特許第6111828号(P6111828)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6111828
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】熱処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/26 20060101AFI20170403BHJP
【FI】
   H01L21/26 G
   H01L21/26 T
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-95232(P2013-95232)
(22)【出願日】2013年4月30日
(65)【公開番号】特開2014-216601(P2014-216601A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078754
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 正彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 祥章
(72)【発明者】
【氏名】江口 浩正
(72)【発明者】
【氏名】内藤 敬祐
【審査官】 桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−035984(JP,A)
【文献】 特開2004−319754(JP,A)
【文献】 特開2002−261037(JP,A)
【文献】 特開2009−231353(JP,A)
【文献】 特開2014−135338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物に光を照射することによって当該被照射物を加熱するフラッシュランプをそれぞれに有する複数の光照射部と、これらの光照射部の各々に電力を供給する共通のコンデンサを有する電力供給部と、この電力供給部を制御する制御部とを備えてなり、前記複数の光照射部のうち一の光照射部を選択して当該フラッシュランプを点灯する動作を、前記複数の光照射部の各々について順次繰り返すことにより、前記被処理物の熱処理を実行する熱処理装置であって、
前記複数の光照射部には、それぞれ温度測定手段が設けられており、
前記制御部は、前記複数の光照射部のいずれかの判断用温度が、予め設定された動作制御温度に達したときに、前記判断用温度が前記動作制御温度に達していない他の光照射部を選択して当該フラッシュランプを点灯するものであることを特徴とする熱処理装置。
【請求項2】
前記判断用温度は、前記温度測定手段による測定値、または前記温度測定手段による過去の測定値から予測される予測値であることを特徴とする請求項1に記載の熱処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記光照射部の前記判断用温度が前記動作制御温度に達する前において、前記光照射部の各々を点灯したときの当該光照射部の予測温度を求め、これらの予測温度のうち最も低い温度の光照射部を選択して当該フラッシュランプを点灯するものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラッシュランプからの光を被処理物に照射して加熱する熱処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程においては、例えばシリコン酸化膜形成や、不純物拡散などの種々のプロセスが行われる。これらのプロセスにおいては、被処理物に対して光を照射することによって当該被処理物を加熱する熱処理が行われている。このような熱処理を行うための熱処理装置としては、被処理物に光を照射することによって当該被照射物を加熱するフラッシュランプをそれぞれに有する2つの光照射部を備え、これらの光照射部の点灯動作を交互に行う構成のものが提案されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−35984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の熱処理装置においては、以下のような問題がある。
最近、被処理物を熱処理するために必要な光のエネルギー量が増大しつつある。これに伴い、熱処理装置においては、各光照射部におけるフラッシュランプに電力を供給するコンデンサとして、容量が大きいものを用いることが必要となる。
このような大容量のコンデンサを備えた熱処理装置においては、コンデンサから光照射部におけるフラッシュランプに電力を供給することにより、当該フラッシュランプを点灯すると、当該光照射部の温度は、当該フラッシュランプからの光によるエネルギーによって大きく上昇し、その後、降下する。そして、各光照射部においては樹脂材料などが利用されているため、光照射部の温度が樹脂材料の耐熱温度を超えるときには、当該光照射部の温度が適宜の温度に降下するまで、フラッシュランプの点灯を待機することが必要となる。ここで、2つの光照射部の点灯動作を交互に行うことにより、一方の光照射部の点灯動作を実行している間に、他方の光照射部の冷却を十分に行うことができれば、問題はない。
【0005】
しかしながら、光照射部の温度の上昇および降下の程度は、周囲環境などの影響によって光照射部毎に異なる。そのため、2つの光照射部の点灯動作を交互に行っても、2つの光照射部の温度に差が生じる。その結果、一方の光照射部の温度が十分に低く、他方の光照射部の温度が高い状態が発生する。従って、2つの光照射部の点灯動作を交互に行う場合には、一方の光照射部の点灯動作を実行することが可能であっても、他方の光照射部の点灯動作を待機しなければならず、このため、被処理物の熱処理において高い時間的効率を得ることが困難である。
【0006】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、高い時間的効率で被処理物の熱処理を実行することができる熱処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の熱処理装置は、被処理物に光を照射することによって当該被照射物を加熱するフラッシュランプをそれぞれに有する複数の光照射部と、これらの光照射部の各々に電力を供給する共通のコンデンサを有する電力供給部と、この電力供給部を制御する制御部とを備えてなり、前記複数の光照射部のうち一の光照射部を選択して当該フラッシュランプを点灯する動作を、前記複数の光照射部の各々について順次繰り返すことにより、前記被処理物の熱処理を実行する熱処理装置であって、
前記複数の光照射部には、それぞれ温度測定手段が設けられており、
前記制御部は、前記複数の光照射部のいずれかの判断用温度が、予め設定された動作制御温度に達したときに、前記判断用温度が前記動作制御温度に達していない他の光照射部を選択して当該フラッシュランプを点灯するものであることを特徴とする。
【0008】
本発明の熱処理装置においては、前記判断用温度は、前記温度測定手段による測定値、または前記温度測定手段による過去の測定値から予測される予測値であることが好ましい。
また、前記制御部は、前記光照射部の前記判断用温度が前記動作制御温度に達する前において、前記光照射部の各々を点灯したときの当該光照射部の予測温度を求め、これらの予測温度のうち最も低い温度の光照射部を選択して当該フラッシュランプを点灯するものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の熱処理装置によれば、複数の光照射部のいずれかの判断用温度が、予め設定された動作制御温度に達したときには、判断用温度が動作制御温度に達していない他の光照射部を選択して当該フラッシュランプを点灯するため、高い時間的効率で被処理物の熱処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の熱処理装置一例における構成を示す説明図である。
図2】光照射部をそのフラッシュランプの長手方向に切断して示す説明用断面図である。
図3】光照射部をそのフラッシュランプの長手方向に垂直な方向に切断して示す説明用断面図である。
図4】制御部の機能を示すブロック図である。
図5】電力供給部におけるコンデンサの充電電圧、第1の光照射部および第2の光照射部の動作、並びに第1の光照射部および第2の光照射部の判断用温度の関係を示す説明図である。
図6】制御部による第1の光照射部および第2の光照射部の点灯動作の制御フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の熱処理装置の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の熱処理装置の一例における構成を示す説明図である。この熱処理装置は、それぞれ複数の棒状のフラッシュランプ15を有する第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bと、第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bの各々に電力を供給する共通のコンデンサ(図示省略)を有する電力供給部20と、第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bにおけるフラッシュランプ15の各々のトリガー棒(図示省略)に電圧を印加するトリガー回路25と、電力供給部20およびトリガー回路25を制御する制御部30とを備えてなる。
【0012】
図2は、第1の光照射部10aをそのフラッシュランプ15の長手方向に切断して示す説明用断面図、図3は、第1の光照射部10aをそのフラッシュランプ15の長手方向に垂直な方向に切断して示す説明用断面図である。この第1の光照射部10aには、フラッシュランプ15が収納されたランプ収納室S1と、このランプ収納室S1の下方に形成された、被処理物Wが搬入される処理室S2とを有するチャンバ11が設けられている。
このチャンバ11には、それぞれチャンバ11の外部からランプ収納室S1に通ずる吸気口12および排気口13が形成されている。そして、熱処理装置の作動時には、吸気口12および排気口13を介して、チャンバ11におけるランプ収納室S1内に冷却風Rが流通される。
また、チャンバ11におけるランプ収納室S1および処理室S2は、フラッシュランプ15からの光を透過する、例えば石英ガラスよりなる光透過窓部材14によって仕切られている。
【0013】
チャンバ11におけるランプ収容室S1には、複数の棒状のフラッシュランプ15が、それぞれ水平方向に伸びる姿勢で、当該フラッシュランプ15の長手方向に垂直な水平方向に沿って並ぶよう配置されている。
また、ランプ収容室S1には、当該ランプ収容室S1内の温度を測定する温度測定手段16が配置されている。
チャンバ11における処理室S2におけるフラッシュランプ15の下方位置には、被処理物Wが載置される載置台17が設けられている。
【0014】
フラッシュランプ15としては、発光管内にキセノンガスが封入されたロングアーク型キセノンフラッシュランプを用いることができる。このロングアーク型キセノンフラッシュランプの具体的な仕様の一例を示すと、発光管は、内径が10.4mmで外径が13mm、有効発光長が500mm、キセノンガスの封入圧が60kPaである。
また、第1の光照射部10aにおけるプラッシュランプ15の数は、例えば30本である。
【0015】
また、第2の光照射部10bは、基本的に、第1の光照射部10aと同様の構成のものである。
【0016】
図4は、制御部30の機能を示すブロック図である。この制御部30は、第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bについての動作制御温度T0 、第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bの判断用温度が動作制御温度T0 に達していないときに設定される常時点灯パターンP1、並びに第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bのいずれかの判断用温度が動作制御温度T0 に達したときに設定される非常時点灯パターンP2が記憶された記憶部31と、常時点灯パターンP1または非常時点灯パターンP2に従って電力供給部20およびトリガー回路25の動作を制御するランプ点灯制御部32と、第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bの各々における温度測定手段16によって測定された測定値に基づいて、第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bの判断用温度を求め、当該判断用温度と動作制御温度T0 とを比較する判断部33とを有する。
【0017】
第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bの判断用温度としては、温度測定手段16による測定値、または温度測定手段16による過去の測定値から予測される予測値を用いることができる。
記憶部31に記憶される動作制御温度T0 は、フラッシュランプ15の具体的な仕様などによって異なるが、例えば60〜65℃の範囲で選択されることが好ましい。
【0018】
記憶部31に記憶された常時点灯パターンP1は、第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bのいずれかを選択して当該フラッシュランプ15を点灯する動作を、第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bの各々について順次繰り返す点灯パターンである。
記憶部31に記憶された非常時点灯パターンP2は、第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bのいずれかの判断用温度が動作制御温度T0 に達したときに、判断用温度が動作制御温度T0 に達していない第1の光照射部10aまたは第2の光照射部10bを選択して当該フラッシュランプ15を点灯する動作を行う点灯パターンである。
【0019】
図5は、電力供給部20におけるコンデンサの充電電圧、第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bの動作、並びに第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bの判断用温度の関係を示す説明図である。
また、図6は、制御部30による第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bの点灯動作の制御フロー図である。
【0020】
以下、図5および図6を参照しながら、本発明の熱処理装置の動作について説明する。 先ず、第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bのいずれの判断用温度も動作制御温度T0 に達していない状態においては、制御部30において記憶部31に記憶された常時点灯パターンP1が設定される(ステップS1)。
そして、この常時点灯パターンP1に従って、第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bのいずれかを選択して当該フラッシュランプ15を点灯する動作を、第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bの各々について順次繰り返すことにより、第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bの各々における載置台17に載置された被処理物Wの熱処理が実行される。
【0021】
具体的に説明すると、先ず、第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bのうち例えば第1の光照射部10aが選択される(ステップS2)。そして、第1の光照射部10aの判断用温度が動作制御温度T0 に達していないことが確認される(ステップS3)。その後、電力供給部20のコンデンサが所定の電圧値に達するまで充電される(ステップS4)。そして、図5に示す時刻t1において、ランプ点灯制御部32によってトリガー回路25が制御されることにより、第1の光照射部10aにおける各フラッシュランプ15のトリガー棒に所定の電圧が印加される。その結果、電力供給部20のコンデンサから第1の光照射部10aにおける各フラッシュランプ15に電力が供給され、当該フラッシュランプ15の各々が点灯する(ステップS5)。このとき、第1の光照射部10aにおいては、フラッシュランプ15の各々が点灯することにより、温度が上昇する。そして、第1の光照射部10aのフラッシュランプ15の点灯直後において、第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bの各々の温度が、各温度測定手段16によって測定される。これらの測定値は制御部30に入力される。そして、制御部30においては、入力された測定値に基づいて第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bの各々の判断用温度が求められる。この例の判断用温度は、温度測定手段16による測定値である。
【0022】
この第1の光照射部10aにおける各フラッシュランプ15を点灯する動作が終了すると、第2の光照射部10bが選択される(ステップS6)。そして、第2の光照射部10bの判断用温度が動作制御温度T0 に達していないことが確認される(ステップS7)。その後、電力供給部20のコンデンサが所定の電圧値に達するまで充電される(ステップS8)。そして、図5に示す時刻t2において、ランプ点灯制御部32によってトリガー回路25が制御されることにより、第2の光照射部10bの各フラッシュランプ15のトリガ電極に所定の電圧が印加される。その結果、電力供給部20のコンデンサから第2の光照射部10bにおける各フラッシュランプ15に電力が供給され、当該フラッシュランプ15の各々が点灯する(ステップS9)。このとき、第2の光照射部10bにおいては、フラッシュランプ15の各々が点灯することにより、温度が上昇する。そして、第2の光照射部10bのフラッシュランプ15の点灯直後において、第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bの各々の温度が、各温度測定手段16によって測定される。これらの測定値は制御部30に入力される。そして、制御部30においては、入力された測定値に基づいて第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bの各々の判断用温度が求められる。
【0023】
このような第1の光照射部10aの点灯動作および第2の光照射部10bの点灯動作は、第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bのいずれかの判定用温度が動作制御温度T0 に達したことが確認されるまで、交互に繰り返される。図5に示す例では、時刻t3、時刻t5および時刻t7において、第1の光照射部10aのフラッシュランプ15が点灯され、時刻t4、時刻t6および時刻t8において、第2の光照射部10bのフラッシュランプ15が点灯されている。
【0024】
一方、第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bのいずれかの判断用温度が動作制御温度T0 に達したときには、制御部30において記憶部31に記憶された非常時点灯パターンP2が設定される(ステップS10,S11)。そして、この非常時点灯パターンP2に従って、判断用温度が動作制御温度T0 に達していない第1の光照射部10aまたは第2の光照射部10bを選択して当該フラッシュランプを点灯する。
【0025】
具体的に説明すると、図5の例では、時刻t7において第1の光照射部10aのフラッシュランプ15が点灯した後に、当該第1の光照射部10aの判断用温度は、動作制御温度T0 に達した状態である。そして、常時点灯パターンP1に従って、図5に示す時刻t8において第2の光照射部のフラッシュランプ15が点灯され、その後、第1の光照射部が選択される。そして、第1の光照射部10aの判断用温度が動作制御温度T0 に達していることが確認されると、制御部30において非常時点灯パターンP2が設定される。次いで、この非常時点灯パターンP2に従って、判断用温度が動作制御温度T0 に達していない第2の光照射部10bが選択され、図5に示す時刻t9において、第2の光照射部10bにおけるフラッシュランプ15が点灯される。そして、第2の光照射部10bのフラッシュランプ15の点灯直後において、第1の光照射部および第2の光照射部の各々の温度が、各温度測定手段16によって測定される。その後、常時点灯パターンP1が設定され、第1の光照射部10aが選択される。
【0026】
そして、第1の光照射部10aの判断用温度が動作制御温度T0 に達していないことが確認されると、常時点灯パターンP1に従って、第1の光照射部10aの点灯動作が行われる。一方、第1の光照射部10aの判断用温度が動作制御温度T0 に達していることが確認されると、非常時点灯パターンP2が設定され、当該非常時点灯パターンP2に従って、第2の光照射部10bの点灯動作が行われる。
【0027】
図5に示す例では、時刻t9において第2の光照射部10bのフラッシュランプ15が点灯した後に、第1の光照射部10aの判断用温度は、動作制御温度T0 に達した状態である。このため、非常時点灯パターンP2に従って、時刻t10において第2の光照射部10bのフラッシュランプ15が点灯される。また、時刻t10において第2の光照射部のフラッシュランプ15が点灯した後に、第1の光照射部10aの判断用温度は、動作制御温度T0 に達していない状態である。このため、常時点灯パターンP1に従って、時刻t11において第1の光照射部10aのフラッシュランプ15が点灯される。そして、第1の光照射部10aの点灯動作および第2の光照射部10bの点灯動作は、第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bのいずれかの判定用温度が動作制御温度T0 に達したことが確認されるまで、交互に繰り返される。
【0028】
このような熱処理装置によれば、第1の光照射部10aおよび第2の光照射部10bのいずれかの判断用温度が、予め設定された動作制御温度T0 に達したときには、判断用温度が動作制御温度T0 に達していない第1の光照射部10aまたは第2の光照射部10bを選択して当該フラッシュランプ15を点灯するため、高い時間的効率で被処理物Wの熱処理を実行することができる。
【0029】
本発明の熱処理装置は、上記の実施の形態に限定されず、例えば以下のような種々の変更を加えることが可能である。
(1)図1に示す熱処理装置は、2つの光照射部を有するものであるが、本発明の熱処理装置は、3つ以上の光照射部を有するものであってもよい。このような熱処理装置においては、判断用温度が動作制御温度T0 に達していない光照射部の各々を点灯したときの当該光照射部の予測温度を求め、複数の光照射部のいずれかの判断用温度が動作制御温度に達したときに、光照射部の予測温度のうち最も低い温度の光照射部を選択して当該フラッシュランプを点灯することが好ましい。ここで、光照射部の予測温度は、当該光照射部の判断用温度が動作制御温度T0 に達する前において、温度測定手段によって測定された測定値に基づいて求めることができる。このような構成によれば、判断用温度が動作制御温度T0 に達していない複数の光照射部のうち一の光照射部の温度が他の光照射部の温度よりも大きく上昇することを抑制することができる。
(2)温度測定手段による光照射部の温度の測定は、フラッシュランプの点灯直後に限定されず、例えばコンデンサの充電が終了した直後であってもよい。
(3)光照射部の判断用温度が動作制御温度T0 に達する前においては、第1の光照射部の点灯動作および第2の光照射部の点灯動作を交互に行うよう制御することは必須ではない。
例えば第1の光照射部の点灯動作を2回連続して行った後、第2の光照射部の点灯動作を2回連続して行うよう制御してもよい。
また、光照射部の各々を点灯したときの当該光照射部の予測温度を求め、これらの予測温度のうち最も低い温度の光照射部を選択して当該フラッシュランプを点灯するよう制御してもよい。ここで、光照射部の予測温度は、当該光照射部の判断用温度が動作制御温度T0 に達する前において、温度測定手段によって測定された測定値に基づいて求めることができる。このような構成によれば、複数の光照射部のうち一の光照射部の温度が他の光照射部の温度よりも大きく上昇することを抑制することができる。
【符号の説明】
【0030】
10a 第1の光照射部
10b 第2の光照射部
11 チャンバ
12 吸気口
13 排気口
14 光透過窓部材
15 フラッシュランプ
16 温度測定手段
17 載置台
20 電力供給部
25 トリガー回路
30 制御部
31 記憶部
32 ランプ点灯制御部
33 判断部
R 冷却風
S1 ランプ収納室
S2 処理室
W 被処理物
図1
図2
図3
図4
図5
図6