(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6111653
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 33/38 20060101AFI20170403BHJP
【FI】
B65D33/38
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-282653(P2012-282653)
(22)【出願日】2012年12月26日
(65)【公開番号】特開2014-125227(P2014-125227A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】工藤 瑠里
(72)【発明者】
【氏名】木村 康平
【審査官】
西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭61−107741(JP,U)
【文献】
特開平09−165052(JP,A)
【文献】
特開2006−199334(JP,A)
【文献】
特開平05−178356(JP,A)
【文献】
実開昭61−164137(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/00−33/38
B65D 75/00−77/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表フィルムと裏フィルムとを重ねあわせ、上部に天シール部と、左右にサイドシール部を設け、上部の一隅から広幅シール部を設けて、前記サイドシール部の一方と前記広幅シール部の間に、内容物を取り出すときに通る内容物流出路を設け、該内容物流出路と連通する内容物収納部を前記広幅シール部の下方に設け、前記広幅シール部には前記内容物流出路に沿うように易切断線が設けられた包装袋であって、
前記易切断線を切断し、前記内容物流出路を切断するように開口して注ぎ口を形成させた内容物流出路を略直角に前記広幅シール部方向に折り曲げて、前記注出口を覆うように前記広幅シール部をその上下方向の中間部より折り曲げた状態で広幅シールを固定する係止機構を設け、
前記内容物流出路を略直角に折り曲げたときに、該内容物流出路の先端の注ぎ口を差し込むスリットを前記広幅シール部に設けたことを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記内容物流出路を略直角に折り曲げる為の折罫を、前記広幅シール部に設けたことを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記折罫は、前記易切断線の下端付近から、前記サイドシール部の一方の方向で下方に向かう斜め折罫線であることを特徴とする請求項2に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋に関するものである。更に詳しくは再封機能を有する包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、食品などの内容物を収納するための容器として、各種の形態のものが使用されており、代表的なものとして、各種形状の軟包装袋、円筒状や外形が角柱状の紙製容器などがある。
【0003】
紙製容器の場合は内容物を取り出した後、比較的容易に蓋などにより再封することができるが、包装袋の場合は、取り出した後、再封することが難しく、再封用の別途用意した冶具で、内容物取り出し用開口部を挟んで再封したりしている。
【0004】
また、取り出し開口部の下の表フィルムと裏フィルムに雄型と雌型を有するプラスチック製のチャックをそれぞれ溶着して、チャック付包装袋とし、開封後はチャックを閉めて再封するようにしたものがある。
【0005】
チャック付包装袋は、確実に再封できて便利であるが、嵌合させた雄型と雌型を有するプラスチック製のチャックテープを包装袋内に融着させなくてはならないので、工程が増え、また、融着不良が起きやすく、さらには、チャックテープ自体のコストが高いという問題があった。
【0006】
また、一方、繰り返し屈伸可能な部材や、巻き込み、あるいは捩り込みの可能な部材を取り出し開口部に対し垂直・平行・斜めのいずれかの方向に、組み込んだり貼り付けたりして、閉口し、再封を可能にした袋があった(特許文献1)。
【0007】
この袋についても、袋に部材を取り付けさせなくてはならないので、工程が増え、また、シール不良が起きやすく、問題があった。
【0008】
一方、
図7の包装袋では、内容物収納部6の上部に内容物流出路5が設けられていて、隣接する広幅シール部4が、ミシン目(易切断線7)によって、分離できるようになっている。広幅シール部4には、スリット14が設けられている。
【0009】
そして、ミシン目(易切断線7)で分離して、内容物流出路5のある部分を流出路側ノッチ10から切断して注出口を設け、内容物を取り出した後、内容物流出路5のある部分を折り曲げてスリット14に差し込んで係止部17で係止し、再封するようになっている(特許文献2)。
【0010】
この様にすると、冶具を使う、あるいは、包装袋にチャックや別部材を取り付けることなく、再封することができるが、内容物が内容物流出路5の先端の切断部分に付いたり、スリット14に付いたりして、見栄えが悪く、また周囲を汚してしまう恐れがある。
【0011】
公知文献を以下に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】実用新案登録第3047802号公報
【特許文献2】実開昭61−107741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたもので、別途に用意した冶具を使うこと、あるいは、包装袋にチャックや別部材を取り付けることなく、再封することができて、内容物の付着した注ぎ口を見えないように覆って再封できる包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の請求項1に係る発明は、表フィルムと裏フィルムとを重ねあわせ、上部に天シール部と、左右にサイドシール部を設け、上部の一隅から広幅シール部を設けて、前記サイドシール部の一方と前記広幅シール部の間に、内容物を取り出すときに通る内容物流出路を設け、該内容物流出路と連通する内容物収納部を前記広幅シール部の下方に設け、前記広幅シール部には前記内容物流出路に沿うように易切断線が設けられた包装袋であって、
前記易切断線を切断し、前記内容物流出路を切断するように開口して注ぎ口を形成させた内容物流出路を略直角に前記広幅シール部方向に折り曲げて、前記注出口を覆うように前記広幅シール部をその上下方向の中間部より折り曲げた状態で広幅シールを固定する係止機構を設け
、
前記内容物流出路を略直角に折り曲げたときに、該内容物流出路の先端の注ぎ口を差し込むスリットを前記広幅シール部に設けたことを特徴とする包装袋である。
【0015】
本発明の請求項2の発明は、前記内容物流出路を略直角に折り曲げる為の折罫を、前記広幅シール部に設けたことを特徴とする請求項1に記載の包装袋である。
【0016】
本発明の請求項3の発明は、前記
折罫は、前記易切断線の下端付近から、前記サイドシール部の一方の方向で下方に向かう斜め折罫線であることを特徴とする請求
項2に記載の包装袋である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の包装袋は、別途に用意した冶具を使うこと、あるいは、包装袋にチャックや別部材を取り付けることなく、再封することができて、内容物の付着した注ぎ口を見えないように覆って再封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の包装袋の一
参考例を模式的に示した説明図である。
【
図2】本発明の包装袋の一
参考例で内容物流出路を折り曲げた状態を模式的に示した説明図である。
【
図3】本発明の包装袋の一
参考例で注出口を覆うように広幅シール部を折り曲げた状態を模式的に示した説明図である。
【
図4】本発明の包装袋の
一例を模式的に示した説明図である。
【
図5】本発明の包装袋の
一例で内容物流出路を折り曲げた状態を模式的に示した説明図である。
【
図6】本発明の包装袋
の他の
参考例を模式的に示した説明図である。
【
図7】従来の包装袋の一例を模式的に示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下本発明を実施するための形態につき説明する。
図1は、本発明の包装袋の一
参考例を模式的に示した説明図、
図2は、本発明の包装袋の一
参考例で内容物流出路を折り曲げた状態を模式的に示した説明図、
図3は、本発明の包装袋の一
参考例で注出口を覆うように広幅シール部を折り曲げた状態を模式的に示した説明図である。
【0020】
本
参考例の包装袋100は、
図1のように、表フィルムと裏フィルムとを重ねあわせて、上部に天シール部1と、左右にサイドシール部2、3が設けられている。そして、上部のサイドシール部3側の一隅から広幅シール部4を設けて、サイドシール部2と広幅シール部4の間に、内容物を取り出すときに通る内容物流出路5を設けている。また、内容物を収納する内容物収納部6を広幅シール部4の下方に設け、広幅シール部4には内容物流出路5に沿うように易切断線7が設けられている。
【0021】
本
参考例の易切断線7は、Yの字状の貫通した切れ目を、Yの字の下の部分がYの字の上の二股の間を指すように、線状に並べたものである。これに限らず、破線や点線状の貫通孔を並べたミシン目であっても良い。また、易切断線7の先端には切断停止部が設けられている。
【0022】
広幅シール部4には、係止機構が上方の舌片状切り込み8aと、下方の直線状切り込み8bが設けられている。また、舌片状切り込み8aと直線状切り込み8bの中間部には、広幅シール部4を折り曲げやすくするための、折罫線9が設けられている。
【0023】
本
参考例では、係止機構が上方の舌片状切り込み8aと、下方の直線状切り込み8bでなっているが、逆に、上方の直線状切り込み8bと、下方の舌片状切り込み8aとからなっていてもよいし、また別の係止機構になっていても良い。要は広幅シール部4を折り曲げた状態で係止できればよい。
【0024】
また、折罫線9は、本
参考例においては重ねあわせた表フィルムと裏フィルムを、表側や裏側に直線状に盛り上げた2本の盛り上げ線で出来ていて、折り曲げやすくしている。これに限らず、破線状などの断続する切れ目によって、折罫線9を設けても良いし、また、別の方法で設けても良い。
【0025】
サイドシール部2の上部には、内容物流出路5を切断して注出口を設けるための流出路側ノッチ10が設けられている。また、易切断線7の下端付近から、サイドシール部2の方向で下方に向かう斜め折罫線11が設けられている。本
参考例では、斜め折罫線11は1本の盛り上げ線からなっているが、これに限るものではない。この斜め折罫線11は、内容物流出路5を略直角に広幅シール部4方向に折り曲げやすくする為のもので
ある。
【0026】
また、包装袋100の下方のサイドシール部2、3には、下側ノッチ12、12が設けられている。この下側ノッチ12、12は、一度に全部の内容物を出すときに、内容物流出路5を通して出す代わりに用いる。
【0027】
この包装袋100から内容物流出路5を通して内容物を注出するには、易切断線7を切断し、サイドシール部2の上部の流出路側ノッチ10から易切断線7方向に、内容物流出路5を切断するように切り取り、注出口13を形成させ、内容物収納部6の内容物を、内容物流出路5を通して注出口13より注出する。
【0028】
内容物を注出した包装袋100を再封するには、
図2のように、内容物流出路5の部分を斜め折罫線11から略直角に広幅シール部4方向に折り曲げる。
【0029】
この状態から、
図3のように、注出口13が隠れるように、広幅シール部4を折罫線9から折り曲げる。そして、係止機構の舌片状切り込み8aを舌片状の先端から直線状切り込み8bに差し込んで係止する。
【0030】
この様にして再封することが出来るので、別途に用意した冶具を使うこと、あるいは、包装袋にチャックや別部材を取り付けることが不要である。また、内容物の付着した注ぎ口13を見えないように覆って再封するので、見た目もきれいで、ほかのものに内容物を付着させて汚すことも防げる。
【0031】
この再封した包装袋100から、また内容物を注出するには、係止機構の係止をはずし
て、折り曲げられた内容物流出路5の部分を延ばして注出することが出来る。また、係止機構の係止をはずさなくても、折罫線9から折り曲げられた広幅シール部4の間から、内容物流出路5の部分を抜き出して延ばし、内容物を抽出することが出来る。
【0032】
この場合、再度再封するには、折罫線9から折り曲げられた広幅シール部4の間に内容物流出路5の部分を差し込んで、内容物流出路5の部分を斜め折罫線11から略直角に折り曲げるだけでよく、再度の再封が容易にできる。
【0033】
このように、係止機構の係止をはずさず、広幅シール部4の間に内容物流出路5の部分を差し込むようにするときは、内容物流出路5の部分を先細りに形成しておいても良い。また、内容物流出路5を先細りにしておいて、内容物の流量を加減することも出来る。
【0034】
包装袋100を製造するには、表フィルムと裏フィルムとを重ねあわせ、内容物流出路5と内容物収納部6にあたる部分が窪んで、シールされないようにした熱シール板にて、天シール部1とサイドシール部2、3と広幅シール部4をシールする。
【0035】
次に、折罫線9と斜め折罫線11を設ける。これらは、雄型と雌型で挟み、押圧して設ける。このとき、雄型と雌型のいずれか一方または両方を加温して行うことによって、くっきりと盛り上がった盛り上げ線として設けることが出来る。
【0036】
そして、抜き型によって押圧し、係止機構の舌片状切り込み8aと直線状切り込み8b、および、易切断線7を入れると同時に、流出路側ノッチ10と下側ノッチ12、12を含めた包装袋の外形線に打ち抜く。これによって、底シールが密封されていない包装袋100が製造される。そして、密封されていない底シール部より内容物を充填して、底シール部をシールすることによって、内容物が充填された包装袋100が製造される。
【0037】
次に本発明の包装袋の
一例について説明する。
図4は、本発明の包装袋の
一例を模式的に示した説明図、
図5は、本発明の包装袋の
一例で内容物流出路を折り曲げた状態を模式的に示した説明図である。
【0038】
本例の包装袋200は、
図4のように、広幅シール部に縦に伸びるスリット14が設けられている。これ以外の部分は、包装袋100と同じである。
【0039】
この包装袋200から内容物を注出するには、包装袋100と同様に、易切断線7を切断し、サイドシール部2の上部の流出路側ノッチ10から易切断線7方向に、内容物流出路5を切断するように切り取り、注出口13を形成させ、内容物収納部6の内容物を、内容物流出路5を通して注出口13より注出する。
【0040】
内容物を注出した包装袋200を再封するには、内容物流出路5の部分を斜め折罫線11から略直角に広幅シール部4方向に折り曲げ、
図5のように、内容物流出路5の部分の先端からこのスリット14に差し込む。
【0041】
そして包装袋100と同様に、注出口13が隠れるように、広幅シール部4を折罫線9から折り曲げる。そして、係止機構の舌片状切り込み8aを舌片状の先端から直線状切り込み8bに差し込んで係止する。
【0042】
このように、スリット14を設けて、内容物流出路5の部分を先端から差し込んでおいて、更に、広幅シール部4を折罫線9から折り曲げて係止機構で係止すれば、確実に内容物流出路5の部分を略直角に折り曲げ固定することが出来る。
【0043】
次に本発明の包装袋の更に他の
参考例について説明する。
図6は、本発明の包装袋の更に他の
参考例を模式的に示した説明図である。
【0044】
本
参考例の包装袋300は、
図6のように、底テープ15を2つ折りにして、2つ折りにした底テープ15の折り部を上にして、重ねた表フィルムと裏フィルムとの間の下端部に挟み込み、部分的に底テープの側部を打ち抜いておき、表フィルムと裏フィルムをサイドシール部でシールした接合部16を設けて、底テープと表フィルム、および底テープと裏フィルムを側部と底部でシールして自立することが出来るようにしたいわゆるスタンディングパウチである。これ以外の部分は、包装袋100と同じである。
【0045】
このように、スタンディングパウチにしてあるので、再封した状態で立てておけるので、スペースがとられず、保管が容易である。また、店舗においては、立てておけるので陳列がしやすく、目立ちやすい。
【0046】
本発明
の包装袋で用いられる表フィルムと裏フィルムあるいは底テープ15は、基材とシーラントフィルムが積層された積層フィルムからなっている。
【0047】
基材としては、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の樹脂の2軸延伸、あるいは、1軸延伸、未延伸のプラスチックフィルムが好ましく使用できる。その場合の厚さは12〜50μm程度である。また、紙を基材として用いても良い。
【0048】
基材を多層にして設けても良い。多層の基材としては、外層側から、ポリエチレンテレフタレート/ナイロン、ナイロン/ポリエチレンテレフタレート、ナイロン/無機酸化物蒸着ポリエチレンテレフタレート、ナイロン/アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート、ナイロン/アルミニウム箔、ポリエチレンテレフタレート/アルミニウム箔などの積層したフィルムを用いることができる。
【0049】
シーラントフィルムには、熱溶融性樹脂が用いられる。ポリプロピレンや、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、あるいは、酸変性ポリエチレンなどが用いられる。特に、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましく用いられる。
【0050】
積層フィルムの積層方法は、ドライラミネート法で行っても良い。また、サンドイッチラミネート法で行ってもかまわない。また、場合によっては、シーラントフィルムを押出機から製膜しながら押出して、基材に貼り合わせる押出ラミネート法で行っても良い。
【0051】
また、絵柄印刷層を基材フィルムの裏面に設けることができる。絵柄印刷層を設ける印刷方式は、特に限定するものではないが、通常、グラビア印刷、あるいは、フレキソ印刷が用いられる。
【0052】
本発明の包装袋は、以上のように、別途に用意した冶具を使うこと、あるいは、包装袋にチャックや別部材を取り付けることなく、再封することができて、内容物の付着した注ぎ口を見えないように覆って再封することができる。
【符号の説明】
【0053】
100、200、300・・・包装袋
1・・・天シール部
2、3・・・サイドシール部
4・・・広幅シール部
5・・・内容物流出路
6・・・内容物収納部
7・・・易切断線
8a・・・舌片状切り込み
8b・・・直線状切り込み
9・・・折罫線
10・・・流出路側ノッチ
11・・・斜め折罫線
12、12・・・下側ノッチ
13・・・注出口
14・・・スリット
15・・・底テープ
16・・・接合部
17・・・係止部