【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決すべく、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、表生地及び裏地を具備するボトム衣類において、後述するいわゆる煙突効果やフイゴ作用といった通気性や換気性を持たせることができれば、使用者に十分な涼しさを感じさせるクール機能を発揮できると考え、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、
表生地及び裏地を具備し、
前記裏地が、裏地本体部分と、前記表生地と同等以上の通気性を有する後ろヨーク部分と、を有し、股下乃至はクロッチ部から下方に5cm以上延びる丈を有すること、
を特徴とするボトム衣類、
を提供する。
【0011】
本発明のボトム衣類は、上記のとおりの構成を有することから、裏地において、後ろヨーク部分が他の部分よりも通気性が良いことを特徴とする。より具体的には、本発明のボトム衣類の裏地は、後ろヨーク部分と前ヨーク部分とを有するが、前ヨーク部分の通気性が良いと下腹部を冷やして健康を損なうおそれがあるため、後ろヨーク部分のみが通気性の良い構成を有しているのである。
【0012】
また、上記のように着用者に涼しさを提供する裏地付き「ボトム衣類」の表生地は、多くの場合、薄くて軽くて透け易く、通気性の高い素材である。本発明のボトム衣類においては、表生地の後ろヨーク部分の通気性の高さを損なわないように、裏地が設けられる。したがって、前記裏地本体部分の通気性が、前記表生地の通気性の0.5倍以下であること、が好ましい。
【0013】
更に、丈に関しては、当該後ろヨーク部分の丈を、股下から下方に5cm以上延びる丈とすることにより(即ち、裏地の後ろヨーク部分において、股下から下方に5cm以上延びる部分までを通気性の低い素材で構成することにより)、下着のクロッチ部の輪郭が表から透けて見えないことが好ましい。
【0014】
ここで、本発明の「ボトム衣類」とは、パンツ及びスカートのいずれをも含む概念であり、例えば、ロングパンツ、レギンス、スパッツ、ショートパンツ及びキュロット等のパンツ、並びにロングスカート、タイトスカート、フレアスカート及びショートスカート等のスカート及びワンピースのスカート部を含む。
【0015】
上記の本発明のボトム衣類においては、裏地の後ろヨーク部分が他の部分よりも通気性が良いため(即ち、裏地が高通気性の後ろヨーク部分を有しているため)、ボトム衣類内にこもった熱気が上昇気流となって、ボトム衣類の裏地の後ろヨーク上部から表生地を経て、外部に抜けていくように空気の通り道を形成し、いわゆる煙突効果を持たせることができ、ボトム衣類の内部に風を通して換気し使用者に涼しさを感じさせることができる。
【0016】
上記の本発明のボトム衣類においては、裏地の後ろヨーク部分が、裏地の後ろ身頃におけるヒップ頂点近傍からウエスト部までの領域に位置し、また、横方向において、前記後身頃の端部まで延びていること、が好ましい。このような構成によれば、例えば高温時に人間の皮膚温の上昇し易い部分において、ボトム衣類の上部からボトム衣類内にこもった熱気が上昇気流となって抜けていく空気の通り道を上下方向において確実に形成し、ボトム衣類の内部に風を通して換気し使用者に涼しさを確実に感じさせることができる。
【0017】
また、上記の本発明のボトム衣類においては、裏地の通気性の良い後ろヨーク部分が横方向において、少なくとも中心(例えば
図1における「点C」)から左右各5cmまで延びていること、が好ましい。このような構成によれば、ボトム衣類の上部からボトム衣類内にこもった熱気が抜けていく空気の通り道を左右(水平)方向において確実に形成し、ボトム衣類の内部に風を通して使用者に涼しさを確実に感じさせることができる。
【0018】
また、上記の本発明のボトム衣類においては、裏地の通気性の良い後ろヨーク部分の縦幅が1.5cm以上であること、が好ましい。このような構成によれば、通気性の良い後ろヨーク部分をより確実に形成することができ、ボトム衣類の上部からボトム衣類内にこもった熱気が抜けていく空気の通り道を上下方向において確実に形成し、ボトム衣類の内部に風を通して使用者に涼しさを確実に感じさせることができる。
【0019】
上記の本発明のボトム衣類は、上記の裏地の後ろヨーク部分に加えて、更に、ボトム衣類の裏地の下方側に、空気の取入口を有しているのが好ましい。この空気の取入口としては、スカートの場合は裾部分であり、パンツの場合は通気性の良い内股部分及び/又は通気性の良い膝裏部分が挙げられる。
【0020】
パンツの場合、このような構成にすれば、裾部分から空気が入り易くなる。また、ボトム衣類の太腿の内側に該当する部分の通気性を上げることでボトム衣類内に空気が入り易くなり涼しさを感じられる。また、クールダウンスポットと言われている膝の裏からも空気が入ってボトム衣類内に空気が通り易くなり涼しさを感じられる。
【0021】
スカートの場合、ボトム衣類の裾部分と脚との間のゆとり(隙間)を大きく取れば、歩行時に動作や風によってボトム衣類が揺れた際に、ボトム衣類があたかも「ふいご」のような動きをし、ボトム衣類内にこもった熱気を上記の通気性の良い(高い)後ろヨーク部分からボトム衣類の外部に押し出す効果を奏する。
【0022】
上記のスカートの場合においては、裏地の丈は、股下から5cm以上下までの長さを持つこと、が好ましい。丈が長ければ長いほど、下着のクロッチ部の輪郭が透けて見えないようにすることができるだけでなく、裏地で覆われた太腿の内側の空気層の体積が歩行動作によって大きくなったり小さくなったりすることを周期的に繰り返すことによって、ふいご作用が発生し裏地で覆われた太ももの内側の空間の空気が確実に出入りして換気され涼しさを感じられるようになる。
【0023】
また、上記の本発明のパンツの場合においては、前記裏地の通気性の良い内股部分の横幅が1.5cm以上であること、が好ましい。このような構成によれば、内股部分を形成し易く、太腿の内側に該当する部分の通気性を確実に上げることでボトム衣類内に空気が入り易くなり確実に涼しさを感じられる。
【0024】
また、上記の本発明のボトム衣類においては、前記裏地の通気性の良い膝裏部分が横方向において、前記後身頃の端部まで延びていること、が好ましい。このような構成によれば、クールダウンスポットである膝の裏から確実に空気が入ってボトム衣類内に空気が入り易くなり涼しさを確実に感じられる。
【0025】
更にまた、上記の本発明のボトム衣類においては、前記裏地の通気性の良い膝裏部分の縦幅が1.5cm以上であること、が好ましい。このような構成によれば、前記通気性の良い膝裏部分をより確実に形成することができ、膝裏部分の通気性を確実に上げることでボトム衣類内に空気が入り易くなり確実に涼しさを感じられる。
【0026】
また、上記の本発明のボトム衣類の表生地においては、ボトム衣類の下方部分(裾部分)からの空気の取入口をより確実に確保していわゆる「ふいご」の効果をより確実に得るため、前身頃及び後身頃において、ゆとり量を大きめに取ること、もしくは、前記ボトム衣類の長さ方向に延びるセンタープレス加工部を有すること、が好ましい。このような構成を具備すれば、ありとあらゆる態様のボトム衣類に本発明を適用可能である。
【0027】
また、ベルト部の肌側部分が、例えば、メッシュ状部材やエンボス状部材など、肌との接触面積の少ない部材で構成されているのが好ましい。このような構成によれば、人体ウエスト部とボトム衣類のベルト部の肌側部分との接触面積が小さくなり、当該肌側部分における汗によるベタつきを軽減させ、使用者に良好な肌触りを感じさせることができる。