特許第6111504号(P6111504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6111504折り加工された用紙の計数方法及びその際の異常検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6111504
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】折り加工された用紙の計数方法及びその際の異常検出方法
(51)【国際特許分類】
   G06M 7/06 20060101AFI20170403BHJP
   G06M 9/00 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   G06M7/06 D
   G06M9/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-86066(P2013-86066)
(22)【出願日】2013年4月1日
(65)【公開番号】特開2014-203443(P2014-203443A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】515180479
【氏名又は名称】エムエムシステムズ有限会社
(72)【発明者】
【氏名】松田 和也
【審査官】 榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5131713(JP,B2)
【文献】 特開2007−238324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06M 1/00 − 15/00
B65H 7/00 − 20
B65H 43/00 − 08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り加工された複数の用紙を背部が同一平面に並ぶように揃え、揃えた複数の用紙を両側から押さえ板で押さえ、背部の前方斜めより光を照射して背間の凹部に影部、背部に非影部を生じさせ、前記の両側の押さえ板と、前記の揃えた複数の用紙の背部を前方よりテレビカメラで、前記の凹部の影部が、前記テレビカメラから得られる映像信号の水平走査線と直角になるように撮像し、得られた映像信号の背部撮像部の水平走査線1本分の映像信号の強さを、一方端から他方端まで前記のテレビカメラの解像度の数で構成されるデジタル信号の各構成点に対応させて順次記憶させ、記憶された映像信号の水平走査線1本分の構成点を5以上に分割し、左端から2番目の分割された範囲の構成点の映像信号の強さの最小値を求め、求められた最小値以上の左端の分割された範囲の構成点の映像信号の強さの平均値を求め、左端の分割された範囲の中央の構成点位置の値とし、右端から2番目の分割された範囲の構成点の映像信号の強さの最小値を求め、求められた最小値以上の右端の分割された範囲の構成点の映像信号の強さの平均値を求め、右端の分割された範囲の中央の構成点位置の値とし、左端から2番目の分割された範囲から右端から2番目の分割された範囲の映像信号の強さの平均値を求め、それぞれの分割された範囲の中央の構成点位置の値とし、一方端から順に分割範囲の中央の構成点位置の値を次々に結んで、他端まで結び、左端から2番目の分割範囲の中央の構成点位置の値と左端の分割範囲の中央の構成点位置の値を結んだ線分を左端まで延長し、右端から2番目の分割範囲の中央の構成点位置の値と右端の分割範囲の中央の構成点位置の値を結んだ線分を右端まで延長して基準屈曲線を形成し基準屈曲線上の値を構成点に対応する基準値として採用し、一方端から他方端まで前記水平走査線1本分の構成点の映像信号の強さの測定信号を順次それぞれの構成点ごとに、構成点の値と対応する基準値と比較して、初回は初めて基準値より映像信号の強さが強くなり、基準値より映像信号の強さが弱くなった場合に非影部と判定し、次回以降は下部基準値より映像信号の強さが弱くなった状態から、基準値より映像信号の強さが強くなり、基準値より映像信号の強さが弱くなった場合に非影部と判定し、判定された非影部を用紙の背部とし、背部の数を積算して用紙の枚数を計数することを特徴とする折り加工された用紙枚数計数方法。
【請求項2】
折り加工された複数の用紙を背部が同一平面に並ぶように揃え、揃えた複数の用紙を両側から押さえ板で押さえ、背部の前方斜めより光を照射して背間の凹部に影部、背部に非影部を生じさせ、前記の両側の押さえ板と、前記の揃えた複数の用紙の背部を前方よりテレビカメラで、前記の凹部の影部が、前記テレビカメラから得られる映像信号の水平走査線と直角になるように撮像し、得られた映像信号の背部撮像部の水平走査線1本分の映像信号の強さを、一方端から他方端まで前記のテレビカメラの解像度の数で構成されるデジタル信号の各構成点に対応させて順次記憶させ、記憶された映像信号の水平走査線1本分の構成点を5以上に分割し、左端から2番目の分割された範囲の構成点の映像信号の強さの最小値を求め、求められた最小値以上の左端の分割された範囲の構成点の映像信号の強さの平均値を求め、左端の分割された範囲の中央の構成点位置の値とし、右端から2番目の分割された範囲の構成点の映像信号の強さの最小値を求め、求められた最小値以上の右端の分割された範囲の構成点の映像信号の強さの平均値を求め、右端の分割された範囲の中央の構成点位置の値とし、左端から2番目の分割された範囲から右端から2番目の分割された範囲の映像信号の強さの平均値を求め、それぞれの分割された範囲の中央の構成点位置の値とし、一方端から順に分割範囲の中央の構成点位置の値を次々に結んで、他端まで結び、左端から2番目の分割範囲の中央の構成点位置の値と左端の分割範囲の中央の構成点位置の値を結んだ線分を左端まで延長し、右端から2番目の分割範囲の中央の構成点位置の値と右端の分割範囲の中央の構成点位置の値を結んだ線分を右端まで延長して基準屈曲線を形成し基準屈曲線上の値を構成点に対応する基準値として採用し、一方端から他方端まで前記水平走査線1本分の構成点の映像信号の強さの測定信号を順次それぞれの構成点ごとに、構成点の値と対応する基準値と比較して、初回は初めて基準値より映像信号の強さが強くなり、基準値より映像信号の強さが弱くなった場合に非影部と判定し、次回以降は下部基準値より映像信号の強さが弱くなった状態から、基準値より映像信号の強さが強くなり、基準値より映像信号の強さが弱くなった場合に非影部と判定し、判定された非影部を用紙の背部とし、背部の数を積算して用紙の枚数を計数するとともに、それぞれの非影部と判定した基準値より強くなった構成点位置の1ヶ前の構成点から、基準値より弱くなった構成点位置の間の映像信号の強さの最大値から、基準値より高くなった構成点位置の1ヶ前の構成点の映像信号の強さと、基準値より弱くなった構成点の映像信号の強さの平均値を減算し、それぞれの用紙の映像信号の基準の強さとして算出し、一方端から他端までそれぞれの正常な状態の用紙の映像信号の基準の強さと比較することにより、計数時の異常を検出することを特徴とする折り加工された用紙計数時の異常検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カタログ、パンフレット、説明書などの印刷物の折り加工された用紙の計数方法及びその用紙計数時における不揃いなどの異常を検出してさらに高精度の計数を可能とする方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カタログ、パンフレット、説明書などの多数枚の同一種類の印刷物においては、所定の大きさに整理するために折り加工機で折り加工することが行われており、その状態で所定の枚数に整理するために計数することが必要となっている。このような折り加工された用紙の計数方法としては、特許文献1に記載されているように、用紙の背部を、カラーテレビカメラやモノクロテレビカメラで撮像して映像情報を得た後、得られた映像情報を二値化または三値化して計数する方法が提案されているが、計数時の用紙不揃い等の異常を検出して計数精度を上げることが必要となっている。
【0003】
しかし、折り加工された複数の用紙の枚数計数は、カメラに複数の用紙が確実に撮像されることが必要であって、用紙の不揃いや、用紙の変形により確実に撮像がされない用紙が混在する場合には、正確な計数が行えないことが問題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特許第5131713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、多数の折り加工された用紙の枚数計数時において、高精度の計数方法を提供するとともに、用紙の不揃いや用紙の変形により確実には撮像がされない用紙の検出を可能とする、多数の折り加工された複数の同一用紙の連続した枚数計数時における用紙の不揃い等を検出してさらに高精度の計数を可能とする方法を提供をすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するものであって、折り加工された複数の用紙を背部が同一平面に並ぶように揃え、揃えた複数の用紙を両側から押さえ板で押さえ、背部の前方斜めより光を照射して背間の凹部に影部、背部に非影部を生じさせ、前記の両側の押さえ板と、前記の揃えた複数の用紙の背部を前方よりテレビカメラで、前記の凹部の影部が、前記テレビカメラから得られる映像信号の水平走査線と直角になるように撮像し、得られた映像信号の背部撮像部の水平走査線1本分の映像信号の強さを、一方端から他方端まで前記のテレビカメラの解像度の数で構成されるデジタル信号の各構成点に対応させて順次記憶させ、記憶された映像信号の水平走査線1本分の構成点を5以上に分割し、左端から2番目の分割された範囲の構成点の映像信号の強さの最小値を求め、求められた最小値以上の左端の分割された範囲の構成点の映像信号の強さの平均値を求め、左端の分割された範囲の中央の構成点位置の値とし、右端から2番目の分割された範囲の構成点の映像信号の強さの最小値を求め、求められた最小値以上の右端の分割された範囲の構成点の映像信号の強さの平均値を求め、右端の分割された範囲の中央の構成点位置の値とし、左端から2番目の分割された範囲から右端から2番目の分割された範囲の映像信号の強さの平均値を求め、それぞれの分割された範囲の中央の構成点位置の値とし、一方端から順に分割範囲の中央の構成点位置の値を次々に結んで、他端まで結び、左端から2番目の分割範囲の中央の構成点位置の値と左端の分割範囲の中央の構成点位置の値を結んだ線分を左端まで延長し、右端から2番目の分割範囲の中央の構成点位置の値と右端の分割範囲の中央の構成点位置の値を結んだ線分を右端まで延長して基準屈曲線を形成し基準屈曲線上の値を構成点に対応する基準値として採用し、一方端から他方端まで前記水平走査線1本分の構成点の映像信号の強さの測定信号を順次それぞれの構成点ごとに、構成点の値と対応する基準値と比較して、初回は初めて基準値より映像信号の強さが強くなり、基準値より映像信号の強さが弱くなった場合に非影部と判定し、次回以降は下部基準値より映像信号の強さが弱くなった状態から、基準値より映像信号の強さが強くなり、基準値より映像信号の強さが弱くなった場合に非影部と判定し、判定された非影部を用紙の背部とし、背部の数を積算して用紙の枚数を計数することを特徴とする折り加工された用紙枚数計数方法であり、折り加工された複数の用紙を背部が同一平面に並ぶように揃え、揃えた複数の用紙を両側から押さえ板で押さえ、背部の前方斜めより光を照射して背間の凹部に影部、背部に非影部を生じさせ、前記の両側の押さえ板と、前記の揃えた複数の用紙の背部を前方よりテレビカメラで、前記の凹部の影部が、前記テレビカメラから得られる映像信号の水平走査線と直角になるように撮像し、得られた映像信号の背部撮像部の水平走査線1本分の映像信号の強さを、一方端から他方端まで前記のテレビカメラの解像度の数で構成されるデジタル信号の各構成点に対応させて順次記憶させ、記憶された映像信号の水平走査線1本分の構成点を5以上に分割し、左端から2番目の分割された範囲の構成点の映像信号の強さの最小値を求め、求められた最小値以上の左端の分割された範囲の構成点の映像信号の強さの平均値を求め、左端の分割された範囲の中央の構成点位置の値とし、右端から2番目の分割された範囲の構成点の映像信号の強さの最小値を求め、求められた最小値以上の右端の分割された範囲の構成点の映像信号の強さの平均値を求め、右端の分割された範囲の中央の構成点位置の値とし、左端から2番目の分割された範囲から右端から2番目の分割された範囲の映像信号の強さの平均値を求め、それぞれの分割された範囲の中央の構成点位置の値とし、一方端から順に分割範囲の中央の構成点位置の値を次々に結んで、他端まで結び、左端から2番目の分割範囲の中央の構成点位置の値と左端の分割範囲の中央の構成点位置の値を結んだ線分を左端まで延長し、右端から2番目の分割範囲の中央の構成点位置の値と右端の分割範囲の中央の構成点位置の値を結んだ線分を右端まで延長して基準屈曲線を形成し基準屈曲線上の値を構成点に対応する基準値として採用し、一方端から他方端まで前記水平走査線1本分の構成点の映像信号の強さの測定信号を順次それぞれの構成点ごとに、構成点の値と対応する基準値と比較して、初回は初めて基準値より映像信号の強さが強くなり、基準値より映像信号の強さが弱くなった場合に非影部と判定し、次回以降は下部基準値より映像信号の強さが弱くなった状態から、基準値より映像信号の強さが強くなり、基準値より映像信号の強さが弱くなった場合に非影部と判定し、判定された非影部を用紙の背部とし、背部の数を積算して用紙の枚数を計数するとともに、それぞれの非影部と判定した基準値より強くなった構成点位置の1ヶ前の構成点から、基準値より弱くなった構成点位置の間の映像信号の強さの最大値から、基準値より高くなった構成点位置の1ヶ前の構成点の映像信号の強さと、基準値より弱くなった構成点の映像信号の強さの平均値を減算し、それぞれの用紙の映像信号の基準の強さとして算出し、一方端から他端までそれぞれの正常な状態の用紙の映像信号の基準の強さと比較することにより、計数時の異常を検出することを特徴とする折り加工された用紙計数時の異常検出方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の折り加工された用紙の計数方法及びその際の異常検出方法によれば、多値化したデータにより個々の用紙の情報から多数の折り加工された同一用紙の連続計数時における高精度計数及びその計数時における異常を検出してさらに高精度の計数が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】 折り加工された用紙の一例を示す平面図である。
図2】 折り加工された複数の用紙1の枚数を計数する手段を示す説明図である。
図3】 正常に揃え置かれた状態の用紙を撮像して得た実際のデータを用いてX軸に水平走査線構成点をとり、Y軸に輝度信号の強さ(色の強さ)をとって表示したグラフである。
図4】 正常に揃え置かれた状態の用紙を撮像して得た模式的なデータを8分割した各部分の平均値を○で示し、この基準となる点を結んで基準屈曲線を示した模式的なグラフである。
図5】 正常な計数状態の構成点における各色の強さ(輝度信号の強さ)を結んだ線分と基準屈曲線との交差状態とを左端側3枚目までに限定して詳細に示したグラフである。
図6】 計数対象の複数の用紙が正常に揃え置かれた状態の模式図である。
図7】 計数対象の複数の用紙の一枚が浮き上がった状態で揃え置かれた異常状態の模式図である。
図8】 用紙1枚が浮き上がった状態で揃え置かれた異常状態の用紙を撮像して得たデータを8分割した各部分の平均値を○で示し、この基準となる点を結んで基準屈曲線を示した模式的なグラフである。
図9】 異常が発生した計数状態の構成点における各色の強さ(輝度信号の強さ)を結んだ線分と基準屈曲線との交差状態を左端側3枚目までに限定して詳細に示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施態様を詳細に説明する。
図1は所望の大きさに折り加工された用紙の一例であって、1は二つ折りされた用紙、2は二つ折りされた用紙1の背部であり、背部2は図のように半円形状になる。
【0010】
図2は、折り加工された複数の用紙1の枚数を計数する手段を示すものであって、折り加工された複数の用紙1を背部2が同一平面に並ぶように揃え、両側から押さえ板3で押さえ、背部2の前方の斜め方向から照明装置4で光を照射して背部の凸部に非影部(輝部)5を、背間の凹部に影部6を生じさせる。照明装置4は、右方又は左方のいずれか一方に配置してあれば良いが、右方と左方の両斜め方向に配置して、両斜め方向から照射すると、均一な照明が可能である。揃えた複数の用紙1の背部2と両側の押さえ板3とを、その前方に固定配置したテレビカメラ7で、すべての影部6が撮像されるように影部6とテレビカメラ信号の水平走査線と直角となるように撮像する。テレビカメラ7の位置は左右が均一に撮像することができるように複数の用紙1の中央であることが望ましい。得られた画像は画像モニター8で画像の状態を確認し、良好な画像を得るようにする。
【0011】
次に、テレビカメラ7がアナログ方式のカラーテレビカメラの場合には、カラーテレビカメラから得られたアナログカラー画像信号をカラーアナログ−デジタル変換回路9によって、赤、緑、青の色の強さを多値化したデジタル信号に変換し、コンピュータ10に送り、多値化したデジタル化信号のそれぞれの色の強さを、水平走査線を構成する各構成点に対応する多値化した色信号に変換する。カメラがデジタル方式の場合にはデジタル信号を直接コンピュータ10に送り、演算に使用してもよい。また得られたデジタル信号の三色すべてを計数に使用することもできるし、用紙の色に応じてもっとも強く現れる最適の色信号を選び、代表する信号とすることもできる。特に、用紙の色が紺色・青色系統の場合には、青色信号だけが鮮明にあらわれ、赤・緑色の色の強さは不鮮明になるので、誤計数を防止するために計数に使用しない方がよい場合が多い。紺色・青色系統の用紙色の場合には、モノクロカメラを使用すると、計数が難しくなるので、これらの色の用紙の計数には、カラーテレビカメラを使用することが望ましい。
【0012】
テレビカメラ7がモノクロテレビカメラの場合には、得られた画像信号をカラーアナログ−デジタル変換回路9をモノクロアナログ−デジタル回路に変更し、前記モノクロアナログ−デジタル回路に送り、アナログ輝度信号を多値化した輝度信号に変換し、図2のコンピュータ10に送り、画像信号の輝度を水平走査線を構成する各構成点に対する多値化した信号に変換する。この場合にも、デジタル方式のモノクロテレビカメラも使用可能である。以下の説明では、カラーテレビカメラについて、説明するが、モノクロテレビカメラも同様に適用される。
また、テレビカメラからの映像信号はカラーの場合と、モノクロの場合があり、カラー信号の場合は輝度信号と色信号、モノクロ信号の場合は輝度信号により画像を構成し、テレビカメラから画像表示装置などへの信号は、RGB信号、コンポジット信号、コンポーネント信号、ハイビジョン信号などが存在し、それぞれの信号をアナログ信号で伝送する場合や、デジタル信号で伝送する場合など多数の方式が存在する、そのため、代表的なアナログ信号を出力するアナログ方式のカラーテレビカメラと、アナログ方式のモノクロテレビカメラの場合で説明を行うが、デジタル信号で伝送する方式のテレビカメラの場合は多値化された信号であるのでアナログ−デジタル変換回路が不要なだけであり、カラーテレビカメラの色信号、モノクロテレビカメラの輝度信号はそれぞれ同一の映像信号として処理可能であり、また色の強さと輝度の強さも画像明るさを表す映像信号の強さとして同一のものとして処理可能である。
【0013】
変換された赤・緑・青の色の強さ(輝度信号の強さ)の値を、一方端から他方端まで、前記のアナログカラーテレビカメラの解像度の数の構成されるデジタル信号の各構成点に対応させて順次記憶させ、揃えた複数の用紙1の計数にさいしては、一方の押さえ板3から複数の用紙1を経て他方の押さえ板3に至るまでの水平走査線を構成する各構成点の信号の強さを、影部6と直交する方向に水平走査線1本分検出し、コンピュータモニター11で、図3に示すよにX軸に水平走査線構成点をとり、Y軸に輝度信号の強さをとって表示し、水平走査線構成点の各点に対する信号の強さを示す点を直線で結ぶグラフを表示する。このグラフでは、非影部(輝部)5と影部6が山部と谷部を形成して振幅するように現れ、非影部(輝部)5と影部6をその信号の強さの差として知ることができる。
【0014】
図3は、正常に揃え置かれた状態の用紙50枚の計数時の実際のグラフであって、縦軸に色の強さ(輝度信号の強さ)、横軸に水平走査線構成点をとっている。この図では、複雑で微細な屈曲線が表示されるので、ここでは、簡易な説明のために正常に揃え置かれた用紙25枚計数時の模式化したグラフである図4を用いて説明することとする。
【0015】
図4は、得られたデータを水平走査線に沿って5以上に分割(図では8分割)した場合の例示であって、赤、緑、青ごとに左端から2番目及び右端から2番目の分割された範囲の構成点の色の強さ(輝度信号の強さ)の最小値を演算し、左端の分割された範囲では演算された左端から2番目の最小値より高い構成点の色の強さの平均値を演算し、右端の分割された範囲では演算された右端から2番目の最小値より高い構成点の色の強さの平均値を演算し、左端および右端以外の分割された範囲では、それぞれの範囲内のすべての構成点の色の強さの平均値を演算し、それぞれの分割された範囲で、範囲内の構成点の色の強さの平均値を分割範囲の中央の構成点位置の値として○で示す。
【0016】
そして、一方端から順に○で示す分割範囲の中央の構成点位置の値を実線で示すように次々に結び、左端部では左端から2番目の○と左端の○を結ぶ線分を点線で示すように左端側に延長し、右端部では右端から2番目の○と右端の○を結ぶ線分を点線で示すように右端部に延長して、基準屈曲線を形成し、この基準屈曲線上の値を構成点に対応する基準値として採用する。
【0017】
図5は、水平走査線一本分の構成点の色の強さ(輝度信号の強さ)を左端から用紙3枚分のp1からp34までについて分かりやすく限定して表し、各構成点の色の強さを直線で結び、そして上記のようにして得た基準屈曲線A−Aを表した図であって、これによって、非影部の判定方法を以下に説明する。
【0018】
この非影部の判定方法は、一方端から他方端まで前記水平走査線1本分の構成点の色の強さの測定信号を順次それぞれの構成点ごとに、構成点の値と対応する基準屈曲線の値と比較して、初回は初めて基準屈曲線の値より色が強くなった後、基準屈曲線の値より色が弱くなった場合に非影部と判定し、次回以降は基準屈曲線の値より色が弱くなった状態から、基準屈曲線の値より強くなり、再び色が弱くなった場合に非影部と判定するのである。
【0019】
更に図5で具体的に述べる。即ち、構成点p4とp5の間で初めて基準屈曲線A−Aを上方向に越え、構成点p10とp11の間で基準屈曲線A−Aをその後初めて下方向に越えることで非影部と判定し、以降は基準屈曲線Aよりp14のように構成点が低い状態から、構成点p14とp15の間のように基準屈曲線A−Aを上方向に越え、構成点p18とp19の間のようにその後初めて基準屈曲線A−Aを下方向に越えることで新たな非影部を検出し、構成点を最後の点まで同様の方法で非影部の検出を続け、検出された非影部の個数を積算し、非影部を用紙の背部分として、積算された背部分の個数を用紙の枚数とする。そして、それぞれの検出された非影部の検出条件である基準屈曲線A−Aを上方向に越える1ヶ前の構成点の値と、基準屈曲線A−Aを下方向に越えた構成点の値の平均値を演算するとともに、この2ヶの構成点間の最大値を求め、最大値から平均値を減算した値をその用紙の色の基準の強さ(グラフでの高さに相当)とする。
【0020】
具体的には、基準屈曲線A−Aを上方向に越えるp5の1ヶ前の点p4と、その後初めて屈曲線A−Aを下方向に越えるp11の平均値を求め、p4とp11の間の最大値p7から減算して用紙の色の強さを求める。計算式で示すと、p4=96、p7=205、p11=90であるので、左端から1枚目の用紙の高さは、P7−(p4+p11)÷2=112と演算され、2枚目は基準屈曲線A−Aを上方向に越えるp15の1ヶ前の点p14と、その後初めて基準屈曲線A−Aを下方向に越えるp19の平均値を求め、p14とp19の間の最大値p17から減算して用紙の色の強さを求める。計算式で示すと、p14=115、p17=217、p19=114であるので、左端から2枚目の用紙の色の強さは、P17−(p14+p19)÷2=102と演算される。同様の方法で、左端から右端までそれぞれの検出された非影部に対して演算し、非影部の色の強さを求め、それぞれの用紙の色の基準の強さ(グラフの高さ)とする。
【0021】
図6は、計数対象の用紙が正常に用紙の背部がすべて撮像されるように整列した場合の模式的例示であり、そして、図7は、左端から2枚目が浮き上がり、正常に用紙の背部がすべて撮像されない場合の模式的例示である。図7のような計数対象の用紙が不正常な場合には、図8の▲1▼部に示すように、グラフが正常な図4の場合と比較すると、色の強さが弱くなることによって、用紙の計数時において用紙整列状態の異常を検出することが可能となるのである。具体的には、計数を開始する前に正常な用紙を完全な状態で整列させ、正常時のそれぞれの用紙の色の強さを記録しておき、多数の同一用紙の実際の折り加工時に生産される用紙の計数時にそれぞれの用紙の色の強さを演算し、記録しておいた用紙の基準の色の強さと比較し、あらかじめ設定した許容値の範囲外の場合に異常と判定することができるのである。さらに図9を用いて詳細に不正常な状態の検出方法を述べる。
【0022】
異常状態が生じた図9の場合を正常な状態の図5と比較すると、図9の左端から2枚目の▲1▼部分の色の強さが弱くなり、用紙の色の基準の強さ(グラフの高さ)が低くなっていることがわかる。▲1▼の部分の用紙の色の強さは、2枚目の用紙の用紙の色の強さが基準曲線A−Aを上方向に越えるp16の1ヶ前の点p15とその後初めて屈曲線A−Aを下方向に越えるp19の平均値を求め、p14とp19の間の最大値p17から減算して用紙の色の強さを求める。計算式で示すと、p14=117、p17=180、p19=115であるので、用紙の色の強さは、p17−(p14+p19)÷2=64と演算される。一方、左端から2枚目の用紙の正常時の色の強さは前記の演算で102であるので、▲1▼の部分の色の強さの対比は、64÷102×100=62.7%となり、許容値を±25%に設定すると、設定の許容範囲は75%から125%となり、本例の場合には許容範囲外となるため異常として検出される。
【0023】
以上のように、グラフから求めた基準屈曲線を用いてグラフと基準屈曲線とから用紙の枚数を算出することによって、精度の高い枚数の計数が行えるとともに、実際の連続計数時の用紙の色の強さを正常時の用紙の色の強さと比較することによって、用紙整列状態の異常も検出することが可能であり、これにより、適正な整列作業が可能となり、適正な整列作業における計数が安定して行うことができるため、整列状態の不具合による誤計数のない、より高精度の計数を行うことができる。なお、計数枚数が正常な状態の用紙検査時の計数枚数と異なる場合には、比較対象が存在しない場合や枚数が異なることにより、それぞれの用紙の色の強さの検出結果が正常時と異なることが多いため、異常の検査を行わないことが望ましい。
【符号の説明】
【0024】
1 二つ折りされた用紙
2 背部
3 押さえ板
4 照明装置
5 非影部
6 影部
7 テレビカメラ
8 画像モニター
9 カラーアナログ−デジタル変換回路
10 コンピュータ
11 コンピュータモニター
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9