである六官能性であり、すべてのこれらの化合物は場合によりアルコキシル化される、請求項1から9のいずれか一項に記載のオリゴマー。
【請求項12】
エポキシ化合物(V)が、エポキシ化された、直鎖状または分岐状のフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ化油、エポキシ化ポリブタジエン、またはエポキシ化縮合もしくはエポキシ末端基を有する付加プレポリマーから選択される、数平均重量Mn<1000のエポキシ樹脂である、請求項1から9のいずれか一項に記載のオリゴマー。
【請求項13】
アミンR1(NH2)n(II)が、モノマーまたはオリゴマー構造のものである、請求項1から12のいずれか一項に記載のオリゴマー。
【請求項14】
アミンR1(NH2)n(II)は、モノアミンモノウレタンまたはジアミンジウレタンであり、これらは第一級ジアミンとそれぞれ環状モノカーボネートまたは環状ジカーボネート(2つの環状カーボネート基を有する)の縮合生成物であり、2という、環状カーボネート基に対する第一級アミン基の比に対応し、環状モノカーボネートは、請求項1〜9に従って定義された環状カーボネート化合物(III)と同一でも異なってもよい、請求項1から12のいずれか一項に記載のオリゴマー。
【請求項15】
アミン化合物(II)当たりのn1=n個のヒドロキシルが、モノアミンウレタンまたはジアミンジウレタンにおけるカーボネート−アミン反応により形成されたウレタン結合に対するβ位に存在し、これらのn1=n個のヒドロキシルが、それらの中の少なくとも1つに対し、請求項1、3および8のいずれか一項に従って定義された環状無水物(IV)との連続反応によりエステル−酸基へ変換され、その後に請求項1、3または10から12のいずれか一項に従って定義されたポリエポキシド化合物(V)との反応により酸官能基が少なくともm’個の追加のアクリル化および/またはメタクリル化末端基へ変換され、この場合オリゴマーの追加のアクリレートおよび/またはメタクリレート基の官能性は、少なくともm’個である、請求項1から14のいずれか一項に記載のオリゴマー。
【請求項16】
アミン化合物R1(−NH2)n(II)が、基R1中、アミン−カーボネート反応によるウレタン結合に対するβ位に形成されたヒドロキシルとは異なる少なくともn2個のヒドロキシルを含み、n2個のヒドロキシルは請求項1、2または7のいずれか一項に従って定義された環状無水物(IV)との連続反応により多くのエステル−酸基にも変換され、その後に酸官能基は請求項1、2または9から11のいずれか一項に従って定義されたポリエポキシド化合物(V)との反応によりm’×n2個の追加のアクリル化またはメタクリル化末端基に変換され、この場合全体のアクリレートまたはメタクリレート基の官能性はこのためm’×n2分、増加し、ここでn2は1〜3である、請求項1から14のいずれか一項に記載のオリゴマー。
【請求項17】
請求項15に従って定義されたn1個のヒドロキシルまたは請求項16に従って定義されたn2個のヒドロキシルの少なくとも1つがそれぞれ追加の官能性が少なくともm’であるアクリレートまたはメタクリレートに変換される、請求項15または16に記載のオリゴマー。
【請求項18】
アミンR1(−NH2)n(II)が、線状または分岐状または超分岐またはデンドリマー構造の、1500未満の数平均重量Mnを有するオリゴマーである、請求項13に記載のオリゴマー。
【請求項19】
アミンR1(−NH2)n(II)はポリアルキレンイミン、またはポリエーテルアミンまたはポリアミドアミンまたはポリエステルアミドアミンまたはアミン−エポキシド付加プレポリマーまたはR1基として、脂肪酸二量体または三量体に対応するまたはこれに基づく脂肪鎖を有するアミンに基づくオリゴマーであり、ポリアルキレンイミンのアルキレンは、エチレン、プロピレンまたはブチレン(テトラメチレン)である、請求項17に記載のオリゴマー。
【請求項20】
オリゴマーは、アクリレートおよび/またはメタクリレート基に加えて、遊離ヒドロキシル基を有する、請求項15または16に記載のオリゴマー。
【請求項21】
以下の連続反応:
i)その環の中に、−CH(R2)−(CH2)r−CH(R2)−基を含む環状カーボネート(III)とアミンR1(−NH2)n(II)との間のカーボネート−アミン反応であって、R1基が有するn個のウレタン基を形成し、各ウレタン基はβ位にヒドロキシルを有する反応、
ii)、その環の中に2価の有機基R3を含む環状無水化合物(IV)による、前記結合に対するβ位で生成されたヒドロキシルの少なくとも1つのエステル化であって、ヒドロキシルの代わりにエステル−酸基を形成するエステル化、
iii)R4基の前駆体であり、価数mの有機基R5が有するものであり、mは少なくとも2であるm個のエポキシドを有するエポキシド化合物(V)とエステル−酸基の酸基との反応であって、エステル−酸の各酸基の代わりにm’=m−1個のエポキシド基を有するエステルを形成する反応、そして反応iii)後に以下の反応が続く、
iv)エステル−エポキシド基のm−1個のエポキシド基とアクリル酸および/またはメタクリル酸との反応、
または、場合により反応iii)においてエポキシド化合物(V)が反応iii)の前にまたは反応iii)と同時に、反応iii)と同時の場合には、エポキシド化合物(V)とアクリル酸および/またはメタクリル酸との間のエポキシド化合物1モル当たりm’=m−1モルのアクリル酸および/またはメタクリル酸のモル比での同時反応により、m−1個のアクリル化および/またはメタクリル化エポキシド基(m’=m−1>1の場合には混合物)を有するアクリル化および/またはメタクリル化化合物(VI)に置き換えられ、同時反応の場合にはiv)に従うその後の反応は起こらず、
R1、R2、R’2、R3、R4、R5、n、rおよびmは請求項3に従って定義した通りである、連続反応の生成物である、請求項3から20のいずれか一項に記載のウレタンオリゴマー。
【請求項22】
少なくとも以下の段階:
i)環状モノカーボネート(カーボネート)(III)とモノアミンまたは第一級アミン官能性nのポリアミン(II)との間のカーボネート−アミン反応であって、n個のウレタン基が形成され、ウレタン基当たり、前記結合に対しβ位にヒドロキシルが形成される反応、
ii)環状無水化合物(IV)による、ウレタン結合に対してβ位に生じたヒドロキシル基の少なくとも1つのエステル化であって、β位のヒドロキシルの代わりにエステル−酸基が形成されるエステル化、
iii)エステル−酸基の酸基の、少なくとも2に等しいm個のエポキシドを有するポリエポキシド化合物(V)のエポキシド基との反応であって、形成された新しいエステルの各々はm’=m−1個のエポキシド基を有する反応、
iv)m’個のアクリレートおよび/またはメタクリレート基を形成するためのm’=m−1個のエポキシド基のアクリル酸および/またはメタクリル酸との反応、
ここで、段階iii)のための以下の代替選択肢として以下のものがあり、
iiia)ポリエポキシド(エポキシド)化合物(V)は、既に前アクリル化および/または前メタクリル化されたm’=m−1個のエポキシド基を有するアクリル化および/またはメタクリル化等価物(VI)で置き換えられる、または
iiib)アクリル化および/またはメタクリル化化合物(VI)は反応iii)と同時に、この場合段階iii)の反応と同時にエポキシド化合物(V)とアクリル酸またはメタクリル酸との間のエポキシド化合物(V)1モル当たりm−1モルのアクリル酸またはメタクリル酸のモル比での反応により、形成され、
その場合には、選択肢iiia)またはiiib)に従って、段階iv)が存在すべき理由はない、
段階を含む、請求項1から21のいずれか一項に従って定義されたオリゴマーの調製方法。
【請求項23】
オリゴマーは請求項15または16に従って定義され、アミンR1(NH2)nが有するそれぞれn1またはn2個のヒドロキシルの少なくとも1つが請求項21に従って定義された段階i)、ii)、iii)またはiv)の反応に従ってアクリレートおよび/またはメタクリレートに変換される請求項22に記載の調製方法。
【請求項24】
請求項1から21のいずれか一項に定義された、または請求項22または23に従って定義された方法により得られた、少なくとも1つのオリゴマーを含む、重合性組成物。
【請求項25】
塗料、ワニス、インク、接着剤もしくはゲルコート組成物であるコーティング組成物、または連続層による3D物品のための組成物、または成形組成物または複合組成物または漏れ止め剤組成物または化学シーリング組成物から選択される架橋性組成物である、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
請求項1から20のいずれか一項に記載されたオリゴマーに加えて、ラジカル経路、または縮合による架橋反応および重ね合わされたラジカル反応に依存できる二重経路によって共重合できる少なくとも1つのコモノマーを含むグラフト化ポリマーを製造するための重合性組成物である、請求項24に記載の組成物。
【請求項27】
重合可能なウレタン結合剤としての、請求項1から3および請求項5から21のいずれか一項に従って定義したオリゴマーの使用であって、この使用は、イソシアネートのいかなる使用も含まない前記使用。
【請求項28】
オリゴマーが、少なくとも2という全体的なアクリレートおよび/またはメタクリレートの官能性を有し、コーティング組成物、または連続層による3D(3次元)物品のための組成物、または成形組成物、または複合組成物、または漏れ止め剤組成物、または化学シーリング組成物から選択される架橋性組成物中の架橋性結合剤として使用される、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
ラジカル経路、および二無水物、ポリイソシアネートもしくはメラミンまたはシランとの縮合経路を含む二重経路により架橋することができる組成物中の有機結合剤としての請求項21に従って定義された少なくとも1つのオリゴマーの使用。
【請求項30】
オリゴマーは請求項4に従って定義された単官能性であり、グラフト化ポリマーの製造におけるマクロモノマーとして使用される、請求項27に記載の使用。
【請求項31】
請求項1から21のいずれか一項に従って定義された少なくとも1つのオリゴマーを用いて得られ、コーティング、連続層により得られた3D物品、成形品、複合材料、漏れ止めシールまたは化学的シールから選択される完成品または物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、末端アクリレートおよび/またはメタクリレート基において単官能性または多官能性である新規なアクリレート化またはメタクリレート化ウレタンオリゴマーに関し、前記ウレタン結合は、カーボネート−アミン反応後、ウレタン結合に対しβ位でヒドロキシルの修飾を行い、アクリレート基および/またはメタクリレート基が得られるまで連続的に反応させることにより、イソシアネートをまったく使用することなく得られる。本発明は、特に、一般的に人の健康に有毒な、環境に害になる、イソシアネートのような、出発物質をまったく使用することのない、前記オリゴマーの製造方法に関する。また、本発明は、特に多官能性オリゴマーでは、コーティング、成形または漏れ止め剤のための組成物用の架橋性結合剤としての、または単官能性オリゴマーの場合マクロモノマーとしての前記オリゴマーの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(メタ)アクリレートウレタンオリゴマーの現在の合成は、ジ−またはポリイソシアネートであるイソシアネート化合物の使用に頼る。これらの化合物は毒性であり、その取扱いは危険であり、このため問題であり、一般に人の健康および環境に対し特別で厳格な予防措置を必要とする。また、ウレタン化反応(アルコールとイソシアネートとの反応によるウレタン結合の形成)は、一般的にスズ系触媒を使用し、この化合物も毒性であり、環境に有害である。
【0003】
近年、イソシアネートを使用することなく、ウレタン結合を形成する別の方法として、カーボネート−アミン反応の重要な発展が見られた。この反応は、環状カーボネート、即ち、5または6個の原子を有する環を伴う場合、二次化合物(例えばジメチルカーボネートの使用に伴うメタノール)を放出せずにβ−ヒドロキシル化ウレタン化合物へのアクセスを可能にする。次いで、「イソシアネートを使用しないポリウレタン」(NIPUと略される)化合物が得られる。カーボネートはあまり危険でないとみなされている。また、これらのカーボネートは、エポキシド化合物のエポキシ官能基にCO
2を添加することにより調製することができる。従って、カーボネートの製造は温室効果ガスであるCO
2を消費する。よって、この製造方法を採用し、アルコール−イソシアネート反応をカーボネート−アミン反応で置換することは安全性および環境の両方に有益である。
【0004】
特許出願US2013/0004677は、光架橋の用途のための(メタ)アクリレートウレタンオリゴマーの合成を記載する。アミン−カーボネート反応から得られるアミン官能化ポリウレタンプレポリマーは、ウレタン繰り返し単位を有するポリウレタン鎖である。このプレポリマーの鎖延長は、その分子量、ひいては溶液中の粘度を増加させる。また、メタクリレート基は、前記NIPUプレポリマーのアミン官能基とアクリル化グリシジルメタクリレートのアクリレート基(のみ)とのマイケル付加反応によって得られ、光架橋によるあまり反応性でないジメタクリレートNIPUをもたらす。さらに、マイケル反応はアクリレート基のみに限定されるという事実により、ジアクリレートから出発して、鎖延長形成(NIPUプレポリマーの分子量の2倍または3倍またはそれ以上)、ひいては最終生成物の粘度の急速な増加を回避することは不可能であるから、アクリレート末端基を得ることは非常に難しい。このことはこの文献に記載された生成物にいくつかの制限を課す。また、前記NIPUプレポリマー内に形成された各ウレタン結合のβ位のヒドロキシルは、アクリレート基に付加する傾向を有し、反応と構造と再現性を制御することをさらに難しくする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0004677号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、鎖の長さおよび官能性の面でよく制御され、再現可能な構造を有する新しいアクリレートまたはメタクリレートウレタンオリゴマーに対する必要性があり、これらのオリゴマーは、アクリレートにおいておよびメタクリレートにおいて単官能性であり、ならびに/または特にアクリレートおよび/またはメタクリレートにおいて多官能性である、より詳細には少なくとも3の官能性を有する、UVラジカル経路または過酸化物経路または二重経路による架橋に好適である(二重経路は熱経路による過酸化物、およびUV経路による光開始剤を使用する混合経路である)オリゴマーであることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、特に、非毒性で一般に人の健康および環境にやさしく、商業的に入手が容易な出発物質を用いて、制限なく、このようなアクリレートまたはメタクリレートウレタンオリゴマーにアクセスすることを可能にする。
【0008】
これらのオリゴマーは、より詳細には、UV放射の下で十分な架橋速度を示し、性能における良好な妥協を持って反応物の選択に応じて変わり得る良好な柔軟性および硬さを有する、特にコーティング用の架橋完成品を得ることを可能にする。
【0009】
本発明の第1の主題は、ウレタン基において単官能性もしくは多官能性である新規なウレタンオリゴマーに関する。
【0010】
また、本発明は、いかなるイソシアネートも用いない特定の調製方法も包含する。
【0011】
それはまた前記オリゴマーを含む重合性組成物に関し、該重合性組成物はオリゴマーが多官能性である場合にはより詳細には架橋性であり、コーティング、成形用組成物または漏れ止め剤用のものであり、単官能オリゴマーに対してはグラフト化ポリマーの調製用であることができる。そこから生じる完成品がそうであるように、架橋性結合剤として、あるいはマクロモノマーとしてのこの目的のための前記オリゴマーの関連用途も本発明の一部を形成する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
従って、本発明の第1の主題は、直鎖状または分枝状であってもよく、少なくともp個のアクリレートまたはメタクリレート末端基を有するウレタンオリゴマーに関し、ウレタン結合は、環状モノカーボネート(III)(以後環状カーボネートとしても知られる)nモルと、n個の第1級アミン官能基(モノアミンまたはポリアミン)のアミン(II)1モルとの間のカーボネート−アミンの反応によりイソシアネートを使用せずに得られ、続いてn個のウレタン結合の各々に対するβ位で形成されたn個のヒドロキシルの少なくとも1つ、好ましくはすべての形成されたヒドロキシルが、環状無水化合物(IV)との等モル反応、即ちヒドロキシル当たり1モルの無水物、によりエステル−酸へ変換され、その後に前記酸官能基がm(ここでmは少なくとも2に等しい)個のエポキシド官能基を有するポリエポキシド化合物(V)との反応によりp個のアクリル化またはメタクリル化末端基へ変換され(この例ではこの変換は完全な変換を意味する)、そのうちm’=m−1個のエポキシド基はアクリレートおよび/またはメタクリレートエステルに変換され、ここで最終官能性pは少なくともm’に等しく、好ましくはpは前記ヒドロキシルの完全な変換に対するm’
*nに等しい。変換が部分x(x<1)である場合、この場合p=m’
*x
*nである。本発明のオリゴマーの本発明の好ましい選択肢によれば、形成されたウレタン結合に対するβ位のヒドロキシルの変換は、全体の官能性pがm’
*nに等しい完全な変換である。部分的変換の場合、それはヒドロキシルの少なくとも1つに関し、これはオリゴマーが少なくともm’=m−1個のアクリレートおよび/またはメタクリレート基を有していなければいけないことを意味する。なお、p>1である場合で、全体の官能性がそれを許す場合、アクリレートおよびメタクリレート基の混合物も可能であることは明記されるべきである。
【0013】
全体的なアクリレートおよび/またはメタクリレート官能性は、環状カーボネート(III)と反応して、n個の環状カーボネート化合物(既に上述したようなモノカーボネート)との反応により、各ウレタン結合のβ位にヒドロキシル基を有する(ひいてはアミン(II)の1モル当たりにn個のヒドロキシル基が形成される)n個のウレタン結合を形成するアミン(II)の官能性nに依存し、従って該官能性nにより調整できる。全体的なアクリレートおよび/またはメタクリレート官能性が依存する別の要因は、m個のエポキシド官能基(またはエポキシ官能基を使用することもできる)を有するポリエポキシド化合物(以後エポキシドとも示される)の官能性である。実際、エポキシド化合物は、変換されたヒドロキシルを置き換えるエステル−酸の酸官能基当たり1モルのエポキシド化合物(V)となるように酸官能基と反応するが、開始時のm個の中の単一エポキシド官能基または基とのみ反応する。m−1個の官能基は、その酸官能基との反応の前、同時または該反応に続いて、それぞれm−1モルのアクリルまたはメタクリル酸と1モルのエポキシドとの反応により、アクリレート基および/またはメタクリレート基に変換される。
【0014】
より詳細には、本発明のオリゴマーは以下の一般式(I)の生成物を含むか、これからなってもよい。
【0016】
ここで、
−R
1:n個のアミン−NH
2基を有する、アミン化合物(II)中の価数nのヒドロカルビル、
−R
2またはR’
2:同一または異なり、位置を交換でき、H、アルキルまたはヒドロキシアルキルから選択できる置換基、ここでアルキルはC
1からC
3アルキルであり、R
2またはR’
2は、r=0ならば2つの隣接炭素上に、r=1ならばメチレン基で分離された2つの炭素上に位置することもでき、組み合わされた基−CH(R
2)−(CH
2)
r−CH(R’
2)−は、開始時(反応前)に環状カーボネート化合物(III)の環の一部を形成するC
5またはC
6シクロアルキレン基を表すこともできる、
−R
3:特にメチルもしくはエチルからのアルキルまたは塩素のようなハロゲンまたはアルコキシにより置換されていてもよい、または置換されていなくてもよいアルキレン基、特にC
2アルキレン基、シクロアルキレン基またはアリーレン基、R
3は、開始時(反応前)に環状無水化合物(IV)の無水環の一部を形成する、
−R
4−R
5(−R
4)
m’は、m個のエポキシド基の反応後のエポキシド化合物(V)に対応する、全体的な価数m(m’=m−1)のヒドロカルビル残基であり、R
4は−CH
2−CH(OH)−基を表し、その前駆体はエポキシ(オキシラン)基であり、R
5は、開始時に基R
4のm個の前駆体エポキシド(オキシラン)基を有するエポキシド化合物(V)中の価数mのヒドロカルビル基であり、化合物(V)はとりわけ鎖を形成する炭素上でエポキシ化された炭化水素鎖であることができる、
−R
6:CH
2=C(R
7)−(C=O)−O−はR
7が−Hの場合アクリレート、またはR
7が−CH
3の場合メタクリレート、またはp>1に対しては2つの基、即ちアクリレートおよびメタクリレートの混合物であり、オリゴマーは単官能性、即ち1に等しいp=m’
*nを有するか、多官能性、即ち2以上のp=m’
*nを有する。
【0017】
オリゴマーは、p=m’
*n=1、m’=1、n=1で単官能性であってもよい。
【0018】
オリゴマーは多官能性であって、m’≧1、n≧2で、官能性p=m’
*nが2以上であってもよい。本発明の多官能性オリゴマーの別の可能性によれば、m’≧2、n≧1で、2以上の官能性p=m’
*nを有してもよい。
【0019】
本発明の多官能オリゴマーのより特定的な場合には、2から32、好ましくは2から16、より好ましくは2から8、特に2から6の範囲の官能性p=m’
*nを有することができる。これは、先に説明したように、官能性の選択、本質的には関与するポリアミン(II)の官能性n、および使用されるエポキシド化合物(V)の官能性mの選択に依存することとなる。
【0020】
適切な環状無水化合物(IV)としては、環状一無水物から選択することができ、詳細には、次のもの、即ち、無水コハク酸(R
3:エチレン)、無水マレイン酸(R
3:ビニレン)、無水フタル酸(R
3:1,2−フェニレン)、無水イタコン酸、無水クロレンド酸、無水ナジック酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ナフテンジカルボン酸、無水トリメリット酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水セバシン酸または無水ドデシルコハク酸から選択され、好ましくは無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、または無水メチルテトラヒドロフタル酸から選択される。
【0021】
環状カーボネート化合物(III)については、先に説明したように、環状モノカーボネート、即ち、ただ1つのカーボネート環を有する化合物である。カーボネートは、1モルのモノエポキシドを1モルの二酸化炭素(CO
2)と反応させることによって形成することができる。これは、CO
2の補足、および地球温暖化を減らすためにこのガスを大気中に放出することを減らすこととの関連で特に好ましい方法である。この方法で変換された任意のモノエポキシドは適切であり得、例えば、任意のモノアルコールグリシジルエーテルが適切であり得る。より詳細には、本発明の環状カーボネート(III)として以下のものが適切であり得る。即ち、エチレングリコール(R
2=R’
2:−Hおよびr=0)、1,3−プロピレンジオール(R
2=−H、R’
2:−CH
3、r=0)、1,2−プロピレンジオール(R
2=R’
2:−H、r=1)、グリセロール(R
2:H、R’
2:−CH
2−OH、r=0)、1,2−ブタンジオール(R
2:−H、R’
2:−CH
2CH
3)、2,3−ブタンジオール(R
2およびR’
2:−CH
3)および1,3−ブタンジオール(R
2またはR’
2:−CH
3およびr=1)のカーボネート、またはCO
2を対応するエポキシドに添加することによる、C
1〜C
4アルコールまたはフェノールのグリシジルエーテルに対応するカーボネートからの環状カーボネートであり、好ましくは、エチレングリコール、1,2−プロピレンジオール、グリセロール、1,2−ブタンジオールのカーボネートである。
【0022】
1000未満、好ましくは600ダルトン未満(すべてのMn値はダルトンで表現される)の数平均分子量Mnを好ましくは有するオリゴマーの場合は、直鎖状または分岐鎖状のモノマー(またはモノマーの)構造または直鎖状または分岐鎖状のオリゴマー(またはオリゴマーの)構造の任意のエポキシドがエポキシド化合物(V)として適切であり得る。
【0023】
エポキシド化合物(V)がジエポキシドモノマーである場合、それはエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、水素化もしくは非水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(BADGE)、水素化もしくは非水素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル(BFDGE)(これらの化合物は、場合により、エトキシおよび/またはプロポキシ単位等の、例えば、1から4個のアルコキシ単位によりアルコキシル化される)、またはテレフタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルから選択することができる。
【0024】
より高官能性のエポキシドモノマーの例としては、化合物(V)は、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、もしくはトリグリシジルイソシアヌレートから選択されるトリエポキシド、またはペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、もしくはジトリメチロールプロパンテトラグリシジルエーテルから選択されるテトラエポキシド、またはジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテルのような六官能性とすることができ、すべてのこれらの化合物は、場合により、例えば、上述した1から4個のアルコキシ単位でアルコキシル化される。
【0025】
従って、エポキシ化合物(V)は、エポキシ化油、特に大豆油、エポキシ化ポリブタジエン、またはエポキシド(オキシランエポキシ)末端基を有する縮合もしくは付加プレポリマーのようなエポキシ樹脂であってもよい。このエポキシ化合物の官能性mは、少なくとも2(ジエポキシとも呼ばれる、少なくともジエポキシド)でなければならない。ポリエポキシド化合物(V)は、場合によりアルコキシル化された、ジオールまたはより高官能性のポリオールのグリシジルエーテルであってもよい。アルコキシ単位の数は、エポキシ枝当たり1から15、好ましくは1から5で変化することができ、アルコキシは好ましくはエトキシおよび/またはプロポキシである。適切なジエポキシドとしては、アルコキシル化もしくは非アルコキシル化BADGE、またはビスフェノールAジグリシジルエーテル、またはジオール(これらのジオールは場合によりアルコキシル化されてもよい)、例えば、エチレングリコールもしくはプロピレングリコールもしくはテトラメチレングリコール(ブタンジオール)のジグリシジルエーテルが挙げられる。
【0026】
より高い全体的なアクリレートおよび/またはメタクリレート官能性を有することが望まれる場合のより具体的な好ましい利点を有するより高官能性mについては、適切なものとして、少なくとも3の官能性を有するポリエポキシドを使用することができる。この特定の選択肢に従えば、ポリエポキシド(V)はこの場合、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートもしくはグリセロールトリグリシジルエーテルから選択されるトリエポキシド(任意にアルコキシル化される)、または場合によりアルコキシル化される、ペンタエリスリトールエーテルテトラグリシジルエーテルもしくはジトリメチロールプロパンテトラグリシジルエーテルから選択されるテトラエポキシド、または、例えば、場合によりアルコキシル化されるジペンタエリスリトールグリシジルエーテルのような六官能性から選択することができる。
【0027】
より詳細には、ポリエポキシ化合物(V)は、エポキシ化された、直鎖状または分岐鎖状のフェノール−ホルムアルデヒド樹脂(ノボラック)、エポキシ化油、特にエポキシ化大豆油、エポキシ化ポリブタジエン、またはエポキシ化縮合もしくは付加プレポリマー、特に、エポキシド末端基を有する特定のアミン−エポキシ初期縮合物から選択された、数平均重量Mn<1000、好ましくは<600のエポキシ樹脂から選ばれたオリゴマーとすることができる。
【0028】
アミンR
1(NH
2)
n(II)に関しては、それはモノマーまたはオリゴマー構造のものであってもよく、好ましくはC
2からC
54、特にC
2からC
36の脂肪族アミンまたはアリール脂肪族アミンまたは脂環式アミンであってもよい。
【0029】
C
2からC
54の脂肪族アミンの好適な例としては、C
2からC
54アルキルを有するモノアルキルアミン、即ち、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン(またはラウリルアミン)、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、またはC
22からC
54の脂肪族アミンが挙げられる。ジアミンとしては、これらのアルキルに対応するアルキレンジアミンが挙げられる。脂肪族アミンとしては、ポリアルキレンイミン、特に、オリゴエチレンイミンおよび/またはオリゴプロピレンイミンから誘導されるモノアミンまたはポリアミン、2から4つのアルキレンイミン単位を含むアミン、ジアミンまたはポリアミンが挙げられる。
【0030】
脂環式アミンの例としては、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、4,4’−シクロヘキシレンジアミン、もしくはビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)、またはUS5292903に記載されたように、ジフルフリルジアミンのジメチルメチレン上の2つのアミノ−フラン置換基に基づくジアミンが挙げられ、最後のアミンはバイオマスから出発する再生可能な供給源から得られる。アリール脂肪族アミンの例としては、トルイリレンアミンまたはキシリレンジアミンが挙げられる。
【0031】
本発明によるオリゴマーの特に好ましい場合によれば、アミンR
1(NH
2)
n(II)は、モノアミンモノウレタンまたはジアミンジウレタンであり、これは第一級ジアミンとそれぞれ環状モノカーボネート(上記の発明に従って定義された環状カーボネート化合物(III)と同一でも異なっていてもよい)または環状カーボネート(即ち、2つの環状カーボネート基を有する化合物)の縮合生成物であり、2という、環状カーボネート基に対する第一級アミン(−NH
2)の比に対応する。この特定の場合に従うと、アミン化合物(II)当たりのn
1=n個のヒドロキシルが、モノアミンウレタンまたはジアミンジウレタン中のカーボネート−アミン反応により形成されたウレタン結合に対するβ位に存在し、これらのn
1=n個のヒドロキシルが、それらの中の(n
1=nからの)少なくとも1つに対し、好ましくは完全に(n
1=nからのn)本発明に従って上記で定義された環状無水物(IV)との連続反応によりエステル−酸基へ変換され、その後に本発明に従って上記で定義されたポリエポキシド化合物(V)との反応により酸官能基が少なくともm’個の追加のアクリル化および/またはメタクリル化末端基へ変換され、この場合オリゴマーの追加のアクリレートおよび/またはメタクリレート基(官能基)の官能性は少なくともm’個、好ましくはn
1個のヒドロキシルの完全変換に対しては、追加の官能性はm’
*n
1=m’
*nに等しい。モノアミンウレタンが関係する場合には、この場合、この追加の官能性はm’に等しく、カーボネート(III)との反応により形成されたヒドロキシルの環状無水物(IV)との反応による変換が完全な変換の場合には、この場合は全体の官能性fはm’
*n+m’
*n
1=2m’
*n=2m’に等しいであろうし、従って全体の官能性fはm’=m−1であるならエポキシド化合物(V)の官能性mに直接依存するであろう。例えば、ジエポキシド(m=2)化合物(V)に対し全体的な官能性は2であろうし、トリエポキシドに対しては4であろう。ジアミンジウレタンが関係する場合は、この場合は完全な変換に対する官能性pはm’
*n=2m’に等しいであろうし、追加の官能性はp=m’
*n
1=m’
*n=2m’に等しいであろうし、従って全体的な官能性fは2m’
*n=4m’に等しいであろう。例えば、後者の場合にはエポキシド化合物(V)がジエポキシド(m=2およびm’=1)の場合には、全体的な官能性fは4であろうし、トリエポキシドがエポキシド化合物(V)として使用される場合には、この場合は全体的な官能性は8に等しいであろう。オリゴマー中のウレタン結合の数uはu=n+n
1=2nに等しいであろうし、そのことは、モノアミンウレタン(n=1)に対してはオリゴマー当たり2つのウレタンが存在し、ジアミンジウレタン(n=2)の場合にはuは4に等しいであろうことを意味する。
【0032】
官能性n>2の類似のポリウレタン−ポリアミンは、1分子当たり2より多い環状基を有するポリカーボネート(対応する官能性のポリエポキシド(またはマルチエポキシド)のオキシラン官能基へのCO
2の添加反応により得られる)とジアミンとの間の反応(ジアミン/ポリカーボネートのモル比はn(ポリカーボネート1モル当たりnモルのジアミン)による好適なアミンR
1(NH
2)
nとみなすこともできる。このような選択肢の利点は、本発明のオリゴマー中のウレタン結合の数は、アミンまたはポリアミン(II)の官能性nの2倍であり、イソシアネート、またはこのアミン−カーボネート化学が欠けている場合には通常使用されるスズ系触媒の使用をはじめとする、有害生成物のいかなる使用もしないということである。より多くのウレタン官能基によって、使用中の最終材料の、凝集性、柔軟性、耐摩耗性と耐久性といった性能の向上が意味される。
【0033】
アミンR
1(−NH
2)
nを選択することに関する別の特別に有利な可能性は基R
1がアミン−カーボネート反応によるウレタン結合に対するβ位に形成されたヒドロキシルとは異なる少なくともn
2個のヒドロキシルを有すことができ、n
2個のヒドロキシルは前記で定義された環状無水物(IV)との連続反応により多くのエステル−酸基にも変換され、その後に酸官能基は本発明に従って上記で定義されたポリエポキシド化合物(V)との反応によりm’
*n
2個の追加のアクリル化またはメタクリル化末端基に変換され、この場合全体のアクリレートまたはメタクリレート基(官能基)の官能性はこのためm’
*n
2分、増加することである。この選択肢に従えば、n
2はアミン(II)当たり1から3個のヒドロキシルまで変化できる。1つのヒドロキシル基を有するモノアミン(II)の好適な例としては、エタノールアミン(または2−アミノエタノール)と、2個のヒドロキシル基については、2−アミノ−2−メチルプロパン−1,3−ジオールまたは3−アミノプロパン−1,2−ジオールが挙げられる。
【0034】
また上述したアミン(II)中に潜在的に存在するn
1およびn
2のヒドロキシルについての別の可能性は、上述の本発明に従って定義されたn
1個のヒドロキシルまたはn
2個のヒドロキシルの少なくとも1つがそれぞれ追加の官能性がこの場合少なくともm’であるアクリレートまたはメタクリレートに変換されることである。このことは、ヒドロキシルの変換が完全な変換ではないかもしれないことを意味し、その場合には最終オリゴマー中に、本発明のオリゴマー当たりn
1−1=n−1およびn
2−1までの遊離のヒドロキシルが存在するであろう。
【0035】
同様に、特定の場合、アミン(II)とカーボネート(III)の反応に由来するヒドロキシルがすべてアクリレートまたはメタクリレートに変換されないことが可能である(n個のヒドロキシルの少なくとも1つが実際に変換される)。これは、nが少なくとも2である場合のみ有効であり、n=1の場合で少なくとも1つのヒドロキシルが変換された場合、これは、形成されたヒドロキシルに対して完全な変換を意味するからである。最終的なオリゴマーに残った遊離残留ヒドロキシルの総数に依存して、このオリゴマーは、本発明に従ったオリゴマーが有するアクリレートまたはメタクリレートに対し、グラフト化反応(アクリレートまたはメタクリレート官能性が1に等しい場合)、または例えば、二無水物またはメラミンまたはポリイソシアネートまたはシラン等の適切な架橋剤の存在下での、重縮合または重付加経路による架橋反応(この架橋は二重であり、ラジカル経路によって、例えば、紫外線放射等の放射線によって、または過酸化物によって、または重ね合わされた両者によって(ハイブリッド経路)、それに重畳される)に適切なOH価を有するであろう。
【0036】
本発明のオリゴマーの好ましい場合によると、オリゴマーは、アクリレートおよび/またはメタクリレート基に加えて、好ましくはオリゴマー当たり少なくとも2個の遊離ヒドロキシル基を有する。
【0037】
アミンR
1(−NH
2)
n(II)の選択のための他の特定の選択肢によれば、後者は線状または分岐状または超分岐またはデンドリマー構造の、1500未満、好ましくは750未満の数平均重量Mnを有するオリゴマーであり得、後者は重量単位当たりの高い官能性のため、および末端アクリレートまたはメタクリレート基の均一な分布によって特に有利である。
【0038】
この選択肢によれば、アミンR
1(−NH
2)
n(II)は特にポリアルキレンイミン(ここでアルキレンは、好ましくは、エチレン、プロピレンまたはブチレン(テトラメチレン)、より好ましくはエチレンである)、またはポリエーテルアミンまたはポリアミドアミンまたはポリエステルアミドアミンまたはアミン−エポキシド付加プレポリマーまたはR
1基として、脂肪酸二量体(C
36)または三量体(C
54)に対応するまたはこれに基づく脂肪鎖を有するアミンに基づくオリゴマーとすることができる。
【0039】
より具体的には、前記の式(I)で表されるオリゴマーを含むまたは該オリゴマーからなるようなウレタンオリゴマーは、以下の連続反応の生成物とすることができる。
i)その環の中に、−CH(R
2)−(CH
2)
r−CH(R
2)−基を含む環状カーボネート(III)とアミンR
1(−NH
2)
n(II)との間のカーボネート−アミン反応であって、R
1が有するn個のウレタン基を形成し、各ウレタン基はβ位にヒドロキシルを有する反応、
ii)その環の中に2価の有機基R
3を含む環状無水化合物(V)による、前記結合に対するβ位で生成されたヒドロキシル基の少なくとも1つのエステル化であって、好ましくは全ヒドロキシルのエステル化であり、ヒドロキシルの代わりにエステル−酸基を形成するエステル化、
iii)エステル−酸基の酸基の、m個のエポキシド(R
4基の前駆体であり、価数mの有機基R
5が有するものであり、mは少なくとも2である)を有するエポキシド化合物(V)との反応であって、エステル−酸の各酸基の代わりにm’=m−1個のエポキシド基を有するエステルを形成する反応、そして反応iii)後に以下の反応が続く、
iv)エステル−エポキシド基のm−1個のエポキシド基のアクリル酸および/またはメタクリル酸との反応、
または、場合により反応iii)においてエポキシド化合物(V)が反応iii)の前にまたは反応iii)と同時に、反応iii)と同時の場合には、エポキシド化合物(V)ならびにアクリル酸および/またはメタクリル酸との間の同時反応(エポキシド化合物(V)1モル当たりm’=m−1モルのアクリル酸および/またはメタクリル酸のモル比で)により、m−1個のアクリル化および/またはメタクリル化エポキシド基(m’=m−1>1の場合には混合物)を有するアクリル化および/またはメタクリル化化合物(VI)に置き換えられ、同時反応の場合にはiv)に従うその後の反応は起こらず、
R
1、R
2、R’
2、R
3、R
4、R
5、n、rおよびmは前記の式(I)で定義した通りである。
【0040】
本発明の第二の主題は、少なくとも以下の段階を含む、本発明に従って上記で定義されたオリゴマーを調製する方法である。
i)環状モノカーボネート(カーボネート)(III)とモノアミンまたは第一級アミン官能性nのポリアミン(II)との間のカーボネート−アミン反応であって、n個のウレタン基が形成され、ウレタン基当たり、前記結合に対しβ位にヒドロキシルが形成される(即ちこのように作成されたウレタン結合と同じだけn個のヒドロキシルが発生した)反応、
ii)環状無水化合物(IV)による、ウレタン結合に対してβ位に生じた(n)個のヒドロキシル基から少なくとも1つのエステル化、好ましくは全ヒドロキシルのエステル化であって、β位のヒドロキシルの代わりにエステル−酸基が形成されるエステル化、
iii)エステル−酸基の酸基の、m個のエポキシド(mは少なくとも2に等しい)を有するポリエポキシド化合物(V)のエポキシド基との反応であって、形成された新しいエステルの各々はm’=m−1個のエポキシド基を有する反応、
iv)m’個のアクリレートおよび/またはメタクリレート基を形成するためのm’=m−1個のエポキシド基のアクリル酸および/またはメタクリル酸との反応、
ここで、段階iii)のための以下の代替選択肢は次のとおりである、
iiia)ポリエポキシド(エポキシド)化合物(V)は、既に前アクリル化および/または前メタクリル化された(反応iii)の前ならばアクリレート/メタクリレートの混合物)m’=m−1個のエポキシド基を有するアクリル化および/またはメタクリル化等価物(VI)で置き換えられる、または
iiib)アクリル化および/またはメタクリル化化合物(VI)は反応iii)と同時に、この場合段階iii)の反応と同時にエポキシド化合物(V)とアクリル酸またはメタクリル酸との間のエポキシド化合物(V)1モル当たりm−1モルのアクリル酸またはメタクリル酸のモル比での反応により、形成され、
その場合には、選択肢iiia)またはiiib)に従って、段階iv)が存在すべき理由はない。
【0041】
前記調製方法の代替形態によれば、アミンR
1(NH
2)
nが有する前記で定義されたそれぞれn
1またはn
2個のヒドロキシルの少なくとも1つが上記方法で定義された段階i)、ii)、iii)またはiv)の反応に従ってアクリレートおよび/またはメタクリレートに変換されている点で、オリゴマーは上記pで定義されたものに対し追加の官能性を有する。
【0042】
段階i)の反応は、20から100℃の、好ましくは20から60℃の温度範囲で行うことができる。
【0043】
段階ii)の反応は、触媒ありでまたは触媒なしで、60から120℃の範囲で行うことができる。使用することができる触媒の例としては、酢酸ナトリウムまたは第三級アミンが挙げられる。
【0044】
段階iii)、iiia)およびiiib)の反応は、第三級または第四級アミンまたは対応する第四級アンモニウム塩または有機クロム(III)塩またはホスフィンのような触媒の存在下で、50から100℃、好ましくは60から100℃の温度範囲で行うことができる。
【0045】
本発明によって包含される別の主題は、本発明に従って上記で定義された、または本発明に従って定義された方法により得られた、少なくとも1つのオリゴマーを含む、重合性の、特に架橋性の、組成物に関する。架橋性組成物は、特に以下の形態において選択される:コーティング組成物、より詳細には、塗料、ワニス、インク、接着剤もしくはゲルコート組成物、または連続層による3D(3次元)物品のための組成物、または架橋性成形組成物または複合組成物または漏れ止め剤組成物または化学シーリング組成物。反応性成分当たりの反応性基の数平均官能性が、ラジカル経路により反応するエチレン性不飽和に対しては少なくとも2、縮合反応または重付加に対しては2を超える場合、組成物は架橋性である。これはすでに、少なくとも2のアクリレートまたはメタクリレート官能性を有する本発明のオリゴマーを含む組成物の場合にあてはまる。架橋は、架橋剤がオリゴマーと共重合できる少なくとも2つの不飽和を有するか、本発明のオリゴマーの官能基と縮合または付加できる2を超える官能基を有するという事実でもある。従って、前記組成物の架橋性特性は、オリゴマーの官能性および/または組成物中に存在する架橋剤の官能性に関連でき、両方の可能性を包含する。3D物品は、最終の架橋した3D物品が得られるまで連続した層において3D形状に従った堆積および架橋によって得られる。
【0046】
架橋可能な選択肢に対する代替選択肢として、組成物は本発明で定義されるオリゴマーに加えて、ラジカル経路、好ましくは放射経路、特にUV放射経路、および過酸化物経路または、特に適切な架橋剤を用いた縮合による架橋反応および(縮合に)重ね合わされたラジカル反応に依存できる二重経路によって共重合できる少なくとも1つのコモノマーを好ましくは含むグラフト化ポリマーを製造するための重合性組成物とすることができる。
【0047】
本発明によって包含される別の主題は、重合可能なウレタン結合剤としての、上述した本発明のオリゴマーの使用に関し、この使用は、イソシアネートのいかなる使用も含まず、より具体的には、最終用途が前記オリゴマーを含んだ限り、好ましくは調製からイソシアネートおよびスズ系触媒を使用しない。オリゴマーが、少なくとも2という全体的なアクリレートおよび/またはメタクリレートの官能性を有する場合、それは、架橋性組成物、特にコーティング組成物、例えば、塗料、ワニス、インク、接着剤およびゲルコートまたは連続層による3D(3次元)物品のための組成物、または成形組成物または複合組成物(特にファイバに基づくもの)または漏れ止め剤組成物または化学シーリング組成物中で、架橋性結合剤として特に使用される。
【0048】
さらにより具体的な使用は、上記で定義され、オリゴマー当たり少なくとも2個のアクリレート基および/またはメタクリレート基、およびさらに少なくとも2個の遊離ヒドロキシル基を有するオリゴマーに関し、二重経路および/またはハイブリッド経路、特にラジカル経路、例えば、放射および過酸化物により架橋でき、および二無水物、ポリイソシアネートもしくはメラミンまたはシランであり得る適切な架橋剤を用いた、前記官能基を含む縮合経路による架橋に重畳することができる組成物中の有機結合剤として使用される。
【0049】
別の用途(このとき、アクリレートおよび/またはメタクリレートにおいて単官能性である本発明のオリゴマーに関する)は、特に、共重合性コモノマーの存在下で、グラフト化ポリマーの製造におけるマクロモノマーとしての使用である。
【0050】
最後に、本発明は、本発明に従って上記で定義された少なくとも1つのオリゴマーを用いて得られ、特に、コーティング、連続層により得られた3D物品、成形品、複合材料、漏れ止めシールまたは化学的シールから選択される完成品または物品に関する。
【実施例】
【0051】
1)本発明によるオリゴマーの調製
【0052】
[実施例1]
341.02gのPriamine(R) 1075(Croda、アミン官能基当たりの当量M
f275g、脂肪酸二量体からのC
36脂肪族ジアミン)、0.06gのトリフェニルホスファイトを1リットルの反応器に導入する。室温で攪拌下、122.69gのプロピレンカーボネート(Huntsman、Mw102g/モル)を一定流速で1時間かけて添加する。約15℃の発熱が観察される。添加終了時、混合物の温度を60℃に到達させる。60℃で1時間反応させた後、13.41gのアクリル酸、1.23gの2,4,6−トリメチル−p−クレゾール、1.23gのHQME(ヒドロキノンメチルエーテル)および124.13gの無水コハク酸を混合物に添加する。媒体温度を90℃に上昇させる。反応の進行は全酸価を測定することによって監視される。全酸価が181mg KOH/g未満のとき、316gのブタンジオールジグリシジルエーテル(EMS−M
f=127.5g/モルのエポキシド官能基)、67.0gのアクリル酸および2.1gのテトラエチルアンモニウムクロリドを混合物に添加し、温度を120℃まで到達させる。反応の進行は、酸価およびエポキシ価を測定することにより監視される。酸価とエポキシ価ENの間の差を3に維持するために(AN+3=EN)、アクリル酸および/またはトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルの添加を行う。酸価ANが2mg KOH/g未満であり、エポキシ価ENが5mg KOH/g未満であるときに、反応を停止させる。
【0053】
【表1】
【0054】
[実施例2]
256.20gのPriamine(R) 1075(Croda−M
f=275g/モルのアミン官能基)、0.05gのトリフェニルホスファイトを1リットルの反応器に導入する。室温で攪拌下、92.18gのプロピレンカーボネート(Huntsman、Mw102g/モル)を一定流速で1時間かけて添加する。約15℃の発熱が観察される。添加終了時、混合物の温度を60℃に到達させる。60℃で1時間反応させた後、20.15gのアクリル酸、0.92gの2,4,6−トリメチルーp−クレゾール、0.93gのHQMEおよび93.26gの無水コハク酸を混合物に添加する。媒体温度を90℃に上昇させる。反応の進行は全酸価を測定することによって監視される。全酸価が152mg KOH/g未満のとき、169.75gのトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(EMS−M
f=149.6g/モルのエポキシド官能基)、100.76gのアクリル酸および2.1gのテトラエチルアンモニウムクロリドを混合物に添加し、温度を120℃まで到達させる。反応の進行は、酸価およびエポキシ価を測定することにより監視される。酸価とエポキシ価ENの間の差を3点に維持するために(AN+3=EN)、アクリル酸および/またはトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルの添加を行う。酸価が2mg KOH/g未満であり、エポキシ価が5mg KOH/g未満であるときに、反応を停止させる。
【0055】
【表2】
【0056】
2)調製された生成物の特性
【0057】
【表3】
【0058】
塗付特性は、本発明のウレタンアクリレートおよびDarocur 1173光開始剤の96/4w/w比の混合物から出発して120W/cmの「フュージョン」UVランプの下で架橋されたフィルム上で測定される。
【0059】
使用された方法
反応性(架橋速度)の決定:混合物はコントラストチャート(Penoparc charts form 1B(R)、Leneta)に12μmのフィルムとして塗布し、その後、120W/cm Hgフュージョンランプを用いて架橋する。手で触れられる程度に乾燥しているフィルムを得るために必要な通過の最小速度(m/分)が測定される。
【0060】
硬さ、柔軟性、耐アセトン性の次のテストについて、光架橋フィルムを、架橋後および測定の前に24時間エアコンの部屋(T=23℃)に置く。
【0061】
ペルソー硬さの決定:試験されるべき混合物をガラスシート上に100μmのフィルムとして塗布し、次いで8m/分の速度で120W/cm Hgフュージョンランプを用いて架橋する。
【0062】
振動が減衰する前(12°から4°への振幅の変化)にコーティングされたガラスシートと接触している振り子の振動数を規格ISO 1522に従ってを測定する。
【0063】
柔軟性の決定:混合物を25/10mmの厚さの平滑な鋼シート(D−46(R) Q−Panel)上に100μmのフィルムとして塗布し、次いで8m/分の速度で120W/cm Hgフュージョンランプを用いて架橋する。
【0064】
コーティングされたシートを規格ISO 1519に従って円筒状のマンドレル上で曲げる。この結果を、割れたり、支持体から剥がれたりぜずにコーティングすることができる曲率の最小半径の値(mm)で表現する。
【0065】
耐アセトン性の決定:混合物をガラスシート上に12μmのフィルムとして塗布し、次いで8m/分の速度で120W/cm Hgフュージョンランプを用いて架橋する。コーティングをアセトンに浸したぼろ切れで擦る。結果は、それを超えるとフィルムが剥離および/または崩壊する時間(秒で表される)である。