(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における電源システムの要部構成を示すブロック図である。この電源システム1は、車両に搭載されており、オルタネータ10、スイッチ11,12,13,14、第1負荷15、第2負荷16、第1蓄電装置17、第2蓄電装置18、スタータ19、電圧検出部20、電流検出部21、報知部22、タイマ23、制御部24及びダイオードD1,D2を備える。
【0027】
オルタネータ10の一端は、スイッチ11,12,13及び第1負荷15夫々の一端に接続されており、スイッチ11,12夫々の他端は、第1蓄電装置17の正極、スタータ19の一端及びダイオードD1のアノードに接続されている。スイッチ13の他端は、スイッチ14の一端及びダイオードD2のアノードに接続されている。ダイオードD1,D2夫々のカソードは第2負荷16の一端に接続されている。スイッチ14の他端は、第2蓄電装置18の正極に接続されている。オルタネータ10、第1負荷15、第2負荷16及びスタータ19夫々の他端と、第1蓄電装置17及び第2蓄電装置18夫々の負極とは接地されている。
【0028】
電圧検出部20は、第1蓄電装置17及び第2蓄電装置18夫々の正極に各別に接続されている。制御部24は、電圧検出部20、電流検出部21、報知部22及びタイマ23夫々に各別に接続されている。
【0029】
オルタネータ10は発電機として機能する。オルタネータ10は、制御部24から発電指示が入力された場合、電源システム1が搭載してある車両の運動エネルギーを電力に変換することによって回生電力を発生する。具体的には、オルタネータ10は、交流電力を生成し、生成した交流電力を直流電力に整流する。オルタネータ10が発生する回生電力は整流後の電力である。オルタネータ10は、制御部24から停止指示が入力された場合、回生電力の発生を停止する。
【0030】
オルタネータ10が発生した回生電力は、第1負荷15、第2負荷16、第1蓄電装置17及び第2蓄電装置18に供給される。オルタネータ10は、第1負荷15に回生電力を直接供給し、第1蓄電装置17にスイッチ11を介して回生電力を供給し、第2蓄電装置18にスイッチ13,14を介して回生電力を供給する。オルタネータ10は、スイッチ11及びダイオードD1を介して、並びに、スイッチ13及びダイオードD2を介して回生電力を第2負荷16に供給する。
【0031】
第1蓄電装置17は、例えば鉛蓄電池であり、オルタネータ10からスイッチ11を介して供給された回生電力を蓄える。第1蓄電装置17は、蓄えた電力を、スイッチ11を介して第1負荷15に供給すると共に、ダイオードD1を介して第2負荷16に供給する。また、第1蓄電装置17が蓄えた電力はスタータ19に供給される。
スタータ19は、エンジンを始動させるためのモータであり、第1蓄電装置17が蓄えた電力を用いて作動する。
【0032】
第2蓄電装置18は、リチウム電池又は電気二重層キャパシタ等であり、オルタネータ10からスイッチ13,14を介して供給された回生電力を蓄える。第2蓄電装置18は、蓄えた電力を、スイッチ14,13を介して第1負荷15に供給すると共に、スイッチ14及びダイオードD2を介して第2負荷16に供給する。
【0033】
第1負荷15は、第1蓄電装置17からスイッチ11を介して給電され、第2蓄電装置18からスイッチ14,13を介して給電される。このように、第1負荷15は、複数(2つ)の蓄電装置、即ち、第1蓄電装置17及び第2蓄電装置18夫々からスイッチ11,13夫々を介して給電される。また、第1負荷15は、オルタネータ10から回生電力を供給される。
【0034】
第2負荷16の一端は、オルタネータ10から第1蓄電装置17及び第2蓄電装置18夫々へ給電される複数(2つ)の給電経路において、第1蓄電装置17及びスイッチ11間の接続ノードと、第2蓄電装置18及びスイッチ13間の接続ノードとに接続されている。第2負荷16は、ダイオードD1を介して、第1蓄電装置17が蓄えた電力を供給され、スイッチ14及びダイオードD2を介して、第2蓄電装置18が蓄えた電力を供給される。第2負荷16は、更に、前述したように、オルタネータ10から回生電力を供給される。
【0035】
第2負荷16は、車両の停止に必要な電気機器であり、第1負荷15は、該電気機器を除く他の電気機器である。
このため、車種の展開又はオプションの追加等により、電源システム1に第1負荷15及び第2負荷16の他に負荷が追加された場合、車両の停止に必要な電気機器以外の負荷を第1負荷15と同様に接続することができ、回路の再設計が不要である。
【0036】
電源システム1は、前述したように、複数(2つ)のダイオードD1,D2を備える。そして、ダイオードD1は、第2負荷16から、スイッチ11及び第1蓄電装置17間の接続ノードへ電流が流れることを防止し、ダイオードD2は、第2負荷16から、スイッチ13及び第2蓄電装置18間の接続ノードへ電流が流れることを防止する。
【0037】
スイッチ11,12,13,14は、半導体スイッチ又は機械リレー等であり、制御部24によってオン/オフされる。スイッチ11,13は、オルタネータ10から第1蓄電装置17及び第2蓄電装置18夫々へ給電される複数(2つ)の給電経路に各別に設けられており、この複数(2つ)の給電経路夫々の接続及び遮断を行う。
【0038】
スイッチ11,12は、車両のIG(ignition)スイッチがオフとなって駐車している間、オフ及びオンである。このため、第1蓄電装置17からスイッチ12を介して第1負荷15に暗電流が供給される。スイッチ11,12夫々は、オルタネータ10が第2負荷16及び第1蓄電装置17に給電する場合、及び、第1蓄電装置17が作動中の第1負荷15に給電する場合にオン及びオフとなる。スイッチ11を通過する電流はスイッチ12を通過する電流よりも多量であるため、スイッチ12として、スイッチ11よりも小型のスイッチを用いることが可能である。
【0039】
スイッチ12は、制御部24から所定電圧未満の電圧が印加されている場合、具体的には、制御部24から電圧が印加されていない場合にオンであり、制御部24から所定電圧以上の電圧が印加されている場合にオフとなるスイッチである。
【0040】
以上のように接続された電源システム1では、オルタネータ10から、第1蓄電装置17及び第2蓄電装置18の中で給電すべき蓄電装置への給電経路に設けられたスイッチをオンにし、オルタネータ10から、給電すべきではない蓄電装置への給電経路に設けられたスイッチをオフにすることによって、特定の蓄電装置に給電することができる。
【0041】
スイッチ11,13,14をオンにしてスイッチ12をオフにすることによって、オルタネータ10から回生電力を第1蓄電装置17及び第2蓄電装置18に供給することができる。スイッチ11,12をオフにしてスイッチ13,14をオンにすることによって、第1蓄電装置17に給電することなく、オルタネータ10から回生電力を第2蓄電装置18に供給することができる。スイッチ11をオンにしてスイッチ12,13,14をオフにすることによって、第2蓄電装置18に給電することなく、オルタネータ10から回生電力を第1蓄電装置17に供給することができる。
【0042】
また、オルタネータ10が第1負荷15に直接接続されているため、スイッチ11,13が開放した状態で故障した場合であっても、オルタネータ10から第1負荷15に給電される。また、オルタネータ10から第1負荷15への給電経路にはスイッチ、例えば半導体スイッチが設けられていないため、スイッチにおける電力損失及び発熱がない。
【0043】
電圧検出部20は、第1蓄電装置17及び第2蓄電装置18夫々の出力電圧を検出し、検出した電圧は制御部24によって読み込まれる。電圧検出部20は電圧検出手段として機能する。
電流検出部21は、電流センサを用いて、第1蓄電装置17及び第2蓄電装置18夫々の入出力電流を検出し、検出した電流は制御部24によって読み込まれる。電流検出部21は電流検出手段として機能する。
なお、電流検出部21は、第1蓄電装置17及び第2蓄電装置18夫々の入出力電流を、電流センサを用いて検出しなくともよい。電流検出部21は、例えば、第1蓄電装置17の入出力電流を、スイッチ11の他端及び第1蓄電装置17の正極間に接続した抵抗の両端間の電圧から検出してもよい。同様に、電流検出部21は、例えば、第2蓄電装置18の入出力電流を、スイッチ14の他端及び第2蓄電装置18の正極間に接続した抵抗の両端間の電圧から検出してもよい。
【0044】
報知部22は、制御部24の指示に従って、第1蓄電装置17及び第2蓄電装置18中の少なくとも1つが、第1負荷15及び第2負荷16と非接続であるか又は故障である旨を報知する。一例として、報知部22は、図示しない表示部にメッセージを表示することによって報知を行う。他例として、報知部22は、図示しないランプを点灯させることによって報知を行う。更に、報知部22は音声によって報知を行ってもよい。
第1蓄電装置17(又は第2蓄電装置18)の故障として、第1蓄電装置17(又は第2蓄電装置18)における正極及び負極間の短絡と、該正極及び負極間の開放とが想定される。
タイマ23は、制御部24の指示に従って、計時の開始及び終了を行い、タイマ23が計時した計時時間は制御部24によって読み込まれる。
【0045】
制御部24には、走行情報、事前信号、第1蓄電率情報、第2蓄電率情報及びIGスイッチ情報が入力される。走行情報は、車両の走行に関する情報であり、車速、アクセルペダルの踏み込み量及びブレーキペダルの踏み込み量の中の少なくとも1つを示す。事前信号は、車両がアイドリングストップしてエンジンが停止した後、エンジンを始動させるためにスタータ19が作動する場合に事前に入力される信号である。第1蓄電率情報は、第1蓄電装置17の蓄電率を示し、第2蓄電率情報は、第2蓄電装置18の蓄電率を示す。IGスイッチ情報は、IGスイッチがオフであるか又はオンであるかを示す。
以下では、第1蓄電装置17の蓄電率を第1蓄電率と記載し、第2蓄電装置18の蓄電率を第2蓄電率と記載する。
【0046】
第1蓄電装置17(又は第2蓄電装置18)がキャパシタである場合においては、耐圧の所定率、例えば80%の電圧が第1蓄電装置17(又は第2蓄電装置18)に印加されたときに第1蓄電装置17(又は第2蓄電装置18)が蓄える電力量を、第1蓄電率(又は第2蓄電率)が100%のときの電力量であると予め設定されている。
【0047】
制御部24は、入力された走行情報、第1蓄電率情報及び第2蓄電率に基づいてオルタネータ10に発電指示又は停止指示を出力する。また、制御部24は、走行情報、事前信号、第1蓄電率情報、第2蓄電率情報、IGスイッチ情報、電圧検出部20が検出した電圧及び電流検出部21が検出した電流に基づいてスイッチ11,12,13,14をオン/オフする。
【0048】
また、制御部24は、電圧検出部20が検出した電圧、又は、電流検出部21が検出した電流に基づいて、第1蓄電装置17及び第2蓄電装置18夫々について、第1負荷15及び第2負荷16との非接続又は故障を検知する。
このため、制御部24は、第1蓄電装置17及び第2蓄電装置18夫々における第1負荷15及び第2負荷16との非接続又は故障を確実に検知することができる。制御部24は検知手段として機能する。
以下では、第1蓄電装置17(又は第2蓄電装置18)における第1負荷15及び第2負荷16との非接続を、第1蓄電装置17(又は第2蓄電装置18)の非接続とも記載する。
【0049】
制御部24は、スイッチ11がオンである場合において、電流検出部21から読み込んだ第1蓄電装置17の入出力電流がゼロアンペアであるとき、第1蓄電装置17が第1負荷15及び第2負荷16と非接続であるか、又は、第1蓄電装置17の正極及び負極間が開放された故障であると判定する。また、制御部24は、スイッチ11がオンである場合において、電流検出部21から読み込んだ第1蓄電装置17の入出力電流が閾値電流以上である場合に第1蓄電装置17が短絡故障していると判定する。閾値電流は、第1蓄電装置17が正常に動作してスイッチ11がオンである場合における第1蓄電装置17の入出力電流よりも十分に大きな電流である。
【0050】
制御部24は、スイッチ11がオフである場合において、電圧検出部20から読み込んだ第1蓄電装置17の出力電圧が、ゼロボルトに近い正の閾値電圧未満である場合、第1蓄電装置17の非接続又は故障であると判定する。ここで、故障には、第1蓄電装置17の開放故障及び短絡故障が含まれる。
【0051】
制御部24は、第1蓄電装置17と同様に、第2蓄電装置18の非接続又は故障を検知する。ここで、スイッチ11がオンであることはスイッチ13,14が共にオンであることに対応し、スイッチ11がオフであることはスイッチ13,14が共にオフであることに対応し、第1蓄電装置17は第2蓄電装置18に対応する。
【0052】
図2から
図4は、制御部24が実行する動作の手順を示すフローチャートである。
図5から
図13は、第1負荷15又は第2負荷16への給電を説明するための説明図である。
図5から
図13夫々には、電源システム1において、電圧検出部20、電流検出部21、報知部22、タイマ23及び制御部24を除いた構成と、電流の流れを示す矢符とが示されている。
【0053】
制御部24は、まず、入力されたIGスイッチ情報に基づいて、車両のIGスイッチがオンであるか否かを判定する(ステップS1)。制御部24は、IGスイッチがオンではない、即ち、オフであると判定した場合(S1:NO)、スイッチ11,13,14をオフにし(ステップS2)、スイッチ12をオンにする(ステップS3)。
【0054】
IGスイッチがオフであって駐車している場合、制御部24がステップS2,S3を実行することによって、
図5に示すように、暗電流が第1蓄電装置17からスイッチ12を介して第1負荷15に流れる。第2負荷16にも、暗電流が第1蓄電装置17からダイオードD1を介して第2負荷16に流れる。
【0055】
制御部24は、ステップS3を実行した後、処理をステップS1に戻し、IGスイッチがオンとなるまで、第1蓄電装置17は第1負荷15及び第2負荷16に暗電流を流し続ける。
【0056】
制御部24は、IGスイッチがオンであると判定した場合(S1:YES)、事前信号が入力されたか否かを判定する(ステップS4)。制御部24は、事前信号が入力されたと判定した場合(S4:YES)、スイッチ11,12をオフにし(ステップS5)、スイッチ13,14をオンにする(ステップS6)。
【0057】
スタータ19を作動する場合、事前信号が入力された制御部24はステップS5,S6を実行することによって、
図6に示すように、第1蓄電装置17がスタータ19に給電し、第2蓄電装置18がスタータ19に給電することはない。第1蓄電装置17は、スタータ19の他に、ダイオードD1を介して第2負荷16に給電する。第2蓄電装置18は、スイッチ13,14を介して第1負荷15に給電し、スイッチ14及びダイオードD2を介して第2負荷16に給電する。これにより、スタータ19は、エンジンを始動させ、オルタネータ10は発電することが可能となる。
【0058】
制御部24は、ステップS6を実行した後、タイマ23に計時を開始させ(ステップS7)、タイマ23が計時した計時時間が所定時間以上であるか否かを判定する(ステップS8)。所定時間は、制御部24に事前信号が入力してからスタータ19がエンジンを始動させるために十分な時間である。
【0059】
制御部24は、計時時間が所定時間未満であると判定した場合(S8:NO)、処理をステップS8に戻し、計時時間が所定時間以上となるまで待機する。制御部24は、計時時間が所定時間以上であると判定した場合(S8:YES)、タイマ23に計時を終了させる(ステップS9)。
【0060】
制御部24は、事前信号が入力されていないと判定した場合(S4:NO)、又は、ステップS9を実行した後、入力された走行情報に基づいて、オルタネータ10が回生電力を発生することが可能であるか否かを判定する(ステップS10)。ステップS10では、制御部24は、入力された走行情報が、例えば、ブレーキペダルの踏み込みと車両の減速とを示している場合に回生電力が発生することが可能と判定し、他の場合に回生電力が発生することが不可能と判定する。ステップS10の判定は、第1蓄電率及び第2蓄電率に基づいていない。
【0061】
制御部24は、回生電力を発生することが可能ではないと判定した場合(S10:NO)、入力された第2蓄電率情報が示す第2蓄電率が下限閾値、例えば30%以下であるか否かを判定する(ステップS11)。制御部24は、第2蓄電率が下限閾値以下であると判定した場合(S11:YES)、オルタネータ10に発電の停止指示を出力し(ステップS12)、スイッチ12,14をオフにし(ステップS13)、スイッチ11,13をオンにする(ステップS14)。
【0062】
第2蓄電装置18の第2蓄電率が下限閾値以下である場合、制御部24がステップS13,S14を実行することによって、
図7に示すように、第1蓄電装置17から第1負荷15及び第2負荷16に給電され、第2蓄電装置18は放電することはない。これにより、第2蓄電装置18の過放電が防止される。
第1負荷15には、スイッチ11を介して第1蓄電装置17から電力が供給され、第2負荷16には、ダイオードD1を介して、並びに、スイッチ11,13及びダイオードD2を介して第1蓄電装置17から電力が供給される。
【0063】
制御部24は、回生電力を発生することが可能であると判定した場合(S10:YES)、第1蓄電率情報及び第2蓄電率情報夫々が示す第1蓄電率及び第2蓄電率が共に、下限閾値よりも高い上限閾値、例えば80%以上であるか否かを判定する(ステップS15)。
制御部24は、第2蓄電率が下限閾値を超えている場合(S11:NO)、又は、第1蓄電率及び第2蓄電率が共に上限閾値以上であると判定した場合(S15:YES)、オルタネータ10に発電の停止指示を出力する(ステップS16)。そして、制御部24は、スイッチ11,12をオフにし(ステップS17)、スイッチ13,14をオンにする(ステップS18)。
【0064】
以上のように、制御部24は、回生電力を発生することが不可能であって第2蓄電率が下限閾値を超えている場合、又は、回生電力を発生することが可能であるが第1蓄電率及び第2蓄電率が共に上限閾値以上である場合、ステップS17,S18を実行する。制御部24がステップS17,S18を実行することによって、
図8に示すように、第2蓄電装置18から第1負荷15及び第2負荷16に給電され、第1蓄電装置17からダイオードD1を介して第2負荷16に給電される。第1負荷15には、スイッチ14,13を介して第2蓄電装置18から電力が供給され、第2負荷16には、スイッチ14及びダイオードD2を介して第2蓄電装置18から電力が供給される。
【0065】
制御部24は、第1蓄電率及び第2蓄電率が共に上限閾値以上ではないと判定した場合(S15:NO)、オルタネータ10に発電指示を出力する(ステップS19)。これにより、オルタネータ10は回生電力を発生する。次に、制御部24は、入力された第1蓄電率情報及び第2蓄電率情報夫々が示す第1蓄電率及び第2蓄電率が共に上限閾値未満であるか否かを判定する(ステップS20)。制御部24は、第1蓄電率及び第2蓄電率が共に上限閾値未満であると判定した場合(S20:YES)、スイッチ12をオフにし(ステップS21)、スイッチ11,13,14をオンにする(ステップS22)。
【0066】
オルタネータ10が回生電力を発生して第1蓄電率及び第2蓄電率が共に上限閾値未満である場合、制御部24がステップS21,S22を実行することによって、
図9に示すように、オルタネータ10は回生電力を第1負荷15、第2負荷16、第1蓄電装置17及び第2蓄電装置18に供給する。第1負荷15には、オルタネータ10から回生電力が直接供給され、第2負荷16には、回生電力がオルタネータ10から、スイッチ11及びダイオードD1を介して、並びに、スイッチ13及びダイオードD2を介して供給される。第1蓄電装置17には、回生電力がオルタネータ10からスイッチ11を介して供給され、第2蓄電装置18には、回生電力がオルタネータ10からスイッチ13,14を介して供給される。
【0067】
制御部24は、第1蓄電率及び第2蓄電率が共に上限閾値未満ではないと判定した場合(S20:NO)、第1蓄電率が上限閾値未満であるか否かを判定する(ステップS23)。制御部24は、第1蓄電率が上限閾値未満である、即ち、第2蓄電率が上限閾値以上であると判定した場合(S23:YES)、スイッチ12,14をオフにし(ステップS24)、スイッチ11,13をオンにする(ステップS25)。
【0068】
オルタネータ10が回生電力を発生して第1蓄電率が上限閾値未満である場合、制御部24がステップS24,S25を実行することによって、
図10に示すように、オルタネータ10は回生電力を第1負荷15、第2負荷16及び第1蓄電装置17に供給する。第1負荷15、第2負荷16及び第1蓄電装置17には、オルタネータ10が回生電力を発生して第1蓄電率及び第2蓄電率が共に上限閾値未満である場合と同様に回生電力が供給される。第2蓄電装置18には回生電力が供給されることはない。
【0069】
制御部24は、第1蓄電率が上限閾値以上である、即ち、第2蓄電率が上限閾値未満であると判定した場合(S23:NO)、スイッチ11,12をオフにし(ステップS26)、スイッチ13,14をオンにする(ステップS27)。
【0070】
オルタネータ10が回生電力を発生して第2蓄電率が上限閾値未満である場合、制御部24がステップS26,S27を実行することによって、
図11に示すように、オルタネータ10は回生電力を第1負荷15、第2負荷16及び第2蓄電装置18に供給する。第1負荷15、第2負荷16及び第2蓄電装置18には、オルタネータ10が回生電力を発生して第1蓄電率及び第2蓄電率が共に上限閾値未満である場合と同様に回生電力が供給される。第1蓄電装置17には回生電力が供給されることはない。
【0071】
以上のように、制御部24は、入力された第1蓄電率情報及び第2蓄電率情報に基づいて、第1蓄電装置17及び第2蓄電装置18夫々の蓄電率が上限閾値未満であるか否かを判定する
。
【0072】
また、前述したように、制御部24は、発電指示の出力によってオルタネータ10が電力を発生している場合において、オルタネータ10から、第1蓄電装置17及び第2蓄電装置18の中で蓄電率が上限閾値未満であると判定した蓄電装置へ給電される一又は複数の給電経路に設けられたスイッチをオンにする。同様の状況で、制御部24は、オルタネータ10から、第1蓄電装置17及び第2蓄電装置18の中で蓄電率が上限閾値以上であると判定した蓄電装置へ給電される一又は複数の給電経路に設けられたスイッチをオフにする。これにより、第1蓄電装置17及び第2蓄電装置18の中で、蓄電率が上限閾値以上である一又は複数の蓄電装置を充電することなく、蓄電率が上限閾値未満である一又は複数の蓄電装置を充電することができる。従って、蓄電率が上限閾値以上である一又は複数の蓄電装置が過充電になることはない。制御部24はオンオフ手段としても機能する。
【0073】
制御部24は、ステップS14,S18,S22,S25,S27のいずれか1つを実行した後、電圧検出部20が検出した電圧、又は、電流検出部21が検出した電流に基づいて、第1蓄電装置17の非接続又は故障を検知したか否かを判定する(ステップS28)。制御部24は、第1蓄電装置17の非接続又は故障を検知したと判定した場合(S28:YES)、スイッチ11,12,13をオフにし(ステップS29)、スイッチ14をオンにし(ステップS30)、報知部22に指示して、第1蓄電装置17の非接続又は故障を報知する(ステップS31)。
【0074】
第1蓄電装置17の非接続又は故障が生じた場合、制御部24はスイッチS29,S30を実行することによって、
図12に示すように、第2蓄電装置18はスイッチ14及びダイオードD2を介して第2負荷16に給電し、第1負荷15に給電しない。
制御部24は、ステップS31を実行した後、処理を終了する。
【0075】
制御部24は、第1蓄電装置17の非接続又は故障を検知していないと判定した場合(S28:NO)、電圧検出部20が検出した電圧、又は、電流検出部21が検出した電流に基づいて、第2蓄電装置18の非接続又は故障を検知したか否かを判定する(ステップS32)。制御部24は、第2蓄電装置18の非接続又は故障を検知したと判定した場合(S32:YES)、スイッチ11から14をオフにし(ステップS33)、報知部22に指示して、第2蓄電装置18の非接続又は故障を報知する(ステップS34)。
【0076】
第2蓄電装置18の非接続又は故障が生じた場合、制御部24は
ステップS33を実行することによって、
図13に示すように、第1蓄電装置17はダイオードD1を介して第2負荷16に給電し、第1負荷15に給電しない。
制御部24は、ステップS34を実行した後、処理を終了する。
【0077】
また、制御部24は、第2蓄電装置18の非接続又は故障を検知していないと判定した場合(S32:NO)、処理を終了し、ステップS1から処理を再開する。
【0078】
以上のように、制御部24は、第1蓄電装置17及び第2蓄電装置18中の少なくとも1つについて、第1負荷15及び第2負荷16との非接続又は故障を検知した場合、スイッチ11,12,13をオフにし、報知部22は非接続又は故障を報知する。これにより、第1蓄電装置17及び第2蓄電装置18のいずれかに、第1負荷15及び第2負荷16との非接続又は故障が生じた場合、非接続又は故障を生じていない蓄電装置は、第1負荷15に給電せず、車両の停止に必要な第2負荷16に給電する。従って、より長く第2負荷16に給電し続けることができ、運転者は車両をより安全に停止させることができる。また、非接続又は故障の報知によって運転者に緊急事態を認識させることができる
。報知部22は報知手段として機能する。
【0079】
更に、ダイオードD1,D2が設けられているため、第1蓄電装置17及び第2蓄電装置18のいずれかに生じた故障が短絡故障であっても、非接続又は故障が生じていない蓄電装置の出力端子が短絡することはなく、第2負荷16に確実に給電される。
【0080】
(実施の形態2)
実施の形態1では、オルタネータ10が回生電力を発生することが可能ではない場合において、第2蓄電率が下限閾値を超えているときに第2蓄電装置18が第1負荷15及び第2負荷16に給電し、第2蓄電率が下限閾値以下であるときに第1蓄電装置17が第1負荷15及び第2負荷16に給電する。しかしながら、オルタネータ10が回生電力を発生することが可能ではない場合において、第1蓄電装置17及び第2蓄電装置18両方が第1負荷15及び第2負荷16に給電してもよい。
【0081】
図14から
図17は実施の形態2における制御部24が実行する動作の手順を示すフローチャートである。実施の形態2における電源システム1の要部構成は、
図1に示した実施の形態1における電源システム1と同様であるので、同様の符号を付して説明を省略する。以下では、実施の形態2における制御部24が実行する動作を説明する。
【0082】
実施の形態2における制御部24が実行するステップS41からS54,S63からS78夫々は、実施の形態1における制御部24が実行するステップS1からS14,S19からS34と同様であるため、説明を省略する。
図18は、第1負荷15又は第2負荷16への給電を説明するための説明図である。
図18には、電源システム1において、電圧検出部20、電流検出部21、報知部22、タイマ23及び制御部24を除いた構成と、電流の流れを示す矢符が示されている。
【0083】
実施の形態2における制御部24は、第2蓄電率が下限閾値を超えている場合(S51:NO)、入力された第1蓄電率情報が示す第1蓄電率が下限閾値、例えば30%以下であるか否かを判定する(ステップS55)。制御部24は、第1蓄電率が下限閾値以下であると判定した場合(S55:YES)、オルタネータ10に発電の停止指示を出力し(ステップS56)、スイッチ11,12をオフにし(ステップS57)、スイッチ13,14をオンにする(ステップS58)。
【0084】
第1蓄電装置17の第1蓄電率が下限閾値以下である場合、制御部24がステップS57,S58を実行することによって、
図8に示すように、第1蓄電装置17はダイオードD1を介して第2負荷16のみに給電し、第2蓄電装置18が第1負荷15及び第2負荷16に給電する。第2蓄電装置18の電力が主に消費される。これにより、第1蓄電装置17の過放電が防止される。
第1負荷15には、スイッチ14,13を介して第2蓄電装置18から電力が供給され、第2負荷16には、スイッチ14及びダイオードD2を介して第2蓄電装置18から電力が供給される。
【0085】
制御部24は、回生電力を発生することが可能であると判定した場合(S50:YES)、第1蓄電率情報及び第2蓄電率情報夫々が示す第1蓄電率及び第2蓄電率が共に上限閾値以上であるか否かを判定する(ステップS59)。制御部24は、第1蓄電率及び第2蓄電率が共に上限閾値以上ではないと判定した場合(S59:NO)、ステップS63を実行する。
制御部24は、第1蓄電率が下限閾値を超えている場合(S55:NO)、又は、第1蓄電率及び第2蓄電率が共に上限閾値以上であると判定した場合(S59:YES)、オルタネータ10に発電の停止指示を出力する(ステップS60)。そして、制御部24は、スイッチ12をオフにし(ステップS61)、スイッチ11,13,14をオンにする(ステップS62)。
【0086】
以上のように、制御部24は、回生電力を発生することが可能ではなくて第1蓄電率及び第2蓄電率が下限閾値を超えている場合、又は、回生電力を発生することが可能であるが第1蓄電率及び第2蓄電率が共に上限閾値以上である場合、ステップS61,S62を実行する。制御部24がステップS61,S62を実行することによって、
図18に示すように、第1蓄電装置17及び第2蓄電装置18から第1負荷15及び第2負荷16に給電される。
【0087】
第1負荷15には、スイッチ11を介して第1蓄電装置17から電力が供給されると共に、スイッチ14,13を介して第2蓄電装置18から電力が供給される。第2負荷16には、ダイオードD1を介して第1蓄電装置17から電力が供給されると共に、スイッチ14及びダイオードD2を介して第2蓄電装置18から電力が供給される。
制御部24は、ステップS54,S58,S62,S66,S69,S71のいずれか1つを実行した後、ステップS72を実行する。
【0088】
実施の形態2における制御部24が行う他の処理は、前述したように実施の形態1における制御部24が行う処理と同様である。従って、実施の形態2における電源システム1も、実施の形態1における電源システム1と同様の効果を奏する。
【0089】
なお、実施の形態1,2において、第1蓄電装置17及び第2蓄電装置18夫々における第1負荷15及び第2負荷16との非接続又は故障を、電圧検出部20が検出した電圧と電流検出部21が検出した電流とに基づいて検知しなくてもよい。また、上限閾値及び下限閾値夫々は、第1蓄電装置17及び第2蓄電装置18夫々について異なっていてもよい。
【0090】
また、第2負荷16を第1負荷15と同様に接続してもよい。この場合であっても、オルタネータ10が電力を発生しているときに、実施の形態1,2と同様にスイッチ11から14夫々をオン/オフする。これにより、第1蓄電装置17及び第2蓄電装置18の中で、蓄電率が上限閾値以上である一又は複数の蓄電率を充電することなく、蓄電率が上限閾値未満である一又は複数の蓄電装置を充電することができる。
【0091】
更に、電源システム1が備える蓄電装置の数は2に限定されず、3以上であってもよい。この場合、3つ目以降の蓄電装置は、第2蓄電装置17と同様に、2つのスイッチを介して第1負荷15に接続し、ダイオード及びスイッチを介して第2負荷16に接続する。従って、オルタネータ10から複数の蓄電装置夫々へ給電される複数の給電経路に各別にスイッチが設けられ、これらのスイッチは複数の給電経路夫々の接続及び遮断を行う。
【0092】
また、電圧検出部20及び電流検出部21夫々も第2蓄電装置17に係る電流及び電圧と同様に電流及び電圧を検出する。そして、制御部24は、複数のスイッチを実施の形態1又は実施の形態2と同様にオン/オフすることによって、複数の蓄電装置中の特定の蓄電装置を給電することができる等の実施の形態1,2と同様の効果を奏する。
【0093】
開示された実施の形態1,2は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。