(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0004】
本発明の一実施形態は、状況から特定される機会に基づく広告を促進するシステムを提供する。動作時に、システムは消費者に関連する状況情報を収集し、消費者が関与する現在の行動および/または将来の行動を状況情報に基づいて判断する。その後、システムは消費者に関連して近く生じる1回以上の広告機会を、判断された行動に基づいて予測し、予測された機会を1つ以上の広告主に提示して、それによって、予測された機会に広告を提示するための入札総額を広告主が判断できる。システムは、入札総額、収集された状況情報、予測された広告機会の発生確率、広告のコンテンツ、広告に関連するメタデータのうちの1つ以上に基づいて、提示すべき少なくとも1つの広告をさらに選択して、消費者に広告を提示する。
【0005】
本実施形態の変形例では、システムは、消費者の現在および/または将来の受容力を収集された状況情報に基づいて判断する。
【0006】
本実施形態の変形例では、収集された状況情報は、時刻と、曜日と、気象条件と、消費者の位置と、消費者の運動速度と、消費者の予定表、メッセージ、および電子メールのコンテンツと、消費者の行動の履歴と、消費者の行動の履歴から構成される統計モデルと、消費者に関連する人口統計と、広告に対する消費者の過去の反応と、のうちの1つ以上を含んでいる。
【0007】
本実施形態の変形例では、近く生じる1回以上の広告機会を予測することは、状況情報の時間依存性の関数である機会点数を計算することを含んでいる。
【0008】
本実施形態の変形例では、システムは収集された状況情報を広告主に提示する。
【0009】
本実施形態の変形例では、消費者に広告を提示することは、その場でまたは先を見越して消費者に広告を提示することを含んでいる。
【0010】
本実施形態の変形例では、システムは消費者の現在の状況と既知の状況の間の類似性計量を計算する。
【0011】
さらなる変形例では、類似性計量を計算することは、消費者の現在の状況に関連する状況情報を、消費者の1つ以上の過去の状況に関連する状況情報と比較することと、消費者の現在の状況に関連する状況情報を、消費者に関連する履歴データに基づく統計モデルに適合させることと、のうちの少なくとも1つを含んでいる。
【0012】
本発明の実施形態は、状況に適した広告を消費者に配信する広告システムを提供する。動作時に、システムは、消費者に広告を提示するための、近く生じる機会を予測する。それを実行するために、システムは状況要因に基づいて消費者の現在および将来の行動を推定し、履歴または統計データに基づいて消費者の受容力をモデル化する。その後、システムは広告主に状況要因または予測される機会を提示して、対応する広告を出すことに広告主が入札できるようにする。
【0013】
本発明の実施形態は、広告をいつ、どこで、どのように配信するかを判断する判断機構を、システムを用いるすべての当事者に正しい動機を生み出すビジネスモデルおよび経済機構と結び付ける。システムを用いる当事者は、一般性を失うことなく、(1)消費者、(2)広告主、および(3)広告主と消費者の間の広告機会の仲介業者の役割を果たすシステムの運用者である可能性があり、この広告機会の仲介業者のことを本開示では「広告プロバイダ」または「プロバイダ」と呼ぶことに注目されたい。この統合的アプローチは、消費者の行動を分析する判断機構を、広告主が消費者に広告を提示しようと競うことを可能にする競売機構に結び付けることを含んでいる。
【0015】
広告主。この用語は、通常、そのサービスまたは製品の広告を出すことを望んでいるエンティティを示す。本開示はコンテンツプロバイダおよびコンテンツを示すように用語「広告主」および「広告」を広い意味で使用し、例えば、コンテンツプロバイダは消費者に配信される狙いの定まったコンテンツを有するためには、たとえそのコンテンツが特定のサービスまたは製品を宣伝していない場合でも出費をいとわない。広告が費用のうちの1つである場合、典型的な広告主は利益を最大にしたがる。したがって、よく狙いの定まった広告は広告主にとってより効果的である。
【0016】
消費者。この用語は広告の受け手、すなわち、広告主が宣伝しているサービスまたは商品の見込み客を示す。消費者は、ある広告を通常歓迎するが、他の種類の広告を受け取るのを望まない。したがって、よく狙いの定まった広告は消費者にとってより好ましい。本開示は、コンテンツを受け取る人々すべてを含むように用語「消費者」を広い意味で使用し、たとえそのコンテンツがその人々を広告主が宣伝しているサービスまたは商品の顧客として含むように意図していない場合であっても、その人々も「消費者」に含むように広い意味で使用する。
【0017】
プロバイダ。この用語は消費者に広告を配信するサービスのプロバイダを示す。このプロバイダは、よく狙いの定まった広告を配信する責任がある。本発明の実施形態はプロバイダが消費者の行動および状況に基づく広告を配信するのに使用できる技術を提供する。いくつかの実施形態では、消費者へのプレゼンテーションのための経路を提供する個別の出版社がある可能性がある。プロバイダは広告および出版社の経路を選択でき、支払いメカニズムに応じて、広告主に請求して、出版社に報酬を与える。
【0018】
プレゼンテーション。この用語は消費者への広告の提示を示す。本発明の実施形態はプレゼンテーションの形態とは無関係であることに注目されたい。プレゼンテーションは、バナーまたはポップアップをPDAまたは携帯電話に付加すること、電話、音楽プレーヤ、またはカーステレオにより音声メッセージを流すこと、GPSナビゲーション装置上の地図を変更すること、または消費者の近くの広告看板を変化させることを含む可能性がある。
【0019】
行動。この用語は消費者の行動を示す。例えば、消費者の行動は「駅に向かって歩くこと」である可能性がある。行動は異なる意味レベルで記述できる。例えば、「駅に向かって歩くこと」はまた同様に「勤めを終えて帰宅すること」としても記述される可能性がある。広告システムでは、いくつかの実施形態に従って、行動は、「運動を得るために」などの目的とともに、「自転車を用いて」などの道具とともに、「熟達者」などの技能レベルとともに、および行動の他の修飾語句/限定語句とともに、部分的に記述してもよい。行動に狙いを定めた広告、または行動に基づく広告は、多くの関連行動に到達するのを容易にするために異なる意味レベルについての完全な、または部分的な記述に依存してもよい。
【0020】
状況。この用語は消費者の行動を取り巻く補足情報を示す。例えば、行動は雨の降る日に行われている可能性があり、または行動は特定の場所で行われている可能性がある。
【0021】
本発明の実施形態は、広告機会と消費者の受容力の両方を考慮することにより消費者への広告を目標としており、これらの両方とも状況要因から推定することができる。いくつかの実施形態では、広告システムまたはプロバイダは、過去の行動の流れ、将来の行動の確率、および予測される行動に対してユーザに広告を提示できる確率を含む状況情報を広告主に提示する。その後、提供された状況情報に基づき、広告主はユーザに広告を提示するのに自分がいくら支払うであろうかを入札できる。いくつかの実施形態では、広告主がどんな種類の消費者行動に関心を持つ可能性があるのかをプロバイダが広告主に尋ねて、プロバイダは対応する広告機会を広告主に提示する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態の、状況から特定される機会に基づく広告システムに対する例示的アーキテクチャを示している。一実施形態では、広告システム100が、状況情報収集モジュール102、受容力判断モジュール104、機会予測モジュール106、および広告掲載モジュール108を含む多くのモジュールを含んでいる。
【0023】
動作時に、状況情報収集モジュール102は、消費者の過去、現在、または未来の行動を判断するのに使用できる異なる種類の情報を含んでいてもよい状況データ112を収集する。このような情報は、時刻、曜日、気象条件、消費者の位置、運動速度、周囲の環境に関連する情報(周囲の音など)その他の物理的情報を含むことができる。また、状況データ112は、消費者の予定表、インスタントメッセージ、および電子メールのコンテンツと、消費者の過去の行動の履歴と、消費者に関連する人口統計と、広告に対する消費者の過去の反応と、などの消費者に関連する論理的コンテンツを含むことができる。一実施形態では、状況データ112は消費者が持っている携帯電話などのモバイル機器により収集できる。例えば、モバイル機器上にある全地球側位システム(GPS)が、消費者の場所および運動状態を判断するのに使用できるGPSトレースを収集できる。さらに、モバイル機器上にあるマイクロホンが、消費者が騒がしい環境内にいるため、いかなる音声通知も受け取ることができないかどうか、または消費者が他の人々と会話中であるため、受容力が弱い可能性が高いかどうかといった周囲の環境に関連する情報を提供できる。
【0024】
一実施形態では、状況情報収集モジュール102は、収集された状況データを、収集された状況データに基づいて消費者の受容力を判断する受容力判断モジュール104に提供する。消費者の受容力は、広告が印象的であるために消費者が広告に十分な注意を向けるだろう確率のうちの状況依存成分として定義できる。例えば、テレビ番組を見ている消費者は宣伝に対して受容的であるが、会話中の消費者は宣伝には見向きもしない。モバイル機器はどこで何をしながらでも使用できるため、ユーザの受容力は状況に応じて変化する。いくつかの移動チャネル(例えば、テキストメッセージおよび電子メールなど)は消費者に自分自身が受容的になるまで広告を見るのを遅らせることを許すが、他のチャネル(例えば、モバイルゲームなど)はそれを許さないため、モバイル広告にとって消費者の受容力の予測は重要である。さらに、この遅延のせいで、広告の狙っていた購買決定を消費者が行った後に消費者が広告を見ることになる可能性がある。
【0025】
一実施形態では、受容力判断モジュール104は、所定の規則の集合に基づいて、消費者の現在の状態を検知した状況データの時間依存性の関数として推定できる受容力点数を計算する。例えば、GPSセンサにより消費者が車の運転中であることを検出した場合、受容力判断モジュール104は低い受容力点数を生成し、同様に、マイクロホンにより会話中であることを検出した場合もまた、受容力判断モジュール104は低い受容力点数を生成する。規則の集合は、システムが消費者の行動についてさらに「学習する」につれて進化する可能性がある。例えば、システムは朝などの1日のある特定の時間の間に消費者が乗用車に乗りながら自分の携帯電話を操作することを観察する可能性があるが、これは消費者が自動車の相乗り通勤をしているためかもしれない。したがって、低い受容力点数を生成する代わりに、受容力判断モジュール104はこの時間に対して高い受容力点数を生成してもよい。さらに、消費者が加わっていない話し言葉はカーラジオまたは他の搭乗者に由来する可能性があり、消費者は実際には受容的であるという前提に基づき、システムは消費者の声紋を学習して消費者が盛んに話しているときにだけ消費者は非受容的であるとみなしてもよい。
【0026】
また、機会予測モジュール106は、状況情報収集モジュール102から、収集された状況データを受け取る。即時の状況情報および状況情報の履歴を含む状況データに基づき、機会予測モジュール106は消費者に広告を提示するために近く生じる機会を予測できる。受容力点数と同様に、機会点数も規則および学習したデータの組み合わせを用いて計算できる。しかしながら、機会点数は具体的状況に応じてさらに変化する傾向がある。例えば、商品およびサービスを購入する異なる機会は異なる場所に存在するため、特定すべき一般的な広告機会は特定の場所への消費者の訪問である。他の広告機会は、広告を出している品目についてさらに調べるために消費者が自分の電話またはコンピュータを使用しているときに出現する可能性がある。消費者は、移動中よりも、家にいるかまたは自分のラップトップコンピュータの近くにいるときのほうが、このような追加の調査を行う可能性が高い。したがって、広告の目標が、消費者にウェブサイトを見るように促すことである場合、高い機会点数は小売店舗への物理的な訪問からは生じず、むしろ家または喫茶店のようなある特定の状況で消費者が自分のコンピュータを使用する可能性がどれくらい高いかについての学習した関数から生じる可能性がある。
【0027】
広告認識が時間とともに低下することを研究が示していることに注目されたい。したがって、消費者に広告を提示する最良の機会は、消費者が購買決定を行う直前である。例えば、長い列車の旅をしている消費者は、その道中で高い受容力点数を有している可能性があるが、しかし、消費者が購入機会にそれほど先んじて購買決定を行う可能性は極めて低いため、消費者が目的地に到着するまでの長い間、機会点数は低い可能性がある。一実施形態では、機会予測モジュール106は、消費者の現在の行動、過去の特定の行動からどのくらいの時間が経過したか、近い将来に特定の行動が行われる確率、および将来の広告機会の出現確率などの多くの状況要因に基づいて機会点数を生成する。例えば、場所およびその場所で費やされた継続時間などの状況データに基づいて、システムは消費者がちょうどテニスをしているところであると推定してもよい。テニスコートから通りを挟んでコンビニエンスストアがあることを考慮して、およびほとんどの消費者は運動後にスポーツ飲料を飲むことが多いことを考慮して、システムはスポーツ飲料の広告を提示する最適な時期は消費者がコンビニエンスストアに入る前であると判断してもよく、その時間に対して高い機会点数を生成する。いったんコンビニエンスストアに入ると、消費者は気を取られている可能性があり(特に、消費者が友人と一緒である場合)、自分の電話を使用する可能性は低いことに注目されたい。
【0028】
広告掲載モジュール108は、受容力判断モジュール104および機会予測モジュール106からそれぞれ、予測された受容力情報および機会情報を受け取り、このような情報を広告主110に提供する。広告主110は受信した情報を評価して、広告を出すために入札する。その後、広告掲載モジュール108は、目標とする消費者の好みおよび必要性などの他の要因とともに入札に基づいてプレゼンテーションするために、広告を選択して広告を出す。
【0029】
図2は、本発明の実施形態の、予測される消費者行動と予測される広告機会の間の例示的関係を示す図を示している。
図2では、上端のグラフは状況情報に基づいて2人の消費者に対して予測される消費者行動を示しており、真ん中のグラフは第1の消費者に対して予測される広告機会を示しており、下端のグラフは第2の消費者に対して予測される広告機会を示している。
【0030】
GPS位置情報などの多くの状況要因を用いて、システムは、2人の消費者が最初にテニスコートでいくらかの時間を過ごして、シャワーを浴び、その後、移動の後にコンビニエンスストアに入ることを含む同様の行動を示すと判断できる。予測される消費者行動と、消費者の電話使用習慣および統計モデル(例えば、統計は、消費者はテニスをした後にスポーツ飲料を買う傾向があることを示している)などの他の要因とに基づき、システムは、真ん中および下端のグラフに示す消費者に対する機会点数を計算する。
【0031】
第1の消費者はシャワーを浴びる前後に自分の電話を確認する傾向がある。結果として、機会点数は第1の消費者がテニスコートにいる間は低いままであり、テニスコートを出てシャワーに行くときにピークに達し、その後、シャワー中は再び減少する。機会点数は第1の消費者がシャワーを浴び終えた後に再びピークに達し、第1の消費者がコンビニエンスストアに入る前の移行期間に入るときに機会点数は減少するが、その理由は、第1の消費者がぼんやりとしている可能性が高いか、または近々行う購入について既に決心しているためである。真ん中のグラフから分かるように、第1の消費者がコンビニエンスストアで購入する前に、2回の広告機会が存在しており、すなわち、シャワーを浴びる前に1回、およびシャワーを浴びた後に1回である。シャワーを浴びている間、消費者は非受容的であるが、その時間の間にもシステムはテキストメッセージまたは電子メールなどの広告を配信できることに注目されたい。これらの広告は待ち行列に入れられており、第1の消費者がシャワーを浴び終えた時点で、第1の消費が読み取ることができる。第1の消費者はコンビニエンスストアに入る前には自分の携帯電話の操作に短時間だけしか使わない可能性があるため、短い受容時期の直前に発生する非受容時期を狙う能力が、短い受容時期の効率的な利用を確保する。
【0032】
対照的に、第2の消費者は異なる電話習慣を有している。履歴データに基づき、システムはシャワーを浴びた後とコンビニエンスストアに入る前とに第2の消費者は自分の電話を確認する傾向があることを学習する。したがって、予測される広告機会は移行期間の前後に2回生じる。したがって、システムは、コンビニエンスストアで入手できる商品の広告を配信する最適な時期が、これらの2回の機会の間にあると判断する。
【0033】
システムが広告機会を特定するとすぐに、システムは関連する広告主に情報を提示する。
図2に示す実施例では、システムはこの広告機会情報をスポーツ飲料の広告を出そうと試みる多くの広告主に提示してもよい。さらに、システムはこのような情報を、広告主題を特定せずにすべての広告主に提示でき、広告を提示することに関心があるかどうかを広告主に決めさせることができる。また、システムは広告主に過去の購買習慣のような他の消費者情報を提示してもよい。一実施形態では、関心のある広告主は、消費者に広告を提示するのに自分がいくら支払いたいかを状況を考慮して入札できる。例えば、広告機会が購買機会に近ければ近いほど、広告主が入札したがる可能性があり、その理由は、消費者が購入選択を行う直前に広告を提示するほうが消費者に影響を与える可能性が高いためである。
図2に示す実施例では、機会点数の第2のピークは消費者が購買決定を行う前の最後の広告機会であり、したがって、最も重要な広告機会である。機会が時間とともに変化するため、特定の購買機会の前の最後の受容的な瞬間を正確に指摘することに加えて、システムは予測される受容力点数および機会点数を所定の期間全体にわたって一体化することができ、1つにまとまった結果を使用して所定の期間の冒頭に広告掲載の価値を判断できる。所定の期間の終わりは消費者が受容力の高い期間に入るときである場合が多いことに注目されたい。
【0034】
図3は、本発明の実施形態の、状況から特定される機会に基づく広告システムの例示的作動形態を示すブロック図を示している。この実施例では、消費者300がスマートフォンである可能性があるモバイル機器306を使用している。モバイル機器306は無線塔308、無線サービスプロバイダのネットワーク304、およびインターネット302を介してプロバイダサーバ312と通信している。動作時に、モバイル機器306は消費者300の予定表コンテンツ、消費者300が訪問した場所のGPSトレース、現在の時刻などの状況データの集合を収集して、消費者300の過去、現在、または未来の行動を判断する。一実施形態では、モバイル機器306は近く生じる広告機会を予測する。例えば、モバイル機器306は、現在午後8時であり、消費者300はたった今退社して、駅に行く途中であることを検出できる。これまでに収集されたデータから、モバイル機器306は駅に行く途中には消費者300は非受容的である傾向があるが、一方で消費者300は30分の列車乗車中に自分の電話で電子メールまたはメッセージを頻繁に確認することを学習している。この情報に基づいてモバイル機器306は、30分の受容時期の直前に非受容時期があって、非受容時期の終わりにテキストメッセージまたは電子メールを通じて広告を配信したり、または受容時期の間に生き生きした広告を配信したりすることが好ましいと判断する。またさらに、モバイル機器306は、消費者300は列車から降りた後にレストランに行くことが多いことを消費者300の過去の行動パターンから学習するため、周辺のレストランのための広告機会が近く生じることを予測する。その結果、モバイル機器306は、このすべての状況情報をプロバイダサーバ312に伝達し、一実施形態では、この状況情報は、予測される非受容/受容時期と、近く生じる広告機会とを含んでいる。
【0035】
それに呼応して、プロバイダサーバ312は広告主サーバ310と交信して、状況情報を広告主に提供する。広告主は広告コンテンツの分析とともにこの状況情報を使用して、広告を出すことに入札するかどうか、およびいくら入札するかを判断する。入札情報はプロバイダサーバ312に返されて、プロバイダサーバ312はどの広告を消費者300に提示すべきかを選択する。この選択プロセスはプロバイダの要求を満たすように構成できることに注目されたい。例えば、プロバイダは広告を出すことに対して最高入札を有するプレゼンテーション、または消費者ニーズに最もよく合うプレゼンテーションを選択できる。また、一実施形態では、サーバ312はプレゼンテーションに対して予測される機会品質に基づいて広告主に対する割引を計算できる。
【0036】
その後、プロバイダサーバ312は、広告と、これらの広告をどのように提示するかに関する命令とをモバイル機器306に伝達する。一実施形態では、広告はストリームされたビデオ、音声、グラフィックス、文字列、またはそれらの組み合わせである可能性がある。広告を受信した後、モバイル機器306は命令に基づいてこれらの広告を提示する。また、他のプレゼンテーション機構も使用できることに注目されたい。例えば、プレゼンテーション機構は列車内に取り付けられたすぐ近くのLCDディスプレイである可能性がある。LCDディスプレイはモバイル機器306と通信するためにブルートゥース(商標)(ワシントン州カークランドのブルートゥース特別利益団体の商標)などの何らかの通信機構を備えることができる。プレゼンテーションの間、モバイル機器306はLCDディスプレイに広告を流すことができ、より大きな画面上で、より楽に消費者300が広告を見られるようになっている。
【0037】
図4は、本発明の実施形態の、状況的に特定の広告を提示する例示的プロセスを示すフローチャートを示している。動作時に、システムは状況に関する消費者データを収集する(動作402)。その後、システムは収集された状況データと、履歴情報または統計情報とに基づいて消費者の過去、現在、または未来の行動を判断する(動作404)。一実施形態では、集団モデルと、システムが消費者について知っている他の要因とに基づいて、システムは消費者の将来の行動を予測する。例えば、システムは、現在の状況または最近の履歴トレースと、過去の状況またはトレースとを一致させることにより消費者の将来の行動を予測できる。さらなる実施形態では、システムは消費者の現在の状況または最近の履歴トレースと、過去の状況またはトレースとの間の類似性計量を判断する。類似性計量は、訪問した場所、時刻、訪問の継続時間、同伴者などに基づく可能性がある。
【0038】
現在の状況を過去の状況と比較する「記憶ベース」の方法の使用に加えて、システムは過去のデータから統計を決定する「モデルベース」の方法を使用できる。
図2に示す実施例では、消費者がテニスをした後にコンビニエンスストアに行く確率は、多くの人々について長期間にわたって収集された統計に基づいて決定できる。消費者がそれぞれある特定の確率で起こる複数の可能な将来の行動を有する可能性がある状況では、システムはそれぞれの可能な行動に対する機会点数を計算してもよい。例えば、仕事が終わると消費者は夕食を食べにレストランに行くかもしれないし、または映画館に行くかもしれない。システムはその消費者に対して収集された過去の統計に基づいて、消費者が他の行動よりも1つの行動を選択する確率を決定できる。またさらに、このような確率を決定するためにシステムは人口統計モデルを使用できる。例えば、若い消費者は仕事の後に映画を見に行く可能性が高く、他方、高齢の消費者はレストランに行く可能性が高いことを統計は示している。
【0039】
消費者の行動を判断した後で、システムは近く生じる広告機会および消費者の受容力を予測する(動作406)。一実施形態では、システムは検知した状況情報の関数として時間的に変化する機会点数および受容力点数を計算する。複数の可能な将来の行動が予測される場合、システムはそれぞれの可能な行動に対する受容力点数および機会点数を計算する。その後、システムは予測された機会および受容力を広告主に提示する(動作408)。またさらに、広告主が入札できるようにするために、システムは収集された状況データを直接広告主に提示できる。しかしながら、消費者のプライバシー保護のために、収集された状況データは広告主に関連する実際に活動する人には送信されない可能性がある。その代わり、収集された状況データは評価のために自動システム(あらかじめ書かれたコンピュータコードを実行するコンピュータシステムなど)に送られる。その後、広告主は近く生じる機会の間に広告を提示するための入札総額を判断でき、広告システムに入札を送信できる(動作410)。次に、システムは、下記の基準、すなわち、広告主から受け取った入札総額、収集された状況データ、予測された機会の発生確率、提示される予定の広告のコンテンツ、提示される予定の広告に関連するメタデータのうちの1つ以上に基づいて消費者に提示すべき1つ以上の広告を選択する(動作412)が、基準はこれらに限らない。その後、広告主は選択された広告を消費者に提示する(動作414)。
【0040】
選択された広告は、先を見越した配信またはその場掲載などのさまざまな方法で消費者に配信できる。広告を(例えば、電子メールまたはテキストメッセージなどを通じて)先を見越して消費者に配信する場合には、広告システムが、消費者が最も受容的である機会を予測して、受容時期の直前または受容時期の間に広告を配信することは有利である。一方、広告をその場で(例えば、ウェブページに組み込まれた、もしくはウェブページの横に設置されたサイドバーもしくはバナーとして、または消費者が要求したビデオの前に挿入されたビデオクリップとして)配信する場合には、現在の状況データに基づいてどの広告を出すべきかを決定するための時間はほとんどない。広告を配信することにより生じる待ち時間を減少させるために、規則に基づくフィルタを適用して、提示される予定の広告を取り除くことなどの、このような決定をシステムは事前に行うことができ、またはシステムは消費者に関連する人口学的情報などの静的状況データを使用して、どの広告を提示したらよいかを判断できる。
【0041】
一実施形態では、消費者のプライバシー保護のために、ユーザ行動を広告主に提示する代わりに、システムは広告主から関心のある行動を要求し、その後、予測された機会を広告主の関心と一致させる。さらなる実施形態では、システムは広告主から多くの広告を受け取り、広告のコンテンツを分析して、適切な広告を予測されたユーザ行動と一致させる。
【0042】
図5は、本発明の実施形態の、状況から特定される機会に基づく広告を実現する広告システムを促進する例示的コンピュータシステムを示している。この実施例では、コンピュータシステム502はプロバイダの機能を実行する。コンピュータシステム502はインターネット500を介してクライアント526と通信しており、このクライアント526は、一実施形態では、PDAまたは携帯電話である可能性がある。
【0043】
コンピュータシステム502はプロセッサ504、メモリ506、および記憶デバイス508を含む可能性がある。一実施形態では、コンピュータシステム502は表示部518に接続されている。記憶デバイス508は機会に基づく広告アプリケーション516、ならびにアプリケーション520および522などの他のアプリケーションを保存する。動作時には、機会に基づく広告アプリケーション516は記憶デバイス508からメモリ506にロードされ、その後、プロセッサ504により実行される。プログラムを実行している間、プロセッサ504は上述の機能を実行する。コンピュータシステム502は任意の表示部518、キーボード528、およびポインティングデバイス530に接続されている。