(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1においては、作業者の手首にタグリーダ(アンテナ)が設けられているため、例えば、上方の棚等に設けられるIDタグについては、IDタグの角度の問題から作業者の手首を所定の角度に向けないと、IDタグとタグリーダ(アンテナ)とが反応しないため、作業性が悪いという問題があった。
【0008】
また、特許文献2においては、リーダライタのアンテナが作業者の手のひら側に設けられており、アンテナを装着した際に作業者の手のひらが開放されていないため、物品等を持ち難く、作業性が悪いという問題があった。
【0009】
さらに、従来の情報読取装置の装着用具は、単に、情報読取装置を作業者の手(手首)或いは腰部に装着することのみを目的として作成されているため、装着用具自体の装着性が悪いという問題があった。また、そのような装着性の悪い装着用具を装着して作業をするため、装着用具を装着した作業者の作業性も悪くなるという問題もあった。特に、特許文献2のように、単に、リーダライタ本体とアンテナとを配線で接続している場合には、作業者の体格によっては、配線が装着用具の装着時或いは作業時に邪魔となり問題であった(この問題を解決するために、作業者の体格に合わせて、様々な態様の装着用具を用意する必要がある)。
【0010】
そこで、本発明は、装着用具自体の装着性及び装着用具を装着した作業者の作業性を向上させた情報読取装置の装着用具及びそれを使用する仕分け設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上であり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0012】
即ち、本発明のうち請求項1に記載の情報読取装置の装着用具は、所定の情報を記憶する記憶手段から非接触で前記情報を読み取る情報読取装置を作業者に装着するための情報読取装置の装着用具であって、前記情報読取装置の装置本体を作業者に装着する装置本体装着手段と、前記装置本体に接続されて前記記憶手段との間で前記情報を読み取るアンテナ部を前記作業者の手に装着するアンテナ部装着手段と、を備え、前記装置本体装着手段は、布地を縫製することにより形成し、前記装置本体と前記アンテナ部とを接続する配線の長さを調整する配線調整部を備え、前記アンテナ部装着手段は、布地を縫製することにより形成し、前記作業者の手に装着する装着部と、前記装着部に設けられて前記アンテナ部を収納するアンテナ収納部と、を備え、前記アンテナ収納部を前記作業者の手の甲側に配置し、且つ前記装着部を前記作業者の手のひらを外して前記作業者の手に装着するとともに、前記配線調整部と連動して前記配線の長さを調整可能で
あり、前記装着部は、帯状に形成され、その一端部に前記作業者の親指に係合する係合部を備え、前記係合部に係合される前記作業者の親指から前記作業者の手の甲を介して前記作業者の手のひら側の手首に向けて巻き付けられるとともに、前記作業者の手の甲に巻き付ける部分に、前記アンテナ収納部を備えるものである。
上記構成では、配線調整部とアンテナ部装着手段とを連動することにより、装置本体とアンテナ部との間の配線の長さを調整する。また、装置本体装着手段及びアンテナ部装着手段は、布地を縫製することにより形成されることから、装置本体装着手段及びアンテナ部装着手段が作業者に適度に密着して装着される。さらに、アンテナ部装着手段が作業者の手のひらを外して装着される。さらにまた、アンテナ収納部を作業者の手の甲側に配置することから、情報読取装置のアンテナ部を作業者の手の甲に装着することができる。
上記構成では、アンテナ部装着手段が、作業者の手のひらを外した状態で、且つアンテナ部が作業者の手の甲側に配置されるように巻き付けられる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報読取装置の装着用具において、前記配線調整部は、前記装置本体装着手段の中央部に設けられるものである。
上記構成では、作業者の左右どちらの手からも略同距離で配線調整部を操作できる。
【0015】
さらにまた、
請求項3に記載の発明は、
請求項1又は請求項2に記載の情報読取装置の装着用具において、前記装着部は、前記作業者の手のひら側の手首に巻き付ける部分の帯状の一辺が直線的に傾斜して形成されるものである。
上記構成では、アンテナ部装着手段が作業者の手の甲に適度に密着して装着される。
【0016】
さらにまた、
請求項4に記載の発明は、請求項1から
請求項3のいずれか1項に記載の情報読取装置の装着用具において、前記装置本体装着手段は、前記配線を保持する配線保持部を備え、前記配線保持部は、布地を縫製することにより形成されるものである。
上記構成では、配線が保持された状態で作業者に適度に密着して装着される。
【0017】
さらにまた、
請求項5に記載の発明は、請求項1から
請求項4のいずれか1項に記載の情報読取装置の装着用具において、前記装置本体装着手段は、前記装置本体を保持する装置本体保持部を備え、前記装置本体保持部は、前記装置本体装着手段に対して揺動可能に構成されるものである。
上記構成では、作業者が装置本体装着手段を装着した際に、装置本体保持部に保持される装置本体が装置本体装着手段に対して揺動可能となる。
【0018】
さらにまた、
請求項6に記載の情報読取装置の装着用具を使用する仕分け設備は、物品の仕分け作業に関する情報を記憶する記憶手段から非接触で前記情報を読み取る情報読取装置を作業者に装着するための情報読取装置の装着用具を使用する仕分け設備であって、前記作業者が前記情報読取装置の装着用具を装着して物品の仕分け作業を行い、前記情報読取装置の装着用具は、前記情報読取装置の装置本体を作業者に装着する装置本体装着手段と、前記装置本体に接続されて前記記憶手段との間で前記情報を読み取るアンテナ部を前記作業者の手に装着するアンテナ部装着手段と、を備え、前記装置本体装着手段は、布地を縫製することにより形成し、前記装置本体と前記アンテナ部とを接続する配線の長さを調整する配線調整部を備え、前記アンテナ部装着手段は、布地を縫製することにより形成し、前記作業者の手に装着する装着部と、前記装着部に設けられて前記前記アンテナ部を収納するアンテナ収納部と、を備え、前記アンテナ収納部を前記作業者の手の甲側に配置し、且つ前記装着部を前記作業者の手のひらを外して前記作業者の手に装着するとともに、前記配線調整部と連動して前記配線の長さを調整可能であ
り、前記装着部は、帯状に形成され、その一端部に前記作業者の親指に係合する係合部を備え、前記係合部に係合される前記作業者の親指から前記作業者の手の甲を介して前記作業者の手のひら側の手首に向けて巻き付けられるとともに、前記作業者の手の甲に巻き付ける部分に、前記アンテナ収納部を備えるものである。
上記構成では、作業者は配線調整部とアンテナ部装着手段とを連動させることにより、装置本体とアンテナ部との間の配線の長さを調整する。また、装置本体装着手段及びアンテナ部装着手段は、布地を縫製することにより形成されることから、装置本体装着手段及びアンテナ部装着手段が作業者に適度に密着して装着される。さらに、アンテナ部装着手段が作業者の手のひらを外して装着される。
さらにまた、アンテナ収納部を作業者の手の甲側に配置することから、情報読取装置のアンテナ部を作業者の手の甲に装着することができる。
上記構成では、アンテナ部装着手段が、作業者の手のひらを外した状態で、且つアンテナ部が作業者の手の甲側に配置されるように巻き付けられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の情報読取装置の装着用具によれば、作業者の体格等に合わせて個別に装着用具を用意することなく、1つの形態の装着用具により、装置本体とアンテナ部との間の配線の長さを作業者の体格等に合わせて調整することができる。そのため、配線が作業の邪魔とならず、装着用具自体の装着性及び装着用具を装着した作業者の作業性を向上させることができる。また、装置本体装着手段及びアンテナ部装着手段が作業者に適度に密着して装着されるため、装着用具自体の装着性及び装着用具を装着した作業者の作業性を向上させることができる。さらに、アンテナ部装着手段が作業者の手のひらを外して装着されるため、作業者の手のひらが開放された状態となり、装着用具を装着した作業者の作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[ピッキング設備1]
まず、本発明に係る情報読取装置の装着用具の使用する仕分け設備の一例であるピッキング設備1について説明する。
図1に示すように、ピッキング設備1は、個別の予め登録されたユーザ(消費者、中間業者等)からオーダー(注文、出荷計画等)を受けた物品2を、ユーザのオーダーが割り付けられた集品容器3に集めて配送する設備である。
ピッキング設備1は、集品される物品2が収納される収納箱4が保管されるストレージラインAと、ピッキングされた物品2を収納(投入)する集品容器3を搬送する容器搬送ラインBと、物品2を投入する投入対象の集品容器3であることを表示する投入表示器92をそれぞれ、投入(表示)対象の集品容器3に合わせて、容器搬送ラインBに沿って移動し、集品が終了すると容器搬送ラインBの上流に戻すように循環搬送するための表示器移動ラインCから構成されている。
【0022】
ストレージラインAは、フローラック5から構成される。フローラック5は、1種類(1品目)の物品2が収納された収納箱4が載置される(収納される)間口6を複数列有する棚7を上下に複数段配置して構成される。そして、ストレージラインAには、複数の間口6毎に、集品容器3へ集品する物品2の取り出し作業を実行するピッキングゾーンPが設定され、ピッキングゾーンP毎にピッキング作業を行う作業者Hが1人ずつ配置されている。各作業者Hは、後述するタグリーダ(「情報読取装置」の一例)を携帯した状態でピッキング作業を行う。
【0023】
また、フローラック5の各棚7の各間口6の前面には、ピッキングする物品2の数量(取り出し個数)、ピッキング作業の有無等を表示する間口表示器9が設けられている。また、各間口6の前側上部には、後述するパッシブタグからなる棚側タグ25(「記憶手段」の一例)が取り付けられている。
【0024】
容器搬送ラインBは、作業者Hを挟んだストレージラインA(フローラック5)の反対側に配置され、フローラック5に沿って集品容器3を搬送するローラ駆動コンベヤ装置8から構成される。なお、容器搬送ラインBは、作業者Hを挟んだストレージラインA(フローラック5)の反対側に配置される場合に限定されるものではなく、作業者Hを挟まずにストレージラインA(フローラック5)と同じ側に片寄らせて配置される場合でも構わない。
【0025】
また、容器搬送ラインB(ローラ駆動コンベヤ装置8)上を搬送される集品容器3には、集品容器3に係合可能な突起部を有するアタッチメント91を介して投入表示器92が取り付けられる。
投入表示器92は、物品2を投入すべき集品容器3を表示するための表示器であり、アタッチメント91上に連結されて、表示対象の1台の集品容器3に合わせて、容器搬送ラインBに沿って移動可能とする表示器移動ラインCにより搬送される。投入表示器92の表示器本体には、後述するパッシブタグからなる容器側タグ26(「記憶手段」の一例)が取り付けられている。
【0026】
表示器移動ラインCは、容器搬送ラインBのストレージラインA(フローラック5)より上流で、集品容器3の背面(短軸方向の側面で且つストレージラインAの作業者Hとは反対側の側面)に沿って、投入表示器92が取り付けられたアタッチメント91が寄り添い、アタッチメント91の突起部が集品容器3の背面に係合されるように構成されている。また、表示器移動ラインCは、容器搬送ラインBのストレージラインA(フローラック5)より下流で、投入表示器92が取り付けられたアタッチメント91が集品容器3より離脱するように構成されている。
【0027】
ピッキング設備1においては、作業者Hと、作業者Hが仕分け作業を行うゾーン(ピッキングゾーンP及び投入ゾーンZ)とを関連付けるために、作業者Hはタグリーダを携帯し、フローラック5には棚側タグ25が設けられ、集品容器3(投入表示器92)には容器側タグ26が設けられている。
【0028】
[タグリーダ]
図1、
図4及び
図6に示すように、作業者Hが携帯するタグリーダは、リーダ端末21(「装置本体」の一例)と、アンテナ22(「アンテナ部」の一例)と、バッテリ23と、スピーカ24と、から構成される。
リーダ端末21は、タグリーダの本体を構成し、タグリーダ全体を統括する部分である。リーダ端末21は、棚側タグ25及び容器側タグ26から情報を読み取る情報読取機能と、図示しないデータ受信器に対して情報を送信する情報送信機能と、LEDランプ等で構成され、仕分けエラー等の情報を表示する情報表示機能と、を有する。
アンテナ22は、棚側タグ25及び容器側タグ26から情報を読み取るためのアンテナ部であり、第1配線51(「配線」の一例)によりリーダ端末21と接続されている。アンテナ22は平板状に形成される。
バッテリ23は、タグリーダの電源であり、第2配線52によりリーダ端末21と接続されている。
スピーカ24は、タグリーダが各タグ(棚側タグ25及び容器側タグ26)から情報を読み取ったことを報知する読み取り音(報知音)を作業者に対して発するものであり、第3配線53によりリーダ端末21と接続されている。なお、スピーカ24は、上記読み取り音(報知音)を発するものに限定されるものではなく、例えば、仕分け作業に関する情報を音声情報として発するものであっても構わない。ここで、仕分け作業に関する音声情報としては、特に、仕分け作業中の作業ミスを防止するための情報が挙げられ、例えば、棚7(収納箱4)からピッキングすべき物品2の数量、ピッキングすべき物品2が収納されている棚7(収納箱4)の位置、仕分け作業の進捗状況(仕分け作業の進み具合、コンベヤ装置8の稼働状況等)等の情報が挙げられる。
【0029】
[棚側タグ25]
図1及び
図2(a)に示すように、棚側タグ25は、各間口6の位置情報(フローラック5の位置情報)等の物品2の仕分け作業に関する情報が記憶され、フローラック5の各間口6の前側上部に設けられる。
図2(a)に示すように、作業者Hがフローラック5の収納箱4から物品2をピッキングする場合において、作業者Hがアンテナ22を装着した腕を間口6に挿入すると、収納箱4の上方(間口6の上部)に設けられた棚側タグ25からタグリーダにより非接触で情報が読み取られる。棚側タグ25から情報がタグリーダにより読み取られることで、作業者Hが、指示された間口6に載置されている収納箱4から、指示された物品2がピッキングされているか否かを検知することができる。
【0030】
[容器側タグ26]
図1及び
図2(b)に示すように、容器側タグ26は、集品容器3の位置情報等の物品2の仕分け作業に関する情報が記憶され、投入表示器92の表示器本体の前側面に設けられている。
図2(b)に示すように、作業者Hがフローラック5からピッキングした物品2を集品容器3へ投入する場合において、作業者Hがアンテナ22を装着した腕を集品容器3に挿入すると、投入表示器92の側面に付された容器側タグ26からタグリーダより非接触で情報が読み取られる。容器側タグ26から情報がタグリーダにより読み取られることで、作業者Hが、指示された集品容器3に対して指示された物品2が投入されているか否かを検知することができる。
【0031】
[タグリーダ装着用具30]
次に、タグリーダを作業者Hに装着する際の情報読取装置の装着用具の一例であるタグリーダ装着用具30について説明する。
ピッキング設備1においては、作業者Hは、タグリーダを備えたタグリーダ装着用具30を装着してピッキング作業を行う。
図3に示すように、作業者Hが装着するタグリーダ装着用具30は、タグリーダのリーダ端末21、バッテリ23及びスピーカ24を備えるためのベルト31(「装置本体装着手段」の一例)と、タグリーダのアンテナ22を備えるためのグローブ61(「アンテナ部装着手段」の一例)と、第1配線51を作業者Hの腕部に沿ってガイドする配線ガイドベルト70と、から構成される。
【0032】
[ベルト31]
図3及び
図4に示すように、ベルト31は、作業者Hの腰部に装着される部材であり、布地を縫製することにより形成される。ベルト31は、ベルト本体32と、リーダ端末収納ケース33(「装置本体保持部」の一例)と、バッテリ収納ケース34と、配線収納ベルト35(「配線保持部」の一例)と、スピーカ収納ケース36と、から構成される。
【0033】
ベルト本体32は、作業者Hの腰部に巻き付けて装着される部分であり、ベルト本体32の長さを作業者Hの腰部に合わせて調整可能に構成されている。ベルト本体32は、伸縮性素材の布地を縫製することにより形成される。ベルト本体32を布地縫製で形成することで、ベルト本体32が作業者Hの腰部に適度に密着して装着され、作業者Hの腰部に固定し易くなる。また、ベルト本体32は、布地を面ファスナー等により着脱可能に重ね合わせて中空部分を形成し、その中空部分に各配線51・52・53が収納可能に構成されている。
【0034】
[配線調整部37]
また、ベルト本体32の中央部には、第1配線51の長さを調整するため配線調整部37が設けられている。配線調整部37は、伸縮性素材の布地を縫製することにより形成される略楕円形状の部分であり、布地を面ファスナー等により着脱可能に重ね合わせて形成される中空部分に各配線51・52・53が挿通される。配線調整部37は、作業者Hがベルト31を装着した際に作業者Hの臀部中央に配置される。配線調整部37をベルト本体32(ベルト31)の中央部に設け、作業者Hの臀部中央に配置することで、作業者Hの左右どちらの手からも略同距離で配線調整部37を操作でき、作業者Hの利き手を問わず、容易に配線調整部37を操作できる。
配線調整部37には、配線調整レバー38と、スライド溝39と、配線係合部40とが設けられる。
【0035】
[配線調整レバー38]
配線調整レバー38は、リーダ端末21とアンテナ22とを接続する第1配線51の長さを調整するレバーであり、配線調整部37の中央部においてスライド溝39に沿って摺動する。配線調整レバー38はリング状に形成され、そのリング状部分には第1配線51が挿通される。そして、配線調整レバー38を操作することで、そのリング状部分に挿通された第1配線51が配線調整レバー38の移動方向に引っ張られる。
また、配線調整レバー38には、スライド部38Aが設けられている。スライド部38Aは、配線調整レバー38の両端部から突出した板状の部材であり、スライド溝39に沿って摺動する。
【0036】
スライド溝39は、配線調整部37の中央部に長手方向(作業者Hがベルト31を装着した際の上下方向)に開口して形成される。スライド溝39は、その開口部分の周端が溝状に形成され、当該溝部分に配線調整レバー38のスライド部38Aを嵌め込み可能に構成されている。
配線調整レバー38を操作することで、スライド部38Aがスライド溝39周端の上記溝状部分に沿ってスライドし、配線調整レバー38がスライド溝39の開口部分に沿って配線調整部37の長手方向に移動する。
【0037】
配線係合部40は、第1配線51の長さを調整する際に、第1配線51を移動方向にガイドするためのガイド部材であり、配線調整部37の中央上部(スライド溝39の上端部)に略楕円形状に縫製されることにより形成される。配線係合部40は、第1配線51が配線調整レバー38或いはグローブ61により引っ張られる際に第1配線51と係合し、第1配線51を引っ張り方向にガイドする。
【0038】
[リーダ端末収納ケース33]
リーダ端末収納ケース33は、リーダ端末21を収納するケースであり、ベルト31の一端部に設けられる。具体的には、作業者Hがベルト31を装着した際には、作業者Hの右側の腰部にリーダ端末収納ケース33が装着される。リーダ端末収納ケース33は、その上部が透明の部材により形成されており、収納されるリーダ端末21のLEDランプ等を視認できるように構成されている。
また、
図5に示すように、リーダ端末収納ケース33は、作業者Hが装着したベルト31に対して上下方向に揺動(上下動)可能に構成される。具体的には、リーダ端末収納ケース33の裏面上部と、ベルト本体32とが、帯状の連結体45より連結され、リーダ端末収納ケース33がベルト本体32対して独立した状態で保持される。リーダ端末収納ケース33がベルト31に対して上下方向に揺動(上下動)可能なことから、作業者Hがリーダ端末収納ケース33を上方向に持ち上げることで、ベルト31を作業者Hの腰部に装着した状態で、リーダ端末21の操作ボタン21Aの操作及びLEDランプ等の視認を容易に行うことができる。なお、リーダ端末収納ケース33と、ベルト本体32とは、第1面ファスナー46により係止可能となっている。
【0039】
[バッテリ収納ケース34]
図3及び
図4に示すように、バッテリ収納ケース34は、バッテリ23を収納するケースであり、ベルト31の他端部に固定された状態で設けられる。具体的には、作業者Hがベルト31を装着した際には、作業者Hの左側の腰部にバッテリ収納ケース34が装着される。ベルト31の他端部にバッテリ収納ケース34を設けることで、作業者Hがベルト31を装着した際に、作業者Hの腰部の位置で容易にバッテリ23の交換を行える。
【0040】
[配線収納ベルト35]
配線収納ベルト35は、その内部に第1配線51及び第2配線52を収納するベルトであり、作業者Hの腰部から背中及び肩部にかける部分に装着されるものである。配線収納ベルト35は、伸縮性素材の布地を縫製することにより形成される帯状の部材であり、ベルト本体32の中央上部(配線調整部37の上部)から延設される。配線収納ベルト35を布地縫製で形成することで、配線収納ベルト35が作業者Hの背中及び肩部に適度に密着して装着され、作業者Hの背中及び肩部に固定し易くなる。また、配線収納ベルト35は、布地を面ファスナー等により着脱可能に重ね合わせて中空部分を形成し、その中空部分に第1配線51及び第2配線52を収納可能に構成されている。また、配線収納ベルト35の中空部分には、配線収納ベルト35に沿って樹脂製の板状部材が取り付けられている。配線収納ベルト35の内部に板状部材を取り付けることで、配線収納ベルト35を作業者Hに装着した際に、配線収納ベルト35が作業者Hの背中から浮くことを防止できる。さらに、配線収納ベルト35の一端部には、配線収納ベルト35を作業者Hに取り付けるための取付部材47が設けられている。また、配線収納ベルト35の一端部には、配線収納ベルト35の長さを微調整するための図示しない調整部材が設けられている。
【0041】
[スピーカ収納ケース36]
スピーカ収納ケース36は、その内部にスピーカ24を収納するケースであり、作業者Hの肩部に装着されるものである。スピーカ収納ケース36は、配線収納ベルト35の一端部(取付部材47の近傍)に設けられ、配線収納ベルト35が作業者Hに装着されることで、作業者Hの肩部に装着される。スピーカ収納ケース36を作業者Hの肩部に装着することで、スピーカ24と作業者Hの耳との距離が近くなり、スピーカ24から発せられる読み取り音(報知音)が聞き取り易くなる。
【0042】
[グローブ61]
図3及び
図6に示すように、グローブ61は、作業者Hの手に装着される部材であり、伸縮性素材の布地を縫製することにより形成される。グローブ61は、帯状に形成され、その一端部に設けられて作業者Hの親指に係合する孔部62(「係合部」の一例)と、作業者Hの親指から作業者Hの手の甲を介して作業者Hの手のひら側の手首に向けて巻き付けるグローブ本体63(「装着部」の一例)と、から構成される。
【0043】
孔部62は、グローブ61(グローブ本体63)の一端部に形成される。孔部62は、作業者Hの親指が挿通可能な程度に開口している。作業者Hがグローブ61を装着する際に、作業者Hの親指を孔部62に挿通させることで、グローブ61の一端部が作業者Hの親指に引っ掛かった状態で係止される。
【0044】
グローブ本体63は、孔部62が形成される端部から徐々にその幅を狭めながら曲折して形成される。具体的には、作業者Hの手の甲に巻き付ける(当接する)部分の幅を、作業者Hの手の甲の大きさに対応させて広くし、作業者Hの手のひら側の手首に向けて巻き付ける部分の幅を、作業者Hの手の甲に当接する部分と比べて狭くする。
また、
図6(a)に示すように、グローブ本体63は、その表面であって作業者Hの手の甲に巻き付ける部分に、アンテナ22を収納するためのアンテナ収納部64が形成される。アンテナ収納部64は、アンテナ22の大きさに合わせた袋状の部分であり、アンテナ22が出し入れ可能な構成になっている。作業者Hの手の甲に巻き付ける部分にアンテナ収納部64を形成することで、アンテナ22を作業者Hの手の甲に装着することができる。
さらに、グローブ本体63は、作業者Hの手のひら側の手首に巻き付ける部分(グローブ本体63の中央部分63A)の帯状の一辺66が直線的に傾斜して形成される。具体的には、グローブ本体63の中央部分63Aの帯状を形成する一辺66であって、作業者Hの手の甲に巻き付ける部分から徐々に帯状の幅が狭くなる部分における一辺66が直線的に傾斜して形成される。当該一辺66を直線的に傾斜して形成することで、グローブ本体63が作業者Hの手の甲に適度に密着して巻き付き、グローブ61を作業者Hの手に適度に密着して装着させることができる。
さらにまた、グローブ本体63は、その中央部分63A、すなわち、作業者Hの手のひら側の手首に巻き付ける部分は、グローブ本体63を巻き付けた際に当該部分が作業者Hの手のひらを覆わない程度の幅で徐々に狭く形成されている。なお、グローブ本体63の中央部分63Aの幅が狭すぎると、作業者Hの手に装着した際のグローブ61の保持力が低下するため、中央部分63Aは、作業者Hの手に装着した際のグローブ61の保持力が低下しない程度の幅に形成されている。
【0045】
さらにまた、グローブ本体63において作業者Hの手の甲に巻き付ける部分には、グローブ本体63の他端部(孔部62が形成されていない側の端部)にループ状に形成された第2面ファスナー65Lと係止するフック状に形成された第2面ファスナー65Fが設けられている。なお、
図6(b)に示すように、第2面ファスナー65Lは、グローブ本体63の裏面であって、グローブ本体63の他端部から中央部分63A方向へ広範囲に設けることが好ましい。第2面ファスナー65Lを広範囲に設けることで、作業者Hの手の大きさに合わせて、第2面ファスナー65Lを第2面ファスナー65Fに固定し易くなる。
さらにまた、
図6(b)に示すように、グローブ本体63は、その裏面であって作業者Hの手の甲に巻き付ける部分に滑り止め67が設けられている。滑り止め67は、グローブ本体63を作業者Hの手の甲に巻き付けた際に、グローブ本体63が作業者Hの手の甲からズレることを防止し、グローブ本体63を作業者Hの手の甲において確実に固定するためのものである。滑り止め67は、例えば、作業者Hが装着する手袋の布地に付き易いフック状に形成された面ファスナー等により形成され、グローブ61を装着した際に作業者Hの手の甲に当接する。
【0046】
[配線ガイドベルト70]
図3(a)に示すように、配線ガイドベルト70は、帯状の部材により形成され、作業者Hの腕部に巻き付けることで装着される。配線ガイドベルト70は、作業者Hの腕部の太さに応じて調整可能に構成される。また、配線ガイドベルト70は、帯状部材の一端部を折り曲げて、面ファスナー等により着脱可能に構成され、その折り曲げ部分に第1配線51が挿通可能なガイド孔が形成されている。形成されたガイド孔に第1配線51を挿通した状態で配線ガイドベルト70を作業者Hの腕部に巻き付けることで、第1配線51が作業者Hの腕部に沿ってガイドされた状態となる。
【0047】
[グローブ61の装着方法]
次に、グローブ61の装着方法について説明する。
図6及び
図7に示すように、まず、グローブ61の孔部62に作業者Hの親指を挿通する。孔部62に作業者Hの親指を挿通した状態で、グローブ本体63を作業者Hの手の甲に当接させながら巻き付ける。そして、グローブ本体63をそのまま作業者Hの手に当接させながら、
図7(b)に示すように、作業者Hの手の甲から作業者の手のひら側の手首にかけてグローブ本体63を当接させながら巻き付ける。すなわち、グローブ本体63を作業者Hの手のひらを外して巻き付ける。さらに、
図7(a)に示すように、グローブ本体63の他端部(孔部62が形成されていない側の端部)を第2面ファスナー65Fまで巻き付けて固定する。
このように、グローブ61を作業者Hの手に装着することで、
図7(b)に示すように、作業者Hの手のひらが開放された状態でグローブ61を作業者Hの手に装着することができる。さらに、アンテナ22を作業者Hの手の甲側に配置することができる。
なお、
図2に示すように、グローブ61は、例えば、作業者Hの利き手に応じて、作業者Hの右手(
図2(a)参照)又は作業者Hの左手(
図2(b)参照)のどちらか一方の手に装着する。
【0048】
[第1配線51の長さの調整方法]
次に、第1配線51の長さの調整方法について説明する。
タグリーダ装着用具30においては、タグリーダ装着用具30を装着する作業者Hの体格によって、リーダ端末21とアンテナ22とを接続する第1配線51の長さが異なる。そのため、タグリーダ装着用具30を装着する際には、タグリーダ装着用具30を装着する作業者Hの体格に合わせて、第1配線51の長さを調整する必要がある。そこで、タグリーダ装着用具30においては、第1配線51の長さを、ベルト31の配線調整部37とグローブ61とを連動させることにより調整する。具体的には以下のように行う。
【0049】
図8(a)に示すように、第1配線51の長さを短くする場合には、作業者Hは、配線調整部37の配線調整レバー38をスライド溝39に沿って下方向に移動させる。配線調整レバー38を下方向に移動させるにより、配線調整レバー38より上流側(リーダ端末21側)の第1配線51が配線係合部40により保持されるとともに、配線調整レバー38によって下流側(グローブ61側)の第1配線51が上流側(リーダ端末21側)に引っ張られる。これにより、第1配線51が配線調整部37内に引き込まれて、第1配線51の長さが短くなる。
【0050】
一方、第1配線51の長さを長くする場合には、作業者Hは、グローブ61を装着した状態で手を伸ばす。すなわち、グローブ61を動かすことで第1配線51を引っ張る。グローブ61を装着した状態で作業者Hの手を伸ばすことにより、
図8(b)に示すように、配線調整レバー38より下流側(グローブ61側)の第1配線51が下流側(グローブ61側)に引っ張られる。これにより、第1配線51が配線調整部37内から引き出されて、第1配線51の長さが長くなる。なお、配線調整レバー38は、第1配線51が下流側(グローブ61側)に引っ張られることにより、スライド溝39に沿って上方向に移動する。
【0051】
[配線調整部37の別実施例]
上述のように、配線調整部37は、配線調整レバー38のスライド部38Aをスライド溝39に嵌め込んでスライド溝39に対してスライドさせる構成であるが、これに限定されるものではなく、
図9及び
図10に示すように、配線調整レバー38の別実施例である配線調整レバー80を配線調整部37の長手方向に設けられたガイドフレーム90に対してスライドさせる構成としても構わない。
図9に示すように、ガイドフレーム90は、板状の部材であり、スライド溝39の開口部分に沿うように設けられる。また、ガイドフレーム90の両端部は、スライド溝39の開口部分の両端部に固定される。そして、配線調整レバー80において帯状に形成される係合部81をガイドフレーム90に巻き付けることで、配線調整レバー80がガイドフレーム90に対してスライド可能となる。
また、配線調整レバー80は、配線調整レバー38と同様に、リング状に形成され、そのリング状部分には第1配線51が挿通される。そして、配線調整レバー80を操作することで、そのリング状部分に挿通された第1配線51が配線調整レバー80の移動方向に引っ張られる。
【0052】
さらに、
図10に示すように、配線調整部37に加えて、第1配線51の長さを調整する第2配線調整部95を、ベルト31の一端部側(リーダ端末収納ケース33が設けられる側)に設けても構わない。すなわち、第2配線調整部95において第1配線51の長さを大まかに調整し、配線調整部37において第1配線51の長さを微調整するように構成する。
第2配線調整部95は、伸縮性素材の布地を縫製することにより円形状に形成される。また、第2配線調整部95は、その円周部分が溝状に形成され、その溝状部分に第1配線51が巻き付けられる。この第2配線調整部95の溝状部分における第1配線51の巻き付け回数を増やすことによりリーダ端末21とアンテナ22との間を接続する第1配線51の長さが短くなり、当該巻き付け回数を減らすことで長くなる。
また、第2配線調整部95の溝状部分に巻き付けた第1配線51は、帯状の固定部材96により第2配線調整部95に固定される。
【0053】
以上のように、上記実施例に係るタグリーダ装着用具30によると、作業者Hの体格等に合わせて個別に装着用具を用意することなく、1つの形態の装着用具により、リーダ端末21とアンテナ22との間の第1配線51の長さを作業者Hの体格等に合わせて調整することができる。そのため、第1配線が作業の邪魔とならず、タグリーダ装着用具30自体の装着性及びタグリーダ装着用具30を装着した作業者Hの作業性を向上させることができる。また、1つの形態の装着用具で第1配線51の長さを調整することができるため、タグリーダ装着用具30における部品点数を少なくすることができる。
さらに、ベルト31及びグローブ61が作業者Hに適度に密着して装着されるため、タグリーダ装着用具30の装着性及びタグリーダ装着用具30を装着した作業者Hの作業性を向上させることができる。
さらにまた、グローブ61が作業者Hの手のひらを外して装着されるため、作業者Hの手のひらが開放された状態となり、タグリーダ装着用具30を装着した作業者Hの作業性を向上させることができる。
【0054】
さらにまた、配線調整部37が、ベルト31(ベルト本体32)の中央部に設けられることから、作業者Hの左右どちらの手からも略同距離で配線調整部37を操作できる。そのため、例えば、作業者Hの利き手に応じて、作業者Hの左右どちらの手でも配線調整部37を容易に操作できる。また、配線調整部37は、配線調整レバー38と、スライド溝39と、配線係合部40とにより構成されることから、複雑な長さ調整機構を設けることなく、簡単な長さ調整機構により第1配線51の長さを調整することができる。
【0055】
さらにまた、グローブ61が、作業者Hの手のひらを外した状態で、且つアンテナ22が作業者Hの手の甲側に配置されるように巻き付けられることから、作業者Hの手のひらが開放された状態となり、グローブ61を装着した状態でも作業者Hが作業を行い易くなる。また、アンテナ22が各タグ(棚側タグ25及び容器側タグ26)からの情報を読み取り易い位置に配置されることとなるため、各タグ(棚側タグ25及び容器側タグ26)からの情報の読み取りを確実に行うことができる。
【0056】
さらにまた、グローブ本体63は、作業者Hの手のひら側の手首に巻き付ける部分(中央部分63A)の帯状の一辺が直線的に傾斜して形成されることから、グローブ61(グローブ本体63)が作業者Hの手の甲に適度に密着して装着することができる。そのため、作業者Hに対するグローブ61の装着性が向上する。
【0057】
さらにまた、配線収納ベルト35が布地を縫製することにより形成されることから、第1配線51が保護された状態で作業者Hに適度に密着して装着され、第1配線51が作業者Hの邪魔とならない。そのため、タグリーダ装着用具30の装着性及びタグリーダ装着用具30を装着した作業者Hの作業性を向上させることができる。
【0058】
さらにまた、作業者Hがベルト31を装着した際に、リーダ端末収納ケース33に保持されるリーダ端末21がベルト31に対して揺動(上下動)可能であるため、ベルト31を作業者Hの腰部に装着した状態で、リーダ端末21の操作ボタン21Aの操作及びLEDランプ等の視認を容易に行うことができる。
【0059】
さらにまた、タグリーダ装着用具30をピッキング設備1において使用することにより、作業者Hは、タグリーダ装着用具30(ベルト31及びグローブ61)を適度に密着させて装着することができ、また、グローブ61を装着した状態であっても、作業者Hの手のひらは開放された状態であるため、作業者Hの作業性が良くなり、設備全体の作業効率が向上する。
【0060】
なお、本実施の形態においては、タグリーダ装着用具30を使用する仕分け設備をピッキング設備1としているが、これに限定されるものではなく、タグリーダ装着用具30を使用することが可能な仕分け設備であれば、例えば、物品が収納された容器から物品をフローラック等に仕分けるアソート設備、仮置棚を有するピッキング設備であっても構わない。また、タグリーダ装着用具30は、仕分け設備に使用するものに限定されるのではなく、所定の情報を記憶する記憶手段から非接触で情報を読み取る情報読取装置を作業者が装着して作業を行う設備であれば、例えば、装置の組立設備等で使用するものであっても構わない。
【0061】
また、本実施の形態においては、作業者Hがベルト31を装着した際に、リーダ端末収納ケース33が作業者Hの右側の腰部に、バッテリ収納ケース34が作業者Hの左側の腰部に装着されるように構成されているが、これに限定されるものではなく、リーダ端末収納ケース33及びバッテリ収納ケース34の位置が左右入れ替わった位置に装着されるように構成しても構わない。