(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6111804
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 2/10 20060101AFI20170403BHJP
【FI】
H01M2/10 M
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-77023(P2013-77023)
(22)【出願日】2013年4月2日
(65)【公開番号】特開2014-203582(P2014-203582A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104732
【弁理士】
【氏名又は名称】徳田 佳昭
(74)【代理人】
【識別番号】100115554
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 幸一
(72)【発明者】
【氏名】長澤 誠治
(72)【発明者】
【氏名】堤 拓也
【審査官】
田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平01−187761(JP,A)
【文献】
特開昭57−076750(JP,A)
【文献】
実開平01−179357(JP,U)
【文献】
特開2003−168409(JP,A)
【文献】
特開2007−194035(JP,A)
【文献】
特開2004−227954(JP,A)
【文献】
特開2003−019569(JP,A)
【文献】
特開2012−186058(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/016441(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 2/20 − 2/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池と、
前記電池に接続される第一リード板と、
中継リード板と、
前記第一リード板に前記中継リード板を介して接続される第二リード板とを備える電池パックにおいて、
前記第一リード板及び前記第二リード板は、前記中継リード板のそれぞれ異なる位置でスポット溶接によって接続されており、さらに、前記中継リード板の厚みは、前記第一リード板及び前記第二リード板の厚みよりも薄く形成されており、
前記第一リード板及び前記第二リード板の厚みは、1.0mm〜2.0mmであり、前記中継リード板の厚みは、0.1mm〜0.3mmであることを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記第一リード板には、前記第一リード板の表面から突出する凸部が形成されており、前記凸部上に前記中継リード板が配置され、スポット溶接によって接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池と電気的に接続された導電部材を備えた電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電池をケースに収納する電池パックは、ケースの外形を小さくしながら、充放電できる容量を大きくすることが大切である。さらに、多数の電池を収納する電池パックは、電池の電流や電圧を検出して、充放電を制御する保護回路を実装している保護回路を内蔵していることによって、この電池パックは、安全性を向上させることができる。また、この回路基板は、電気特性を低下させる条件では、電池の充放電を制御することによって、電池の寿命を長くできる。
【0003】
たとえば、特許文献1の電池パックに用いられる保護回路基板は、電池に流れる電流を検出して、閾値以上の過電流が流れることを防止する機能及び充放電された電流の積算値を処理して残容量を演算する機能を備えている。電池パックは、電池の電流を検出するため電流検出抵抗器を内蔵しており、電流検出抵抗器の両端に誘導される電圧から電池の充電電流及び放電電流を検出している。特許文献1の電池パックは、保護回路基板に電流検出抵抗器を固定しており、複数の電池と保護回路基板と電流検出抵抗器とを備えた電池パックが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−218011
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電流検出抵抗器とリード板との接続構造は、電流検出抵抗器に設けられた貫通孔とリード板に設けられた貫通孔とが、ネジによって貫通され、ネジとナットによる締結によって電気接続が図られており、このネジとナットの締結による電気接続は、電流検出抵抗器の厚み方向における寸法が大きくなるという課題があった。
【0006】
さらに、高出力の電池パックにおいては、出力ラインにおける電気抵抗を低減するためリード板の厚みが厚くなり、電流検出抵抗器とリード板とのスポット溶接を行う場合、スポット電流による熱がリード板によって分散されるため、電流検出抵抗器とリード板とが当接する溶接箇所における溶接熱の温度が低下し、電流検出抵抗器とリード板との溶接強度が低下するという課題があった。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題点を解決するために成されたものであり、電流検出抵抗器とリード板との接続を省スペースで行いながら、溶接強度の低下を抑制する電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電池パックは、電池と、電池に接続される第一リード板と、中継リード板と、第一リード板に中継リード板を介して接続される第二リード板とを備える電池パックにおいて、前記第一リード板及び前記第二リード板は、前記中継リード板のそれぞれ異なる位置でスポット溶接によって接続されており、さらに、中継リード板の厚みは、第一リード板及び第二リード板の厚みよりも薄く形成されて
おり、さらにまた、第一リード板及び第二リード板の厚みは、1.0mm〜2.0mmであり、中継リード板の厚みは、0.1mm〜0.3mmである。
【0010】
さらに、本発明の電池パックは、第一リード板には、第一リード板の表面から突出する凸部が形成されており、凸部上に中継リード板が配置され、スポット溶接によって接続されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電池パックでは、第一リード板及び第二リード板よりも厚みが薄く形成された中継リード板が、それぞれ第一リード板と第二リード板と中継リード板の異なる位置でスポット溶接され、中継リード板を介して第一リード板と第二リード板とが接続されることによって、第一リード板と第二リード板との接続を省スペースな構造で、十分な溶接強度を得ることができる。
【0012】
また、本発明の電池パックでは、第一リード板及び第二リード板の厚みは、1.0mm〜2.0mmであり、中継リード板の厚みは、0.1mm〜0.3mmであることによって、出力ラインにおける電気抵抗を低減しつつ、また、第一リード板と中継リード板とを並びに第二リード板と中継リード板とをスポット溶接を行うことで、適切な溶接強度を確保することができる。
【0013】
さらに、第一リード板の端部に設けられた凸部は、中継リード板との接触面積を小さくすることで、スポット電流が通電する際の抵抗が大きくなり、発熱量が大きくなるため第一リード板と中継リード板とが確実に接着される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施例における電池パックの斜視図である。
【
図2】本発明の実施例における電池パックの分解斜視図ある。
【
図3】本発明の実施例における電池コアパックの斜視図である。
【
図4】本発明の実施例における電流検出抵抗器と電流検出抵抗器に接続される部材を示した斜視図である。
【
図5】本発明の実施例における電流検出抵抗器と電流検出抵抗器に接続される部材との断面図である。
【
図6】本発明の他の実施例における電流検出抵抗器と電流検出抵抗器に接続される部材との断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための電池パックを例示するものであって、本発明の電池パックを以下のものに特定するものではない。
【0016】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための電池パックを例示するものであって、部材の名称や形状、寸法、材質等を記載しているが、本発明は電池パックを以下のものに特定しない。特に、以下の記載においては、第一リード板及び第二リード板の名称は使用せず本実施例においては、第一リード板は電流検出抵抗器であり、第二リード板は入力端子であるため、発明を実施するための形態の説明においては、電流検出抵抗器及び入力端子の名称を使用するが、第一リード板を電流検出抵抗器及び第二リード板を入力端子として限定するものでは無い。第一リード板がヒューズ素子やブレーカの接続リード板であっても良く、第二リード板がリード板であっても良い。
【0017】
<電池パック1の構成>
本発明の電池パック1は、主としてサーバー等に装着されて、非常時におけるサーバーへのバックアップ用の電源として利用される。ただし、本発明は、電池パック1の用途を特定するものではなく、高出力が要求される用途としてあるアシスト自転車、電動バイク、電動車椅子等の動力用や電動工具等の種々の電気機器用の電源として使用することもできる。
【0018】
図1及び
図2に示される本発明の電池パック1は、主としてサーバーの機器本体に装着されて、非常時におけるバックアップ用の電源として電力を供給する。本発明の電池パック1は、電池2と、複数の電池2を収納する電池ホルダ5と、複数の電池2を多直列多並列に接続してなる複数の端子リード板6と、端子リード板6にリードピン41を介して接続される回路基板4と、入力側となる端子リード板6に接続される電流検出抵抗器7と、中継リード板8を介して電流検出抵抗器7に接続される入力端子9とを備えた電池コアパック1Aが一対のケース3に収納されて構成されている。
【0019】
図2に示すように、電池2は、両端にそれぞれ異なる電極を設けた円筒形のリチウムイオン二次電池としているが、例えば角形形状のリチウムイオン二次電池とすることもできる。また、電池2はリチウムイオン二次電池を用いているが、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等の充電できる全ての電池とすることができる。
【0020】
図2に示すように、一対の電池ホルダ5からなる電池ホルダ5ユニットによって電池保持筒が形成され、この電池保持筒に複数の電池2が互いに平行な姿勢で配置されている。また、電池ホルダ5には、16本の電池2が2段8列となるように配置されている。さらに、電池ホルダ5は、配置された電池2の両端に設けられた電極を表出させており、この電池2の電極に端子リード板6が接続され、電池ホルダ5に16本の電池2を8直列2並列となるように構成されている。端子リード板6は、9枚使用されている。また、電池2の電極に接続された端子リード板6は、リードピン41を介して保護回路を実装する回路基板4に接続されている。また、回路基板4には、電流検出抵抗器7のシャント抵抗73に接続された一対の電圧検出配線75が接続されている。回路基板4は、電池コアパック1Aの側面に絶縁紙42を介して配置されている。
【0021】
図2及び
図3に示すように、16本の電池2を8直列2並列となるように接続して構成された電池コアパック1Aにおける入力側の端子リード板6の一端部に設けられた端子リード板入力部61が、電池コアパック1Aの一側面に配置されている。さらに、端子リード板入力部61が、電流検出抵抗器一端部71上に配置されて、スポット溶接によって、端子リード板入力部61と電流検出抵抗器一端部71とが接続されている。さらに、電流検出抵抗器他端部72と中継リード板8の一端部とがスポット溶接によって接続され、中継リード板8の他端部が入力端子入力部91と接続されている。すなわち、電流検出抵抗器7及び入力端子9は、中継リード板のそれぞれ異なる位置でスポット溶接によって接続されている。また、電池コアパック1Aがケース3に収納された状態で、入力端子9に設けられた外部入力端子92がケース3より表出するように配置された構成によって、外部入力端子92が外部機器との接続を行うことができる機能を備えている。
【0022】
また、
図3に示すように、電池コアパック1Aにおける出力側の端子リード板の一端部に設けられた端子リード板出力部62が、電池コアパック1Aの一側面に配置されている。さらに、端子リード板出力部62が、ヒューズ素子11の入力側端子に配置されて、スポット溶接によって、端子リード板出力部62とヒューズ素子11の入力側端子とが接続されている。また、ヒューズ素子11の出力側端子は、出力端子10に接続されている。また、電池コアパック1Aがケース3に収納された状態で、出力端子10に設けられた外部出力端子101がケース3より表出するように配置された構成によって、外部出力端子
101が外部機器との接続を行うことができる機能を備えている。
【0023】
図4に示すように電流検出抵抗器7は、長尺状をしており、実施例においては、縦寸法がおよそ15mm、横寸法がおよそ55mm、厚みがおよそ1.5mmである。また、材料としては、本実施例においては、ニッケル・銅合金を含んだ材料を用いているが、他にマンガン・銅合金を含んだ材料やニッケル・クロム合金を含んだ材料等を電流検出抵抗器7の抵抗体とすることも可能である。また、電流検出抵抗器7は、電流検出抵抗器7の内部に設けられたシャント抵抗73の両端に一対の検出用孔74が設けられており、一対の検出用孔74にそれぞれ電圧検出配線75を配置し、シャント抵抗73を接続している。
【0024】
また、
図4に示すように電流検出抵抗器一端部71上には、入力側の端子リード板6の一端部に設けられた端子リード板入力部61が配置されて、スポット溶接によって電流検出抵抗器一端部71と入力側の端子リード板入力部61とが接続されている。
【0025】
図4及び
図5に示す中継リード板8は、実施例においては、縦寸法がおよそ11.
0mm、横寸法がおよそ8.0mm、厚み寸法がおよそ0.15mmの平面視四角形状の薄板の銅板である。入力端子9は、厚み寸法が1.0mmの銅板であり、入力端子9は、中継リード板8と接続される平面視四角形の形状をした入力端子入力部91を備えており、この入力端子入力部91の端部から入力部表面に直交するように起立した長尺状の外部入力端子92が形成されている。
図5に示す入力端子9は、縦がおよそ1.4mm、横がおよそ1.0mmの四角形状の入力端子入力部91と、縦がおよそ10.0mm、横がおよそ30.0mmの外部入力端子とからなる。
【0026】
図6に示す他の実施例として、電流検出抵抗器他端部72には、電流検出抵抗器7の表面より突出した上面視円形状(図示せず)の凸部76が設けられえており、この電流検出抵抗器7の凸部76上に中継リード板8の一端部が配置されて、スポット溶接によって電流検出抵抗器7の凸部76と中継リード板8の一端部とが接続されている。この電流検出抵抗器7の凸部76は、中継リード板8との接触面積を小さくすることで、スポット電流が通電する際の抵抗が大きくなり、発熱量が大きくなるため電流検出抵抗器7と中継リード板8とが確実に接着される。また、中継リード板8の他端部が入力端子入力部91上に配置されて、スポット溶接によって中継リード板8の他端部と入力端子入力部91とが接続されている。他の実施例においては、電流検出抵抗器7の凸部76が1つ設けられているが、複数であっても良い。
【0027】
従来の中継リード板8を用いない構成においては、電流検出抵抗器7と入力端子9との接続構造について、電流検出抵抗器他端部72上に入力端子9の入力端子入力部91を配置し、入力端子入力部91上に電極棒を配置しスポット溶接を行う場合、入力端子入力部91の厚みがおよそ1.0mmと厚いため、無効電流が大きくなる。また、スポット電流による熱が、厚い入力端子入力部91によって分散されるため、電流検出抵抗器7と入力端子入力部91とが当接する溶接箇所における溶接熱の温度が低下し、電流検出抵抗器7と入力端子入力部91との溶接強度が低下する。また、従来のネジとナットを使用した接続では、電流検出抵抗器7の厚み又は入力端子入力部91の厚みに対して、さらに、ネジとナットとの厚みが合わせられた寸法となるため、電流検出抵抗器7の厚み方向における寸法が大きくなる。中継リード板8を介して電流検出抵抗器7と入力端子9との接続を行うことで、このような課題を解決することができる。
【0028】
さらに、
図5及び
図6に示すように、本実施例の構造では、電流検出抵抗器7及び入力端子9は、中継リード板8のそれぞれ異なる位置でスポット溶接によって接続されているため、電流検出抵抗器7の厚みと中継リード板8の厚みとが加算された寸法が導電部材における最大厚みとなる。中継リード板8の厚みは、電流検出抵抗器7及び入力端子9の厚
みよりも薄く形成されているため、電流検出抵抗器7と入力端子9とを積層した構成における最大厚みよりも薄くなるという効果を備えている。
【0029】
なお、本実施例の電池パックの端子入力部61、端子出力部62、入力端子9、入力端子入力部91、外部入力端子92、出力端子10、外部出力端子101は、放電時における出力側、入力側を意図して名称を明記した。よって、充電時においては、電池パックの端子入力部61、端子出力部62、入力端子9、入力端子入力部91、外部入力端子92、出力端子10、外部出力端子101は、出力側が入力側に、入力側が出力側に入れ替わることとなる。
【符号の説明】
【0030】
1…電池パック
1A…電池コアパック
2…電池
3…ケース
4…回路基板
41…リードピン
42…絶縁紙
5…電池ホルダ
6…端子リード板
61…端子リード板入力部
62…端子リード板出力部
7…電流検出抵抗器
71…電流検出抵抗器の一端部
72…電流検出抵抗器の他端部
73…シャント抵抗
74…検出用孔
75…電圧検出配線
76…凸部
8…中継リード板
9…入力端子
91…入力端子入力部
92…外部入力端子
10…出力端子
101…外部出力端子
11…ヒューズ素子