(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1のインタフェース装置は、ステレオカメラと撮像した画像からハンドサインを抽出する為の高度な処理能力を有するマイクロコンピュータやファームウェアが必要となり、また、特許文献2のコマンド入力装置も、赤外線センサと赤外センサの検出結果から手の形状や動きを抽出する高度なデータ解析手段が必要となり、いずれも高価な部品を必要とするので、この種の操作入力装置として普及するには至っていない。
【0009】
また、ハンドサインを撮像するステレオカメラや手の動きを抽出する赤外センサーは、送風機器の近傍に設置する必要があり、これらの取り付けスペースを確保できない場合には、送風機器の操作入力装置として用いることができない。特に、操作者が意図する操作内容を表す直感的な操作で送風機器を操作するためには、空気を吹き出す送風口の周囲に複数のステレオカメラや赤外センサを設置位置を設置しなければ、送風口近傍でのハンドサインや手の動きを検出できず、一方、送風口の周囲にステレオカメラや赤外センサを設置すると送風口から吹き出される空気の通気路の一部を遮り、送風性能が低下する恐れがあった。
【0010】
更に、画角が限られたステレオカメラや一定の指向角を有する赤外線センサでは、これらによる画像からの抽出領域や検出領域が限られ、複数のステレオカメラや赤外線センサについて、その撮像方向や検出方向を正確に調整して設置しなければならず、抽出領域や検出領域からハンドサインや手が外れた場合には、ハンドサインや手の動きを検出できない。
【0011】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、安価で簡単な構成で、操作者のジェスチャー入力により送風機器を操作する送風機器の操作入力装置を提供することを目的とする。
【0012】
また、操作者のジェスチャー入力を検出する検出部品が送風口から吹き出される空気の通気路を遮ることなく、平板状の検出電極を送風口の周囲に貼り付けるだけで検出部品を設置可能な送風機器の操作入力装置
を提供することを目的とする。
【0013】
更に、ジェスチャー入力を検出する検出手段による検出領域を考慮することなく、送風機の送風口近傍での操作者のジェスチャー入力を確実に検出できる送風機器の操作入力装置
を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的を達成するため、請求項1の送風機器の操作入力装置は、空気を吹き出す送風口を有する送風機器を操作するために用いられる送風機器の操作入力装置であって、
送風機器は、送風口が枠体で囲まれた扇風機であり、送風口の周囲に配設された一対の検出電極と、
入力操作体と検出電極との相対電位が変動する交流検出信号を発信する発信手段と、検出電極に接続し、検出電極と入力操作体間の静電容量を介して、検出電極に表れる交流検出信号の受信レベルを検出する信号検出手段とを有し、信号検出手段が検出電極毎に検出した交流検出信号の受信レベルをもとに操作者の入力操作体と検出電極との距離に依存して変化する静電容量値を検出する静電容量検知手段と、
一対の検出電極について静電容量検知手段が検出した静電容量値に基づいて、送風口に対する入力操作体の相対位置を特定し、特定した相対位置の経時変化から送風口に対する入力操作体の相対移動方向を検出するモーション検出手段と、
モーション検出手段が検出した
相対移動方向に応じた操作内容の操作信号を
扇風機へ出力する出力手段とを備え、
一対の検出電極は、モーション検出手段が検出する相対移動方向で対向する枠体の枠辺に配設され、
送風口に対して入力操作体を所定の方向に移動し、移動方向に応じた操作内容で
扇風機を操作することを特徴とする。
【0015】
操作者が手などの入力操作体を、
扇風機の送風口で所定方向に移動させると、送風口の周囲に配設された検出電極の静電容量値が入力操作体との距離に依存して変化する。モーション検出手段は、静電容量検出手段が
一対の検出電極について検出した静電容量値から、送風口に対する入力操作体の相対位置を特定し、その経時変化から入力操作体の送風口に対する相対移動方向を検出する。出力手段は、検出した相対移動方向に応じた操作内容の操作信号を扇風機へ出力するので、
送風口周囲のジェスチャー入力に応じて扇風機の風向や風量が操作される。
【0016】
検出電極と入力操作体の間の静電容量値Cmは、検出電極と入力操作者の指との距離をd、その間の空気の誘電率をε、検出電極と入力操作体との対向面積をsとして、Cm=ε・s/dで表される。検出電極と入力操作体間の空気の誘電率εは既知の値で、検出電極と入力操作体との対向面積sをほぼ一定値とすれば、信号検出手段が各検出電極毎に検出する交流検出信号の受信レベルViは、検出電極と入力操作体間の距離dに反比例し、検出した受信レベルViをもとに、入力操作体と検出電極との距離に依存して変化する静電容量値Cmが得られる。
【0017】
モーション検出手段が検出する相対移動方向に沿って入力操作体が移動すると、移動により遠ざかる側の枠辺に配設された検出電極について検出される静電容量値は減少し、移動により接近する側の枠辺に配設された検出電極について検出される静電容量値は増大する。従って、一対の検出電極について検出される静電容量値の比の経時変化から入力操作体の相対移動方向と移動速度が検出される。
【0018】
請求項2の送風機器の操作入力装置は、
操作内容が、送風口に対する入力操作体の移動方向に、送風口の風向を調整する操作であることを特徴とする。
【0019】
送風口周囲の入力操作体の移動方向に、送風口の風向が調整される。
【0020】
請求項3の送風機器の操作入力装置は、空気を吹き出す送風口を有する送風機器を操作するために用いられる送風機器の操作入力装置であって、
送風口の周囲に配設された検出電極と、
入力操作体と検出電極との相対電位が変動する交流検出信号を発信する発信手段と、検出電極に接続し、検出電極と入力操作体間の静電容量を介して、検出電極に表れる交流検出信号の受信レベルを検出する信号検出手段とを有し、信号検出手段が検出電極毎に検出した交流検出信号の受信レベルをもとに操作者の入力操作体と検出電極との距離に依存して変化する静電容量値を検出する静電容量検知手段と、
1又は2以上の検出電極について静電容量検知手段が検出した
静電容量値の総和が所定速度で増加した場合に、入力操作体の送風口への接近する移動方向を検出するとともに、静電容量値の総和が所定速度で減少した場合に、入力操作体の送風口から遠ざかる移動方向を検出するモーション検出手段と、
モーション検出手段が検出した接近する移動方向に応じて送風口から吹き出す風量を減少させる操作信号を送風機器へ出力し、モーション検出手段が検出した遠ざかる移動方向に応じて送風口から吹き出す風量を増加させる操作信号を送風機器へ出力する出力手段とを備え、
送風口に対して入力操作体を所定の方向に移動し、移動方向に応じた操作内容で送風機器を操作することを特徴とする。
【0021】
操作者が手などの入力操作体を、送風機器の送風口で所定方向に移動させると、送風口の周囲に配設された検出電極の静電容量値が入力操作体との距離に依存して変化する。検出電極と入力操作体の間の静電容量値Cmは、検出電極と入力操作者の指との距離をd、その間の空気の誘電率をε、検出電極と入力操作体との対向面積をsとして、Cm=ε・s/dで表される。検出電極と入力操作体間の空気の誘電率εは既知の値で、検出電極と入力操作体との対向面積sをほぼ一定値とすれば、信号検出手段が各検出電極毎に検出する交流検出信号の受信レベルViは、検出電極と入力操作体間の距離dに反比例し、検出した受信レベルViをもとに、入力操作体と検出電極との距離に依存して変化する静電容量値Cmが得られる。
【0022】
送風口周囲に入力操作体を接近させると、送風口の周囲に配設された1又は2以上の検出電極についての静電容量値の総和が一定速度で増加し、モーション検出手段は、入力操作体の送風口への接近する移動方向を検出し、出力手段から送風口から吹き出す風量を減少させる操作信号を出力する。また、送風口周囲から入力操作体を離間させると、送風口の周囲に配設された1又は2以上の検出電極についての静電容量値の総和が一定速度で減少し、モーション検出手段は、入力操作体の送風口から遠ざかる移動方向を検出し、出力手段から送風口から吹き出す風量を増加させる操作信号を出力する。出力手段は、検出した相対移動方向に応じた操作内容の操作信号を送風機器へ出力するので、送風口近傍での操作者によるジェスチャー入力に応じた操作内容で送風機器が操作される。
【0023】
請求項4の送風機器の操作入力装置は、送風機器が空気調和器であることを特徴とする。
【0024】
送風口周囲のジェスチャー入力に応じて空気調和器の風向や風量が操作される。
【0025】
請求項5の送風機器の操作入力装置は、空気調和器
が車両に搭載されていることを特徴とする。
【0026】
車両の乗員が空気調和器の送風口の周囲でジェスチャー入力を行うと、そのジェスチャー入力に応じて空気調和器の風向や風量が操作される。
【0027】
請求項6の送風機器の操作入力装置は、送風機器が扇風機であることを特徴とする。
【0028】
送風口周囲のジェスチャー入力に応じて扇風機の風向や風量が操作される。
【発明の効果】
【0029】
請求項1
と請求項3の発明によれば、カメラや赤外センサ等の検出手段や複雑な解析手段を用いずに、安価で簡単な構成で入力操作体の入力操作方向を検出できる。
【0030】
また、画角や指向角により入力操作体を検出する検出領域が限られたカメラや赤外線センサを用いずに、送風口に接近する入力操作体との距離に依存する静電容量値から入力操作体の移動方向を検出するので、吹き出し口の近傍で入力操作体を移動させるジェスチャー入力をもれなく確実に検出できる。
【0031】
また、入力操作体の相対位置は、平板状に形成可能な検出電極で検出するので、送風口の周囲に大きな取り付けスペースを確保することなく、簡単に配置できる。
【0032】
また、各検出電極と入力操作体との距離を、信号検出手段が検出した交流検出信号の受信レベルViから定量的に検出できるので、各検出電極の配置位置とその検出電極について信号検出手段が検出した交流検出信号の受信レベルViの経時変化から、送風口に対する入力操作体の相対移動方向を容易に検出できる。
【0033】
更に、請求項1の発明によれば、送風口を囲う枠体に配設される
一対の検出電極で入力操作体の移動方向を検出するので、送風口から吹き出される空気の気流を遮ることなく、送風口近傍での操作者によるジェスチャー入力を検出できる。
【0034】
また、一対の検出電極について検出される静電容量値から入力操作体の具体的な位置を求めることなく、両者の静電容量値の比の経時変化から、入力操作体がモーション検出手段が検出する相対移動方向に移動しているかどうかを判別できる。
【0035】
また、リモートコントローラを用いることなく、送風口周囲でジェスチャー入力を行うだけで扇風機の風向や風量を操作できる。
【0036】
請求項2の発明によれば、
操作者が操作しようとする送風口の風向の調整方向に一致する直感的なジェスチャー入力で、送風機器の風向を操作できる。
【0037】
更に、請求項3の発明によれば、操作者が操作しようとする送風口から吹き出す風量の調整方向に一致する直感的なジェスチャー入力で、送風機器の風量を操作できる。
【0038】
請求項4の発明によれば、リモートコントローラを用いることなく、送風口周囲でジェスチャー入力を行うだけで空気調和器の風向や風量を操作できる。
【0039】
請求項5の発明によれば、車両走行中に、運転者は、車両に搭載された空気調和器の入力装置へ目を移すことなく、安全に空気調和器を操作できる。
【0040】
請求項6の発明によれば、リモートコントローラを用いることなく、送風口周囲でジェスチャー入力を行うだけで扇風機
の風量を操作できる。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の第1実施の形態に係る送風機器の操作入力装置1を、
図1乃至
図6を用いて説明する。この操作入力装置1により操作される送風機器は、
図1に示すように、運転席前方のダッシュボードに送風口51を臨ませた空気調和器(以下、カーエアコンという)50であり、送風口51を囲う長方形の枠体52内に複数の横ルーバ53と複数の縦ルーバ54が互いに交差して可動自在に取り付けられている。
図3に示すように、横ルーバ53と縦ルーバ54は、それぞれカーエアコン50に備えられた横ルーバ駆動機構55と縦ルーバ駆動機構56によって所望の角度で回転するように制御され、これにより、送風口51から吹き出す空気の風向が所望の方向に変更される。横ルーバ53と縦ルーバ54が配置された更に内方には、送風口51から所定温度に設定された空気を吹き出すファン(図示せず)が設置され、ファンの回転速度を制御することにより、送風口51から吹き出される風量も調整できるようになっている。
【0043】
操作入力装置1は、カーエアコン50の送風口51の近傍で、操作者(車両の乗員)が入力操作体である手を移動させる(以下、ジェスチャー入力という)手の移動方向に応じて、所定の操作内容の操作信号をカーエアコン50へ出力して操作するものであり、送風口51の近傍でのジェスチャー入力を検出する為に、送風口51の周辺に沿った長方形の枠体52の表面に4枚の帯状導電性金属板からなる検出電極11(X0、X1、Y0、Y1)が貼り付けられている。
【0044】
図2に示すように、カーエアコン50の長方形の枠体52の輪郭に沿った方向を互いに直交するX方向及びY方向とし、送風口51に向かって水平方向のジェスチャー入力を検出する為に、X方向で対向する枠体52上に検出電極11(X0)、11(X1)が、上下方向のジェスチャー入力を検出する為に、Y方向で対向する枠体52上に検出電極11(Y0)、11(Y1)がそれぞれ送風口51の周辺に沿って配設され、これらの各検出電極11(X0、X1、Y0、Y1)は、引き出し配線パターン22によって後述するマルチプレクサ12の各入力端子に接続している。
【0045】
本実施の形態では、各検出電極11に表れる交流検出信号の受信レベルViを、各検出電極11と入力操作体である操作者の手30との距離に依存する静電容量値Cmを表すものとして、受信レベルViから各検出電極11と手30の距離から手30の送風口51に対する相対位置を特定し、特定した相対位置の経時変化から手30の相対移動方向、つまりジェスチャー入力を検出するものであり、以下、このジェスチャー入力を検出する為の操作入力装置1の回路構成を説明する。
【0046】
図3に示すように、操作入力装置1を構成する主要回路部品は、2種類の非振動側回路基板2と振動側回路基板3に分けて搭載されている。非振動回路基板2には、接地電位とした低圧基準電源線GNDと高圧基準電源線VCCとからなる基準電源回路4が配線され、低圧基準電源線GNDと高圧基準電源線VCC間に直流電圧Vccを印加するDC電源5が接続されている。これにより、非振動回路基板2に搭載されるインターフェース回路6等の各回路部品を基準電源回路4に接続し、DC電源5の出力電圧Vccにより駆動させている。
【0047】
また、振動側回路基板3には、低圧振動電源線SGNDと高圧振動電源線SVCCとからなる振動電源回路7が配線されている。低圧振動電源線SGNDは低圧基準電源線GNDと、高圧振動電源線SVCCは高圧基準電源線VCCと、それぞれコイル8、9を介して接続している。コイル8とコイル9のインダクタンスは、いずれも後述する固有周波数fの交流検出信号SGに対してハイインピーダンスとなる値に設定され、ここでは、同一のインダクタンスLのコイル8、9を用いている。
【0048】
交流検出信号SGの固有周波数fを発信する発信手段となる発振回路15は、振動側回路基板3に搭載され、二股に分岐してそれぞれ直流電圧を遮断するキャパシタンスC’のコンデンサ17、18を介して交流検出信号SGを基準電源回路4の低圧基準電源線GNDと高圧基準電源線VCCに接続している。これにより、基準電源回路4の低圧基準電源線GNDと高圧基準電源線VCCへ、固有周波数fの交流検出信号SGを同期させて出力すると、基準電源回路4の低圧基準電源線GNDが接地されて安定した電位にあるので、振動電源回路7の低圧振動電源線SGNDと高圧振動電源線SVCCの電位が同期して固有周波数fで変動し、両者間の電圧は、基準電源回路4と同じ直流出力電圧Vccとなる。交流検出信号SGの固有周波数fは、任意に調整することができるが、ここでは、187kHzの固有発振周波数の交流検出信号SGを出力する。
【0049】
固有周波数fの交流検出信号SGが基準電源回路4と振動電源回路7に流れる場合に、低圧基準電源線GNDと高圧基準電源線VCC間及び低圧振動電源線SGNDと高圧振動電源線SVCC間が近接して配線され、固有周波数fの帯域でこれらの電源線間は短絡しているとすれば、基準電源回路4と振動電源回路7は、
図4の等価回路図で示される。
【0050】
図4に示すように、振動電源回路7側の発振回路15の出力と基準電源回路4間には、並列にキャパシタンスC’のコンデンサ17、18が接続されているので、その合成キャパシタンスは、2C’であり、また、基準電源回路4と振動電源回路7間に並列に接続されるコイル8、9の合成インダクタンスは、L/2となる。これらのキャパシタとインダクタは、固有周波数fの交流検出信号SGが流れる閉回路において直列に接続され、交流検出信号SGの振幅(レベル)をVsg、コイル8、9両端の基準電源回路4と振動電源回路7間の電圧をVs、2πfで表される角速度をω(rad/sec)とすれば、
Vs=[ω
2LC’/(ω
2LC’−1)]Vsg・・・(1)式
で表される。
ここで、
図4に示す回路は、ω
2LC’=1で直列共振し、そのときの周波数f
0は、
f
0=1/[2π(LC’)
1/2]・・・(2)式
となる。
【0051】
つまり、(2)式関係から得られる共振周波数f
0を、交流検出信号SGの固有周波数fとすれば、交流検出信号SGのレベルに対して、(1)式から理論上振動電源回路7の電位が無限大で振動し、振動電源回路7に接続する各検出電極11の電位も無限大に振動させることができる。実際の操作入力装置1では、基準電源回路4と振動電源回路7のインダクタンス、浮遊容量などの影響から、(2)式から得る周波数f
0で共振せず、また、基準電源回路4と振動電源回路7に交流検出信号SGが流れる際のエネルギーロス、特にコイル8、9の内部抵抗による電力消費により、振動電源回路7は、交流検出信号SGのレベルVsgに対して有限倍率に拡大された振幅Vsで振動する。
【0052】
一方、操作者の手30が触れる可能性のある各検出電極11に高い電圧を加えることはできないので、発振回路15の出力とコンデンサ17、18との間に図示しない抵抗を接続して、各検出電極11が相対的に振動する交流検出信号SGの出力レベルVsをここでは5Vとしている。
【0053】
また、交流検出信号SGの固有周波数fについても、任意の周波数とすることができるが、車載用の他の電子機器や通信機器で使用される周波数と識別して、固有周波数fの交流検出信号SGを検出する必要があり、これらの使用済み周波数とその高調波を避けた周波数としている。
【0054】
上述の各検出電極11は、振動電源回路7の低圧振動電源線SGNDと高圧振動電源線SVCCのいずれかの、ここでは高圧振動電源線SVCCに接続している。全ての各検出電極11が高圧振動電源線SVCCに接続することによって、交流検出信号SGの出力レベルVsで固有周波数fで振動する一方、電源回路4、7に非接触の操作者の手30の電位は定電位であるので、両者の間には、交流検出信号SGの出力レベルVsの電圧が発生し、これを、固有周波数fで振動する振動電源回路7からみれば、定電位の検出電極11に対して、入力操作体である手30が交流検出信号SGの固有周波数fで振動する信号発生源となる。従って、手30が接近して手30との静電容量値Cmが増大する検出電極11には、静電容量値Cmを介して固有周波数fの交流検出信号SGが表れる。このように、検出電極11を交流検出信号SGの出力レベルVsで振動させるので、入力操作体30を、固有の交流検出信号SGを発信させる専用入力ペンとする必要がなく、定電位の操作者の手30とすることができる。
【0055】
各検出電極11と手30間の静電容量値Cmは、
図5に示すように、手30と検出電極11間が比誘電率εrの空気で隔てられ、検出電極11と手30間の距離をd、真空の誘電率をε0、手30と検出電極11の対向面積をsとすると、検出電極11と手30間の静電容量値Cmは、Cm=ε0・εr・s/dで表され、交流検出信号SGの固有周波数がfであるので、この静電容量値Cmの交流検出信号に対するリアクタンスXcは、Xc=1/(2π・f・Cm)から、Xc=d/(ω・ε0・εr・s)となる。
【0056】
図6は、検出電極11に表れる交流検出信号SGの受信レベルViを検出する信号検出回路部全体の等価回路図であり、図中、Cpは、検出電極11と低圧振動電源線SGND間の浮遊容量、rpは、検出電極11の内部抵抗値、R4は、出力抵抗の抵抗値である。 図中の等価回路図では、
i1=i2+i3 ・・・(3)式
Vs=i1/(jω・Cm)+i2/(jω・Cp) ・・・(4)式
−i2/(jω・Cp)+i3・rp+i3・R4=0 ・・・(5)式
i3・R4=Vi ・・・(6)式
の関係が成り立ち、(3)式乃至(6)式から、
Vi=[jω・Cm/{1/R4+jω(Cm+Cp)(rp/R4+1)}]・Vs ・・・(7)式
の関係が得られる。
【0057】
内部抵抗rpを0とし、R4がマルチプレクサ12を介して後述する積分処理回路14のオペアンプA/Dに接続されるので無限大とすれば、(7)式は、
Vi=Cm/(Cp+Cm)・Vs
と置き換えられ、更に
浮遊容量Cpに比べて静電容量値Cmは極めて小さいので、(7)式は、更に
Vi=(Cm/Cp)・Vs ・・・(8)式
で表される。
【0058】
(8)式において、検出電極11についての浮遊容量Cpや交流検出信号SGの出力レベルVsは、一定値であるので、検出電極11に表れる交流検出信号SGの受信レベルViは、その検出電極11と手30との間の静電容量値Cmに比例する。
【0059】
上述の通り、入力操作体30と検出電極11の静電容量値Cmは、Cm=ε0・εr・s/dで表されるので、これを(8)式に代入して変形すれば、
Vi=[ε0・εr・s/(d・Cp)]・Vs ・・・(9)式
となり、(9)式中の(ε0・εr・s/Cp)は、定数であるので、これを1/kとおけば、検出電極11に表れる交流検出信号SGの受信レベルViは、
Vi=Vs/(d・k) ・・・(10)式
で表され、手30との距離dが近い検出電極11ほど、受信レベルViが交流検出信号SGの出力レベルVsに近づく大きな値となる。ただし、手30が検出電極11に近接し、その間の静電容量値Cmが浮遊容量Cpに比べて無視できない程度に大きくなった場合には(10)式を適用できず、受信レベルViは最大で出力レベルVsとなる。
【0060】
(10)式は、複数の各検出電極11と手30との静電容量値Cmを表す各検出電極11に表れる交流検出信号の受信レベルViが、手30との距離dに反比例することを示している。
図5において、静電容量値Cm
0、Cm
1によって検出電極11(X0)と検出電極(X1)に表れる受信レベルViの比Vi0/Vi1は、手30と検出電極11(X0)及び検出電極11(X1)との距離d1/d0に等しく、送風口51近くに手30があるとすれば、d1/d0は、X方向の距離の比X1/X0に近似できるので、受信レベルViの比Vi0/Vi1からX方向の手30の位置(x)を特定できる。Y方向についても同様であり、Y方向で対向する枠体52に配設された一対の検出電極11(Y0)と検出電極(Y1)に表れる受信レベルViの比Vi0/Vi1から、Y方向の手30の位置(y)を特定できる。
【0061】
各検出電極11(X0、X1、Y0、Y1)に表れる受信レベルViを検出して、手30の位置(x、y)を特定するために、振動側回路基板3には、アナログマルチプレクサ12、信号処理回路13、積分処理回路14、A/Dコンバータ19、MPU(マイクロプロセッサユニット)10、発振回路15及び記憶部21の各回路素子が搭載され、いずれも振動電源回路7の低圧振動電源線SGNDと高圧振動電源線SVCCに接続し、DC電源5から出力電圧Vccを受けて動作している。
【0062】
アナログマルチプレクサ12は、MPU10からの切り替え制御により、一定の周期、ここでは200msec毎に、各検出電極11(X0、X1、Y0、Y1)を信号処理回路13へ切り換え接続し、各検出電極11に表れる交流検出信号SGを順に信号処理回路13へ出力している。すなわち、X方向で対向する検出電極11(X0)、11(X1)、Y方向で対向する検出電極11(Y0)、11(Y1)の順で、一走査周期内に4種類の検出電極11(X0、X1、Y0、Y1)が信号処理回路13に接続される。
【0063】
信号処理回路13は、アナログマルチプレクサ12を介して接続する検出電極11に表れる信号から、直流信号等の低周波成分とコモンモードノイズ等の高周波ノイズをカットし、インピーダンス変換素子を介してその後段の積分処理回路14へ出力する。入力インピーダンスが無限大に近く、出力インピーダンスが微小値であるインピーダンス変換素子を介して積分処理回路14へ出力することにより、各検出電極11に表れる微弱な交流検出信号SGであっても積分処理回路14が動作する。
【0064】
積分処理回路14は、微小な交流検出信号SGの電圧Vinを積分用オペアンプで所定の積分動作期間に積分して拡大し、A/Dコンバータ19へ出力し、A/Dコンバータ19は、その出力を量子化してMPU10へ出力する。A/Dコンバータ19から出力される量子化データは、積分処理回路14の積分動作期間中にアナログマルチプレクサ12が選択接続した各検出電極11に表れる交流検出信号SGの受信レベルViを表している。
【0065】
空気を隔てた検出電極11と手30の間の静電容量値Cmは、fFから数pF程度の極めて微小値であり、各検出電極11に表れる交流検出信号SGの電圧Vinも微小であるが、積分処理回路14において拡大され、A/Dコンバータ19から出力される量子化データ(受信レベルVi)は、MPU10において、各検出電極11から離れた手30との距離を比較可能な受信レベルViとなっている。一方、送風口51から充分に離れた位置にある手30等の他の物体の移動をジェスチャー入力とご認識しないように、MPU10では、一定のレベルに達しない受信レベルViは、これを無視する。
【0066】
受信レベルViを表す量子化データが入力されるMPU10は、送風口51に接近する手30の位置を特定する位置特定手段とその手30の位置の経時変化から送風口51に対する相対移動方向を検出するモーション検出手段としても動作する。MPU10は、200msecの周期で各検出電極11に表れる受信レベルViが入力されると、一周期内に入力される受信レベルViの総和SViを算定するとともに、一対の検出電極11(X0)、11(X1)について検出した受信レベルViの比からX方向の手30の位置(x)を、一対の検出電極11(Y0)、11(Y1)について検出した受信レベルViの比からY方向の手30の位置(y)を特定し、特定した手30の位置(x、y)と一周期の受信レベルViの総和SViをMPU10に接続する記憶部21へ一次記憶する。
【0067】
記憶部21は、直列入力並列出力形のシフトレジスタで構成され、200msec毎にMPU10から出力される位置(x、y)と総和SViを順次記憶し、手30の移動を検出可能な例えば1秒間ほどの保持期間が経過すると新たにMPU10から出力される位置(x、y)と総和SViに置き換える。
【0068】
モーション検出手段として動作するMPU10は、異なる手30の位置(x、y)が特定される毎に、記憶部21に記憶されている全ての位置(x、y)を読み出し、その経時変化による位置(x、y)の変化から送風口51に対する手30のX方向若しくはY方向の相対移動方向を検出する。また、算定した総和SViが、その前の一周期で算定した総和SViに対して所定の大きさで変化する場合にも、記憶部21に記憶されている全ての総和SViを読み出し、総和SViが増加する経時変化から送風口51に対して手30が接近し、総和SViが減少する経時変化から送風口51に対して手30が遠ざかる相対移動方向を検出する。
【0069】
記憶部21には、更にこのモーション検出手段が検出する手30の各相対移動方向に関連付けてカーエアコン50を操作する所定の操作内容が記憶されている。ここでは、例えば、手30のX方向の移動方向に対して、同方向に縦ルーバ54による風向を変化させる操作内容が、手30のY方向の移動方向に対して、同方向に横ルーバ53による風向を変化させる操作内容が、送風口51に対して手30を接近させる移動方向に対して、ファンの回転速度を減速させる操作内容が、送風口51に対して手30を遠ざける移動方向に対して、ファンの回転速度を増速させる操作内容が、それぞれ関連付けて記憶されている。
【0070】
MPU10は、直流が絶縁された信号線16を介して非振動回路基板2に搭載されるインターフェース回路6に接続し、手30の相対移動方向を検出すると、その移動方向に関連付けて記憶されている操作内容を記憶部21から読み出し、その操作内容から生成したカーエアコン50を制御する操作信号を、インターフェース回路6を介して、横ルーバ駆動機構55、縦ルーバ駆動機構56、ファン等、その操作信号で制御されるカーエアコン50の各被制御部へ出力する。
【0071】
以下、上述の操作入力装置1により、車両の乗員が送風口51の前でその手30を振り、カーエアコン50を操作するカーエアコン50の制御方法を説明する。例えば、送風口51の前で
図1に示すように、乗員が手30をX方向に沿った右側から左側に振ると、検出電極(X1)との距離d1が遠ざかり、手30との静電容量Cm
1が減少すると共に、検出電極11(X0)との距離d0が接近して手30との静電容量Cm
0が増加する。
【0072】
その結果、検出電極11(X0)と検出電極(X1)に表れる交流検出信号SGの受信レベルViの比Vi0/Vi1は、時間の経過と共に増加するので、MPU10は、この増加する経時変化から手30を右側から左側へ移動させるジェスチャー入力を検出し、その相対移動方向に対応して記憶部21に記憶される操作内容から、横ルーバ53を左方へ回転させる操作信号を生成する。
【0073】
MPU10は、この生成した操作信号をインターフェース6を介して縦ルーバ駆動機構56へ出力し、縦ルーバ駆動機構56は、この操作信号に従って送風口51の内方に配置されている横ルーバ53を左方へ回転させる。これにより、手30の移動方向にカーエアコン50の風向が助手席側に変化する。
【0074】
同様に、手30を送風口51に向かってX方向の左側から右側に移動させれば、風向は右側に変化し、手30を送風口51に向かってY方向の上下いずれかの方向に移動させれば、風向は、手30の移動と同一方向に上下に変化する。また、送風口51から吹き出す空気を遮断するように、手30を送風口51へ接近させれば、ファンの回転が減速して、風量が減少し、逆に手30を送風口51から遠ざければ、ファンの回転が増速して、風量が増加する。このように、本実施の形態に係る操作入力装置1によれば、乗員がカーエアコン50に対して意図する操作内容に一致する直感的なジェスチャー入力で、意図する方向や送風量にカーエアコン50を操作できる。
【0075】
上述の第1実施の形態にかかる操作入力装置1は、矩形状の枠体52で対向する対向方向に一組の検出電極11(X0)、11(X1)若しくは一組の検出電極11(Y0)、11(Y1)を配置し、対向方向の手30の相対移動方向を検出したが、
図7に示すように、ジェスチャー入力を検出する検出方向に沿って複数の分割検出電極41を配置し、各分割検出電極41について同様に検出する交流検出信号SGの受信レベルViを比較して入力操作体である手30の相対移動方向を検出してもよい。
【0076】
図7は、
図1のフロントガラスの下方に沿って配置されたカーエアコン50の送風口57を示す平面図であり、送風口1から吹き出す空気の風向や風量は、4種類の検出電極11(X0、X1、Y0、Y1)をそれぞれ複数の分割検出電極41で構成した第2の実施の形態にかかる操作入力装置40により操作される。すなわち、操作入力装置40では、検出電極11(X0)に代えて、複数の分割検出電極41(X0
1、X0
2・・X0
n)が、検出電極11(X1)に代えて、複数の分割検出電極41(X1
1、X1
2・・X1
n)が、検出電極11(Y0)に代えて、複数の分割検出電極41(Y0
1、Y0
2・・Y0
n)が、検出電極11(Y1)に代えて、複数の分割検出電極41(Y1
1、Y1
2・・Y1
n)がそれぞれ各検出電極11の配置位置に沿って配置される。第2の実施の形態にかかる操作入力装置40では、この検出電極41の構成のみが異なるので、第1実施の形態に共通する構成は同一番号を用いてその説明を省略する。
【0077】
MPU10は、マルチプレクサ12を制御し、全ての分割検出電極41を順に信号処理回路13へ接続し、各接続期間中に接続した分割検出電極41に表れる交流検出信号SGの受信レベルViを検出する。送風口57前方の図示する位置に手30があるとすると、同方向に一列に配置された複数の分割検出電極41のうち、入力操作位置のXY方向に配置された分割検出電極41(X0max、X1max、Y0max、Y1max)の受信レベルViが最大となるので、一列に配置された分割検出電極41の受信レベルViを相対比較して手30の相対位置(x、y)を特定できる。
【0078】
また、同方向に一列に配列され複数の分割検出電極41の受信レベルViの総和は、同位置に配置された第1実施の形態にかかる一種類の検出電極11の受信レベルViに相当し、分割検出電極41の受信レベルViの総和を矩形の送風口57で対向して配置された分割検出電極41の受信レベルViの総和と比較して、対向方向の手30の位置を特定することもできる。また、全ての分割検出電極41の受信レベルViの総和から、送風口57に直交するZ方向の送風口57からの距離を特定することもできる。
【0079】
第1実施の形態と同様に、一定周期毎に特定した手30の位置(x、y)と受信レベルViの総和SViは、記憶部21に順次記憶され、MPU10は、異なる位置(x、y)や受信レベルViの総和SViが特定されると、記憶部21に記憶されたこれらの記録情報の経時変化から手30の相対移動方向を検出し、検出した相対移動方向に対応する操作内容の操作信号をインタフェース6を介してカーエアコン50の被制御部へ出力する。これにより、第1実施の形態と同様に、ジェスチャー入力に応じてカーエアコン50の風向や風量を調整する操作が行われる。
【0080】
この第2の実施の形態に係る操作入力装置40では、手30の移動方向を検出する検出方向で対向する枠体52に沿って配置する一対の検出電極をそれぞれ複数の分割検出電極41に分割するので、精度良く送風口57に対する手30の位置(x、y)を特定できる。従って、特定した位置(x、y)の経時変化から手30のXY方向の相対移動方向を検出することなく、直接、特定した位置(x、y)をその位置(x、y)に手30を接近させる相対移動方向とみなし、位置(x、y)に向かう相対移動方向に応じた操作内容の操作信号をカーエアコン50へ出力してもよい。
【0081】
また、矩形の枠体52に沿って配置する4種類の検出電極41の一部は、必ずしも複数の分割検出電極41から構成しなくても、送風口57周辺の手30の相対移動方向を検出できる。更に、一方向に沿って配置する複数の分割検出電極41に表れる受信レベルViを比較すれば、その配置方向の手30の位置(x、y)を検出できるので、その配置方向で対向する枠体52に配置する一対の検出電極41を省略できる。
【0082】
図8、
図9は、本発明の第3の実施の形態に係る操作入力装置45を、羽根無し送風機70を操作する操作入力装置に用いた一例を示し、羽根無し送風機70は、基台71上に回転自在に起立して支持された円筒ダクト72の上端に円環状のノズル74が載置された構造となっている。この羽根無し送風機70は、円筒ダクト72内の下方に配置されたファンを回転させることにより、吸気口75から吸気した空気をノズル74の内壁面の後方に沿ってリング状に開口する送風口73から内壁面に沿った前方に吹き出し、その付近の空気の粘性を利用してノズル74の円環内に後方から前方に向かう気流を発生させている。また、基台71内には、図示しない首振り機構が配置され、首振り機構を駆動制御することによって、基台71に対して円筒ダクト72を軸回りに所望の角度で回転し、ノズル74内を流れる空気の送風方向を変更可能としている。
【0083】
この実施の形態に係る操作入力装置45は、多数の検出電極46をノズル74の前面74aに沿って配設したものであり、各検出電極47は、平板状の導電性金属板で前面74aに沿って貼り付けられるので、ノズル74内を通過する気流を乱さない。その他の構成は、第1実施の形態と同一若しくは同様であるので、その説明を省略する。
【0084】
この操作入力装置45によれば、円環状のノズル74の前方で手30を水平に移動させることにより、移動方向に配置された検出電極46の受信レベルViが他側に比べて相対的に上昇し、MPU10は、その移動方向を検出してノズル74を回転させる操作信号を首振り機構へ出力して、送風方向は手30の移動方向に変更する。また、ノズル74の前方に手30を接近させて、ファンの回転を減速させて送風量を低下させたり、ノズル74から手30を遠ざけてファンの回転を増速させ、送風量を増加させることができる。
【0085】
この実施の形態で操作する扇風機は、羽根無し扇風機70で説明したが、羽根の回転で空気流を発生させる扇風機であってもよく、送風機器が羽根付きの扇風機である場合には、回転する羽根の周囲に取り付けられる枠体に検出電極を配設する。
【0086】
上述の各実施の形態では、検出電極11、41、46を入力操作者の手30に対して交流検出信号SGの出力レベルVsで振動させ、両者の間に出力レベルVsの相対電位を発生させたが、検出電極11、41、46側を定電位として、入力操作体30の電位を交流検出信号SGの出力レベルVsで変動させてもよい。
【0087】
また、入力操作体30は、操作者が入力操作を行う手30で説明したが、操作者が握る専用入力ペンなど操作者と別の操作体であってもよい。
【0088】
また、送風口51、57、73の周囲に配置される各検出電極11、41、46で検出される受信レベルViは、入力操作体30に対向する検出電極11、41、46の表面積に比例するので、各検出電極11、41、46の大きさは等しい表面積とするのが望ましい。しかしながら、入力操作体の相対移動方向は、移動方向で対向する一対の検出電極で検出される受信レベルViの比の経時変化から検出できるので、必ずしも検出電極11、41、46の形状や大きさを同一とする必要はない。
【0089】
また、モーション検出手段として動作するMPU10が検出する入力操作体30の相対移動方向は、直線的な一方向に限らず、複数の直線や曲線を任意に組み合わせた線図に沿って入力操作体が移動する相対移動方向であってもよい。従って、円や四角形の線図に沿って入力操作体を移動させるジェスチャー入力に応じた操作内容の操作信号を出力することも可能であり、この場合には、記憶部21に、操作内容と関連付けて記憶される相対移動方向として、ジェスチャー入力の移動軌跡を表すパターンが記憶される。このように、操作内容と関連付けて記憶される相対移動方向を複数方向の組み合わせとすれば、ジェスチャー入力を意図しない物体が送風口前を横切ることによる誤検出を防止できる。
【0090】
一方、MPU10が検出する相対移動方向が単純な一方向(例えばX方向)である場合には、その相対移動方向に操作内容を関連付けて記憶しておくことなく、MPU10は、その方向に配置される一対の検出電極の受信レベルViの比の経時変化から直接特定操作内容の操作信号を生成して出力してもよい。