特許第6111630号(P6111630)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6111630
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】ガスバリア性を有する光学フィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 9/00 20060101AFI20170403BHJP
   B32B 7/02 20060101ALI20170403BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   B32B9/00 A
   B32B7/02 103
   G09F9/00 313
   G09F9/00 342
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-266996(P2012-266996)
(22)【出願日】2012年12月6日
(65)【公開番号】特開2014-113694(P2014-113694A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】北原 吏里
【審査官】 加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−023892(JP,A)
【文献】 特開2012−061651(JP,A)
【文献】 特開2010−188600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 9/00
B32B 7/02
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも透明基材の一方の面にアンカーコート層、蒸着層、複合被膜層が順次積層され、他方の面にアンチグレア層が形成されてなるガスバリア性を有する光学フィルムであって、
(1)前記アンカーコート層がウレタン結合を有する化合物からなり、
(2)前記蒸着層が無機酸化物からなり、
(3)前記複合被膜層が、少なくとも金属アルコキシド、シランカップリング剤、またはそれらの加水分解物の一種以上と、水酸基含有高分子化合物からなり、
(4)前記アンチグレア層が、防眩性を有する粒子状の物質をバインダー中に分散させ、かつ、表面に凹凸形状が形成された高分子樹脂からなり、
このアンチグレア層が、接着剤を介することなく前記透明基材に塗布されて形成されている、
ことを特徴とするガスバリア性を有する光学フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶、陰極線管(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンス(EL)、リアプロジェクションなどのディスプレイに用いられるガスバリア性を有する光学フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置、CRT、PDP等の光学表示装置においては、外光の表示画面上への写り込みによって画像を認識しづらくなるという問題がある。最近では屋内だけでなく屋外にも持ち出される機会が増加し、ディスプレイへの外光の写り込みが問題となっている。この写り込みを防止するために、ディスプレイの前面にアンチグレア機能を持たせるという方法がある。
【0003】
さらにディスプレイは軽量化のため、ガラスからプラスチックフィルムへと変りつつある。しかしガラスからプラスチックへと変更するためには、ガラスと同等の高い透明性とガスバリア性能が必要である。
【0004】
上記のような、アンチグレア性とガスバリア性の2つの機能をもたせるために、例えば、それぞれの機能をもつ二つのフィルムを積層して用いる方法が提案されている(特許文献1)。
【0005】
しかしながら、上記のような異なる二つのフィルムを積層する方法では、工程が増えることによる生産性の低下や、積層部分での剥離(デラミネーション)などの品質面での不具合が発生する問題が懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2001−521813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みて行われたものであり、一つの透明基材でアンチグレア性とガスバリア性の両方を備えた光学フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る請求項1の発明は、少なくとも透明基材の一方の面にアンカーコート層、蒸着層、複合被膜層が順次積層され、他方の面にアンチグレア層が形成されてなるガスバリア性を有する光学フィルムであって、
(1)前記アンカーコート層がウレタン結合を有する化合物からなり、
(2)前記蒸着層が無機酸化物からなり、
(3)前記複合被膜層が、少なくとも金属アルコキシド、シランカップリング剤、またはそれらの加水分解物の一種以上と、水酸基含有高分子化合物からなり、
(4)前記アンチグレア層が、防眩性を有する粒子状の物質をバインダー中に分散させ、かつ、表面に凹凸形状が形成された高分子樹脂からなり、
このアンチグレア層が、接着剤を介することなく前記透明基材に塗布されて形成されている、
ことを特徴とするガスバリア性を有する光学フィルムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、少なくとも透明基材の一方の面にアンカーコート層、蒸着層、複合被膜層が順次積層することで、無機酸化物の蒸着層により優れたガスバリア性を付与するこ
とができる。また、他方の面に最表面が凹凸形状からなるアンチグレア層を形成することで、優れた防眩性を付与することができる。このようにして、一枚のフィルムでガスバリア性を有する防眩性に優れた光学フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のガスバリア性を有する光学フィルムの一実施形態1を示す断面概略図。
図2】本発明のガスバリア性を有する光学フィルムの一実施形態2を示す断面概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明のガスバリア性を有する光学フィルムの一実施形態1を示す断面概略図である。本発明のガスバリア性を有する光学フィルム10は、透明基材1の一方の面にアンカーコート層2、無機化合物からなる蒸着層3、複合性被膜層4が順次積層され、他方の面にアンチグレア層5が形成された構成からなるものである。
【0013】
<透明基材>
本発明に係る透明基材は、透明性、表面平滑性、耐熱性、機械的強度、低価格等を満たせば特に限定するものでないが、ポリエステルフィルム基材が好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルムが好ましい。これらは延伸されていても、未延伸であってもよいが、特に、価格面、防湿性、充填適性、風合い、廃棄性を考慮すると、2軸延伸ポリエステルフィルムがより好ましい。
【0014】
また、前記透明基材には密着性を向上させるために、例えば、プラズマ処理、コロナ放電処理、オゾン処理、グロー放電処理その他の前処理を任意に施すことができる。また加工適性上、フィルムの滑り性をよくするためにフィルムに易滑コートがあっても良い。
【0015】
また、前記透明基材の厚さは特に制限を受けるものではないが、後述する密着層、無機化合物層、複合被膜層を形成する場合の加工性を考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲が好ましく、特に12〜100μmがより好ましい。
【0016】
<アンカーコート層>
本発明に係るアンカーコート層は、前記透明基材と蒸着層との密着性を高め、且つ、蒸着層のバリア性を効率よく発現させるために平滑性が求められるものである。
【0017】
前記アンカーコート層を形成するアンカーコート層組成物には、密着性を高めるためにエステル結合より耐加水分解性の高いウレタン結合を有する化合物を含むことが好ましい。
これにより、前記アンカーコート層がウレタン結合を有する化合物から形成されることで、アンカーコート層自身の耐加水分解性を上げることができ、凝集破壊による密着低下を防ぐとともに、透明基材及び蒸着層との密着性を強固にすることができる。
【0018】
前記ウレタン結合はイソシアネートとアルコールとの付加反応によって生成する結合であり、例えば、ポリウレタンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、アルキッドなどの水酸基をもつ化合物とイソシアネート基をもつイソシアネート化合物との2液反応複合物として形成される。これらの化合物からなるアンカーコート層は、水性のポリエステル易接着層との密着性も良好で、且つ、蒸着層を積層するために平滑な膜を作ることができるので好ましい。
【0019】
前記アンカーコート層組成物には、各種添加剤を配合することができる。例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、3級アミン、イミダゾール誘導体、カルボン酸の金属塩化合物、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩などの硬化促進剤や、フェノール系、硫黄系、ホスファイト系などの酸化防止剤、レベリング剤、流動調整剤、触媒、架橋反応促進剤、充填剤など、特に限定するものではない。
【0020】
また、前記アンカーコート層の形成方法としては、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法などの周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアコートなどの周知の塗布方式を用いることができる。乾燥条件については、特に限定するものではなく、反応を促進させるために、高温のエージング室などに数日放置して乾燥させる方法を用いてもよい。
【0021】
<蒸着層>
本発明に係る前記蒸着層は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などの無機酸化物、あるいはそれらの混合物からなり、透明性を有しかつ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有するものである。特に耐水性に優れる酸化珪素がより好ましい。
【0022】
前記蒸着層の厚さは、用いられる無機酸化物の種類・構成により最適条件が異なるが、一般的には5〜300nmの範囲内が望ましく、その値は適宜選択される。ただし、膜厚が5nm未満であると、均一な膜が得られないことや、膜厚が不十分でガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。
【0023】
また、膜厚が300nmを越える場合は薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じるおそれがあるので問題がある。生産性を加味すると、より好ましいのは10nmから200nmである。
【0024】
前記蒸着層を形成する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることができる。中でも、生産性を考慮すれば、真空蒸着法が最も好ましい。真空蒸着法の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかの方式を用いても良いが、蒸発材料の選択性の幅広さを考慮すると電子線加熱方式を用いることがより好ましい。
【0025】
<複合被膜層>
本発明に係る前記複合被膜層は、金属アルコキシドとシランカップリング剤とそれらの加水分解物のうち少なくとも1種類以上と、水酸基含有高分子化合物とから形成されるものである。
【0026】
前記複合被膜層4は、金属アルコキシドとシランカップリング剤とそれらの加水分解物のうち少なくとも1種類以上と、水酸基含有高分子化合物とを含む水溶液、或いは、水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を用いて形成される。
【0027】
例えば、水溶性高分子を水系(水或いは水/アルコール混合)溶媒で溶解させたものに金属アルコキシドとシランカップリング剤を直接、或いは予め加水分解させるなど処理を行ったものを混合した溶液とする。
【0028】
前記複合被膜層4に用いられる水溶性高分子は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。特にポリビニルアルコール(以下、PVAと略す)は単体でのガ
スバリア性が最も優れるので好ましい。
【0029】
ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルを鹸化して得られるものである。PVAとしては例えば、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分鹸化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全PVA等用いることができ、これ以外のものを用いてもよい。
【0030】
また、金属アルコキシドは、一般式、M(OR)n(M:Si,Ti,Al,Zr等の金属、R:CH、C等のアルキル基)で表せる化合物である。具体的にはテトラエトキシシラン〔Si(OC〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2’−C〕などがあげられ、中でもテトラエトキシシランが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
【0031】
テトラエトキシシランと水溶性高分子と混合する際に、一部または全部を加水分解して混合する。加水分解は一般的には酸またはアルカリの触媒を用いて、水/アルコール混合溶媒中で行うが、これに限定されるものではない。
【0032】
また、シランカップリング剤は一般式、RSi(OR)n(R:有機官能基、R:CH、C等のアルキル基)で表せる化合物である。具体的には、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメトキシシラン、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等のシランカップリング剤などである。
【0033】
選定するシランカップリング剤の種類によって、金属アルコキシドと同時に加水分解しても良いし、シランカップリング剤のみで加水分解を行っても良いし、また加水分解を行わなくても良い。
【0034】
コーティング剤の塗布方法としては、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法、グラビア印刷法などの従来公知の方法を用いることが可能である。
【0035】
前記複合被膜層4の厚さは、コーティング剤の種類や加工機や加工条件によって最適条件が異なり特に限定しない。但し、乾燥後の厚さが、0.01μm以下の場合は、均一な塗膜が得られなく十分なガスバリア性を得られない場合があるので好ましくない。
【0036】
また厚さが50μmを超える場合は膜にクラックが生じ易くなるため問題となる場合がある。好ましくは0.01〜50μmの範囲にあり、より好ましくは0.1〜10μmの範囲にあることである。
【0037】
<アンチグレア層>
本発明に係るアンチグレア層は、前記透明基材の他方の面に凹凸形状を形成することで、ヘイズを高くし防眩性を付与するものである。
【0038】
前記アンチグレア層を構成するアンチグレア層組成物は、少なくともそれ自身が防眩性を有する粒子状の物質を、バインダーとしての高分子樹脂を溶解した溶液中に分散させたものからなる。
【0039】
前記防眩性を有する粒子状の物質としては、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム
、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸アルミニウム、酸化チタン、合成ゼオライト、アルミナ、スメクタイトなどの無機微粒子の他、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂などからなる有機微粒子が挙げられる。
【0040】
また、前記バインダーとしての高分子樹脂には、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ウレタン系樹脂からなる高分子樹脂を用いることが出来る。
【0041】
本発明のアンチグレア層は、前記アンチグレア層組成物を前記透明基材の他方の面に塗布、乾燥した後、表面に凹凸形状を有する金型を重ねて熱圧する、一般的なエンボス成形法により形成することで得られるが、その成形方法は特に限定するものではない。また、アンチグレア層の形成は、前記透明基材の一方の面に前記アンカーコート層などの一連の層を形成する前でも、後でも良い。
【0042】
また、以下に本発明に係るガスバリア性を有する光学フィルムの一実施形態2について説明する。
【0043】
図2は、本発明のガスバリア性を有する光学フィルムの一実施形態2を示している。すなわち、本発明の一実施形態2は、透明基材1の一方の面にアンカーコート層2、蒸着層3、複合被膜層4、蒸着層3、複合被膜層4を順次積層し、他方の面にアンチグレア層が形成された構成からなるものである。このように図1に示す一実施形態1の最表層である複合被膜層4上に、さらに蒸着層3、複合被膜層4を形成することによって、ガスバリア性を有する蒸着層3が二層となり、一実施形態1よりもさらに高いガスバリア性が要求される用途に適用することができる。
【実施例】
【0044】
以下に、本発明を実施例に基づいて、より具体的に説明する。
【0045】
下記の方法にて、アンカーコート層組成物、複合被膜層組成物を調液した。
【0046】
[アンカーコート層組成物]
アクリルポリオールとトリイジルイソシアネートをアクリルポリオールのOH基に対し、NCO基が等量となるように加え、全固形分が5w%になるよう酢酸エチルで希釈してアンカーコート層組成物を調製した。
【0047】
[複合被膜層組成物]
下記方法によりA液、B液、C液を調整し、A液、B液、C液を配合比(重量%)で70/20/10に混合して複合被膜層組成物を調製した。
A液:テトラエトキシシラン10.4gに0.1N塩酸89.6gを加え、30分間撹拌し加水分解させた固形分3重量%(SiO換算)の加水分解溶液。
B液:イソプロピルアルコール水溶液に対して、3重量%のポリビニルアルコールを溶解して調整した。なお、イソプロピルアルコール水溶液は10重量%の水溶液を用いた。
C液:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを0.1N塩酸/イソプロピルアルコール溶液の混合溶液(0.1N塩酸:イソプロピルアルコール=1:1 重量比)で3重量%に希釈して調整した。
【0048】
<実施例1>
透明基材として厚さ50μmの2軸延伸ポリエステルフィルムを用い、その一方の面に膜厚10μmのアンチグレア層を積層し、他方の面にアンカーコート層組成物をグラビア
コート法により塗布し、乾燥後の膜厚が0.2μmのアンカーコート層形成した。
【0049】
次に、上記アンカーコート層の上に、真空蒸着装置(電子線加熱方式)を用いて、酸化ケイ素からなる膜厚30nmの蒸着層を形成した。その後さらに、蒸着面上に前記複合被膜層組成物をグラビアコーターで塗布し、100℃、1分間の条件下で乾燥させ、乾燥後の膜厚が0.3μmの複合被膜層を形成し、図1に準ずる光学フィルムを作製した。
【0050】
<実施例2>
実施例1と同様にして得られた光学フィルムの複合被膜層の上面に、さらに、実施例1と同様にして蒸着層と複合被膜層を形成して、図2に準ずる光学フィルムを作製した。
【0051】
<比較例1>
透明基材の他方の面にアンチグレア層を形成しないこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを作製した。
【0052】
<評価及び方法>
実施例1、2及び比較例1で得られた光学フィルムを用いて、以下の方法にて外観及びガスバリア性の評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
【0053】
・外観
ヘイズと全光線透過率を、濁度計(日本電色工業社、製商品名:NDH2000)により測定した。また黒色の紙の上にフィルムを置いて、フィルム表面へ写り込みが見られるものを×、みられないものを○とした。
【0054】
・ガスバリア性
水蒸気ガスバリア性を、水蒸気透過度測定装置(モコン社製、商品名:パーマトラン)により40℃90%RH雰囲気下で測定した。
【0055】
【表1】
【0056】
<比較結果>
実施例1、2で得られた本発明品は、いずれも外観及びガズバリア性において良好な結果が得られた。一方、比較例1で得られた比較例品は、ガスバリア性は良好であったが、ヘイズが低くアンチグレア層がないために、フィルムへの写り込みが目立ち実用レベルに至らない結果となった。
【符号の説明】
【0057】
1・・・プラスチック基材
2・・・アンカーコート層
3・・・蒸着層
4・・・複合被膜層
5・・・アンチグレア層
10、20・・・ディスプレイフィルム
図1
図2