特許第6111389号(P6111389)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6111389
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】包装材の製造方法及び包装材
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20170403BHJP
【FI】
   B65D65/40 D
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-123702(P2016-123702)
(22)【出願日】2016年6月22日
【審査請求日】2016年6月22日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】714011259
【氏名又は名称】下村 恭一
(73)【特許権者】
【識別番号】598113771
【氏名又は名称】株式会社ダイドー
(72)【発明者】
【氏名】下村恭一
【審査官】 吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−367454(JP,A)
【文献】 特開昭59−026286(JP,A)
【文献】 特開2007−139539(JP,A)
【文献】 実開昭62−157219(JP,U)
【文献】 特表2004−514618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の印刷ユニットを有するグラビア印刷機を用い、全面にアルミ蒸着が施されたアルミ蒸着フィルムの非アルミ蒸着面に、所望の絵柄でグラビア印刷を行った後、該アルミ蒸着フィルムを反転装置に搬送し、次いでアルミ蒸着面に、非アルミ蒸着面の絵柄に見当を合わせて所望の絵柄でグラビア印刷を行い、後段の印刷ユニットでアルミ蒸着面の絵柄に見当を合わせてアルミ蒸着層を消失させる前記絵柄の非印刷部にアルミ蒸着層と反応し該アルミ蒸着層を消失させるアルカリ物質を含有するアルミ蒸着消失水溶性インキで印刷してアルミ蒸着層を消失させた後、後段の印刷ユニットで反応を終えたアルミ蒸着消失水溶性インキを水で洗い流す、までの加工をグラビア印刷機で一連の工程として行い、該アルミ蒸着フィルムのアルミ蒸着層を部分的に消失させることで、両面にグラビア印刷が施され該両面の印刷絵柄とアルミ蒸着層を部分的に消失させた部分の見当があっている印刷物を作成し、該印刷物の両面または片面に基材フィルムもしくはシーラントフィルムを積層したことを特徴とする包装材の製造方法。
【請求項2】
アルミ蒸着フィルムの両面に印刷され、絵柄見当が合ったグラビア印刷絵柄を有し、更に前記アルミ蒸着フィルムのアルミ蒸着面に前記グラビア印刷絵柄が印刷されないアルミ蒸着層の全部又は一部が消失した透明部を有する印刷物で、前記アルミ蒸着フィルムの両面に印刷された前記グラビア印刷絵柄と前記透明部の絵柄見当が合っている前記印刷物の、両面または片面に透明基材フィルムもしくは透明シーラントフィルムを接着剤等により積層してなる請求項1の製造方法により製造したことを特徴とする包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミ蒸着フィルムの表・裏面に見当を合わせた絵柄をグラビア印刷し、所望の絵柄でアルミ蒸着層を消失させることにより、表・裏面の絵柄がアルミ蒸着層により隠ペイされることにより鮮明になり、更にアルミ蒸着消失部を設けることで、内容物を見ることができる印刷物とし、シーラントフィルムなどを積層することで包装材を製造する製造方法及びこのように製造された印刷物に透明基材フィルム又は透明シーラントフィルムなどを積層することで得られる包装材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装材において、表・裏面に絵柄を付けることにより表・裏面を有効に使用し製品広告や販売促進に活用することは良くある。しかし表面は表面から見ることができるだけであり、また裏面は裏面から見ることができるだけであった。
【0003】
たとえば、歯ブラシなどのブリスター台紙やカップラーメンなどの蓋材と呼ばれるものは、紙、アルミ箔、アルミ蒸着フィルムの不透明な層を積層構成に含み、不透明な層の外面、内面に印刷されており、それぞれの面の絵柄や広告が見えるものであった。
【0004】
また、スライスハムの蓋材などに使われる、透明基材フィルムを使用し両面にグラビア印刷を施す場合は、表・裏面の絵柄が干渉しないように、絵柄の濃度を淡くし、また表・裏面の絵柄を隠ペイするためバックとなる白印刷を濃くする工夫がされた。このような工夫だけでは、表・裏面の絵柄の影響をなくすことは出来なかった。
【0005】
このように、両面に印刷を行う包装材には、種々の意匠表現での制約があり、三方袋、ピロウー袋、ガセット袋などには、両面印刷がされないのが一般的である。隠ペイ性がある材料を包装材の層構成に使用した場合は、内容物が充填され袋になれば内面を見る事が出来ず、透明性がある材料で包装材の構成とした場合は、表・裏面の絵柄が干渉し合い意匠性を損なうからである。
【0006】
絵柄の隠ペイ性を有し 内容物が見えるようにする方法としては、パスタ―法やシーライト法など、部分的にアルミ蒸着を消失する方法がある。これらの方法は、内容物を見せることができ、かつ意匠性を高めることを目的としている。しかし、これらの方法では、裏面に異なる意匠を設け、意匠性に自由度を持たすことで販売促進効果や広告効果をさらに高めことは出来なかった。
【0007】
他の方法として、<1>アルミ蒸着を予めストライプ状に形成したフィルムとグラビア印刷されたフィルムとを、幅方向の見当を合わせてラミネートする方法。<2>グラビア印刷されたフィルムを作成し、該グラビア印刷されたフィルムにアルミ蒸着をストライプ状に形成する方法。<3>グラビア印刷されたフィルムにアルミ蒸着が必要な部分だけにアルミ蒸着フィルムを部分的にラミネートする方法などがある。
【0008】
また、これらの方法においてアルミ蒸着層の表・裏面に印刷絵柄のある包装材とするために、アルミ蒸着層として見える面に透明フィルムにグラビア印刷が施されたフィルムを貼り合わすことができる。しかし横方向の見当を合わせた包装材を製造することができても、縦・横方向の見当を合わせた任意の絵柄を持つ包装材を製造することはできない。いずれも、部分ストライプ蒸着の意匠であり、貼り合せによりアルミ蒸着層の表・裏面に印刷絵柄を付与することは出来るが、意匠表現に自由度のないものである。
【0009】
アルミ蒸着フィルムにグラビア印刷が施され、パスタ―加工などで透明部を有するフィルムに加工し、再度グラビア印刷機でアルミ蒸着面側に、すでに印刷された絵柄に見当を合わせてグラビア印刷することは、印刷機の制御技術の進歩で可能とはなっているが、生産効率が悪く、工程でのロスが多くなり、本発明に優るものではない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
アルミ抜き加工用、ラミネート加工用インキ、VM−PEARL(NT−1) 大日精化工業株式会社NO.2010.4.1.テクニカルインフォメーション
【0011】
エッチング技術(パスタ―加工)化学エッチング、水性エッチング 株式会社麗光ホームページ技術情報
【0012】
パターニング加工、シーライト(水性)加工、オパール(化学)加工・ストライプ加工尾池工業株式会社ホームページ製品案内
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、アルミ蒸着層を有し、表面にグラビア印刷により任意の絵柄が付与され、部分的にアルミ蒸着層を消失させることで内容物が見ようにした包装材であって、さらに内容物が包まれる包装材の内面においてもグラビア印刷により絵柄が付与されている印刷物を製造する方法を提供し、且つ印刷物に透明な基材フィルムやシーラントフィルムを積層した包装材の製造方法及び包装材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の包装材の製造方法は、複数の印刷ユニットを有するグラビア印刷機を用い、全面にアルミ蒸着が施されたアルミ蒸着フィルムの非アルミ蒸着面に、所望の絵柄でグラビア印刷を行った後、該アルミ蒸着フィルムを反転装置に搬送し、次いでアルミ蒸着面に、非アルミ蒸着面の絵柄に見当を合わせて所望の絵柄でグラビア印刷を行い、後段の印刷ユニットでアルミ蒸着面の絵柄に見当を合わせてアルミ蒸着層を消失させる前記絵柄の非印刷部にアルミ蒸着層と反応し該アルミ蒸着層を消失させるアルカリ物質を含有するアルミ蒸着消失水溶性インキで印刷してアルミ蒸着層を消失させた後、後段の印刷ユニットで反応を終えたアルミ蒸着消失水溶性インキを水で洗い流す、までの加工をグラビア印刷機で一連の工程として行い、該アルミ蒸着フィルムのアルミ蒸着層を部分的に消失させることで、両面にグラビア印刷が施され該両面の印刷絵柄とアルミ蒸着層を部分的に消失させた部分の見当があっている印刷物を作成し、該印刷物の両面または片面に基材フィルムもしくはシーラントフィルムを積層したことを特徴とする。
【0015】
本包装材の製造方法は、基材フィルムの一方の面にアルミ蒸着が全面に施されたアルミ蒸着フィルムを用い多色印刷ができるグラビア印刷機により、非アルミ蒸着面に任意の絵柄を印刷し、次いで該フィルムを反転させアルミ蒸着面に前記アルミ蒸着面に印刷した任意の絵柄に、見当を合わせ任意の絵柄を印刷することで両面にグラビア印刷を施し更にアルミ蒸着層を除去するために、所望の透明部にアルミ蒸着層と反応し該アルミ蒸着層を消失させるアルカリ物質を含有するアルミ蒸着消失水溶性インキでグラビア印刷を施し乾燥フードでの加熱によりアルカリ物質とアルミ蒸着とを反応させることによりアルミ蒸着層を消失させた後、後段の印刷ユニットを使用してアルミ蒸着層を消失させるアルカリ物質を含有するアルミ蒸着消失水溶性インキと消失したアルミ蒸着層を、水により洗い流すことにより、アルミ蒸着層が除去される。
【0016】
次に、このようにして製造したアルミ蒸着を施した基材フィルムの表・裏面に所望の絵柄のグラビア印刷し、アルミ蒸着消失水溶性インキによりアルミ蒸着層を消失させ更にアルミ蒸着消失水溶性インキ及びアルミ蒸着層を水で洗い流して透明部とした印刷物の両面または片面に、基材フィルムもしくはシーラントフィルムを積層することにより本発明の包装材を製造する製造方法である
【0017】
アルミ蒸着層フィルムに両面印刷、アルミ蒸着層の消失、更にアルミ蒸着層の消失部分の洗浄除去をグラビア印刷機で行うことにより、アルミ蒸着層が除去され部分的に透明部を有し更に両面印刷が施された所望絵柄を有する印刷物をグラビア印刷一連の印刷ユニットを用いて、製造することが出来る。
【0018】
グラビア印刷機の印刷ユニット数が少ない場合は、アルミ蒸着層フィルムの両面に見当を合わせて印刷を行い、次いでアルミ蒸着層を消失させるアルミ蒸着消失水溶性インキまでの印刷を行い、一旦印刷物を巻き取りにした後、該巻き取りを用いアルミ蒸着消失水溶性インキ及び消失したアルミ蒸着層を水で洗い流して除去する工程は別の工程とすることもできる。
【0019】
アルミ蒸着層を消失させるために使用するアルミ蒸着消失水溶性インキは、水溶性樹脂、水、低分子アルコール、アルカリ物質。界面活性剤を主成分とするものである。水溶性樹脂としてはセルロース系の樹脂、アルカリ物質としては水酸化ナトリウムが好ましい。例えば、アルミ蒸着消失水溶性インキとしては、株式会社昭和インク工業所製、インキ名称:VMS−A No.16が商品化されている。
【0020】
本発明に使用できるアルミ蒸着消失水溶性インキについては、本発明者らが、特願2015−214531にインキ処方について詳細に記載している。
【0021】
本発明において、アルミ蒸着消失水溶性インキを用いアルミ蒸着層を消失させる所望の絵柄でグラビア印刷を行い、後段の印刷ユニットでアルミ蒸着消失水溶性インキ及びアルミ蒸着層を洗浄により除去する方法については、本発明者が、特願2015−189101、特願2015−235901、特願2015−189131、特願2016−10884、特願2015−212002にグラビア印刷方法及びグラビア印刷装置について詳細に記載している。
【0022】
本発明の包装材の製造方法について詳細に説明を加えるために、図1から図5を用いて説明する。
【0023】
図1はアルミ蒸着フィルム(1)の非アルミ蒸着面に所望の絵柄でインキ(3)を用いグラビア印刷を行い、グラビア印刷機の反転装置を経て、アルミ蒸着面に所望の絵柄でインキ(4)を用い非アルミ蒸着面の絵柄に見当を合わせて、グラビア印刷を行い、次にアルミ蒸着消失水溶性インキ(5)をグラビア印刷した状態を示すものである。
【0024】
本発明に使用するアルミ蒸着フィルム(1)としては、アルミ蒸着延伸ポリエステルフィルム、アルミ蒸着延伸ナイロンフィルム、アルミ蒸着延伸ポリプロピレンフィルムなどを使用することができる。
【0025】
非アルミ蒸着面のグラビア印刷に使用するインキ(3)としては、ウレタン系インキが望ましい。該インキ面にフィルム基材を積層しない場合は、表刷り用途のインキを使用すれば良い。アルミ蒸着面のグラビア印刷に使用するインキ(4)は、塩酢ビ系インキを使用し、次いで、アルミ蒸着消失水溶性インキ(5)を印刷する。
【0026】
図1は、アルミ蒸着消失水溶性インキ(5)を印刷した直後の状態を示すものであり、図2は次の洗いユニットに入る時点の状態で、アルミ蒸着が消失している層(6)の状態を示している。
【0027】
図3は、アルミ蒸着消失水溶性インキ(5)を後段のグラビア印刷ユニットで水洗除去して、アルミ蒸着とアルミ蒸着消失水溶性インキ(5)の反応物を除去した状態を示している。グラビア印刷機でアルミ蒸着フィルム(1)にインキ(3)、インキ(4)を用いアルミ蒸着フィルム(1)の両面にグラビア印刷を行い、次いでアルミ蒸着消失水溶性インキ(5)の印刷を行った後、後段の印刷ユニットでアルミ蒸着消失水溶性インキ(5)とアルミ蒸着が反応した図2のアルミ蒸着が消失した層(6)を洗浄除去することで図3の状態にすることができる。
【0028】
図4は、透明部(7)を有し両面にグラビア印刷を施したアルミ蒸着フィルム(1)の両面に基材フィルム(9)とシーラントフィルム(10)を、ドライラミネート法で、接着剤(8)を使用し貼り合せて包装材とした状態を示す。
【0029】
基材フィルム(9)としては、延伸ポリエステルフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、エバールフィルム、各種フィルムにガス・水分をバリアーする膜が形成されたフィルムなど透明なフィルムを使用することができる。シーラントフィルム(10)としては、ポリエチレンフィルム、未延伸ポリプロピレンフィルムなど熱シール性を持つフィルムなどを使用することができる。
【0030】
図4は、印刷を行ったアルミ蒸着フィルム(1)の蒸着面側にシーラントフィルム(10)を、貼り合せたが、これに制約されるものではない。印刷される絵柄の特徴により決めればよい。アルミ蒸着フィルム(1)の蒸着面が絵柄の意匠に影響する点としては、蒸着面に白インキを直接グラビア印刷されたものと、アルミ蒸着フィルム(1)のフィルム面に白インキをグラビア印刷されたものとを比較すると、後者は白が際立って白くなることを考慮すればよい。図5はアルミ蒸着フィルム(1)の蒸着面を、図4と逆にした包装材であり、求められる絵柄意匠性により図4又は図5の構成を選択すればよい。図4においては、インキを印刷しないアルミ蒸着層の一部を、図5においては、インキを印刷しないアルミ蒸着層の全部を、消失させ除去している。
【0031】
本発明の包装材は、複数の印刷ユニットを有するグラビア印刷機を用い、全面にアルミ蒸着が施されたアルミ蒸着フィルムの非アルミ蒸着面に、所望の絵柄でグラビア印刷を行った後、該アルミ蒸着フィルムを反転装置に搬送し、次いでアルミ蒸着面に、非アルミ蒸着面の絵柄に見当を合わせて所望の絵柄でグラビア印刷を行い、後段の印刷ユニットでアルミ蒸着面の絵柄に見当を合わせてアルミ蒸着層を消失させる前記絵柄の非印刷部にアルミ蒸着層と反応し該アルミ蒸着層を消失させるアルカリ物質を含有するアルミ蒸着消失水溶性インキで印刷してアルミ蒸着層を消失させた後、後段の印刷ユニットで反応を終えたアルミ蒸着消失水溶性インキを水で洗い流す、までの加工をグラビア印刷機で一連の工程として行い、該アルミ蒸着フィルムのアルミ蒸着層の全部又は一部が消失した透明部とすることで、両面にグラビア印刷が施され該両面の印刷絵柄とアルミ蒸着層を部分的に消失させた部分の見当があっている印刷物を作成し、該印刷物の両面または片面に透明基材フィルムもしくは透明シーラントフィルムを接着剤等により積層してなる製造方法により製造したことを特徴とする。
【0032】
図6及び図7は、本発明のアルミ蒸着フィルム(1)のアルミ蒸着層(2)を所望の範囲で消失することで透明部(7)を設け、該アルミ蒸着フィルム(1)の表・裏面に任意の絵柄でグラビア印刷が施された印刷物を用い、各種のフィルムを積層することで意匠性を高め且つ包装される内容物の表示を可視化することが出来る包装材の構成を示すものである。該印刷物を用いる包装材の具体的な例として示したもので、これに限定するものでなく任意に透明基材フィルム(9)や透明シーラントフィルム(10)を選択し積層すればよく、さらにホットメルト剤(17)等のヒートシール剤を積層することにより各種の構成の包装材として使用することが出来る。
【0033】
図6は、平袋やスタンドパックなどに使用する包装材の具体的な構成例を示し、図7は、ブリスターパックの蓋材として使用する包装材の具体的な構成例を示したものである。実施例で詳細な説明を加える。
【発明の効果】
【0034】
本発明により、アルミ蒸着フィルムのアルミ蒸着層を所望の範囲で消失することで透明部を設け、該アルミ蒸着フィルムの表・裏面に任意の絵柄でグラビア印刷が施された包装材とすることができる。これにより、包装材に透明部が設けられ、アルミ蒸着の金属感、白色の鮮やかさなど、意匠性が向上すると共に、意匠選択の自由度が広がることで、内容物を購入者に見てもらうだけでなく裏面の絵柄を含む意匠性の効果により販売促進され、印刷面積を大きくすることで消費者への商品説明などを充実させることができる。
【0035】
また、本製造方法においては、グラビア印刷工程で任意の絵柄を両面にグラビア印刷、アルミ蒸着消失インキの印刷、アルミ蒸着消失水溶性インキの洗い加工を行うことができるため、製造時間の短縮ができ、また印刷物で包装材の最終意匠を確認できるため、品質管理を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】アルミ蒸着フィルムの表裏面にグラビア印刷を施しアルミ蒸着消失水溶性インキをグラビア印刷した断面図
図2図1のアルミ蒸着とアルミ蒸着消失水溶性インキが反応した断面図
図3図2の反応層を洗い流し透明部を形成した断面図
図4図3に接着剤を使用し基材フィルムとシーラントフィルムを貼合せ包装材とした断面図
図5】アルミ蒸着フィルムのアルミ蒸着面を図4と逆にした包装材とした断面図
図6】平袋やスタンドパックなどに使用する包装材の構成例
図7】ブリスターパックの蓋材として使用する包装材の構成例
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0037】
図6は本発明の包装材の製造方法で製造した包装材の層構成を示したものである。
アルミ蒸着消失水溶性インキ(5)は印刷には使用するがアルミ蒸着層(2)を透明にした後、水洗除去するため包装材の層構成にはならないため、実施例1の図6及び実施例2の図7には表示されない。
【0038】
アルミ蒸着ポリエステルフィルム厚み12μ(11)のポリエステル面にウレタン樹脂系グラビアインキ〈白・墨・藍・赤・透明黄・透明ピンクの6色〉(12)でグラビア印刷を行い、反転装置を通過させアルミ蒸着面に塩酢ビ樹脂系グラビアインキ〈透明黄・藍の2色〉(13)でグラビア印刷を行い、次いでアルミ蒸着消失水溶性インキ(5)〈株式会社昭和インク製造所製、インキ名称:VMS−A No.16〉を印刷して透明部(7)を作成し、後段の印刷ユニットを使用しアルミ蒸着消失水溶性インキ(5)によりアルミ蒸着が消失した層を(6)を水で洗浄除去し所望の絵柄がグラビア印刷された印刷物を製造した。本印刷物の製造には、グラビア10色印刷機を使用した。
【0039】
ついで、延伸ポリエステルフィルム厚み16μ(14)に接着剤(8)を塗布し、前記印刷物のウレタン樹脂系グラビアインキ(12)印刷面と貼り合せ、該貼合せフィルムの塩酢ビ樹脂系グラビアインキ(13)印刷面に接着剤(8)を塗布し、未延伸ポリプロピレンフィルム厚み60μ(15)と貼合せ、所望の絵柄がグラビア印刷された包装材を製造した。
【0040】
本実施例の包装材を用いスタンドッパク形態に製袋を行い化粧液が充填された楕円柱の成型品の包装物とした。白色が鮮やかで、包装材透明部(7)より成型品である内容物が見え、包装材の内面に絵柄あることにより、立体感のある包装物とすることが出来た。
【0041】
本実施例の包装材を用いスタンドッパク形態に製袋を行い化粧液が充填された楕円柱の成型品の包装物とした。前面は大きな透明部(7)とし成型品の形状が見えるようにし、後面は成型品に印字された製造年月日を透明部(7)から確認できるようにした。また、包装材の内面は、アルミ蒸着の金属光沢を生かす透明黄と藍とし、成型品を引き立てるようにした。
【実施例2】
【0042】
図7にブリスターパック蓋材として使用する包装材の構成を示した。製造に当たっては実施例1と同様にアルミ蒸着ポリエステルフィルム厚み12μ(11)のポリエステル面にウレタン樹脂系グラビアインキ〈白・墨・藍・赤・透明黄・透明ピンクの6色〉(12)でグラビア印刷を行い、反転装置を通過させアルミ蒸着面に塩酢ビ樹脂系グラビアインキ〈透明黄・藍の2色〉(13)でグラビア印刷を行い、次いでアルミ蒸着消失水溶性インキ(5)(株式会社昭和インク製造所製、インキ名称:VMS−A No.16)を印刷して透明部(7)を作成し、後段の印刷ユニットを使用し水洗いを行い所望の絵柄がグラビア印刷された印刷物を製造した。本印刷物の製造には、グラビア10色印刷機を使用した。
【0043】
ついで、延伸ポリプロピレンフィルム厚み40μ(16)に接着剤(8)を塗布し、前記印刷物のウレタン樹脂系グラビアインキ印刷面と貼り合せ、該貼合せフィルムの塩酢ビ樹脂系グラビアインキ(13)印刷面にホットメルト剤(17)を塗布し、所望の絵柄がグラビア印刷された包装材を製造した。
【0044】
ブリスターパックの身材としてAPET100μのシートを、加熱圧空成型し、化粧液が充填された楕円柱の成型品を収納する凹部を形成し該楕円柱の成型品を収納した後、両面に絵柄を設けアルミ蒸着層(2)を部分的に除去し透明部(7)を設けた包装材を用い熱シールでブリスターパックの蓋材として使用し包装物とした
【0045】
ブリスターパック形態に化粧液が充填された楕円柱の成型品が収納された包装物は、前面は透明な絞り材で成型品の形状が見えるようにし、蓋材として本発明のアルミ蒸着ポリエステルフィルム(11)のアルミ蒸着層(2)を所望の範囲で消失することで透明部(7)を設け、該アルミ蒸着ポリエステルフィルム(11)の表・裏面に任意の絵柄でグラビア印刷が施された印刷物を用い成型品に印字された製造年月日を透明部(7)から確認できるようにした。また、包装材の内面は、アルミ蒸着の金属光沢を生かす透明黄と藍とし、成型品を引き立てるようにした。
【符号の説明】
【0046】
1 アルミ蒸着フィルム
2 アルミ蒸着層
3 インキ(非アルミ蒸着面に設けられたインキ層)
4 インキ(アルミ蒸着面に設けられたインキ層)
5 アルミ蒸着消失水溶性インキ
6 アルミ蒸着消失水溶性インキによりアルミ蒸着が消失した層
7 透明部(6を水で洗浄除去した透明部)
8 接着剤
9 基材フィルム
10 シーラントフィルム
11 アルミ蒸着ポリエステルフィルム厚み12μ
12 ウレタン樹脂系グラビアインキ
13 塩酢ビ樹脂系グラビアインキ
14 ポリエステルフィルム厚み16μ
15 未延伸ポリプロピレンフィルム厚み60μ
16 延伸ポリプロピレンフィルム厚み40μ
17 ホットメルト剤
【要約】      (修正有)
【課題】任意の透明部を有するアルミ蒸着フィルムを使用する包装材において、アルミ蒸着フィルムの両面にグラビア印刷で任意の絵柄を施され、かつ透明部を有する基材フィルムを、グラビア印刷機で製造することができなかった。
【解決手段】全面(裏面)にアルミ蒸着が施されたアルミ蒸着基材フィルム1の非アルミ蒸着面に、所望の絵柄でグラビア印刷を行った後、該裏面のアルミ蒸着面に、非アルミ蒸着面の印刷絵柄に見当を合わせた所望の絵柄でグラビア印刷を施し、所望の絵柄を除くアルミ蒸着層2を消失させたい部分にアルミ蒸着消失インキを印刷し、アルミ蒸着層を消失させた後、アルミ蒸着消失インキを洗い流すことにより、アルミ蒸着基材フィルムのアルミ蒸着層が部分的に消失し、両面にグラビア印刷が施された印刷物とし、該印刷物の両面または片面に、基材フィルム9もしくはシーラントフィルム10を積層した包装材の製造方法及び包装材を特徴とする。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7