(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1半導体基板及び前記第2半導体基板それぞれの中心を原点とする第1座標系を用いて、前記第1マークと前記第2マークとの位置関係が関連づけられ、前記第3マークと前記第4マークとの位置関係が関連づけられており、また、前記第1半導体基板及び前記第2半導体基板それぞれは、前記第1面及び前記第3面上に形成されたスクライブラインに設定される原点を有する第2座標系を用いて、前記第1マークと前記第1電極との位置関係が関連づけられ、前記第3マークと前記第2電極との位置関係が関連づけられており、
前記第1半導体基板及び前記第2半導体基板は外形が同じであり、輪郭を一致させて対向させており、
前記第3マークと前記第4マークとの位置関係及び前記第3マークと前記第2電極との位置関係に基づいて、前記第2電極の位置を、前記第1半導体基板の前記第1面上に形成されたスクライブラインに設定される原点を有する第2座標系で表して、前記第2座標系で表された前記第1電極と前記第2電極との位置の差である前記変位量を求める請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
第1面及び第2面と、前記第1面に配置される第1電極と、前記第1電極との位置関係が関連づけられており、前記第1面に配置される第1マークと、前記第2面に配置され、前記第1マークとの位置関係が関連づけられる第2マークと、を有する第1半導体基板に対する、前記第1電極と前記第1マークとの位置関係及び前記第1マークと前記第2マークとの位置関係と、
第3面及び第4面と、前記第3面に配置される第2電極と、前記第2電極との位置関係が関連づけられており、前記第3面に配置される第3マークと、前記第4面に配置され、前記第3マークとの位置関係が関連づけられる第4マークと、を有する第2半導体基板に対する、前記第2電極と前記第3マークとの位置関係及び前記第3マークと前記第4マークとの位置関係と、
を記憶する記憶部と、
前記第1半導体基板と前記第2半導体基板とを、前記第1面及び前記第3面を対向させた状態で、前記第2マーク及び前記第4マークの位置を測定する測定部と、
測定された前記第2マーク及び前記第4マークの位置と、
前記記憶部に記憶された、前記第1電極と前記第1マークとの位置関係及び前記第1マークと前記第2マークとの位置関係と、前記第2電極と前記第3マークとの位置関係及び前記第3マークと前記第4マークとの位置関係と、
に基づいて、前記第1電極と前記第2電極との位置関係を求める演算部と、
を備える半導体装置の検査装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本明細書で開示する半導体基板の好ましい一実施形態を、図を参照して説明する。但し、本発明の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【0019】
図1(A)は、本明細書に開示する半導体基板の一実施形態を示す表面の図であり、
図1(B)は裏面の図である。
図2(A)は、
図1(A)のX−X線断面図であり、
図2(B)は、
図2(A)の端部の拡大図である。
【0020】
本実施形態の半導体基板10aは、表面である第1面10f及び裏面である第2面10rを有し、第1面10f上に他の半導体基板が積層され得る。
【0021】
第1面10f上には、スクライブラインLでよって境界が定められた複数の半導体ユニットUが配置される。各半導体ユニットUには、複数の電極Pが配置される。これらの電極Pは、第1面10f上に積層される他の半導体基板の電極と電気的に接続され得るものである。電極Pの上には、バンプ13が配置される。電極Pは、バンプ13を介在させて、他の半導体基板の電極と電気的に接続される。半導体基板10aは、第1面10f上に他の半導体基板が積層された後、スクライブラインLに沿って切断されて個々の半導体装置が形成される。
【0022】
図2(A)に示すように、半導体基板10aは、回路素子が配置される素子層12を有する。第1面10f上に配置される各電極Pは、図示しない配線層又はコンタクト等を用いて、素子層12と電気的に接続される。
【0023】
第1面10f上には、リソグラフィー法を用いて電極Pと同時に形成されており、電極Pとの位置関係が関連づけられている表マークS1〜S3が配置される。
【0024】
半導体基板10aの第1面10f上には、3つの表マークS1〜S3が形成される。ノッチ11を12時の方向として、表マークS1は3時の位置に配置され、表マークS2は7時の位置に配置され、表マークS3は11時の位置に配置される。
【0025】
また、半導体基板10aの第2面10r上には、表マークS1〜S3との位置関係が関連づけられている裏マークB1〜B3が配置される。裏マークB1は、表マークS1と対応する位置に配置され、裏マークB2は、表マークS2と対応する位置に配置され、裏マークB3は、表マークS3と対応する位置に配置される。
【0026】
表マークS1〜S3及び裏マークB1〜B3は、半導体基板10aを、第1面10fを他の半導体基板と対向させて積層する時に、積層される半導体基板の位置のずれを求め、対向する電極同士の位置を一致するように補正するために用いられる。
【0027】
半導体基板10aが、第1面10fを他の半導体基板と対向させた状態では、表マークS1〜S3及び電極Pは、外側からは視認できない。そこで、裏マークB1〜B3を、第2面10r上に配置すると共に、裏マークB1〜B3と対応する表マークS1〜S3が、第1面10f上に配置される。表マークS1〜S3の位置は、電極Pの位置と関連づけられているので、裏マークB1〜B3の位置を測定することにより、表マークS1〜S3の位置を介在させて、第1面10f上の電極Pの位置を求めることができる。即ち、測定された裏マークB1〜B3の位置に基づいて、外側からは視認できない電極Pの位置を求めることができる。半導体基板10aと対向している他の半導体基板に対しても、裏マーク及び対応する表マークが形成されているので、他の半導体基板の電極の位置を求めることができる。そして、対向する電極同士の位置のずれを求めて、電極の位置を一致するように補正することができる。
【0028】
少なくとも1つの表マーク及び対応する裏マークが、半導体基板10aの第1面10f及び第2面10rに形成される。積層される半導体基板の位置のずれを、特に円周方向の位置のずれを、より正確に求める観点からは、少なくとも3つの表マーク及び対応する裏マークが、半導体基板10aの第1面10f及び第2面10rに形成されることが好ましい。
【0029】
複数の表マーク及び裏マークを配置する場合には、積層される半導体基板の位置のずれを正確に求める観点から、各マークが偏って配置されないことが好ましい。半導体基板10aでは、3つの表マークS1〜S3及び対応する裏マークB1〜B3は、マーク間の中心角が120°の間隔で配置される。
【0030】
裏マークB1〜B3は、対応する表マークS1〜S3に対して、所定の範囲に配置される。例えば、半導体基板10aの中心を原点とする極座標を用いて、表マークと対応する裏マークとの位置関係を、動径及び偏角の所定の範囲で定めることができる。
【0031】
表マークS1〜S3及び電極Pは、半導体基板10a上のパターニングされたマスクを用いて形成される。このマスクは、設計された半導体基板10aのパターンデータに基づき、リソグラフィー法を用いてパターニングされる。従って、表マークS1〜S3の位置と電極Pの位置とは、パターンデータに基づいて関連づけられている。
【0032】
表マークS1〜S3は、円形等の任意の形状を有するマークとして形成しても良い。また、表マークS1〜S3として、スクライブライン等のすでにパターンデータ上に存在するパターンを用いても良い。
【0033】
表マークS1〜S3が配置される位置は、第1面10f上であれば、特に制限されることはない。表マークS1〜S3は、
図2(B)に示すように、半導体基板10aの第1面10fにおける平坦部に配置しても良いし、又は、ベベル部14に配置しても良い。表マークがベベル部14に配置される場合には、表マークは、ベベル部14の頂点14aよりも表側に配置される。
【0034】
第1面10f上の平坦部には半導体ユニットUが形成されるので、平坦部を有効に使用する観点からは、表マークS1〜S3は、半導体基板10aのエッジ近傍の外周部に配置することが好ましい。また、表マークS1〜S3をエッジ近傍に配置することにより、エッジ検査装置を用いて、表マークS1〜S3の位置を測定することができる。エッジ検査装置を用いて、表マークS1〜S3の位置を測定する場合には、表マークS1〜S3の位置を、半導体基板10aのエッジから例えば5mm以内に配置することが好ましい。裏マークB1〜B3の位置も、表マークS1〜S3と同様に装置を用いて測定することができる。
【0035】
また、表マークS1〜S3が配置される位置は、表マークS1〜S3を他のパターンとは区別して測定する観点から、他のパターンが配置されない領域か、又は配置される他のパターンが少ない領域にすることが好ましい。表マークS1〜S3を、他のパターンとは区別して測定できるように、横長又は縦長の形状にしても良い。
【0036】
表マークS1〜S3は、パターンデータに基づいて、電極と同時に形成されていれば、どのようなパターンであっても良い。表マークS1〜S3の具体例としては、半導体基板10aがエッチングされた後のパターン、又は、半導体基板10aが機械的化学的研磨された後のパターン、又は、半導体基板10a上に膜を積層した後のパターン等が挙げられる。
【0037】
表マークS1〜S3の寸法としては、表マークS1〜S3の位置を測定する装置の分解能に応じて適宜設定され得る。例えば、エッジ検査装置を用いて、表マークS1〜S3の位置を測定する場合には、表マークS1〜S3の寸法として0.1mm程度とすることができる。
【0038】
裏マークB1〜B3は、半導体基板10aが他の半導体基板と積層されるまでに形成される。例えば、裏マークB1〜B3は、第1面10f上に電極P及び表マークS1〜S3を形成する前に、第2面10r上に形成しても良い。
【0039】
裏マークB1〜B3が配置される位置は、第2面10r上であれば、特に制限されることはない。裏マークB1〜B3は、
図2(B)に示すように、半導体基板10aの第2面10rにおける平坦部に配置しても良いし、又は、ベベル部14に配置しても良い。裏マークがベベル部14に配置される場合には、裏マークは、ベベル部14の頂点14aよりも裏側に配置される。
【0040】
エッジ検査装置を用いて、表マークと裏マークの位置を同時に測定する観点から、裏マークB1〜B3を、半導体基板10aのエッジ近傍の外周部に配置することが好ましい。
【0041】
裏マークB1〜B3の形成方法は、特に制限はされないが、例えば、レーザ加工装置を用いることができる。
【0042】
裏マークB1〜B3の寸法は、裏マークの位置を測定する装置の分解能に応じて設定され得る。エッジ検査装置を用いる場合には、裏マークを形成するドットの大きさとして、約100μm〜300μmとすることができる。
【0043】
また、裏マークB1〜B3の深さは、半導体基板10aの第2面10rが研磨された後にも裏マークが残るように設定することが好ましい。通常、機械的化学的研磨によって40μm〜150μmの厚さが低減するので、裏マークB1〜B3の深さを、50μm〜200μm程度に形成することが好ましい。
【0044】
図3は、半導体基板10aの表マークS1〜S3及び裏マークB1〜B3の位置を測定するエッジ検査装置を説明する図である。
【0045】
エッジ検査装置20は、半導体基板10aのエッジの画像を取得するセンサ部21と、半導体基板10aを載置するステージ22と、センサ部21及びステージ22を制御する装置制御部23を備える。
【0046】
ステージ22は、円形の半導体基板10aを吸着して載置するステージ部22cと、ステージ部22cを回転する回転駆動部22bと、回転駆動部22bを制御する駆動制御部22aを有する。駆動制御部22aは、装置制御部23によって制御される。
【0047】
センサ部21は、ステージ22によって回転する半導体基板10aの円周に沿ったエッジの画像を取得して、取得した画像を装置制御部23に出力する。
【0048】
装置制御部23は、記憶部23bと、入出力部23cと、表示部23dと、通信部23eと、各部を制御する制御部23aを備える。制御部23aが、記憶部23bが記憶する検査プラグラムを実行することにより、装置制御部23の各機能が実現される。なお、装置制御部23は、ハードゥエアを用いて形成しても良い。
【0049】
記憶部23bは、制御部23aが実行する検査プログラムを記憶する。また、記憶部23bは、半導体基板10aの第1面10fに形成されるスクライブラインL、電極P及び表マークS1〜S3等のパターンデータを記憶する。また、記憶部23bは、センサ部21が出力した画像を記憶する。更に、記憶部23bは、半導体基板10aのロット番号、ウエハ番号又は品種といった情報を、パターンデータと共に記憶する。
【0050】
入出力部23cは、キーボード、マウス又はプリンタ等の入出力装置を有する。
【0051】
表示部23dは、液晶ディスプレイ等の表示装置を有する。
【0052】
通信部23eは、センサ部21及びステージ22との間の通信を行う。
【0053】
次に、エッジ検査装置20の動作を以下に説明する。
【0054】
まず、ステージ部22c上で回転する半導体基板10aのエッジに対して、センサ部21は、第2面10r側から第1面10f側までを、レーザ光を用いて円弧上に走査し、エッジからの散乱光を検出して、半導体基板10aの円周に沿ったエッジの帯状の画像を取得する。
【0055】
制御部23aは、記憶部23bに記憶された検査プログラムを実行して、取得された画像内の所定の寸法又は所定の形状を有する領域を、表マーク及び裏マークとして判断する。
【0056】
表マーク及び裏マークの位置は、既知であるので、取得された画像にウインドウを設けて、ウインドウ内から表マーク及び裏マークを認識しても良い。
【0057】
求められた表マーク及び裏マークの位置は、円形の半導体基板10aの中心を原点O1とする極座標系Z1において、動径r及び偏角θで表され、半導体基板10aと関連づけられて、記憶部23bに記憶される。
【0058】
図4は、表マークと裏マークとの位置関係を示す図である。
【0059】
極座標系Z1において、動径rは、原点O1からの距離であり、偏角θは、原点O1とノッチ11とを結ぶ基準線Mからの角度である。
【0060】
表マークS1は、第1面10fに配置され、裏マークB1は、第2面10rに配置されているが、極座標系Z1は、半導体基板10aを平面視した平面上の座標系なので、裏マークB1を第1面10f上に投影した座標面において両マークを表すことになる。または、表マークS1を第2面10r上に投影した座標面において両マークを表していると考えても良い。
【0061】
極座標系Z1において、表マークS1は、座標S1(rs1,θs1)で表され、対応する裏マークB1は、座標B1(rb1,θb1)で表される。表マークS1と裏マークB1との位置のずれは、変位量ΔAで表される。ΔAは、大きさと方向とを有するベクトル量である。
【0062】
次に、制御部23aは、第1面10fに形成されたスクライブラインLに設定される原点O2を有するデカルト座標系Z2を用いて、表マークS1の位置を表す。ここで、第1面10fに形成されたスクライブラインLに設定される原点O2は、センサ部21が取得した画像に含まれる領域から選択される。原点O2は、スクライブラインLの交点としても良い。
【0063】
表マークS1が、第1面10fの平坦部に配置されている場合には、制御部23aは、記憶部23bに記憶された半導体基板10aのパターンデータに基づいて、表マークS1の位置を、デカルト座標系Z2を用いて表すことができる。
【0064】
一方、表マークS1が、第1面10fのベベル部14に配置されている場合には、制御部23aは、極座標系Z1で表された表マークS1の位置を、デカルト座標系Z2に座標変換して、表マークS1の位置を、デカルト座標系Z2を用いて表す。この座標変換としては、例えば、特開2012−134310号明細書に開示されている方法を用いることができる。
【0065】
このようにして、制御部23aは、第1面10f上の所定の電極Pと、表マークS1との位置関係を、デカルト座標系Z2を用いて表すことができる。
【0066】
図5は、表マークと電極との位置関係を示す図である。
【0067】
デカルト座標系Z2において、表マークS1は、座標S1(xs1,ys1)で表され、電極Pは、座標P(xp、yp)で表される。表マークS1と電極Pとの位置のずれは、変位量ΔBで表される。ΔBは、大きさと方向とを有するベクトル量である。
【0068】
半導体基板10aでは、表マークS1と裏マークB1との位置関係に基づいて、裏マークB1と電極Pとの位置関係が関連づけられる。
【0069】
同様に、表マークS2と裏マークB2とは、極座標系Z1を用いて、位置関係が関連づけられており、表マークS3と裏マークB3も、極座標系Z1を用いて、位置関係が関連づけられている。
【0070】
また、表マークS2の位置は、第1面10fに形成されたスクライブラインLに設定される原点O2’を有するデカルト座標系Z2’を用いて表される。そして、デカルト座標系Z2’を用いて表された表マークS2の位置は、座標変換されて、原点O2を有するデカルト座標系Z2を用いて表される。更に、表マークS2と裏マークB2との位置関係に基づいて、裏マークB2と電極Pとの位置関係が関連づけられる。
【0071】
同様にして、表マークS3の位置は、第1面10fに形成されたスクライブラインLに設定される原点O2’’を有するデカルト座標系Z2’’を用いて表される。そして、デカルト座標系Z2’’を用いて表された表マークS3の位置は、座標変換されて、原点O2を有するデカルト座標系Z2を用いて表される。更に、表マークS3と裏マークB3との位置関係に基づいて、裏マークB3と電極Pとの位置関係が関連づけられる。ここで裏マークB1〜B3と位置関係が関連づけられる電極Pは、同じ電極である。
【0072】
次に、上述した半導体基板10aを積層して半導体装置を製造する好ましい一実施形態を、図面を参照して、以下に説明する。
【0073】
図6及び
図7は、本明細書に開示する半導体装置の製造方法の一実施形態を説明するフローチャートである。また、
図8〜
図10は、本明細書に開示する半導体装置の製造方法の一実施形態の工程を説明する図である。
【0074】
フローチャートのステップS1〜S26及び
図8(A)〜
図8(C)は、第1半導体基板10aと、第2半導体基板10bとを積層する工程を説明する。第1半導体基板10aは、上述した半導体基板であり、第1面10f上に配置された複数の第1電極Pと、表マークS1〜S3と、裏マークB1〜B3を備える。第2半導体基板10bは、第1半導体基板10aと同様の構成を有するが、第1半導体基板10aとは異なる回路を有する素子層(図せず)を備えていてもよい。第2半導体基板10bは、第1面10f上に配置された複数の第2電極Qと、表マークT1〜T3と、裏マークC1〜C3を備える。第1半導体基板10aと第2半導体基板10bとは、互いの第1面10f同士を対向させた状態で、各第2電極Qは、対応する第1電極Pと対向するように配置される。例えば、DRAMのような記憶装置である半導体装置を形成する場合には、半導体ユニットをとしてインターフェースチップを有する第1半導体基板10aを用いることができる。また、第2半導体基板10bとして、複数の記憶セルとそれらの記憶セルへアクセスするバックエンド部を有する半導体ユニットが形成された基板を用いることができる。
【0075】
また、フローチャートのステップS28〜S36及び
図9(A)〜
図10(C)は、他の半導体基板10c〜10eを積層した後に、個々の半導体装置に切断する工程を説明する。
【0076】
まず、ステップS10において、
図3に示すように、エッジ検査装置20を用いて、第1半導体基板10aの表マークS1〜S3及び裏マークB1〜B3の位置が測定される。
【0077】
次に、ステップS12において、エッジ検査装置20は、測定結果に基づいて、第1半導体基板10aの表マークS1〜S3と裏面マークB1〜B3との位置関係及び第1電極Pと表マークS1〜S3との位置関係を関連づけて記憶する。
【0078】
次に、ステップS14において、エッジ検査装置20を用いて、第2半導体基板10bの表マークT1〜T3及び裏マークC1〜C3の位置が測定される。
【0079】
次に、ステップS16において、エッジ検査装置20は、測定結果に基づいて、第2半導体基板10bの表マークT1〜T3と裏面マークC1〜C3との位置関係及び第2電極Qと表マークT1〜T3との位置関係を関連づけて記憶する。
【0080】
次に、ステップS18において、
図8(A)に示すように、第1半導体基板10aと第2半導体基板10bとを、輪郭を一致させて、第1面10f同士を対向させた状態で、それぞれの第2面10rに配置された裏マークB1〜B3及び裏マークC1〜C3の位置が測定される。この測定は、
図11に示す貼り合わせ装置30を用いて行われる。
【0081】
貼り合わせ装置30は、
図3に示すエッジ検査装置が有する各部と、第2ステージ31を備える。センサ部21と、第1ステージ22(
図3のステージ部に対応)と、装置制御部23の構成は、
図3に示すエッジ検査装置と同様である。第1ステージ22は、第1半導体基板10aの第2面10rを吸着して載置する。
【0082】
第2ステージ31は、円形の第2半導体基板10bの第2面10rを吸着して載置するステージ部31eと、ステージ部31eを水平方向に駆動する水平駆動部31bと、ステージ部31eを垂直方向に駆動する垂直駆動部31cと、ステージ部31eを回転する回転駆動部31dと、各駆動部を制御する駆動制御部31aを有する。駆動制御部31aは、装置制御部23によって制御される。第1半導体基板10a及び第2半導体基板10bは、図示しない搬送部によって、各ステージ部に搬送される。
【0083】
貼り合わせ装置30は、
図3に示すエッジ検査装置としても機能する。第1半導体基板10a及び第2半導体基板10bそれぞれの表マーク及び裏マークの位置は、貼り合わせ装置30を用いて測定しても良い。記憶部23bには、第1半導体基板10aのパターンデータも記憶されており、表マークの位置と所定の第1電極Pとの位置が関連づけられて記憶されている。同様に、記憶部23bには、第2半導体基板10bのパターンデータも記憶されており、表マークの位置と所定の第2電極Qとの位置が関連づけられて記憶されている。また、上述したステップS10〜S16の処理において、エッジ検査装置20によって求められたデータは、貼り合わせ装置30の装置制御部23の記憶部23bにも記憶される。または、ステップS10〜S16の処理を、貼り合わせ装置30を用いて行っても良い。
【0084】
制御部23aは、記憶部23bに記憶された貼り合わせプログラムを実行することにより、装置制御部23の各機能が実現される。
【0085】
貼り合わせ装置30が、輪郭を一致させて対向する第1半導体基板10a及び第2半導体基板10bの第2面10rのエッジに配置された裏マークB1〜B3及び裏マークC1〜C3の位置を測定する動作については、上述した説明が適用される。
【0086】
具体的には、貼り合わせ装置30を用いて、対向する第1半導体基板10a及び第2半導体基板10bの裏マークB1〜B3及び裏マークC1〜C3の位置を測定する時には、まず、第1半導体基板10aの第2面10rがステージ部22cに吸着して載置される。次に、第2半導体基板10bの第2面10rがステージ部31eに吸着して載置される。次に、駆動制御部31aが、水平駆動部31b、垂直駆動部31c及び回転駆動部31dを制御して、第1半導体基板10aと第2半導体基板10bとを、ノッチの位置及び輪郭を一致させて、間隔をあけて対向するように、ステージ部31eを駆動する。
【0087】
第1ステージ22及び第2ステージ31は、同期して、対向する第1半導体基板10a及び第2半導体基板10bを回転させる。
【0088】
次に、センサ部21は、対向する第1半導体基板10a及び第2半導体基板10bの円周に沿ったエッジの帯状の画像を取得する。次に、制御部23aは、記憶部23bに記憶された検査プログラムを実行して、取得された画像から所定の寸法又は所定の形状を有する領域を裏マークとして求められる。
【0089】
次に、ステップS20において、貼り合わせ装置30は、第1電極Qと第2電極Pとの位置の差である変位量を求める。貼り合わせ装置30は、第1電極Qと第2電極Pとの位置の差である変位量を求めるために、まず、各半導体基板に対して、表マークと裏マークとの位置関係を求める。
【0090】
以下では、説明を簡単にするために、第1半導体基板10aは、1つの表マークS1及び対応する裏マークB1を有し、第2半導体基板10bは、1つの表マークT1及び対応する裏マークC1を有するとして説明を行う。
【0091】
図12は、2枚の半導体基板の裏マークの位置に基づいて、それぞれの表マークの位置を求めることを説明する図である。
【0092】
貼り合わせ装置30は、第1半導体基板10aの中心を原点O1とする極座標系Z1を用いて、第1半導体基板10aの表マークS1〜S3及び裏マークB1〜B3と、第2半導体基板10bの表マークT1〜T3及び裏マークC1〜C3を表す。極座標系Z1は、第1半導体基板10aを平面視した平面上の座標系なので、第2半導体基板10bの表マークT1〜T3及び裏マークC1〜C3を第1半導体基板10aの第1面10f上に投影した座標面において各マークを表すことになる。
【0093】
極座標系Z1において、第1半導体基板10aの表マークS1は、座標S1(rs1,θs1)で表され、対応する裏マークB1は、座標B1(rb1,θb1)で表される。表マークS1と裏マークB1との位置のずれは、変位量ΔA1で表される。ΔA1は、大きさと方向とを有するベクトル量である。また、極座標系Z1において、第2半導体基板10bの表マークT1は、座標T1(rt1,θt1)で表され、対応する裏マークC1は、座標B1(rc1,θc1)で表される。表マークT1と裏マークC1との位置のずれは、変位量ΔA2で表される。ΔA2は、大きさと方向とを有するベクトル量である。また、裏マークB1と裏マークC1との位置のずれは、変位量ΔGで表される。ΔGは、大きさと方向とを有するベクトル量である。
【0094】
次に、貼り合わせ装置30は、第1半導体基板10aの第1面10f上の所定の第1電極Pと、表マークS1との位置関係を、第1半導体基板10aの第1面10fに形成されたスクライブラインLに設定される原点O2を有するデカルト座標系Z2を用いて表す。また、貼り合わせ装置30は、第2半導体基板10bの第1面10f上の所定の第2電極Qと、表マークT1との位置関係をデカルト座標系Z2を用いて表す。ここで、第2半導体基板10bの所定の第2電極Qは、第1半導体基板10aの所定の第1電極Pと接合される対応する位置に配置された電極である。
【0095】
図13は、2枚の半導体基板の表マークの位置に基づいて、それぞれの電極の位置を求めることを説明する図である。
【0096】
デカルト座標系Z2において、第1半導体基板10aの表マークS1は、座標S1(xs1,ys1)で表され、第1半導体基板10aの第1電極Pは、座標P(xp、yp)で表される。表マークS1と第1電極Pとの位置のずれは、変位量ΔB1で表される。ΔB1は、大きさと方向とを有するベクトル量である。
【0097】
また、デカルト座標系Z2において、第2半導体基板10bの表マークT1は、座標T1(xt1,yt1)で表され、第2半導体基板10bの第2電極Qは、座標Q(xq、yq)で表される。表マークT1と第2電極Qとの位置のずれは、変位量ΔB2で表される。ΔB2は、大きさと方向とを有するベクトル量である。
【0098】
デカルト座標系Z2において、第1半導体基板10aの第1電極Pと第2半導体基板10bの第2電極Qとの位置のずれは、変位量ΔHで表される。ΔHは、大きさと方向とを有するベクトル量である。
【0099】
次に、ステップS22において、貼り合わせ装置30は、変位量ΔHが所定の範囲内であるか否かを判断する。変位量ΔHが所定の範囲内であれば、ステップS24に進む。一方、変位量ΔHが所定の範囲外の時には、ステップS26に進む。ここで、変位量ΔHが所定の範囲内であるとは、対向する所定の第1電極Pと、所定の第2電極Qとが、バンプを介して、電気的に接続する位置関係にあることを意味する。
【0100】
ステップS24に進んだ場合には、貼り合わせ装置30は、
図8(B)に示すように、第1半導体基板10aと第2半導体基板10bとを、互いの第1面10f同士を対向させて積層する。そして、第1半導体基板10aの第1面10f上の各電極Pは、第2半導体基板10bの第1面10f上の対応する電極Qと、それぞれのバンプ13a、13bを介在して電気的に接続される。バンプ13aとバンプ13bとの電気的な接続は、加熱又は加圧により行われ得る。そして、
図8(C)に示すように、第1半導体基板10aと第2半導体基板10bとの間に充填材15が充填される。充填材15としては、例えば、熱硬化性の樹脂を用いることができる。
【0101】
一方、ステップS26に進んだ場合には、第1半導体基板10aと第2半導体基板10bとの位置関係に対して、変位量ΔHが所定の範囲内になるように補正される。そして、第1半導体基板10aと第2半導体基板10bとが、互いの第1面10f同士を対向させて積層される。次に、変位量ΔHが所定の範囲内になるように補正する処理を以下に説明する。
【0102】
図14に示すように、デカルト座標系Z2において、第2半導体基板10bの第2電極Qの位置を、第1半導体基板10aの第1電極Pの位置に一致させるには(少なくとも所定の範囲内に近接させるには)、第2電極Qを、変位量ΔHだけ移動させれば良い。この時、デカルト座標系Z2において、第2半導体基板10bの表マークT1も、変位量ΔHだけ移動する。
【0103】
このように第2半導体基板10bを第1半導体基板10aに対して変位量ΔHだけ移動した時、
図15に示すように、極座標系Z1において、第2半導体基板10bの裏マークC1も変位量ΔHだけ移動することになる。移動後の裏マークC1と裏マークB1との位置のずれは、変位量ΔIで表される。ΔIは、大きさと方向とを有するベクトル量である。
【0104】
従って、貼り合わせ装置30は、第2半導体基板10bの裏マークC1を、変位量ΔHだけ移動させて、第2電極Qを、第1電極Pと一致するように(少なくとも所定の範囲内に近接させるように)、第2半導体基板10bを第2ステージ31を用いて移動する。または、貼り合わせ装置30は、第2半導体基板10bの裏マークC1と、第1半導体基板10aの裏マークB1との位置のずれが変位量ΔIとなるように、第2半導体基板10bを第2ステージ31を用いて移動しても良い。
【0105】
そして、貼り合わせ装置30は、
図8(B)に示すように、第1半導体基板10aと第2半導体基板10bとを、互いの第1面10f同士を対向させて積層する。そして、第1半導体基板10aの第1面10f上の各電極Pは、第2半導体基板10bの第1面10f上の対応する電極Qと、それぞれのバンプ13a、13bを介在して接続される。バンプ13aとバンプ13bとの電気的な接続は、加熱又は加圧により行われ得る。そして、
図8(C)に示すように、第1半導体基板10aと第2半導体基板10bとの間に充填材15が充填される。
【0106】
第1半導体基板10aが3つの表マーク及び対応する裏マークを有し、第2半導体基板10bが3つの表マーク及び対応する裏マークを有する場合には、第1電極Pと第2電極Pとの位置のずれを表す3つの変位量ΔH1〜ΔH3が求められる。そこで、第2半導体基板10aを移動する量は、3つの変位量ΔH1〜ΔH3に基づいて決定され得る。決定する方法としては、例えば、3つの変位量ΔH1〜ΔH3の平均の変位量を用いることができる。また、3つの変位量ΔH1〜ΔH3に基づいて位置のずれを精度よく補正する観点から、3点法を用いて、第2半導体基板10aを移動する量を決定しても良い(特許第4667186号明細書等を参照)。以上が、ステップS26の説明である。
【0107】
次に、ステップS28において、
図9(A)に示すように、第2半導体基板10bの裏面である第2面10rを削って、第2半導体基板10bの厚さを低減する。
【0108】
次に、ステップS30において、
図9(B)に示すように、第2半導体基板10bの第2面10r側から、基板を貫通して第2電極Qと電気的に接続する貫通電極Vが形成される。貫通電極Vは、第2半導体基板10bの第2面10rに露出する。
【0109】
次に、ステップS32において、
図9(C)に示すように、第2半導体基板10bの裏面である第2面10rに露出している貫通電極V上にバンプ13cが形成されて、第1半導体基板10a、10bが積層された基板積層体10abが得られる。
【0110】
次に、ステップS34において、基板積層体10abと他の第3〜5半導体基板10c〜10eとが積層される。第3〜5半導体基板10c〜10eは、第2半導体基板10bと同様の構成を有しており、そのパターンデータは、エッジ検査装置及び貼り合わせ装置の記憶部に記憶されている。第3〜5半導体基板10c〜10eは、図示しない素子層を有している。なお、第1半導体基板10a上に積層される半導体基板の数は、特に限定されるものではない。
【0111】
まず、基板積層体10abと第3半導体基板10cとを用いて、上述したステップS14〜ステップS34を繰り返して、
図10(A)に示すように、基板積層体10abと第3半導体基板10cとが積層された基板積層体10abcが得られる。ここで、ステップS14及びS16では、第3半導体基板10cの表マークU1及び裏マークD1の測定及び電極との位置関係の関連づけが行われる。
【0112】
更に、基板積層体10abc上に、第4半導体基板10d及び第5半導体基板10eが積層されて、
図10(B)に示す基板積層体10abcdeが得られる。なお、第5半導体基板10eに対しては、貫通電極を形成されない。
【0113】
次に、ステップS36において、基板積層体10abcdeがスクライブラインLに沿って切断されて、個々の半導体装置1が得られる。
【0114】
上述した本実施形態の半導体装置の製造方法によれば、外部から視認できない積層される基板の位置のずれを求め、対向する電極の位置が一致するように、積層される半導体基板の位置のずれを補正して、半導体基板を積層することができる。
【0115】
貼り合わせ装置において、2枚の半導体基板が、輪郭及びノッチの位置を一致させても、装置の精度の範囲内で一致させているので、対向する電極同士の位置にはずれが生じる可能性がある。また、パターニングされた電極の位置は、基板の中心に対して、設計された位置とはずれている場合がある。
【0116】
本実施形態では、このような製造工程の工程能力に起因する位置のずれを求めて、位置のずれを補正して、半導体装置を製造することができる。
【0117】
本発明では、上述した実施形態の半導体装置の検査装置及び半導体装置の製造方法は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
【0118】
例えば、上述したステップS18において、第1半導体基板10aと第2半導体基板10bとの間に充填材を充填し、両基板を仮貼り合わせした後に、裏マークの位置の測定及び位置の補正を行っても良い。この場合、位置の補正を行う時には、充填材は硬化しておらず、両基板は仮貼り合わせされているので、両基板を離間して位置の補正を行うことができる。
【0119】
また、上述したステップS18において、基板を回転するのではなく、センサ部を基板の周囲に沿って回転するように駆動して、裏マークの位置を測定しても良い。
【0120】
また、上述した説明では、半導体基板の中心を原点とする極座標系を用いていたが、半導体基板の中心を原点とするデカルト座標系を用いても良い。
【0121】
更に、上述した説明では、スクライブライン上に原点を有するデカルト座標系を用いていたが、スクライブライン上に原点を有する極座標系を用いても良い。
【0122】
ここで述べられた全ての例及び条件付きの言葉は、読者が、発明者によって寄与された発明及び概念を技術を深めて理解することを助けるための教育的な目的を意図する。ここで述べられた全ての例及び条件付きの言葉は、そのような具体的に述べられた例及び条件に限定されることなく解釈されるべきである。また、明細書のそのような例示の機構は、本発明の優越性及び劣等性を示すこととは関係しない。本発明の実施形態は詳細に説明されているが、その様々な変更、置き換え又は修正が本発明の精神及び範囲を逸脱しない限り行われ得ることが理解されるべきである。