(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6111486
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】光ネットワークユニット検出方法および装置、ならびに受動光ネットワークシステム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/44 20060101AFI20170403BHJP
H04B 10/07 20130101ALI20170403BHJP
H04B 10/272 20130101ALI20170403BHJP
【FI】
H04L12/44 M
H04L12/44 200
H04B10/07
H04B10/272
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-196704(P2015-196704)
(22)【出願日】2015年10月2日
(62)【分割の表示】特願2014-501427(P2014-501427)の分割
【原出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2016-27752(P2016-27752A)
(43)【公開日】2016年2月18日
【審査請求日】2015年10月2日
(31)【優先権主張番号】201110077143.9
(32)【優先日】2011年3月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】504277388
【氏名又は名称】▲ホア▼▲ウェイ▼技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】万 民
(72)【発明者】
【氏名】▲曽▼ 小▲飛▼
【審査官】
速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−042809(JP,A)
【文献】
特開2009−100426(JP,A)
【文献】
特開2012−151737(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0093356(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/44
H04B 10/07
H04B 10/272
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ネットワークユニット(ONU)を検出するための方法であって、前記ONUは制御モジュールと、取得ユニットおよび送信ユニットを備える光モジュールとを備え、
前記制御モジュールによって、非イネーブル制御信号と前記ONUの識別コードとを前記光モジュールに送信するステップと、
前記取得ユニットによって、前記非イネーブル制御信号と前記識別コードとを取得するステップと、
前記取得ユニットが前記非イネーブル制御信号と前記識別コードを取得できない場合、前記送信ユニットによって、識別コードを光回線終端装置(OLT)に送信するステップであって、その結果、前記OLTが、オープンにした上りリンクの空ウィンドウまたは空白タイムスロット内で前記識別コードを検出できる、ステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記識別コードが、前記光モジュールによって事前設定されて送信される、または、前記識別コードが、前記光モジュールによって、非許可時間内に、前記ONUの制御モジュールから取得されて送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記識別コードが、前記ONUを識別する特定のシーケンス光チャネルコードである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
光モジュールおよび制御モジュールを備える光ネットワークユニット(ONU)であって、
前記制御モジュールが、非イネーブル制御信号と前記ONUの識別コードとを前記光モジュールに送信するように構成され、
前記光モジュールが、
前記非イネーブル制御信号と前記識別コードとを取得するように構成された取得ユニットと、
前記取得ユニットが前記非イネーブル制御信号と前記識別コードを取得できない場合、前記識別コードを光回線終端装置(OLT)に送信するように構成された送信ユニットとを備え、その結果、前記OLTが、オープンにした上りリンクの空のウィンドウまたは空白タイムスロット内で、前記識別コードを検出することができる、光ネットワークユニット。
【請求項5】
前記取得ユニットが、前記識別コードを読み取るようにさらに構成され、前記識別コードが前記光モジュールに格納される、請求項4に記載の光ネットワークユニット。
【請求項6】
前記識別コードが、前記ONUを識別する特定のシーケンス光チャネルコードである、請求項4または5に記載の光ネットワークユニット。
【請求項7】
光ネットワークユニット(ONU)を検出するための方法であって、
光回線終端装置(OLT)によって、ONUの識別コードは、オープンにした上りリンクの空のウィンドウまたは空白タイムスロット内で受信したことを検出するステップと、
前記ONUの前記識別コードに基づいて、前記ONUの前記識別コードに対応するONUが障害ONUであると決定するステップと
を含む方法。
【請求項8】
前記ONUの前記識別コードが、前記ONUを識別する特定のシーケンス光チャネルコードである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
光回線終端装置(OLT)であって、
ONUの識別コードが、オープンにした上りリンクの空ウィンドウまたは空白タイムスロット内で、受信されたかどうかを検出するように構成された検出モジュールと、
前記検出モジュールが、前記ONUの前記識別コードを検出するとき、前記ONUの前記識別コードに対応するONUが障害ONUであると決定するように構成された処理モジュールとを備える、光回線終端装置。
【請求項10】
前記ONUの前記識別コードが、前記ONUを識別する特定のシーケンス光チャネルコードである、請求項9に記載の光回線終端装置。
【請求項11】
光回線終端装置(OLT)と少なくとも1つの光ネットワークユニット(ONU)とを備える受動光ネットワークシステムであって、
前記ONUが、取得ユニットおよび送信ユニットを備える光モジュールと制御モジュールとを備え、
前記制御モジュールが、非イネーブル制御信号とONUの識別コードとを前記光モジュールに送信するように構成され、
前記取得ユニットが、前記非イネーブル制御信号と前記識別コードとを取得するように構成され、
前記送信ユニットは、前記取得ユニットが前記非イネーブル制御信号と前記識別コードを取得できない場合、前記識別コードを光回線終端装置(OLT)に送信するように構成され、
前記OLTが、オープンにした上りリンクの空ウィンドウまたは空白タイムスロット内で、前記識別コードを受信し、前記識別コードに従って、前記識別コードに対応するONUが障害ONUであると決定するように構成された、受動光ネットワークシステム。
【請求項12】
前記識別コードが、前記ONUを識別する特定のシーケンス光チャネルコードである、請求項11に記載の光ネットワークシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2011年3月29日に中国特許庁に出願した「AN ACESS METHOD FOR USER, SYSTEM AND ACCESS DEVICE」という名称の中国特許出願第201110077143.9の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、通信の分野に関し、詳細には、光ネットワークユニットを検出するための方法および装置、ならびに受動光ネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
PON(passive optical network、受動光ネットワーク)にアクセスするとき、中央局側にある1つのOLT(optical line terminal、光回線終端装置)は、2つ以上のONU(optical network unit、光ネットワークユニット)またはONT(optical network terminal、光ネットワーク端末)に対応する。ONTは、特殊なONUとみなすことができるため、以下、本明細書では統一してONUを使用する。
【0004】
下りリンク方向では、OLTの下りリンク情報が、下りリンクの固定した光波長を介して全ONUに統一して送信され、上りリンク方向では、全ONUが、時分割多重化の上りリンク光チャネル帯域幅のルールに従って、特定のタイムスロットで光を送出する。すなわち、ONUは、OLTの帯域幅割当て指示に従って、上りリンク光を送出する。しかし、障害ONU(rogue ONU)は、OLTの帯域幅割当て指示に従わずに光を送出するONUである。
【0005】
多くの種類の障害ONUが存在する。障害ONUの光送出時間の点から言えば、障害ONUは、常に光を送出するONUである連続送出障害ONUと、OLTに指示されていない時区間に光を送出する、すなわち、事前に光を送出したり終了が遅れたりする恐れのあるONUである非連続障害ONUとに分類され得る。
【0006】
障害ONUが、OLTの制御を受け付けるかどうかに関して言えば、障害ONUは、OLTの制御指令に応答しない障害ONUである悪質障害ONUと、OLTの制御指令に応答する障害ONUである非悪質障害ONUに分類することができる。
【0007】
障害ONUが、事前設定されたものかどうかに関して言えば、障害ONUは、ネットワーク管理システムまたはコマンドラインにより加えられ、かつ適切に働いてきた合法ONUの障害ONUである事前設定された障害ONUと、管理者に承認されておらず、最近アクセスしているONUで、また自動発見状態において障害ONUとも呼ばれる障害ONUである不法アクセスONUとに分類される。
【0008】
現在、障害ONUを検出する際に、OLTは、障害ONUが存在するかどうかを検出するために、最初に、上りリンクの空ウィンドウをオープンにする(すなわち、全ONUに光を送出しない指令)必要がある。障害ONUが存在する場合、OLTは、全ONUにそれ自体の光モジュールの電源をオフにするように指示し、次いで、各ONUの光モジュールの電源を1つ1つオンにし、ONUそれぞれに対して上りリンクの空ウィンドウをオープンにして、個々に検出し、どのONUが障害ONUかを判定する。
【0009】
本発明を実施するプロセスにおいて、本発明者は、従来技術が、少なくとも以下の問題を有することを見いだした。
【0010】
前述の検出方法を用いると、上りリンクの空ウィンドウを、検出のために1つ1つ全ONUに対してオープンにする必要があり、検出効率が低く、また、検出の際には、ONUの伝送用電源を1つ1つ停止する必要があり、したがってONUの上りリンクサービスに影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−100426号公報
【特許文献2】特開2002−217929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の実施形態では、ONUを検出するための方法および装置、ならびに受動光ネットワークシステムを提供し、これによって障害ONUの検出の効率および精度を向上させ、上りリンクサービスへの影響を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の実施形態では、ONUを検出するための方法を提供し、その方法が、オープンにした上りリンクの空ウィンドウまたは空白タイムスロット内でONUの識別コードを検出するステップと、ONUの識別コードに従って、そのONUの識別コードに対応するONUが障害ONUであると決定するステップとを含む。
【0014】
本発明の実施形態では、ONUをさらに提供し、そのONUが光モジュールを含み、その光モジュールが、ONUの識別コードを取得するように構成された取得ユニットと、そのONUの識別コードを送信するように構成された送信ユニットとを含み、ONUの識別コードが、取得ユニットによって取得され、その結果、OLTは、オープンにした上りリンクの空ウィンドウまたは空白タイムスロット内でONUの識別コードを検出することができる。
【0015】
本発明の実施形態では、OLTをさらに提供し、そのOLTが、OLTのオープンにした上りリンクの空ウィンドウまたは空白タイムスロット内で、光ネットワークユニット(ONU)の識別コードを受信したかどうかを検出するように構成された検出モジュールと、検出モジュールがONUの識別コードを検出するとき、そのONUの識別コードに対応するONUが障害ONUであると決定するように構成された処理モジュールとを含む。
【0016】
本発明の実施形態では、光回線終端装置(OLT)と、少なくとも1つの光ネットワークユニット(ONU)とを含む、受動光ネットワークシステムをさらに提供し、その光ネットワークユニット(ONU)が光モジュールを含む。
【0017】
光モジュールは、ONUの識別コードを取得し、そのONUの識別コードを送信するように構成される。
【0018】
OLTは、オープンにした上りリンクの空ウィンドウまたは空白タイムスロット内でONUの識別コードを受信し、ONUの識別コードに従って、そのONUの識別コードに対応するONUが障害ONUであると決定するように構成される。
【0019】
このONU検出方法によって、本発明の実施形態における装置およびシステムは、ONUの識別コードが、オープンにした上りリンクの空ウィンドウまたは空白タイムスロット内で検出され、ONUの識別コードに従って、そのONUの識別コードに対応するONUが障害ONUとして決定され、その結果、障害ONUが、迅速に効率よく検出および決定され、同時に、上りリンクサービスへの影響が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態によるONUを検出するための方法の概略流れ図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるオープンにした上りリンクの空ウィンドウまたは空白タイムスロットの概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるONUの概略構造図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるOLTの概略構造図である。
【
図5】本発明の一実施形態による受動光ネットワーク(PON)システムの概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
前述の本発明の目的、特徴および利点をより明確に、より理解できるようにするために、本発明の実施形態について、添付の図面および具体的な実施方式を参照して、さらに詳細に以下で説明する。
【0022】
ONTは、特殊なONUとしてみなすことができる。したがって、本出願ではONUのみを説明のための一例として挙げる。本出願でのONUに適用可能ないずれの実施形態も、ONTにも適用可能であることが、当業者には理解できよう。
【0023】
実施形態1
この実施形態では、ONUを検出するための方法を提供する。
図1に示すように、この方法は、S102を含む。
【0024】
S102:光回線終端装置(OLT)が、オープンにした上りリンクの空ウィンドウまたは空白タイムスロット内で光ネットワークユニット(ONU)の識別コードを検出する。
【0025】
光ネットワークユニット(ONU)の識別コードが、ONUの光モジュールによって事前設定されて送信される。または、光ネットワークユニット(ONU)の識別コードが、ONUの光モジュールによって、非許可時間(unauthorized time)内に、ONUの制御モジュールから取得されて送信される。
【0026】
ONUの識別コードは、ONUを識別する特定のシーケンス光チャネルコードである。ONUの識別コードは、システムによって設定されており、光モジュールの製品コードとすることもできる。具体的には、ONUの識別コードを、ONUを識別する特定のシーケンス光チャネルコードとすることができる(ONUの特定のコードのストリームシーケンスと呼ぶこともできる)。ONUの特定のシーケンス光チャネルコードを、デリミタに加えて特定のコードによって形成することもできる。特定のコードを、LLID(論理リンク識別子)、ONU ID(ONU識別子)、SN(シーケンス番号)、MACコード、光モジュールの製品コードおよびOLTによって各ONUに割り当てられる固有の識別情報のうち、いずれか1つまたは組合せとすることができる。同一のOLTに接続されたONUは、各ONUを区別するために別々の識別情報を有する。
【0027】
S104:ONUの識別コードに従って、OLTが、そのONUの識別コードに対応するONUが、障害ONUであると決定する。
【0028】
この障害ONUは、故障ONUである、すなわち、OLTの帯域幅割当て指示に従わずに光を送出するONUとして理解され得る。
【0029】
S102において光ネットワークユニット(ONU)の識別コードを取得するプロセスについては、以下に具体的に説明する。
【0030】
この実施形態のONUは、制御モジュールと光モジュールとを含む。この制御モジュールは、MACモジュールまたはMACチップとすることができる。
【0031】
ONUがONUの識別コードを取得した後で、このONU内の光モジュールが、故障し、制御不能になると、ONUの識別コードが送信される。このようにして、OLTは、オープンにした上りリンクの空ウィンドウまたは空白タイムスロット内でONUの識別コードを検出することができ、したがって、障害ONUが存在するか判断し、そのONUの識別コードに対応するONUが、障害ONUであると決定することができる。すなわち、障害ONUは、上りリンクサービスの正常な伝送に影響を及ぼさずに正確に検出される。光モジュールは、2通りの手順でONUの識別コードを取得することができる。
【0032】
(1)ONUの光モジュールが、非許可時間内に、MACモジュール(またはMACチップ)からONUの識別コードを取得する。
【0033】
ONUの光モジュールが、MACモジュールによって制御されるとき、MACモジュールは、一般に、光モジュールのTX_ENABLEイネーブル信号およびデータ信号を制御する。ここで、TX_ENABLEは、光モジュールが光を送出可能であることを意味し、データ信号は、光チャネル上に送信されるデータのことを指す。MACモジュールが、非イネーブル信号を光モジュールに送信する場合、光モジュールの制御信号TX_ENABLEが低レベルであり、すなわち、信号が非イネーブル信号である(ONUの制御信号が非イネーブル信号であるとき、ONUが非イネーブル状態である時間間隔は、「非許可時間」とみなすことができる)が、光モジュールは依然として上りリンク方向に光を送出する。このとき、MACモジュールは、ONUの識別コードを光モジュールに送信して、その結果、OLTは、オープンにした上りリンクの空ウィンドウまたは空白タイムスロット内でONUの識別コードを検出することができ、したがって、ONUの識別コードに対応するONUが、障害ONUであると決定することができる。
【0034】
(2)ONUの光モジュールが、ONUの光モジュールからONUの識別コードを取得する。
【0035】
ONUのMACモジュールが、光を送出するように光モジュールを制御するときに、MACモジュールが信号を入力せず、しかしこのとき光モジュールが光を送出していれば、光モジュールは、外部制御なしに自主的に光を送出する。この場合、光モジュールは、光モジュールからONUの識別コードを抽出し、そのONUの識別コードを送信することができる。識別コードは、システムによって光モジュール上に事前設定され得る。OLTは、オープンにした上りリンクの空ウィンドウまたは空白タイムスロット内で識別コードを検出することができ、識別コードを検出することができる場合、OLTは、その識別コードに対応するONUが障害ONUであると決定することができる。
【0036】
「許可時間(authorized time)」、「非許可時間」、「オープンにした上りリンクの空ウィンドウ」および「空白タイムスロット」の間の関係を、以下に、具体的に説明する。
【0037】
オープンにした上りリンクの空ウィンドウとは、OLTが、どのONUにも許可を与えていない上りリンク帯域幅のウィンドウを指す。すなわち、この空ウィンドウでは、OLTは、全ONUに光を送出しないことを要求する。空白タイムスロットは、2つの隣接した上りリンクの許可された帯域幅間の開いた時間であり、各上りリンクの許可された帯域幅は、1つのONUの許可時間に対応する。障害ONUを検出するための時間としてオープンにした上りリンクの空ウィンドウおよび空白タイムスロットを選択する理由は、ONUの識別コードを、あるONUの許可時間内に受信した場合、そのONUの識別コードは、ONUによって送信され、正常データが、識別コードを搬送するデータに重なり、OLTはデータ中の識別コードを識別しない可能性があるが、オープンにした上りリンクの空ウィンドウおよび空白タイムスロットでは、適切に機能するONUはデータを全く送信せず、障害ONUのみがデータを送信する可能性があり、したがって、OLTが受信したデータは、障害ONUの識別コードを搬送するデータであり、その結果、識別コードに対応するONUを、好都合に解析することができる。
【0038】
図2に示すように、OLTおよび3つのONU(ONU1、ONU2およびONU3)を含むPON(passive optical network、受動光ネットワーク)を、一例として挙げる。S1はONU1の許可時間、F1はONU1の非許可時間、S2はONU2の許可時間、F2はONU2の非許可時間、S3はONU3の許可時間、F3はONU3の非許可時間、Kはオープンにした上りリンクの空ウィンドウの時間、Gは、空白タイムスロットである。ONUの「非許可時間」とは、ONUの制御モジュール(例えば、MACモジュール)が、非イネーブル信号をONUの光モジュールに送信して、ONUの光モジュールのTX_ENABLEを低レベルにする時間として理解してもよい。
【0039】
前述の説明より、次のことを理解することができる。ONUの光モジュールは、MACモジュールによって送信された「非イネーブル」信号を受信するとき、MACモジュールが送信したONUの識別コードを受信することができ、または、ONUの光モジュールがONUの光モジュールから事前設定された識別コードを取得する。OLTが、上りリンクの空ウィンドウまたは空白タイムスロットをオープンにしているとき、障害ONUが存在する場合、OLTは、ONUの識別コード検出することができ、さらに、識別コードに対応するONUが障害ONUであると決定することができる。ONUの識別コードを搬送するデータが1つも検出されない場合、ONUは1つも存在しないと決定される。この検出プロセスは、正常な上りリンクサービスに影響を及ぼさない。
【0040】
この実施形態のONUを検出するための方法により、ONUの識別コードが、オープンにした上りリンクの空ウィンドウまたは空白タイムスロット内で検出され、ONUの識別コードに従って、そのONUの識別コードに対応するONUが障害ONUとして決定され、その結果、障害ONUが、迅速かつ正確に検出および決定され、したがって、上りリンクサービスへの影響が低減され、ユーザの満足度が向上する。
【0041】
実施形態2
この実施形態では、光ネットワークユニット(ONU)10を提供する。
図3に示すように、ONUは、光モジュール102を含み、その光モジュール102は、ONUの識別コードを取得するように構成された取得ユニット1022と、そのONUの識別コードを送信するように構成された送信ユニット1024とを含み、ONUの識別コードが、取得ユニットによって取得され、その結果、OLTが、オープンにした上りリンクの空ウィンドウまたは空白タイムスロット内でONUの識別コードを検出することができる。
【0042】
取得ユニット1022は、2つの方式でONUの識別コードを取得する。一方は、光モジュール102からONUの識別コードを読み取るステップであり、他方は、ONUの制御モジュールからONUの識別コードを取得するステップである。2番目の方式の場合、ONUは、制御モジュール104をさらに含むことができる。
【0043】
制御モジュール104は、非イネーブル制御信号およびONUの識別コードを光モジュールに送信するように構成される。制御モジュール104は、MACチップまたはONUのMACモジュールとすることができる。
【0044】
光モジュール102の取得ユニット1022は、非イネーブル制御信号およびONUの識別コードを受信するようにさらに構成され、非イネーブル制御信号およびONUの識別コードは、制御モジュール104によって送信される。
【0045】
取得プロセスの詳細については、第1の実施形態における説明を参照することができ、ここでは再度説明しない。
【0046】
ONUの識別コードは、ONUを識別する特定のシーケンス光チャネルコードである。
【0047】
この実施形態のONUにより、ONUは、ONUの識別コードを取得し、ONUの識別コードを送信し、その結果、障害ONUが存在する場合、OLTが、オープンにした上りリンクの空ウィンドウまたは空白タイムスロット内でONUの識別コードを検出することができ、ONUの識別コードに従って、そのONUの識別コードに対応するONUを、障害ONUとして決定する。このようにして、障害ONUは、迅速かつ正確に検出および決定され、したがって、上りリンクサービスへの影響は低減され、ユーザの満足度が向上する。
【0048】
実施形態3
図4に、光回線終端装置(OLT)20を示す。OLT20は、検出モジュール202および処理モジュール204を含む。
【0049】
検出モジュール202は、OLTのオープンにした上りリンクの空ウィンドウまたは空白タイムスロット内で、光ネットワークユニット(ONU)の識別コードを受信したかどうかを検出するように構成される。
【0050】
処理モジュール204は、検出モジュールがONUの識別コードを検出するとき、そのONUの識別コードに対応するONUが、障害ONUであると決定するように構成される。
【0051】
ONUの識別コードは、ONUを識別する特定のシーケンス光チャネルコードである。
【0052】
この実施形態のOLTにより、ONUの識別コードが、オープンにした上りリンクの空ウィンドウまたは空白タイムスロット内で検出された場合、ONUの識別コードに従って、そのONUの識別コードに対応するONUが、障害ONUとして決定され得る。このようにして、障害ONUは、迅速かつ正確に検出および決定され、したがって、上りリンクサービスへの影響は低減され、ユーザの満足度が向上する。
【0053】
実施形態4
図5に受動光ネットワーク(PON)システムを示す。このシステムは、光回線終端装置(OLT)20および少なくとも1つの光ネットワークユニット(ONU)10を含み、ONUは、(
図3に示すように)光モジュール102を含む。
【0054】
光モジュール102は、ONUの識別コードを取得し、そのONUの識別コードを送信するように構成される。
【0055】
OLT20は、オープンにした上りリンクの空ウィンドウまたは空白タイムスロット内でONUの識別コードを受信し、ONUの識別コードに従って、そのONUの識別コードに対応するONUが、障害ONUであると決定するように構成される。
【0056】
ONUの識別コードは、ONUを識別する特定のシーケンス光チャネルコードである。
【0057】
受動光ネットワークシステムは、光分配網(ODN)30をさらに含み、ODN30は、幹線ファイバ、受動光スプリッタおよび支線ファイバを含む。ODNは、OLT20とONU10を接続するように構成される。OLT20は、幹線ファイバを介して受動光スプリッタに接続される。この光スプリッタは、ポイントツーマルチポイント(point-to-multipoint)の光電力分配を実施し、複数の支線ファイバを介して複数のONUに接続される。
【0058】
ONU10は、(
図3に示すように)制御モジュール104をさらに含み、制御モジュール104は、非イネーブル制御信号およびONUの識別コードを光モジュールに送信するように構成される。光モジュール102の取得ユニット1022は、非イネーブル制御信号およびONUの識別コードを受信するようにさらに構成され、非イネーブル制御信号およびONUの識別コードは、制御モジュール104によって送信される(ONU10の機能の詳細については、第2の実施形態を参照してよい)。
【0059】
この実施形態における光ネットワークシステムにより、ONUは、ONUの識別コードを取得し、そのONUの識別コードをOLTに送信して、その結果、ONUの識別コードが、OLTのオープンにした上りリンクの空ウィンドウまたは空白タイムスロット内で検出された場合、障害ONUが存在すると決定することができ、さらに、ONUの識別コードに従って、そのONUの識別コードに対応するONUが、障害ONUとしてさらに決定され得る。このようにして、障害ONUは、迅速かつ正確に検出および決定され、したがって、上りリンクサービスへの影響は低減され、ユーザの満足度が向上する。
【0060】
本明細書では、「第1の(first)」および「第2の(second)」などの用語については、1つのエンティティまたは操作を別のエンティティまたは操作と区別するために使用しているだけであり、これらエンティティ間または操作間のいずれかの実際の関係または順序を示すために、必ずしも使用するものではないことが留意されるべきである。さらに、「含む、包含する(include、contain)」などの用語またはこの用語のいずれかの変形型は、「含むけれども限定はしない」ことを意味する。したがって、一連の要素を含むプロセス、方法、目的または装置は、これら要素を含むだけでなく、明確に特定されない他の要素も含み、さらに、プロセス、方法、目的または装置の固有要素を含むことができる。それ以上の限定がない場合では、「1つを含む」と特定された要素に関しては、特定された要素を含むプロセス、方法、目的または装置は、他の同じ要素を含むことができる。
【0061】
前述の説明は、本発明の単なる例示的な実施形態であり、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明の趣旨および原理を逸脱しない任意の改変形態、均等な代替形態または改良形態は、本発明の保護範囲に包含されるものである。
【符号の説明】
【0062】
10 光ネットワークユニット(ONU)
102 光モジュール
104 制御モジュール
1022 取得ユニット
1024 送信ユニット
20 光回線終端装置(OLT)
202 検出モジュール
204 処理モジュール