(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
衛生用紙の取出し口(10)を有する天面(11)と,前記天面(11)に対向する底面(12)と,前記天面(11)及び前記底面(12)に連接する一対の側面(13,14)及び一対の妻面(15,16)と,を有する,
衛生用紙収納カートン(100)であって,
前記一対の側面(13,14)は,
第1の基準面と一又は複数の第1の図柄部(20)とを有する第1の側面と,
前記第1の側面に対向し,第2の基準面と一又は複数の第2の図柄部(30)とを有する第2の側面と,を含み,
前記第1の図柄部(20)は,前記第1の基準面よりも窪んでいる第1の凹部(21)と,前記第1の凹部内に設けられた第1の凸部(22)と,を有し,
前記第2の図柄部(30)は,前記第2の基準面より突出している第2の凸部(31)と,前記第2の凸部内に設けられた第2の凹部(32)と,を有するものであり,
前記第2の図柄部(30)における前記第2の凸部(31)及び前記第2の凹部(32)は,前記第1の図柄部(20)における前記第1の凹部(21)及び前記第1の凸部(22)に対し,面対称に設けられており,
前記衛生用紙収納カートン(100)の前記第1の側面の前記第1の図柄部(20)が,他の衛生用紙収納カートンの前記第2の側面の前記第2の図柄部(30)に係合するか,若しくは前記衛生用紙収納カートン(100)の前記第2の側面の前記第2の図柄部(30)が,他の衛生用紙収納カートンの前記第1の側面の前記第1の図柄部(20)に係合する
衛生用紙収納カートン。
請求項1又は2に記載の衛生用紙収納カートン(100)を搬送する方法であって,前記第1の図柄部(20)が設けられた前記第1の側面(13,14)を接地面として搬送する,方法。
【背景技術】
【0002】
従来から,ティッシュペーパー,キッチンペーパー,衛生用コットン等の衛生用紙を収納するカートンが知られている。衛生用紙収納カートンは,一般に略直方体の箱体であり,その内部空間に衛生用紙を収納するとともに,収納した衛生用紙を取り出すための取り出し口を天面に有している。使用者は,この取り出し口から衛生用紙を引き抜くことで,収納した衛生用紙を使用することができる。
【0003】
衛生用紙収納カートンの面には,外観によって他の商品との差別化を図ること等を目的として,文字,図形,模様等の図柄が施されることが一般的である。このようなカートンの一例として,特許文献1には,側面及び天面が全体として一つのまとまったデザインを構成する衛生用紙入りカートンが開示されている。また,特許文献2には,側面に図案化部が印刷されたティッシュペーパー用収納箱が開示されている。
【0004】
ところで,衛生用紙収納カートンの製造するに際しては,衛生用紙をカートン内に箱詰めした後に,これをベルトコンベア等の移送装置を介して包装装置に搬送する。そして,複数個のカートンを一組としてフィルムやビニール等によって包装した後,ダンボールに詰めて製品として出荷する。
【0005】
上記搬送工程では,カートンの側面が下となる姿勢で高さ方向に沿って搬送することが一般的である。これは,カートンは奥行きよりも高さの方が短いという特徴を有するために,底面が下となる姿勢で奥行き方向に沿って搬送するよりも,側面が下となる姿勢で高さ方向に沿って搬送する方が,搬送効率が向上するためである。このようなカートンの搬送方法として,例えば特許文献3に開示のティッシュペーパー製品の製造方法や,特許文献4に開示のティッシュカートンの搬送装置および方法が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら,衛生用紙収納カートンをその側面が下となる姿勢で搬送すると,側面の全面が接地面となる。そうすると,側面の接地面が多いために,接地面に対する側面の摩擦抵抗は大きい。このため,搬送工程で搬送速度の変化が加わると,カートンが転倒しやすいという不都合があった。特許文献1及び特許文献2に記載のカートンでは,デザインが印刷により構成されているために,側面の接地面は依然として多く,上記不都合を解決するのに十分とはいえなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで,本発明の発明者は,上記従来発明の問題点を解決する手段について鋭意検討した結果,カートンの側面に形成された図柄部に凹部を設けることで,側面の接地面を減らすことができ,接地面に対する摩擦抵抗を小さくすることができるという知見を得た。そして,本発明者は,上記知見に基づけば従来技術の課題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。
具体的に本発明は,以下の構成を有する。
【0009】
まず,本発明の第一側面は,衛生用紙の取出し口10を有する天面11と,天面11に対向する底面12と,天面11及び底面12に連接する一対の側面13,14及び一対の妻面15,16と,を有する衛生用紙収納カートン100に関する。
一対の側面13,14は,一又は複数の第1の図柄部20を有する第1の側面を含む。
第1の図柄部20は,第1の凹部21と,第1の凹部内に設けられる第1の凸部22と,を有する。ここで,第1の図柄部20においては,第1の凹部21を形成することによって,第1の凹部21以外の部分を第1の凸部22として形成することができる。
【0010】
上記のような構成を有することにより,本発明の第一側面では,第1の凹部の面積に応じて側面の接地面を減らすことができ,側面を接地させた姿勢でカートンを搬送した際の接地面に対する摩擦抵抗を小さくことができる。このため,側面を接地させた姿勢でカートンを搬送する際の,カートンの転倒を防止することができる。
【0011】
本発明の第一側面において,一対の側面13,14は,第1の側面に対向する第2の側面を更に含むことが好ましい。
第2の側面は,一又は複数の第2の図柄部30を有することが好ましい。また,第2の図柄部30は,第2の凸部31と,第2の凸部内に設けられる第2の凹部32と,を有することが好ましい。ここで,第2の図柄部30においては,第2の凸部31を形成することによって,第2の凸部31以外の部分を第2の凹部32として形成することができる。
【0012】
本好ましい形態では,第2の図柄部30における第2の凸部31及び第2の凹部32は,第1の図柄部20における第1の凹部21及び第1の凸部22に対し,例えば対称に設けられている。このような構成を有することにより,本発明の第一側面では,第2の図柄部30を設けた第2の側面を,第1の図柄部20を設けた第1の側面に係合させることができる。このため,カートンの搬送後,複数個のカートンを一組としてフィルム又はビニールによって包装する際に,第1の図柄部20を設けた第1の側面及び第2の図柄部30を設けた第2の側面が係合した複数列の状態でカートン100を包装することができる。
【0013】
本発明の第一側面において,第1の凸部22及び第2の凹部32のいずれか又は両方には,第1の側面及び第2の側面のいずれか又は両方と同一の色彩が施されていることが好ましい。また,第1の凹部21及び第2の凸部31のいずれか又は両方には,第1の側面及び第2の側面のいずれか又は両方と異なる色彩が施されていることが好ましい。
【0014】
本発明のカートン100では,第1の凹部21及び第2の凸部21が,第1の凸部22及び第2の凹部32と第1の側面及び第2の側面を隔てている。そこで,上記のような構成を有することにより,本発明の第一側面によれば,デザイン性及び意匠性に優れたカートンを提供することができる。
【0015】
次に,本発明の第二側面は,上記した衛生用紙収納カートン(100)を搬送する方法に関する。本発明の第二側面では,第1の図柄部20が設けられた第1の側面を接地面として搬送する。
【0016】
上記したように,本発明の衛生用紙収納カートンは,第1の側面に形成された第1の図柄部に凹部を設けることで,第1の側面の接地面を減らし,第1の側面の摩擦抵抗を小さくすることができる。そこで,本発明の第二側面では,第1の図柄部20が設けられた第1の側面を接地面としてカートンを搬送することで,搬送工程におけるカートンの転落を防止することができる。このため,カートンの搬送効率及び製造効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は,搬送工程における転倒を防止することができる衛生用紙収納カートンを提供することができる。また,本発明は,カートンの転落を防止することができる衛生用紙収納カートンの搬送方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。しかしながら,本発明は以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
【0020】
(1.衛生用紙収納カートンの構成)
図1を参照して,本発明の第一側面に係る衛生用紙収納カートン(以下,単にカートンともいう)100の構成を説明する。
図1は,本発明の衛生用紙収納カートンを示す斜視図である。
【0021】
衛生用紙収納カートン100は,面によって区画された内部空間に衛生用紙を収納するための略直方体の箱体である。
図1に示されるように,衛生用紙収納カートン100は,衛生用紙の取出し口10を有する天面11と,天面11に対向する底面12と,天面11及び底面12に連接する一対の側面13,14及び一対の妻面15,16と,を有する。各面は,稜線を介して連接している。なお,カートンを構成する材質は特に限定されない。カートンを構成する材質の例は,厚紙,木材パルプ,及び古紙である。
【0022】
衛生用紙収納カートン100に収納される衛生用紙は,原紙を2枚以上重ねたプライとされ,複数組のプライが折り重ねられた衛生用紙束としてカートン内部に収納されている。衛生用紙束は,一のプライが折り返され,その折り返されたプライの間に他のプライが挟み込まれ,他のプライが更に折り返されるという繰り返し構造となっている。このような繰り返し構造とすることで,最上層のプライが天面11の取り出し口10から引き出されると,これに伴って直下に位置する他のプライが取り出し口10へと引き出される。このようにして,プライを順次引き出すことが可能である(いわゆるポップアップ方式)。衛生用紙の例は,ティッシュペーパー,キッチンペーパー及び衛生用コットンである。
【0023】
図1に示す例では,天面11の一方の端縁から一対の上外フラップ15a,16aが稜線を介して延出しており,底面の一方の端縁から一対の下外フラップ15b,16bが稜線を介して延出している。この一対の上外フラップ15a,16a及び一対の下外フラップ15b,16bを接着することにより,一対の妻面15,16が形成されている。一対の妻面15,16には,一対の側面13,14から延出する内フラップが更に接着されても良い。
【0024】
図1に示されるように,一対の妻面15,16の下外フラップ15b,16bには,円弧状のミシン線17が設けられている。カートンを使用後に廃棄する際は,下外フラップ15b,16bをミシン線に沿って押し破り,挿入した指で上外フラップ15a,16aを下外フラップ15b,16bから引き剥がして解体を行うことができる。
【0025】
図1に示されるように,一対の側面13,14は,第1の図柄部20を有する第1の側面を含む。図柄部は,カートンの外観を表す図柄である。第1の図柄部20を有する第1の側面は,一対の側面13,14の両方に形成されても良いし,いずれか一方のみに形成されても良い。第1の側面を一対の側面13,14の両方に形成した場合,接地させる側面を選ぶことなくカートンを搬送できるという点で好ましい。
【0026】
第1の側面を一対の側面13,14の一方のみに形成した場合,一対の側面13,14は,第1の側面に対向する側面に,第2の図柄部30を有する第2の側面を更に含むことが好ましい。ここで,第2の図柄部30は,第2の凸部31と,第2の凸部31内に設けられる第2の凹部32を有することが好ましい。第2の図柄部30における第2の凸部31及び第2の凹部32は,第1の図柄部20における第1の凹部21及び第1の凸部22に対し,例えば対称に設けることができる。このような構成とすることで,第1の図柄部20を設けた第1の側面及び第2の図柄部30を設けた第2の側面が係合した,複数列の状態でカートンを包装することができる。この点については後述する。
【0027】
なお,後述するように,本発明のカートンは第1の側面に設けられた第1の凹部31の面積を利用して接地面に対する摩擦抵抗を減らすものである。このため,第1の側面が一対の側面13,14の一方のみに形成されていれば,第1の側面に対向する側面には,第1の柄部20及び第2の柄部30が形成されなくても良い。このような構成とすることで,第1の側面に対向する側面には凹部及び凸部を設ける必要がなくなるため,カートンのデザインの自由度を高めることができる。また,第1の側面が一対の側面13,14の一方のみに形成されていれば,第1の側面に対向する側面には,第1の柄部20及び第2の柄部30の組み合わせが形成されていても良い。
【0028】
第1の図柄部20は,一つであっても良いし,複数であっても良い。一つの第1の図柄部20を設ける場合,
図1及び
図2のように図柄の幅方向の寸法を長くしても良い。複数の図柄は,ほぼ同形状の図柄であっても良いし,形状の異なる図柄の組み合わせであっても良い。また,カートンの高さにあわせて複数列に図柄を形成しても良い。
【0029】
側面13,14に対する第1の図柄部20の相対位置は特に限定されないが,カートンは高さ方向に沿って搬送されるため,少なくとも側面13,14の高さにわたって第1の凹部21が設けられていることが好ましい。また,第1の図柄部20は,側面13,14の中央に位置するように設けられることが好ましい。このような構成とすることで,側面を接地させた姿勢でカートンを搬送する際の,側面に生じる摩擦を側面の中央に集めることができる。このため,搬送時にカートンがずれることを防止することができる。複数の第1の図柄部20を設ける場合には,側面の中心に第1の図柄部20を設けつつ,当該第1の図柄部20に隣接する第1の図柄部20を,例えば等間隔に設けても良い。
【0030】
後述する第1の凹部21及び第1の凸部22を構成できるものであれば,柄の種類については特に限定されない。柄の例は,図に示されるような花形,円形,多角形,及び星形である。
【0031】
(2−1.第1の図柄部の構成)
次に,
図2及び
図3を参照して,本発明の第1の図柄部20を詳しく説明する。
図2は,本発明の衛生用紙収納カートンの実施形態を示す側面図である。
図2に示す例では,第1の凹部21が罫線によって表されている。
図3(a)は,
図2のA−A断面図である。
図3(b)は,本発明の衛生用紙収納カートンを接地させた状態を示す概念図である。
【0032】
図2及び
図3に示されるように,側面13は,一つの第1の図柄部20を有している。従って,
図2及び
図3に示す例では,側面13が第1の側面となる。第1の図柄部20は,第1の凹部21と,第1の凸部22と,を有している。第1の凸部22は,第1の凹部21内に設けられている。すなわち,第1の凸部22は,第1の凹部21に周囲を囲まれるように形成されている。なお,第1の凸部22が第1の凹部21内に設けられていれば,第1の凸部22は複数であっても良い。また,第1の凹部21に対する第1の凸部22の相対位置は,特に限定されない。
【0033】
第1の凹部21は,第1の柄部20が設けられていない側面13a,13bを基準面としたときに,当該側面よりも窪んでいる部分である。第1の凹部21の底面の深さの例は,好ましくは0.01mmから0.1mmであり,より好ましくは0.01mmから0.05mmである。第1の凹部21は,側面13よりも紙の厚さが薄く成型された部分であっても良い。第1の凹部21の成型方法の例は,つぶし加工又はプレス加工である。プレス加工によって第1の凹部21を成型する場合は,第1の柄部20が設けられていない側面13a,13bを基準面としたときに,第1の凸部22の頂点面が,例えば当該側面13a,13bと一致するように成型すれば良い。すなわち,本発明のカートンでは,側面13に第1の凹部21を成型することによって,第1の凹部21以外の部分を第1の凸部22とすることができる。第1の凸部22の頂点面の高さの例は,好ましくは0.01mmから0.1mmであり,より好ましくは0.01mmから0.05mmである。
【0034】
上記のように第1の凹部21及び第1の凸部22を設けることで,本発明のカートンによれば,第1の凹部21の面積に応じて側面13,14の接地面が減らすことができる。具体的には,
図3(b)に示されるように,カートンの側面が接地する際は,第1の柄部20が設けられていない側面13a,13b及び第1の凸部22の頂点面のみを接地させることができる。このように,本発明のカートンによれば,側面を接地させた姿勢でカートンを搬送した際の,接地面に対する摩擦抵抗を小さくすることができる。このため,側面を接地させた姿勢でカートンを搬送する際の,カートンの転倒を防止することができる。
【0035】
第1の凸部22の頂点面は,基準面となる第1の柄部20が設けられていない側面13a,13bより低くても良い。このような構成とすることで,カートンの搬送時には,第1の柄部20が設けられていない側面13a,13bのみを接地させることができる。このため,第1の凸部22の面積も利用して,側面の接地面が減らすことができる。
【0036】
本発明の衛生用紙収納カートンは,上記のように第1の凹部21の面積を利用して,側面13,14の摩擦抵抗を小さくするものである。したがって,第1の凹部21は,側面13,14に対して所定の面積比を有することが好ましい。面積比の例は,好ましくは30%から60%であり,より好ましくは35%から50%であり,より好ましくは40%から45%である。
【0037】
また,上記のように第1の凹部21及び第1の凸部22を設けることで,カートンを包装するためのフィルム又はビニールは,第1の柄部20が設けられていない側面13a,13b,14a,14b及び第1の凸部22の頂点面にわたって封着される。このため,本発明のカートンによれば,フィルム又はビニールで包装する際の,突出部を設けることに起因する空気の混入を防ぐことができる。
【0038】
(2−2.第1の図柄部に関する他の実施形態)
次に,
図4及び
図5を参照して,本発明の第1の図柄部20に関する他の実施形態を説明する。
図4は,本発明の衛生用紙収納カートンの他の実施形態を示す側面図である。
図4に示す例では,複数の第1の凹部21が罫線によって表されている。
図5(a)は,
図4のB−B断面図である。
図5(b)は,本発明の衛生用紙収納カートンを接地させた状態を示す概念図である。
【0039】
図4及び
図5に示されるように,本実施形態における側面13は,複数の第1の図柄部20を有している。従って,
図4及び
図5に示す例では,側面13が第1の側面となる。なお,
図4に示す例では5つの第1の図柄部20が形成されているが,第1の図柄部20の数は特に限定されない。
【0040】
本実施形態のカートンには,第1の図柄部20が複数形成されているため,
図5(a)に示されるように,第1の凹部21及び第1の凸部22も複数形成されている。このため,本実施形態のカートンによれば,複数の第1の凹部21の面積の総和に応じてカートンの側面13,14の接地面を減らすことができる。具体的には,
図5(b)に示されるように,カートンの側面を接地させた際は,複数の第1の柄部20が設けられていない側面13a,13b,13c,13d,13e,13f及び複数の第1の凸部22の頂点面のみを接地させることができる。このように,本実施形態のカートンによれば,接地面に対する摩擦抵抗をより効率的に小さくすることができる。
【0041】
複数の第1の凸部22の頂点面は,基準面となる第1の柄部20が設けられていない側面13a,13b,13c,13d,13e,13fより低くても良い。このような構成とすることで,カートンの搬送時には,複数の第1の柄部20が設けられていない側面13a,13b,13c,13d,13e,13fのみを接地させることができる。このため,複数の第1の凸部22の面積も利用して,側面の接地面が減らすことができる。
【0042】
本実施形態の衛生用紙収納カートンは,上記のように複数の第1の凹部21の面積の総和を利用して,側面13,14の摩擦抵抗をより効率的に小さくするものである。したがって,複数の第1の凹部21は,側面13,14に対して所定の面積比を有することが好ましい。面積比例は,好ましくは40%から70%であり,より好ましくは45%から60%であり,より好ましくは50%から55%である。
【0043】
(3.衛生用紙収納カートンの好ましい形態の構成)
次に,
図6及び
図7を参照して,第1の図柄部20が設けられた側面に対向する側面が一又は複数の第2の図柄部30を有する,本発明の好ましい形態を説明する。
図6は,本発明の衛生用紙収納カートンの好ましい形態を示す側面図である。
図6に示す例では,第2の柄部20が設けられていない側面14及び第2の凹部31が,罫線によって表されている。
図7(a)は,
図6のC−C断面図である。
図7(b)は,本発明の衛生用紙収納カートンの好ましい形態を係合させた状態を示す概念図である。
図7(c)は,本発明の衛生用紙収納カートンの好ましい形態を係合させ包装した状態を示す図である。
【0044】
図6及び
図7に示されるように,本好ましい形態において,第1の図柄部20が設けられた側面13に対向する側面14は,一又は複数の第2の図柄部30を有している。従って,
図6及び
図7に示す例では,側面14が第2の側面となる。第2の図柄部30は,第2の凸部31と,第2の凹部32と,を有している。第2の凹部32は,第2の凸部31内に設けられている。すなわち,第2の凹部32は,第2の凸部31に周囲を囲まれるように形成されている。
【0045】
第2の凸部31は,第2の図柄部30が設けられていない側面14を基準面としたときに,当該側面14よりも頂点面が突出している部分である。第2の凸部31における頂点面の高さの例は,好ましくは0.01mmから0.1mmであり,より好ましくは0.01mmから0.05mmである。第2の凸部31は,側面14よりも紙の厚さが薄く成型された部分であっても良い。第2の凸部31の成型方法の例は,つぶし加工又はプレス加工である。プレス加工によって第2の凸部31を成型する場合は,第2の図柄部30が設けられていない側面14を基準面としたときに,第2の凹部32の窪みの底面が,例えば当該側面14と一致するように成型すれば良い。すなわち,本発明のカートンでは,側面14に第2の凸部31を成型することによって,第2の凸部31以外の部分を第2の凹部32とすることができる。第2の凹部32の底面の深さの例は,好ましくは0.01mmから0.1mmであり,より好ましくは0.01mmから0.05mmである。
【0046】
本好ましい形態では,
図7(a)に示されるように,第2の図柄部30における第2の凸部31及び第2の凹部32を,第1の図柄部20における第1の凹部21及び第1の凸部22に対し,例えば対称に設けることができる。具体的には,例えば一つの第1の図柄部20が側面13に設けられている場合は,該第1の図柄部20に対応する一つの第2の図柄部30を反対側面14に設ければ良い。また,例えば複数の第1の図柄部20が側面13に設けられている場合は,該複数の第1の図柄部20に対応する複数の第2の図柄部30を反対側面14に設ければ良い。
【0047】
上記のような構成を有することで,
図7(b)に示されるように,カートン100における第2の図柄部30を有する側面14は,他のカートン100’における第1の図柄部20’を有する側面13’に係合することができる。このため,
図7(c)に示されるように,カートンの搬送後,複数個のカートンを一組としてフィルム又はビニールによって包装する際に,第1の図柄部20’を設けた側面13’及び第2の図柄部30を設けた側面14が係合した複数列の状態で,カートンを包装することができる。
【0048】
なお,
図6及び
図7(a)からも明らかなように,第2の図柄部30における第2の凸部31は,側面14から突出している。このため,
図7(c)のような複数列の状態でカートンを包装する際は,第2の図柄部30に係合する第1の図柄部20’を有する側面13’を含む他のカートン100’において,当該側面13’に対向する側面14’に第2の図柄部を設けないことによって,あるいは当該反対側面14’に更に第1の図柄部を設けることによって,突出部を設けることに起因する空気の混入を防ぐことができる。
【0049】
(4.色彩)
本発明のカートンにおいて,第1の凸部22及び第2の凹部32のいずれか又は両方には,側面13,14と同一の色彩が施されていることが好ましい。また,第1の凹部21及び第2の凸部31のいずれか又は両方には,側面13,14と異なる色彩が施されていることが好ましい。
【0050】
図2,
図4及び
図6に示されるように,本発明のカートン100では,第1の凹部21及び第2の凸部31が,第1の凸部22及び第2の凹部32と側面13,14を隔てている。そこで,上記のような構成を有することにより,本発明によれば,デザイン性及び意匠性に優れたカートンを提供することができる。
【0051】
側面13,14と第1の凸部22及び第2の凹部32に施される色彩は,特に限定されない。当該色彩は,単一色であっても良いし,複数色の組み合わせであっても良い。側面13,14に複数色の色彩が施されている場合,第1の凸部22及び第2の凹部32に施される色彩は,側面13,14に施された複数色の色彩のうち少なくともいずれか一色と同一であれば良い。要するに,側面13,14と第1の凸部22及び第2の凹部32に施される「同一の色彩」とは,側面13,14と第1の凸部21及び第2の凹部31の視覚的一体性を認識させるものをいう。また,第1の凹部21及び第2の凸部31に施される「異なる色彩」とは,側面13,14と第1の凸部21及び第2の凹部31に施される色彩に対して,明度差の大きいもの,彩度差の大きいもの又は色相差の大きいものをいう。
【0052】
(5.衛生用紙収納カートンの搬送方法)
図8を参照して,本発明の第2の側面に係る衛生用紙収納カートンの搬送方法を説明する。
図8は,本発明の搬送方法を説明する概念図である。
【0053】
図8に示されるように,本発明の衛生用紙収納カートンの搬送方法は,上記した衛生用紙収納カートン100を,コンベア41を含む移送装置40によって搬送する方法である。
図8に示される例では,複数個のカートンが搬送方向Dに向かって搬送されている。ここで,本発明の搬送方法では,上記した衛生用紙収納カートン100における第1の図柄部20が設けられた側面13,14を接地面とする。
【0054】
上記したように,本発明の衛生用紙収納カートンは,側面に形成された図柄部に凹部を設けることで,側面の接地面を減らし,接地面に対する側面の摩擦抵抗を小さくする。そこで,本発明の第2の側面では,第1の図柄部20が設けられた側面を接地面として搬送することで,搬送工程におけるカートンの転落を防止することができる。このため,本発明の搬送方法によれば,カートンの搬送効率及び製造効率を向上させることができる。