特許第6111815号(P6111815)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6111815
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】管理装置及び無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 8/26 20090101AFI20170403BHJP
   H04W 4/04 20090101ALI20170403BHJP
【FI】
   H04W8/26 110
   H04W4/04 190
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-89735(P2013-89735)
(22)【出願日】2013年4月22日
(65)【公開番号】特開2014-216671(P2014-216671A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2015年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 和紀
(72)【発明者】
【氏名】秋定 征世
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 康樹
【審査官】 三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/038922(WO,A1)
【文献】 特開2011−172029(JP,A)
【文献】 特開2011−244102(JP,A)
【文献】 特開2012−213125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無線通信ネットワークと、該第1無線通信ネットワークに参入するために必要な機器情報の設定を無線デバイスに行うために用いる第2無線通信ネットワークとの管理を行う管理装置において、
前記機器情報の設定を行う必要のある無線デバイスである要設定無線デバイスに割り当てるべきアドレスを予め格納する格納部と、
前記第2無線通信ネットワークに参入する前記要設定無線デバイスと通信するための前記第1無線通信ネットワークを介した経路を予め確立しておくとともに、前記第2無線通信ネットワークに参入した前記要設定無線デバイスに対し、前記経路を介した通信を行って前記格納部に格納されている前記アドレスの割り当てを行う管理部と
を備えることを特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記格納部は、前記要設定無線デバイスに割り当てるべきアドレスと、該アドレスが利用可能であるか否かを示すフラグとが対応付けられたアドレス管理テーブルを格納しており、
前記管理部は、前記アドレス管理テーブルを参照して利用可能である旨を示すフラグが対応付けられているアドレスの割り当てを行うとともに、該アドレスに対応付けられたフラグを利用不可である旨を示すものに変更する
ことを特徴とする請求項1記載の管理装置。
【請求項3】
前記管理部は、前記第2無線通信ネットワークに参入した前記要設定無線デバイスに対する前記機器情報の設定が完了した場合には、前記要設定無線デバイスに割り当てていたアドレスに対応付けられているフラグを利用可能である旨を示すものに変更することを特徴とする請求項2記載の管理装置。
【請求項4】
前記アドレス管理テーブルは、前記アドレス及び前記フラグに対し、前記要設定無線デバイスを前記第2無線通信ネットワークに参入させるための広告を送信する広告デバイスの識別子が対応付けられたものであり、
前記管理部は、前記アドレス管理テーブルに格納された前記識別子で特定される前記広告デバイスまでの経路を予め確立する
ことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の管理装置。
【請求項5】
無線通信ネットワークを介した無線通信が可能な無線通信システムにおいて、
前記無線通信ネットワークを前記第1無線通信ネットワークとして管理する請求項1から請求項4の何れか一項に記載の管理装置と、
前記第2無線通信ネットワークに参入して、前記前記第1無線通信ネットワークに参入するために必要な機器情報の設定が前記管理装置により行われる前記無線デバイスと
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
前記無線デバイスを前記第2無線通信ネットワークに参入させるための広告を送信する広告デバイスを備えることを特徴とする請求項5記載の無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信ネットワークの管理を行う管理装置、及び当該装置を備える無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラントや工場等においては、無線フィールド機器と呼ばれる無線通信が可能な現場機器(測定器、操作器)を設置し、無線フィールド機器を制御するための制御信号や無線フィールド機器で得られた測定信号等を、無線通信ネットワークを介して通信する無線通信システムが実現されている。このような無線通信システムで用いられる通信規格としては、例えばISA100.11aやWirelessHART(登録商標)等の産業用無線通信規格が挙げられる。
【0003】
ここで、上記の無線フィールド機器等の無線デバイスを無線通信ネットワークに参入させるには、無線デバイスに対して「プロビジョニング(Provisioning)」と呼ばれる機器情報(ネットワークパラメータ及びセキュリティパラメータ)の設定作業を行う必要がある。この「プロビジョニング」を行う手法は、無線通信ネットワークを介した無線通信を行って機器情報の設定を行うOTA(Over The Air)プロビジョニングと、無線通信ネットワークを介した無線通信とは異なる通信手段(例えば、赤外線通信等)による通信を行って機器情報の設定を行うOOB(Out-Of-Band)プロビジョニングとに大別される。
【0004】
プロビジョニングが行われた無線デバイスは、無線通信ネットワークへの参入時に、無線通信システムの管理装置に向けて、ジョイン(Join)要求(無線通信ネットワークへの参入要求)を送信する。ジョイン要求を受信した管理装置は、ジョイン要求に含まれる情報を用いて認証処理を行い、認証に成功した場合にはジョイン要求を送信した無線デバイスの参入を許可し、認証に失敗した場合には参入を拒否する。このようにして、無線通信ネットワークへの参入処理が行われる。
【0005】
以下の非特許文献1には、上記のOTAプロビジョニングを行う方法が幾つか規定されている。例えば、無線通信システムで管理する無線通信ネットワークを複数の無線サブネットに分割し、運用用の無線サブネット(ターゲットネットワーク)上に、プロビジョニングに用いる専用の無線サブネット(プロビジョニングネットワーク)を論理的に分離した状態に構築し、ターゲットネットワークからプロビジョニングネットワークを介してフィールド機器に機器情報を設定する方法が規定されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】“ISA-100.11a-2011 Wireless systems for industrial automation: Process control and related applications”,pp.313
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のOTAプロビジョニングを行うには、プロビジョニングを行う必要のある無線デバイス(要プロビジョニングデバイス)をプロビジョニングネットワークに参入させて、管理装置と要プロビジョニングデバイスとの間の経路(ターゲットネットワーク及びプロビジョニングネットワークを介する経路)を確立し、要プロビジョニングデバイスに無線通信ネットワークで使用するアドレスを割り当てる必要がある。このため、要プロビジョニングデバイスからのジョイン要求(プロビジョニングネットワークへの参入要求)がある度に、管理装置では、プロビジョニングネットワークへの参入処理、要プロビジョニングデバイスまでの経路を動的に確立する経路確立処理、及び上記のアドレスの割り当て処理が行われる。
【0008】
ここで、上記のアドレスの割り当て処理では、管理装置と広告デバイス(ターゲットネットワークとプロビジョニングネットワークとを接続するプロビジョニング対応広告ルータ)とを端点とする通信と、広告デバイスと要プロビジョニングデバイスとを端点とする通信との2種類の通信が用いられる。後者の通信が用いられる場合に、広告デバイスは、要プロビジョニング無線デバイスに割り当てられた機器識別子を用い、或いは機器識別子から予め規定された方法で生成したアドレスを用いて要プロビジョニング無線デバイスを識別する。
【0009】
しかしながら、プロビジョニングネットワークへの参入要求がある度に上述した参入処理、経路確立処理、及びアドレスの割り当て処理が行われると、通信帯域及び電力が無駄に消費されてしまうという問題が生ずる。つまり、上述した経路確立処理では、管理装置と要プロビジョニングデバイスとの間の経路上に配置される無線デバイスとの間で通信が行われて、通信リソースの割り当て等の各種設定が行われる。このため、プロビジョニングネットワークへの参入要求がある度に上述した経路確立処理が行われると、通信帯域が無駄に消費されるとともに、無線デバイスで電力が無駄に消費されてしまうという問題が生ずる。
【0010】
また、プロビジョニングネットワークへの参入要求がある度に上述した参入処理、経路確立処理、及びアドレスの割り当て処理が行われると、これらの処理に時間を要してタイムアウトが生ずる虞が考えられる。このようなタイムアウトが生ずると、要プロビジョニングデバイスがプロビジョニングネットワークに参入することができず、OTAプロビジョニングを実施することができないという問題がある。
【0011】
ここで、上述したISA100.11aやWirelessHART(登録商標)等の産業用無線通信規格が用いられる無線通信システムでは、無線デバイス間で情報をホッピング(リレー)しながら通信を行うマルチホップ通信が可能である。このマルチホップ通信は、無線デバイスが1対1で行う通信(シングルホップ通信)よりも通信に時間を要するため、管理装置と要プロビジョニングデバイスとの間の経路上に配置された複数の無線デバイスよってマルチホップ通信が行われる場合には上記のタイムアウトが生じやすくなる。すると、要プロビジョニングデバイスがプロビジョニングネットワークに参入することができずに、要プロビジョニングデバイスに対するOTAプロビジョニングを実施することができなくなる可能性が高まるという問題がある。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、通信帯域や電力を無駄に消費することなくOTAプロビジョニングを確実に行うことが可能な管理装置、及び当該装置を備える無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の管理装置は、第1無線通信ネットワーク(N1)と、該第1無線通信ネットワークに参入するために必要な機器情報の設定を無線デバイスに行うために用いる第2無線通信ネットワーク(NP)との管理を行う管理装置(15)において、前記機器情報の設定を行う必要のある無線デバイスである要設定無線デバイス(11b)に割り当てるべきアドレスを予め格納する格納部(22)と、前記第2無線通信ネットワークに参入する前記要設定無線デバイスと通信するための経路を予め確立しておくとともに、前記第2無線通信ネットワークに参入した前記要設定無線デバイスに対し、前記経路を介した通信を行って前記格納部に格納されている前記アドレスの割り当てを行う管理部(23a)とを備えることを特徴としている。
この発明によると、機器情報の設定を行う必要のある要設定無線デバイスに割り当てるべきアドレスが予め格納部に格納されているとともに、第2無線通信ネットワークに参入する要設定無線デバイスと通信するための経路が予め確立されており、第2無線通信ネットワークに要設定無線デバイスが参入した場合に、上記の経路を介した通信が行われて格納部に格納されているアドレスの割り当てが行われる。
また、本発明の管理装置は、前記格納部が、前記要設定無線デバイスに割り当てるべきアドレスと、該アドレスが利用可能であるか否かを示すフラグとが対応付けられたアドレス管理テーブル(TB)を格納しており、前記管理部が、前記アドレス管理テーブルを参照して利用可能である旨を示すフラグが対応付けられているアドレスの割り当てを行うとともに、該アドレスに対応付けられたフラグを利用不可である旨を示すものに変更することを特徴としている。
また、本発明の管理装置は、前記管理部が、前記第2無線通信ネットワークに参入した前記要設定無線デバイスに対する前記機器情報の設定が完了した場合には、前記要設定無線デバイスに割り当てていたアドレスに対応付けられているフラグを利用可能である旨を示すものに変更することを特徴としている。
また、本発明の管理装置は、前記アドレス管理テーブルが、前記アドレス及び前記フラグに対し、前記要設定無線デバイスを前記第2無線通信ネットワークに参入させるための広告を送信する広告デバイス(13)の識別子が対応付けられたものであり、前記管理部が、前記アドレス管理テーブルに格納された前記識別子で特定される前記広告デバイスまでの経路を予め確立することを特徴としている。
本発明の無線通信システムは、無線通信ネットワークを介した無線通信が可能な無線通信システム(1)において、前記無線通信ネットワークを前記第1無線通信ネットワークとして管理する上記の何れかに記載の管理装置(15)と、前記第2無線通信ネットワークに参入して、前記前記第1無線通信ネットワークに参入するために必要な機器情報の設定が前記管理装置により行われる前記無線デバイス(11b)とを備えることを特徴としている。
また、本発明の無線通信システムは、前記無線デバイスを前記第2無線通信ネットワークに参入させるための広告を送信する広告デバイス(13)を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、機器情報の設定を行う必要のある要設定無線デバイスに割り当てるべきアドレスを予め格納部に格納しておき、第2無線通信ネットワークに参入する要設定無線デバイスと通信するための経路を予め確立しておくとともに、第2無線通信ネットワークに参入した要設定無線デバイスに対し、上記の経路を介した通信を行って格納部に格納されているアドレスの割り当てを行うようにしているため、通信帯域や電力を無駄に消費することなくOTAプロビジョニングを確実に行うことが可能であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態による無線通信システムの全体構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態による管理装置としてのシステムマネージャの要部構成を示すブロック図である。
図3】システムマネージャで用いられるアドレス管理テーブルの一例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態における初期参入動作を示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態による無線通信システムへの参入動作を説明するためのタイミングチャートである。
図6】本発明の一実施形態における第1参入動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による管理装置及び無線通信システムについて詳細に説明する。
【0017】
〈無線通信システムの全体構成〉
図1は、本発明の一実施形態による無線通信システムの全体構成を示すブロック図である。図1に示す通り、本実施形態の無線通信システム1は、無線デバイス11a,11b、広告ルータ12、プロビジョニング対応広告ルータ13(広告デバイス)、バックボーンルータ14、システムマネージャ15(管理装置)、ゲートウェイ16、及びタイムサーバ17を備えており、ターゲットネットワークN1(第1無線通信ネットワーク)或いはプロビジョニングネットワークNP(第2無線通信ネットワーク)を介した無線通信が可能である。この無線通信システム1は、例えばプラントや工場等(以下、これらを総称する場合には、単に「プラント」という)に構築される。
【0018】
ここで、無線通信システム1が構築されるプラントには、上記のターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークNPに加えて、バックボーンネットワークN2及び制御ネットワークN3が設けられている。ターゲットネットワークN1は、プラントの現場に設置された機器(無線デバイス11a、広告ルータ12、プロビジョニング対応広告ルータ13、及びバックボーンルータ14)によって実現されて、システムマネージャ15によって管理される現用の無線通信ネットワークである。尚、ターゲットネットワークN1を形成する無線デバイス、広告ルータ(プロビジョニング対応広告ルータを含む)、及びバックボーンルータの数は任意である。
【0019】
プロビジョニングネットワークNPは、無線デバイス11bをターゲットネットワークN1に参入させるOTA(Over The Air)プロビジョニングを行うために設けられる補助的な無線通信ネットワークである。つまり、プロビジョニングネットワークNPは、システムマネージャ15によって管理されて、ターゲットネットワークN1に無線デバイス11bを参入させるために必要となるプロビジョニング情報(機器情報)を、ターゲットネットワークN1に参入させるべき無線デバイス11bに設定するための補助的な無線通信ネットワークということもできる。
【0020】
バックボーンネットワークN2は、無線通信システム1の基幹となる有線ネットワークであり、バックボーンルータ14〜タイムサーバ17が接続される。制御ネットワークN3は、バックボーンネットワークN2の上位に位置づけられる有線ネットワークであり、ゲートウェイ16が接続される。尚、これらバックボーンネットワークN2及び制御ネットワークN3は、無線通信ネットワークで実現されていても良い。
【0021】
上記のターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークNPは何れも、無線通信システム1に設けられる無線通信ネットワークを構成する無線サブネットであり、互いに異なるサブネットID(識別子)が付されている。例えば、プロビジョニングネットワークNPには値が「1」のサブネットIDが付されており、ターゲットネットワークN1には値が「2」〜「65535(0xFFFF)」のうちの何れか1つのサブネットIDが付されている。
【0022】
無線デバイス11a,11bは、例えば流量計や温度センサ等のセンサ機器、流量制御弁や開閉弁等のバルブ機器、ファンやモータ等のアクチュエータ機器、その他のプラントや工場に設置される無線フィールドデバイスであり、インダストリアル・オートメーション用無線通信規格であるISA100.11aに準拠した無線通信を行う。これら無線デバイス11a,11bは、電池を電源として間欠動作する。
【0023】
ここで、無線デバイス11aは、ターゲットネットワークN1に接続するための機器情報の設定(プロビジョニング)が行われて、ターゲットネットワークN1に参入しているプロビジョニング済デバイスである。これに対し、無線デバイス11bは、プロビジョニングを行う必要のある要プロビジョニングデバイス(要設定無線デバイス)である。この無線デバイス11bは、OTAプロビジョニングが行われるときにはプロビジョニングネットワークNPに参入し、OTAプロビジョニングが行われた後はシステムマネージャ15の制御の下でターゲットネットワークN1に参入する。
【0024】
広告ルータ12は、上記の無線通信規格ISA100.11aに準拠した無線通信が可能であり、ターゲットネットワークN1を介して通信されるデータを中継する。例えば、広告ルータ12は、ターゲットネットワークN1に参入している無線デバイス11aとバックボーンルータ14との間で送受信されるデータを中継する。また、広告ルータ12は、システムマネージャ15の制御の下で、ターゲットネットワークN1に向けて広告を定期的に送信する。ここで、広告ルータ12が送信する広告は、新たな無線デバイスをターゲットネットワークN1に参入させるために必要となる情報である。
【0025】
プロビジョニング対応広告ルータ13は、広告ルータ12と同様に、上記の無線通信規格ISA100.11aに準拠した無線通信が可能であり、ターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークNPとに接続されて、ターゲットネットワークN1を介して通信されるデータと、プロビジョニングネットワークNPを介して通信されるデータを中継する。例えば、プロビジョニング対応広告ルータ13は、無線デバイス11bとバックボーンルータ14との間で送受信されるデータを中継する。また、プロビジョニング対応広告ルータ13は、システムマネージャ15の制御の下で、プロビジョニングネットワークNPに向けて広告を送信する。ここで、プロビジョニング対応広告ルータ13が送信する広告は、無線デバイス11bをプロビジョニングネットワークNPに参入させるために必要となる情報である。
【0026】
バックボーンルータ14は、ターゲットネットワークN1と、システムマネージャ15が接続されるバックボーンネットワークN2とを接続し、例えば無線デバイス11aとシステムマネージャ15との間で送受信される各種データの中継を行う装置である。尚、バックボーンルータ14も上記の無線通信規格ISA100.11aに準拠した無線通信が可能であり、広告ルータ12やプロビジョニング対応広告ルータ13をターゲットネットワークN1に参入させる場合には、これらをプロビジョニングネットワークNPに参入させるために必要となる情報である広告を送信する。
【0027】
システムマネージャ15は、無線通信システム1の管理制御を統括して行う。例えば、システムマネージャ15は、バックボーンルータ14が接続されるターゲットネットワークN1(更には、プロビジョニング対応広告ルータ13が接続されるプロビジョニングネットワークNP)を介して行われる無線通信の制御を行う。具体的には、無線デバイス11a、無線デバイス11b、広告ルータ12、プロビジョニング対応広告ルータ13、及びバックボーンルータ14に対する無線通信リソース(タイムスロット及び通信チャネル)の割り当て制御を行って、ターゲットネットワークN1(更には、プロビジョニング対応広告ルータ13)を介したTDMA(Time Division Multiple Access:時分割多元接続)による無線通信を実現する。
【0028】
また、システムマネージャ15は、新たな無線デバイスをターゲットネットワークN1に参入させるか否かの処理、或いは無線デバイス11bをプロビジョニングネットワークNPに参入させるか否かの処理(参入処理)を行う。加えて、システムマネージャ15は、プロビジョニングネットワークNPを介して、無線デバイス11bに対してプロビジョニング情報(無線デバイス11bをターゲットネットワークN1に参入させるために必要となる情報)を設定する処理(OTAプロビジョニング)を行う。
【0029】
また、システムマネージャ15は、広告ルータ12やプロビジョニング対応広告ルータ13をターゲットネットワークN1に参入させる処理も行う。ここで、システムマネージャ15は、プロビジョニング対応広告ルータ13をターゲットネットワークN1に参入させてプロビジョニングネットワークNPを実現する場合に、「アドレス予約処理」及び「経路確立処理」を行う。「アドレス予約処理」とは、プロビジョニングネットワークNPに参入する無線デバイス11bに割り当てるべきアドレスを予め用意(予約)する処理をいう。また、「経路確立処理」とは、プロビジョニングネットワークNPに参入する無線デバイス11bと通信するための経路を予め確立する処理である。
【0030】
具体的に、システムマネージャ15は、上記の「アドレス予約処理」では、割り当てるべきアドレスを予約するとともに、予約したアドレスをアドレス管理テーブルTB(図3参照:詳細は後述する)に登録する処理を行う。また、上記の「経路確立処理」では、バックボーンルータ14及びプロビジョニング対応広告ルータ13に対する無線通信リソース(タイムスロット及び通信チャネル)の割り当てを行って、バックボーンルータ14を介したプロビジョニング対応広告ルータ13までの経路を予め確立する処理を行う。このような処理を行うのは、通信帯域や電力を無駄に消費することなく無線デバイス11bに対する確実なOTAプロビジョニングを実現するためである。
【0031】
また、システムマネージャ15は、上述した参入処理により、無線デバイス11bをプロビジョニングネットワークNPに参入させる場合には、無線デバイス11bに対する「アドレス割当処理」を行う。具体的に、システムマネージャ15は、上記のアドレス管理テーブルTBを参照して利用可能なアドレスの有無を確認し、利用可能なアドレスがある場合には、上記の「経路確立処理」で確立した経路を介した通信を行ってアドレスの割り当てを行う。
【0032】
また、システムマネージャ15は、広告ルータ12及びプロビジョニング対応広告ルータ13に対して前述した広告に関する無線通信リソースの割り当てを行う。具体的には、広告ルータ12及びプロビジョニング対応広告ルータ13の各々が広告を送信するための無線通信リソースと、ターゲットネットワークN1に参入しようとしている新たなデバイスからのジョイン要求を広告ルータ12が受信するための無線通信リソース、及び無線デバイス11bからのジョイン要求をプロビジョニング対応広告ルータ13が受信するための無線通信リソースの割り当てを行う。尚、システムマネージャ15は、広告ルータ12やプロビジョニング対応広告ルータ13をターゲットネットワークN1に参入させる場合には、バックボーンルータ14に対して同様の割り当てを行う。
【0033】
ゲートウェイ16は、バックボーンネットワークN2と制御ネットワークN3とを接続するために設けられる。尚、ゲートウェイ16もシステムマネージャ15の管理対象であり、ターゲットネットワークN1に参入している無線機器(無線デバイス11a、広告ルータ12、及びバックボーンルータ14)との間の経路等の通信リソースはシステムマネージャ15によって設定される。タイムサーバ17は、無線通信システム1を構成する各種機器の時刻を同期させるために設けられるサーバである。
【0034】
〈システムマネージャ15の構成〉
図2は、本発明の一実施形態による管理装置としてのシステムマネージャの要部構成を示すブロック図である。図2に示す通り、システムマネージャ15は、通信部21、格納部22、及び制御部23を備える。通信部21は、制御部23の制御の下で、バックボーンネットワークN2を介した通信を行う。
【0035】
格納部22は、例えばハードディスク等の外部記憶装置で実現され、前述したアドレス管理テーブルTB(プロビジョニングネットワークNPに参入する無線デバイス11bに割り当てるべきアドレスが登録されるテーブル)を格納する。図3は、システムマネージャで用いられるアドレス管理テーブルの一例を示す図である。図3に示す通り、アドレス管理テーブルTBは、「アドレス」、「サブネットID」、「プロビジョニング対応広告ルータの識別子」(識別子)、「利用可能フラグ」(フラグ)等が対応付けられたテーブルである。
【0036】
上記「アドレス」は、制御部23によって予め予約されたアドレスであって、プロビジョニングネットワークNPに参入する無線デバイス11bに割り当てるべきアドレスである。上記「サブネットID」は、プロビジョニングネットワークNPに付されたサブネットIDである。上記「プロビジョニング対応広告ルータの識別子」は、システムマネージャ15との間の経路が予め確立されているプロビジョニング対応広告ルータ13に割り当てられている識別子である。上記「利用可能フラグ」は、対応付けられているアドレスが利用可能であるか否かを示すフラグである。例えば、「利用可能フラグ」の値が「1」である場合には、対応付けられているアドレスが利用可能である旨を示し、値が「0」である場合には、対応付けられているアドレスが利用不可である旨を示す。
【0037】
図3に例示するアドレス管理テーブルTBでは、制御部23によって予約された3つのアドレス(「100」,「109」,「126」)に対して、値が「1」である「サブネットID」と、値が「248」である「プロビジョニング対応広告ルータの識別子」とがそれぞれ対応付けられている。また、上記3つのアドレスのうちの2つのアドレス(「100」,「126」)には、値が「1」である「利用可能フラグ」が対応付けられており、残りのアドレス(「109」)には、値が「0」である「利用可能フラグ」が対応付けられている。
【0038】
尚、本実施形態では、説明を簡単にするために、プロビジョニングネットワークNP及びプロビジョニング対応広告ルータ13がそれぞれ1つずつ設けられた無線通信システム1を例に挙げている。このため、図3に例示する通り、アドレス管理テーブルTBは、予約された3つのアドレスに対して、同じ値の「サブネットID」と、同じ値の「プロビジョニング対応広告ルータの識別子」とが対応付けられたものとなっている。無線通信システム1に、複数のプロビジョニングネットワークNP及びプロビジョニング対応広告ルータ13が設けられる場合には、アドレス管理テーブルTBは、アドレス毎に異なる値の「サブネットID」や「プロビジョニング対応広告ルータの識別子」が対応付けられたものとなることもある。
【0039】
制御部23は、システムマネージャ15の動作を統括して制御する。例えば、ターゲットネットワークN1を介したTDMAによる無線通信を実現するために、ターゲットネットワークN1を介して無線通信を行う無線機器(無線デバイス11a、広告ルータ12、バックボーンルータ14)及びゲートウェイ16に対する通信リソース(タイムスロット及びチャネル)の割り当て制御を行う。
【0040】
また、制御部23は、ターゲットネットワークN1へのジョイン要求があった場合には、そのジョイン要求を行った無線デバイスをターゲットネットワークN1に参入させる処理を行い、プロビジョニングネットワークNPへのジョイン要求があった場合には、そのジョイン要求を行った無線デバイス11bをプロビジョニングネットワークNPに参入させる処理を行う。尚、制御部23は、広告ルータ12やプロビジョニング対応広告ルータ13をターゲットネットワークN1に参入させる処理も行う。更に、制御部23は、広告ルータ12及びプロビジョニング対応広告ルータ13に対して前述した広告に関する無線通信リソースの割り当ても行う。
【0041】
この制御部23は、プロビジョニング対応広告ルータ13をターゲットネットワークN1に参入させてプロビジョニングネットワークNPを実現する場合に、前述した「アドレス予約処理」及び「経路確立処理」を行い、無線デバイス11bをプロビジョニングネットワークNPに参入させる場合に、前述した「アドレス割当処理」を行う管理部23aを備える。ここで、管理部23aは、上記の「アドレス割当処理」を行う場合には、アドレス管理テーブルTBを参照して値が「1」である「利用可能フラグ」が対応付けられているアドレスの割り当てを行い、割り当てを行ったアドレスに対応付けられた「利用可能フラグ」の値を「0」に変更する処理を行う。
【0042】
また、管理部23aは、プロビジョニングネットワークNPに参入した無線デバイス11bに対するプロビジョニング(OTAプロビジョニング)が完了した場合には、無線デバイス11bに割り当てていたアドレスに対応付けられている「利用可能フラグ」の値を「1」に変更する処理を行う。このような処理を行うのは、OTAプロビジョニングが完了した無線デバイス11bはプロビジョニングネットワークNPに参入させておく必要がないため、OTAプロビジョニングが完了した無線デバイス11bに割り当てられているアドレスを開放して有効活用するためである。
【0043】
〈無線通信システムへの参入動作〉
次に、以上説明した無線通信システム1に対して無線デバイス11bを参入させる場合の動作について説明する。無線通信システム1に無線デバイス11bを参入させるには、予めプロビジョニング対応広告ルータ13をターゲットネットワークN1に参入させてプロビジョニングネットワークNPを構築する動作(以下、「初期参入動作」という)を行っておく必要がある。
【0044】
そして、プロビジョニングネットワークNPが構築された後に、初期状態の無線デバイス11bをプロビジョニングネットワークNPへ参入させる動作(以下、「第1参入動作」という)と、OTAプロビジョニングが行われた無線デバイス11bをターゲットネットワークN1へ参入させる動作(以下、「第2参入動作」という)とを順に行うことによって、無線デバイス11bを無線通信システム1に参入させることができる。以下では、これらの参入動作について順に説明する。
【0045】
《初期参入動作》
図4は、本発明の一実施形態における初期参入動作を示すフローチャートである。また、図5は、本発明の一実施形態による無線通信システムへの参入動作を説明するためのタイミングチャートである。尚、図4に示す処理は、例えば初期状態(工場出荷状態)のプロビジョニング対応広告ルータ13の電源が投入されることにより、或いはターゲットネットワークN1への参入指示がプロビジョニング対応広告ルータ13に対してなされることによって開始される。
【0046】
プロビジョニング対応広告ルータ13の電源投入等によって図4に示す処理が開始されると、バックボーンルータ14から送信される広告を受信する処理がプロビジョニング対応広告ルータ13で行われる(ステップS11)。尚、バックボーンルータ14から送信される広告は、広告ルータ12やプロビジョニング対応広告ルータ13をターゲットネットワークN1に参入させるために必要となる情報である。
【0047】
バックボーンルータ14からの広告がプロビジョニング対応広告ルータ13で受信されると、プロビジョニング対応広告ルータ13から広告の送信元であるバックボーンルータ14に向けてジョイン要求(ターゲットネットワークN1への参入要求)が送信される(ステップS12)。プロビジョニング対応広告ルータ13から送信されたジョイン要求がバックボーンルータ14で受信されると、そのジョイン要求はバックボーンルータ14からシステムマネージャ15に向けて送信(転送)される。
【0048】
バックボーンルータ14を介したプロビジョニング対応広告ルータ13からのジョイン要求を受信すると、システムマネージャ15は、受信したジョイン要求に含まれる情報を用いてプロビジョニング対応広告ルータ13の認証処理を行う。そして、システムマネージャ15は、認証に成功した場合にはジョイン要求を送信したプロビジョニング対応広告ルータ13の参入を許可し、認証に失敗した場合にはプロビジョニング対応広告ルータ13の参入を拒否する。このようにして、プロビジョニング対応広告ルータ13からのジョイン要求に対する処理が実施される(ステップS13)。
【0049】
プロビジョニング対応広告ルータ13の参入が許可されると、プロビジョニング対応広告ルータ13によって形成されるプロビジョニングネットワークNPに参入する無線デバイス11bに割り当てるべきアドレスを予約し、予約したアドレスをアドレス管理テーブルTBに登録する処理がシステムマネージャ15の管理部23aで行われる(ステップS14)。これにより、図4に例示するものと同様のアドレス管理テーブルTBがシステムマネージャ15の格納部22に格納される。尚、格納部22に格納された時点のアドレス管理テーブルTBは、「利用可能フラグ」の値が全て「1」に設定されている。
【0050】
アドレスの予約が完了すると、予約したアドレスに対する通信リソースの割り当てがシステムマネージャ15の管理部23aで行われる(ステップS15)。具体的には、バックボーンルータ14及びプロビジョニング対応広告ルータ13に対する通信リソース(タイムスロット及びチャネル)の割り当てが管理部23aにより行われる。これにより、システムマネージャ15からバックボーンルータ14を介してプロビジョニング対応広告ルータ13までの経路が確立される。
【0051】
以上の処理が終了すると、システムマネージャ15の制御部23によって、プロビジョニング対応広告ルータ13から広告を送信するための設定が実施される(ステップS16)。かかる設定が行われることにより、図5に示す通り、プロビジョニング対応広告ルータ13から広告(無線デバイス11bに向けた広告)の送信が開始される。尚、プロビジョニング対応広告ルータ13から送信される広告は、無線デバイス11bをプロビジョニングネットワークNPに参入させるために必要となる情報である。
【0052】
《第1参入動作》
図6は、本発明の一実施形態における第1参入動作を示すフローチャートである。尚、図6に示す処理は、例えば初期状態(工場出荷状態)の無線デバイス11bの電源が投入されることにより、或いはプロビジョニングネットワークNPへの参入指示が無線デバイス11bに対してなされることによって開始される。
【0053】
無線デバイス11bの電源投入等によって図6に示す処理が開始されると、プロビジョニング対応広告ルータ13から送信される広告を受信する処理が無線デバイス11bで行われる(ステップS21)。プロビジョニング対応広告ルータ13からの広告が無線デバイス11bで受信されると、無線デバイス11bから広告の送信元であるプロビジョニング対応広告ルータ13に向けてジョイン要求(プロビジョニングネットワークNPへの参入要求)が送信される(ステップS22)。
【0054】
無線デバイス11bから送信されたジョイン要求がプロビジョニング対応広告ルータ13で受信されると、そのジョイン要求はプロビジョニング対応広告ルータ13からバックボーンルータ14を介してシステムマネージャ15に向けて送信(転送)される(ステップS23)。尚、無線デバイス11bからのジョイン要求を受信した時点では、プロビジョニング対応広告ルータ13は、無線デバイス11bに割り当てられた機器識別子を用い、或いは機器識別子から予め規定された方法で生成したアドレスを用いて無線デバイス11bを識別する。
【0055】
プロビジョニング対応広告ルータ13及びバックボーンルータ14を介した無線デバイス11bからのジョイン要求を受信すると、システムマネージャ15の管理部23aは、格納部22に格納されたアドレス管理テーブルTBを確認し(ステップS24)、利用可能なアドレスの有無を判断する(ステップS25)。具体的には、アドレス管理テーブルTBを参照して値が「1」である「利用可能フラグ」が対応付けられているアドレスの有無を判断する。
【0056】
利用可能なアドレスがあると判断した場合(ステップS25の判断結果が「YES」である場合)には、プロビジョニング対応広告ルータ13を介して無線デバイス11bにアドレスを割り当てる処理がシステムマネージャ15の管理部23aで行われる(ステップS26)。アドレスの割り当て処理が完了すると、管理部23aによって格納部22に格納されたアドレス管理テーブルTBがアクセスされ、割り当てを行ったアドレスに対応付けられている「利用可能フラグ」の値を「0」に変更する処理が行われる(ステップS27)。また、アドレスの割り当て処理が完了すると、無線デバイス11bとの通信は、無線デバイス11bに割り当てられたアドレスを用いて行われる。
【0057】
以上の処理が終了すると、システムマネージャ15から無線デバイス11bに対して証明書の送信要求がなされる。これにより、無線デバイス11bからシステムマネージャ15に向けて証明書が送信され、システムマネージャ15の制御部23において、無線デバイス11bからの証明書を用いた無線デバイス11bの認証処理が行われる。かかる認証処理が終了すると、システムマネージャ15から無線デバイス11bに向けて認証結果が送信される(ステップS28)。
【0058】
無線デバイス11bの認証に成功した場合には、システムマネージャ15の制御部23によってプロビジョニングネットワークNPへの参入が許可され、プロビジョニングネットワークNPに参入した無線デバイス11bとシステムマネージャ15との間で、図4中のステップS15の処理で確立された経路(プロビジョニング対応広告ルータ13及びバックボーンルータ14を介する経路)を介した通信が可能な状態になる。これにより、システムマネージャ15が、無線デバイス11bに対するOTAプロビジョニングを行うことが可能になる。
【0059】
システムマネージャ15は、プロビジョニングネットワークNPに参入した無線デバイス11bに対して、例えば以下に示す情報を送信してOTAプロビジョニングを実施する(ステップS29)。
・ターゲットネットワークN1のサブネットID
・広告ルータ12から送信される広告を受信するためのチャネル
・ジョインキー(Join Key)等の認証情報
【0060】
OTAプロビジョニングが完了すると、ステップS26で無線デバイス11bに割り当てたアドレスを開放する処理がシステムマネージャ15の管理部23aで行われる(ステップS30)。アドレスの開放処理が完了すると、管理部23aによって格納部22に格納されたアドレス管理テーブルTBがアクセスされ、開放されたアドレスに対応付けられている「利用可能フラグ」の値を「1」に変更する処理が行われ(ステップS31)、これにより図6に示す一連の処理が終了する。
【0061】
尚、ステップS25で利用可能なアドレスが無いと判断された場合(判断結果が「NO」の場合)、或いはステップS28で認証に失敗した場合には、ステップS22,S23で送信されてきた無線デバイス11bからのジョイン要求を破棄する処理がシステムマネージャ15の制御部23で行われる(ステップS32)。ジョイン要求が破棄された場合には、無線デバイス11bは、プロビジョニングネットワークNPに参入することができないため、システムマネージャ15によるOTAプロビジョニングは行われない。
【0062】
《第2参入動作》
以上説明した第1参入動作で行われるOTAプロビジョニングが完了すると、無線デバイス11bは、広告ルータ12から送信される広告を受信し、広告の送信元である広告ルータ12に向けてジョイン要求(ターゲットネットワークN1への参入要求)を送信する。このジョイン要求は、広告ルータ12を介してシステムマネージャ15に送信される。無線デバイス11bからジョイン要求を受信すると、システムマネージャ15は、受信したジョイン要求に含まれる情報を用いて無線デバイス11bの認証処理を行う。そして、システムマネージャ15は、認証に成功した場合にはジョイン要求を送信した無線デバイス11bの参入を許可し、認証に失敗した場合には無線デバイス11bの参入を拒否する。このようにして、ターゲットネットワークN1への参入処理が行われる。
【0063】
以上の通り、本実施形態では、OTAプロビジョニングを行う必要のある無線デバイス11bに割り当てるべきアドレスをシステムマネージャ15のアドレス管理テーブルTBに予め登録している。そして、システムマネージャ15が、プロビジョニングネットワークNPに参入する無線デバイス11bと通信するための経路を予め確立しておくとともに、プロビジョニングネットワークNPに参入した無線デバイス11bに対し、設定した経路を介した通信を行ってアドレス管理テーブルTBに登録したアドレスの割り当てを行うようにしている。
【0064】
このため、プロビジョニングネットワークNPへの参入要求があっても、従来のような経路確立処理(要プロビジョニングデバイスまでの経路を動的に確立する処理)は行われない。これにより、経路確立処理で必要であった通信リソースの割り当て等の各種設定のための通信を省略することができ、その結果として通信帯域や電力を無駄に消費することなくOTAプロビジョニングを確実に行うことができる。
【0065】
以上、本発明の一実施形態による管理装置及び無線通信システムについて説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。えば、上記実施形態では、ISA100.11aに準拠した無線通信を行う無線通信システムを例に挙げて説明したが、本発明はWirelessHART(登録商標)に準拠した無線通信を行う無線通信システムにも適用することができる。
【0066】
また、上記実施形態では、バックボーンルータ14、システムマネージャ15、及びゲートウェイ16がそれぞれ別々の装置として実現されている例について説明した。しかしながら、これらのうちの任意の2つ以上の装置を1つの装置として実現することも可能である。また、信頼性を高めるために、システムマネージャ15は、現用系のものと待機系のものとに二重化されていても良い。
【符号の説明】
【0067】
1 無線通信システム
11b 無線デバイス
13 プロビジョニング対応広告ルータ
15 システムマネージャ
22 格納部
23a 管理部
N1 ターゲットネットワーク
NP プロビジョニングネットワーク
TB アドレス管理テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6