(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
異なる位置に分散して設置される複数の感知端末装置と災害判定処理装置とがメッシュネットワークにより接続され、災害の発生により変化する設置位置の物理変化を感知した感知端末装置がメッシュネットワークを介して発報する災害感知情報をもとに、災害判定処理装置が災害状況を判定する災害判定システムであって、
各感知端末装置は、設置位置の物理変化量を監視し、物理変化量が所定の設定値を超えることから災害発生を感知する災害感知部と、災害感知部が災害発生を感知した際に、自らの感知端末装置を特定する端末識別情報を加えた災害感知情報をメッシュネットワークを介して災害判定処理装置へ発報する送信手段とを備えるとともに、
災害判定処理装置は、複数の感知端末装置からメッシュネットワークを介して受信した災害感知情報をもとに災害状況を判定する災害判定部を備え、
災害判定部は、
災害感知情報を受信する毎に、その災害感知情報を発報した感知端末装置について、端末識別情報から特定される感知端末装置の設置位置と、感知端末装置が災害発生を感知した災害感知時刻を求め、
少なくとも2以上の災害感知情報を発報した各感知端末装置についての前記設置位置と前記災害感知時刻とから、災害の発生位置と災害の拡大方向を判定し、
さらに、災害判定処理装置は、災害判定部が判定した災害の発生位置と災害の拡大方向の災害状況を、少なくとも災害感知情報を発報した感知端末装置へメッシュネットワークを介して送信することを特徴とする災害判定システム。
前記送信手段は、災害感知部が災害発生を感知した時刻を災害感知時刻として、災害感知情報に加えて災害判定処理装置へ発報することを特徴とする請求項1に記載の災害判定システム。
災害判定処理装置は、受信した災害感知情報に含まれるルートレコードから災害感知情報が転送された感知端末装置の順に危険性が高いことを表す警報ランクを割り当て、割り当てた警報ランクに応じた警報情報を災害状況とともに送信することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の災害判定システム。
異なる位置に分散して設置される複数の感知端末装置と災害判定処理装置とが、メッシュネットワークにより接続され、災害の発生により変化する設置位置の物理変化を感知した感知端末装置がメッシュネットワークを介して発報する災害感知情報をもとに、災害判定処理装置が災害状況を判定する解析する災害判定方法であって、
(1)感知端末装置は、感知端末装置の設置位置の物理変化量を監視し、物理変化量が所定の設定値を超えることから災害発生を感知した際に、自らの感知端末装置を特定する端末識別情報と災害発生を感知した災害感知時刻を加えた災害感知情報をメッシュネットワークを介して災害判定処理装置へ発報し、
(2)災害判定処理装置は、メッシュネットワークを介して災害感知情報を受信する毎に、その災害感知情報を発報した感知端末装置について、端末識別情報から特定される感知端末装置の設置位置と、感知端末装置が災害発生を感知した災害感知時刻を求め、
(3)少なくとも2以上の災害感知情報を発報した各感知端末装置についての前記設置位置で囲われる領域を災害の発生位置と判定し、
(4)2以上の前記災害感知情報の災害感知時刻の順に前記災害感知情報を発報した前記各感知端末装置の設置位置が移動する方向を、災害の拡大方向と判定し、
(5)前記災害の発生位置と前記災害の拡大方向の災害状況を、少なくとも災害感知情報を発報した感知端末装置へメッシュネットワークを介して送信することを特徴とする災害判定方法。
【背景技術】
【0002】
煙や有害ガスの発生、温度上昇等の物理変化量の異常を検出するセンサーを有し、物理変化量の異常から災害の発生を感知した際に災害感知情報を発報する多数の感知端末装置がネットワークを介して接続され、異なる位置に分散して配置されるいずれかの感知端末装置がネットワークへ災害感知情報を発報した際に、災害感知情報を発報した感知端末装置の設置位置から災害の発生位置を判定し、災害発生位置の周囲に避難を促す災害判定システムが、特許文献1や特許文献2で知られている。
【0003】
このうち、特許文献1の災害判定システムは、物理変化量の異常から災害の発生を感知するセンサーを備えた多数の感知端末装置がメッシュネットワークを介して相互に接続され、センサーによって災害の発生を感知したいずれかの感知端末装置は、マルチホップ通信でメッシュネットワークを介してその周囲の感知端末装置へ災害の発生を感知したことを示す災害感知情報を発報する。
【0004】
災害感知情報は、フラッティングメッセージを送信することによりメッシュトロポジーを構成する各感知端末装置に形成されるルーティングテーブルをもとに、その周囲の感知端末装置に送信され、災害感知情報を受信した感知端末装置は、その災害感知情報に含まれるホップ数をインクリメントした後周囲の他の感知端末装置へ転送する。従って、災害感知情報を受信したいずれかの感知端末装置は、受信した災害感知情報に含まれるポップ数が少ないほど災害感知情報を発報した感知端末装置の設置位置、すなわち災害の発生位置に接近していると推定できる。
【0005】
そこで、災害感知情報を受信した全ての感知端末装置は、災害感知情報に含まれるポップ数から、災害発生位置からの距離を推定し、その距離に応じた通報レベルに従って通報を発し、必要な場合に災害発生位置からの避難を促す。
【0006】
また、特許文献2の災害判定システムは、異常温度上昇等を検出するセンサを備えた多数の感知端末装置が建物内の異なる位置に分散して配置され、多数の各感知端末装置は、それぞれ災害状況を判定する災害判定処理装置として機能するサーバーに接続している。サーバーには、各感知端末装置毎にその感知端末装置の建物内の設置位置が関連づけて記憶されている。サーバーは、各感知端末装置のセンサの検出状態を周期的に監視し、いずれか一又は二以上の感知端末装置のセンサが異常温度上昇を検出したことを示している場合には、そのセンサを備えた感知端末装置の設置位置から災害の発生位置を検出する。
【0007】
サーバーは、その後も一定周期で各感知端末装置のセンサの検出状態を周期的に監視して同様の処理を繰り返し、センサが災害の発生を検知した感知端末装置の設定位置の推移から災害の拡大方向と災害の拡大速度を判定し、その判定結果から建物内の避難経路や避難方向を建物内の各位置に報知する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の災害判定システムによれば、多数の感知端末装置がメッシュネットワークを介して相互に接続されているので、いずれかの感知端末装置間の通信経路が火災などで途絶えても、全ての感知端末装置が災害の発生位置までの距離を推定できる。しかしながら、各感知端末装置では、災害の発生位置までの距離を概ね知ることができるだけで、災害が発生している方向やその拡大方向を知ることができず、適切に避難方向を誘導することができない。
【0010】
特許文献2の災害判定システムは、サーバーにスター型トロポジーで各感知端末装置が接続されているので、いずれかの感知端末装置との通信経路が火災などの災害で遮断されたり、その感知端末装置のセンサが災害で破損すると、正確な災害の発生位置や拡大方向を知ることができなくなる。
【0011】
また、各感知端末装置のセンサの検出状態を一定周期で監視し、その都度、災害の発生を感知した感知端末装置の設置位置を比較して災害の拡大方向を判定するので、監視周期間にセンサーが災害の発生を感知しても、直ちに災害判定処理装置に伝わらず、従って災害判定処理装置では、リアルタイムに災害の発生位置や拡大方向を判定できず、一刻を争って避難誘導を報知しなければならないこの種の災害判定システムでは致命的な欠陥となる。監視周期を短縮すればこの問題はある程度改善できるが、極めて希な災害の発生に合わせて長期にわたる正常監視時の監視周期を短縮させてシステム全体を動作させると、消費電力が増大し、故障の原因にもなる。
【0012】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、災害の発生により感知端末装置間の通信経路が遮断されても、確実に災害の発生位置を検出する災害判定システムと災害判定方法を提供することを目的とする。
【0013】
また、災害の発生位置と拡大方向を速やかに検出する災害判定システムと災害判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的を達成するため、請求項1に記載の災害判定システムは、異なる位置に分散して設置される複数の感知端末装置と災害判定処理装置とがメッシュネットワークにより接続され、災害の発生により変化する設置位置の物理変化を感知した感知端末装置がメッシュネットワークを介して発報する災害感知情報をもとに、災害判定処理装置が災害状況を判定する災害判定システムであって、各感知端末装置は、設置位置の物理変化量を監視し、物理変化量が所定の設定値を超えることから災害発生を感知する災害感知部と、災害感知部が災害発生を感知した際に、自らの感知端末装置を特定する端末識別情報を加えた災害感知情報をメッシュネットワークを介して災害判定処理装置へ発報する送信手段とを備えるとともに、災害判定処理装置は、複数の感知端末装置からメッシュネットワークを介して受信した災害感知情報をもとに災害状況を判定する災害判定部を備え、
災害判定部は、災害感知情報を受信する毎に、その災害感知情報を発報した感知端末装置について、端末識別情報から特定される感知端末装置の設置位置と、感知端末装置が災害発生を感知した災害感知時刻を求め、少なくとも2以上の災害感知情報を発報した各感知端末装置についての設置位置と災害感知時刻とから、災害の発生位置と災害の拡大方向を判定
し、さらに、災害判定処理装置は、災害判定部が判定した災害の発生位置と災害の拡大方向の災害状況を、少なくとも災害感知情報を発報した感知端末装置へメッシュネットワークを介して送信することを特徴とする。
【0015】
災害判定部は、少なくとも2以上の災害感知情報を発報した各感知端末装置についての設置位置と災害感知時刻とから、複数の異なる設置位置での災害感知時刻が得られるので、災害発生を感知した複数の異なる設置位置で囲まれる領域を災害の発生位置と、異なる設置位置での災害感知時刻から災害の拡大方向を判定する。
【0016】
災害判定部は、少なくとも2以上の感知端末装置が発報した災害感知情報をもとに災害の発生位置と災害の拡大方向を判定した後、新たに災害の発生を感知した感知端末装置から災害感知情報を受信する毎に、同様の処理を行い、更に精度良く、災害の発生位置と災害の拡大方向を判定できる。
また、周囲の一部の感知端末装置との通信経路の災害の発生により遮断されても、各感知端末装置に災害判定処理装置から確実に災害状況が送信される。
【0017】
請求項2に記載の災害判定システムは、送信手段が、災害感知部が災害発生を感知した時刻を災害感知時刻として、災害感知情報に加えて災害判定処理装置へ発報することを特徴とする。
【0018】
災害感知部が災害発生を感知した時刻が正確に災害判定処理装置に伝達される。
【0019】
請求項3に記載の災害判定システムは、感知端末装置の送信手段は、災害感知部が災害発生を感知した後、所定の周期で災害感知情報を発報し、災害判定部は、災害感知情報を発報した感知端末装置から前記周期以上の期間災害感知情報を受信しない場合であっても、災害感知情報を発報した感知端末装置とすることを特徴とする。
【0020】
一度、災害発生を感知して災害感知情報を発報した感知端末装置が、災害によって破損するなど動作を停止しても、災害判定部は、その感知端末装置が発報した災害感知情報を用いて、災害の発生位置と災害の拡大方向を判定する。
【0021】
請求項4に記載の災害判定システムは、各感知端末装置の送信手段は、災害感知部が災害発生を感知した際に、所定の設定値を超えた物理変化量を災害感知情報に含めて発報し、災害判定部は、少なくとも2以上の災害感知情報を発報した各感知端末装置についての設置位置と災害感知時刻と物理変化量とをもとに、災害の発生位置と災害の拡大方向を判定することを特徴とする。
【0022】
災害判定部は、各感知端末装置の設置位置での災害の発生による物理変化量がその災害感知時刻とともに得られる。
【0025】
請求項
5に記載の災害判定システムは、災害判定処理装置は、受信した災害感知情報に含まれるルートレコードから災害感知情報が転送された感知端末装置の順に危険性が高いことを表す警報ランクを割り当て、割り当てた警報ランクに応じた警報情報を災害状況とともに送信することを特徴とする。
【0026】
ルートレコードに示される災害感知情報が転送された感知端末装置の順は、概ね災害の発生位置と各感知端末装置の設置位置との距離が接近する順となるので、災害の発生位置に近い感知端末装置に危険性が高い警報ランクが、災害の発生位置から遠い感知端末装置に危険性の低い警報ランクがそれぞれ割り当てられ、その警報ランクに応じた警報情報が災害判定処理装置から送信される。
【0027】
請求項
6に記載の災害判定システムは、複数の感知端末装置は、建物内に分散して設置されることを特徴とする。
【0028】
建物内の各位置での災害の発生位置や拡大方向を判定できる。
【0029】
請求項
7に記載の災害判定方法は、異なる位置に分散して設置される複数の感知端末装置と災害判定処理装置とが、メッシュネットワークにより接続され、災害の発生により変化する設置位置の物理変化を感知した感知端末装置がメッシュネットワークを介して発報する災害感知情報をもとに、災害判定処理装置が災害状況を判定する解析する災害判定方法であって、
(1)感知端末装置は、感知端末装置の設置位置の物理変化量を監視し、物理変化量が所定の設定値を超えることから災害発生を感知した際に、自らの感知端末装置を特定する端末識別情報と災害発生を感知した災害感知時刻を加えた災害感知情報をメッシュネットワークを介して災害判定処理装置へ発報し、
(2)災害判定処理装置は、メッシュネットワークを介して災害感知情報を受信する毎に、その災害感知情報を発報した感知端末装置について、端末識別情報から特定される感知端末装置の設置位置と、感知端末装置が災害発生を感知した災害感知時刻を求め、
(3)少なくとも2以上の災害感知情報を発報した各感知端末装置についての前記設置位置で囲われる領域を災害の発生位置と判定し、
(4)2以上の前記災害感知情報の災害感知時刻の順に前記災害感知情報を発報した前記各感知端末装置の設置位置が移動する方向を、災害の拡大方向と判定
し、
(5)前記災害の発生位置と前記災害の拡大方向の災害状況を、少なくとも災害感知情報を発報した感知端末装置へメッシュネットワークを介して送信することを特徴とする。
【0030】
災害判定部は、少なくとも2以上の災害感知情報を発報した各感知端末装置についての設置位置と災害感知時刻とから、複数の異なる設置位置での災害感知時刻が得られるので、災害発生を感知した複数の異なる設置位置で囲まれる領域を災害の発生位置と、災害感知時刻の順に前記災害感知情報を発報した感知端末装置の設置位置が移動する方向を、災害の拡大方向を判定する。
【発明の効果】
【0031】
請求項1と請求項
7の発明によれば、異なる位置に分散して設置される複数の感知端末装置と災害判定処理装置とがメッシュネットワークにより接続されるので、特定の通信経路が災害の発生によって遮断されても、災害の発生を感知した全ての感知端末装置から災害感知情報を受信し、精度良く災害の発生位置と拡大方向を判定できる。
【0032】
また、新たに災害の発生を感知した感知端末装置から災害感知情報を受信する毎に、速やかに、最新の災害の発生位置と災害の拡大方向を判定できる。
異なる位置に分散して設置される複数の感知端末装置と災害判定処理装置とがメッシュネットワークにより接続されるので、各感知端末装置に災害判定処理装置から確実に災害状況が送信される。少なくとも災害感知情報を発報した感知端末装置に、災害の発生位置と災害の拡大方向の災害状況が送信されるので、感知端末装置の設置位置で避難方向や避難の緊急性を把握できる。
【0033】
請求項2の発明によれば、感知端末装置の内部処理時間やメッシュネットワークでの遅延時間の影響を受けずに、感知端末装置の災害感知部が災害発生を感知した時刻を正確に災害判定処理装置へ伝えることができる。
【0034】
請求項3の発明によれば、災害発生を感知して災害感知情報を発報した感知端末装置が、災害によって破損するなど動作を停止しても、その感知端末装置の設置位置で災害の発生を感知したものとして、精度良く災害の発生位置と拡大方向を判定できる。
【0035】
請求項4の発明によれば、災害判定部は、各感知端末装置の設置位置での災害の発生による物理変化量とその災害感知時刻とから、その設置位置での災害の大きさや影響力を詳細に把握でき、より精度良く災害の発生位置と拡大方向を判定できる。
【0038】
請求項
5の発明によれば、災害の発生位置との距離が近いと推定される感知端末装置に危険性の高い警報ランクが割り当てられ、その警報ランクに応じた警報情報がその感知端末装置に送信されるので、避難の緊急性や災害の危険性を災害の発生位置や拡大方向と共に感知端末装置の設置位置付近の人へ伝達できる。
【0039】
請求項
6の発明によれば、建物内の各位置での災害の発生位置や拡大方向を判定できるので、建物内での避難方向を各感知端末装置の設置位置で把握できる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の一実施の形態に係る災害判定システム1と災害判定方法を、
図1乃至4を用いて説明する。この災害判定システム1では、
図1に示すように、所定の地域内の互いに離れた位置に分散して設置される多数の感知端末装置2(A乃至L)と災害判定処理装置3(S)がメッシュネットワーク10のノードとなり、メッシュネットワーク10を介していずれか任意の一組のノード間で、後述する災害感知情報、災害状況、警報情報等のデータを双方向通信できるようになっている。すなわち、メッシュネットワーク10では、各ノード(感知端末装置2,災害判定処理装置3)が、各ノード2,3に記憶されるルーティングテーブル11に従ってデータを転送するマルチホップ通信を行い、任意の送信元(Src)ノード2,3から最終送信先(Dst)ノード2,3へデータが送信される。
【0042】
ここで個々のノード2,3間の通信は、有線、無線を問わず、メッシュネットワーク10の全体で有線通信と無線通信を組み合わせたものであってもよいが、本実施の形態では全ての隣接するノード間が無線通信によってデータを送受信するものとして説明する。無線通信によれば、固定ネットワークが不要で各感知端末装置2を任意の設置位置に設置することができ、各感知端末装置2は、自律的にルーティングを行ってマルチホップ通信を行う。
【0043】
メッシュネットワーク10のノードとなる各感知端末装置2(A乃至L)と災害判定処理装置3(S)に備えられるルーティングテーブル11は、アドホックルーティングプロトコルを用いて動的に更新される。送信元(Src)となる各ノード2,3は、災害感知情報、災害状況、警報情報等のデータを最終送信先(Dst)のノード2,3へ送信する前に、マルチキャストユーザデータグラムプロトコル(UDP)パケットからなるルートレコードコマンドフレーム(PREQ)を隣接するノード2,3へマルチキャスト送信する。PREQを受信した中継ノード2,3は、これに自身のネットワークアドレスをルートレコードに加えて更に隣接するノード2,3へPREQを転送する。同様の転送を繰り返し、最終送信先(Dst)のノード2,3にPREQが届くと、そのノード2,3は、受信したPREQのルートレコードを含めたルートリプライコマンドフレーム(PREP)を生成し、受信したPREQのルートレコードの逆順の通信経路でPREQを最初に送信した送信元(Src)のノード2,3へ返信する。
【0044】
PREPを受信した各中継ノード2,3は、PREQを送信したノード2,3へPREPを転送し、送信元(Src)のノード2,3に転送されるまで転送を繰り返す。この際に、PREPを転送する各中継ノード2,3は、PREPに含まれるルートレコードから特定される最終送信先(Dst)とPREPを送信したノード2,3を含む通信経路を自身のルーティングテーブル11へ記憶する。
【0045】
送信元(Src)のノード2,3は、PREQを隣接する複数のノード2,3へマルチキャスト送信しているので、最終送信先(Dst)のノード2,3から、多数の異なる通信経路を経たPREPを受信する。そこで、送信元(Src)のノード2,3は、ホップ数やスループットを考慮し、最終送信先(Dst)へデータを送信する最適な通信経路を選択し、その通信経路をルーティングテーブル11に記憶する。従って、いずれかの感知端末装置2(A乃至L)が災害の発生や他の原因によってルーター機能を失っても、継続的に他の感知端末装置2を経由した新たな通信経路が形成され、送信元(Src)と最終送信先(Dst)との間で確実に災害感知情報、災害状況、警報情報等のデータを送受信できる。
【0046】
各感知端末装置2は、
図2に示すように、感知端末装置2での煙、温度、特定のガス等の物理変化を検知する煙感知器、温度計、ガス検知器等の計測器21と、計測器21の測定値が通常時の変化量を超えることから、火災やガス漏れなどの災害発生を感知する煙感知器、温度センサー、ガス漏れセンサー若しくはこれらを組み合わせた災害感知部22と、災害感知情報等のパケットを無線通信で送受信する通信部23と、通信部23に接続された無線アンテナ24と、通信部23がマルチホップ通信する送信先の感知端末装置2若しくは災害判定処理装置3を特定するルーティングテーブル11(A乃至L)と、通信部23が災害状況や警報情報を受信した際に、その内容を周囲に通報するスピーカー、ディスプレーなどの通報部26とを備えている。
【0047】
本実施の形態では、災害感知部22は、煙感知器と温度センサーが組み合わされ、煙を感知し、かつ、温度が通常時の温度の上限(例えば70℃)を超えることから、設置位置で火災が発生していることを感知する。災害感知部22が火災発生を感知すると、通信部23は、
図3のフォーマットで示される災害感知情報を生成して無線アンテナ24から発報する。このパケットのヘッダーには、災害感知情報の送信元(Src)である災害発生を感知した感知端末装置2と最終送信先(Dst)である災害判定処理装置3をそれぞれ特定するネットワークアドレスと、ホップ数(デフォルトは0)が含まれ、データ領域に、災害感知部22が災害発生を感知した時刻を表すタイムスタンプと、計測器21の測定値が含まれている。
【0048】
上述のアドホックルーティングプロトコルによって火災発生を感知した感知端末装置2(A)を送信元(Src)と、災害判定処理装置3(S)を最終送信先(Dst)とする最適な通信経路が、
図1に示す感知端末装置2(B)、感知端末装置2(E)を経由する通信経路であるとして、その最適通信経路が感知端末装置2(A)のルーティングテーブル11(A)に記憶されているものとすると、送信元(Src)の感知端末装置2は、ルーティングテーブル11(A)を参照し、最終送信先(Dst)が災害判定処理装置3(S)である場合の送信先(Next)である感知端末装置2(B)へ災害感知情報を送信する。
【0049】
図4に示すように、感知端末装置2(A)、感知端末装置2(B)、感知端末装置2(E)及び災害判定処理装置3(S)にそれぞれネットワーク上の端末識別情報であるネットワークアドレス0x000A、0x000B、0x000E、0x000Sが割り当てられているものとして、災害感知情報のヘッダの送信元(Src)に災害発生を感知した感知端末装置2(A)のネットワークアドレス0x000Aが、最終送信先(Dst)に災害感知情報から災害状況を判定する災害判定処理装置3(S)を特定するネットワークアドレス0x000Sが割り当てられる。
【0050】
感知端末装置2(A)から災害感知情報を受信した中継ノードである感知端末装置2(B)は、感知端末装置2(B)のルーティングテーブル11(B)から、最終送信先(Dst)が災害判定処理装置3(S)のネットワークアドレス0x000Sである場合の次の送信先の感知端末装置2(E)を得て、感知端末装置2(E)へ災害感知情報を転送する。この転送の際に、感知端末装置2(B)は、自身の感知端末装置2(B)を特定するネットワークアドレス0x000Bを災害感知情報のルートレコードへ加えるとともにホップ数をインクリメントして、感知端末装置2(E)へ転送する。
【0051】
中継ノードである感知端末装置2(E)は、感知端末装置2(B)と同様に災害感知情報の転送処理を行い、そのルーティングテーブル11(E)を参照して最終送信先(Dst)の災害判定処理装置3(S)へ災害感知情報を送信する。その結果、災害判定処理装置3(S)で受信される災害感知情報には、
図3に示すように、通信経路を示す0x000B、0x000Eがルートレコードに加えられている。また、ホップ数は、メッシュネットワーク10で災害感知情報が転送される転送数を表すので、感知端末装置2(B)と感知端末装置2(E)での転送数を表す「2」となっている。
【0052】
災害感知部22が災害発生を感知した感知端末装置2の通信部23は、リセットされるまで例えば10秒間隔の一定周期で災害判定処理装置3(S)へ同様に災害感知情報を送信する。周期的に繰り返して送信される災害感知情報のデータ領域に含まれる計測器21の計測値とタイムスタンプは、その災害感知情報を再送信する際に、計測器21が計測した計測値とその計測時刻とするので、同一の感知端末装置2から一定周期で災害感知情報を受信する災害判定処理装置3(S)は、その感知端末装置2の設置位置での物理変化量を経時的に観測できる。
【0053】
災害判定処理装置3は、
図1に示すように、災害感知情報や災害状況、警報情報等のパケットを無線通信で送受信する通信部31と、通信部31に接続された無線アンテナ32と、通信部31がマルチホップ通信する送信先の感知端末装置2を特定するルーティングテーブル11(S)と、メッシュネットワーク10を介して接続する各感知端末装置2のネットワークアドレスとその感知端末装置2の設置位置を関連づけて記憶するIDテーブル33と、災害感知情報を発報した感知端末装置2のネットワークアドレス、すなわち受信した災害感知情報の送信元(Src)に表示されるネットワークアドレスとその災害感知情報に含まれるタイムスタンプと計測器21の計測値とが関連づけられたイベント情報を、災害感知情報を受信する毎に記憶するイベントレコーダ34と、IDテーブル33とイベントレコーダ34に記憶されるイベント情報から災害の発生位置と拡大方向の災害状況を判定する災害判定部35とを備えている。
【0054】
災害判定部35は、新たに災害感知情報を受信する毎に、イベントレコーダ34から全てのイベント情報の1又は複数のネットワークアドレスを抽出する。抽出したネットワークアドレスは、災害感知情報を発報した感知端末装置2のネットワークアドレスであるので、そのネットワークアドレスから特定される感知端末装置2の設置位置で災害が発生していると推定できる。従って、災害判定処理装置3は、抽出したネットワークアドレス毎にIDテーブル33を参照してそのネットワークアドレスに関連づけられた感知端末装置2の設置位置を検出し、検出した設置位置の近傍若しくは設置位置で囲まれた地域を災害の発生位置と判定する。
【0055】
また、災害判定部35は、新たに災害感知情報を受信する毎に、イベントレコーダ34に記憶されている全てのイベント情報から、上述の1又は複数の全てのネットワークアドレスについてそれぞれ最も古いタイムスタンプのイベント情報を抽出する。各ネットワークアドレスについて最もタイムスタンプが古いイベント情報は、そのネットワークアドレスから特定される感知端末装置2の災害感知部22が最初に災害発生を感知した時刻と計測器21の測定値を表すので、IDテーブル33を参照してそのネットワークアドレスに関連づけられた感知端末装置2の設置位置を検出すれば、感知端末装置2の設置位置で最初に災害発生を感知した時刻が得られる。従って、災害判定処理装置3は、各ネットワークアドレスについて抽出したイベント情報と各ネットワークアドレスに関連づけられた感知端末装置2の設置位置とから、複数の異なる位置で最初に災害発生を感知した時刻が得られ、災害の拡大方向を判定できる。
【0056】
例えば、
図1の感知端末装置2(A)の設置位置で発生した火災が図中右下方に拡大し、感知端末装置2(A)→感知端末装置2(C)→感知端末装置2(B)→感知端末装置2(D)の設置位置で順に各感知端末装置2が最初に災害発生を感知したとすると、災害判定処理装置3が各ネットワークアドレス(感知端末装置2)について抽出したイベント情報のタイムスタンプは、感知端末装置2(A)→感知端末装置2(C)→感知端末装置2(B)→感知端末装置2(D)のネットワークアドレスの順に経過した時刻を表す。そこで、IDテーブル33を参照して各ネットワークアドレスに関連づけられた感知端末装置2の設置位置を得れば、感知端末装置2(A)→感知端末装置2(C)→感知端末装置2(B)→感知端末装置2(D)の設置位置で順に災害発生が感知されたと推定でき、これによって、
図1の白抜き矢印で示す右下方を火災の拡大方向と判定する。
【0057】
また、上述の通り、一度災害の発生を感知した感知端末装置2は、災害感知情報を発報した後も、一定の周期(ここでは10秒間隔)で災害感知情報の送信を繰り返し、イベントレコーダ34に記憶されたイベント情報には、ネットワークアドレスとタイムスタンプと計測器21の計測値とが関連づけて記憶されているので、ネットワークアドレスで特定される感知端末装置2の設置位置でのタイムスタンプで示される時刻に計測器21が計測した計測値が得られる。従って、災害判定部35は、各ネットワークアドレスのイベント情報についてタイムスタンプでソートし、計測値の推移を比較することにより、そのネットワークアドレスで特定される感知端末装置2の設置位置での災害による影響力の経時変化を熱やガス濃度などの物理変化量から更に詳しく把握できる。
【0058】
また、2以上のネットワークアドレスで特定される各感知端末装置2の設置位置での計測値の推移を比較して、災害の発生位置や拡大方向の災害状況をより精度良く判定できる。
【0059】
一方、一度災害感知情報を発報した感知端末装置2から一定周期で送信される災害感知情報が途絶えた場合にも、その感知端末装置2について既にイベントレコーダ34に記憶されたイベント情報は有効なものとして、災害の発生位置や拡大方向を判定する。災害感知情報を発報した感知端末装置2自体が消失するなどの災害の影響を受けて、その後、災害感知情報を送信できなくなる場合があり、そのような場合には、その感知端末装置2の設置位置で災害が継続して発生していると推測されるからである。
【0060】
災害判定部35が、災害の発生位置や拡大方向の災害状況を判定すると、災害判定処理装置3は、感知端末装置2の設置位置に災害による危険や避難の誘導を促すために、通信部31からその判定した災害状況を感知端末装置2へ送信する。災害状況は、災害判定処理装置3にメッシュネットワーク10を介して接続する全ての感知端末装置2へ送信してもよいが、災害発生時にはネットワークが輻輳する恐れがあるので、災害判定部35が判定した災害の発生位置や拡大方向から、災害が既に発生し若しくは災害の危険が迫っている地域を特定し、その地域に設置された感知端末装置2に限って災害状況を送信してもよい。
【0061】
例えば、災害判定処理装置3が、感知端末装置2(A)と感知端末装置2(C)から災害感知情報を受信し、災害判定部35が災害の発生位置を、感知端末装置2(A)と感知端末装置2(C)の設置位置を結ぶ領域と、災害の拡大方向を
図1において右下方向と判定した場合には、感知端末装置2(A)と感知端末装置2(C)の設置位置に隣接する感知端末装置2(B)、感知端末装置2(D)、感知端末装置2(G)、感知端末装置2(H)、
感知端末装置2(J)及び感知端末装置2(L)と、災害の拡大方向と推定される感知端末装置2(E)に災害状況が送信される。
【0062】
また、災害判定処理装置3では、受信した災害感知情報のルートレコードから、災害発生を感知した感知端末装置2と災害感知情報の通信経路に介在する中継感知端末装置2との設置位置間の距離が推定できる。すなわち、送信元(Src)から少ないホップ数で災害感知情報を受信した中継感知端末装置2ほどその設置位置は、災害発生を感知した感知端末装置2の設置位置に接近していることとなる。そこで、災害判定処理装置3は、災害判定部35において災害感知情報に含まれるルートレコードから災害感知情報が転送された感知端末装置2の順に危険性が高いことを表す警報ランクを付与し、その警報ランクに応じた警報情報を災害状況と共に当該感知端末装置2へ送信し、避難の緊急性等を伝えることができる。尚、災害判定部35で付与する警報ランクは、災害の発生位置や拡大方向の災害状況を併せて、若しくはこれらの災害状況のみから感知端末装置2毎に判断して付与してもよい。
【0063】
災害判定処理装置3から指定の感知端末装置2へ災害状況若しくは災害状況と警報情報(以下、災害状況等という)を送信する際には、その感知端末装置2を最終送信先(Dst)とし、災害判定処理装置3のルーティングテーブル11(S)を参照してその最終送信先(Dst)に関連づけて記憶されている送信先(Next)の感知端末装置2へ災害状況等を送信する。その結果、メッシュネットワーク10の最適な通信経路で災害状況等が指定した最終送信先(Dst)の感知端末装置2へ送信される。
【0064】
災害判定処理装置3から災害状況等を受信した感知端末装置2は、スピーカー、ディスプレーなどの通報部26を用いて、災害状況を感知端末装置2が設置された周辺に通報し、危険や避難の必要性を促す。災害状況には、災害の発生位置や拡大方向が含まれているので、通報部26から通報を受けた者は、避難方向や避難の必要性を判断できる。更に、災害状況に災害判定部35が判定した警報ランクに応じた警報情報が含まれている場合には、警報情報が通報されることによって、より詳細に迅速に災害の接近や避難の緊急性等を判断できる。
【0065】
上述の災害判定システム1は、
図1に示すように、メッシュネットワーク10のノードとなる多数の感知端末装置2(A乃至L)と災害判定処理装置3(S)が、所定の地域内の互いに離れた位置に分散して設置されているが、建物内の異なる位置にノードとなる多数の感知端末装置2(Kmn)と災害判定処理装置3(Ks)が分散して設置され、各ノード2,3がメッシュネットワーク50で接続されていてもよい。
【0066】
以下、メッシュネットワーク50で相互に接続される多数の感知端末装置2(Kmn)と災害判定処理装置3(Ks)とがビル42内の各位置に分散して設置されている第2実施の形態に係る災害判定システム40を、
図5を用いて説明する。この第2実施の形態に係る災害判定システム40は、上述の災害判定システム1と、多数の感知端末装置2(Kmn)と災害判定処理装置3(Ks)の設置位置が異なり、隣接する装置(ノード)2、3間が互いに有線ケーブル41で接続されている点と、災害判定処理装置3(Ks)が感知端末装置2(Kmn)を兼ねる点で異なるのみであり、その他の構成は同一であるので、共通する構成に同一番号を用いてその詳細な説明は省略する。
【0067】
災害判定処理装置3(Ks)は、
図1に示す無線アンテナ32に代えて隣接する感知端末装置2(K12)、感知端末装置2(K23)と有線ケーブル41で接続する図示しない接続インターフェース部を備えている。その他、
図1の災害判定処理装置3が備える通信部31、メッシュネットワーク50でマルチホップ通信する送信先の感知端末装置2(Kmn)を特定するルーティングテーブル11(Ks)、メッシュネットワーク50の各感知端末装置2(Kmn)のネットワークアドレスとその感知端末装置2(Kmn)の設置位置を関連づけて記憶するIDテーブル33、イベントレコーダ34及び災害判定部35を備える他、感知端末装置2として機能する
図2に示す感知端末装置2の計測器21、災害感知部22及び通報部26を備え、感知端末装置2と災害判定処理装置3との機能を備えている。災害判定処理装置3(Ks)は、ビル42の1階隅に設置され、隣接する1階中央に設置された感知端末装置2(K12)及び2階隅に設置された感知端末装置2(K23)と有線ケーブル41を介して接続されている。
【0068】
感知端末装置2(Kmn)は、無線アンテナ24に代えて隣接する感知端末装置2(Kmn)若しくは災害判定処理装置3(Ks)と有線ケーブル41で接続する図示しない接続インターフェース部を備える他は、
図2に示す感知端末装置2の構成を備えている。複数の感知端末装置Kmnは、
図5に示すように、ビル42の1階から3階の各階にそれぞれ分散して設置され、隣接する感知端末装置2(Kmn)若しくは災害判定処理装置3(Ks)と有線ケーブル41を介して相互に接続されることにより、ビル42内にメッシュネットワーク50が形成されている。
【0069】
各感知端末装置2(Kmn)若しくは災害判定処理装置3(Ks)が備える災害感知部22は、第1実施の形態と同様に煙感知器と温度センサーを組み合わせて火災の発生を感知するものであり、いずれかの感知端末装置2(Kmn)がその設置位置での火災発生を感知すると、メッシュネットワーク50を介したマルチホップ通信で災害感知情報を災害判定処理装置3(Ks)へ送信する。
【0070】
いずれかの感知端末装置2(Kmn)から災害感知情報を受信した災害判定処理装置3(Ks)は、災害感知情報の送信元(Src)に表示されるネットワークアドレスとその災害感知情報に含まれるタイムスタンプと計測器21の計測値とが関連づけられたイベント情報を、災害感知情報を受信する毎にイベントレコーダ34へ記憶する。また、災害判定処理装置3(Ks)自身の災害感知部22が火災発生を感知した場合には、自身のネットワークアドレスと計測時を表すタイムスタンプと計測器21の計測値とが関連づけられたイベント情報をイベントレコーダ34へ記憶する。
【0071】
災害判定部35は、イベントレコーダ34に新たにイベント情報が記憶される毎に、記憶された全てのイベント情報をもとに、ビル42内の火災の発生位置と火災の拡大方向を判定し、判定した災害状況を自身の通報部26へ出力すると共に、全ての感知端末装置2(Kmn)へ送信する。これにより、ビル42内の各位置に設置された通報部26から、火災の発生位置と拡大方向を知ることができ、避難方向や避難経路を迅速に判断できる。
【0072】
尚、この第2実施の形態に係る災害判定システム40は、より広域にメッシュネットワークが形成された災害判定システムの一部に構成することもできる。例えば、上述の災害判定処理装置3(Ks)にメッシュネットワーク10のネットワークアドレスを割り当てるとともに、隣接する感知端末装置2と無線通信する無線アンテナ24を備えて
図1の感知端末装置2(K)とすれば、メッシュネットワーク10のノードとしても機能し、災害判定システム40をより広域にメッシュネットワーク10が形成された災害判定システム1の一部とすることができる。
【0073】
上述の各実施の形態によれば、全ての感知端末装置2がルーティングテーブル11を備え、メッシュネットワーク10、50のルーターとしての機能を備えているが、例えばルーティングテーブル11を備えた感知端末装置2にスター接続されている感知端末装置などの一部の感知端末装置2は、発報する災害感知情報のメッシュネットワーク上の送信元(Src)とその設置位置が特定できれば必ずしもルーターとして機能しなくてもよい。
【0074】
また、感知端末装置2の設置位置は、感知端末装置2のネットワークアドレスとその設置位置が関連づけて記憶された災害判定処理装置3のIDテーブル33から参照しているが、災害感知情報に災害発生を感知した感知端末装置2の設置位置情報を含め、災害判定処理装置3へ送信してもよい。
【0075】
また、災害感知部22が災害発生を感知した災害感知時刻は、災害感知情報に含まれて災害判定処理装置3へ送信されるタイムスタンプで表しているが、感知端末装置2の内部処理時間やメッシュネットワーク10、50を介した通信時間が災害の拡大方向の判定に無視できるほど短いものであれば、災害の発生を感知した感知端末装置2が災害感知情報を発報した時刻若しくはその災害感知情報を災害判定処理装置3の通信部31が受信した時刻から災害感知時刻を推定してもよい。