(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施形態に基づいて説明するが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではない。
【0020】
概要
本発明は、シェラックをアルコールに溶解させたシェラックニスを、楽弓、擦弦楽器、撥弦楽器などの楽器の木部に塗布し(
図1(a)参照)、ついで所定の加熱処理(
図1(b)参照)によりシェラックニスを硬化させてニス層を形成して音質の向上を図るものである。なお、前記説明から明らかなように、本明細書においては「楽器」は「楽弓」を含むものとする。
【0021】
実施形態1
図2を参照しながら、本発明の実施形態1に係る楽器の作成法について説明する。なお、本実施形態において、楽器は楽弓とされている。また、図中の符号S1ないしS5は、ステップ番号を示す。
【0022】
ステップ1:シェラックをアルコールに溶解してなるシェラックニスを木棹表面に下塗りする。下塗りは、刷毛塗りまたはタンポ擦りにより行う。
【0023】
ステップ2:下塗りと同じシェラックニスにより上塗りする。上塗りは、下塗りと同様に刷毛塗りまたはタンポ擦りにより行う。
【0024】
ステップ3:上塗りした木棹表面をヒートガンにより加熱してシェラックニスを硬化させる。加熱は、加熱温度が摂氏310度を超えないよう加熱時間、およびヒートガンと木棹との距離を2cmから5cmの間に調節しながら行う。
【0025】
ステップ4:過乾燥を防止するため水砥ぎする。
【0026】
ステップ5:所定期間養生する。加熱による木棹の含水率の低下を排除するためである。なお、所定期間は、60日以上とするのが好ましい。
【0027】
得られた楽弓によりバイオリンのA線およびE線の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べた。その結果、発音が従前のものに比して明瞭となって音質の向上が認められた。
【0028】
実施形態2
図2を参照しながら、本発明の実施形態2に係る楽器の作成法について説明する。なお、本実施形態において、楽器はバイオリンとされている。
【0029】
ステップ1:シェラックをアルコールに溶解してなるシェラックニスを表板および裏板に下塗りする。下塗りは、刷毛塗りまたはタンポ擦りにより行う。
【0030】
ステップ2:下塗りと同じシェラックニスにより上塗りする。上塗りは、下塗りと同様に刷毛塗りまたはタンポ擦りにより行う。
【0031】
ステップ3:上塗りした表板および裏板をヒートガンにより加熱してシェラックニスを硬化させる。加熱は、加熱温度が摂氏310度を超えないよう加熱時間、およびヒートガンと表板および裏板との距離を調節しながら行う。なお、加熱・硬化工程の詳細については後述する。
【0032】
ステップ4:過乾燥を防止するため水砥ぎする。
【0033】
ステップ5:所定期間養生する。加熱による表板、側板および裏板の含水率低下を排除するためである。なお、所定期間は、60日以上とするのが好ましい。
【0034】
得られたバイオリンのA線およびE線の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べた。その結果、発音が従前のものに比して明瞭となって音質の向上が認められた。
【0035】
実施形態3
図2を参照しながら、本発明の実施形態3に係る楽器の作成法について説明する。なお、本実施形態において、楽器はギターとされている。
【0036】
ステップ1:シェラックをアルコールに溶解してなるシェラックニスを表板および裏板に下塗りする。下塗りは、刷毛塗りまたはタンポ擦りにより行う。
【0037】
ステップ2:下塗りと同じシェラックニスにより上塗りする。上塗りは、下塗りと同様に刷毛塗りまたはタンポ擦りにより行う。
【0038】
ステップ3:上塗りした表板および裏板をヒートガンにより加熱してシェラックニスを硬化させる。加熱は、加熱温度が摂氏310度を超えないよう加熱時間、およびヒートガンと表板および裏板との距離を調節しながら行う。なお、加熱・硬化工程の詳細については後述する。
【0039】
ステップ4:過乾燥を防止するため水砥ぎする。
【0040】
ステップ5:所定期間養生する。加熱による表板、側板および裏板の含水率低下を排除するためである。なお、所定期間は、60日以上とするのが好ましい。
【0041】
得られたギターのA線およびE線の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べた。その結果、発音が従前のものに比して明瞭となって音質の向上が認められた。
【0042】
実施形態4
図3を参照しながら、本発明の実施形態4に係る楽器の作成法について説明する。なお、本実施形態において、楽器はバイオリンとされている。また、図中の符号S11ないしS16は、ステップ番号を示す。
【0043】
ステップ11:シェラックをアルコールに溶解してなるシェラックニスによりバイオリンの表板および裏板を下塗りする。下塗りは、刷毛塗りまたはタンポ擦りにより行う。
【0044】
ステップ12:表板および裏板が吸収しきれなかった余分のシェラックニスをアルコールを含浸させた布で払拭して除去した後に乾燥させる。乾燥時間は、30分程度とする。
【0045】
ステップ13:下塗りした表板および裏板をヒートガンにより加熱してシェラックニスを硬化させる。
【0046】
ステップ14:過乾燥を防止するため水砥ぎする。
【0047】
ステップ15:オイルニスを上塗して完成させる。上塗りは、刷毛塗りまたはタンポ擦りにより行う。
【0048】
ステップ16:所定期間養生する。加熱による影響を排除するためである。なお、所定期間は、60日以上とするのが好ましい。
【0049】
完成したバイオリンのA線およびE線の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べた。その結果、発音が従前のものに比して明瞭となって音質の向上が認められた。
【0050】
加熱・硬化工程の詳細
加熱する際のヒートガンの先端と表板および裏板との距離は、5cmを超えないようにする。距離は、好ましくは2cmないし5cmとする。また、ヒートガンによる加熱は加熱温度が摂氏310度を超えないようにする。加熱温度は、好ましくは摂氏200度ないし摂氏310度とする。温度測定は、例えば、赤外線温度計により測定する。
【0051】
加熱は、接着部分および矧ぎ合わせ部分が加熱されないよう外表面の7割程度とし、また接着面を押し合うようにするため主クランプ10(
図4参照)により板の接着部分を挟み込んだ状態で行う。
【0052】
主クランプ10は、
図4に示すように、上部クランプ部材11と、下部クランプ部材12と、上部クランプ部材11と下部クランプ部材12と連結する連結部材13とを含むものとされる。
【0053】
上部クランプ部材11は概略ロッド状とされ、上部クランプ部11aと、上部クランプ部11aを螺進退させるためのネジ部11bと、把持部11cとを含むものとされる。
【0054】
下部クランプ部材12は概略L字状とされ、下部クランプ部12aと、下部水平腕部12bと、垂直ガイド部12cとを含むものとされる。
【0055】
連結部材13は明瞭には図示はされていないが、二つの円板を帯材で連結した形状とされ、ネジ部11bに螺合される雌ネジを有する推進部13aと、垂直ガイド部12cとスライドに自在に係合する透孔を有するガイド部13bと、推進部13aとガイド部13bとを連結する連結部13cとを含むものとされる。
【0056】
また、バイオリンの側板およびギターの側板の加熱にはガンの口を細い口に付け替えて行う。
【0057】
さらに、バイオリン側板とバイオリン表板およびバイオリン裏板との接着面をクランプするために側板クランプ20を用いる(
図5参照)。
【0058】
側板クランプ20は、
図5に示すように、一対のターンバックル21,21を中心として、ターンバックル21の下部に螺合する一対の下側ネジ部材22,22と、ターンバックル21の上部に螺合する逆L字状とされた一対の上側ネジ部材23,23と、下側ネジ部材22の下端に接合しバイオリン下板と当接するベース24と、上側ネジ部材23の水平部23aに係合する衝立26とを含むものとされる。
【0059】
衝立26は、ヒートガンからの熱風により側板クランプ20の上側ネジ部材23が加熱されてヒートブリッジが形成されるのを避けるためのものである。
【0060】
試験例1および比較試験例1
実施形態1の作成法にしたがって楽弓を得た。すなわち、楽弓の木棹に下塗りおよび上塗りをシェラックニスにより行い、ヒートガンにより加熱し、ついで所定期間養生し、しかる後に弦を張って楽弓を得た。得られた楽弓によりバイオリンのA線のフォルテ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図6の上部に示す(試験例1)。
【0061】
比較のために加熱処理をしなかった他は同様にして楽弓を得た。得られた楽弓によりバイオリンのA線のフォルテ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図6の下部に示す(比較試験例1)。
【0062】
なお、
図6において、横軸は時間を示し、縦軸は音強を示す。このことは、以下の図においても同様とする。
【0063】
図6より、試験例1の波形は比較試験例1に比して波形およびそのピークが鋭い偏角を有しているのが認められる。これは、第2倍音より高音側の倍音成分が増加したためと推察される。
【0064】
試験例2および比較試験例2
実施形態1の作成法にしたがって楽弓を得た。得られた楽弓によりバイオリンのA線のピアノ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図7の上部に示す(試験例2)。
【0065】
比較のために加熱処理をしなかった他は同様にして楽弓を得た。得られた楽弓によりバイオリンのA線のピアノ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図7の下部に示す(比較試験例2)。
【0066】
図7より、試験例2の波形は比較試験例2に比して波形が鋭い偏角を有し、しかも縦軸に関して線対称であるのが認められる。この現象は、基音および第1倍音、低音側の倍音成分に対する第2倍音より高音側の倍音成分が一定以上比を超えた場合に認められるものである。これらのことから、高音側の倍音成分が増加したものと推察される。つまり、第2倍音より高音側の倍音成分が一定以上の卓越した倍音構造に変化したものと推察される。
【0067】
試験例3および比較試験例3
実施形態1の作成法にしたがって楽弓を得た。得られた楽弓によりバイオリンのE線のフォルテ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図8の上部に示す(試験例3)。
【0068】
比較のために加熱処理をしなかった他は同様にして楽弓を得た。得られた楽弓によりバイオリンのE線のフォルテ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図8の下部に示す(比較試験例3)。
【0069】
図8より、試験例3の波形は比較試験例3に比して低音第1倍音、高音側第1,2,3,4,5倍音が増加しているものと認められる。
【0070】
試験例4および比較試験例4
実施形態1の作成法にしたがって楽弓を得た。得られた楽弓によりバイオリンのE線のピアノ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図9の上部に示す(試験例4)。
【0071】
比較のために加熱処理をしなかった他は同様にして楽弓を得た。得られた楽弓によりバイオリンのE線のピアノ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図9の下部に示す(比較試験例4)。
【0072】
図9より、試験例4の波形は比較試験例4に比して低音第1倍音、高音側第1,2,3,4,5倍音が増加しているものと認められる。
【0073】
試験例5および比較試験例5
実施形態2の作成法にしたがってバイオリンを得た。すなわち、バイオリンの表板および裏板に下塗りおよび上塗りをシェラックニスにより行い、ヒートガンにより加熱し、ついで所定期間養生し、しかる後に弦を張ってバイオリンを得た。得られたバイオリンのA線のフォルテ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図10の上部に示す(試験例5)。
【0074】
比較のために加熱処理をしなかった他は同様にしてバイオリンを得た。得られたバイオリンのA線のフォルテ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図10の下部に示す(比較試験例5)。
【0075】
図10より、試験例5の波形は比較試験例5に比して波形およびそのピークが鋭い偏角を有しているのが認められる。これは、第2倍音より高音側の倍音成分が増加したためと推察される。
【0076】
試験例6および比較試験例6
実施形態2の作成法にしたがってバイオリンを得た。得られたバイオリンのA線のピアノ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図11の上部に示す(試験例6)。
【0077】
比較のために加熱処理をしなかった他は同様にしてバイオリンを得た。得られたバイオリンのA線のピアノ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図11の下部に示す(比較試験例6)。
【0078】
図11より、
図6および
図7で述べた両方の特徴が表れているのが認められる。これは、低音、基音、第1倍音に対し、高音側の第2,3,4,5倍音成分が縦軸に線対称に繋がった結果と想定される。つまり、第2倍音より高音側の倍音成分が一定以上の卓越した倍音構造に変化したものと推察される。
【0079】
試験例7および比較試験例7
実施形態2の作成法にしたがってバイオリンを得た。得られたバイオリンのE線のフォルテ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図12の上部に示す(試験例7)。
【0080】
比較のために加熱処理をしなかった他は同様にしてバイオリンを得た。得られたバイオリンのE線のフォルテ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図12の下部に示す(比較試験例7)。
【0081】
図12より、高音側の第2倍音より高音の倍音成分が増加してピークの偏角が鋭くなっているのが認められる。
【0082】
試験例8および比較試験例8
実施形態2の作成法にしたがってバイオリンを得た。得られたバイオリンのE線のピアノ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図13の上部に示す(試験例8)。
【0083】
比較のために加熱処理をしなかった他は同様にしてバイオリンを得た。得られたバイオリンのE線のピアノ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図13の下部に示す(比較試験例8)。
【0084】
図13より、高音側の第2倍音より高音の倍音成分が増加して波形が明瞭になっているのが認められる。
【0085】
試験例9および比較試験例9
実施形態4の作成法にしたがってバイオリンを得た。すなわち、バイオリンの表板および裏板に下塗りをシェラックニスにより行い、ヒートガンにより加熱し、ついでオイルニスによる上塗りをして所定期間養生し、しかる後に弦を張ってバイオリンを得た。得られたバイオリンのA線のフォルテ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図14の上部に示す(試験例9)。
【0086】
比較のために加熱処理をしなかった他は同様にしてバイオリンを得た。得られたバイオリンのA線のフォルテ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図14の下部に示す(比較試験例9)。
【0087】
図14より、試験例9の波形は比較試験例9に比して第1倍音に対して低音側および高音側の第2倍音の比が高まった場合に現れる特徴が認められる。
【0088】
試験例10および比較試験例10
実施形態4の作成法にしたがってバイオリンを得た。得られたバイオリンのA線のピアノ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図15の上部に示す(試験例10)。
【0089】
比較のために加熱処理をしなかった他は同様にしてバイオリンを得た。得られたバイオリンのA線のピアノ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図15の下部に示す(比較試験例10)。
【0090】
図15より、高音側の第4倍音および第5倍音の音響レベルが顕著に増加しているのが認められる。
【0091】
試験例11および比較試験例11
実施形態4の作成法にしたがってバイオリンを得た。得られたバイオリンのE線のフォルテ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図16の上部に示す(試験例11)。
【0092】
比較のために加熱処理をしなかった他は同様にしてバイオリンを得た。得られたバイオリンのE線のフォルテ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図16の下部に示す(比較試験例11)。
【0093】
図16より、試験例11の波形は比較試験例11に比して第1倍音に対して低音側および高音側の第2倍音の比が高まった場合に現れる特徴が認められる。
【0094】
試験例12および比較試験例12
実施形態4の作成法にしたがってバイオリンを得た。得られたバイオリンのE線のピアノ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図17の上部に示す(試験例12)。
【0095】
比較のために加熱処理をしなかった他は同様にしてバイオリンを得た。得られたバイオリンのE線のピアノ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図17の下部に示す(比較試験例12)。
【0096】
図17より、試験例12の波形は比較試験例12に比して第1倍音に対して低音側および高音側の第2倍音の比が高まった場合に現れる特徴が認められる。
【0097】
試験例13および比較試験例13
実施形態3の作成法にしたがってギターを得た。すなわち、ギターの表板および裏板に下塗りおよび上塗りをシェラックニスにより行い、ヒートガンにより加熱して所定期間養生し、しかる後に弦を張ってギターを得た。得られたギターのA線のディケイ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図18の上部に示す(試験例13)。
【0098】
比較のために加熱処理をしなかった他は同様にしてギターを得た。得られたギターのA線のディケイ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図18の下部に示す(比較試験例13)。
【0099】
図18より、試験例13の波形には、高音側の倍音成分が増加した場合における特徴的な振幅が認められる。
【0100】
試験例14および比較試験例14
実施形態3の作成法にしたがってギターを得た。得られたギターのA線のサステイン状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図19の上部に示す(試験例14)。
【0101】
比較のために加熱処理をしなかった他は同様にしてギターを得た。得られたギターのA線のサステイン状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図19の下部に示す(比較試験例14)。
【0102】
図19より、試験例14の波形には、高音側の倍音成分が増加した場合における特徴的な振幅が認められる。
【0103】
試験例15および比較試験例15
実施形態3の作成法にしたがってギターを得た。得られたギターのE線のディケイ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図20の上部に示す(試験例15)。
【0104】
比較のために加熱処理をしなかった他は同様にしてギターを得た。得られたギターのE線のディケイ状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図20の下部に示す(比較試験例15)。
【0105】
図20より、試験例15の波形には、高音側の倍音成分が増加した場合における特徴的な振幅が認められる。
【0106】
試験例16および比較試験例16
実施形態3の作成法にしたがってギターを得た。得られたギターのE線のサステイン状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図21の上部に示す(試験例16)。
【0107】
比較のために加熱処理をしなかった他は同様にしてギターを得た。得られたギターのE線のサステイン状態の発音をWAV形式にて録音保存し、解析ソフトaudacityにより調べ、その結果を
図21の下部に示す(比較試験例16)。
【0108】
図21より、試験例16の波形には、高音側の倍音成分が増加した場合における特徴的な振幅が認められる。
【0109】
以上、本発明を実施形態および実施例に基づいて説明してきたが、本発明かかる実施形態および実施例のみに限定されるものではなく、種々改変が可能である。
【0110】
例えば、本実施形態では、シェラックニス層の形成は外表面にのみとされているが、内表面に形成されてもよい。