(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
針状構造体の製造方法として、微細針部に対応する凹部を有する金属凹版を用い、熱可塑性樹脂を溶融させて、射出成型及びプレス成型により針状体シートを得る方法がある。この方法は、金属凹版を繰り返し用いることにより、大量生産が可能となる。
【0009】
しかし、これらの針状構造体の製造方法は、凹版から針状シートを剥離した後、針状体シートの針部がむき出しになった状態となってしまい、工程間を移動する際に、何らかの衝撃を受けることで針部が破損するおそれがある。
【0010】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、その目的とするところは、プレス成型を用いて針状シートを作製した場合における針部の破損を防止することのできる針状構造体の製造装
置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係わる針状構造体の製造装置は、針状パターンの複数の凹部を有する
帯状の針状体凹版フィルム
が二つのローラ間に架け渡されてベルトコンベアを構成していて帯状の針状体凹版フィルムを一方向に搬送する搬送機構と、前記搬送機構で搬送される前記
帯状の針状体凹版フィルム上に、流動性を有する針状体形成材料を供給する材料供給機構と、
前記搬送機構で搬送される前記帯状の針状体凹版フィルム上に供給された前記針状体形成材料を
前記搬送機構で搬送される前記帯状の針状体凹版フィルム上で加熱及び乾燥又は加熱及び冷却により固化させて
帯状の針状体シートを形成するシート形成機構と、
前記搬送機構で搬送される前記帯状の針状体凹版フィルムから固化された前記
帯状の針状体シートを剥離する剥離機構と、前記搬送機構
により搬送されている前記帯状の針状体シートの搬送経路の下流側に前記
帯状の針状体シートを保護するための
帯状のスポンジシートを供給する保護シート供給機構と、前記搬送機構
により搬送されている前記帯状の針状体シートの搬送経路の下流側に設けられ、前記
帯状の針状体凹版フィルム
から剥離された前記
帯状の針状体シートに前記
帯状のスポンジシートを重ね合わせてロール状に巻き取る巻き取り機構と、を具備したことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係わる針状構造体の製造装置は、
針状パターンの複数の凹部を有する帯状の針状体凹版フィルムを繰り出しロールから巻き取りロールへと一方向に搬送する搬送機構と、
前記搬送機構で搬送される前記帯状の針状体凹版フィルム上に
、流動性を有する針状体形成材料を供給する材料供給機構と、
前記搬送機構で搬送される前記帯状の針状体凹版フィルム上に供給された前記針状体形成材料を
前記搬送機構で搬送される前記帯状の針状体凹版フィルム上で加熱及び乾燥又は加熱及び冷却により固化させて
帯状の針状体シートを形成するシート形成機構と、
前記搬送機構で搬送される前記帯状の針状体凹版フィルムから固化された前記帯状の針状体シートを剥離する剥離機構と、前記搬送機構
により搬送されている前記帯状の針状体シートの搬送経路の下流側に前記
帯状の針状体シートを保護するための
帯状のスポンジシートを供給する保護シート供給機構と、前記搬送機構
により搬送されている前記帯状の針状体シートの搬送経路の下流側に設けられ、
帯状の針状体凹版フィルムから剥離された前記
帯状の針状体シートに前記
帯状のスポンジシートを重ね合わせてロール状に巻き取る巻き取り機構と、を具備したことを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明に係わる針状構造体の製造装置は、帯状のベースフィルムを一方向に搬送する搬送機構と、前記帯状のベースフィルムの搬送経路の途中に設けられ、前記帯状のベースフィルムに当接される周面に針状パターンの複数の凹部を有する針状体凹版ローラと、前記帯状のベースフィルムの搬送経路において前記針状体凹版ローラの上流側で前記帯状のベースフィルム上に流動性を有する針状体形成材料を供給する材料供給機構と、前記帯状のベースフィルムの搬送経路において前記針状体凹版ローラの上流側で前記帯状のベースフィルム上に供給された前記針状体形成材料を前記針状体凹版ローラの下流側で加熱及び乾燥又は加熱及び冷却により固化させ帯状の針状体シートを形成するシート形成機構と、前記搬送機構により搬送されている前記帯状の針状体シートの搬送経路の下流側に前記帯状の針状体シートを保護するための帯状のスポンジシートを供給する保護シート供給機構と、前記搬送機構により搬送されている前記帯状の針状体シートの搬送経路の下流側に設けられ、前記帯状のベースフィルム上に形成された前記帯状の針状体シートに前記帯状のスポンジシートを重ね合わせてロール状に巻き取る巻き取り機構と、を具備したことを特徴とする。
ここで
前記帯状のベースフィルムの搬送経路において前記針状体凹版ローラと前記材料供給機構との間に、
前記材料供給機構により前記帯状のベースフィルム上に供給された前記針状体形成材料を乾燥させるための乾燥機構が設けられていることが望ましい。さらに、
前記帯状のベースフィルムの搬送経路において前記シート形成機構の下流側で前記針状体シートから前記ベースフィルムを剥離する剥離機構と、前記剥離されたベースフィルムを巻き取る巻き取りロールと、を更に有することが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、針状体凹版フィルムやベースフィルムを搬送しながら、針状体形成材料から複数の針部をプレス成型により作製することにより、針状体シートを連続して形成することができる。
【0018】
成型された針状体シートをロール状にして重ね合わせることにより、針部はむき出しになることなく、破損する可能性を少なくすることができる。しかも、重ね合わせる際に、針状体シートと針状体シートとの間にスポンジ等の保護シートを設けることにより、針部の変形や破損なく、針状体シートを保管することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる針状構造体の製造装置を示す斜視図である。
【0022】
図中の101は、微細針部に対応する多数の凹部が形成された、即ちMNパターン加工した厚さ500〜1000μm程度の針状体凹版フィルムである。この針状体フィルム101は、ベルトコンベア(搬送機構)10を成すローラ11とローラ12との間に架け渡され、ローラ11,12の回転により一方向に移動可能となっている。
【0023】
ローラ11,12間のローラ11側には、針状体凹版フィルム101上に材料水溶液又は材料樹脂からなる流動性を有する針状体形成材料102を供給するためのTダイ(材料供給機構)13が設置されている。ローラ11,12間でTダイ13よりも下流側に、針状体凹版フィルム101上に塗布された針状体形成材料102を乾燥するための乾燥機(シート形成機構)14が設置されている。この乾燥機14を通すことにより、針状体形成材料102が固化し、MNパターンシート(針状体シート)103が得られるようになっている。
【0024】
ローラ12の下流側には、MNパターンシート103を巻き取るための巻き取りロール(巻き取り機構)15と、MNパターンシート13の針部を保護するためのスポンジシート(保護シート)104を繰り出すスポンジロール(保護シート供給機構)16が設置されている。そして、巻き取りロール15はMNパターンシート103をスポンジシート104に重ね合わせて巻き取るようになっている。
【0025】
ここで、針状体形成材料102が水溶性樹脂の場合、その水溶液をTダイ13やディスペンサーを用いて針状体凹版フィルム101に供給し、その後に乾燥機14による乾燥工程を経ることでMNパターンシート103を得ることができる。
【0026】
この場合の材料として好ましいのは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キトサン、カルボキシメチルキトサン、キトサンサクシナミド、エクセルキトサン、ビアルロン酸があげられる。フィルム製剤としてよく用いられる、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等は押し出し機を用いてTダイ13から供給することも可能であるため、有用である。
【0027】
一方、針状体形成材料102が熱可塑性樹脂である場合、樹脂を溶融させ、押し出し機を用いてTダイ13で供給する方法や、溶融状態となった樹脂をディスペンサーから供給する方法をとることができる。
【0028】
この揚合の材料として好ましいのは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、PET、環状オレフィンコポリマーなどがあげられる。樹脂は1種類でもよく、2種類以上の樹脂を混合して供給しても良いものとする。なお、熱可塑性樹脂を用いる場合は、シート形成機構14として、乾燥機の代わりに冷却機を用いればよい。
【0029】
スポンジシート104の材質については、針部が破損しない程度の弾力性があればよく、スポンジ材料としてウレタン、発泡ポリエチレン、天然ゴム、クロロプレンゴム等用いればよい。
【0030】
図1の装置を用いて、ポリプロピレン製の針状体凹版フィルム101を一方向に搬送すると共に、Tダイ13から環状オレフィンコポリマーを供給し、乾燥機14を通すことにより、MNパターンシート103を形成する。即ち、環状オレフィンコポリマー製の針状体シート103を成型した。ここで、針状体凹版フィルム101と針状体材料との親和性を良くするために、材料供給工程の前に、フレーム処理、コロナ処理、大気プラズマ処理などの表面処理工程を設けても良い。
【0031】
MNパターンシート103が形成された後は、ローラ12でMNパターンシート103から針状体凹版フィルム101を剥離する。そして、MNパターンシート103を巻き取りロール15で巻き取る。
【0032】
このように、成型されたMNパターンシート103をロール状にして重ね合わせることができれば、針部はむき出しになることなく、破損する可能性を少なくすることができる。但し、重ね合わせる際には針部に圧力が加わるため、針部の変形、破損を避けることはできない。
【0033】
そこで本実施形態では、ロール状にMNパターンシート103を重ね合わせる際に、MNパターンシート103とMNパターンシート103との間に保護層としてスポンジシート104を挿入している。即ち、スポンジロール16から供給されたスポンジシート104をMNパターンシート103と重ね合わせ、MNパターンシート/スポンジの2層ロールとして巻き取る。これにより、スポンジシート−MNパターンシート−スポンジシート−MNパターンシート…と繰り返し重ね合わせることになり、針部の変形や破損なく、MNパターンシート103を保管することが可能となる。
【0034】
2層ロールとして巻き取った後は、裁断して製品とする。ロール状のMNパターンシート103を1cm角に打ち抜いた後、スポンジシート104を取り除き、MNパターンシート103を光学顕微鏡で観察した結果、針部の破損、変形がないことを確認した。
【0035】
本製造装置を用いて製造された、スポンジシート104と貼り合わせたMNパターンシート(針状体シート)103は、スポンジシート104を取り除くことで完成品とすることができる。針状体シート103からスポンジシート104を取り除かない場合、スポンジシート104を備えたまま完成品とし、針状体シート103を使用する際にスポンジシート104を取り除いて使用するものとすることができる。
【0036】
図2(a)は裁断した製品構成を示す断面図であり、
図2(b)は製品使用時の断面図である。製品としては、
図2(a)に示すように、針部がスポンジシート104によって覆われているため、針部の破損を未然に防止することができる。製品使用時は、
図2(b)に示すように、スポンジシート104を取るだけでよい。
【0037】
このように本実施形態によれば、プレス成型を用いて作製した針状体シート103をスポンジシート104と共に巻き取っているため、巻き取ったロールを裁断工程で製品形状に打ち抜くことで、針部がスポンジカバーされた製品となる。このため、針状体シート103の針部の破損を防止することができる。
【0038】
針状体凹版フィルム101をベルトコンベアに巻きつけて利用するため、針状体凹版フィルム101の耐久性が許す限り使用続けることができる。このため、針状体シート103を連続的に製造することができ、大量生産が可能となる。また、ロール式で針状体シート103を収納することができるため、針状体シート103を保護したまま移送が簡便に行える。
【0039】
針状体シート103の成型後に、針状体凹版フィルム101と針状体シート103とを剥離する工程を設けることで、針状体凹版フィルム101が針状体シート103の重ね合わせに影響を与えることがなくなる。
【0040】
また、針状体シート103を薄膜で成型できるため、材料コストを低減できる。さらに、スポンジシート104に薬液を染み込ませておくことで、針状体シート103の表面に薬液を塗布することができる利点もある。
【0041】
なお、上記の例では針状体形成材料として、加熱又は乾燥して硬化する材料を用いたが、加熱により軟化し冷却により硬化する樹脂等を用いる場合は、
図3に示すように、乾燥機14の代わりに、ニップローラ17とクーリングローラ18を設ければよい。この場合、Tダイ13から供給された樹脂等の針状体形成材料102は、ニップローラ17で針状体凹版フィルム101に押圧され、クーリングローラ18により冷却されて、MNパターンシート103となる。
【0042】
このように、乾燥機14の代わりにローラ17,18を用いて樹脂に適用できるのは、以降の実施形態においても同様である。
【0043】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態に係わる針状構造体の製造装置を示す斜視図である。なお、
図1と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0044】
本実施形態が先に説明した第1の実施形態と異なる点は、針状体凹版フィルム101をベルトコンベア状にして連続的に使用するのではなく、一方から供給し、他方で収容するようにしたことである。
【0045】
前記
図1の装置において、ローラ11の前段に、ポリプロピレン製針状体凹版フィルム101をロール状に保持したロール21が設けられ、このロール21からフィルム101がローラ11に供給される。そして、ローラ12の後段に、針状体凹版フィルム101を巻き取るロール22が設けられ、ローラ12でMNパターンシート103から剥離された針状体凹版フィルム101がロール22で巻き取られるようになっている。
【0046】
図4の装置を用いて、第1の実施形態と同様に、ポリエチレン製の針状体シート103を成型し、ロール状に収納した。ロール状の針状体シート103を1cm角に打ち抜いた後、スポンジシート104を取り除き、針状体シート103を光学顕微鏡で観察した結果、針部破損、変形がないことを確認した。
【0047】
従って、本装置においても先の第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、本実施形態では、針状体凹版フィルム101を連続的して使用するのではないため、針状体凹版フィルム101の使用中の不良発生に起因する歩留まり低下を抑制することができる。さらに、針状体凹版フィルム101を巻き取ることで、針状体凹版フィルム101の流出を防ぐことができる。
【0048】
また、針状体シート103をロール状にして供給する場合、材料供給工程の後に、成型された針状体シート103と針状体凹版フィルム101を剥離し、それを巻き取ることにより、針状体凹版フィルム101が針状体シート103の重ね合わせに影響を与えることがなくなる。
【0049】
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態に係わる針状構造体の製造装置を示す斜視図である。なお、
図4と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0050】
本実施形態が先に説明した第2の実施形態と異なる点は、針状体凹版フィルム101を用いる代わりに、ベースフィルム201とヒートローラ(針状体凹版ローラ)35を用いたことである。
【0051】
即ち、ベースフィルム201はロール31に巻回されており、ロール31からローラ11に繰り出されたベースフィルム201は一方向に搬送される。ここで、ベースフィルム201の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、PET、環状オレフィンコポリマーなどが上げられる。供給材料とヒートローラ35との密着を避けることを目的に、供給材料とより親和性の高いフィルムをベースフィルム201として供給してもよい。
【0052】
ベースフィルム201の搬送経路には、針状パターンを形成するためのヒートローラ35が設置されている。ヒートローラ35は、
図6(a)(b)に断面図を示すように、円柱の周面に多数の針部に対応する凹部が設けられたものである。
【0053】
Tダイ13はヒートローラ35の上流側に設置され、Tダイ13から供給された針状体形成材料102は、ベースフィルム201に貼り合わせた後にヒートローラ35で押圧される。これにより、針状体形成材料102の表面部が変形して針部が形成される。針部が形成された針状体形成材料102は乾燥機14を通ることにより固化され、ベースフィルム/MNパターンシートの積層体203となる。そして、スポンジロール16から供給されたスポンジシート104を積層体203と重ね合わせ、ベースフィルム/MNパターンシート/スポンジシートの3層ロールとして巻き取るようになっている。
【0054】
図5の装置を用いて、ベースフィルム201を一方向に搬送すると共に、Tダイ13から針状体形成材料102としてヒドロキシプロピルセルロースを供給し、ヒートローラ35及び乾燥機14を通すことにより、ベースフィルム201上にヒドロキシプロピルセルロース製のMNパターンシート103を成型した。そして、MNパターンシート103及びベースフィルム201の積層体203をロール15に巻き取って収納した。このとき、スポンジシート104を挟むのは第1及び第2の実施形態と同様である。
【0055】
ロール状の積層体203を1cm角に打ち抜いた後、スポンジシート104を取り除き、MNパターンシート103を光学顕微鏡で観察した結果、針部の破損、変形がないことを確認した。得られた積層体203は、
図7(a)(b)に示すように、ベースフィルム201とMNパターンシート103との2層であった。
図7(a)は裁断した製品構成を示す断面図であり、
図7(b)は製品使用時の断面図である。製品としては、
図7(a)に示すように、針部がスポンジシート104によって覆われているため、針部の破損を未然に防止することができる。製品使用時は、
図7(b)に示すように、スポンジシート104を取るだけでよい。
【0056】
このように本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、スポンジシート104で保護されたMNパターンシート103を作製することができる。また、ベースフィルム201を有することで、製品形状に裁断した際にMNパターンシート103の反りを抑えることができる利点もある。
【0057】
(第4の実施形態)
図8は、本発明の第4の実施形態に係わる針状構造体の製造装置を示す斜視図である。なお、
図5と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0058】
本実施形態が先に説明した第3の実施形態と異なる点は、Tダイ13による材料供給部とヒートローラ35との間に乾燥機34を設けたことである。それ以外は、
図5の構成と実質的に同様であり、従って先の第3の実施形態と同様に針状構造体を作製することができる。
【0059】
このような構成であれば、Tダイ13からヒートローラ35までの距離を持たせることにより、ヒートローラ35の手前で針状体形成材料102を事前乾燥処理することができる。このため、針状体形成材料102の選択の自由度が増す利点もある。
【0060】
(第5の実施形態)
図9は、本発明の第5の実施形態に係わる針状構造体の製造装置を示す斜視図である。なお、
図5と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0061】
本実施形態が先に説明した第3の実施形態と異なる点は、ベースフィルム201の回収部を設けたことである。
【0062】
即ち、前記
図5に示す構成において、ヒートローラ35の下流側に、ベースフィルム201の巻き取りロール32が設置されている。そして、ベースフィルム201と貼り合わせ、針部が形成されたMNパターンシート103は、乾燥機14を通した後に、ベースフィルム201から剥離される。そして、MNパターンシート103が剥離されたベースフィルム201がロール32に巻き取られるようになっている。
【0063】
この装置を用いてポリカーボネート製のMNパターンシート103を成型し、ロール状に収納した。ロール状のMNパターンシート103を1cm角に打ち抜いた後、スポンジシート104を取り除き、MNパターンシート103を光学顕微鏡で観察した結果、針部の破損、変形がないことを確認した。最終的に作製される製品は、前記
図2(a)(b)に示すようになる。
【0064】
このように本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、スポンジシート104で保護されたMNパターンシート103を作製することができる。また、ベースフィルム101を回収するため、ベースフィルムの再利用が可能となる利点もある。
【0065】
(第6の実施形態)
次に、第1及び第2の実施形態に用いた針状体凹版フィルムの製造方法について説明する。
【0066】
図10は、本発明の第6の実施形態に係わる針状体凹版フィルムの製造装置を示す斜視図である。なお、
図5と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0067】
装置の基本構成は、第3の実施形態に用いた前記
図5と同様であり、
図5の装置を用いることも可能である。但し、ヒートローラ55を、
図11(a)(b)に断面を示すように、針部に相当する凸部を有する雄型ローラとした。この場合、ヒートローラ55と接触する他のローラの表面は凸部の破損を避けるために、ゴムローラとすることが望ましい。
【0068】
本装置を用い、ベースフィルム201を供給し、フィルム201上にパターンを加工するための凸版フィルム形成樹脂202を供給する。凹版フィルムの形成材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、環状オレフィンコポリマー、ポリスチレン、PET、エチレンビニルアルコールがあげられる。
【0069】
次いで、ヒートローラ55に熱を掛けパターンを転写する。乾燥機構14で更に熱を掛け、十分に硬化させることにより、ベースフィルム201上に針状体凹版フィルム101を貼り合わせた構造の積層体303を形成する。そして、積層体303を巻き取りロール15で巻き取る。
【0070】
このとき、スポンジシート供給機構は稼動させなかった。また、ベースフィルム201が不要な場合は、第5の実施形態と同様な巻き取りロール32を設け、ベースフィルム201を剥離するようにしても良い。この装置を用いて、複製版としてのポリビニルアルコール製の針状体凹部フィルム101を作製した。
【0071】
得られた針状体凹部フィルム101を用いて針状構造体を成型した結果、ヒートローラ55の凸部と形状が変わらない針部を得ることができた。
【0072】
このように本実施形態によれば、第3の実施形態のような針状構造体の製造装置のヒートローラ35を針状体凸版ローラ55にすることにより、Tダイ13から供給された材料で針状体凹版フィルム101を作製することが可能となる。
【0073】
(変形例)
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。
【0074】
針状体凹版フィルムの搬送機構は、前記
図1や前記
図4の構成に限られるものではなく、針状体凹版フィルムを一方向に連続して搬送できるものであれば良い。
【0075】
実施形態では、針状体形成材料に針部のパターンを形成するためのローラとしてヒートローラ及び乾燥機を用いたが、これらの代わりに針部に相当する凹部が形成されたニップローラとクーリングローラを用いることも可能である。即ち、針状体形成材料を固化させて針状体シートを形成する機構は、針状体形成材料に応じて乾燥又はクーリングを適宜選択すればよい。
【0076】
また、針状体形成材料を供給する材料供給機構は、Tダイに限定されるものではなく、ディスペンサや、凹版ロールを用いたグラビア塗布機構を使用することも可能である。つまり、材料供給機構はTダイに限るものではなく、針状体凹版フィルムやベースフィルム等の上に針状体形成材料を流動体の状体で供給できるものであれば良い。さらに、保護シートは必ずしもスポンジシートに限るものではなく、針部よりも十分に柔らかい弾性材料であれば良い。
【0077】
要するに、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することが可能である。