特許第6111772号(P6111772)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6111772
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/00 20060101AFI20170403BHJP
   C09J 131/04 20060101ALI20170403BHJP
   C09J 133/26 20060101ALI20170403BHJP
   C09J 133/24 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   C09J133/00
   C09J131/04
   C09J133/26
   C09J133/24
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-58601(P2013-58601)
(22)【出願日】2013年3月21日
(65)【公開番号】特開2014-181331(P2014-181331A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2016年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
(74)【代理人】
【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】松田 揚子
(72)【発明者】
【氏名】岡松 隆裕
【審査官】 小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0133846(US,A1)
【文献】 特開平06−271780(JP,A)
【文献】 特公昭46−022112(JP,B1)
【文献】 特表2001−503465(JP,A)
【文献】 特開平06−009847(JP,A)
【文献】 特開平09−143446(JP,A)
【文献】 特開2008−239848(JP,A)
【文献】 特開2001−089731(JP,A)
【文献】 特開2007−326899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
C08K 3/00− 13/08
C08L 1/00−101/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量平均分子量が15,000〜35,000であるポリアクリルアミドと、
重量平均分子量が300,000〜1,000,000である高分子ポリマー(但し前記ポリアクリルアミドを除く。)とを含有し、
前記ポリアクリルアミドと前記高分子ポリマーとの質量比が5:100〜20:100であり、
前記高分子ポリマーが、アクリル系ポリマー及び/又はエチレン酢酸ビニル共重合体である、接着剤組成物。
【請求項2】
前記ポリアクリルアミドを構成するモノマーが、アクリルアミド及び/又はN,N−ジメチルアクリルアミドである請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
更に硬化剤を含有する請求項1又は2に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
前記硬化剤の量は、前記ポリアクリルアミド(固形分)と前記高分子ポリマー(固形分)との合計100質量部に対して、1〜20質量部である請求項に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
更に水を含有する請求項1〜のいずれかに記載の接着剤組成物。
【請求項6】
ドライラミネーションに使用される請求項1〜のいずれかに記載の接着剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レトルトパウチのような、性質の異なるフイルムを貼り合わせる技術として例えば、ドライラミネーションが使用されている。ドライラミネーションは、接着剤を有機溶剤で適当な粘度に希釈してフイルムに塗布し、乾燥後もう一方のフイルムと圧着して貼り合わせる方法である。ドライラミネーションには、接着剤を有機溶剤で希釈する一般的な方法のほか、最近ではエマルジョンタイプ(水の中に接着剤を分散した水性タイプ)がある。またウレタン系接着剤組成物として例えば特許文献1が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−221423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、本願発明者は従来の接着剤組成物は接着性が低いことを見出した。
そこで、本発明は接着性に優れる接着剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、重量平均分子量が15,000〜35,000であるポリアクリルアミドと、重量平均分子量が300,000〜1,000,000である高分子ポリマー(但し前記ポリアクリルアミドを除く。)とを含有し、前記ポリアクリルアミドと前記高分子ポリマーとの質量比が5:100〜20:100である組成物が接着性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は、下記1〜7を提供する。
1. 重量平均分子量が15,000〜35,000であるポリアクリルアミドと、
重量平均分子量が300,000〜1,000,000である高分子ポリマー(但し前記ポリアクリルアミドを除く。)とを含有し、
前記ポリアクリルアミドと前記高分子ポリマーとの質量比が5:100〜20:100である、接着剤組成物。
2. 前記ポリアクリルアミドを構成するモノマーが、アクリルアミド及び/又はN,N−ジメチルアクリルアミドである上記1に記載の接着剤組成物。
3. 前記高分子ポリマーが、アクリル系ポリマー及び/又はエチレン酢酸ビニル共重合体である上記1又は2に記載の接着剤組成物。
4. 更に硬化剤を含有する上記1〜3のいずれかに記載の接着剤組成物。
5. 前記硬化剤の量は、前記ポリアクリルアミド(固形分)と前記高分子ポリマー(固形分)との合計100質量部に対して、1〜20質量部である上記4に記載の接着剤組成物。
6. 更に水を含有する上記1〜5のいずれかに記載の接着剤組成物。
7. ドライラミネーションに使用される上記1〜6のいずれかに記載の接着剤組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明の接着剤組成物は接着性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明について以下詳細に説明する。
本発明の接着剤組成物は、
重量平均分子量が15,000〜35,000であるポリアクリルアミドと、
重量平均分子量が300,000〜1,000,000である高分子ポリマー(但し前記ポリアクリルアミドを除く。)とを含有し、
前記ポリアクリルアミドと前記高分子ポリマーとの質量比が5:100〜20:100である、接着剤組成物である。
【0009】
本発明の接着剤組成物は、特定の範囲の重量平均分子量を有するポリアクリルアミドと、高分子ポリマー(但し前記ポリアクリルアミドを除く。)とを特定の量比で含有することによって、従来のウレタン系ドライラミネート用接着剤より高い接着力を有する。
【0010】
ポリアクリルアミドについて以下に説明する。本発明の接着剤組成物に含有されるポリアクリルアミドは、アミド基又はアミド結合(−CO−N−R2)を有し、主鎖がアクリル樹脂である。−CO−N−R2で表されるアミド結合は、式中(−CO−N−R2)、Rは水素原子又は炭化水素基を表し、2つのRは同じでも異なってもよい。2つのRが水素原子である場合は除かれる。Rとしては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの組み合わせが挙げられる。
ポリアクリルアミドは単独重合体、共重合体のいずれであってもよい。共重合体である場合、モノマーとして(メタ)アクリルアミド系モノマー以外のビニル性化合物を使用することができる。
【0011】
本発明において、ポリアクリルアミドの重量平均分子量は15,000〜35,000であり、破壊モードが適正となり接着性により優れ、基材との濡れが高いという観点から、15000〜30000であるのが好ましく、17000〜30000であるのがより好ましい。
【0012】
ポリアクリルアミドはその製造について特に制限されない。例えば、水中で重合開始剤の存在下で(メタ)アクリルアミド系モノマーを重合(水溶液重合)させることによって製造することができる。
(メタ)アクリルアミド系モノマーは、アミド基又はアミド結合とビニル重合性基とを有する化合物であれば特に制限されない。
ビニル重合性基としては、例えば、CH2=CR−(Rは水素原子又はメチル基)が挙げられる。
アミド基又はアミド結合とビニル重合性基とは単結合で又は有機基を介して結合することができる。有機基としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有してもよい炭化水素基が挙げられる。炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの組み合わせが挙げられる。炭化水素基は、鎖状、分岐状のいずれでもよく、不飽和結合を有してもよい。
ポリアクリルアミドを構成するモノマー[(メタ)アクリルアミド系モノマー]としては、例えば、接着性により優れ、粘度が低いという観点から、アクリルアミド、アミドの窒素原子が上記Rで置換されたアクリルアミド(例えば、N−モノ又はジアルキル置換アクリルアミド)が好ましく、アクリルアミド及び/又はN,N−ジメチルアクリルアミドであるのがより好ましい。
【0013】
ポリアクリルアミドを製造する際に使用される重合開始剤としては、例えば、親水性重合開始剤が挙げられ、具体的には例えば、過硫酸アンモニウム及び/又はアゾビスシアノ吉草酸が挙げられる。重合開始剤の量は従来公知の量とすることができる。
重合開始剤は、接着性により優れ、ポリマーに親水性を与え被着体への濡れ性に優れるという観点から、過硫酸アンモニウム、過酸化カリウムが好ましい。
ポリアクリルアミドの製造としては例えば、水に(メタ)アクリルアミド系モノマー、重合開始剤を入れ50〜80℃の条件において撹拌しながら重合させることによって製造することができる。
得られた水溶液をそのままポリアクリルアミドとして使用することができる。
【0014】
ポリアクリルアミドとして、ポリアクリルアミドの水溶液を使用するのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
ポリアクリルアミドが水溶液である場合、ポリアクリルアミドの量(固形分)は、接着性により優れ、被着体への濡れ性に優れるという観点から、当該水溶液の5〜40質量%であるのが好ましく、10〜25質量%であるのがより好ましい。
必要に応じて水分を除去又は添加することができる。
ポリアクリルアミドはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0015】
高分子ポリマーについて以下に説明する。本発明の接着剤組成物に含有される高分子ポリマーは、重量平均分子量が15,000〜35,000であるポリアクリルアミドを除き、特に制限されない。例えば、アクリル系ポリマー、エチレン酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂、酢酸ビニルポリマーが挙げられる。
高分子ポリマーの構造は、接着性により優れ、被着体への濡れ性に優れるという観点から、アクリル系ポリマー及び/又はエチレン酢酸ビニル共重合体であるのが好ましい。本発明において、アクリル系ポリマーからポリアクリルアミドを除くことができる。
【0016】
本発明において、高分子の重量平均分子量は、300,000〜1,000,000であり、接着性により優れ、接着耐久性に優れるという観点から、400000〜1000000であるのが好ましく、500000〜1000000であるのがより好ましい。
【0017】
高分子ポリマーとして、高分子ポリマーと水とを含有し、該高分子ポリマーを分散質(エマルジョン粒子)とし、該水を分散媒(連続相)とする分散系(エマルジョン)を使用することができる。
高分子ポリマーはその製造について特に制限されない。また高分子ポリマーとして市販品を使用することができる。
高分子ポリマーはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0018】
本発明において、ポリアクリルアミド(固形分)と高分子ポリマー(固形分)との質量比は、5:100〜20:100であり、接着性により優れ、接着耐久性に優れるという観点から、5:100〜15:100であるのが好ましく、7:100〜15:100であるのがより好ましい。
【0019】
本発明の接着剤組成物は、接着性により優れ、接着耐久性に優れるという観点から、更に硬化剤を含有するのが好ましい。硬化剤は、ポリアクリルアミド、高分子ポリマーに対して使用される硬化剤である、又は、基材と反応及び/若しくは相互作用することができる化合物であるのが好ましい態様として挙げられる。硬化剤は、例えば、イソシアネート基、アルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。官能基は有機基を介して結合することができる。有機基は上記と同義である。
【0020】
硬化剤としては、ポリイソシアネート、が挙げられる。ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネートのような脂肪族ポリイソシアネート;ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI、トルエンジイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。
硬化剤はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0021】
硬化剤の量は、接着性により優れ、接着耐久性に優れるという観点から、ポリアクリルアミド(固形分)と高分子ポリマー(固形分)との合計100質量部に対して、1〜20質量部であるのが好ましく、2〜10質量部であるのがより好ましい。
【0022】
本発明の接着剤組成物は更に水を含有することができる。水の量は、組成物全体中の30〜60質量%とすることができる。
【0023】
本発明の接着剤組成物は、上記成分以外に、本発明の目的、効果を損なわない範囲で、必要に応じてさらに添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、タッキファイヤー、充填剤、顔料、ブロッキング防止剤、分散安定剤、揺変剤、粘度調節剤、レベリング剤、ゲル化防止剤、光安定剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、補強材、難燃剤、触媒、消泡剤、増粘剤、分散剤、界面活性剤、レオロジー調整剤が挙げられる。添加剤の量は、特に制限されない。
本発明の接着剤組成物は完全無溶剤型(完全無有機溶剤型)、環境対応型とすることができる。
【0024】
本発明の接着剤組成物はその製造について特に制限されない。例えば、高分子ポリマーのエマルジョンとポリアクリルアミド(水溶液であってもよい)とを均一に混合して、高分子ポリマーとポリアクリルアミドとを含有する第1液(主剤)を製造し、硬化剤を含有する第2液を製造して、使用時に第1液と第2液とを混合することによって製造することができる。
【0025】
本発明の接着剤組成物を適用することができる基材としては、例えば、ドライラミネーションに使用される基材が挙げられ、具体的には例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン(延伸ポリプロピレン)、ポリエチレン、ポリイミド、ナイロンのようなポリマー;アルミニウムのような金属が挙げられる。
本発明の接着剤組成物を基材に適用する方法は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
本発明の接着剤組成物を適用する塗布工程のあと、必要に応じて乾燥工程を設けることができる。乾燥工程における乾燥温度は30〜100℃とすることができる。乾燥方法は特に制限されない。
乾燥工程後、必要に応じて基材を養生させ、その後、接着剤組成物を塗布した基材と別の基材を貼りあわせて積層体とし、これを20〜60℃又は20〜80℃、0.5〜3MPa又は0.05〜3MPaの条件下でプレスして、基材を接着させるプレス工程を設けることができる。
【0026】
本発明の接着剤組成物の用途としては、例えば、ドライラミネーション用接着剤、プロファイルラッピング用が挙げられる。
【実施例】
【0027】
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
<ポリアクリルアミドの製造>
・重合例1〜8
下記第1表に示す成分を同表に示す量(モル比)で用い、これらを水100mlに加え、60℃の条件下で6時間反応させ、6時間後反応を停止して、ポリアクリルアミドを製造した。得られた反応液は、ポリアクリルアミドが水に溶解している、ポリアクリルアミドの水溶液であった。
(ポリアクリルアミドの重量平均分子量の測定)
得られたポリアクリルアミドの水溶液についてジメチルフォルムアミド(DMF)を溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリスチレン換算によってポリアクリルアミドの重量平均分子量を得た。結果を第1表に示す。
<ウレタンプレポリマーの製造>
・重合例9〜12
下記第1表に示す成分を同表に示す量(モル比)で用い、これらを70℃の条件下で6時間反応させ、ウレタンプレポリマーを製造した。
(ウレタンプレポリマーの重量平均分子量の測定)
得られたウレタンプレポリマーについて、DMFを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定し、標準ポリスチレン換算によって重量平均分子量を得た。結果を第1表に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
第1表に示す各成分の詳細は以下のとおりである。
・アクリルアミド:和光純薬社製
・N,N−ジメチルアクリルアミド:和光純薬社製
・アゾビスシアノ吉草酸:和光純薬社製
・過硫酸アンモニウム:和光純薬社製
・水添XDI:水添キシリレンジイソシアネート、試薬、和光純薬社製
・PPG400:ポリプロピレングリコール、試薬、和光純薬社製、分子量400
・PPG1000:ポリプロピレングリコール、試薬、和光純薬社製、分子量1000
【0030】
<接着剤組成物の製造>
・主剤の製造
下記第2表に示す主剤の成分を同表に示す量(単位は質量部。主剤の量は固形分量である。)で使用し、これらを均一に混合して接着剤組成物の主剤を製造した。
・主剤と硬化剤との混合
上記のとおり製造された主剤100質量部に対して、下記第2表に示す硬化剤の成分を同表に示す量(単位は質量部。固形分量)で使用し、主剤と硬化剤とを均一に混合して接着剤組成物を製造した。
【0031】
<評価>
上記のとおり製造された接着剤組成物について、接着性を下記の方法で評価した。結果を第2表に示す。
・積層体の製造
まず、厚さ40μmのポリエチレンテレフタレート(PET)を2枚準備し、そのうちの1枚に、上記のとおり製造された接着剤組成物をNo.30バーコーターで塗布し、100℃の条件下で5分間乾燥させ、乾燥後3時間置いた。3時間経過後、接着剤組成物を塗布したPETにもう1枚のPETを貼りあわせて積層体とし、これを80℃、0.05MPaの条件下で3分間プレスした。
・剥離強度の測定
プレス後積層体を幅25mmの短冊状に切って、これを用いて常温にて引張試験機を用いて200mm/分の剥離速度でT型剥離での剥離強度を測定した。
剥離強度が1.1kg/25mm以上である場合、接着性に優れる。
・破壊モードの確認
また剥離強度測定後の積層体の破壊モードを目視で確認した。CFは接着剤層の凝集破壊を示し、AFは接着剤層と基材との界面破壊を示す。
破壊モードがCFである場合、接着性に優れる。
【0032】
【表2】
【0033】
第2表に示されている各成分の詳細は以下のとおりである。
・アクリルエマルジョン ビニブラン5202C:アクリル系エマルジョン、日信化成社製、表中の分子量は当該エマルジョンに含有されるアクリル樹脂の重量平均分子量である。
・EVAエマルジョン スミカフレックス400:エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン、住友化学社製、表中の分子量は当該エマルジョンに含有されるエチレン酢酸ビニル共重合体の重量平均分子量である。
・ウレタンエマルジョン ハイドランAP−40:DIC社製、表中の分子量は当該エマルジョンに含有されるポリウレタンの重量平均分子量である。
・AD−502:東洋モートン社製、ポリウレタン系接着剤の主剤(ケトン系溶剤を含む溶剤型)
・ポリアクリルアミド:上記のとおり製造例1〜8で製造されたポリアクリルアミド
・ウレタンプレポリマー:上記のとおり製造例9〜12で製造されたウレタンプレポリマー
・スミジュール44V10:ポリメリックMDI、スミカバイエルウレタン社製、ポリアクリルアミド又はウレタンプレポリマー用硬化剤として使用。
・CAT10L:東洋モートン社製、ポリウレタン系硬化剤(ケトン系溶剤を含む溶剤型)
【0034】
第2表に示す結果から明らかなように、溶剤系ポリウレタンの接着剤を使用する比較例12は接着力が0.6kg/25mmと低く接着性が悪かった。重量平均分子量が300,000未満の高分子ポリマーを含有する比較例1は接着性が低かった。ポリアクリルアミドを含有しない比較例2、ポリアクリルアミドの量が高分子ポリマー100質量部に対して、5質量部未満の比較例3、20質量部を超える比較例4、5は接着性が低かった。重量平均分子量が15,000未満又は35,000を超えるポリアクリルアミドを含有する比較例6、7は接着性が低かった。ポリアクリルアミドの代わりにウレタンプレポリマーを含有する比較例8〜11は接着性が低かった。
これに対して、実施例1〜14は、接着力が高く、破壊モードが適正であり、接着性に優れる。