(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記親水性繰り返し単位が、(メタ)アクリレート系親水性繰り返し単位、(メタ)アクリルアミド系親水性繰り返し単位及びスチレン系親水性繰り返し単位から選ばれるものである請求項4に記載の表面処理剤。
前記疎水性繰り返し単位が、スチレン類、(メタ)アクリレート類および(メタ)アクリルアミド類から選ばれる1種以上の単量体に由来するものである請求項8に記載の表面処理剤。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔表面処理剤〕
本発明の表面処理剤は、スルフィニル基を側鎖に有する親水性繰り返し単位(以下、繰り返し単位(A)とも称する)を有する重合体を含むものである。
【0010】
<繰り返し単位(A)>
上記繰り返し単位(A)は親水性を示す。ここで、本明細書において、親水性とは、水との親和力が強い性質を持つことを意味する。具体的には1種の繰り返し単位のみからなるホモポリマー(実施例の測定法による数平均分子量が1万〜10万程度のもの)が、常温(25℃)において純水100gに対して1g以上溶解する場合にはその繰り返し単位は親水性である。
また、上記繰り返し単位(A)としては、親水疎水の尺度を示すHydrophile−Lipophile Balance(HLB値)が10以上のものが好ましく、15以上のものがより好ましく、20以上のものが更に好ましく、21〜40のものが更に好ましく、21〜30のものが特に好ましい。
また、本明細書において、HLB値は、化合物の有機性の値と無機性の値の比率から算出されるもの(小田式)を意味し、「Formulation Design with Organic Conception Diagram」[1998年、NIHON EMULSION CO.,LTD]に記載の計算方法により算出できる。例えば、後述する実施例に記載の共重合体(O−1−1)に含まれる親水性繰り返し単位のHLB値は、((60×1+140×1+100×3)/(20×10+40×1+(−10)×3)×10=23.8である。
【0011】
また、繰り返し単位(A)としては、ノニオン性のものが好ましい。
また、繰り返し単位(A)は、スルフィニル基の他に、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、スルホ基、チオール基、リン酸基、アルデヒド基等の親水性基を有していてもよい。また、斯かる親水性基の位置および個数は任意であるが、その位置は好ましくは重合体の側鎖である。一方、スルフィニル基以外の親水性基の個数としては、無機材料で構成される表面に対する非特異吸着防止効果の観点から、繰り返し単位1個中に、0〜12個が好ましく、0〜10個がより好ましく、0〜5個が更に好ましく、0〜3個が更に好ましく、1〜3個が更に好ましく、2または3個が特に好ましい。また、上記親水性基の中でも、無機材料で構成される表面に対する非特異吸着防止効果の観点から、ヒドロキシ基が好ましい。なお、本発明の効果が失われない範囲で、重合体に含まれる複数のスルフィニル基の一部がスルフィド基やスルホニル基となっていてもよい。
【0012】
また、上記繰り返し単位(A)の好適な具体例としては、下記式(1)で表される構造を側鎖中に少なくとも1つ含む繰り返し単位が挙げられる。式(1)で表される構造を側鎖中に有する繰り返し単位となるポリマー種としては公知のものを用いることができ、中でも(メタ)アクリレート系のポリマー種、(メタ)アクリルアミド系のポリマー種、スチレン系のポリマー種等が好ましい。より具体的には、下記式(2)で表される繰り返し単位が挙げられる。
【0014】
〔式(1)中、R
3は、直接結合または炭素数1〜24の2価の有機基を示し、R
4は、炭素数1〜10の有機基を示す。〕
【0016】
〔式(2)中、R
1は、水素原子またはメチル基を示し、R
2は、基−O−、基*−(C=O)−O−、基*−(C=O)−NR
5−、基*−NR
5−(C=O)−(R
5は、水素原子または炭素数1〜10の有機基を示し、*は、式(2)中のR
1が結合している炭素原子と結合する位置を示す)またはフェニレン基を示し、R
3およびR
4は前記と同義である。〕
ここで、式(1)および(2)中の各記号について詳細に説明する。
【0017】
R
1は、水素原子またはメチル基を示すが、メチル基が好ましい。
【0018】
また、R
2は、基−O−、基*−(C=O)−O−、基*−(C=O)−NR
5−、基*−NR
5−(C=O)−またはフェニレン基を示す。斯かるフェニレン基としては、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基が挙げられる。
【0019】
また、上記R
5で示される有機基の炭素数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは2〜8であり、更に好ましくは2〜6である。上記有機基としては、炭化水素基が挙げられる。斯かる炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基および芳香族炭化水素基を包含する概念である。
【0020】
上記R
5における脂肪族炭化水素基は直鎖状でも分岐状でもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基が挙げられる。
また、上記脂環式炭化水素基は、単環の脂環式炭化水素基と橋かけ環炭化水素基に大別される。上記単環の脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基が挙げられる。また、橋かけ環炭化水素基としては、イソボルニル基等が挙げられる。
また、上記芳香族炭化水素基としては、フェニル基等のアリール基が挙げられる。
【0021】
上述のようなR
2の中でも、無機材料で構成される表面に対する非特異吸着防止効果の観点から、基*−(C=O)−O−、フェニレン基が好ましく、基*−(C=O)−O−が特に好ましい。
【0022】
R
3は、直接結合または炭素数1〜24の2価の有機基を示す。斯かる直接結合としては、単結合が挙げられる。
【0023】
斯様なR
3の中でも、炭素数1〜24の2価の有機基が好ましい。斯かる2価の有機基の炭素数は、好ましくは2〜18であり、より好ましくは2〜10であり、更に好ましくは2〜9であり、特に好ましくは3〜6である。
【0024】
上記2価の有機基としては、2価の炭化水素基が挙げられる。2価の炭化水素基は、好ましくは2価の脂肪族炭化水素基であり、直鎖状でも分岐状でもよい。具体的には、メタン−1,1−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基等のアルカンジイル基が挙げられる。
【0025】
また、上記2価の炭化水素基は、置換基を有していてもよく、炭素−炭素結合間にエーテル結合を含んでいてもよい。
上記2価の炭化水素基が有していてもよい置換基としては、前記親水性基が挙げられる。該置換基の個数は、好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜3であり、更に好ましくは1または2である。
また、上記2価の炭化水素基が含んでいてもよいエーテル結合の個数としては、0〜5が好ましく、0〜3がより好ましい。
【0026】
また、2価の有機基の好適な具体例としては、下記式(3)で表される連結基、炭素数1〜24のアルカンジイル基が挙げられ、より好ましくは式(3)で表される連結基である。
【0028】
〔式(3)中、R
6は、単結合、基−R
8−O−(R
8は、炭素数1〜4のアルカンジイル基を示す)または下記式(4)で表される連結基を示し、R
7は、炭素数1〜4のアルカンジイル基を示し、nは1または2を示し、**は、式(1)、(2)中のイオウ原子と結合する位置を示す。〕
【0030】
〔式(4)中、R
9は、炭素数1〜4のアルカンジイル基を示し、R
10は、炭素数2または3のアルカンジイル基を示し、m
1は1または2を示し、m
2は1〜3の整数を示す。〕
【0031】
上記R
6としては、無機材料で構成される表面に対する非特異吸着防止効果の観点から、単結合、基−R
8−O−が好ましく、単結合が特に好ましい。
【0032】
また、上記R
7、R
8およびR
9で示されるアルカンジイル基の炭素数は1〜4であるが、1または2が好ましい。
また、上記アルカンジイル基は直鎖状でも分岐でもよく、前述のアルカンジイル基と同様のものが挙げられる。
【0033】
また、上記R
10で示されるアルカンジイル基の炭素数は、好ましくは2である。また、該アルカンジイル基としては、R
7で示されるものと同様のものが挙げられる。なお、m
2が2または3の場合、m
2個のR
10は同一であっても異なっていてもよい。
また、nおよびm
1としては1が好ましく、m
2としては1または2が好ましい。
【0034】
また、R
4は、炭素数1〜10の有機基を示す。斯かる有機基としては、R
5で示されるものと同様のものが挙げられる。また、R
4が炭化水素基である場合、斯かる炭化水素基は置換基を有していてもよく、該置換基およびその個数としては、前記2価の炭化水素基が有していてもよいものと同様のものが挙げられる。また、親水性の観点から、R
4としては、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等の環構造を含まないものが好ましい。
【0035】
上述のようなR
4の好適な具体例としては、前記親水性基を有する炭素数1〜10の有機基が挙げられ、より好ましくは下記式(5)で表される1価の基、炭素数1〜10のアルキル基であり、更に好ましくは式(5)で表される1価の基である。
【0037】
〔式(5)中、k
1は、1〜4の整数を示し、k
2は、0〜4の整数を示し、***は、式(1)、(2)中のイオウ原子と結合する位置を示す。〕
【0038】
式(5)中、k
1としては、1または2が好ましい。また、k
2としては、0〜2の整数が好ましく、0または1がより好ましい。
【0039】
また、繰り返し単位(A)の合計含有量の下限としては、水溶性の付与、および無機材料で構成される表面に対する非特異吸着防止効果の観点から、全繰り返し単位中、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、15モル%以上が更に好ましい。
一方、上限としては、水溶性の付与、および基材との吸着の観点から、全繰り返し単位中、99モル%以下が好ましく、95モル%以下がより好ましい。
【0040】
また、本発明で用いる重合体が後述する繰り返し単位(C)を有する場合は、繰り返し単位(A)の合計含有量としては、10〜99モル%が好ましく、15〜95モル%がより好ましく、20〜95モル%が更に好ましい。
なお、繰り返し単位(A)の含有量は
13C−NMR等により測定可能である。
【0041】
また、本発明で用いる重合体としては、疎水性繰り返し単位(以下、繰り返し単位(B)とも称する)及びカチオン性の繰り返し単位(以下、繰り返し単位(C)とも称する)から選ばれる繰り返し単位を更に有するものが好ましい。これら繰り返し単位は、1種を単独で又は2種以上が組み合わせて含まれていてもよい。
【0042】
<繰り返し単位(B)>
ここで、疎水性とは、水との親和性が低い性質を持つことを意味する。具体的には、1種の繰り返し単位のみからなるホモポリマー(実施例の測定法による数平均分子量が1万〜10万程度のもの)が、常温(25℃)において純水100gに対して溶解する量が1g未満である場合にはその繰り返し単位は疎水性である。
また、上記繰り返し単位(B)のHLB値としては、無機材料で構成される表面の極性との適合性の観点から、20以下が好ましく、1〜17.5がより好ましく、5〜17.5が更に好ましく、6〜17.5が特に好ましい。なお、HLB値が10以上のものと10未満のものを組み合わせて用いてもよい。
【0043】
繰り返し単位(B)としては、疎水性を示す公知のものが挙げられ、特に限定されないが、無機材料で構成される表面に対する非特異吸着防止効果の観点から、スチレン類、(メタ)アクリレート類および(メタ)アクリルアミド類から選ばれる1種以上の単量体に由来するものが好ましい。また、繰り返し単位(B)としてはノニオン性のものが好ましい。また、親水性基がないものが好ましい。
【0044】
上記スチレン類に由来する繰り返し単位としては、下記式(6)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0046】
〔式(6)中、R
11は、水素原子またはメチル基を示し、R
12は、炭素数1〜10の有機基を示し、pは0〜5の整数を示す。〕
【0047】
式(6)中、R
12で示される有機基としては、R
5で示されるものと同様のものが挙げられるが、その炭素数は、共重合体に適度な疎水性を付与する観点から、好ましくは1〜6であり、より好ましくは1〜3である。なお、斯かる有機基は、炭素数1〜3のアルコキシ基等が置換していてもよい。また、pが2〜5の整数の場合、p個のR
12は同一であっても異なっていてもよい。
【0048】
また、pは0〜5の整数を示すが、共重合体に適度な疎水性を付与する観点から、0〜3が好ましく、0がより好ましい。
【0049】
スチレン類に由来する繰り返し単位の具体例としては、スチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、4−エチルスチレン、4−イソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、α―メチルスチレン等に由来する繰り返し単位が挙げられる。
【0050】
また、上記(メタ)アクリレート類に由来する繰り返し単位としては、下記式(7)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0052】
〔式(7)中、R
13は、水素原子またはメチル基を示し、R
14は、炭素数1〜20の有機基を示す。〕
【0053】
式(7)中、R
14で示される有機基としては、R
5で示されるものと同様のものが挙げられるが、その炭素数は、共重合体に適度な疎水性を付与する観点から、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜6であり、更に好ましくは1〜4であり、特に好ましくは1〜3である。また、斯かる有機基は、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜10のアルカノイル基、炭素数6〜12のアリールオキシ基等が置換していてもよい。斯かるアルコキシ基の炭素数は好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4、更に好ましくは1〜3、特に好ましくは1又は2であり、上記アルカノイル基の炭素数は好ましくは2〜8、より好ましくは2〜4、更に好ましくは2又は3であり、上記アリールオキシ基の炭素数は好ましくは6である。
【0054】
また、上記(メタ)アクリレート類に由来する繰り返し単位の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸C
1-10アルキル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸C
6-10シクロアルキル;(メタ)アクリル酸1−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル等の(メタ)アクリル酸C
1-10アルコキシC
1-10アルキル;(メタ)アクリル酸フェノキシエチル等の(メタ)アクリル酸C
6-12アリールオキシC
1-10アルキル;(メタ)アクリル酸1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−(1−アダマンチルエチル)、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル等の炭素数8〜16の橋かけ環炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル等に由来する繰り返し単位が挙げられる。
【0055】
また、上記(メタ)アクリルアミド類に由来する繰り返し単位としては、下記式(8)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0057】
〔式(8)中、R
15は、水素原子またはメチル基を示し、R
16およびR
17は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜10の有機基を示す。〕
【0058】
式(8)中、R
16およびR
17で示される有機基としては、R
5で示されるものと同様のものが挙げられるが、その炭素数は、共重合体に適度な疎水性を付与する観点から、好ましくは1〜6であり、更に好ましくは1〜4である。また、斯かる有機基は、炭素数1〜10のアルコキシ基や炭素数2〜10のアルカノイル基等が置換していてもよい。斯かるアルコキシ基やアルカノイル基の好ましい炭素数はR
14で示される有機基に置換していてもよいものと同様である。
【0059】
また、上記(メタ)アクリルアミド類に由来する繰り返し単位の具体例としては、としては、例えば、N,N−ジC
1-10アルキル(メタ)アクリルアミド;N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等のN−C
1-10アルキル(メタ)アクリルアミド;N−(1,1−ジメチル−2−アセチルエチル)(メタ)アクリルアミド(別名:ダイアセトンアクリルアミド)等のN−C
2-10アルカノイルC
1-10アルキル(メタ)アクリルアミドの他、(メタ)アクリロイルピペリジン等に由来する繰り返し単位が挙げられる。
【0060】
また、本発明で用いる重合体が繰り返し単位(B)を有する場合、繰り返し単位(B)の合計含有量の下限としては、基材との吸着の観点から、全繰り返し単位中、1モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、20モル%以上が更に好ましく、30モル%以上が特に好ましい。一方、上限としては、水溶性の付与、無機材料で構成される表面に対する非特異吸着防止効果の観点から、全繰り返し単位中、99モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、85モル%以下が更に好ましい。
【0061】
また、本発明で用いる重合体が、HLB値が10以上の繰り返し単位(B)を有する場合、その合計含有量としては、無機材料で構成される表面に対する非特異吸着防止効果の観点から、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜40モル%が更に好ましい。一方、本発明で用いる重合体が、HLB値が10未満の繰り返し単位(B)を有する場合、その合計含有量としては、無機材料で構成される表面に対する非特異吸着防止効果の観点から、20〜90モル%が好ましく、40〜80モル%がより好ましく、60〜70モル%が更に好ましい。
なお、繰り返し単位(B)の含有量は、繰り返し単位(A)の含有量と同様にして測定すればよい。
【0062】
また、本発明で用いる重合体が繰り返し単位(B)を有する場合、重合体に含まれる繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)とのモル比〔(A):(B)〕としては、無機材料で構成される表面に対する非特異吸着防止効果の観点から、10:1〜10:100が好ましく、10:1〜10:75がより好ましく、10:3〜10:55が更に好ましい。
【0063】
<繰り返し単位(C)>
また、繰り返し単位(C)としてはカチオン性を示す公知のものが挙げられ、好ましくはカチオン性基を有する繰り返し単位である。カチオン性基としてはカチオン性有機基が好ましい。なお、本発明の無機材料で構成される表面用の表面処理剤は、このようなカチオン性の繰り返し単位を有していたとしても、優れた無機材料で構成される表面に対する非特異吸着を防止する効果を示す。
繰り返し単位(C)としては、例えば、カチオン性基を有するスチレン類、カチオン性基を有する(メタ)アクリレート類、カチオン性基を有する(メタ)アクリルアミド類、カチオン性基を有するプロピレン、およびカチオン性基を有する2−メチルプロピレンから選ばれる1種以上の単量体に由来する繰り返し単位が挙げられる。なお、カチオン性基には対イオンが結合していてもよい。
また、上記繰り返し単位(C)のHLB値としては、無機材料で構成される表面の極性との適合性の観点から、20〜80が好ましく、無機材料で構成される表面へのコーティングにより適したものにする観点から、30〜70が好ましく、30〜60がより好ましく、40〜55がより好ましい。
【0064】
また、上記繰り返し単位(C)としては、下記式(9)で表される基及び下記式(10)で表される基から選ばれる1種以上を側鎖に有するものが好ましく、式(9)で表される基を側鎖に有するものがより好ましい。
【0066】
〔式(9)中、R
18〜R
20は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜18の有機基を示し、Z
-は対イオンを示す。〕
【0068】
〔式(10)中、R
21〜R
24は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜18の有機基を示し、Z
-は前記と同義である。〕
【0069】
式(9)中のR
18〜R
20および式(10)中のR
21〜R
24で示される有機基としては、R
5で示されるものと同様のものが挙げられるが、その炭素数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜6であり、更に好ましくは1〜4であり、特に好ましくは1〜3である。また、斯かる有機基は、炭素数6〜12、好ましくは炭素数6のアリール基等が置換していてもよい。斯様なアリール基としてはフェニル基が挙げられる。
また、Z
-としては、負電荷を帯びていれば特に限定されないが、例えば、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲノイオン;硫酸水素イオン;メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン等のアルキル硫酸イオン;アルキルスルホン酸イオン;ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、パラトルエンスルホン酸イオン等のアリールスルホン酸イオン;2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸ナトリウム等のアルケニルスルホン酸イオン;酢酸イオン等のカルボン酸イオン等が挙げられる。
【0070】
また、上記カチオン性基を有するスチレン類に由来する繰り返し単位としては、前記式(6)で表される繰り返し単位の側鎖にカチオン性基が導入されたものが挙げられるが、下記式(11)で表されるものが好ましい。
【0072】
〔式(11)中、R
25は、水素原子またはメチル基を示し、R
26は、前記式(9)若しくは(10)で表される基、前記式(9)若しくは(10)で表される基を置換基として有する炭素数1〜10の有機基、または炭素数1〜10の有機基を示し、qは1〜5の整数を示し、q個のR
26のうち少なくとも1個は、式(9)若しくは(10)で表される基、または式(9)若しくは(10)で表される基を置換基として有する炭素数1〜10の有機基である。〕
【0073】
上記R
26における有機基としては、上記R
12で示される有機基と同様のものが挙げられる。また、qが2〜5の整数の場合、q個のR
26は同一であっても異なっていてもよい。
【0074】
また、qは1〜5の整数を示すが、共重合体に適度な疎水性を付与する観点から、1〜3が好ましく、1がより好ましい。
【0075】
カチオン性基を有するスチレン類に由来する繰り返し単位の具体例としては、(4−ビニルフェニル)トリメチルアミニウムクロライド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等に由来する繰り返し単位が挙げられる。
【0076】
また、上記カチオン性基を有する(メタ)アクリレート類に由来する繰り返し単位としては、前記式(7)で表される繰り返し単位の側鎖にカチオン性基が導入されたものが挙げられるが、下記式(12)で表されるものが好ましい。
【0078】
〔式(12)中、R
27は、水素原子またはメチル基を示し、R
28は、前記式(9)若しくは(10)で表される基を置換基として有する炭素数1〜10の有機基を示す。〕
【0079】
上記R
28における有機基としては、上記R
14で示される有機基と同様のものが挙げられる。
【0080】
カチオン性基を有する(メタ)アクリレート類に由来する繰り返し単位の具体例としては、((メタ)アクリロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウムクロライド等の((メタ)アクリロイルオキシC
1-10アルキル)トリC
1-10アルキルアンモニウムクロライド、((メタ)アクリロイルオキシエチル)ジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の((メタ)アクリロイルオキシC
1-10アルキル)ジC
1-10アルキルC
6-12アラルキルアンモニウムクロライド等に由来する繰り返し単位が挙げられる。
【0081】
また、上記カチオン性基を有する(メタ)アクリルアミド類に由来する繰り返し単位としては、前記式(8)で表される繰り返し単位の側鎖にカチオン性基が導入されたものが挙げられるが、下記式(13)で表されるものが好ましい。
【0083】
〔式(13)中、R
29は、水素原子またはメチル基を示し、R
30は、前記式(9)または(10)で表される基を置換基として有する炭素数1〜10の有機基を示し、R
31は、水素原子、炭素数1〜10の有機基、又は前記式(9)若しくは(10)で表される基を置換基として有する炭素数1〜10の有機基を示す。〕
【0084】
上記R
30およびR
31における有機基としては、上記R
16で示される有機基と同様のものが挙げられる。
【0085】
また、上記カチオン性基を有する(メタ)アクリルアミド類に由来する繰り返し単位の具体例としては、(3−(メタ)アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド等の(3−(メタ)アクリルアミドC
1-10アルキル)トリC
1-10アルキルアンモニウムクロリド;(3−(メタ)アクリルアミドプロピル)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド等の(3−(メタ)アクリルアミドC
1-10アルキル)ジC
1-10アルキルC
6-12アラルキルアンモニウムクロリド等に由来する繰り返し単位が挙げられる。
【0086】
上記カチオン性基を有するプロピレンおよびカチオン性基を有する2−メチルプロピレンは、プロピレンや2−メチルプロピレンの3位にカチオン性基を有するものである。これらに由来する繰り返し単位としては、下記式(14)で表されるものが好ましい。具体的には、アリルアミン塩酸塩、2−メチル−2−プロペニルアミン塩酸塩等に由来する繰り返し単位が挙げられる。
【0088】
〔式(14)中、R
31は、水素原子またはメチル基を示し、R
32は、前記式(9)または(10)で表される基を示す。〕
【0089】
また、本発明で用いる重合体が繰り返し単位(C)を有する場合、繰り返し単位(C)の合計含有量の下限としては、基材との吸着の観点から、全繰り返し単位中、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、8モル%以上が更に好ましい。
一方、上限としては、水溶性の付与、無機材料で構成される表面に対する非特異吸着防止効果の観点から、全繰り返し単位中、50モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましく、30モル%以下が更に好ましく、20モル%以下が更に好ましい。
なお、繰り返し単位(C)の含有量は、繰り返し単位(A)の含有量と同様にして測定すればよい。
【0090】
また、本発明で用いる重合体が繰り返し単位(C)を有する場合、重合体に含まれる繰り返し単位(A)と繰り返し単位(C)とのモル比〔(A):(C)〕としては、無機材料で構成される表面に対する非特異吸着防止効果の観点から、10:0.5〜10:50が好ましく、10:0.5〜10:10がより好ましく、10:0.5〜10:5が更に好ましく、10:0.5〜10:2.5が特に好ましい。
【0091】
また、本発明で用いる重合体は、前記繰り返し単位(A)〜(C)以外に親水性繰り返し単位(D)を有していてもよい。斯様な親水性繰り返し単位(D)としては、アニオン性の単量体(アニオン性モノマー)、両性の単量体(ベタインモノマー)、またはノニオン性の単量体(ノニオン性モノマー)に由来するものが挙げられ、これらを1種または2種以上含んでいてもよい。
【0092】
上記アニオン性モノマーとしては、ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸モノマー;スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、イソプレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸モノマーが挙げられる。
【0093】
また、ベタインモノマーとしては、(メタ)アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタイン(メタ)アクリルアミド、カルボキシベタインビニル化合物等のカルボキシベタイン型モノマー;(メタ)アクリル酸スルホベタイン、スルホベタイン(メタ)アクリルアミド、スルホベタインビニル化合物等のスルホベタイン型モノマー;(メタ)アクリル酸ホスホリルベタイン、ホスホリルベタイン(メタ)アクリルアミド、ホスホリルベタインビニル化合物等のホスホリルベタイン型モノマーが挙げられる。(メタ)アクリル酸ホスホリルベタインとしては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート等が挙げられる。
【0094】
また、ノニオン性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリセリル、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレン等のヒドロキシ基を有する不飽和カルボン酸エステルモノマー;N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシ基を有する(メタ)アクリルアミドモノマーが挙げられる。
【0095】
上記繰り返し単位(D)の合計含有量としては、全繰り返し単位中、0〜49モル%が好ましく、0〜20モル%がより好ましく、0〜10モル%が更に好ましく、0〜1モル%が特に好ましい。
【0096】
また、本発明で用いる重合体が共重合体である場合、その繰り返し単位の配列の態様は特に限定されず、共重合体は、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体のいずれであってもよい。
また、本発明で用いる重合体の数平均分子量(M
n)としては、5000〜100万が好ましく、7500〜20万がより好ましく、7500〜15万が特に好ましい。数平均分子量を5000以上とすることにより、無機材料で構成される表面に対する非特異吸着防止効果が向上し、一方、100万以下とすることにより、コーティング性やハンドリング性が向上する。
また、分子量分布(M
w/M
n)としては、1〜5が好ましい。
なお、上記数平均分子量および分子量分布は、後述する実施例に記載の方法に従い測定すればよい。
【0097】
また、本発明で用いる重合体としては、無機材料で構成される表面に対する非特異吸着防止効果の観点から、水溶性のものが好ましい。ここで、本明細書において、水溶性とは、1質量%のポリマー固形分となるように重合体を水(25℃)に添加・混合したときに、目視で透明となることをいう。
【0098】
また、本発明で用いる重合体のHLB値としては、水溶性の付与、無機材料で構成される表面に対する非特異吸着防止効果、無機材料で構成される表面の極性との適合性の観点から、1〜40の範囲が好ましく、5〜35の範囲がより好ましく、10〜30の範囲が更に好ましく、12.5〜30の範囲が特に好ましい。
【0099】
また、上記本発明で用いる重合体のうち、スルフィニル基を側鎖に有する親水性繰り返し単位とカチオン性の繰り返し単位とを少なくとも有するものは、新規化合物である。斯かる重合体は、カチオン性の繰り返し単位を有しているにも拘わらず、無機材料で構成される表面に対する非特異吸着を防止する効果に優れる。
【0100】
次に、本発明で用いる重合体の製造方法について説明する。
本発明で用いる重合体は、(1)公知の重合体の側鎖中にスルフィド基を導入し、斯かるスルフィド基をスルフィニル基に変換すること、(2)重合させたときに側鎖となる部分にスルフィド基を有するモノマーを、重合または他のモノマーと共重合させ、得られた(共)重合体のスルフィド基をスルフィニル基に変換すること、(3)或いは重合させたときに側鎖となる部分にスルフィニル基を有するモノマーを、重合または他のモノマーと共重合させること等により製造できる。上記他のモノマーとしては、繰り返し単位(B)〜(D)を誘導するものが挙げられる。
上記製造方法を、下記共重合体(O−1−1)の製造方法を例に挙げて具体的に説明する。
すなわち、工程1により、共重合体(M−1−1)を得、これを用いて共重合体(S−1−1)を経て共重合体(O−1−1)を得る。
【0102】
<工程1>
工程1は、化合物(A−1)と化合物(B−1)とを重合開始剤の存在下で重合させ、共重合体(M−1−1)を得る工程である。
化合物(B−1)の使用量は、化合物(A−1)に対し、通常、0.01〜2モル当量程度である。
【0103】
また、上記重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロ二トリル等のアゾ系開始剤;ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、過酸化ベンゾイル等の過酸化物が挙げられ、これら重合開始剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
重合開始剤の合計使用量は、化合物(A−1)に対し、通常0.0001〜0.5質量倍程度である。
【0104】
また、工程1には溶媒、連鎖移動剤を使用してもよい。溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、両親媒性アミド(エクアミドB−100、エクアミドM−100(以上、出光興産(株)))等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトン等のラクトン系溶媒が挙げられ、これら溶媒は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。これら溶媒の合計使用量は、化合物(A−1)に対し、通常0.1〜20質量倍程度である。
また、上記連鎖移動剤としては、メルカプトエタノール、チオグリセロール、tert−ドデシルメルカプタン等が挙げられる。
【0105】
また、工程1の反応時間は特に限定されないが、通常0.5〜24時間程度であり、反応温度は、溶媒の沸点以下で適宜選択すればよいが、通常0〜120℃程度である。
【0106】
<工程2>
工程2は、工程1で得た共重合体(M−1−1)のグリシジル基に対してチオグリセロールを使用して開環付加し、共重合体(S−1−1)を得る工程である。
チオグリセロールの使用量は、化合物(B−1)に由来する繰り返し単位に対し、通常0.1〜20モル当量である。
【0107】
また、工程2は、触媒存在下で行うのが好ましい。触媒としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン等の塩基性触媒が挙げられ、これら触媒は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
上記触媒の合計使用量は、化合物(B−1)に由来する繰り返し単位に対し、通常0.01〜32モル当量である。
【0108】
また、工程2は、溶媒存在下で行うのが好ましい。溶媒としては、工程1で使用できる溶媒の他、エタノール、メタノール等のアルコール系溶媒、またはこれらの混合溶媒が挙げられ、その合計使用量は、共重合体(M−1−1)に対し、通常0.5〜20質量倍程度である。
【0109】
また、工程2の反応時間は特に限定されないが、通常1〜8時間程度であり、反応温度は、溶媒の沸点以下で適宜選択すればよいが、通常40〜100℃程度である。
なお、工程2を工程1の前に実施し、その後工程1の重合を実施してもよい。
【0110】
<工程3>
工程3は、酸化剤を用いて、工程2で得た共重合体(S−1−1)のスルフィド基をスルフィニル基に変換し、共重合体(O−1−1)を得る工程である。なお、本発明の効果が失われない範囲で、共重合体中に含まれる複数のスルフィニル基の一部がスルフィド基またはスルホニル基となっていてもよい。
【0111】
上記酸化剤は、有機酸化剤と無機酸化剤とに大別され、有機酸化剤としては、例えば、過酢酸、過安息香酸、メタクロロ過安息香酸等が挙げられる。一方、無機酸化剤としては、例えば、過酸化水素、クロム酸、過マンガン酸塩等が挙げられる。なお、これら酸化剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
また、酸化剤の使用量は、化合物(B−1)に由来する繰り返し単位に対し、通常1.0〜2.0モル当量程度である。
【0112】
工程3は、溶媒存在下で行うのが好ましい。斯かる溶媒としては、水;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒等が挙げられ、これら溶媒は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できるが、水、アルコール系溶媒が好ましい。
上記溶媒の合計使用量は、共重合体(S−1−1)に対し、通常1〜15質量倍程度である。
【0113】
また、工程3の反応時間は特に限定されないが、通常1〜24時間程度であり、反応温度は、溶媒の沸点以下で適宜選択すればよいが、通常25〜70℃程度である。
【0114】
なお、前記各工程において、各反応生成物の単離は、必要に応じて、ろ過、洗浄、乾燥、再結晶、再沈殿、透析、遠心分離、各種溶媒による抽出、中和、クロマトグラフィー等の通常の手段を適宜組み合わせて行えばよい。
【0115】
また、本発明の表面処理剤は溶剤を含んでいてもよく、溶剤としては、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤等が挙げられ、これら溶剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて含まれていてもよい。斯かる溶剤の含有量は、本発明で用いる重合体が0.001〜15質量%となる量が好ましく、0.01〜10質量%となる量がより好ましく、0.01〜1質量%となる量が更に好ましい。斯様な低濃度でも無機材料で構成される表面に対する非特異吸着防止効果が十分に得られる。
また、本発明の無機材料で構成される表面用の表面処理剤は、前記重合体と溶剤の他に、殺菌剤、防腐剤等を含んでいてもよい。
【0116】
そして、本発明の無機材料で構成される表面用の表面処理剤は、無機材料で構成される表面に対する非特異吸着防止効果に優れ、且つタンパク活性維持効果を有する。特に、ガラス用表面処理剤、ガラス用非特異吸着防止剤として有用である。
ここで、本明細書において、非特異吸着防止とは、タンパク質、脂質、核酸、細胞等が無機材料で構成される表面に非特異的に吸着することを防止することをいう。
したがって、本発明の表面処理剤は、臨床検査・診断薬の分野等で広く利用することができ、例えば、ガラスビーズ等のガラス製の固相や、臨床診断装置、細胞培養基材のうちガラス製のもの(ガラス製のマイクロアレイ基盤等)のコーティング剤;血液検査等の診断に使用される全自動分析機用測定セルのコンディショニング剤、洗浄剤、リンス液等として使用することもできる。
【0117】
〔器具〕
本発明の器具は、無機材料で構成される表面を備え、該表面の一部または全部が上記表面処理剤でコーティングされているものである。
上記無機材料としては、二酸化ケイ素を主成分とする酸化物ガラス、カルコゲン化物、ハロゲン化物などの無機ガラス、金属合金ガラス、石英などのガラス材料;金、銀、銅、ステンレススチール、Ni−Ti合金、Cu−Al−Mn合金、タンタリウム、Co−Cr合金、イリジウム、イリジウムオキサイド、ニオブ、シリコン、アルミニウム、タンタル、チタン、鉄などの金属材料;二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化銀などの金属酸化物;窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどの金属窒化物;酸化物系セラミック、窒化物系セラミック、炭化物系セラミック、ケイ化物系セラミック、ホウ化物系セラミックなどのセラミック材料;セメント材料;またはこれらを主成分とする無機材料などが好ましく、中でも本発明の非特異吸着防止剤は基材を着色することなくコーティングできることから光透過性の材料に対して好ましく用いられ、ガラス材料がより好ましい。このような表面がガラスで構成されたガラス器具としては、ガラスビーズ、ガラス製のマイクロアレイ基盤、ガラスマイクロプレート、ガラス製のセル等が挙げられる。
【0118】
上記器具は、無機材料で構成される表面を備える器具の前記表面の一部または全部に、上記表面処理剤を接触させる工程を含む方法により製造できる。本発明の表面処理剤は、器具の無機材料で構成される表面に接触させるだけで容易に吸着しコーティングされるため、斯かる方法によれば、簡便且つ容易に器具を製造できる。
【0119】
上記接触時間は、通常15秒〜48時間であり、好ましくは5分〜24時間である。また、接触温度は通常、0〜50℃であるが、常温(25℃)でよい。
【0120】
また、本発明の表面処理剤を器具に接触させた後、必要に応じて、溶液の除去または乾燥を行ってもよい。該除去・乾燥手段は、乾燥により溶媒を揮発させる、溶液が流れ出るように器具を傾ける、器具を溶液から引き上げる、器具上の溶液を吹き飛ばす、溶媒を多量に注ぎ込むなどの処理を適宜組み合わせて行えばよい。これによって、本発明の表面処理剤の乾燥膜が器具の表面に形成される。
【0121】
なお、無機材料に、上記方法(1)と同様の方法で本発明の表面処理剤をコーティングし、斯かる無機材料を用いて器具を成型する方法でも、上記器具を製造することができる。
【実施例】
【0122】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0123】
実施例における各分析条件は以下に示すとおりである。
<分子量測定>
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、東ソー社製 TSKgel α−Mカラムを用い、流量:0.5ミリリットル/分、溶出溶媒:NMP溶媒(H
3PO
4:0.016M、LiBr:0.030M)、カラム温度:40℃の分析条件で、ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定と、流量:0.5ミリリットル/分、溶出溶媒:水(EtOH:20%(v/v)、NaNO
3:0.1M)、カラム温度:25℃の分析条件で、ポリエチレングリコールを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、重合体に応じて計測可能な手段を用いて測定した。
<NMRスペクトル>
13C−NMRスペクトルは、溶媒および内部標準物質としてd6−DMSOを用いて、BRUKER製モデルAVANCE500(500MHz)により測定した。
【0124】
実施例1 共重合体(O−1−1)の合成
以下の合成経路に従い、共重合体(O−1−1)を得た。
【0125】
【化16】
【0126】
メタクリル酸グリシジル(GMA)43.6gおよび(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)75%水溶液8.48gと、重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.500gと、ガンマブチロラクト
ン473gとを混合しフラスコに入れた。これに窒素を吹き込み、75℃まで昇温し、8時間重合させ、その後室温に冷却することで、共重合体(M−1−1)を得た。
得られた共重合体(M−1−1)において、メタクリル酸グリシジルに由来する繰り返し単位の含有量は91モル%であり、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドに由来する繰り返し単位の含有量は9モル%であった。なお、これら含有量は重合後のポリマー溶液をヘキサンで再沈殿させた後、減圧乾燥し、ESCAによる元素組成から算出した。
【0127】
次いで、得られた共重合体(M−1−1)を含有する混合物300gおよびチオグリセロール16.3gと、メタノール186gとを混合してフラスコに入れた。これに窒素を吹き込みながら60℃まで昇温し、触媒としてトリエチルアミン2.03gを添加した後2時間反応させ、その後室温に冷却し、共重合体(S−1−1)を含有する混合物を得た。
【0128】
次いで、得られた共重合体(S−1−1)を含有する混合物504gおよび水41.91gをフラスコへ入れた。これに、30%過酸化水素水溶液を34.20g添加し、40℃で2時間反応させ、共重合体(O−1−1)を得た。また、この反応終了後の混合物に水へと置換する透析を行い、共重合体(O−1−1)を含む水溶液とした。
また、得られた共重合体(O−1−1)の数平均分子量(溶出溶媒:NMP)は49700であり、分子量分布(溶出溶媒:NMP)は1.98であった。
共重合体(O−1−1)の構造は
13C−NMRにより確認した。
【0129】
実施例2 共重合体(O−1−2)の合成
以下の合成経路に従い、共重合体(O−1−2)を得た。
【0130】
【化17】
【0131】
ダイアセトンアクリルアミド(DAAM)30.3g、メタクリル酸グリシジル(GMA)41.4gおよび(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)75%水溶液17.1gと、重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソ
ブチロニトリル)0.845gと、ガンマブチロラクトン358gとを混合しフラスコに入れた。これに窒素を吹き込み、75℃まで昇温し、8時間重合させ、その後室温に冷却することで、共重合体(M−1−2)を得た。
得られた共重合体(M−1−2)において、ダイアセトンアクリルアミドに由来する繰り返し単位の含有量は32モル%であり、メタクリル酸グリシジルに由来する繰り返し単位の含有量は52モル%であり、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドに由来する繰り返し単位の含有量は16モル%であった。なお、これら含有量は重合後のポリマー溶液をヘキサンにて再沈殿させた後、減圧乾燥し、ESCAによる元素組成から算出した。
【0132】
次いで、得られた共重合体(M−1−2)を含有する混合物444gおよびチオグリセロール47.2gと、メタノール247gとを混合してフラスコに入れた。これに窒素を吹き込みながら60℃まで昇温し、触媒としてトリエチルアミン5.89gを添加した後2時間反応させ、その後室温に冷却し、共重合体(S−1−2)を含有する混合物を得た。
【0133】
次いで、得られた共重合体(S−1−2)を含有する混合物748gおよび水10.7gをフラスコへ入れた。これに、30%過酸化水素水溶液を98.9g添加し、40℃で2時間反応させ、共重合体(O−1−2)を得た。また、この反応終了後の混合物に水へと置換する透析を行い、共重合体(O−1−2)を含む水溶液とした。
また、得られた共重合体(O−1−2)の数平均分子量(溶出溶媒:NMP)は55100であり、分子量分布(溶出溶媒:NMP)は2.93であった。
共重合体(O−1−2)の構造は
13C−NMRにより確認した。
【0134】
実施例3 共重合体(O−1−3)の合成
以下の合成経路に従い、共重合体(O−1−3)を得た。
【0135】
【化18】
【0136】
ダイアセトンアクリルアミド(DAAM)7.84g、アクリル酸2−メトキシエチル(MEA)15.7gおよびメタクリル酸グリシジル(GMA)4.49gと、重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.280gと、ガンマブチロラク
トン66.0gとを混合しフラスコに入れた。これに窒素を吹き込み、75℃まで昇温し、8時間重合させ、その後室温に冷却することで、共重合体(M−1−3)を得た。
得られた共重合体(M−1−3)において、ダイアセトンアクリルアミドに由来する繰り返し単位の含有量は23モル%であり、アクリル酸2−メトキシエチルに由来する繰り返し単位の含有量は61モル%であり、メタクリル酸グリシジルに由来する繰り返し単位の含有量は16モル%であった。なお、これら含有量は重合後のポリマー溶液をヘキサンにて再沈殿させた後、減圧乾燥し、ESCAによる元素組成から算出した。
【0137】
次いで、得られた共重合体(M−1−3)を含有する混合物10.0gおよびチオグリセロール8.48gと、メタノール4.83gとを混合してフラスコに入れた。これに窒素を吹き込みながら60℃まで昇温し、触媒としてトリエチルアミン0.068gを添加した後2時間反応させ、その後室温に冷却し、共重合体(S−1−3)を含有する混合物を得た。
【0138】
次いで、得られた共重合体(S−1−3)を含有する混合物15.4g、メタノール2.33gおよび水4.62gをフラスコへ入れた。これに、30%過酸化水素水溶液を1.14g添加し、40℃で2時間反応させ、共重合体(O−1−3)を得た。また、この反応終了後の混合物に水へと置換する透析を行い、共重合体(O−1−3)を含む水溶液とした。
また、得られた共重合体(O−1−3)の数平均分子量(溶出溶媒:NMP)は38700であり、分子量分布(溶出溶媒:NMP)は3.50であった。
共重合体(O−1−3)の構造は
13C−NMRにより確認した。
【0139】
実施例4 共重合体(O−1−4)の合成
以下の合成経路に従い、共重合体(O−1−4)を得た。
【0140】
【化19】
【0141】
ダイアセトンアクリルアミド(DAAM)14.7gおよびメタクリル酸グリシジル(GMA)25.3gと、重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.400gと、ガンマブチロラクトン49.4gとを混合しフラスコに入れた。これに窒素を吹き込み、75℃まで昇温し、8時間重合させ、その後室温に冷却することで、共重合体(M−1−4)を得た。
得られた共重合体(M−1−4)において、ダイアセトンアクリルアミドに由来する繰り返し単位の含有量は33モル%であり、メタクリル酸グリシジルに由来する繰り返し単位の含有量は67モル%であった。なお、これら含有量は重合後のポリマー溶液を減圧乾燥し、ヘキサンにて再沈殿させた後、ESCAによる元素組成から算出した。
【0142】
次いで、得られた共重合体(M−1−4)を含有する混合物89.8gおよびチオグリセロール28.85gと、メタノール34.1gとを混合してフラスコに入れた。これに窒素を吹き込みながら60℃まで昇温し、触媒としてトリエチルアミン3.60gを添加した後2時間反応させ、その後室温に冷却し、共重合体(S−1−4)を含有する混合物を得た。
【0143】
次いで、得られた共重合体(S−1−4)を含有する混合物156g、メタノール93.0gおよび水83.3gをフラスコへ入れた。これに、30%過酸化水素水溶液を18.1g添加し、40℃で2時間反応させ、共重合体(O−1−4)を得た。また、この反応終了後の混合物に水へと置換する透析を行い、共重合体(O−1−4)を含む水溶液とした。
また、得られた共重合体(O−1−4)の数平均分子量(溶出溶媒:NMP)は27800であり、分子量分布(溶出溶媒:NMP)は2.99であった。
共重合体(O−1−4)の構造は
13C−NMRにより確認した。
【0144】
実施例5 共重合体(O−1−5)の合成
以下の合成経路に従い、共重合体(O−1−5)を得た。
【0145】
【化20】
【0146】
アクリル酸2−メトキシエチル(MEA)19.1gおよびメタクリル酸グリシジル(GMA)10.9gと、重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.300gと、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)70.7gとを混合しフラスコに入れた。これに窒素を吹き込み、70℃まで昇温し、8時間重合させ、その後室温に冷却することで、共重合体(M−1−5)を得た。
得られた共重合体(M−1−5)において、アクリル酸2−メトキシエチルに由来する繰り返し単位の含有量は66モル%であり、メタクリル酸グリシジルに由来する繰り返し単位の含有量は34モル%であった。なお、これら含有量は重合後のポリマー溶液をヘキサンにて再沈殿させた後、減圧乾燥し、ESCAによる元素組成から算出した。
【0147】
次いで、得られた共重合体(M−1−5)を含有する混合物16.0gおよびチオグリセロール1.98gと、メタノール7.72gとを混合してフラスコに入れた。これに窒素を吹き込みながら60℃まで昇温し、触媒としてトリエチルアミン0.246gを添加した後2時間反応させた。その後室温に冷却し、共重合体(S−1−5)を含有する混合物を得た。
【0148】
次いで、得られた共重合体(S−1−5)を含有する混合物25.9g、メタノール5.30gおよび水6.95gをフラスコへ入れた。これに、30%過酸化水素水溶液を4.14g添加し、40℃で2時間反応させ、共重合体(O−1−5)を得た。また、この反応終了後の混合物に水へと置換する透析を行い、共重合体(O−1−5)を含む水溶液とした。
また、得られた共重合体(O−1−5)の数平均分子量(溶出溶媒:NMP)は41100であり、分子量分布(溶出溶媒:NMP)は2.42であった。
共重合体(O−1−5)の構造は
13C−NMRにより確認した。
【0149】
実施例6 共重合体(O−1−6)の合成
以下の合成経路に従い、共重合体(O−1−6)を得た。
【0150】
【化21】
【0151】
アクリル酸2−メトキシエチル(MEA)52.48g、メタクリル酸グリシジル(GMA)21.1gおよび(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)75%水溶液15.9gと、重合開始剤として2,2’−アゾビス(イ
ソブチロニトリル)0.855gと、ガンマブチロラクトン361gとを混合しフラスコに入れた。これに窒素を吹き込み、75℃まで昇温し、8時間重合させ、その後室温に冷却することで、共重合体(M−1−6)を得た。
得られた共重合体(M−1−6)において、アクリル酸2−メトキシエチルに由来する繰り返し単位の含有量は67モル%であり、メタクリル酸グリシジルに由来する繰り返し単位の含有量は24モル%であり、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドに由来する繰り返し単位の含有量は9モル%であった。なお、これら含有量は重合後のポリマー溶液をヘキサンにて再沈殿させた後、減圧乾燥し、ESCAによる元素組成から算出した。
【0152】
次いで、得られた共重合体(M−1−6)を含有する混合物200gおよびチオグリセロール6.10gと、メタノール110gとを混合してフラスコに入れた。これに窒素を吹き込みながら60℃まで昇温し、触媒としてトリエチルアミン0.76gを添加した後2時間反応させ、その後室温に冷却し、共重合体(S−1−6)を含有する混合物を得た。
【0153】
次いで、得られた共重合体(S−1−6)を含有する混合物317gおよび水62.0gをフラスコへ入れた。これに、30%過酸化水素水溶液を12.8g添加し、40℃で2時間反応させ、共重合体(O−1−6)を得た。また、この反応終了後の混合物に水へと置換する透析を行い、共重合体(O−1−6)を含む水溶液とした。
また、得られた共重合体(O−1−6)の数平均分子量(溶出溶媒:水)は8830であり、分子量分布(溶出溶媒:水)は4.72であった。
共重合体(O−1−6)の構造は
13C−NMRにより確認した。
【0154】
上記実施例1〜6で得た共重合体(O−1−1)〜(O−1−6)のHLB値(小田式)を以下の表1に示す。なお、上記メタクリル酸グリシジルに由来する繰り返し単位からなるホモポリマーを合成し、1gを純水100gに添加したところ常温(25℃)で溶解した。また、上記アクリル酸2−メトキシエチルに由来する繰り返し単位からなるホモポリマー、上記ダイアセトンアクリルアミドに由来する繰り返し単位からなるホモポリマーを合成し、1gを純水100gに添加したところ常温(25℃)で溶解しきらなかった。
【0155】
【表1】
【0156】
試験例1 抗体吸着量測定
実施例1〜6で得られた共重合体の0.1質量%水溶液を、96wellのガラスマイクロプレート(日本板硝子社製 FU―96)に満たし、室温で5分間インキュベートした後、超純水で4回洗浄した。次いで、西洋ワサビパーオキシダーゼ標識マウスIgG抗体(AP124P:ミリポア社製)水溶液を上記ガラスマイクロプレートに満たし、室温で1時間インキュベートした後、PBSバッファーで4回洗浄し、TMB(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン)/過酸化水素水/硫酸で発色させて450nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(日本バイオ・ラッドラボラトリーズ社製 モデル680)を用いて測定し、この吸光度から検量線法により抗体吸着量を算出した。
また、比較例1として、実施例1〜6で得られた共重合体の0.1質量%水溶液を超純水に変更した以外は上記と同様の手順で試験を行い、抗体吸着量を算出した。
試験例1の結果を表2に示す。
【0157】
【表2】
【0158】
表2に示すように、共重合体(O−1−1)〜(O−1−6)は、ガラスに対する優れた非特異吸着防止効果を有する。