【文献】
丹下吉雄,桐生智志,松井哲郎,福山良和,省エネルギー事前検討のための需給バランスを考慮したエネルギー最適化問題の可視化,電気学会論文誌C,一般社団法人電気学会,2014年 1月 1日,Vol.134,No.1,p.78−84
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プラント解析条件入力部は、前記プラント解析条件として、前記プラントを構成する機器の稼動または停止、もしくは使用または不使用の入力を受け付ける ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のエネルギー解析装置。
前記プラント解析条件入力部は、前記プラント解析条件として、前記プラント情報入力部を介して入力された情報のうちの特定の変数及びその変数に代入すべき値の入力を受け付ける
ことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載のエネルギー解析装置。
前記可視化部は、2以上の前記プラント解析条件が指定されると、前記指定された2以上のプラント解析条件のそれぞれに対応する2以上の出力論理式から一の画像を生成する
ことを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載のエネルギー解析装置。
前記可視化部は、2以上の前記プラント解析条件が指定されると、前記指定された2以上のプラント解析条件のそれぞれに対応する2以上の出力論理式からそれぞれ個別の画像を生成する
ことを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載のエネルギー解析装置。
前記プラント解析条件入力部は、時間設定、外部信号またはユーザ操作による所定のトリガーが加わると、前記プラントから収集した情報に基づき、新たなプラント解析条件の設定を行い、
前記一階述語論理式生成部は、前記新たに設定された解析条件に応じて一階述語論理式の再計算を行い、
前記限定記号消去部は、前記再計算により生成された一階述語論理式に対して前記出力論理式の再計算を行い、
前記可視化部は、生成画像を更新する
ことを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載のエネルギー解析装置。
プラントを構成する機器モデルと、該プラントの前記機器モデル間の接続を表す情報とを入力として、該プラントの挙動を解析するエネルギー解析処理を情報処理装置に実行させるためのエネルギー解析プログラムであって、
前記機器モデルを表す機器情報、及び前記機器モデル間の接続を表す接続情報の入力を受け付け、
プラント解析条件の入力を受け付け、
前記入力された前記機器情報、接続情報及びプラント解析条件を記憶し、
前記記憶した機器情報、前記接続情報及び前記プラント解析条件に基づき、一階述語論理式を生成する、
ことを特徴とするエネルギー解析プログラム。
プラントを構成する機器モデルと、該プラントの前記機器モデル間の接続を表す情報とを入力として、該プラントの挙動を解析するエネルギー解析処理を情報処理装置に実行させるためのエネルギー解析プログラムを記録した記録媒体であって、
前記エネルギー解析プログラムは、
前記機器モデルを表す機器情報、及び前記機器モデル間の接続を表す接続情報の入力を受け付け、
プラント解析条件の入力を受け付け、
前記入力された前記機器情報、接続情報及びプラント解析条件を記憶し、
前記記憶した機器情報、前記接続情報及び前記プラント解析条件に基づき、一階述語論理式を生成する、
ことを特徴とする記録媒体。
プラントを構成する機器モデルと、該プラントの前記機器モデル間の接続を表す情報とを入力として、該プラントの挙動を解析するエネルギー解析処理を情報処理装置に実行させるためのエネルギー解析プログラムであって、
前記機器モデルを表す機器情報、及び前記機器モデル間の接続を表す接続情報の入力を受け付け、
前記機器情報に含まれる変数ごとに、付与すべき限定記号の種別を対応づけた限定記号情報の入力を受け付け、
前記入力された前記機器情報、前記接続情報及び前記限定記号情報を記憶し、
前記記憶した前記機器情報、前記接続情報及び前記限定記号情報に基づいて、前記プラントの挙動を表す一階述語論理式を生成する、
ことを特徴とするエネルギー解析プログラム。
プラントを構成する機器モデルと、該プラントの前記機器モデル間の接続を表す情報とを入力として、該プラントの挙動を解析するエネルギー解析処理を情報処理装置に実行させるためのエネルギー解析プログラムを記録した記録媒体であって、
前記エネルギー解析プログラムは、
前記機器モデルを表す機器情報、及び前記機器モデル間の接続を表す接続情報の入力を受け付け、
前記機器情報に含まれる変数ごとに、付与すべき限定記号の種別を対応づけた限定記号情報の入力を受け付け、
前記入力された前記機器情報、前記接続情報及び前記限定記号情報を記憶し、
前記記憶した前記機器情報、前記接続情報及び前記限定記号情報に基づいて、前記プラントの挙動を表す一階述語論理式を生成する、
ことを特徴とする記録媒体。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係るエネルギー解析装置の構成図である。
図1に示すエネルギー解析装置100は、プラント情報入力部1、限定記号情報入力部2、記憶装置3及び一階述語論理式生成部4を有する。
【0022】
図1のエネルギー解析装置100は、電気、ガス、熱等のエネルギーを供給する供給設備から、そのエネルギーを用いて空調、蒸気利用、排水及び送水等を行う消費設備までを含むエネルギープラントの挙動を、ユーザが解析するのを支援するための装置である。エネルギー解析装置100としては、汎用情報処理装置で構成されてもよいし、これらを複数相互に接続した汎用情報処理システムとして構成されてもよい。
【0023】
プラント情報入力部1は、プラントを構成する機器モデル及び機器モデル間の接続を表す情報の入力を受け付ける。以下の説明においては、プラントを構成する機器モデルを表す情報を「機器情報」とし、機器モデル間の接続を表す情報を「接続情報」とする。機器情報及び接続情報の詳細については、
図4〜6を参照して詳しく説明する。
【0024】
限定記号情報入力部2は、機器情報及び接続情報に含まれる変数に対して付与すべき限定記号及びこれに関する各種の情報の入力を受け付ける。以下の説明においては、限定記号情報入力部2において受け付ける限定記号及びこれに関する情報を「限定記号情報」とする。
【0025】
記憶装置3は、プラント情報入力部1及び限定記号情報入力部2において受け付けた情報を記憶する。
【0026】
一階述語論理式生成部4は、記憶装置3に記憶された機器情報、接続情報及び限定記号情報に基づいて、プラントの挙動を表す一階述語論理式を生成する。なお、説明の都合上、具体的に一階述語論理式をどのように生成するかについては、後に
図8を参照して、詳しく説明することとする。
【0027】
ユーザは、解析対象のプラントの構成に基づき、機器情報及び接続情報についてはプラント入力部1を介し、限定記号情報については限定記号情報入力部2を介して、
図1のエネルギー解析装置100に入力していく。エネルギー解析装置100では、プラント情報入力部1及び限定記号情報入力部2を介してユーザが入力した機器情報、接続情報及び限定記号情報を受け付けて記憶装置3に登録する。そして、エネルギー解析装置100は、登録された情報を用いて、一階述語論理式生成部4において、プラントの挙動を表す一階述語論理式を生成する。ユーザは、生成された一階述語論理式を公知の限定記号消去アルゴリズム等により解いて、得られた式よりプラントにおけるエネルギー消費等の解析を行う。
【0028】
本実施形態に係るエネルギー解析装置100を構成する各部の動作を説明する前に、まず、解析対象のプラントの構成例について、
図2を参照して説明する。
【0029】
図2は、本実施形態においてエネルギー解析装置100の各部の動作を説明するために利用する解析対象のプラント構成例を示す図である。
【0030】
図2に示す構成例では、1基のガス供給設備から3基の蒸気発生設備にガスを供給し、蒸気発生設備では、ガスを利用して蒸気を発生させる。各蒸気発生設備にて発生させた蒸気は、1基の蒸気輸送設備を経て使用設備に供給され、1基の蒸気使用設備にて使用される。
【0031】
図2に示す構成のプラントについての上記機器情報、接続情報及び限定記号情報の入力を受け付ける方法について、
図3乃至
図7を参照して説明していくこととする。
【0032】
図3は、本実施形態におけるプラント情報入力部1の構成を例示する図である。
図3に示すように、本実施形態においては、プラント情報入力部1は、機器情報入力部13、接続情報入力部14を有し、それぞれが、数式入力部11(11A、11B)を有している。
【0033】
機器情報入力部13及び接続情報入力部14は、それぞれ一の機器モデルや接続関係をユーザが記憶装置3に追加、削除または変更するために設けられている。ユーザは、機器情報入力部13を介して、6基の設備を追加していくことで、
図2のプラント構成例に示す機器モデルを記憶装置3に登録する。また、ユーザは、接続情報入力部14を介して、7本の設備間の接続関係を記憶装置3に登録する。
【0034】
数式入力部11は、機器情報についての数式入力部11Aと、接続情報についての数式入力部11Bとを有する。数式入力部11A、11Bは、機器情報入力部13及び接続情報入力部14よりそれぞれ機器情報及び接続情報が登録されると、それぞれの情報に含まれる条件式の入力を受け付ける。
【0035】
プラント情報入力部1においてどのように機器情報の入力を受け付けるかについて、
図4等を参照して更に説明する。
【0036】
図4は、本実施形態に係るプラント情報入力部1の機器情報入力部13において機器情報の登録等を行う方法を説明する図である。
図4においては、機器情報の登録等を行う際に、エネルギー解析装置100のモニタ等の表示手段に表示される画面を例示している。
【0037】
図4においては、
図2のプラント構成のうち、ガス供給設備(energy1)を新たに記憶装置3に追加する場合の画面を例示する。ユーザは、ある機器モデルの機器情報を新たに追加するには、機器情報入力部13に、機器名、入力端子数、出力端子数、状態変数数及び条件式数を入力して、「追加」ボタンB1を押下する。
【0038】
実施例では、
図4に示すように、機器名「energy1」の他、入力端子数「0」、出力端子数「3」、状態変数数「1」及び条件式数「2」が入力されて、追加ボタンB1が押下された場合に、新たな機器情報の追加を受け付ける構成としているが、この構成には限らない。例えば、機器名のみで機器情報の追加を受け付けて、その後入力端子数等の他の項目について入力可能な構成とすることもできる。
【0039】
また、
図4に示すように、既に記憶装置3に登録されている機器情報を削除する場合には、ユーザは、削除したい機器名を入力し、「削除」ボタンB2を押下する。
図4の例では、既に記憶装置3に登録されている機器情報のうち、蒸気輸送設備の機器情報を削除したい場合を示す。この場合、ユーザが蒸気輸送設備の機器名「trans1」を機器情報入力部13に入力し、「削除」ボタンB2を押下すると、エネルギー解析装置100は、記憶装置3の中から該当する機器情報を削除する。
【0040】
図4に例示する画面を通じて新たに記憶装置3に登録された機器情報については、更に、変数、条件式といった情報を記憶装置3に登録する必要がある。また、機器情報の変数や条件式まで既に完全に登録されている場合であっても、変数や条件式を変更する必要が出てくる場合もある。これに関して、
図5を参照して説明する。
【0041】
図5は、本実施形態においてプラント情報入力部1の機器情報入力部13において、機器情報の変数及び条件式を登録する方法を説明する図である。
図5においては、機器情報入力部13を介して登録された
図4のガス供給設備(機器名「energy1」のガス供給設備)について、更に変数及び条件式を入力する画面を例示する。
図5の画面は、例えば、
図4の画面に必要な情報を入力した後に不図示の「完了」ボタンが押下されたことを認識したときに、または、プラント情報入力部1において「変更」ボタン(
図1、
図3参照)が押下されたことを認識したときに表示される。
【0042】
図5に示すように、機器情報のうち、変数や条件式については、
図4の登録において設定した情報にしたがって、ユーザが個別に入力を行う。すなわち、
図4に示す画面で指定した入力端子数、出力端子数、状態変数数及び条件式数に応じて、変数及び条件式を具体的に入力する。
【0043】
なお、図に示す例では、入力端子数「0」とあり、
図2のガス供給設備には入力端子はないため、変数の設定は行っていない。出力端子数「3」は、3基の蒸気発生設備(supply1〜3)にそれぞれガスを出力(供給)するため、それぞれ「y1」、「y2」及び「y3」と設定する。状態変数数「1」に対しては、「x1」と設定する。
【0044】
条件式については、上記のとおり設定した変数y1〜y3及びx1の関係を表す式「0=y1+y2+y3−x1」を
図3の数式入力部11Aを介して受け付けて、これを記憶装置3に記憶させる。
【0045】
なお、操作性の向上のため、条件式中の右辺のみをユーザに入力させることとし、左辺についてはプルダウンメニューの中からユーザに選択させる構成としてもよい。このような構成をとる場合、左辺のプルダウンメニューには、「0≧」、「0>」、「0=」、「0<」、「0≦」及び「0≠」を用意する。
【0046】
次に、プラント情報入力部1においてどのように接続情報の入力を受け付けるかについて、
図6を参照して更に説明する。
【0047】
図6は、本実施形態においてプラント情報入力部1の接続情報入力部14により接続情報の登録等を行う方法を説明する図である。
図6においては、接続情報の登録等を行う際に、エネルギー解析装置100のモニタ等の表示手段に表示される画面を例示している。
【0048】
図6においては、
図2のプラント構成の各機器間の接続関係を表す情報を全て入力された段階の画面を例示する。接続情報には、接続番号、接続元機器名、接続元端子、接続先機器名及び接続先端子が含まれる。
【0049】
接続番号は、接続情報を一意に識別するための情報である。接続元機器名及びその端子は、エネルギーの供給元の機器の名称と出力端子を表す変数とを設定する。接続先機器名及びその端子は、エネルギーの供給先の機器の名称と入力端子を表す変数とを設定する。
【0050】
例えば、ガス供給設備(energy1)の
各出力y1、y2、y3は、3基の蒸気発生設備(supply1〜3)の各入力u1と接続されている。上段の蒸気発生設備supply
3との接続情報については、接続番号「cnid1」で識別され、接続元の機器名及び端子には、それぞれ「energy1」及び「y1」が設定される。接続先の機器名及び端子は、「supply
3」及び「u1」と設定されている。他の機器間の接続についても同様に、
図2のプラント構成の機器名及び端子(を表す変数)が設定される
【0051】
次に、
図1の限定記号入力部2において、どのように限定記号情報の入力を受け付けるかについて、
図7を参照して説明する。
【0052】
図7は、本実施形態において限定記号情報入力部2により限定記号情報の登録を行う方法を説明する図である。
図7においては、限定記号情報の登録を行う際に、エネルギー解析装置100のモニタ等の表示手段に表示される画面を例示している。
【0053】
図7に示すように、限定記号情報には、機器名に対応付けて、機器情報や接続情報に含まれる変数名及び限定記号種別が含まれる。機器名は、機器情報として登録された機器名が設定される。変数名は、変数として
図5に例示するような画面を通じて設定された変数名が設定される。限定記号種別は、存在記号である「∃」、全称記号である「∀」及び「設定なし」のうちのいずれかユーザの選択した種別が設定される。ユーザは、例えば
図7に示すプルダウンメニュー等を通じて、変数ごとに適切な限定記号を選択する。
【0054】
以上のように機器情報、接続情報及び限定記号情報の記憶装置3への登録が完了すると、本実施形態に係るエネルギー解析装置100の一階述語論理式生成部4は、記憶装置3に登録された情報を用いて、プラントの挙動を表す一階述語論理式を生成する。一階述語論理式生成部4の動作について、
図8を参照して説明する。
【0055】
図8は、本実施形態における一階述語論理式生成部4の動作フローを示す図である。
図8に示す一階述語論理式生成部4の処理動作は、例えば機器情報、接続情報及び限定記号情報の記憶装置3への登録が完了した旨をユーザがエネルギー解析装置100に入力したタイミングで、あるいは、一階述語論理式を生成する旨の指示をユーザが同装置100に入力したタイミングで、実行される。
【0056】
まず、ステップS41で、一階述語論理式生成部4は、記憶装置3から限定記号情報を読み出して、各変数に対して選択されている限定記号を付与した式を出力する。出力した式は、後述するステップS50において使用する。
【0057】
次に、ステップS42で、一階述語論理式生成部4は、記憶装置3から機器情報を読み出し、ステップS45で、機器情報の中から、各構成機器の条件式を出力する。ステップS47で、一階述語論理式生成部4は、ステップS
45において出力した各構成機器の条件式を論理積で結合して出力する。
【0058】
一方、ステップS48で、一階述語論理式生成部4は、記憶装置3から接続情報を読み出す。そして、接続情報より、構成機器間の接続を示す接続系統の条件式を、論理積で結合して出力する。
【0059】
ステップS49で、一階述語論理式生成部4は、ステップS47で得た各構成機器の条件式を論理積で結合した式と、ステップS48で得た構成機器間の接続を示す接続系統の条件式を論理積で結合した式とから、プラントの挙動を表現する論理式Φ0を生成し、出力する。
【0060】
最後に、ステップS50で、一階述語論理式生成部4は、ステップS41で得た限定記号に関する情報と、ステップS49で得た論理式Φ0とを結合して、一階述語論理式Ψを生成し、出力し、処理を終了する。
【0061】
このようにして得られた一階述語論理式Ψは、公知の限定記号消去アルゴリズムを適用して限定記号が消去され、所望の関係式が得られる。ユーザは、これを用いてエネルギー解析を行う。
【0062】
なお、説明の都合上、一階述語論理式Ψの具体例については、
図13を参照して、第2の実施形態の説明において説明することとする。
【0063】
また、
図8のフローにおいては、必要な情報をその都度記憶装置3から読み出す構成をとる場合を示しているが、この構成に限定されるものではない。予め一階述語論理式生成部4内のメモリ等の記憶手段に情報を保持しておき、先に一階述語論理式Ψを生成するときに用いた情報の一部を流用できるような場合には、これを利用する構成としてもよい。
【0064】
以上説明したように、本実施形態に係るエネルギー解析装置100によれば、ユーザは、
図2に示すようなプラントの構成にしたがって、機器情報及び接続情報を順次入力し、記憶装置3に登録していく。また、ユーザは、各変数に対して適切な限定記号種別を設定していくのみでよい。ユーザは、一階述語論理式Ψを作成するために必要な知識を完全に有していなくとも、プラント構成に応じて必要な情報を入力していくのみで、エネルギー解析に有用な一階述語論理式Ψを得ることができる。したがって、ユーザは、必要な専門知識を完全に有していなくとも、限定記号消去アルゴリズムを用いて一階述語論理式Ψから限定記号を消去して得られる関係式よりエネルギー解析を行う方法を、容易に利用できるようになる。
<第2の実施形態>
上記第1の実施形態では、プラントを構成する各機器については常時稼動しているか、または常時停止しているものとしてその状態における機器情報の条件式を設定し、一階述語論理式を生成している。これに対し、本実施形態に係るエネルギー解析装置では、プラントを構成する機器ごとの各種の稼動状態を条件式に含めて一階述語論理式を生成することが可能である点で、上記第1の実施形態と異なる。
【0065】
以下に、本実施形態に係るエネルギー解析装置が一階述語論理式を生成する方法について、上記第1の実施形態と異なる点を中心に、詳しく説明する。なお、本実施形態に係るエネルギー解析装置100の構成及び解析対象のプラントの構成については、上記第1の実施形態と同様であり、それぞれ
図1及び
図2に示すとおりであるので、ここでは説明を省略する。
【0066】
図9は、本実施形態におけるプラント情報入力部1の構成を例示する図である。
図9に示すように、本実施形態においては、機器情報入力部13は、稼動停止状態入力部12を更に有し、その数式入力部11Aは、稼動条件ごとの数式を入力可能に構成されている。
【0067】
具体的には、機器情報入力部13の稼動停止状態入力部12は、機器ごとにどのように稼動させるかを表す稼動停止状態の入力を受け付ける。実施例では、稼動停止状態としては、常時稼動させる稼動状態、常時停止させておく停止状態、または、稼動状態と停止状態とを切り替え可能な稼動停止切替可能状態(以下切替可状態と略記)のいずれかが設定されるものとする。稼動停止状態については、後に
図10乃至
図12を参照して具体的に説明する。
【0068】
機器情報入力部13の数式入力部11Aについても、稼動状態における条件式の入力を受け付ける数式入力部11A−1と、停止状態における条件式の入力を受け付ける数式入力部11A−2とを有する。
【0069】
他の構成については、上記第1の実施形態のそれと同様であり、
図3を参照して説明したとおりである。
【0070】
図10を参照して、プラント情報入力部1の機器情報入力部13において機器情報のうち、上記の稼動停止状態をどのように受け付けるかについて、詳しく説明する。
【0071】
図10は、本実施形態に係るプラント情報入力部1の機器情報入力部13において機器情報の登録等を行う方法を説明する図である。
図10においては、機器情報の登録を行う際に、エネルギー解析装置100のモニタ等の表示手段に表示される画面を例示している。
【0072】
図10に示す機器情報の入力用の画面のうち、上記第1の実施形態に係る
図4のそれとは、最上段に、上記の稼動停止状態を選択可能に構成されている点で異なる。
【0073】
ユーザは、機器energy1について停止状態を設定するときは、画面の「0:常時停止」を選択する。稼動状態については「1:常時稼動」、切替可状態については「2:切替可」を選択する。
図10の例では、プルダウンメニューを通じて、停止状態、稼動状態または切替可状態のいずれかに対応する項目を選択可能に構成されている。
【0074】
稼動停止状態を選択可能に構成されている以外については、上記第1の実施形態と同様であり、
図4を参照して説明したとおりである。
【0075】
図11及び
図12は、本実施形態におけるプラント情報入力部1の機器情報入力部13により、機器情報の変数及び条件式を登録する方法を説明する図である。
図11及び
図12については、
図10の画面に必要な情報を入力した後に不図示の「完了」ボタンが押下されたことを認識したとき、または、プラント情報入力部1において「変更」ボタン(
図1、
図9参照)が押下されたことを認識したときに表示される。
【0076】
図11は、上記第1の実施形態の説明で参照した
図5の機器情報に対し、状態として「1:常時稼動」が設定された場合に相当する。このため、「稼動停止状態」が常時稼動状態に設定されている。
【0077】
また、
図11に例示する画面においては、停止時条件式及び稼動時条件式の両方を入力可能に構成されている。ここでは常時稼動状態であるため、稼動時条件式のみが「1:有効」に設定され、条件式も具体的に設定されている。停止時条件式は、「0:無効」に設定されているため、一階述語論理式の生成処理においては使用されない。
【0078】
一方、
図12においては、
図2の蒸気発生設備supply3の稼動停止状態として、「2:切替可」が設定された場合を例示する。
【0079】
稼動停止状態として「2:切替可」が設定されている場合は、稼動時及び停止時の両方の条件式が「1:有効」と設定される。
図12に例示するように、例えば停止時の条件式では、3つの条件式が具体的に入力され、それらはいずれも「1:有効」と設定されている。稼動時の4つの条件式についても同様である。
【0080】
機器情報のうち「1:有効」と設定されている条件式については、一階述語論理式の生成に使用され、「0:無効」と設定されている条件式は、使用されない。このため、エネルギー解析を各種パターン(ある機器を常時稼動とするパターン及び切替可とするパターンのそれぞれ)について行いたい場合に、例えば各パターンについて機器情報を登録することが不要となる。すなわち、パターンごとに、これに応じて条件式の有効/無効を適宜変更することで、新たに機器情報を登録しなくとも、一階述語論理式を生成し、エネルギー解析を行うことが可能となる。
【0081】
なお、本実施形態においては、接続情報及び限定記号情報の入力方法については、上記第1の実施形態と同様であり、
図6や
図7を参照して説明したとおりである。
【0082】
次に、本実施形態に係るエネルギー解析装置100の一階述語論理式の生成方法について
図13を参照して説明する。
【0083】
図13は、本実施形態における一階述語論理式生成部4の動作フローを示す図である。
図13に示す一階述語論理式生成部4の処理動作は、上記第1の実施形態と同様に、例えば、機器情報、接続情報及び限定記号情報の必要な情報の記憶装置3への登録が完了した旨をユーザがエネルギー解析装置100に入力したタイミングで、あるいは、一階述語論理式を生成する旨の指示をユーザが同装置100に入力したタイミングで、実行される。
【0084】
図8に示す上記の実施形態に係る動作フローと比較すると、ステップS42で記憶装置3から機器情報を読み出した後、ステップS43で、一階述語論理式生成部4が、稼動停止状態がどのように設定されているかを判定する点で異なる。
【0085】
先に
図10等を参照して説明したとおり、稼動停止状態は、停止状態(常時停止)、稼動状態(常時稼動)または切替可状態のいずれかである。一階述語論理式生成部4は、ステップS42で読み出した機器情報の中から稼動停止状態にいずれの状態が設定されているかを参照する。そして、3とおりの状態のなかから稼動停止状態にいずれが設定されているかに応じて、それぞれステップS44乃至ステップS46へと処理を移行させる。
【0086】
稼動停止状態に「常時停止(停止状態)」が設定されている場合は、ステップS44に進み、一階述語論理式生成部4は、
図11及び
図12に示す機器情報のうち、「停止時条件式」を出力し、ステップS47に進む。
【0087】
稼動停止状態に「常時稼動(稼動状態)」が設定されている場合は、ステップS45に進み、一階述語論理式生成部4は、
図11及び
図12に示す機器情報のうち、「稼動時条件式」を出力し、ステップS47に進む。
【0088】
稼動停止状態に「切替可(切替可状態)」が設定されている場合は、ステップS46に進み、一階述語論理式生成部4は、
図11及び
図12に示す機器情報のうち、「停止時条件式」と「稼動時条件式」とを論理和で結合し、結合した式を出力し、ステップS47に進む。
【0089】
ステップS47以降の処理については、
図8と同様である。
【0090】
図14は、一階述語論理式生成部4により上記の一連の処理により生成された一階述語論理式Ψを示す図である。
【0091】
一階述語論理式Ψのうち、(1)の式は、
図13のステップS41で出力される情報に基づく。
図14において、各変数を結合する限定記号は、
図7の限定記号情報のうちの限定記号種別に基づく。
【0092】
なお、
図14の式中の「energy1_y1」、「energy1_y2」及び「energy1_y3」は、それぞれガス供給設備(energy1)の出力変数を表し、「energy1_x1」は、ガス供給設備の状態変数を表す。式中の「supply3_u1」、「supply3_y1」及び「supply3_x1」は、それぞれ蒸気発生設備(supply3)の入力変数、出力変数及び状態変数を表す。
【0093】
(2)及び(3)の式は、
図13のステップS44乃至ステップS46のいずれかで出力される情報に基づく各機器情報の条件式である。このうち、(2)は、
図2のガス供給設備energy1の条件式、(3)は、
図2の蒸気発生設備supply3の条件式である。
【0094】
なお、ガス供給設備energy1の稼動停止状態は、第1の実施形態においても本実施形態においてもいずれも「常時稼動」である。このため、(2)の条件式には、稼動時条件式のみが含まれる。したがって、上記第1の実施形態において生成される一階述語論理式Ψにおいても、ガス供給設備energy1に関する条件式としては、(2)式と同様となる。
【0095】
(3)の条件式により表される蒸気発生設備supply3の機器情報は、図
12に示すように、稼動停止状態は、「切替可」である。このため、
図13のステップ
S46で、停止時条件式(a)と稼動時条件式(b)とが論理和(Or)で結合されている。
【0096】
図14においては、他の機器に関する条件式については、紙面の都合上、記載を省略している。
【0097】
(4)の式は、
図13のステップS48で出力される情報に基づく接続系統に関する条件式である。
図14に記載されている条件式は、ガス供給設備energy1からの出力y1と蒸気発生設備Supply3への入力u1、ガス供給設備energy1からの出力y2と蒸気発生設備Supply2への入力u1、ガス供給設備energy1からの出力y3と蒸気発生設備Supply1への入力u1がそれぞれ等しい旨を表している。なお、
図2のプラント構成における他の接続系統に関する条件式については、紙面の都合上、記載を省略している。
【0098】
得られた一階述語論理式Ψに対して公知の限定記号消去アルゴリズムを適用し、得られた関係式よりエネルギー解析が可能な点については、上記第1の実施形態と同様である。
【0099】
このように、本実施形態に係るエネルギー解析装置100によれば、
図14の(3)の式に示すように、例えば機器を稼動させたり停止させたりすることのあるプラントについて、その機器が稼動している場合及び停止させる場合の双方を含む一階述語論理式Ψを生成することができる。このようにして生成した一階述語論理式Ψを用いてエネルギー解析を行うことで、上記第1の実施形態に係るエネルギー解析装置が有する効果に加えて、機器が稼動/停止で切替を可能な場合にこれを含めてプラントの挙動の変化を解析することが可能となる。
<第3の実施形態>
上記の第1及び第2の実施形態においては、変数ごとに設定された限定記号を等しく取り扱い、一階述語論理式Ψを求めている。これに対し、本実施形態においては、限定記号ごとに優先的に消去すべき度合いを設定しておき、限定記号消去アルゴリズムを用いて限定記号を消去する際には、優先的に消去すべき度合いにしたがって段階的に限定記号の消去を行っていく点で異なる。
【0100】
以下に、本実施形態に係るエネルギー解析装置が一階述語論理式を生成する方法について、上記の第1及び第2の実施形態と異なる点を中心に、詳しく説明する。なお、本実施形態に係るエネルギー解析装置100の構成及び解析対象のプラントの構成については、上記第1の実施形態と同様であり、それぞれ
図1及び
図2に示すとおりである。
【0101】
また、機器情報及び接続情報の構成及びその入力・設定方法については、上記第1または第2の実施形態と同様である。ここでは、第2の実施形態による、稼動停止状態を含めて機器情報を設定可能である場合を例に説明する。
【0102】
図15は、本実施形態に係るエネルギー解析装置100による一階述語論理式の生成処理及び限定記号の消去処理の概要を説明する図である。
図15に示すように、本実施形態においては、限定記号消去部5を更に有する。図面においては、プラント情報入力部1及び記憶装置3については、記載を省略している。
【0103】
なお、上記第1及び第2の実施形態においても、公知の限定記号消去アルゴリズムを用いて一階述語論理式Ψから限定記号を消去する点では同様である。このため、上記第1及び第2の実施形態に係るエネルギー解析装置100においても限定記号消去部を有することは明らかである。しかし、本実施形態においては、その限定記号の消去方法に特徴を有するため、図面にも特に記載をし、その本実施形態における特有の処理を説明しようとするものである。
【0104】
限定記号情報入力部2は、変数ごとに設定されている各限定記号(
図7に示す限定記号種別情報のなかでは、限定記号種別がこれに相当)に対して消去優先順位の入力を受け付けて、これを
図15においては不図示の記憶装置3に登録しておく。一階述語論理式生成部4は、限定記号ごとに設定されている消去優先順位にしたがって、優先順位の高い限定記号から限定記号に関する情報を表す数式(図
14の(1)式参照)を生成して、一階述語論理式Ψnを生成する。
【0105】
限定記号消去部5は、限定記号消去アルゴリズムを利用して、一階述語論理式を解く。具体的には、限定記号消去部5は、一階述語論理式生成部4において生成した一階述語論理式Ψnから限定記号を消去してΦnを得て、得られたΦnを一階述語論理式生成部4に与える。
【0106】
一階述語論理式生成部4は、限定記号消去部5より論理式Φnを受け取ると、これについて、次に、式Ψnの生成に用いた限定記号の次に消去優先順位の高い限定記号について、限定記号に関する情報を表す数式を生成し、これより一階述語論理式Ψn+1を生成する。限定記号消去部5は、一階述語論理式Ψn+1を解き、得られたΦn+1を一階述語論理式生成部4に与える。以降は、一階述語論理式生成部4及び限定記号消去部5は、全ての限定記号について消去がなされるまで、同様の処理を繰り返していく。
【0107】
本実施形態に係るエネルギー解析装置100による一階述語論理式への限定記号の付与方法及び限定記号の消去方法について、
図16〜
図18に示す例に基づき具体的に説明する。
【0108】
図16は、本実施形態において限定記号情報入力部2により限定記号情報の登録を行う方法を説明する図である。
図7と同様に、
図16においては、限定記号情報の登録を行う際に、エネルギー解析装置100のモニタ等の表示手段に表示される画面を例示している。
【0109】
図16に示すように、本実施形態においては、限定記号情報には、機器名、変数名及び限定記号種別に加えて、消去優先順位が含まれる。消去優先順位は、先に説明したように、一階述語論理式Ψnから段階的に限定記号を消去して式Ψnと等価な論理式Φnを求めていく際に、優先的に消去すべき度合いを表す。実施例では、消去優先順位を5段階設けて、優先度の高いものから順に「1:最優先」、「2:優先」、「3:通常」、「4:劣後」及び「5:最劣後」としている。
【0110】
ユーザは、
図16に例示する画面を通じて、例えばプルダウンメニューから所望の消去優先順位を選択していくことにより、変数ごとに、その限定記号の消去優先順位を設定する。
【0111】
図17は、プラントの挙動を表現する論理式Φ0を例示する図である。一階述語論理式生成部4は、
図8及び
図13のステップS49において
図17に示す論理式Φ0を生成する。
図17の論理式Φ0は、先の実施形態の説明において参照した
図14においては(2)〜(4)の式、すなわち、(1)の限定記号の付与に関する情報を表した数式以外の部分に相当する。
【0112】
本実施形態に係る一階述語論理式生成部4は、
図17の論理式Φ0に対して、
図16の限定記号情報の消去優先順位を参照する。そして、
図13のステップS50において、まずは最も優先度が高く設定されている変数について、限定記号の付与に関する情報を表した数式を生成し、これと論理式Φ0とを結合して、一階述語論理式Ψ1を生成する。
【0113】
図18は、消去優先順位にしたがって段階的に一階述語論理式Ψn(n=1、2、…)から限定記号を消去していく方法を説明する図である。
図18においては、
図16の限定記号情報の消去優先順位を用いて一階述語論理式を生成し、これを解く方法を例示する。
【0114】
図18に示すように、一階述語論理式生成部4は、まず、
図16の限定記号情報のうち、消去優先順位に「1:最優先」が設定されている変数について、限定記号の付与に関する情報を生成し、出力する。そして、生成した限定記号の付与に関する情報「∃energy1_y1(∃energy1_y2(∃energy1_y3(∃supply3_u1(∃supply3_y1(…」と
図17の論理式Φ0とを結合して、消去優先順位1(最優先)に対応する一階述語論理式Ψ1を生成する。
【0115】
限定記号消去部5は、一階述語論理式Ψ1から消去優先順位1(最優先)の限定記号を消去して、Ψ1と等価な論理式Φ1を得る。論理式Φ1には、消去優先順位1(最優先)の限定記号のみが消去されている。
【0116】
次に、一階述語論理式生成部4は、
図16の限定記号情報のうち、消去優先順位に「2:優先」が設定されている変数について、限定記号の付与に関する情報を生成し、出力する。そして、生成した限定記号の付与に関する情報「∃supply3_x1(…」と限定記号消去部5から取得した論理式Φ1とを結合して、消去優先順位2(優先)に対応する一階述語論理式Ψ2を生成する。
【0117】
限定記号消去部5は、一階述語論理式生成部4から与えられた一階述語論理式Ψ2から消去優先順位2(優先)の限定記号を消去して、Ψ2と等価な論理式Φ2を得る。論理式Φ2には、消去優先順位1(最優先)及び消去優先順位2(優先)の限定記号が消去されていることとなる。
【0118】
以降は同様に、消去優先順位の高いものから順に限定記号の付与に関する情報(
図14等参照)を生成し、限定記号消去部5において求めた論理式Φnと結合して一階述語論理式Ψn+1を生成し、全ての限定記号が消去されるまで、かかる処理を繰り返す。
【0119】
以上説明したように、本実施形態に係るエネルギー解析装置100によれば、限定記号情報を入力するときに限定記号の消去優先順位を設定しておき、これにしたがって、段階的に限定記号の消去を行っていく。限定記号消去部5において限定記号消去アルゴリズムを用いて限定記号の消去の演算を行う際においては、一般的に、消去すべき限定記号の個数が少ない方が、演算に要するトータルの時間を削減することができると見込まれる。また、一階述語論理式Ψから限定記号の消去を行う際に、1回の演算において消去すべき限定記号の数が少ない方が、メモリの使用量をより小さく抑えることができる。
【0120】
更には、エネルギー解析装置100が、一階述語論理式生成部4や限定記号消去部5の演算結果である式ΨnやΦnをモニタ等の表示手段に出力させてユーザに数式を確認させる構成をとる場合には、ユーザの視認性を向上させることもできると見込まれる。すなわち、限定記号を消去優先順位にしたがって段階的に消去していく方法をとることで、一度に全ての限定記号を消去する場合と比較すると各段階における式に含まれる変数の数が少なくなり、これにより、ユーザは、一階述語論理式Ψn等の内容を把握し易くなる。
【0121】
なお、限定記号ごとの消去優先順位の決定方法については、出力に関する変数については優先度を相対的に高く設定し、状態変数については優先度を相対的に低く設定することで、演算に要するトータルの時間を削減できるものと見込まれる。
<第4の実施形態>
上記第1乃至第3の実施形態では、
図2のプラント構成を記載した図等を参照しながら、ユーザが機器情報及び接続情報を入力していくことになる。これに対し、本実施形態においては、記憶装置3に登録されたプラント構成を表した図等をモニタ等の表示手段に表示するプラント構成表示部を有し、ユーザは、プラント構成表示部により表示される画面中の図等を参照して、視覚的にプラント構成を把握しながら機器情報や接続情報を入力できる点で異なる。
【0122】
以下に、本実施形態に係るエネルギー解析装置において機器情報や接続情報の入力をどのように受け付けるかについて、上記第1乃至第3の実施形態と異なる点を中心に、詳しく説明する。なお、本実施形態に係るエネルギー解析装置100の構成及び解析対象のプラントの構成については、上記第1乃至第3の実施形態と同様であり、
図1及び
図2に示すとおりである。
【0123】
図19は、本実施形態に係るエネルギー解析装置100において、プラント構成表示部によりモニタ等に表示される画面SC1を例示する図である。
【0124】
図19の画面SC1が示すように、ここでは、機器情報1、2、11、21により表される機器が既にプラントを構成する機器として追加されており、新たに「機器情報22」を構成に追加しようとしている場面を仮定している。画面SC1上の「機器情報n(nは整数、
図19においてはn=1、2、11等)」は、各機器情報を識別するための情報である。
【0125】
ユーザは、マウス等のポインティングデバイスを操作して、
図19の画面SC1上の機器情報22を追加したい位置、すなわち機器情報11の機器と接続され、且つ機器情報21の機器とは同一の階層上の位置に、機器情報21と同様の設備を表すアイコン等をドラッグ等の操作により配置させる。そして、ユーザによって例えばポインティングデバイスを右クリックする等の操作が実行されたことを認識すると、プラント情報入力部1は、画面上にメニューMを表示させ、「機器情報22」を変更、追加または削除のいずれを行うかをユーザに選択させる。ここでは、ユーザにより「追加」メニューが選択されたとする。追加メニューが選択されたことを認識すると、プラント情報入力部2は、新たに「機器情報22」を記憶装置3に追加する。
【0126】
同様に、ユーザが、画面SC1上のある機器情報の位置にポインタPを移動させて、右クリック等により表示させたメニューMの中から「削除」メニューが選択されたことを認識すると、プラント情報入力部1は、当該機器情報を記憶装置3から削除する。
【0127】
なお、ユーザが画面SC1上のある機器情報の位置にポインタPを移動させて、表示させたメニューMの中から「変更」メニューが選択されたことを認識すると、プラント情報入力部1は、例えば
図4に例示する画面を表示させる。表示された
図4等の画面を通じて、ユーザが機器名、入力変数や出力変数等の接続変数や状態変数の数、条件式数を変更した場合には、プラント情報入力部1は、変更後の情報を記憶装置3に格納する。
【0128】
本実施形態によれば、機器情報の詳細(変数名や条件式)の設定や接続情報の設定の際にも、プラント構成を把握して行うことができる。これについて、
図20を参照して説明する。
【0129】
図20は、
図19の画面SC1を通じて記憶装置3に登録された情報に基づき作成される画面を例示する図である。なお、
図20に示すプラント構成は、
図19の画面SC1に表されているプラント構成と対応するものではない。
【0130】
図20に示す画面SC2においては、プラントの階層構造が示され、各機器G1〜G3、T1〜T2、D1が矩形で表示さている。また、機器G1〜G3、T1〜T2を現す矩形の傍らには、プルダウンメニュー(
図20においてはm3、m2等)により各機器の稼動停止状態が設定可能である。また、画面下部には、プラントを構成する各機器(G1等)に対応するボタン(
図20のb3、b2等)が表示されている。
【0131】
ユーザは、所望の機器に対応するボタンを押下して、その機器情報の変数や条件式の設定を行う。例えば、発電機G3(Generator3)の機器情報の詳細を設定したい場合には、ボタンb3を押下する。そうすると、
図11や
図12に例示する機器情報の詳細を入力させるための画面がモニタ等に表示され、ユーザは、画面に変数や条件式を入力可能となる。
【0132】
また、ユーザがプルダウンメニューを通じて稼動停止状態を選択すると、機器情報に稼動停止状態が設定される。例えば、発電機G3(Generator3)の矩形の傍らのプルダウンメニューm3を通じて、常時稼動/常時停止/切替可のうち選択された状態が稼動停止状態として設定される。
【0133】
なお、接続状態についても、
図19や
図20に例示するような画面を通じて入力が可能である。例えば、ユーザが、機器間の接続を表す実線や、機器を表す矩形の入力端子・出力端子に相当する箇所にポインタPを移動させて選択したことをもって、対応する接続情報を設定する構成とできる。
【0134】
なお、限定記号情報の入力方法については、上記第1乃至第3の実施形態と同様である。
【0135】
このように、本実施形態に係るエネルギー解析装置100によれば、プラント構成を表した図がモニタ等の表示手段の画面上に表示される。ユーザは、プラントの構成を視覚的に把握しながら機器情報等の入力ができる。これにより、入力ミスを効果的に防ぎ、ユーザは、限定記号消去アルゴリズムを用いて一階述語論理式Ψから限定記号を消去し、得られる関係式よりエネルギー解析を行う方法を、より容易に且つ簡便に利用できるようになる。
<第5の実施形態>
本実施形態においては、ユーザがエネルギー解析装置に入力する情報として、上記の第1〜第4の実施形態で説明した以外に、更に、解析条件についても入力可能である点で上記第1〜第4の実施形態と異なる。エネルギー解析装置は、解析条件に応じた一階述語論理式の生成処理や、一階述語論理式に対して限定記号消去アルゴリズムを適用して論理式を得る処理を実行する。
【0136】
以下に、本実施形態に係るエネルギー解析装置について、図面を参照して詳細に説明する。
【0137】
図21は、本実施形態に係るエネルギー解析装置100の構成図である。
図21に示すエネルギー解析装置100は、プラント情報入力部1、解析条件入力部2´、記憶装置3、一階述語論理式生成部4、限定記号消去部5及び可視化部6を有する。
【0138】
図21のエネルギー解析装置100は、
図1に示すエネルギー解析装置100と同様に、電気、ガス、熱等のエネルギーを供給する供給設備から、そのエネルギーを用いて空調、蒸気利用、排水及び放水等を行う消費設備までを含むエネルギープラントの挙動を、ユーザが解析するのを支援する装置である。エネルギー解析装置100としては、汎用情報処理装置で構成されてもよいし、これらを複数相互に接続した汎用情報処理システムとして構成されてもよい。
【0139】
プラント情報入力部1は、プラントを構成する機器モデル及び機器モデル間の接続を表す情報の入力を受け付ける。第1〜第4の実施形態と同様に、以下の説明においては、プラントを構成する機器モデルを表す情報を「機器情報」とし、機器モデル間の接続を表す情報を「接続情報」とする。
【0140】
解析条件入力部2´は、プラントをどのような条件で解析するかを表す解析条件情報の入力を受け付ける。プラントの解析条件情報とは、エネルギー解析装置100が一階述語論理式を処理する際に課される条件をいう。すなわち、解析条件情報により、エネルギー解析装置100が生成する一階述語論理式や、一階述語論理式から消去すべき変数、一階述語論理式に限定記号消去を適用していずれの変数についての論理式を得るかが決定される。具体的な解析条件情報については、後述する。
【0141】
記憶装置3は、プラント情報入力部1及び解析条件入力部2´において受け付けた情報を記憶する。
【0142】
一階述語論理式生成部4は、記憶装置3に記憶された機器情報、接続情報及び解析条件情報に基づいて、プラントの挙動を表す一階述語論理式を生成する。説明の都合上、一階述語論理式をどのように生成するかについては、後に
図29等を参照して、詳しく説明することとする。
【0143】
限定記号消去部5は、一階述語論理式生成部4にて生成した一階述語論理式に限定記号消去アルゴリズムを適用し、限定記号のない等価な論理式を生成する。
【0144】
可視化部6は、限定記号消去部5にて生成した論理式より生成されるグラフを含む画像を生成する。
【0145】
本実施形態に係るエネルギー解析装置100を構成する各部の動作を説明する前に、まず、解析対象のプラントの構成例について、
図22を参照して説明する。
【0146】
図22は、本実施形態に係るエネルギー解析装置100が解析の対象とするプラントの構成例を示す図である。
図22に示すプラント構成は、
図2のそれと同様である。
【0147】
すなわち、
図22に示す構成例では、1基のガス供給設備(energy1)から3基の蒸気発生設備(supply1〜supply3)にガスを供給する。蒸気発生設備では、ガスを利用して蒸気を発生させる。各蒸気発生設備にて発生させた蒸気は、1基の蒸気輸送設備(trans1)に集約され、蒸気輸送設備を経て蒸気使用設備(demand1)に供給される。こうして、蒸気使用設備は、供給された蒸気を使用する。
【0148】
各構成機器は、それぞれ異なる入力端子(u1〜u3)及び、または出力端子(y1〜y3)を有する。
【0149】
図23は、
図22のプラント構成に含まれる各蒸気発生設備(supply1〜3)が蒸気を発生させる際の発生蒸気量と消費するガス量との関係を示す図である。
【0150】
図23に例示するように、各蒸気発生設備には、稼動範囲があり、発生蒸気量には、下限と上限がある。例えば、supply3では、2[t/h]以上8[t/h]以下が稼動範囲である。
【0151】
また、各蒸気発生設備の効率は、すなわち、
図23においては発生蒸気量と消費するガス量との関係を示す直線の勾配は、それぞれ異なっている。
【0152】
図22及び
図23に示す構成例のプラントに対して解析を行う際に、
図21のエネルギー解析装置100において入力を受け付ける機器情報、接続情報及び解析条件情報について、
図24〜
図28を参照して具体的に説明する。
【0153】
図24は、本実施形態に係るプラント情報入力部1において機器情報の登録等を行う方法を説明する図である。なお、本実施形態に係るプラント情報入力部1の構成は、上記の第1の実施形態のそれと同様であり、
図3に示すとおりである。
【0154】
図24に示すように、プラント情報入力部1は、新たに1台の機器について機器情報を追加するときは、稼動停止状態、入力端子数、出力端子数、状態変数数、条件式数及び機器名を指定して、機器の追加を行う。
図24に例示する入力画面は、第2の実施形態の説明で用いた
図10の入力画面と同様であり、機器を追加または削除する方法についても同様である。
【0155】
図25及び
図26は、本実施形態に係るプラント情報入力部1において、機器情報のうちの変数及び条件式を登録する方法を説明する図である。
図25及び
図26に示すように、プラント情報入力部1は、
図24の入力画面を通じて登録された機器のそれぞれについて変数及び条件式を追加する。
【0156】
具体的には、プラント情報入力部1は、
図25の入力画面を通じて、
図22のガス供給設備(機器名「energy1」)について、3出力変数「y1」「y2」「y3」及び状態変数「x1」の入力を受け付ける。これとともに、稼動時の条件式「0=y1+y2+y3−x1」の入力を受け付ける。
図25に示す入力画面や入力される変数及び条件式については、第1の実施形態の説明で用いた
図5と同様である。
【0157】
図22の蒸気供給設備(機器名「supply3」の蒸気供給設備)については、
図26の入力画面を通じて変数及び条件式の入力を受け付ける。ここで、蒸気供給設備supply3は、稼動停止状態は「切替可」に設定されている。稼動停止状態が「切替可」である場合、条件式としては、停止時の条件式及び稼動時の条件式をそれぞれ設定する必要がある。
【0158】
図26に示す例では、1入力変数「u1」、1出力変数「y1」、1状態変数「x1」の入力を受け付ける。これとともに、停止時の条件式「0=x1」、「0=u1」、「=y1」と、稼動時の条件式「0≧x1−8」、「0≦x1−2」、「0=u1−50*x1」、「0=y1−x1」とを受け付ける。ここで入力され、設定される情報のうち、稼動時の4つの条件式については、第2の実施形態の説明において用いた
図12と異なっている。他の情報、すなわち、変数及び停止時の条件式については、
図12と同様である。
【0159】
なお、
図26の稼動時の条件式は、蒸気発生量x1が2[t/h]以上8[t/h]以下であること、蒸気1[t/h]の発生に50[Nm
3/h]のガス消費を要すること、蒸気発生量x1が蒸気出力y1と等しいこと、が情報として入力されている。
【0160】
図27は、本実施形態に係るプラント情報入力部1において接続情報を登録する方法を説明する図である。
【0161】
プラント情報入力部1は、プラントを構成する機器間の接続関係を表す情報の入力を受け付ける。
図27においては、
図22のプラント構成の各機器間についての情報が全て入力された段階の画面を例示する。接続情報には、接続番号、接続元機器名、接続元端子、接続先機器名及び接続先端子が含まれる。
【0162】
図27に例示する接続情報については、第1の実施形態の説明において用いた
図6に示す接続情報と同様である。
【0163】
図28は、本実施形態に係る解析条件入力部2´により解析条件情報の登録を行う方法を説明する図である。
【0164】
図28に示すように、解析条件情報としては、例えば、プラントを評価する際の評価軸を登録する。評価軸は、一階述語論理式生成部4が記憶装置3に記憶されている各種情報から生成した一階述語論理式に限定記号消去アルゴリズムを適用して論理式を生成する際に、機器情報として登録されている変数の中からいずれの変数について解くかを表す。言い換えると、評価軸は、可視化部6にてグラフを生成する際に、それぞれいずれの変数を軸にとるべきかを表している。
【0165】
実施例では、予め複数の解析条件情報を登録しておくこともできる。
図28に示す例では、2つの解析条件として条件1と条件2が登録されている。
【0166】
図24〜
図28に例示する機器情報、接続情報及び解析条件情報を用いて、
図21の一階述語論理式生成部4がどのようにして一階述語論理式を生成するかについて、
図29を参照して説明する。
【0167】
図29は、本実施形態における一階述語論理式生成部4の動作フローを示す図である。
図29に示す一階述語論理式生成部4の処理動作についても、
図8及び
図13に示す処理動作と同様のタイミングで実行される。例えば、記憶装置3に必要な情報の登録が完了した旨をユーザがエネルギー解析装置100に入力したタイミングで、あるいは、一階述語論理式を生成する旨の指示をユーザが同装置100に入力したタイミングで、実行される。
【0168】
図8に示す第1の実施形態に係る動作フローと比較して説明する。
図29に示す動作フローにおいては、ステップS111で、一階述語論理式生成部4の限定記号情報生成部41は、記憶装置3に記憶されている解析条件情報と、機器情報及び接続情報とから、情報Qiを生成する。情報Qiは、機器情報や接続情報に含まれる各変数にどのような限定記号を付与するかを表した数式から構成され、限定記号情報生成部41は、解析条件iに応じた情報Qiを生成する。以下においては、情報Qiを、「限定記号の付与に関する情報Qi」とし、第1〜第4の実施形態において限定記号情報入力部2が入力を受け付ける「限定記号情報」と区別している。
【0169】
図28の説明において述べたように、エネルギー解析装置100は、解析条件情報として、複数の解析条件を記憶装置3に登録しておくことができる。複数の解析条件が登録されている場合には、限定記号情報生成部41が、解析条件iごとに当該解析条件に対応する限定記号の付与に関する情報Qiを生成し、出力する。限定記号情報生成部41の動作については、後に
図32を参照して詳しく説明する。
【0170】
ステップS112で、一階述語論理式生成部4の追加条件式生成部42は、情報Φc,iを生成し、出力する。情報Φc,iは、解析条件iに応じて一階述語論理式に追加すべき条件式から構成され、追加条件式生成部42は、解析条件iに応じた情報Φc,iを生成する。追加条件式生成部42の動作については、後述する他の実施形態の説明において、
図44を参照して詳しく説明する。
【0171】
ステップS113では、一階述語論理式生成部4は、
図8のステップS42と同様の処理を実行する。すなわち、記憶装置3から機器情報を読み出す。このとき、先に
図29に示す一連の処理を実施した際に記憶装置3から読み出した機器情報を一階述語論理式生成部4内の記憶部30に蓄積していた場合等においては、記憶部30から機器情報を取得する構成としてもよい。
【0172】
そして、ステップS114で、一階述語論理式生成部4の機器条件式生成部43は、解析条件iに応じた機器jの条件式Mi,jを生成し、出力する。ステップS115で、一階述語論理式生成部4は、ステップS114において生成した条件式Mi,jを論理積で結合し、出力する。機器条件式生成部43の動作については、後述する他の実施形態の説明において、
図38を参照して詳しく説明する。
【0173】
ステップS116で、一階述語論理式生成部4は、
図8のステップS48と同様の処理を実行する。すなわち、記憶装置3から接続情報を読み出し、読み出した接続情報より、構成機器間接続系統を表す接続系統の条件式を、論理積で結合して出力する。
【0174】
ステップS117で、一階述語論理式生成部4は、
図8のステップS49と同様の処理を実行する。ここでは、ステップS115で生成した構成機器ごとの条件式Mi,jとステップS116で生成した接続系統の条件式とを結合して、プラントの挙動を表現する論理式Φ0,iを生成し、出力する。
【0175】
ステップS118で、一階述語論理式生成部4は、ステップS111で生成した限定記号の付与に関する情報Qi、ステップS117で生成した論理式Φ0,i、及びステップS112で生成した追加の条件式Φc,iを結合して、一階述語論理式Ψ_iを生成し、出力する。こうして、解析条件iに対応する一階述語論理式Ψ_iを得る。
【0176】
解析条件情報として設定する評価軸としては、実施例では、x軸及びy軸の2軸を設定する。x軸及びy軸の2軸を評価軸として設定する場合におけるエネルギー解析装置100の動作について、更に具体的に説明する。
【0177】
図30は、本実施形態における解析条件情報を例示する図である。
【0178】
図30に示すように、評価軸としてx軸及びy軸の2軸を設定する場合、可視化部6にて生成するグラフにおいては機器情報として登録されている変数の中からいずれの変数をx軸及びy軸に表示するかが設定される。
【0179】
図31は、解析条件i(i=1)の具体例を示す図である。
図31のi=1の解析条件である「条件1」では、x軸及びy軸には、それぞれ
図22の蒸気使用設備demand1の変数x1(demand1_x1)及びガス供給設備energy1の変数x1(energy1_x1)が設定されている。
【0180】
図32は、限定記号情報生成部41の動作フローを示す図であり、
図29のステップS111の詳細フローである。
図31の「条件1」のように、解析条件として評価軸が設定されているときは、一階述語論理式生成部4は、
図29の限定記号情報生成部41にて
図32の一連の処理を実行し、限定記号の付与に関する情報Qiを生成する。
【0181】
まず、ステップS121で、限定記号情報生成部41は、機器情報及び接続情報に含まれる全ての変数の集合varAを生成する。そして、ステップS122で、限定記号情報生成部41は、記憶装置3に登録されている解析条件を識別するために用いるインデックスiを初期化して、その値に「1」を設定する。
【0182】
ステップS123では、限定記号情報生成部41は、インデックスiの値が記憶装置3に登録されている解析条件の数を超えているか否かを判定する。インデックスiの値が登録されている解析条件の数以下である場合は、処理をステップS124へと移行させる。インデックスiの値が登録されている解析条件の数を超えている場合は、処理を終了させる。
【0183】
ステップS124では、限定記号情報生成部41は、インデックスiに対応する解析条件iで評価軸であるx軸及びy軸の変数として指定されている変数の集合varBiを生成する。
図31の例では、変数demand1_x1及びenergy1_x1が集合varBi(i=1)に含まれる。
【0184】
ステップS125では、限定記号情報生成部41は、ステップS121で生成した集合varAのうち、ステップS124で生成した集合varBiには含まれない変数の集合varCiを生成する。
【0185】
そして、ステップS126で、限定記号情報生成部41は、ステップS125で生成した集合varCiに含まれる変数に存在記号(∃)を付与した限定記号の付与に関する情報Qiを生成する。ここで生成される限定記号の付与に関する情報Qiは、以下のように表される。
Qi=∃v1,∃v2,…∃vn(v1,v2,…vn∈varCi)
ステップS127では、限定記号情報生成部41は、ステップS126で生成した情報、すなわち、解析条件iに応じた各変数についての限定記号の付与に関する情報Qiを出力する。
【0186】
ステップS128で、限定記号情報生成部41は、インデックスiに1を加算し、ステップS123に戻る。以降は上記と同様の処理を繰り返し、ステップS123でインデックスiの値が登録されている解析条件の数を超えていると判定すると、登録されている全ての解析条件iについて限定記号の付与に関する情報Qiを生成・出力したとして、処理を終了する。
【0187】
図33は、一階述語論理式生成部4が上記の一連の処理を実行することにより生成した一階述語論理式Ψ_1を示す図である。
【0188】
図33に示す一階述語論理式Ψ_1のうち、(5)の式は、
図29のステップS111、すなわち、限定記号情報生成部41が
図32に示す一連の処理を実行した結果として出力する情報Q1に基づく。限定記号情報生成部41は、n個の解析条件が記憶装置3に登録されている場合にはn個の限定記号の付与に関する情報Qi(i=1、…、n)を出力する。このうちの所望の情報Qi(
図33の例ではi=1)を用いて、一階述語論理式を生成する。なお、限定記号の付与に関する情報Q1では、各変数を結合する限定記号についても、
図33の一連の動作により付与されている点で、上記の第1〜第4の実施形態と異なる。
【0189】
(6)及び(7)の式は、
図29のステップS115で出力される、各機器の条件式M1,1及びM1,2である。このうち、(6)は、
図22のガス供給設備energy1の条件式、(7)は、
図22の蒸気発生設備supply3の条件式である。(6)及び(7)の式は、いずれも「条件1」に応じて設定される条件式である。しかし、条件1は、
図30に示すように、評価軸であるx軸及びy軸のみを指定する解析条件である。このため、2つの条件式M1,1及びM1,2においては、機器情報として記憶装置3に登録されている内容にしたがって条件式が記述される。記憶装置3に登録されている機器情報から各機器の条件式を生成する方法については、先の実施形態の説明において
図14の(2)及び(3)の式を参照して説明したとおりである。
【0190】
図33においては、他の機器に関する条件式M1,jについては、紙面の都合上、記載を省略している。
【0191】
(8)の式は、
図29のステップS116で出力される情報に基づく接続系統に関する条件式である。(8)の接続系統に関する条件式は、ガス供給設備energy1からの出力y1と蒸気発生設備Supply3への入力u1、ガス供給設備energy1からの出力y2と蒸気発生設備Supply2への入力u1、ガス供給設備energy1からの出力y3と蒸気発生設備Supply1への入力u1がそれぞれ等しい旨を表している。なお、
図22のプラント構成における他の接続系統に関する条件式については、紙面の都合上、記載を省略している。
【0192】
なお、
図30の解析条件では、
図29のステップS112において追加の条件式に関する情報Φc,iは存在しない。これについては、後に第7の実施形態の説明において具体的に述べることとする。
【0193】
図34は、
図33の一階述語論理式Ψ_1に対して公知の限定記号消去アルゴリズムを適用し、得られる論理式Φ_1を示す図である。
【0194】
ここでは、論理式Φ_1の詳細についての説明は割愛するが、一階述語論理式Ψ_1に対して公知の限定記号消去アルゴリズムを適用して得られる論理式Φ_1は、変数demand1_x1及び変数energy1_x1が満たすべき論理式を表している。2つの変数demand1_x1及び変数energy1_x1は、先に
図30を参照して説明したように、i=1の解析条件においては、評価軸であるx軸及びy軸の2軸にそれぞれ設定されている変数である。
【0195】
このように、本実施形態に係るエネルギー解析装置100は、記憶装置3に登録されている解析条件情報の全てについて上記の処理を実施することで、解析条件の数に等しい数の一階述語論理式Ψが生成される。生成された各一階述語論理式Ψに限定記号消去アルゴリズムを適用することで、解析条件の数に等しい論理式Φを得ることができる。エネルギー解析装置100の可視化部6は、ユーザにより所定の解析条件が特定された場合には、その解析条件に対応する論理式Φを可視化したグラフをモニタ等の表示手段にさせる。
【0196】
図35は、
図34の論理式Φ_1を可視化したグラフを含む画像を例示する図である。
【0197】
図35に例示する画像中のグラフでは、横軸であるx軸に変数demand1_x1、縦軸であるy軸にenergy1_x1をとり、
図34の論理式Φ_1が満たす領域を2次元のグラフで表示している。ユーザは、
図35のグラフを含む画像を参照して、各種の解析を行う。
【0198】
以上説明したように、本実施形態に係るエネルギー解析装置100によれば、予め、解析条件として評価軸である2軸を設定しておく。このとき、2軸のそれぞれに対応させて、機器情報に含まれる変数のうちの2つの変数を設定しておく。この解析条件にしたがって一階述語論理式Ψを生成し、論理式Ψに限定記号消去アルゴリズムを適用すると、解析条件として評価軸にそれぞれ対応させて設定した2つの変数が満たす論理式Φが得られる。このように、本実施形態に係るエネルギー解析装置100は、適切な解析条件を設定することで、ユーザの様々なプラント評価ケースに対応し、一般的には難度の高いとされる一階述語論理式に基づくエネルギー解析を容易に実施することが可能となる。
【0199】
更には、エネルギー解析装置100は、生成された一階述語論理式Ψに限定記号消去アルゴリズムを適用して論理式Φを得て、これよりグラフを生成して出力表示することもできる。これにより、ユーザの設定したプラント評価ケースに応じてプラントを解析した結果を可視化し、生成した画像をユーザに提供することも可能となる。
<第6の実施形態>
上記第5の実施形態においては、解析条件として、評価軸を設定しておく。そして、解析条件にしたがって一階述語論理式に対し限定記号消去アルゴリズムを適用して、評価軸に設定されている変数についての論理式Φを得ている。これに対し、本実施形態においては、評価軸に加えて、更に、機器の稼動停止状態を解析条件に登録しておく。解析条件に含まれる機器の稼動停止状態にしたがって一階述語論理式を生成し、これに限定記号消去アルゴリズムを適用して論理式Φを得ることで、機器の稼動停止状態に応じた論理式Φを得る。
【0200】
以下に、本実施形態に係るエネルギー解析装置100について、上記第5の実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、エネルギー解析装置100の構成及び解析対象のプラントの構成については、上記第5の実施形態と同様であり、それぞれ
図21及び
図22に示すとおりであるので、ここでは説明を省略する。
【0201】
図36は、本実施形態における解析条件情報を例示する図である。
【0202】
図36に示すように、本実施形態においては、解析条件情報として、各機器の稼動停止状態を更に含む。なお、
図36では記載を省略しているが、第5の実施形態と同様に、解析条件情報には、評価軸をも含む。
【0203】
図37は、解析条件i(i=2)の具体例を示す図である。i=2の解析条件である「条件2」のうち、評価軸であるx軸及びy軸については、
図31と同様である。
【0204】
各機器の稼動停止状態については、プラントを構成する機器のうち、蒸気発生装置supply1〜3のそれぞれについての稼動停止状態を設定している。具体的には、supply3については「稼動」、supply2は「停止」、supply1は「稼動または停止(稼動と停止との間で切り替え可能)」と設定されている。したがって、条件2を用いての解析は、特定の機器、設例では
図22の機器supply1〜3を、機器情報に設定されている稼動停止状態によらずに、稼動または停止、あるいは、稼動か停止かを選択できるようにした場合のプラントの状態を解析することに相当する。
【0205】
なお、
図37に示す例では、解析条件情報として、各機器の稼動/停止を設定する場合を例示するが、これに限定されず、例えば、各機器の使用/不使用を設定する構成をとることもできる。
【0206】
図38は、
図29の機器条件式生成部43の動作フローを示す図であり、上記第5の実施形態の説明で参照した
図29のステップS114の詳細フローである。
図37の「条件2」のように、解析条件として評価軸及び各機器の稼動停止状態が設定されているときは、一階述語論理式生成部4は、機器条件生成部43にて
図38の一連の処理を実行することで、各機器についての条件式Mi,jを生成する。
【0207】
まず、ステップS131で、機器条件式生成部43は、インデックスiを初期化するが、この処理は
図32のステップS122と同様である。ステップS132で、機器条件式生成部43は、インデックスiの値が記憶装置3に登録されている解析条件の数を超えているか否かを判定するが、この処理は
図32のステップS123の処理と同様である。インデックスiの値が解析条件の数以下である場合は、処理をステップS133へと移行させる。
【0208】
ステップS133で、機器条件式生成部43は、インデックスjを初期化して、値に「1」を設定する。本実施形態においては、インデックスjは、記憶装置3に機器情報として登録されている機器を識別するために用いる。
【0209】
ステップS134で、機器条件式生成部43は、インデックスjが解析条件iにおいて機器情報として登録されている機器数を超えているか否かを判定する。インデックスjの値が当該機器数以下である場合は、処理をステップS135へと移行させ、インデックスjの値が当該機器数を超えている場合は、ステップS142へと処理を移行させる。
【0210】
ステップS135では、機器条件式生成部43は、j番目の機器の機器情報の中から、稼動時及び停止時の数式を取得する。そして、ステップS136で、機器条件式生成部43は、解析条件iのうち、j番目の機器の稼動停止状態についてはどのように指定されているかを判定する。j番目の機器について、解析条件iにおいては稼動停止状態が「稼動」と設定されている場合は、ステップS137へと処理を移行させる。「停止」と設定されている場合は、ステップS138へ、「稼動または停止」と設定されている場合は、ステップS139へとそれぞれ処理を移行させる。
【0211】
なお、ステップS136において、j番目の機器については解析条件iにおいて解析条件が特に設定されていない場合は、機器情報に含まれる稼動停止状態の設定にしたがって、それぞれステップS137乃至ステップS139のいずれかへと処理を移行させる。
【0212】
ステップS137では、機器条件式生成部43は、ステップS135で取得した数式のうち、稼動時の数式を式Mi,jとし、ステップS140に進む。「式Mi,j」とは、解析条件iではj番目の機器に関する条件式を表す。
【0213】
ステップS138では、機器条件式生成部32は、ステップS135で取得した数式のうち、停止時の数式を式Mi,jとし、ステップS140に進む。ステップS139では、稼動時の数式と停止時の数式とを論理和で結合してこれを式Mi,jとし、ステップS140に進む。
【0214】
ステップS140では、機器条件式生成部43は、解析条件iにおけるj番目の機器に関する条件式として、ステップS137〜ステップS139のいずれかのステップにおいて生成した式Mi,jを出力する。ステップS141で、機器条件式生成部43は、インデックスjに1を加算し、ステップS134に戻り、以降は、上記と同様の処理を繰り返す。全ての機器について条件式Mi,jを生成・出力すると(インデックスjの値が機器情報として登録されている機器の数を超えると)、ステップS134からステップS142へと処理を移行させる。
【0215】
ステップS142で、機器条件式生成部43は、インデックスiに1を加算し、ステップS132に戻る。ステップS132以降の処理については、上記のとおりである。上記と同様の処理を繰り返し、記憶装置3に登録されている全ての解析条件iについて条件式Mi,jを生成・出力すると、すなわちインデックスiの値が解析条件の数を超えると、処理を終了する。
【0216】
図39は、一階述語論理式生成部4が上記の一連の処理を実行することにより生成した一階述語論理式Ψ_2を示す図である。
【0217】
図39に示す一階述語論理式Ψ_2のうち、(10)〜(12)の式が、
図38の機器条件式生成部43が生成・出力した条件式である。
図39においては、紙面の都合上、一部の機器についての条件式M2,jのみを示す。
【0218】
なお、
図36等を参照して先に説明したように、本実施形態においては、解析条件情報は、評価軸と各機器の稼動停止状態とを含む。
図29に示す一階述語論理式生成部4による一連の処理のうち、(9)の限定記号の付与に関する情報Q2については、解析条件情報の評価軸を用いて、上記の第5の実施形態にて説明した方法と同様の方法により生成する。
【0219】
また、(13)の接続系統に関する条件式についても、上記の第5の実施形態の説明にて述べた
図33の(8)の式を生成する方法と同様の方法により生成する。
【0220】
図40は、
図39の一階述語論理式Ψ_2に対して公知の限定記号消去アルゴリズムを適用し、得られる論理式Φ_2を示す図である。
図40に示す論理式Φ2についても、
図34の論理式Φ_1と同様に、2つの変数demand1_x1及びenergy1_x1が満たすべき論理式を表している。
【0221】
図41は、
図40の論理式Φ_2を可視化したグラフを含む画像を例示する図である。
図41に示すグラフについても、
図35のグラフと同様に、横軸(x軸)に変数demand1_x1、縦軸(y軸)に変数energy1_x1をとる。
図41においては、論理式Φ2が満たす領域をグラフで表示している。論理式Φ_2が満たす領域は、i=2の解析条件にて各機器の稼動停止状態が設定されていることにより、
図35の論理式Φ_1が満たす領域とは異なっている。
【0222】
このように、本実施形態に係るエネルギー解析装置100によれば、第5の実施形態のそれと同様の効果を得ることができる。また、本実施形態に係るエネルギー解析装置100は、解析条件として、評価軸に加えて、各機器の稼動停止状態を含む。これにより、プラントを構成する所定の機器が特定の稼動状態(稼動または停止、あるいは稼動と停止との間で切替可)や使用状態(使用または不使用、あるいは使用と不使用との間で切替可)をとる場合についての一階述語論理式Ψに基づくエネルギー解析を、容易に実施することが可能となる。
<第7の実施形態>
上記第6の実施形態においては、評価軸に加えて、各機器の稼動停止状態を解析条件として設定している。これに対し、本実施形態においては、評価軸に加えて、所定の変数及びこれに代入すべき具体的な数値を解析条件として設定する。
【0223】
以下に、本実施形態に係るエネルギー解析装置100について、上記第5の実施形態と異なる点を中心に説明する。エネルギー解析装置100の構成及び解析対象のプラントの構成が第5の実施形態と同様であり、それぞれ
図21及び
図22に示すとおりである。
【0224】
図42は、本実施形態における解析条件情報を例示する図である。
【0225】
図42に示すように、本実施形態においては、解析条件情報として、機器情報や接続情報に含まれる変数のうちの所定の変数に対し、具体的な値が指定される。
図42においても、記載を省略しているが、解析条件情報には、評価軸をも含む。
【0226】
図43は、解析条件i(i=3)の具体例を示す図である。
図43のi=3の解析条件である「条件3」のうち、評価軸であるx軸及びy軸については、
図31や
図37と同様である。
【0227】
条件3では、機器情報として設定されている変数のうち、所定の変数及びその値が具体的に指定される。
図43では、変数supply3_y1に値「8」が指定されている。したがって、条件3を用いての解析は、特定の機器、設例では
図22の機器supply3の蒸気発生量を8[t/h]に固定した場合におけるプラントの状態を解析することに相当する。
【0228】
以下の説明においては、解析条件情報において値が指定されている変数を、「代入変数」という。
図43においては、代入変数が1つの場合を例示するが、2以上の代入変数が設定されていてもよい。
【0229】
図44は、
図29の追加条件式生成部42の動作フローを示す図である。
図44においては、上記第5の実施形態の説明で参照した
図29のステップS112の詳細フローを示す。
図43の「条件3」のように、解析条件として評価軸及び代入変数がその値とともに設定されているときは、一階述語論理式生成部4は、追加条件式生成部42にて
図44の一連の処理を実行することで、追加の条件式を生成する。
【0230】
まず、ステップS151及びステップS152については、
図38のステップS131及びステップS132とそれぞれ同様である。追加条件式生成部42は、インデックスiを初期化し、インデックスiの値が記憶装置3に登録されている解析条件の数を超えているか否かを判定する。インデックスiの値が解析条件の数以下である場合は、ステップS153へと移行させる。
【0231】
ステップS153で、追加条件式生成部42は、追加の条件式Φc,iを「True(真)」とする。「条件式Φc,i」とは、解析条件iに応じて生成されて、一階述語論理式Ψ_iに追加される条件式をいう。条件式Φc,iは、限定記号の付与に関する情報Qi、各機器jについての条件式Mi,j及び接続系統に関する条件式に加えて一階述語論理式Ψ_iに追加される。
【0232】
ステップS154で、追加条件式生成部42は、解析条件iにおいて代入変数に指定されている変数の集合varDiを生成する。そして、ステップS155で、インデックスjを初期化して、1を設定すると、ステップS156へと処理を移行させる。本実施形態においては、インデックスjは、解析条件iにおいて設定されている代入変数を識別するために用いる。(代入変数の数)=(集合varDiに含まれる変数の数)である。
【0233】
ステップS156で、追加条件式生成部42は、インデックスjが集合varDiに含まれる変数の数を超えているか否かを判定する。インデックスjの値が集合varDiに含まれる変数の数以下である場合は、処理をステップS158へと移行させる。
【0234】
ステップS158では、追加条件式生成部42は、集合varDiに含まれる変数のうち、j番目の変数ajと対応する値vjについて、値vjを変数ajに代入することを示す論理式「aj=vj」を生成する。そして、ステップS159で、追加条件式生成部42は、ステップS158で生成した論理式「aj=vj」を上記の追加の条件式Φc,iに論理積で追加する。
Φc,i:=Φc,I And(aj=vj)
ステップS160で、追加条件式生成部42は、インデックスjに1を加算し、ステップS156に戻る。以降は、上記と同様の処理を繰り返し、代入変数ajに値vjを代入する論理式aj=vjを追加の条件式Φc,iに論理積で追加していく。追加の条件式Φc,iに全ての代入変数について値を代入する論理式を追加すると、すなわちインデックスjの値が集合varDiに含まれる変数の数を超えると、ステップS156からステップS157へと処理を移行させる。
【0235】
ステップS157では、追加条件式生成部42は、インデックスiに1を加算し、ステップS152の判定に戻る。こうして、全ての解析条件iについて追加の条件式Φc,iを生成する処理が完了すると(インデックスiの値が記憶装置3に登録されている解析条件の数を超えると)、処理を終了する。
【0236】
図45は、一階述語論理式生成部4が上記の一連の処理を実行することにより生成した一階述語論理式Ψ_3を示す図である。
【0237】
図45に示す一階述語論理式Ψ_3のうち、(18)の式が、
図44の追加条件式生成部42が生成・追加した条件式Φc,3である。ここでは、代入変数の数は1であり、変数supply3_y1に値「8」を代入することを表す論理式「supply3_y1=8」が論理積(And)で結合されている。
【0238】
本実施形態においても、上記の第6の実施形態と同様に、(14)の限定記号の付与に関する情報Q3、(15)〜(16)の各機器に関する条件式M3,j、及び(17)の接続系統に関する条件式については、第5の実施形態と同様の方法により生成している。
図45においては、紙面の都合上、各機器に関する条件式M3,jについては一部の機器についての式のみを示す点についても、
図33や
図39と同様である。
【0239】
図46は、
図45の一階述語論理式Ψ_3に対して公知の限定記号消去アルゴリズムを適用し、得られる論理式Φ_3を示す図である。
図46に示す論理式Φ_3についても、
図34の論理式Φ_1や
図40の論理式Φ_2と同様に、2つの変数demand1_x1及びenergy1_x1が満たすべき論理式を表している。
【0240】
図47は、
図46の論理式Φ_3を可視化したグラフを含む画像を例示する図である。
【0241】
図47に例示する画像中のグラフにおいても、
図35や
図41のグラフと同様に、横軸(x軸)に変数demand1_x1、縦軸(y軸)に変数energy1_x1をとる。
図47においては、論理式Φ_3が満たす領域をグラフで表示している。
【0242】
なお、上記においては、解析条件情報には評価軸と代入変数及びその値が含まれる場合について説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、更に、第6の実施形態で説明した各機器の稼動状態を表す情報を含むこととしてもよい。
【0243】
以上説明したように、本実施形態に係るエネルギー解析装置100によれば、第5及び第6の実施形態のそれと同様の効果を得ることができる。また、本実施形態に係るエネルギー解析装置100は、解析条件として、評価軸に加えて、所定の変数及びこれに代入すべき値を含む。これにより、プラントを構成する所定の機器の出力や入力が固定値をとる場合等についての一階述語論理式Ψに基づくエネルギー解析を、容易に実施することが可能となる。
<第8の実施形態>
上記の第5〜第7の実施形態においては、
図21の可視化部6は、記憶装置3に登録されている解析条件情報の中から所定の解析条件情報に対応するグラフを生成している。これに対し、本実施形態においては、複数の解析条件情報のそれぞれに対応するグラフを生成する。
【0244】
図48は、本実施形態に係るエネルギー解析装置100の可視化部6による可視化処理の概念を説明する図である。
【0245】
本実施形態によれば、ユーザ等により2つの解析条件が指定されると、上記の第5〜第7の実施形態において説明した方法により、それぞれの解析条件に対応する論理式Φを求める。そして、各論理式Φが満たす領域を表したグラフを、1つの画像中に同時に表示させる。
図48においては、2つの解析条件1、2が指定された場合に、それぞれ対応する領域R1、R2を描画した画像を模式的に示す。
【0246】
図49は、
図31、
図37及び
図43の各解析条件に対応するグラフを同時に表示させた場合の画像を例示する図である。
【0247】
図49に示す3つのグラフが示すように、
図31で設定した解析条件1に対応する範囲が最も広い。特定の機器について稼動あるいは停止として指定した解析条件2と、特定の機器の出力を固定値として指定した解析条件3とは、解析条件1よりも狭い範囲となっている。
【0248】
このように、本実施形態によれば、例えば、上記の第5〜第7の実施形態の説明で用いた異なる解析条件i(
図49の例ではi=1,2,3)に対応するグラフを、同時に1つの画像中に表示させることができる。ユーザは、同一の系統からなるプラント(実施例では
図22のプラント構成)に対して異なる解析条件を指定して、解析条件間での比較検討を視覚的に行うことができるようになる。例えば、プラントの運用条件の検討や設備の検討等の様々な検討に活用することが可能となる。
【0249】
更には、
図49においては、1つの画像に3つのグラフのそれぞれが満たす領域を同時に表示させる場合を例示しているが、これに限定されるものではない。例えば、ユーザの指示等に応じて、解析条件ごとの表示へと切り替え可能な構成とすることもできる。この場合は、モニタ等の表示手段に表示させる画像を、
図49の画像から、
図31、
図37及び
図43の
各解析条件に対応する各画像へと切り替えることとなる。切り替え後の画像は、同時に3つの画像を表示させることとしてもよいし、ユーザの指示等に応じて1つずつ表示する画像を切り替えることとしてもよい。3つのグラフを同時に1つの画像に表示させる形態と、それぞれを異なる画像に表示させる形態とを切り替え可能な構成とすることで、例えば、複数の解析条件でグラフ上に重複する領域があり、その重複する領域についてユーザが更に詳しく検討したい場合等に効果を奏する。
<第9の実施形態>
上記の第5〜第8の実施形態においては、記憶装置3に予め登録されている解析条件に基づいて一階述語論理式Ψを生成し、これに限定記号消去アルゴリズムを適用して、論理式Φを得てこれを可視化している。これに対し、本実施形態においては、実際のプラントの運用状況に応じた解析条件を設定し、これを用いて一階述語論理式の再計算、限定記号の消去及びこれから得られる論理式の可視化を行う。
【0250】
図50は、本実施形態に係るエネルギー解析方法について説明する図である。
【0251】
図50に示すように、本実施形態に係るエネルギー解析装置100は、プラント運用情報記憶装置130及び情報収集装置50と接続されている。情報収集装置50は、ネットワーク60を介して実際のプラントと接続されている。但し、実際のプラントを構成する機器(機器#1A,#1B,…,#NA,#NB)は、それぞれ計測装置#1,…#Nを介してネットワーク60と接続される。
【0252】
計測装置#1,…#Nは、プラントを構成する機器の稼動状態や、機器の入力値や出力値等の情報を各機器から取得する。上記稼動状態とは、稼動中、停止中、あるいは稼動と停止で切り替えを行っている、のうちのいずれであるかを示す。情報収集装置50は、ネットワーク60を介して、計測装置#1,…#Nが取得した情報を収集して、収集した機器の稼動状態や機器の入出力値等を、プラント運用情報記憶装置130に記憶させる。プラント運用情報記憶装置130に記憶させた情報は、エネルギー解析装置100に入力される。
【0253】
図50に示すエネルギー解析装置100は、
図21に示す構成に加えて、解析条件自動入力部を更に有している。
図50においては、簡単のため、解析条件自動入力部以外の構成については記載を省略している。
【0254】
解析条件自動入力部は、所定のトリガーを認識すると、プラント運用情報記憶装置130から入力された情報に基づき、解析条件情報を設定する。これにより、実際のプラントの運用状況に応じた解析条件での解析が可能となる。なお、所定のトリガーとは、例えば、ユーザによる所定の操作や、所定の時間や時刻、また、所定の外部からの信号等が挙げられる。
【0255】
第5の実施形態の説明で述べたように、エネルギー解析装置100は、予め記憶装置3に解析条件情報を登録しておき、登録されている解析条件情報に基づき、一階述語論理式Ψを生成する。そして、生成した一階述語論理式Ψに対し限定記号消去アルゴリズムを適用して論理式Φを得て、これについて可視化を行っている。
【0256】
本実施形態に係るエネルギー解析装置100は、更に解析条件自動入力部にて新たに解析条件が設定されると、これに基づき一階述語論理式Ψの再計算を行い、論理式Ψから限定記号を消去して論理式Φを得て、これを可視化する。具体的には、
図29及び
図32の動作フローを実行する。解析条件自動入力部が新たに設定した解析条件情報に、機器の稼動停止状態や代入変数及びその値が設定されている場合は、更に、
図38及び/または
図44の動作フローについても実行する。
【0257】
このように、実際のプラントの運用状況に応じて設定した解析条件について一階述語論理式の再計算及び限定記号消去の再計算を行って可視化を行う構成とすることで、実際のプラントの運用状況に応じた適切な解析が可能となる。
<第10の実施形態>
上記の実施形態では、
図22のプラント構成を記載した図等を参照しながら、ユーザが機器情報、接続情報及び解析条件情報を入力していくことになる。これに対し、本実施形態においては、記憶装置3に登録されたプラント構成を表した図等をモニタ等の表示手段に表示するプラント構成表示部を更に有する。ユーザは、プラント構成表示部により表示される画面中の図等を参照して、視覚的にプラント構成を把握しながら機器情報、接続情報及び解析条件情報を入力できる。
【0258】
以下に、本実施形態に係るエネルギー解析装置100においては機器情報、接続情報及び解析条件情報の入力をどのように受け付けるかについて、詳しく説明する。なお、本実施形態に係るエネルギー解析装置100の構成及び解析対象のプラント構成については、上記の第5〜第9の実施形態と同様であり、
図21及び
図22に示すとおりである。
【0259】
図51は、本実施形態に係るエネルギー解析装置100において、プラント構成表示部によりモニタ等に表示される画面SC1を例示する図である。
図51に示す画面SC1は、
図19の画面SC1と同様である。但し、
図19の画面SC1では、限定記号情報入力部2にて限定記号情報の入力を受け付けているのに対し、
図51の画面SC1では、解析条件入力部2´にて解析条件情報の入力を受け付ける点で異なる。
【0260】
ユーザは、マウス等のポインティングデバイス等を操作して、
図51の画面SC1上の機器情報22を追加したい位置、すなわち機器情報11の機器と接続され、且つ機器情報21の機器とは同一の階層上の位置に、機器情報21と同様の設備を表すアイコン等をドラッグ等の操作により配置させる。そして、ユーザによって例えばポインティングデバイスを右クリックする等の操作が実行されたことを認識すると、プラント情報入力部1は、画面上にメニューMを表示させ、「機器情報22」を変更、追加または削除のいずれを行うかをユーザに選択させる。ここでは、ユーザにより「追加」メニューが選択されたとする。追加メニューが選択されたことを認識すると、プラント情報入力部2は、新たに「機器情報22」を記憶装置3に追加する。
【0261】
同様に、ユーザが、画面SC1上のある機器情報の位置にポインタPを移動させて、右クリック等により表示させたメニューMの中から「削除」メニューが選択されたことを認識すると、プラント情報入力部1は、当該機器情報を記憶装置3から削除する。
【0262】
なお、ユーザが画面SC1上のある機器情報の位置にポインタPを移動させて、表示させたメニューMの中から「変更」メニューが選択されたことを認識すると、プラント情報入力部1は、例えば
図24に例示する画面を表示させる。表示された
図24等の画面を通じて、ユーザが機器名、入力変数や出力変数等の接続変数や状態変数の数、条件式数を変更した場合には、プラント情報入力部1は、変更後の情報を記憶装置3に格納する。
【0263】
上記のとおり、解析条件情報には、評価軸及びその軸に表示させる変数を設定し、更には、稼動停止状態や、代入変数及びその値を設定することもある。ユーザは、画面SC1を通じて、機器情報として登録した変数や稼動停止状態を参照しながら、解析条件情報の設定を行うことができる。
【0264】
このように、本実施形態に係るエネルギー解析装置100によれば、プラント構成を表した図がモニタ等の表示手段の画面上に表示される。ユーザは、プラントの構成を視覚的に把握しながら機器情報、接続情報及び解析条件情報の入力ができる。これにより、入力ミスを効果的に防ぎ、ユーザは、上記のエネルギー解析処理を、より容易にかつ簡便に利用することができるようになる。
【0265】
なお、本実施形態に係るエネルギー解析装置100においても、例えば第1〜第4の実施形態のように、機器情報に含まれる変数ごとに、付与すべき限定記号の種別を対応付けた「限定記号情報」を入力可能な構成としてもよい。
【0266】
第5の実施形態の説明で述べたように、エネルギー解析装置100の限定記号情報生成部41は、解析条件iにおいては評価軸にいずれの変数が設定されているかに基づいて、限定記号の付与に関する情報Qiを生成している。しかし、限定記号の付与に関する情報Qiの生成方法は、第5の実施形態で説明した方法に限定されるものではない。すなわち、機器情報として登録されている変数の中からいずれの変数を評価軸として設定するかについては、例えば
図7や
図16に示す画面を通じて入力された情報に基づき判断することもできる。具体的には、エネルギー解析装置100の解析条件入力部2´は、第1〜第4の実施形態で説明した「限定記号情報」の入力を受け付ける。そして、限定記号情報生成部41は、記憶装置3に登録されている「限定記号情報」を参照して、評価軸に設定されている変数(
図32のステップS124における集合varBiに含まれる変数)及び存在記号(∃)を付与すべき変数(
図32のステップS126における集合varCiに含まれる変数)を判断する。
【0267】
このように、第1〜第4の実施形態で説明した方法により入力された限定記号情報を参照することによっても、第5〜第9に係る実施形態と同様に、限定記号の付与に関する情報Qiを生成することができる。したがって、上記の第1〜第4の実施形態を本実施形態や第5〜第9の実施形態に組み込んだ構成をとる場合であっても、第5〜第9の実施形態と同様の解析を行うことが可能となり、同様の効果を得ることができる。
【0268】
ところで、
図1及び
図21のエネルギー解析装置100は、例えば、
図52に示すような情報処理装置(コンピュータ)を用いて構成することができる。
図52の情報処理装置は、CPU(中央処理装置)1001、メモリ1002、入力装置1003、出力装置1004、外部記憶装置1005、媒体駆動装置1006、ネットワーク接続装置1007を備え、それらはバス1008により互いに接続されている。
【0269】
メモリ1002は、例えば、ROM(read only memory)、RAM(random access memory)等を含み、処理に用いられるプログラム及びデータを格納する。CPU1001は、メモリ1002を利用してプログラムを実行することにより、必要な処理を行う。
【0270】
図1及び
図21の記憶装置3は、メモリ1002に対応する。また、
図1及び
図21のプラント情報入力部1、限定記号情報入力部2、一階述語論理式生成部4、限定記号消去部5、解析条件入力部2´及び可視化部6は、メモリ1002に格納されたプログラムを実行することにより実現される機能に対応する。
【0271】
入力装置1003は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル等であり、ユーザからの指示や情報の入力に用いられる。出力装置1004は、例えば、ディスプレイ、プリンタ、スピーカ等であり、処理結果等の出力に用いられる。
【0272】
外部記憶装置1005は、例えば、磁気ディスク装置、光ディスク装置、光磁気ディスク装置、テープ装置等である。情報処理装置は、この外部記憶装置1005に、上記プログラム及びデータを格納しておき、必要に応じて、それらをメモリ1002にロードして使用する。
【0273】
媒体駆動装置1006は、可搬記録媒体1009を駆動し、その記録内容にアクセスする。可搬記録媒体1009は、メモリカード、フレキシブルディスク、CD−ROM(compact disk read only memory )、光ディスク、光磁気ディスク等の任意のコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。ユーザは、この可搬記録媒体1009に上記プログラム及びデータを格納しておき、必要に応じて、それらをメモリ1002にロードして使用する。
【0274】
ネットワーク接続装置1007は、LAN(local area network)、インターネット等の任意の通信ネットワークに接続され、通信に伴うデータ変換を行う。情報処理装置は、必要に応じて、上記プログラム及びデータを外部の装置からネットワーク接続装置1007を介して受け取り、それらをメモリ1002にロードして使用する。
【0275】
図53は、
図52の情報処理装置にプログラム及びデータを供給することのできるコンピュータ読み取り可能な記録媒体を示している。可搬記録媒体1009やサーバ1101のデータベース1103に格納されたプログラム及びデータは、情報処理装置1102のメモリ1002にロードされる。サーバ1101は、そのプログラム及びデータを搬送する搬送信号を生成し、ネットワーク上の任意の伝送媒体を介して情報処理装置1102に送信する。CPU1001は、そのデータを用いてそのプログラムを実行し、必要な処理を行う。
【0276】
本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることは言うまでもない。