(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ロール成形機の搬送手段により、搬送ローラ上を搬送されるガラスリボンの温度は約700〜800℃の高温状態にあり、またガラスリボンの急冷破壊を生じさせないように搬送ローラはバーナー加熱されていることから、ガラスリボンに接する搬送ローラは、ガラスリボンからの熱伝達やバーナーによる加熱によって熱膨張する。
熱膨張した搬送ローラは、軸方向に伸びるため、搬送ローラの両端部が固定支持されていると、搬送ローラに撓みが生じることとなる。
このような搬送ローラの撓みは、ガラスリボンの品質に悪影響を及ぼす要因となるため、撓みが大きくなると、搬送ローラのローラ表面を再研磨して、撓みを除去する必要があった。そして、再研磨を行うことができる回数には限度があり、研磨の頻度が高いと、搬送ローラの寿命が短くなっていた。
【0007】
また、搬送ローラの温度は、搬送されるガラスリボンの急冷破壊を防ぐべく、ガラスリボンの温度変化に応じて上流側に位置するローラほど温度が高くなるように制御されている。そのため、例えば、上流側の搬送ローラと下流側の搬送ローラでは、約1000mmの間で約100℃の温度差が生じており、搬送手段の各部位で熱膨張量にばらつきが生じていた。
このため、再研磨量の調整が困難になり、ガラスリボンの品質確保をより困難にする要因ともなっていた。
【0008】
特許文献1に示すようなビームの熱膨張を吸収するだけの簡易な手段では、各々の搬送ローラに生じる撓みを有効に抑制することが困難であるため、ロール成形機を構成する搬送手段において、各搬送ローラに生じる熱膨張の影響を確実に抑制することができる技術の開発が望まれていた。
【0009】
本発明は、斯かる現状の課題を鑑みてなされたものであり、ガラスリボンの品質を確保しつつ、搬送ローラの研磨頻度を低くして、搬送ローラの長寿命化を図ることができるガラス製造装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0011】
即ち、請求項1に係る発明は、溶融ガラスを帯状のガラスリボンに流下して成形する成形手段と、前記ガラスリボンを互いに平行に列置された複数の搬送ローラ上で冷却および成形しながら搬送する搬送手段と、を備えるガラス製造装置であって、前記搬送手段は、前記複数の搬送ローラの各々を軸方向における両端部において個別に支持する複数の軸受けと、前記複数の搬送ローラの各々の軸方向の熱膨張を個別に吸収する第一の吸収手段を備え
、前記搬送手段は、前記搬送ローラの少なくとも一端側において、前記軸受けを保持する複数の個別ハウジングを前記複数の搬送ローラごとに独立して備え、前記第一の吸収手段は、前記複数の個別ハウジングを各々独立して前記搬送ローラの軸方向にスライド可能に支持する複数のスライド手段により構成されることを特徴とする。
【0013】
請求項
2に係る発明は、前記搬送手段は、前記個別ハウジングを前記第一の吸収手段を介して支持する第一のフレームと、前記第一のフレームを支持する第二のフレームと、前記搬送ローラの軸方向への前記第一のフレームの熱膨張を吸収する第二の吸収手段をさらに備え、前記第一のフレームを、前記第二の吸収手段を介して前記第二のフレームにより支持することを特徴とする。
【0014】
請求項
3に係る発明は、前記第二のフレームは、前記第一のフレームの下方において前記第一のフレームを支持し、前記搬送手段は、前記第一のフレームと前記第二のフレームの上下方向の離間距離を調整する高さ調整手段をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
請求項
4に係る発明は、前記搬送手段は、前記第二のフレームを支持する第三のフレームと、前記搬送ローラの軸方向への前記第二のフレームの熱膨張を吸収する第三の吸収手段をさらに備え、前記第二のフレームを、前記第三の吸収手段を介して前記第三のフレームにより支持することを特徴とする。
【0016】
請求項
5に係る発明は、前記搬送手段は、前記ガラスリボンの搬送方向に前記搬送ローラを移動させる移動機構をさらに備えることを特徴とする。
【0017】
請求項
6に係る発明は、前記第一の吸収手段における前記スライド手段、および第二の吸収手段は、無給油プレートにより構成され、前記第三の吸収手段は、リニアガイドにより構成されることを特徴とする。
【0018】
請求項
7に係る発明は、前記成形手段として、前記搬送ローラの上方において溶融ガラスを圧延して前記ガラスリボンを成形する圧延ローラをさらに備えることを特徴とする。
【0019】
請求項
8に係る発明は、前記複数の搬送ローラの温度が上流ほど高くなるよう、該搬送ローラを加熱する加熱手段をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0021】
請求項1に係る発明によれば、
複数の搬送ローラのそれぞれについて、熱膨張を個別に吸収することができる。
これにより、搬送ローラが撓むことを防止できる。
【0023】
請求項
2に係る発明によれば、複数の搬送ローラを支持する第一フレームの熱膨張を吸収することができる。
これにより、搬送ローラが撓むことをより確実に防止できる。
【0024】
請求項
3に係る発明によれば、複数の搬送ローラを支持する第一フレームの熱膨張を吸収することができる。
【0025】
請求項
4に係る発明によれば、第一フレームを支持する第二フレームの熱膨張を吸収することができる。
これにより、搬送ローラが撓むことを、さらに確実に防止できる。
【0026】
請求項
5に係る発明によれば、ガラスリボン搬送手段とガラスリボンの、ガラスリボンの搬送方向における相対位置を調整することができる。
【0027】
請求項
6に係る発明によれば、各吸収手段を簡易に構成しつつ、搬送ローラの熱膨張を吸収することができる。
これにより、簡易に、搬送ローラの長寿命化を図ることができる。
【0028】
請求項
7に係る発明によれば、圧延ローラで成形された直後のガラスリボンを、品質を確保しつつ、搬送することができる。
【0029】
請求項
8に係る発明によれば、圧延ローラで成形された直後のガラスリボンを、急冷破壊を防止しつつ、搬送することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係るガラス製造装置の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。尚、本説明においては、ガラスリボン搬送手段に対して、
図2に示すような三次元座標系を規定しており、ガラスリボン搬送手段により搬送されるガラスリボンの長さ方向(搬送方向)である水平方向をX軸方向、ガラスリボンの幅方向である水平方向をY軸方向、ガラスリボンの厚み方向である鉛直方向をZ軸方向、とそれぞれ規定している(以下、各図に示す座標系において同じ)。
図1に示す如く、本発明に係るガラス製造装置の一実施形態であるロール成形機1は、ガラスリボン50をロール成形の手法により製造する装置であり、溶解窯10、圧延ローラ20、ガラスリボン搬送手段30等を備える構成としている。
【0032】
溶解窯10は、ガラス原料を加熱し溶解させて、ガラスリボン50の元になる溶融ガラス51を供給するための装置である。
【0033】
圧延ローラ20は、互いに平行に配置された一対のローラ部材21・21からなり、ローラ部材21・21の隙間を所定の離間距離に調整しておき、溶解窯10から供給される溶融ガラス51を、回転する各ローラ部材21・21の隙間から引き出すことによって、長さ方向に連続するガラスリボン50を所定の厚みに成形する構成としている。
また、ロール成形機1では、圧延ローラ20に対してエアを吹き付けるブロア22を備えており、各ローラ部材21・21を空冷することによって、ローラ部材21・21の表面に溶融ガラス51やガラスリボン50が巻きつくのを防止している。
【0034】
また
図1に示すように、ローラ部材21・21は溶解窯10から供給される1400℃以上に熱せられた溶融ガラス51を各ローラ部材21・21の隙間から斜め下方に向けて引き出して、ガラスリボン50を成形する構成としている。
【0035】
ガラスリボン搬送手段30は、ガラスリボン50の搬送経路における圧延ローラ20の下流側に配置されており、圧延ローラ20から引き出されたガラスリボン50を、さらに下流側のアニール炉(図示せず)に向けて搬送するための装置であり、複数の搬送ローラ31・31・・・を備えている。
また、ガラスリボン搬送手段30は、ガラスリボン50を搬送する役割の他に、ガラスリボン50が各搬送ローラ31・31・・・上を搬送される間に、該ガラスリボン50の表面品質を整えながら冷却する役割も果たしている。
【0036】
そして、ロール成形機1では、圧延ローラ20から鉛直下方に向けて引き出されたガラスリボン50は、ブロア23からのエアの吹き付けにより余計な垂れを防止されながら斜め下方に搬送され、その後、水平方向(X軸方向)に列置されたガラスリボン搬送手段30の各搬送ローラ31・31・・・上に乗り移る構成としている。
【0037】
ここで、ガラスリボン搬送手段30について、
図2〜
図6を参照しつつ、さらに詳細に説明をする。
図2〜
図6に示す如く、ガラスリボン搬送手段30は、複数(ここでは5本)の搬送ローラ31・31・・・を備えており、各搬送ローラ31・31・・・を互いに平行となる状態で水平方向(X軸方向)に列置して、各搬送ローラ31・31・・・の上端上部に沿って、ガラスリボン50をX軸方向に向けて搬送することができるように構成している。
尚、
図1〜
図6等では5本の搬送ローラ31を有するガラスリボン搬送手段30を示しているが、ガラスリボン搬送手段30を構成する搬送ローラ31の本数はこれに限定されるものではない。
【0038】
ガラスリボン搬送手段30は、各搬送ローラ31・31・・・を定期的にメンテナンスするときにガラスリボン搬送手段30ごと交換することができるように、複数組準備しておくことが好ましく、また、ロール成形機1から容易に着脱することができるように、その下部に車輪等の走行手段を配置しておくことが好ましい。
【0039】
また、
図2〜
図6に示す如く、ガラスリボン搬送手段30は、複数の搬送ローラ31・31・・・を支持するための第一番目のフレームである第一フレーム32を備えており、該第一フレーム32はその上面において軸受けハウジング35・36を支持している。軸受けハウジング35・36は、
図2に示すように、軸受け38・38・・・を保持しており、軸受け38・38・・・により各搬送ローラ31・31・・・を軸回りに回転可能な状態で支持する構成としている。
【0040】
そして、
図2〜
図6に示す如く、搬送ローラ31を支持する軸受けハウジング35・36のうち、一端側の軸受けハウジング35は、第一の吸収手段41(以下、第一吸収手段41と呼ぶ)を介して、第一フレーム32に支持される構成としており、搬送ローラ31のY軸方向への熱膨張を、第一吸収手段41で吸収することにより、搬送ローラ31に撓みが生じるのを防止する構成としている。
【0041】
また、搬送ローラ31を支持する軸受けハウジング35・36のうち、一端側の軸受けハウジング35は、各軸を独立して支持する態様、即ち、軸受けハウジング35が複数の個別ハウジング35a・35a・・・からなる構成としており、また、他端側の軸受けハウジング36は、各軸をまとめて一体的に支持する態様としている。
そして、搬送ローラ31の一端側の端部を支持する個別ハウジング35aは、それぞれ個別にスライド手段41aを介して、第一フレーム32により支持される構成としている。
即ち、ガラスリボン搬送手段30における第一吸収手段41は、各搬送ローラ31・31・・・に個別に対応した複数のスライド手段41a・41a・・・によって構成されており、スライド手段41aで個別ハウジング35aのY軸方向への変位を吸収する構成としている。
【0042】
また、ロール成形機1において、スライド手段41aは、無給油プレートにより構成している。
無給油プレートは、自己潤滑性を有する金属製のプレートであり、例えば、すべり面が焼結材料で構成され、その焼結材料に固体潤滑剤が分散されるとともに、含油処理が施こされたものを用いることができる。
【0043】
そして、ロール成形機1において、スライド手段41aは、個別ハウジング35aの下方のみに配置している。
搬送ローラ31は、メンテナンス時にロール成形機1から着脱する部位であるから、着脱を容易にすることができる構成とするのが重要である。その点において、本発明に係るロール成形機1では、個別ハウジング35aの下方のみにスライド手段41aを配置し、搬送ローラ31を上方に取り外し可能とする構成が好適である。
【0044】
また、
図2〜
図6に示す如く、ガラスリボン搬送手段30において、第一フレーム32は、第二番目のフレームである第二フレーム33上に支持されている。
第一フレーム32は、第二フレーム33に対して高さ調整手段たるジャッキ装置37・37・・・を介して支持されており、さらに、ジャッキ装置37と第一フレーム32との接点には、第二の吸収手段42(以下、第二吸収手段42と呼ぶ)を配置する構成としている。
より詳しくは、第一フレーム32とジャッキ装置37の接点のうち、Y軸方向における一端側(即ち、個別ハウジング35a・35a・・・が配置される側)の2箇所の接点に、第二吸収手段42を配置する構成としており、Y軸方向における他端側(即ち、軸受けハウジング36が配置される側)の2箇所の接点は固定している。
【0045】
ジャッキ装置37は、第一フレーム32と第二フレーム33の離間距離を調整することができる装置であり、ジャッキ装置37を用いて、第一フレーム32の高さを調整することで、圧延ローラ20からガラスリボン搬送手段30にガラスリボン50が乗り移る時のガラスリボン50の姿勢を調整して、ガラスリボン50の品質を調整することができる。
尚、本実施形態では、第一フレーム32の高さを調整するための手段としてジャッキ装置37を例示したが、高さ調整手段としては、例えば、油圧シリンダや電動アクチュエータ等を用いることも可能であり、本発明に係るガラス製造装置における高さ調整手段の態様は、ジャッキ装置に限定されない。
【0046】
ロール成形機1において、第二吸収手段42は、第一フレーム32がY軸方向に向けて熱膨張したときに、該第一フレーム32の熱膨張を第二吸収手段42で吸収することができるように構成している。
【0047】
そして、ロール成形機1では、第二吸収手段42で第一フレーム32に生じる熱膨張を吸収することによって、各搬送ローラ31・31・・・に生じる撓みを確実に抑制することができるように構成している。
また、ロール成形機1において、第二吸収手段42は、無給油プレートにより構成している。
【0048】
スライド手段41aおよび第二吸収手段42を無給油プレートで構成することによって、第一吸収手段41および第二吸収手段42の確実な作動を確保しつつ、第一吸収手段41および第二吸収手段42を簡易に構成することができる。
【0049】
さらに、ガラスリボン搬送手段30において、第二フレーム33は、第三番目のフレームである第三フレーム34上に支持されている。
そして、第二フレーム33と第三フレーム34との接点には、第三の吸収手段43(以下、第三吸収手段43と呼ぶ)および移動機構44を配置する構成としている。
【0050】
第三吸収手段43は、第二フレーム33がY軸方向に熱膨張したときに、該第二フレーム33の熱膨張を吸収することができるように構成している。
さらに、第二フレーム33と第三フレーム34の接点を4箇所設けて、そのうちのY軸方向における一端側(即ち、個別ハウジング35a・35a・・・が配置される側)の2箇所の接点に、第三吸収手段43を配置する構成としており、該第三吸収手段43は、支持プレート45を介して、その下方を移動機構44によって支持する構成としている。また、Y軸方向における他端側(即ち、軸受けハウジング36が配置される側)の2箇所の接点では、支持体46の下方に移動機構44を配置している。
【0051】
即ち、ロール成形機1では、第三吸収手段43で第二フレーム33に生じる熱膨張を吸収することによって、第一フレーム32に生じる撓みを抑制し、ひいては各搬送ローラ31・31・・・に生じる撓みをより確実に抑制することができる。
【0052】
即ち、ガラスリボン搬送手段30は、少なくとも二つのフレーム(第一フレーム32と第二フレーム33)を備えた二層構造とするのが好ましく、さらに第三フレーム34を備えた三層構造とするのがより好ましい。
【0053】
また、移動機構44は、ガラスリボン搬送手段30における第三フレーム34より上方に配置された各部位をX軸方向へ移動できるようにする機構である。
尚、移動機構44は、ガラスリボン搬送手段30全体のX軸方向における熱膨張を吸収することもできる。
【0054】
また、ロール成形機1において、第三吸収手段43は、リニアガイドにより構成される。
リニアガイドたる第三吸収手段43は、直線状のレール部材43aと該レール部材43aに沿ってスライドすることが可能なブロック部材43bにより構成されており、第二フレーム33をブロック部材43bに付設することで、第二フレーム33のY軸方向の膨張を吸収することができるように構成されている。
リニアガイドは、低い抵抗でスムーズにワークの変位を吸収することができ、また、その吸収量の確保が容易である反面、無給油プレートに比して耐熱特性が若干劣る傾向にあり、また、コスト面でも割高となるため、吸収手段としてリニアガイドを採用する部位を、このような観点から適宜選択するのが好適である。
【0055】
即ち、本発明に係るロール成形機1において、第一吸収手段41におけるスライド手段41a・41a・・・、および第二吸収手段42は、無給油プレートにより構成され、第三吸収手段43は、リニアガイドにより構成されることを特徴とする。
そしてこのような構成によれば、簡易にスライド手段41aや第二吸収手段42を構成することができ、また、高温下においても、確実に搬送ローラ31や第一フレーム32の熱膨張を吸収することができる。
また、このような構成にすることで、簡易に第三吸収手段43を構成することができ、確実に第二フレーム33の熱膨張を吸収することができる。
【0056】
さらに、ロール成形機1において、移動機構44は、リニアガイドにより構成される。
移動機構44は、直線状のレール部材44aと該レール部材44aに沿ってスライドすることが可能なブロック部材44bにより構成されており、第二フレーム33をブロック部材44bに付設することで、レール部材44aが敷設された方向に第二フレーム33および第二フレーム33に支持される第一フレーム32をスライドさせることができるように構成されている。
【0057】
尚、本実施形態では、第一吸収手段41を構成するスライド手段41aや第二吸収手段42として無給油プレートを採用し、また、第三吸収手段43としてリニアガイドを採用したが、ロール成形機1に適用できる第一乃至第三の吸収手段の態様はこれに限定されない。
即ち、吸収手段として使用されるものは、その吸収手段が配置される部位の温度や、当該部位で生じる熱膨張量(言い換えれば必要な吸収量)等を考慮して、またさらに、装置コスト等も考慮して、適宜選択をすることができる。例えば、第一吸収手段41および第二吸収手段42として、リニアガイドを採用しても良い。
また、本実施形態で示す吸収手段は、ガラスリボン搬送手段30の各部に生じる熱膨張を吸収する場合を例示しているが、ガラスリボン搬送手段30の各部に熱収縮が生じた場合にも、同吸収手段によって、変位を吸収することができるように、各吸収手段のストロークを設定しておくことが好ましい。
【0058】
また、ガラスリボン搬送手段30において、各搬送ローラ31・31・・・の直下には、
図1に示すように、ガスバーナー24・24・・・を配置しており、各搬送ローラ31・31・・・をガスバーナー24・24によって加熱して、搬送ローラ31とガラスリボン50の温度を近づけることにより、ガラスリボン50が搬送ローラ31に接触したときにガラスリボン50が急激に冷却されることを防止している。
また、ガスバーナー24の直下には、防火板や防熱板(いずれも図示せず)を配置しており、搬送ローラ31・31・・・周囲の高温雰囲気から、下部に位置する各フレーム32・33・34等に伝達される熱を抑制する構成としている。
【0059】
図1に示す如く、ロール成形機1を用いてガラスリボン50を製造するときには、ガラスリボン搬送手段30に乗り移ったガラスリボン50は、その上流側から下流側までのおよそ1000〜1500mmの範囲において、約100℃の温度差が生じている。
【0060】
即ち、ガラスリボン搬送手段30を構成する各搬送ローラ31・31・・・は、上流側から順により高温の状態にあるガラスリボン50と接することになるため、上流側に位置する搬送ローラ31ほど熱膨張量が大きくなる。
【0061】
ガラスリボン搬送手段30では、搬送ローラ31・31・・・の一端側の端部を支持する軸受けハウジング35を複数の個別ハウジング35a・35a・・・からなる構成とし、搬送ローラ31ごとにスライド手段41aで熱膨張を吸収する構成としている。このため、ガラスリボン搬送手段30では、各スライド手段41a・41a・・・が各搬送ローラ31・31・・・の異なる熱膨張量に個別に対応して変位を吸収することができるため、熱膨張に起因する搬送ローラ31の撓みを防止できる。
【0062】
また、ガラスリボン搬送手段30では、第一フレーム32と該第一フレーム32を支持するジャッキ装置37との間に第二吸収手段42を設けて、第一フレーム32の搬送ローラ31の軸方向(Y軸方向)への熱膨張を吸収する構成として、各搬送ローラ31・31・・・の撓みを、より確実に防止できる。
【0063】
さらに、ガラスリボン搬送手段30では、第二フレーム33と該第二フレーム33を支持する第三フレーム34との間に第三吸収手段43を設けて、第二フレーム33の熱膨張による変形を第一フレーム32や各搬送ローラ31・31・・・に波及させない構成としているため、各搬送ローラ31・31・・・に撓みが生じることを、より確実に防止している。