【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明
の包装材の製造方法は、複数の印刷ユニットを有するグラビア印刷機を用い、全面にアルミ蒸着が施されたアルミ蒸着フィルムの非アルミ蒸着面に、所望の絵柄でグラビア印刷を行った後、該アルミ蒸着フィルムを反転装置に搬送し、次いでアルミ蒸着面に、非アルミ蒸着面の絵柄に見当を合わせて所望の絵柄でグラビア印刷を行い、後段の印刷ユニットでアルミ蒸着面の絵柄に見当を合わせてアルミ蒸着層を消失させる前記絵柄の非印刷部にアルミ蒸着層と反応し該アルミ蒸着層を消失させるアルカリ物質を含有するアルミ蒸着消失水溶性インキで印刷してアルミ蒸着層を消失させた後、後段の印刷ユニットで反応を終えたアルミ蒸着消失水溶性インキを水で洗い流す、までの加工をグラビア印刷機で一連の工程として行い、該アルミ蒸着フィルムのアルミ蒸着層を部分的に消失させ
ることで、両面にグラビア印刷が施され
該両面の印刷絵柄とアルミ蒸着層を部分的に消失させた部分の見当があっている印刷物を作成し、該印刷物の両面または片面に基材フィルムもしくはシーラントフィルムを積層したことを特徴とする。
【0015】
本包装材の製造方法は、基材フィルムの一方の面にアルミ蒸着が全面に施されたアルミ蒸着フィルムを用い多色印刷ができるグラビア印刷機により、非アルミ蒸着面に任意の絵柄を印刷し、次いで該フィルムを反転させアルミ蒸着面に前記アルミ蒸着面に印刷した任意の絵柄に、見当を合わせ任意の絵柄を印刷することで両面にグラビア印刷を施し更にアルミ蒸着層を除去
するために、所望の透明部にアルミ蒸着層と反応し該アルミ蒸着層を消失させるアルカリ物質を含有するアルミ蒸着消失水溶性インキでグラビア印刷を施し乾燥フードでの加熱によりアルカリ物質とアルミ蒸着とを反応させることによりアルミ蒸着層を消失させた後、後段の印刷ユニットを使用してアルミ蒸着層を消失させるアルカリ物質を含有するアルミ蒸着消失水溶性インキと消失したアルミ蒸着層を、水により洗い流すことにより、アルミ蒸着層が除去される。
【0016】
次に、このようにして製造したアルミ蒸着を施した基材フィルムの表・裏面に所望の絵柄のグラビア印刷し、アルミ蒸着消失水溶性インキによりアルミ蒸着層を消失させ更にアルミ蒸着消失水溶性インキ及びアルミ蒸着層を水で洗い流して透明部とした印刷物の両面または片面に、基材フィルムもしくはシーラントフィルムを積層することにより本発明の包装材を製造する
製造方法である。
【0017】
アルミ蒸着層フィルムに両面印刷、アルミ蒸着層の消失、更にアルミ蒸着層の消失部分の洗浄除去をグラビア印刷機で行うことにより、アルミ蒸着層が除去され部分的に透明部を有し更に両面印刷が施された所望絵柄を有する印刷物をグラビア印刷
機の
一連の印刷ユニットを用いて、製造することが出来る。
【0018】
グラビア印刷機の印刷ユニット数が少ない場合は、アルミ蒸着層フィルムの両面に見当を合わせて印刷
を行い、次いでアルミ蒸着層を消失させるアルミ蒸着消失水溶性インキまでの印刷を行い、
一旦印刷物を巻き取りにした後、該巻き取りを用いアルミ蒸着消失水溶性インキ及び消失したアルミ蒸着層を水で洗い流して除去する工程は別の工程とすることもできる。
【0019】
アルミ蒸着層を消失させるために使用するアルミ蒸着消失水溶性インキは、水溶性樹脂、水、低分子アルコール、アルカリ物質。界面活性剤を主成分とするものである。水溶性樹脂としてはセルロース系の樹脂、アルカリ物質としては水酸化ナトリウムが好ましい。例えば、アルミ蒸着消失水溶性インキとしては、株式会社昭和インク工業所製、インキ名称:VMS−A No.16が商品化されている。
【0020】
本発明に使用できるアルミ蒸着消失水溶性インキについては、本発明者らが、特願2015−214531にインキ処方について詳細に記載している。
【0021】
本発明において、アルミ蒸着消失水溶性インキを用いアルミ蒸着層を消失させる所望の絵柄でグラビア印刷を行い、後段の印刷ユニットでアルミ蒸着消失水溶性インキ及びアルミ蒸着層を洗浄により除去する方法については、本発明者が、特願2015−189101、特願2015−235901、特願2015−189131、特願2016−10884、特願2015−212002にグラビア印刷方法及びグラビア印刷装置について詳細に記載している。
【0022】
本発明の包装材の製造方法について詳細に説明を加えるために、
図1から
図5を用いて説明する。
【0023】
図1はアルミ蒸着フィルム(1)の非アルミ蒸着面に所望の絵柄でインキ(3)を用いグラビア印刷を行い、グラビア印刷機の反転装置を経て、アルミ蒸着面に所望の絵柄でインキ(4)を用い非アルミ蒸着面の絵柄に見当を合わせて、グラビア印刷を行い、次にアルミ蒸着消失水溶性インキ(5)をグラビア印刷した状態を示すものである。
【0024】
本発明に使用するアルミ蒸着フィルム(1)としては、アルミ蒸着延伸ポリエステルフィルム、アルミ蒸着延伸ナイロンフィルム、アルミ蒸着延伸ポリプロピレンフィルムなどを使用することができる。
【0025】
非アルミ蒸着面のグラビア印刷に使用するインキ(3)としては、ウレタン系インキが望ましい。該インキ面にフィルム基材を積層しない場合は、表刷り用途のインキを使用すれば良い。アルミ蒸着面のグラビア印刷に使用するインキ(4)は、塩酢ビ系インキを使用し、次いで、アルミ蒸着消失水溶性インキ(5)を印刷する。
【0026】
図1は、アルミ蒸着消失水溶性インキ(5)を印刷した直後の状態を示すものであり、
図2は次の洗いユニットに入る時点の状態で、アルミ蒸着が消失している層(6)の状態を示している。
【0027】
図3は、アルミ蒸着消失水溶性インキ(5)を後段のグラビア印刷ユニットで水洗除去して、アルミ蒸着とアルミ蒸着消失水溶性インキ(5)の反応物を除去した状態を示している。グラビア印刷機でアルミ蒸着フィルム(1)にインキ(3)、インキ(4)を用いアルミ蒸着フィルム(1)の両面にグラビア印刷を行い、次いでアルミ蒸着消失水溶性インキ(5)の印刷を行った後、後段の印刷ユニットでアルミ蒸着消失水溶性インキ(5)とアルミ蒸着が反応した
図2のアルミ蒸着が消失した層(6)を洗浄除去することで
図3の状態にすることができる。
【0028】
図4は、透明部(7)を有し両面にグラビア印刷を施したアルミ蒸着フィルム(1)の両面に基材フィルム(9)とシーラントフィルム(10)を、ドライラミネート法で、接着剤(8)を使用し貼り合せて包装材とした状態を示す。
【0029】
基材フィルム(9)としては、延伸ポリエステルフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、エバールフィルム、各種フィルムにガス・水分をバリアーする膜が形成されたフィルムなど透明なフィルムを使用することができる。シーラントフィルム(10)としては、ポリエチレンフィルム、未延伸ポリプロピレンフィルムなど熱シール性を持つフィルムなどを使用することができる。
【0030】
図4は、印刷を行ったアルミ蒸着フィルム(1)の蒸着面側にシーラントフィルム(10)を、貼り合せたが、これに制約されるものではない。印刷される絵柄の特徴により決めればよい。アルミ蒸着フィルム(1)の蒸着面が絵柄の意匠に影響する点としては、蒸着面に白インキを直接グラビア印刷されたものと、アルミ蒸着フィルム(1)のフィルム面に白インキをグラビア印刷されたものとを比較すると、後者は白が際立って白くなることを考慮すればよい。
図5はアルミ蒸着フィルム(1)の蒸着面を、
図4と逆にした包装材であり、求められる絵柄意匠性により
図4又は
図5の構成を選択すればよい。
図4においては、インキを印刷しないアルミ蒸着層の一部を、図5においては、インキを印刷しないアルミ蒸着層の全部を、消失させ除去している。
【0031】
本発明の包装材は、複数の印刷ユニットを有するグラビア印刷機を用い、全面にアルミ蒸着が施されたアルミ蒸着フィルムの非アルミ蒸着面に、所望の絵柄でグラビア印刷を行った後、該アルミ蒸着フィルムを反転装置に搬送し、次いでアルミ蒸着面に、非アルミ蒸着面の絵柄に見当を合わせて所望の絵柄でグラビア印刷を行い、後段の印刷ユニットでアルミ蒸着面の絵柄に見当を合わせてアルミ蒸着層を消失させる前記絵柄の非印刷部にアルミ蒸着層と反応し該アルミ蒸着層を消失させるアルカリ物質を含有するアルミ蒸着消失水溶性インキで印刷してアルミ蒸着層を消失させた後、後段の印刷ユニットで反応を終えたアルミ蒸着消失水溶性インキを水で洗い流す、までの加工をグラビア印刷機で一連の工程として行い、該アルミ蒸着フィルムのアルミ蒸着層
の全部又は一部が消失した透明部とすることで、両面にグラビア印刷が施され該両面の印刷絵柄とアルミ蒸着層を部分的に消失させた部分の見当があっている印刷物を作成し、該印刷物の両面または片面に透明基材フィルムもしくは透明シーラントフィルムを接着剤等により積層してなる製造方法により製造したことを特徴とする。
【0032】
図6及び
図7は、本発明のアルミ蒸着フィルム(1)のアルミ蒸着層(2)を所望の範囲で消失することで透明部(7)を設け、該アルミ蒸着フィルム(1)の表・裏面に任意の絵柄でグラビア印刷が施された印刷物を用い、各種のフィルムを積層することで意匠性を高め且つ包装される内容物の表示を可視化することが出来る包装材の構成を示すものである。該印刷物を用いる包装材の具体的な例として示したもので、これに限定するものでなく任意に透明基材フィルム(9)や透明シーラントフィルム(10)を選択し積層すればよく、さらにホットメルト剤(17)等のヒートシール剤を積層することにより各種の構成の包装材として使用することが出来る。
【0033】
図6は、平袋やスタンドパックなどに使用する包装材の具体的な構成例を示し、
図7は、ブリスターパックの蓋材として使用する包装材の具体的な構成例を示したものである。実施例で詳細な説明を加える。