特許第6111520号(P6111520)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6111520
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/032 20160101AFI20170403BHJP
   H02P 27/06 20060101ALI20170403BHJP
   H02P 27/16 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   H02P29/032
   H02P27/06
   H02P27/16
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-36592(P2012-36592)
(22)【出願日】2012年2月22日
(65)【公開番号】特開2013-172615(P2013-172615A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2015年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠山 瑛司
(72)【発明者】
【氏名】関本 守満
(72)【発明者】
【氏名】谷口 智勇
(72)【発明者】
【氏名】日比野 寛
【審査官】 マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−277289(JP,A)
【文献】 特開2008−104326(JP,A)
【文献】 特開2005−020836(JP,A)
【文献】 特開2007−124816(JP,A)
【文献】 特開平10−164223(JP,A)
【文献】 特開平08−171843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 29/032
H02P 27/06
H02P 27/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
なくともコンデンサ(26,56)を含む変換器を有する電力変換装置であって、
交流電源(1)と上記変換器との間に設けられたリレー回路(14)と、
上記リレー回路(14)をオフ状態からオン状態に切り換えることによって上記変換器の入力電圧が上記変換器の構成素子の耐電圧に対して過渡的に過電圧とならないような所定の範囲内に、上記交流電源(1)の電圧又は電圧の位相があるときに、上記リレー回路(14)をオフ状態からオン状態に切り換えるリレー制御部(41,43,54)を備え
上記コンデンサ(26,56)は、上記交流電源(1)からの電圧変動を吸収することなく、上記変換器のスイッチングによる電圧変動を吸収する
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記変換器は、
上記交流電源(1)から出力された交流電力を整流する整流回路(20)と、
上記整流回路(20)から電力供給されるインバータ回路(30)とを有し、
上記コンデンサ(26)は、該インバータ回路(30)の入力側に設けられている
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項1において、
上記変換器は、上記交流電源(1)から交流出力を直接生成するマトリックスコンバータ(51)を有し、
上記コンデンサ(56)は、該マトリックスコンバータ(51)の入力側に設けられている
とを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1つにおいて、
上記リレー制御部(41,54)は、上記交流電源(1)の電圧の瞬時値が上記所定の範囲内にあるタイミングで上記リレー回路(14)をオフ状態からオン状態へ切り換えるよう構成されている
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項4において、
上記所定の範囲は、上記リレー回路(14)がオフ状態からオン状態へ切り換わる間に変化する電圧分を考慮して設定される
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
請求項1〜3の何れか1つにおいて、
上記リレー制御部(43,54)は、上記交流電源(1)の電圧の位相が上記所定の範囲内にあるタイミングで上記リレー回路(14)をオフ状態からオン状態へ切り換えるよう構成されている
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項7】
請求項6において、
上記所定の範囲は、上記リレー回路(14)がオフ状態からオン状態へ切り換わる間に変化する位相分を考慮して設定される
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項8】
請求項1〜の何れか1つにおいて、
上記交流電源(1)と上記変換器との間に設けられるリアクトル(11)を備えている
ことを特徴とする電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関し、特に、リレー回路の切換制御に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電力変換装置としてインバータ回路が知られている。インバータ回路は、スイッチング制御により、直流電力を可変周波数・可変電圧の交流電力に高効率変換する回路である。
【0003】
図5に示すように、一般的に、インバータ回路(a)は、リアクトル(i)と突入電流防止回路(b)と整流回路(c)と平滑コンデンサ(d)とインバータ(e)とが接続されて構成されている。上記整流回路(c)は、複数のダイオード(f)が接続されるブリッジ回路を有して構成されている。上記平滑コンデンサ(d)は、整流回路(c)で整流した電圧変動を除去するためのものである。そして、上記突入電流防止回路(b)は、電源投入時に平滑コンデンサ(d)に大量の電流(突入電流)が流れるのを防止するためのものである。突入電流防止回路(b)は、抵抗素子(g)とリレースイッチ(h)とで構成されている。
【0004】
一方で、上述したインバータ回路(a)等において従来より必要とされていた大容量の平滑コンデンサのコンデンサ容量を小容量化すると共に負荷側のモータを制御することで、電源側の力率低下問題や高調波問題を解消する、いわゆるコンデンサレスインバータ回路が提案されている。
【0005】
具体的に、特許文献1に示すコンデンサレスインバータ回路は、整流回路の出力側に、従来の大容量の平滑コンデンサ(d)に代えて、例えば数十μF程度の小容量のコンデンサを設けている。この種のコンデンサレスインバータ回路では、用いられるコンデンサが小容量であるため、大きな突入電流が流れない。これにより、特許文献1に示すコンデンサレスインバータ回路では、上述したインバータ回路(a)のように突入電流防止回路(b)を設ける必要がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−51589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のコンデンサレスインバータ回路などでは、リレーをオフからオンへ切り換える際、回路配線等に含まれるリアクトル成分とコンデンサとの間でLC共振が発生することがある。このリレーの切り換えのタイミングが、交流電源の電圧がゼロになる瞬間(電圧ゼロ点)から所定の位相の範囲を超えると、LC共振の影響を受けて、図6に示すように、交流電源から整流回路に印加される電圧が過渡的に大きくなり、その結果、整流回路の出力側の電圧も過渡的に大きくなり、インバータ回路の構成素子等が破壊されてしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、コンデンサレスインバータ回路において、インバータ回路の構成素子等を破壊することなく、リレーを切り換えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記リレーの切り換えのタイミングにおける電圧ゼロ点からの位相が大きくなるのに応じて、交流電源から整流回路に印加される瞬時電圧が大きくなるという問題が生じる。
【0010】
具体的には、図8に示すように、リレーの切り換えタイミングが交流電源の電圧のゼロ点からの位相が30°のとき、LC共振の影響を受けて整流回路に印加される瞬時電圧が大きくなる。尚、図8に示す下図の破線は、交流電源の電圧のゼロ点においてリレーが切り換えられた場合のスイッチング波形を示し、上図の破線は、整流回路に入力される電圧を示している(以下、図9図13において同じ)。さらに、図8図11に示すように、電圧ゼロ点からの位相が大きく(30°〜90°)なると、交流電源から整流回路へ印加される瞬時電圧が大きくなる。そして、交流電源から整流回路へ印加される瞬時電圧が大きくなると、その結果、整流回路の出力側の電圧も過渡的に大きくなり、インバータ回路の構成素子等が破壊されてしまう。
【0011】
逆に、図12に示すように、リレーの切り換えタイミングが、交流電源の電圧のゼロ点の近傍であると瞬時電圧が小さくなる。そこで、本発明は、整流回路に印加される電圧が小さいときにリレー回路をオンするようにしたものである。
【0012】
尚、上述した突入電流防止回路(b)を有するインバータ回路(a)では、抵抗素子(g)によって電流が減少するため、LC共振そのものが抑制されており、図13に示すように、リレーの切り換えタイミングが電圧ゼロ点から所定の範囲を超えても交流電源から整流回路へ印加される電圧が過渡的に大きくなることはない。
【0013】
第1の発明は、少なくともコンデンサ(26,56)を含む変換器を有する電力変換装置であって、交流電源(1)と上記変換器との間に設けられたリレー回路(14)と、上記リレー回路(14)をオフ状態からオン状態に切り換えることによって上記変換器の入力電圧が上記変換器の構成素子の耐電圧に対して過渡的に過電圧とならないような所定の範囲内に、上記交流電源(1)の電圧又は電圧の位相があるときに、上記リレー回路(14)をオフ状態からオン状態に切り換えるリレー制御部(41,43,54)を備える。上記コンデンサ(26,56)は、上記交流電源(1)からの電圧変動を吸収することなく、上記変換器のスイッチングによる電圧変動を吸収する
【0014】
上記第1の発明では、リレー制御部(41,43,54)は、交流電源(1)の電圧状態に基づいてリレー回路(14)をオフ状態からオン状態へ切り換える。つまり、交流電源(1)の電圧状態に基づいてリレー回路(14)がオン状態へ切り換わると、交流電源(1)から変換器へ印加される電圧(入力電圧)が装置の配線等に含まれるリアクトル成分とコンデンサ(26,56)との間で発生する共振現象(LC共振)の影響を受けても、変換器の入力電圧が過電圧となることがない。これにより、変換器の構成素子が破壊されるような過電圧となる前にリレー回路(14)をオフ状態からオン状態へ切り換えることができる。上記リレー回路(14)がオン状態へ切り換わると、変換器は電力変換を行う。
【0015】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記変換器は、上記交流電源(1)から出力された交流電力を整流する整流回路(20)と、上記整流回路(20)から電力供給されるインバータ回路(30)とを有し、上記コンデンサ(26)は、該インバータ回路(30)の入力側に設けられている
【0016】
上記第2の発明では、リレー制御部(41,43)は、交流電源(1)の電圧状態に基づいてリレー回路(14)をオフ状態からオン状態へ切り換える。つまり、交流電源(1)の電圧状態に基づいてリレー回路(14)がオン状態へ切り換わると、交流電源(1)からインバータ回路(30)へ印加される電圧(印加電圧)が装置の配線等に含まれるリアクトル成分とコンデンサ(26)との間で発生する共振現象(LC共振)の影響を受けても、インバータ回路(30)に供給される電圧が過電圧となることがない。
【0017】
上記リレー回路(14)がオン状態へ切り換わると、整流回路(20)は交流電力を整流する。この整流回路(20)は、交流電源(1)の出力電圧に応じた電圧変動を含んでインバータ回路(30)に電力供給をする。そして、インバータ回路(30)は、交流電力を出力して負荷に供給する。
【0018】
上記インバータ回路(30)では、スイッチングによる電圧変動が発生する。上記コンデンサ(26)は、整流回路(20)からの電圧変動を吸収せず、インバータ回路(30)のスイッチングに起因する電圧変動のみを吸収する。
【0019】
第3の発明は、上記第1の発明において、上記変換器は、上記交流電源(1)から交流出力を直接生成するマトリックスコンバータ(51)を有し、上記コンデンサ(56)は、該マトリックスコンバータ(51)の入力側に設けられている
【0020】
上記第3の発明では、リレー制御部(54)は、交流電源(1)の電圧状態に基づいてリレー回路(14)をオフ状態からオン状態へ切り換える。つまり、交流電源(1)の電圧状態に基づいてリレー回路(14)がオン状態へ切り換わると、交流電源(1)からマトリックスコンバータ(51)へ印加される電圧(印加電圧)が装置の配線等に含まれるリアクトル成分とコンデンサ(56)との間で発生する共振現象(LC共振)の影響を受けても、マトリックスコンバータ(51)への印加電圧(入力電圧)が過電圧となることがない。
【0021】
上記リレー回路(14)がオン状態へ切り換わると、マトリックスコンバータ(51)は交流電源(1)から供給された交流電力から直接交流電力を出力して負荷に供給する。
【0022】
第4の発明は、上記第1〜3の発明の何れか1つにおいて、上記リレー制御部(41,54)は、上記交流電源(1)の電圧の瞬時値が上記所定の範囲内にあるタイミングで上記リレー回路(14)をオフ状態からオン状態へ切り換えるよう構成されている。
【0023】
上記第4の発明では、リレー制御部(41,54)は、交流電源(1)の電圧の瞬時値が所定の範囲内にあるタイミングでリレー回路(14)をオフ状態からオン状態へ切り換える。つまり、上記タイミングでリレー回路(14)がオン状態へ切り換わると、交流電源(1)から変換器へ印加される電圧(入力電圧)が、装置の配線等に含まれるリアクトル成分とコンデンサ(26,56)との間で発生する共振現象(LC共振)の影響を受けても、変換器の入力電圧が過電圧となることがない。
【0024】
の発明は、上記第4の発明において、上記所定の範囲は、リレー回路(14)がオフ状態からオン状態へ切り換わる間に変化する電圧分を考慮して設定される。
【0025】
上記第の発明に係るリレー制御部(41,54)では、リレー回路(14)がオフ状態からオン状態へ切り換わる間に生じた(変化した)電圧分を考慮し、例えば、この電圧分だけ所定値を補正する。そして、リレー制御部(41,54)は、交流電源(1)の電圧の瞬時値が所定値を越えないタイミングでリレー回路(14)をオフ状態からオン状態へ切り換える。つまり、このタイミングでリレー回路(14)がオン状態へ切り換わると、装置の配線等に含まれるリアクトル成分とコンデンサ(26,56)との間で発生する共振現象(LC共振)の影響を受けても、変換器の入力電圧が過電圧となることがない。
【0026】
の発明は、上記第1〜第3の発明の何れか1つにおいて、上記リレー制御部(43,54)は、上記交流電源(1)の電圧の位相が上記所定の範囲内にあるタイミングで上記リレー回路(14)をオフ状態からオン状態へ切り換えるよう構成されている。
【0027】
上記第の発明では、リレー制御部(43,54)は、交流電源(1)の電圧の位相が所定位相範囲内のタイミングでリレー回路(14)をオフ状態からオン状態へ切り換える。つまり、上記タイミングでリレー回路(14)がオン状態へ切り換わると、交流電源(1)から変換器へ印加される電圧(入力電圧)が、装置の配線に含まれるリアクトル成分とコンデンサ(26,56)との間で発生する共振現象(LC共振)の影響を受けても、変換器の入力電圧が過電圧となることがない。
【0028】
の発明は、上記第6の発明において、上記所定の範囲は、リレー回路(14)がオフ状態からオン状態へ切り換わる間に変化する位相分を考慮して設定される。
【0029】
上記第の発明に係るリレー制御部(43,54)では、リレー回路(14)がオフ状態からオン状態へ切り換わる間に生じた(変化した)位相分を考慮し、例えば、この位相分に相当する時間分だけ所定位相を補正する。
【0030】
そして、リレー制御部(43,54)は、交流電源(1)の電圧の位相が補正された所定位相の範囲内にリレー回路(14)をオフ状態からオン状態へ切り換える。つまり、このタイミングでリレー回路(14)がオン状態へ切り換わると、装置の配線等に含まれるリアクトル成分とコンデンサ(26,56)との間で発生する共振現象(LC共振)の影響を受けても、変換器の入力電圧が過電圧となることがない。
【0031】
の発明は、上記第1〜第の発明の何れか1つにおいて、上記交流電源(1)と上記変換器との間に設けられるリアクトル(11)を備えている。
【0032】
上記第の発明では、リレー回路(14)の切り換えのタイミングが電圧ゼロ点から所定の範囲を超えると、交流電源(1)から変換器へ印加される電圧(入力電圧)がリアクトル(11)とコンデンサ(26,56)との間で発生するLC共振の影響を受け、変換器の入力電圧が過電圧となる。
【発明の効果】
【0033】
上記第1の発明によれば、交流電源(1)の電圧状態に基づいてリレー回路(14)をオン状態へ切り換えるようにしたため、交流電源(1)から変換器へ印加される電圧(入力電圧)が過渡的に過電圧になるのを防止することができる。つまり、変換器へ印加される電圧(入力電圧)がLC共振による影響を受けても、変換器の入力電圧が過電圧とならない。これにより、変換器の構成素子等を破壊することなく、リレー回路(14)を切り換えることができる。
【0034】
また、リレー回路(14)をオフ状態からオン状態へ切り換えたときの変換器の入力電圧が該変換器の構成素子の耐電圧以下となるような電圧の範囲で電圧又は位相を設定したため、変換器の入力電圧が大きくなっても該変換器の構成素子に耐電圧以上の過電圧が印加されるのを確実に防止することができる。これにより、変換器の構成素子を破壊することなく、リレー回路(14)を切り換えることができる。
【0035】
上記第2の発明によれば、交流電源(1)の電圧状態に基づいてリレー回路(14)をオン状態へ切り換えるようにしたため、交流電源(1)から整流回路(20)へ印加される電圧(印加電圧)が過渡的に過電圧になるのを防止することができる。つまり、整流回路(20)へ印加される電圧(印加電圧)がLC共振による影響を受けても、整流回路(20)から出力される電圧が過電圧とならない。これにより、インバータ回路(30)の構成素子等を破壊することなく、リレー回路(14)を切り換えることができる。
【0036】
上記第3の発明によれば、交流電源(1)の電圧状態に基づいてリレー回路(14)をオン状態へ切り換えるようにしたため、マトリックスコンバータ(51)の入力電圧が過渡的に過電圧になるのを防止することができる。つまり、マトリックスコンバータ(51)へ入力される電圧がリアクトル成分による影響を受けても、入力電圧が過電圧となるのを防止しつつ、リレー回路(14)を切り換えることができる。
【0037】
上記第4の発明によれば、交流電源(1)の電圧の瞬時値が上記所定の範囲内にあるときにリレー回路(14)をオン状態へ切り換えるようにしたため、交流電源(1)から変換器へ印加される電圧(入力電圧)が過電圧になるのを防止することができる。つまり、変換器へ印加される電圧(入力電圧)がLC共振による影響を受けても、変換器の入力電圧が過電圧とならない。これにより、変換器の構成素子等を破壊することなく、リレー回路(14)を切り換えることができる。
【0038】
上記第の発明によれば、リレー回路(14)がオフ状態からオン状態へ切り換わる間に生じる(変化する)電圧分を考慮して所定値を設定したため、リレー回路(14)がオフ状態からオン状態へ切り換わるまでの時間を考慮してリレー回路(14)を切り換えることができる。つまり、リレー回路(14)がオフ状態からオン状態へ切り換わる時間を考慮することで変換器の入力電圧が過渡的に過電圧となるのを確実に防止することができる。これにより、変換器の構成素子等を破壊することなく、リレー回路(14)を切り換えることができる。
【0039】
上記第の発明によれば、交流電源(1)の電圧の位相が所定の位相の範囲内のタイミングでリレー回路(14)をオン状態へ切り換えるようにしたため、交流電源(1)から変換器の入力電圧が過電圧になるのを防止することができる。つまり、変換器へ印加される電圧(入力電圧)がLC共振による影響を受けても、変換器の入力電圧が過電圧とならない。これにより、変換器の構成素子等を破壊することなく、リレー回路(14)を切り換えることができる。
【0040】
上記第の発明によれば、リレー回路(14)がオフ状態からオン状態へ切り換わる間に生じる(変化する)位相分を考慮して所定の位相を設定したため、リレー回路(14)がオフ状態からオン状態へ切り換わるまでの時間を考慮してリレー回路(14)を切り換えることができる。つまり、リレー回路(14)がオフ状態からオン状態へ切り換わる時間を考慮することで変換器の入力電圧が過渡的に過電圧となるのを確実に防止することができる。これにより、変換器の構成素子等を破壊することなく、リレー回路(14)を切り換えることができる。
【0041】
上記第の発明では、交流電源(1)と変換器との間にリアクトル(11)を設けたため、リレー回路(14)の切り換えのタイミングが電圧ゼロ点から所定の範囲を超えると、交流電源(1)から変換器へ印加される電圧(入力電圧)がリアクトル(11)とコンデンサ(26,56)との間で発生するLC共振の影響を受け、変換器の入力電圧が過電圧となる。
【0042】
ところが、第の発明によれば、交流電源(1)の電圧が所定値になる前、又は交流電源(1)の位相が所定の位相になる前にリレー回路(14)をオン状態へ切り換えるようにしたため、交流電源(1)から変換器へ印加される電圧(入力電圧)が過渡的に過電圧になるのを防止することができる。つまり、変換器へ印加される電圧(入力電圧)がLC共振による影響を受けても、変換器の入力電圧が過電圧とならない。これにより、変換器の構成素子等を破壊することなく、リレー回路(14)を切り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本実施形態1に係る電力変換装置を示す回路図である。
図2】本実施形態2に係る電力変換装置を示す回路図である。
図3】本実施形態3に係る電力変換装置を示す回路図である。
図4】その他の実施形態に係るリレー制御部を示す回路図である。
図5】従来例に係る電力変換装置を示す回路図である。
図6】従来例に係るコンデンサレスインバータにおいてLC共振が発生した場合の(A)は整流回路に入力される電圧と時間との関係を示すグラフであり、(B)は交流電源の電圧ゼロ点からの電圧の位相が90°のときのリレーのタイミングチャートである。
図7】従来例に係るコンデンサレスインバータ及び本実施形態に係る電力変換装置において、(A)は整流回路に入力される電圧と時間との関係を示すグラフであり、(B)は交流電源の電圧ゼロ点からの電圧の位相が10°のときのリレーのタイミングチャートである。
図8】従来のコンデンサレスインバータ及び本実施形態に係る電力変換装置において、(A)は整流回路に入力される電圧と時間との関係を示すグラフであり、(B)は交流電源の電圧ゼロ点からの電圧の位相が30°のときのリレーのタイミングチャートである。
図9】従来のコンデンサレスインバータ及び本実施形態に係る電力変換装置において、(A)は整流回路に入力される電圧と時間との関係を示すグラフであり、(B)は交流電源の電圧ゼロ点からの電圧の位相が45°のときのリレーのタイミングチャートである。
図10】従来のコンデンサレスインバータ及び本実施形態に係る電力変換装置において、(A)は整流回路に入力される電圧と時間との関係を示すグラフであり、(B)は交流電源の電圧ゼロ点からの電圧の位相が60°のときのリレーのタイミングチャートである。
図11】従来のコンデンサレスインバータ及び本実施形態に係る電力変換装置において、(A)は整流回路に入力される電圧と時間との関係を示すグラフであり、(B)は交流電源の電圧ゼロ点からの電圧の位相が90°のときのリレーのタイミングチャートである。
図12】従来例に係るコンデンサレスインバータ及び本実施形態に係る電力変換装置において、(A)は整流回路に入力される電圧と時間との関係を示すグラフであり、(B)は交流電源の電圧ゼロ点からの電圧の位相が0°のときのリレーのタイミングチャートである。
図13】従来例に係るインバータ回路(a)において、(A)は整流回路に入力される電圧と電流と時間との関係を示すグラフであり、(B)は交流電源の電圧ゼロ点からの電圧の位相が90°のときのリレーのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0045】
〈発明の実施形態1〉
本実施形態1について以下に説明する。図1に示すように、本実施形態1に係る電力変換装置(10)は、リアクトル(11)と、リレー(14)と、電圧検知回路(42)と、リレー制御部(41)と、ダイオード整流回路(20)と、コンデンサ回路(25)と、インバータ回路(30)とが電源線(12,13)に接続されて構成されている。また、電力変換装置(10)は商用電源である交流電源(1)に接続されている。この交流電源(1)は、単相交流電源に構成されている。尚、ダイオード整流回路(20)、およびインバータ回路(30)は、本発明に係る変換器を構成している。
【0046】
上記電力変換装置(10)は、例えば、空気調和装置の冷媒回路に設けられた圧縮機の電動機(モータ)(2)を駆動するために用いられる。ここで、空気調和装置の冷媒回路は図示をしないが、圧縮機と凝縮器と膨張機構と蒸発器とが閉回路を構成するように接続されてなり、冷媒が循環して蒸気圧縮式冷凍サイクルを行うよう構成されている。この冷媒回路によって冷房運転では、蒸発器で冷却された空気が室内へ供給され、暖房運転では、凝縮器で加熱された空気が室内へ供給される。
【0047】
上記リレー(14)は、オン状態とオフ状態とを切り換えるものであって、本発明に係るリレー回路を構成している。このリレー(14)は、例えばコイルに所定の信号電圧を印加することでリレーの接点を動かすための可動部が動いて接点を閉じるように構成されている。リレー(14)は、リレー制御部(41)に接続され、該リレー制御部(41)からの信号電圧によってオフ状態とオン状態が切り換え制御されている。
【0048】
上記ダイオード整流回路(20)は、4個の高速スイッチングダイオード(21)を有してブリッジ状に形成されている。そして、ダイオード整流回路(20)は、交流電源(1)から出力される交流電力を全波整流し、電源線(12,13)の間に与えるものであって、本発明に係る整流回路を構成している。
【0049】
上記リアクトル(11)は、交流電源(1)とダイオード整流回路(20)との間に設けられている。
【0050】
上記コンデンサ回路(25)は、例えば数十μF程度の小容量のコンデンサ(26)を備えている。このコンデンサ(26)は、例えばフィルムコンデンサで構成される。上記コンデンサ(26)は、上記ダイオード整流回路(20)とインバータ回路(30)との間で、且つ電源線(12,13)間に接続されている。そして、このコンデンサ(26)は、ダイオード整流回路(20)で整流された電圧変動を吸収せず、インバータ回路(30)のスイッチングによる電圧変動を吸収する小容量に構成されている。
【0051】
上記インバータ回路(30)は上記ダイオード整流回路(20)で整流された電圧を入力し、三相の電流を電動機(モータ)(2)に供給するものである。インバータ回路(30)は、いずれも電源線(12)に接続されるコレクタを有する3個のトランジスタ(アッパーアーム側トランジスタ)と、いずれも電源線(13)に接続されるエミッタを有する3個のトランジスタ(ローワーアーム側トランジスタ)とを備えている。アッパーアーム側トランジスタのそれぞれは、ローワーアーム側トランジスタのそれぞれと対をなす。
【0052】
上記電圧検知回路(42)は、交流電源(1)からダイオード整流回路(20)に印加される交流電圧の電圧値を検出するものである。具体的に電圧検知回路(42)は、交流電源(1)とダイオード整流回路(20)との間の電圧を検知している。そして、電圧検知回路(42)は、リレー制御部(41)に接続され、該リレー制御部(41)へ検知電圧のデータを送っている。
【0053】
上記リレー制御部(41)は、上記電圧検知回路(42)の検出電圧に基づいてリレー(14)のスイッチング(オフ/オン)を制御するものである。リレー制御部(41)は、電圧検知回路(42)と、リレー(14)とに接続されている。
【0054】
上記リレー制御部(41)には、ダイオード整流回路(20)で整流した電圧が、インバータ回路(30)のスイッチング素子であるトランジスタ等の耐電圧に対して過電圧とならないような電圧(上限電圧)に基づく交流電源(1)からダイオード整流回路(20)へ印加される電圧(基準電圧)が予め設定されている。この基準電圧は、本発明に係る所定値を構成している。
【0055】
そして、リレー制御部(41)は、交流電源(1)からダイオード整流回路(20)へ印加される電圧が、上記基準電圧以下である時に、リレー(14)をオン状態に切り換えるよう構成されている。
【0056】
具体的に、本実施形態1における電力変換装置(10)では、上記上限電圧が例示として500Vに設定されている。したがって、本実施形態1では、リレー制御部(41)は、図7および図8に示すように、交流電源(1)の電圧の位相が電圧ゼロ点から30°の状態となるまで時間的な余裕をもってリレー(14)の切り換えをすることができることになる。また、交流電源(1)の電圧の位相が電圧ゼロ点から30°の状態となる時の交流電源(1)の電圧値が上記基準電圧となる。
【0057】
また、この基準電圧の設定については、上記インバータ回路(30)の構成素子の耐電圧以外にもリレー(14)をオフからオンへ切り換えるのに要する時間(遅延時間)を考慮して設定することもできる。
【0058】
具体的には、交流電源(1)からダイオード整流回路(20)へ印加される電圧が、上記遅延時間によって変化する分の電圧(変化電圧)を予め求めておく。そして、インバータ回路(30)のトランジスタ等の耐電圧に応じて設定された基準電圧から、上記変化電圧分を考慮した電圧を基準電圧として設定することで、リレー制御部(41)は、上記遅延時間分を考慮してリレー(14)をオンに切り換えることができる。これにより、リレー(14)を切り換えるのに時間がかかることによって、ダイオード整流回路(20)の出力電圧がインバータ回路(30)の構成素子であるトランジスタ等の耐電圧に対して過電圧となるのを確実に防止することができる。尚、上記リレー(14)を切り換えるのに要する時間(遅延時間)はリレー(14)のデータシート等に基づいて決めるようにしてもよい。
【0059】
−実施形態1の効果−
上記本実施形態1では、ダイオード整流回路(20)の出力電圧がインバータ回路(30)のトランジスタ等の耐電圧以下となるようなダイオード整流回路(20)への印加電圧を基準電圧とした。また、電圧検知回路(42)の検知電圧が基準電圧以下であるときにリレー(14)をオンへ切り換えるようにした。このため、ダイオード整流回路(20)への印加電圧が過渡的に大きくなってもインバータ回路(30)のトランジスタ等にその耐電圧以上の過電圧が印加されるのを確実に防止することができる。これにより、インバータ回路(30)のトランジスタ等を破壊することなく、リレー(14)を切り換えることができる。
【0060】
また、リレー(14)がオフからオンへ切り換わるのに要する時間に応じた変化電圧分だけ基準電圧を考慮して設定したため、リレー(14)がオフからオンへ切り換わるのに要する時間分を考慮してリレー(14)を切り換えることができる。つまり、リレー(14)がオフ状態からオン状態へ切り換わる時間を考慮することでダイオード整流回路(20)への印加電圧が大きくなり、その結果、インバータ回路(30)のトランジスタ等にその耐電圧以上の過電圧が印加されるのを確実に防止することができる。
【0061】
さらに、電圧検知回路(42)の検知電圧が基準電圧以下であるときにリレー(14)をオンへ切り換えるようにしたため、時間的な余裕をもってリレー(14)を切り換えることができる。つまり、交流電源(1)の交流電源の電圧ゼロ点のみでリレー(14)を切り換えなくても、インバータ回路(30)のトランジスタ等を破壊せずにリレー(14)を切り換えることができる。
【0062】
また、交流電源(1)とダイオード整流回路(20)との間にリアクトル(11)を設けたため、リレー(14)の切り換えのタイミングが基準電圧の範囲を超えると、交流電源(1)からインバータ回路(30)へ印加される電圧(印加電圧)がリアクトル(11)とコンデンサ(26)との間で発生するLC共振の影響を受け、インバータ回路(30)に供給される電圧が過電圧となる。
【0063】
ところが、本実施形態1によれば、交流電源(1)の電圧が基準電圧となる前のタイミングでリレー(14)をオン状態へ切り換えるようにしたため、交流電源(1)からダイオード整流回路(20)へ印加される電圧(印加電圧)が過渡的に過電圧になるのを防止することができる。つまり、ダイオード整流回路(20)へ印加される電圧(印加電圧)がLC共振による影響を受けても、ダイオード整流回路(20)から出力される電圧が過電圧とならない。これにより、インバータ回路(30)の構成素子等を破壊することなく、リレー(14)を切り換えることができる。
【0064】
〈発明の実施形態2〉
次に本発明の実施形態2について説明する。図2に示すように、本実施形態2に係る電力変換装置(10)は、上記実施形態1の電圧検知回路(42)に代えて位相検知回路(44)を備えるようにしたものである。
【0065】
具体的には、実施形態2に係る電力変換装置(10)は、リレー(14)と、リアクトル(11)と、位相検知回路(44)と、リレー制御部(43)と、ダイオード整流回路(20)と、コンデンサ回路(25)と、インバータ回路(30)とが電源線(12,13)に接続されて構成されている。また、電力変換装置(10)は商用電源である交流電源(1)に接続されている。この交流電源(1)は、単相交流電源に構成されている。
【0066】
上記リアクトル(11)は、リレー(14)とダイオード整流回路(20)との間に設けられている。
【0067】
上記位相検知回路(44)は、交流電源(1)から出力される交流電圧の位相を検知するものである。具体的に、位相検知回路(44)は、交流電源(1)とダイオード整流回路(20)との間の電圧を検知することで電圧の位相(時間)を検知している。上記位相検知回路(44)は、リレー制御部(43)へ接続され、検知した位相(時間)のデータを送っている。
【0068】
上記リレー制御部(43)は、上記位相検知回路(44)の検知した電圧の位相に基づいてリレー(14)のスイッチング(オフ/オン)を制御するものである。このリレー制御部(43)は、位相検知回路(44)と、リレー(14)とに接続されている。
【0069】
上記リレー制御部(43)には、ダイオード整流回路(20)で整流した電圧が、インバータ回路(30)のスイッチング素子であるトランジスタ等の耐電圧に対して過電圧とならないような電圧(上限電圧)に基づく交流電源(1)から整流回路(20)へ印加される電圧(基準電圧)時の電圧の位相(基準位相)が予め設定されている。この基準位相は、本発明に係る所定位相を構成している。
【0070】
そして、リレー制御部(43)は、交流電源(1)からダイオード整流回路(20)へ印加される電圧が、上記基準位相の範囲内のタイミングで、リレー(14)をオン状態に切り換えるように構成されている。
【0071】
具体的に、本実施形態2では、例示として上記上限電圧が500Vに設定されている。したがって、本実施形態1では、リレー制御部(43)は、交流電源(1)の電圧の位相が電圧ゼロ点から30°の状態となるまでは時間的な余裕をもってリレー(14)の切り換えを行うことができる。
【0072】
そして、上記リレー制御部(43)は、交流電源(1)からダイオード整流回路(20)への印加電圧が、電圧ゼロ点から位相が30°の状態となる時より前にリレー(14)をオン状態に切り換える。
【0073】
また、この基準位相の設定については、上記インバータ回路(30)の構成素子の耐電圧以外にもリレー(14)をオフからオンへ切り換えるのに要する時間(遅延時間)を考慮して設定することもできる。
【0074】
具体的には、交流電源(1)からダイオード整流回路(20)へ印加される電圧が、上記遅延時間が経過することによって変化する分の位相(変化位相)を予め求めておく。そして、インバータ回路(30)のトランジスタ等の耐電圧に応じて設定された基準位相から、上記変化位相分を考慮した位相を基準位相とすることで、リレー制御部(43)は、上記遅延時間分を考慮してリレー(14)をオンに切り換えることができる。これにより、リレー(14)を切り換えるのに時間がかかることによって、ダイオード整流回路(20)の出力電圧がインバータ回路(30)の構成素子であるトランジスタ等の耐電圧に対して過電圧となるのを確実に防止することができる。
【0075】
−実施形態2の効果−
本実施形態2によれば、位相検知回路(44)の検知した位相が電圧ゼロ点から30°の状態となる前にリレー(14)をオン状態へ切り換えるようにしたため、交流電源(1)からダイオード整流回路(20)へ印加される電圧(印加電圧)が過電圧になるのを防止することができる。つまり、整流回路(20)へ印加される電圧(印加電圧)がLC共振による影響を受けても、整流回路(20)から出力される電圧が過電圧とならない。これにより、インバータ回路(30)の構成素子等を破壊することなく、リレー(14)を切り換えることができる。
【0076】
また、リレー(14)をオフ状態からオン状態へ切り換えたときのダイオード整流回路(20)の出力電圧がインバータ回路(30)の構成素子の耐電圧以下となるようなダイオード整流回路(20)への入力側の電圧となるように所定の位相を設定したため、ダイオード整流回路(20)への印加電圧が大きくなってもインバータ回路(30)の構成素子に耐電圧以上の過電圧が印加されるのを確実に防止することができる。これにより、インバータ回路(30)の構成素子を破壊することなく、リレー(14)を切り換えることができる。
【0077】
また、リレー(14)がオフ状態からオン状態へ切り換わる間に生じる(変化する)位相分だけ所定位相を補正したため、リレー(14)がオフ状態からオン状態へ切り換わるのに要する時間を考慮してリレー(14)を切り換えることができる。つまり、リレー(14)がオフ状態からオン状態へ切り換わる時間を考慮することでダイオード整流回路(20)への印加電圧が過渡的に過電圧となるのを確実に防止することができる。これにより、インバータ回路(30)の構成素子等を破壊することなく、リレー(14)を切り換えることができる。
【0078】
〈発明の実施形態3〉
次に、本実施形態3について説明する。本実施形態3に係る電力変換装置(10)は、本実施形態1に係る電力変換装置(10)に代えてマトリックスコンバータ(51)に構成されているものである。
【0079】
具体的には、図3に示すように、本実施形態3に係る電力変換装置(10)は、電圧検知回路(42)と、リアクトル(55)と、コンデンサ(56)と、リレー制御部(54)と、マトリックスコンバータ(51)と、リレー(14)とを備えている。尚、マトリックスコンバータ(51)とコンデンサ(56)は、本発明に係る変換器を構成している。
【0080】
上記マトリックスコンバータ(51)は、三相交流電源(5)の電線と三相交流モータ(6)の固定子電線とで組合せ可能な9つの接点それぞれにスイッチング素子を使用した双方向スイッチ(53)を設けたマトリックスコンバータであり、入力した交流電圧を一旦直流電圧に変換することなく直接交流電圧に変換して出力する。上記各双方向スイッチ(53)は、IGBTの組合せにより構成されている。
【0081】
上記リレー制御部(54)は、上記電圧検知回路(42)の検出電圧に基づいてリレー(14)のスイッチング(オフ/オン)を制御するものである。リレー制御部(54)は、電圧検知回路(42)と、リレー(14)とに接続されている。上記リレー制御部(54)には、マトリックスコンバータ(51)から出力される電圧が過電圧とならない電圧(上限電圧)に基づく三相交流電源(5)からマトリックスコンバータ(51)へ印加される電圧(基準電圧)が予め設定されている。この基準電圧は、本発明に係る所定値を構成している。尚、本実施形態3では、上記上限電圧は、例示として500Vに設定されている。
【0082】
そして、リレー制御部(54)は、交流電源(1)からマトリックスコンバータ(51)の入力電圧が基準電圧以下である時に、リレー(14)をオン状態に切り換えるよう構成されている。
【0083】
尚、本実施形態3は、検知電圧に基づいてリレー(14)を切り換えるようにしたが、実施形態2のように交流電源(1)の電圧位相に基づいて切り換えるようにしてもよい。この場合、上記リレー制御部(54)には、マトリックスコンバータ(51)から出力される電圧が過電圧とならない電圧(上限電圧)に基づく三相交流電源(5)からマトリックスコンバータ(51)へ印加される電圧(基準電圧)時の電圧の位相(基準位相)が予め設定されている。この基準位相は、本発明に係る所定位相を構成している。
【0084】
−実施形態3の効果−
本実施形態3によれば、交流電源(1)の電圧が500Vになる前にリレー(14)をオン状態へ切り換えるようにしたため、マトリックスコンバータ(51)の入力電圧が過渡的に過電圧になるのを防止することができる。その他の構成、作用・効果は実施形態1と同様である。
【0085】
〈その他の実施形態〉
本発明は、上記実施形態1〜3について、以下のような構成としてもよい。
【0086】
本実施形態1及び3では、上限電圧を500Vとしたときの基準電圧に設定し、交流電源(1)の電圧位相が電圧ゼロ点から30°の状態となる前にリレー(14)を切り換えるようにしたが、この上限電圧は、例示であり、インバータ回路の構成や、使用する構成素子等の耐電圧に応じて異なる値である。
【0087】
本実施形態2では、交流電源(1)の電圧位相が電圧ゼロ点から30°の状態となる前にリレー(14)を切り換えるようにしたが、この上限電圧は、例示であり、インバータ回路の構成や、使用する構成素子等の耐電圧に応じて異なる値である。
【0088】
本実施形態1〜3について、図4に示すように、フォトカプラ(61)によってリレー(14)を切り換えるようにしてもよい。具体的には、フォトカプラ(61)は、発光ダイオード(62)とフォトトランジスタ(63)との組合せにより構成されている。そして、発光ダイオード(62)に通電されると、リレー(14)をオン状態にする信号を流すようにする。この場合、フォトカプラ(61)のデータシート等に基づいて信号を発信するまでに要する時間を補正するようにしてもよい。
【0089】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上説明したように、本発明は、コンデンサレスインバータにおける、リレー回路の切換制御について有用である。
【符号の説明】
【0091】
1 交流電源
11 リアクトル
14 リレー
20 ダイオード整流回路
26 (実施形態1に係る)コンデンサ
30 インバータ回路
41 (実施形態1に係る)リレー制御部
42 電圧検知回路
43 (実施形態2に係る)リレー制御部
44 位相検知回路
51 マトリックスコンバータ
54 (実施形態3に係る)リレー制御部
56 (実施形態3に係る)コンデンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13