【実施例1】
【0015】
(実施例1のプリンタUの全体構成の説明)
図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、本発明の実施例1の画像形成装置の一例としてのプリンタUは、プリンタの本体U1と、プリンタの本体U1に媒体を供給する供給装置の一例としてのフィーダーユニットU2と、画像が記録された媒体が回収される回収装置の一例としての回収ユニットU3と、を有する。
【0016】
(実施例1のマーキングの構成の説明)
図1において、前記プリンタの本体U1は、プリンタUの制御を行う制御部Cや、プリンタUの外部に図示しない専用のケーブルを介して接続された情報の送信装置の一例としてのプリント画像サーバCOMから送信された画像情報を受信する図示しない通信部、媒体に画像を記録する画像記録部の一例としてのマーキング部U1a等を有する。前記プリント画像サーバCOMには、有線または無線の通信回線を通じて接続され、プリンタUで印刷される画像の情報が送信される画像の送信装置の一例としてのパーソナルコンピュータPCが接続されている。
前記マーキング部U1aは、像保持体の一例としてY:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の各色用の感光体Py,Pm,Pc,Pkと、一例として写真画像等を印刷する場合に画像に光沢を出す光沢トナーを使用した画像を形成するための感光体Poと、を有する。
【0017】
図1において、黒色の感光体Pkの周囲には、感光体Pkの回転方向に沿って、帯電器CCk、潜像の形成装置の一例としての露光機ROSk、現像器Gk、一次転写器の一例としての1次転写ロールT1k、像保持体用の清掃器の一例としての感光体クリーナCLkが配置されている。
他の感光体Py,Pm,Pc,Poの周囲にも同様に、帯電器CCy,CCm,CCc,CCo、露光機ROSy,ROSm,ROSc,ROSo、現像器Gy,Gm,Gc,Go、1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1o、感光体クリーナCLy,CLm,CLc,CLoが配置されている。
【0018】
各感光体Py〜Poの下方には、中間転写体の一例であって、像保持体の一例としての中間転写ベルトBが配置されており、中間転写ベルトBは、感光体Py〜Poと1次転写ロールT1y〜T1oとの間に挟まれる。中間転写ベルトBの裏面は、駆動部材の一例としてのドライブロールRdと、張力付与部材の一例としてのテンションロールRtと、蛇行防止部材の一例としてのウォーキングロールRwと、従動部材の一例としての複数のアイドラロールRfと、2次転写用の対向部材の一例としてのバックアップロールT2aと、可動部材の一例としての複数のリトラクトロールR0と、前記1次転写ロールT1y〜T1oにより支持されている。
中間転写ベルトBの表面には、ドライブロールRdの近傍に、中間転写体の清掃器の一例としてのベルトクリーナCLBが配置されている。
【0019】
バックアップロールT2aには、中間転写ベルトBを挟んで、対向部材の一例であり、転写部材の一例であって、2次転写部材の一例としての2次転写ロールT2bが対向して配置されている。なお、実施例1の2次転写ロールT2bは、中間転写ベルトBのバックアップロールT2aへの巻きつきの中心である下端に対して、中間転写ベルトBの回転方向の上流側にずれた位置に接触するように構成されている。また、実施例1の2次転写ロールT2bは、付勢部材の一例としての図示しないバネによりバックアップロールT2aに向けて押し当てられている。
【0020】
また、バックアップロールT2aには、バックアップロールT2aに現像剤の帯電極性とは逆極性の電圧を印加するために、接触部材の一例としてのコンタクトロールT2cが接触している。
前記バックアップロールT2a、2次転写ロールT2b、コンタクトロールT2cにより、転写装置の一例としての実施例1の2次転写器T2が構成されており、1次転写ロールT1y〜T1o、中間転写ベルトB、2次転写器T2等により、実施例1の転写装置T1,B,T2が構成されている。
【0021】
前記フィーダーユニットU2には、連続する媒体の一例としての連続紙Sがロール状に巻き取られた給紙部材U2aが回転可能に支持されている。給紙部材U2aから延びる連続紙Sは、第1の張力調整機構U2bに送られる。第1の張力調整機構U2bは、案内部材の一例としてのガイドロールR1を有する。ガイドロールR1は、連続紙Sの搬送方向に沿って一対配置されている。ガイドロールR1の間には、張力付与部材の一例としてのダンサーロールR2が配置されている。ダンサーロールR2は、連続紙Sの表面に接触し且つ昇降自由な状態で支持されている。したがって、ダンサーロールR2は、ダンサーロールR2の自重で、連続紙Sに張力を付与する。なお、実施例1の給紙部材U2aは、ダンサーロールR2の高さが予め設定された送り出し高さよりも高くなると連続紙Sを送り出し、ダンサーロールR2の高さが予め設定された停止高さよりも低くなると連続紙Sの送り出しを停止するように回転が制御される。
【0022】
連続紙Sの搬送方向に対して、第1の張力調整装置U2bの下流側には、連続紙Sの搬送装置の一例としての給紙機構U2cが配置されている。給紙機構U2cは、案内部材の一例としてのガイドロールR3を複数有する。ガイドロールR3の下流側には、搬送部材の一例であり、駆動部材の一例であって給紙部材の一例としての給紙ロールR4が配置されている。給紙ロールR4には、対向部材の一例としての挟み込みロールR5が、連続紙Sを挟んで配置されている。給紙ロールR4は、予め設定された連続紙Sの搬送速度で連続紙Sを給紙する。挟み込みロールR5は、給紙ロールR4と連続紙Sとの間で滑りの発生を低減するために、予め設定された圧力で連続紙Sを給紙ロールR4との間で挟み込んでいる。また、ガイドロールR3は、給紙ロールR4と連続紙Sとの間での滑りの発生を低減するために、給紙ロールR4に連続紙Sが巻き付く領域が大きくなるように、連続紙Sの経路を案内している。
【0023】
給紙機構U2cから送り出された連続紙Sは、プリンタの本体U1の入口に配置された搬送部材の一例としての搬送ロールRaに挟まれる。搬送ロールRaの右方には、案内部材の一例として、複数のガイドロールRbが配置されている。実施例1のガイドロールRbは、回転可能なロール状に構成されている。
2次転写ロールT2bに対して、連続紙Sの搬送方向の下流側には、定着装置Fが配置されている。定着装置Fは、加熱部材の一例としての加熱ロールFhと、加圧部材の一例としての加圧ロールFpとを有する。加熱ロールFhの内部には、熱源の一例としてのヒータhが収容されている。
【0024】
定着装置Fの下流側には、案内部材の一例としてのガイドロールRbが回転可能に支持されている。ガイドロールRbの下流側には、回収ユニットU3が配置されている。回収ユニットU3は、排出機構U3aを有する。排出機構U3aは、搬送部材の一例であり、駆動部材の一例であって排出部材の一例としてのプルロールR11が配置されている。プルロールR11には、対向部材の一例としての挟み込みロールR12が、連続紙Sを挟んで配置されている。プルロールR11は、予め設定された搬送速度で連続紙Sを下流側に搬送する。挟み込みロールR12は、プルロールR11と連続紙Sとの間で滑りの発生を低減するために、予め設定された圧力で連続紙SをプルロールR11との間で挟み込んでいる。連続紙Sの搬送方向に対して、挟み込みロールR12の下流側には、案内部材の一例としてのガイドロールR13が配置されている。また、ガイドロールR13は、プルロールR11と連続紙Sとの間での滑りの発生を低減するために、プルロールR11に連続紙Sが巻き付く領域が大きくなるように、連続紙Sの経路を案内している。
【0025】
連続紙Sの搬送方向に対して、排出機構U3aの下流側には、第2の張力調整機構U3bが配置されている。第2の張力調整機構U3bは、第1の張力調整機構U2bと同様に構成されている。したがって、一対のガイドロールR14と、ダンサーロールR15とを有する。
連続紙Sの搬送方向に対して、第2の張力調整機構U3bの下流側には、回収部材の一例としての巻取りロールU3cが配置されている。巻取りロールU3cは、連続紙Sが巻き取られる。なお、巻取りロールU3cは、ダンサーロールR15の高さが予め設定された巻き取り高さよりも低くなると連続紙Sを巻き取り、ダンサーロールR15の高さが予め設定された停止高さよりも高くなると連続紙Sの巻取りを停止する。
【0026】
(マーキングの動作)
前記プリンタUでは、パーソナルコンピュータPCから送信された画像情報を、プリント画像サーバCOMを介して受信すると、画像形成動作であるジョブが開始される。ジョブが開始されると、感光体Py〜Poや中間転写ベルトB等が回転する。
感光体Py〜Poは、図示しない駆動源により回転駆動される。
帯電器CCy〜CCoは、予め設定された電圧が印加されて、感光体Py〜Poの表面を帯電させる。
露光機ROSy〜ROSoは、制御部Cからの制御信号に応じて、潜像を書き込む光の一例としてのレーザー光Ly,Lm,Lc,Lk,Loを出力して、感光体Py〜Poの帯電された表面に静電潜像を書き込む。
現像器Gy〜Goは、感光体Py〜Poの表面の静電潜像を可視像に現像する。
【0027】
1次転写ロールT1y〜T1oは、現像剤の帯電極性とは逆極性の一次転写電圧が印加され、感光体Py〜Poの表面の可視像を中間転写ベルトBの表面に転写する。
感光体クリーナCLy〜CLoは、一次転写後に感光体Py〜Poの表面に残留した現像剤を除去して清掃する。
中間転写ベルトBは、感光体Py〜Poに対向する一次転写領域を通過する際に、O,Y,M,C,Kの順に、画像が転写されて積層され、2次転写器T2に対向する2次転写領域Q4を通過する。なお、単色画像の場合は、1色のみの画像が転写されて2次転写領域Q4に送られる。
【0028】
搬送ロールRaは、フィーダーユニットU2から延びる連続紙Sを下流側に搬送する。ガイドロールRbは、連続紙Sを2次転写領域Q4に案内する。
2次転写器T2は、コンタクトロールT2cを介してバックアップロールT2aに予め設定された現像剤の帯電極性と同極性の2次転写電圧が印加され、連続紙Sに中間転写ベルトBの画像を転写する。
定着装置Fは、加熱ロールFhと加圧ロールFpとが接触する定着領域Q5を通過する連続紙Sを加圧しながら加熱して、連続紙Sの表面の未定着画像を定着する。
回収ユニットU3は、画像が定着された連続紙Sを巻き取る。
【0029】
(2次転写装置T2の説明)
図2は実施例1の2次転写装置の説明図である。
なお、次に、
図2を使用して、2次転写ロールT2bの昇降機構と、食い込み量補正機構の説明を行うが、2次転写ロールT2bの軸方向の一端側と他端側とで、対称に構成されているため、前側の部分についてのみ図示および説明を行い、後側の構成については詳細な説明は省略する。
図2において、実施例1の転写部材の一例としての2次転写ロールT2bは、両端部が可動部材の一例としての昇降板1に回転可能に支持されている。なお、
図2では、前側の昇降板1は、右下部の回転軸1aを中心として回転可能に支持されている。昇降板1には、回転軸1aの左方に、付勢部材の取付部の一例としてのバネ取付部2が支持されている。バネ取付部2は、2次転写ロールT2bの軸方向の外側に向けて突出する板状に形成されている。
【0030】
バネ取付部2と、プリンタの本体U1の図示しない枠体との間には、付勢部材の一例としてのバネ3が装着されている。実施例1のバネ3は、バネ取付部2を下方、すなわち、2次転写ロールT2bが連続紙Sや中間転写ベルトB、バックアップロールT2aから離間する方向に付勢している。
昇降板1には、バネ取付部2の左方に、接触部の一例としてのカムフォロア4が支持されている。カムフォロア4は、2次転写ロールT2bの軸方向の外側に向けて突出する板状に形成されている。カムフォロア4の下方には、作動部材の一例としての偏心カム6が配置されている。偏心カム6は、回転軸6aを中心として回転可能に支持されている。なお、偏心カム6の回転軸6aは、前後一対の偏心カム6の両方を支持しており、回転軸6aの回転に伴って、前後一対の偏心カム6が一体的に回転するように構成されている。実施例1では、検知部材の一例としての回転センサSN2が回転軸6aに設置されている。回転センサSN2は、偏心カム6の回転量を検知可能に構成されている。
【0031】
偏心カム6の回転軸6aには、駆動源の一例としての転写用の接触離間モータM3からの駆動が伝達可能に構成されている。実施例1では、偏心カム6が180度回転する度に2次転写ロールT2bが接触位置と離間位置との間を移動するように設定されている。実施例1の偏心カム6では、回転軸6aから外周面までの距離が最大となる位置がカムフォロア4に接触する場合に、2次転写ロールT2bが接触位置に移動するように設定されている。また、回転軸6aから外周面までの距離が最小となる位置がカムフォロア4に接触する場合に、2次転写ロールT2bが離間位置に移動するように設定されている。そして、回転軸6aから外周面までの距離が最小となる位置から最大となる位置まで回転する際に、2次転写ロールT2bの回転軸がバックアップロールT2aに連続的に近づくように設定されている。
【0032】
前記符号1〜6,M3が付された各部材により、実施例1の転写部材の接触・離間機構の一例としての昇降機構1〜6,M3,SN2が構成されている。なお、昇降機構1〜6,M3,SN2は、例示した構成に限定されず、例えば、特開2015−25920号公報等に記載された従来公知の種々の構成に変更可能である。
したがって、実施例1の2次転写ロールT2bは、昇降機構1〜6,M3により、中間転写ベルトBに対して、接触、離間する方向に移動可能に構成されている。よって、実施例1の2次転写ロールT2bは、
図1の実線で示すように中間転写ベルトBに接触する接触位置と、
図1の破線で示すように中間転写ベルトBから離間した離間位置との間で、移動可能である。
【0033】
図2において、バックアップロールT2aは、両端部が、可動部材の一例としての第2の昇降板11に回転可能に支持されている。第2の昇降板11は、プリンタの本体U1の枠体に回転軸11aを中心として回転可能に支持されている。第2の昇降板11には、回転軸11aの左方に、接触部の一例としての第2のカムフォロア12が支持されている。第2のカムフォロア12は、バックアップロールT2aの軸方向の外側に向けて突出する板状に形成されている。第2のカムフォロア12の上方には、押付力の補正部材の一例としての第2の偏心カム13が配置されている。第2の偏心カム13は、回転軸13aを中心として回転可能に支持されている。回転軸13aには、駆動源の一例として片寄り補正モータM4aからの駆動が伝達可能に構成されている。なお、実施例1では、前側の第2の偏心カム13と、図示しない後側の第2の偏心カムには、別々の片寄り補正モータM4a,M4bから独立して駆動が伝達可能に構成されている。
【0034】
前記符号11〜13,M4a,M4bが付された各部材により、押付力の補正機構の一例としての食い込み量の補正機構11〜13,M4a,M4bが構成されている。
したがって、実施例1のバックアップロールT2aは、食い込み量の補正機構11〜13,M4a,M4bにより、バックアップロールT2aの軸方向の一端側、または、他端側が、2次転写ロールT2bに接近する方向、すなわち、食い込む方向に移動可能に構成されている。よって、バックアップロールT2aと2次転写ロールT2bとの食い込み量を、軸方向の一端側と他端側とでそれぞれ調整することが可能である。
【0035】
(定着装置Fの説明)
実施例1の定着装置Fは、第1の搬送部材の一例であって、第1の定着部材の一例としての加熱ロールFhと、第2の定着部材の一例としての加圧ロールFpとが、接触、離間可能に構成されている。実施例1の定着装置Fでは、
図1の実線で示すように加圧ロールFpが加熱ロールFhに接触する接触位置と、
図1の破線で示すように加圧ロールFpが加熱ロールFhから離間した離間位置との間で、加圧ロールFpが移動可能である。
なお、加熱ロールFhと加圧ロールFpとを接触、離間させる構成は、
図2に示す2次転写ロールT2bの昇降機構を使用することも可能であるし、例えば、特開2008−185638号公報に記載の定着領域の圧力を変化させる機構を接触、離間する機構に適用したり、特開2015−25920号公報等に記載の技術のような従来公知の種々の構成を採用可能である。よって、加熱ロールFhと加圧ロールFpとを接触、離間させる機構については、図示及び詳細な説明は省略する。
【0036】
(片寄りの検知部材の説明)
図3は実施例1の片寄りの検知部材の説明図である。
図3において、実施例1のプリンタUでは、2次転写領域Q4と定着領域Q5との間に、偏りの検知部材の一例としての斜行センサSN1が配置されている。実施例1の斜行センサSN1は、連続紙Sの幅方向の両側に配置されている。実施例1の斜行センサSN1は、一例として、連続紙Sの厚さ方向の上下を挟むように配置された光センサにより構成されている。したがって、幅方向の両側の斜行センサSN1が連続紙Sを検知しない場合には、連続紙Sが、予め設定された範囲内で走行していることが判別可能である。そして、幅方向のいずれか一方の斜行センサSN1が連続紙Sを検知した場合には、連続紙Sが、連続紙Sを検知した斜行センサSN1の側に片寄って走行、すなわち、斜行していることが判別可能である。
【0037】
(プルロールR11の説明)
実施例1の第2の搬送部材の一例としてのプルロールR11には、駆動源の一例としてのプルロールの駆動モータM5からの駆動伝達系に、駆動制限部材の一例としてのトルクリミッタTLが配置されている。トルクリミッタTLは、プルロールR11が連続紙Sを搬送する際に、連続紙Sの張力の上昇に伴って、プルロールR11に作用する負荷が予め設定された負荷に達した場合に、プルロールR11への駆動の伝達を制限する。すなわち、プルロールR11の負荷が予め設定された負荷に達しない場合、トルクリミッタTLは作動せず、プルロールの駆動モータM5の駆動がプルロールR11に伝達されるように構成されている。
【0038】
(実施例1の制御部の説明)
図4は実施例1の画像形成装置の制御部が備えている各機能をブロック図で示した図である。
図4において、プリンタUの制御部Cは、外部との信号の入出力等を行う入出力インターフェースI/Oを有する。また、制御部Cは、必要な処理を行うためのプログラムおよび情報等が記憶されたROM:リードオンリーメモリを有する。また、制御部Cは、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM:ランダムアクセスメモリを有する。また、制御部Cは、ROM等に記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU:中央演算処理装置を有する。したがって、実施例1の制御部Cは、小型の情報処理装置、いわゆるマイクロコンピュータにより構成されている。よって、制御部Cは、ROM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0039】
(制御部Cに接続された信号出力要素)
制御部Cは、操作部UIや、斜行センサSN1、回転センサSN2等の信号出力要素からの出力信号が入力されている。
操作部UIは、入力部材の一例として、矢印やテンキー等の入力を行う入力ボタンUIaを有する。また、操作部UIは、告知部材の一例としての表示部UIb等を備えている。
斜行センサSN1は、連続紙Sの斜行を検知する。
回転センサSN2は、偏心カム6の回転位置を測定する。
【0040】
(制御部Cに接続された被制御要素)
制御部Cは、主駆動源の駆動回路D1や、定着用の接触離間モータの駆動回路D2、転写用の接触離間モータの駆動回路D3、片寄り補正モータの駆動回路D4、プルロールの駆動回路D5、定着装置の駆動回路D6、給紙ロールの駆動回路D7、電源回路E、その他の図示しない制御要素に接続されている。制御部Cは、各回路D1〜D7,E等へ、それらの制御信号を出力している。
D1:主駆動源の駆動回路
主駆動源の駆動回路D1は、像保持体の駆動源の一例であって、主駆動源の一例としてのメインモータM1を介して、感光体Py〜Poや中間転写ベルトB等を回転駆動する。
【0041】
D2:定着用の接触離間モータの駆動回路
定着用の接触離間モータの駆動回路D2は、定着用の接触離間モータM2を駆動して、加圧ロールFpを加熱ロールFhに対して接触、または、離間させる。
D3:転写用の接触離間モータの駆動回路
転写用の接触離間モータの駆動回路D3は、転写用の接触離間モータM3を駆動して、2次転写ロールT2bを連続紙Sに対して接触、または、離間させる。
D4:片寄り補正モータの駆動回路
片寄り補正モータの駆動回路D4は、片寄り補正モータM4a,M4bを駆動して、バックアップロールT2aを2次転写ロールT2bに接近、または、離間する方向に移動させる。
【0042】
D5:プルロールの駆動回路
プルロールの駆動回路D5は、プルロールの駆動モータM5を駆動して、トルクリミッタTLを介してプルロールR11を回転させる。
D6:定着装置の駆動回路
定着装置の駆動回路D6は、定着装置の駆動モータM6を駆動して、定着装置Fの加熱ロールFhを回転させる。
D7:給紙ロールの駆動回路
給紙ロールの駆動回路D7は、給紙ロールの駆動モータM7を駆動して、給紙ロールR4を回転させる。
【0043】
E:電源回路
前記電源回路Eは、現像用の電源回路Ea、帯電用の電源回路Eb、転写用の電源回路Ec、定着用の電源回路Ed等を有している。
Ea:現像用の電源回路
現像用の電源回路Eaは、現像器Gy〜Goの現像ロールに現像電圧を印加する。
Eb:帯電用の電源回路
帯電用の電源回路Ebは、帯電器CCy〜CCoそれぞれに感光体Py〜Po表面を帯電させるための帯電電圧を印加する。
【0044】
Ec:転写用の電源回路
転写用の電源回路Ecは、1次転写ロールT1y〜T1oやコンタクトロールT2cに転写電圧を印加する。
Ed:定着用の電源回路
定着用の電源回路Edは、定着装置Fの加熱ロールFhの内蔵ヒータに電力を供給する。
【0045】
(制御部Cの機能)
制御部Cは、前記信号出力要素からの入力信号に応じた処理を実行して、前記各制御要素に制御信号を出力する機能を有している。すなわち、制御部Cは次の機能を有している。
C1:画像形成の制御手段
画像形成の制御手段C1は、プリント画像サーバCOMから入力された画像情報に応じて、プリンタUの各部材の駆動や各電圧の印加時期等を制御して、画像形成動作であるジョブの実行や終了、中断を制御する。
C2:電源回路の制御手段
電源回路の制御手段C2は、各電源回路Ea〜Edを制御して、各部材へ印加される電圧や、各部材へ供給される電力を制御する。
【0046】
図5は実施例1の媒体の搬送と定着領域および2次転写領域の接触、離間の説明図であり、横軸に時間をとったタイムチャートである。
C3:搬送制御手段
搬送制御手段C3は、プルロールの駆動制御手段C3Aと、定着装置の駆動制御手段C3Bと、マーキング部の駆動制御手段C3Cと、給紙ロールの駆動制御手段C3Dと、を有する。搬送制御手段C3は、連続紙Sの搬送を制御する。
図5において、実施例1の搬送制御手段C3は、ジョブが開始されてから、予め設定された搬送時期t1になると連続紙Sの搬送を開始するように制御する。また、最後のページの印刷が終了して、2次転写ロールT2bや加圧ロールFpが離間位置に移動してから予め設定された停止時期t5になると連続紙Sの搬送を停止するように制御する。
【0047】
図6は実施例1の連続紙の搬送速度の説明図であり、横軸に時間を取り、縦軸に速度を取ったグラフである。
C3A:プルロールの駆動制御手段
搬送部材の駆動制御手段の一例としてのプルロールの駆動制御手段C3Aは、プルロールの駆動回路D5を介してプルロールR11の駆動開始や駆動停止を制御する。実施例1のプルロールの駆動制御手段C3Aは、
図6に示すように、駆動開始時に予め設定された加速度で、プルロールの搬送速度V1まで上昇するように制御される。
図5、
図6において、実施例1では、駆動開始から予め設定された安定時期t2が経過した場合に、プルロールの搬送速度V1に到達するように、制御される。なお、実施例1のプルロールの駆動制御手段C3Aは、駆動停止時には、駆動開始時の加速度と同様の加速度で減速するように制御される。なお、実施例1では、一例として、プルロールの搬送速度V1は、マーキング部の搬送速度V3に対して、+2%高速に設定されている。
【0048】
C3B:定着装置の駆動制御手段
搬送部材の駆動制御手段の一例としての定着装置の駆動制御手段C3Bは、定着装置の駆動回路D6を介して加熱ロールFhの駆動開始や駆動停止を制御する。実施例1の定着装置の駆動制御手段C3Bは、
図6に示すように、駆動開始時にプルロールR11の加速度よりも小さい加速度で、定着装置の搬送速度V2まで加速されるように制御される。なお、定着装置Fの駆動停止時は、加速時の加速度と同一の加速度で減速されるように制御される。また、実施例1では、定着装置の搬送速度V2は、プルロールの搬送速度V1よりも低速に設定されている。
【0049】
C3C:マーキング部の駆動制御手段
転写部材の駆動制御手段の一例としてのマーキング部の駆動制御手段C3Cは、主駆動源の駆動回路D1を介して、メインモータM1の駆動を制御し、感光体Py〜Poや中間転写ベルトB等の駆動を制御する。実施例1のマーキング部の駆動制御手段C3Cは、
図6に示すように、駆動開始時に加熱ロールFhの加速度よりも小さい加速度で、マーキング部の搬送速度V3まで加速されるように制御される。なお、マーキング部の駆動停止時は、加速時の加速度と同一の加速度で減速されるように制御される。また、実施例1では、マーキング部の搬送速度V3は、定着装置の搬送速度V2よりも低速に設定されている。実施例1では、一例として、定着装置の搬送速度V2は、マーキング部の搬送速度V3に対して、+0.98%高速に設定されている。
【0050】
C3D:給紙ロールの駆動制御手段
搬送部材の駆動制御手段の一例としての給紙ロールの駆動制御手段C3Dは、給紙ロールの駆動回路D7を介して、給紙ロールの駆動モータM7の駆動を制御し、給紙ロールR4の駆動を制御する。実施例1の給紙ロールの駆動制御手段C3Dは、
図6に示すように、給紙ロールR4の駆動開始時に、中間転写ベルトB等の加速度よりも小さい加速度で、給紙ロールの搬送速度V4まで加速されるように制御される。なお、給紙ロールR4の駆動停止時は、加速時の加速度と同一の加速度で減速されるように制御される。また、実施例1では、給紙ロールの搬送速度V4は、マーキング部の搬送速度V3よりも低速に設定されている。実施例1では、一例として、給紙ロールの搬送速度V4は、マーキング部の搬送速度V3に対して、−0.2%低速に設定されている。
【0051】
C4:接触・離間の制御手段
接触・離間の制御手段C4は、2次転写ロールの接触・離間の制御手段C4Aと、加圧ロールの接触・離間の制御手段C4Bとを有する。接触・離間の制御手段C4は、ジョブの開始時および終了時に2次転写ロールT2bと加圧ロールFpを接触位置や離間位置に移動させる。
C4A:2次転写ロールの接触・離間の制御手段
2次転写ロールの接触・離間の制御手段C4Aは、加圧時期の判別手段C4A1と、食い込み量の判別手段C4A2とを有する。2次転写ロールの接触・離間の制御手段C4Aは、転写用の接触離間モータの駆動回路D3を介して、2次転写ロールT2bを接触位置と離間位置との間で移動させる。実施例1の2次転写ロールの接触・離間の制御手段C4Aは、ジョブ開始時に、偏心カム6を制御して、2次転写ロールT2bを接触位置に向けて移動させる。
【0052】
このとき、実施例1の2次転写ロールの接触・離間の制御手段C4Aは、2次転写ロールT2bを接近位置に移動させる際に、回転センサSN2の検知結果に基づいて、偏心カム6を、一例として、45度ずつ回転させて4段階で2次転写ロールT2bを接近位置に移動させる。したがって、2次転写領域Q4において、バックアップロールT2aと2次転写ロールT2bとの軸間距離が4段階で小さくなっていく。よって、2次転写領域Q4における2次転写ロールT2bの設計上の食い込み量が4段階で大きくなっていく。これに伴って、実施例1では、2次転写ロールT2bが連続紙Sに押し付けられる押付力は、4段階で大きくなっていく。なお、実施例1の2次転写ロールT2bは、偏心カム6が45度回転した段階で、連続紙Sに弱い押し付け力で接触するように設定されている。
図5において、実施例1の2次転写ロールの接触・離間の制御手段C4Aは、ジョブ開始時に偏心カム6を45度回転させるとともに、プルロールR11等の搬送が安定してから予め設定された加圧時間t3が経過する度に偏心カム6を45度ずつ回転させるように制御する。また、実施例1の2次転写ロールの接触・離間の制御手段C4Aは、ジョブ終了時は、最後のページが印刷されてから予め設定された離間時間t4が経過した場合に、2次転写ロールT2bを離間位置に移動させるように制御する。
【0053】
C4A1:加圧時期の判別手段
加圧時期の判別手段C4A1は、2次転写ロールT2bの押付力を上昇させる加圧時期になったか否かを判別する。実施例1の加圧時期の判別手段C4A1は、ジョブ開始時と、搬送安定時期t2になってから加圧時間t3が経過する度に、加圧時期になったと判別する。
C4A2:食い込み量の判別手段
食い込み量の判別手段C4A2は、2次転写ロールT2bの食い込み量が最大になったか否か、すなわち、2次転写ロールT2bが接近位置に移動したか否かを判別する。実施例1では、回転センサSN2の検知結果に基づいて、偏心カム6の回転位置を検知して、接近位置に移動したか否かを判別する。
【0054】
C4B:加圧ロールの接触・離間の制御手段
加圧ロールの接触・離間の制御手段C4Bは、定着用の接触離間モータの駆動回路D2を介して、加圧ロールFpを、加熱ロールFhや連続紙Sに対して、接触、離間させる。実施例1の加圧ロールの接触・離間の制御手段C4Bは、2次転写ロールT2bの接触・離間にタイミングを合わせて、加圧ロールFpの接触・離間を行う。
C5:斜行補正手段
斜行補正手段C5は、片寄りの判別手段C5Aと、片寄りの補正手段C5Bとを有する。斜行補正手段C5は、連続紙Sの斜行を補正する。
【0055】
C5A:片寄りの判別手段
片寄りの判別手段C5Aは、連続紙Sの搬送速度が予め設定された速度に達する前に、斜行センサSN1の検知結果に基づいて、連続紙Sの幅方向への片寄りを判別する。実施例1の片寄りの判別手段C5Aは、斜行センサSN1の検知結果に基づいて、連続紙Sが幅方向の一端側または他端側のどちらかに片寄っているか、あるいは片寄りが発生していないかを判別する。
【0056】
C5B:片寄りの補正手段
片寄りの補正手段C5Bは、片寄りの判別手段C5Aによる連続紙Sの片寄りの判別結果に基づいて、片寄りを減らす方向に2次転写ロールT2bの軸方向の一端と他端における押付力を補正する。実施例1の片寄りの補正手段C5Bは、片寄り補正モータの駆動回路D4を介して、バックアップロールT2aの両端の位置を補正することで、2次転写ロールT2bの軸方向の一端と他端における押付力を補正する。具体的には、実施例1の片寄りの補正手段C5Bは、連続紙Sが幅方向の一端側(手前側)に斜行している場合に、他端側(奥側)の片寄り補正モータM4bを制御して、バックアップロールT2aの他端側(奥側)を下方に移動させる。すなわち、バックアップロールT2aの食い込み量を大きくして、ロールT2a,T2bの他端側の弾性変形量を大きくすると、ロールT2a,T2bの半径が一端側に比べて短くなる。よって、ロールT2a,T2bの他端側の周速が一端側に比べて遅くなり、連続紙Sが他端側に片寄る力を受ける。よって、斜行が補正、すなわち、連続紙Sの片寄りが減らされる。
【0057】
(実施例1の流れ図の説明)
次に、実施例1のプリンタUにおける制御の流れを流れ図、いわゆるフローチャートを使用して説明する。
【0058】
(連続紙の搬送制御処理のフローチャートの説明)
図7は実施例1の連続紙の搬送制御処理のフローチャートの説明図である。
図7のフローチャートの各ステップSTの処理は、プリンタUの制御部Cに記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理はプリンタUの他の各種処理と並行して実行される。
図7に示すフローチャートはプリンタUの電源投入により開始される。
【0059】
図7のST1において、ジョブが開始されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST2に進み、ノー(N)の場合はST1を繰り返す。
ST2において、次の処理(1)、(2)を実行して、ST3に進む。
(1)2次転写ロールT2bを接触位置に向けて1段階移動させる。
(2)加圧ロールFpを接触位置に移動させる。
ST3において、搬送開始時期t1になったか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST4に進み、ノー(N)の場合はST3を繰り返す。
ST4において、プルロールR11や定着装置F、中間転写ベルトB、給紙ロールR4の駆動を開始する。そして、ST5に進む。
【0060】
ST5において、搬送安定時期t2になったか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST6に進み、ノー(N)の場合はST5を繰り返す。
ST6において、連続紙Sの斜行を検知する。そして、ST7に進む。
ST7において、連続紙Sの斜行に応じて、バックアップロールT2aの一端または他端を移動させて、斜行を補正する。そして、ST8に進む。
ST8において、加圧時期になったか否かを判別する。すなわち、加圧時間t3が経過したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST9に進み、ノー(N)の場合はST8を繰り返す。
ST9において、2次転写ロールT2bを接近位置に向けて1段階移動させる。そして、ST10に進む。
【0061】
ST10において、2次転写ロールT2bが接近位置に移動したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST11に進み、ノー(N)の場合はST8に戻る。
ST11において、画像形成を実行する。そして、ST12に進む。
ST12において、印刷する画像に残りのページがあるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST13に進み、ノー(N)の場合はST12を繰り返す。
ST13において、各ロールT2b,Fpの離間時期t4になったか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST14に進み、ノー(N)の場合はST13を繰り返す。
【0062】
ST14において、次の処理(1)、(2)を実行して、ST15に進む。
(1)2次転写ロールT2bを離間位置に移動させる。
(2)加圧ロールFpを離間位置に移動させる。
ST15において、搬送停止時期t5になったか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST16に進み、ノー(N)の場合はST15を繰り返す。
ST16において、プルロールR11等の駆動を停止させる。そして、ST1に戻る。
【0063】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1のプリンタUでは、ジョブが開始される前は、2次転写ロールT2bおよび加圧ロールFpが離間位置に移動している。したがって、搬送停止中の連続紙Sが、2次転写領域Q4や定着領域Q5で圧力を受けて、くせがついたり、加熱されていた加熱ロールFhから熱を受けて熱変形するといった連続紙Sの破損が低減されている。
ジョブが開始されると、2次転写ロールT2bと加圧ロールFpが接触位置に向けて移動する。そして、プルロールR11、加熱ロールFh、中間転写ベルトB、給紙ロールR4の駆動が開始される。実施例1では、加速時も、搬送が安定した状態でも、連続紙Sの搬送方向に対して下流側に配置された搬送部材R11,Fh,Bの方が上流側に配置された搬送部材Fh,B,R4よりも高速で連続紙Sを搬送する。すなわち、連続紙Sには張力が作用する。したがって、連続紙Sが弛むことが抑制される。連続紙Sが弛んだ状態で搬送されると、弛んだ部分では張力が作用しておらず、連続紙Sの姿勢が制御できない。したがって、連続紙Sが予期しない場所に接触して、連続紙Sが損傷したり、汚れたりする問題がある。また、弛んだ部分が2次転写領域Q4や定着領域Q5のようなローラどうしで挟まれる領域に突入すると、連続紙Sにしわが発生しやすい場合もある。これに対して、実施例1では、連続紙Sの弛みが抑制されており、弛ませて搬送する場合に比べて、連続紙Sの汚損やしわの発生が低減される。
【0064】
仮に、各搬送部材R11,Fh,B,R4が搬送速度V1〜V4で回転中に、停止している2次転写ロールT2bや加圧ロールFpが接触すると、速度差が大きい。したがって、連続紙Sや2次転写ロールT2b、加圧ロールFpに擦過傷が発生する場合がある。これに対して、実施例1では、各搬送部材R11,Fh,B,R4は、2次転写ロールT2bや加圧ロールFpが接触した状態で駆動する。よって、搬送部材R11,Fh,B,R4の回転後に2次転写ロールT2bが接触する場合に比べて、連続紙Sや2次転写ロールT2b等の擦過傷が低減される。
なお、実施例1では駆動停止時にも、下流側の搬送部材R11,Fh,B,R4の方が高速の状態で停止される。よって、連続紙Sの弛みが低減されるとともに、次回の搬送開始時に弛んだ状態となりにくくなっている。
【0065】
なお、実施例1では、プルロールR11には、トルクリミッタTLが設置されている。したがって、定着装置Fよりも高速なプルロールR11が連続紙Sを引っ張る張力が過大になると、プルロールR11がモータM5に対して空回りする。よって、連続紙Sが破断することが低減される。なお、2次転写領域Q4や定着領域Q5では、プルロールR11や給紙ロールR4に比べて、十分に強い接触圧力が設定されている。したがって、2次転写領域Q4や定着領域Q5において、連続紙Sが中間転写ベルトBや定着ロールFh,Fpに対して滑ることは低減されている。よって、転写時の像倍率の変動や定着不良の発生が低減されている。
【0066】
また、実施例1では、2次転写ロールT2bは、離間した状態から段階的に接近位置に向けて移動し、接近位置に移動後に転写動作(転写電圧の印加)が開始される。2次転写ロールT2bをいきなり接近位置に移動させると、定着装置Fの駆動時に、低速で移動する2次転写領域Q4で搬送抵抗が発生する。したがって、トルクがかかる駆動開始時に、定着装置Fの回転が不安定になる恐れがある。これに対して、実施例1では、搬送部材R11,Fh,B,R4の回転が安定した後に、2次転写ロールT2bが接近位置に移動する。よって、連続紙Sの搬送開始の最初から2次転写ロールT2bを接近位置に移動させる場合に比べて、連続紙Sの搬送が安定化される。
【0067】
さらに、実施例1では、2次転写ロールT2bの押し付け力、荷重が段階的に上昇する。仮に、実施例1において、2次転写ロールT2bを1段階目から4段階目にいきなり移動させると、荷重の変化が大きい。したがって、2次転写ロールT2bが接近位置に移動した際に、軸方向の一端と他端で荷重のバランスが悪くなることがある。よって、連続紙Sが斜行する場合がある。これに対して、実施例1では、段階的に2次転写ロールT2bの荷重を上昇させており、いきなり接近位置に移動させる場合よりも、荷重の変化が小さい。よって、連続紙Sの斜行が低減される。
【0068】
また、実施例1では、2次転写ロールT2bが接近位置に達する前に、連続紙Sの斜行が検知され、補正される。2次転写ロールT2bが接近位置に移動すると、2次転写領域Q4の圧力は最大になる。よって、斜行の原因となるバックアップロールT2aや2次転写ロールT2bの軸方向の一端と他端の位置ずれが、圧力で押されて検知しにくくなる。これに対して、実施例1では、2次転写ロールT2bが接近位置に達する前に、連続紙Sの斜行が検知されており、斜行の原因となる軸方向のずれが検知しやすい。よって、連続紙Sの斜行が低減される。
【0069】
(実施例1の変更例)
図8は実施例1の変更例の説明図であり、実施例1の
図6に対応する図である。
図6に示すように、実施例1では、連続紙Sを搬送する部材R11,Fh,B,R4の駆動開始は同時に設定することも可能であるが、これに限定されない。
図8に示すように、下流側の搬送する部材R11,Fh,B,R4から順に駆動を開始し、搬送停止時も上流側から駆動を停止していくことも可能である。
図8に示すように設定することで、下流側の部材R11,Fh,Bの方が上流側の部材Fh,B,R4よりも確実に高速である状態を保持可能である。すなわち、モータM1,M5〜M7の個体差等で、駆動開始時の速度上昇プロファイルが不安定でも、下流側の部材R11,Fh,Bが高速である状態を保持可能である。
【0070】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H011)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例としてのプリンタUを例示したが、これに限定されず、例えば、複写機、FAX、あるいはこれらの複数または全ての機能を有する複合機等により構成することも可能である。
【0071】
(H02)前記実施例において、プリンタUとして、4色の現像剤が使用される構成を例示したが、これに限定されず、例えば、単色の画像形成装置や、3色以下または5色以上の多色の画像形成装置にも適用可能である。
(H03)前記実施例において、転写部材の一例として、ロール状の2次転写ロールT2bを例示したがこれに限定されない。例えば、転写ロール側にもベルトが張架された構成、いわゆる転写ベルトを使用することも可能である。なお、この場合でも、転写領域を挟んで対向する対向部材は、転写ロールとバックアップロールの組み合わせとなる。同様に、像保持体の一例としてのベルト状の中間転写ベルトBを例示したが、これに限定されない。ドラム状の中間転写体を使用することも可能である。また、単色の画像形成装置では、中間転写体を有さず、像保持体の一例としての感光体に対して転写ロールが接触、離間可能な構成であり、このような画像形成装置にも適用可能である。なお、ドラム状の感光体や中間転写体を使用した場合には、転写領域において媒体を挟んで対向する対向部材は、感光体と転写ロール、或いは、中間転写体と転写ロールといった組み合わせとなる。そして、転写領域において対向する部材で構成された転写装置で、連続紙Sが搬送される。
【0072】
(H04)前記実施例において、斜行を補正する構成として、バックアップロールT2aの軸方向の一端と他端の位置を調整する構成を例示したが、これに限定されない。2次転写ロールT2b側で調整する構成とすることも可能である。また、斜行を補正する構成を設けることが望ましいが、設けないことも可能である。
(H05)前記実施例において、2次転写ロールT2bを4段階で移動させる構成を例示したが、これに限定されない。3段階以下や5段階以上とすることも可能である。また、実施例では、2次転写ロールT2bの押付力を段階的に上昇させる構成を例示したが、これに限定されない。例えば、連続的に押付力が上昇する構成とすることも可能である。また、押付力を上昇させる際に、上昇率を一定としたり、途中で変更したり等の変更も可能である。したがって、最初は上昇率が低く、途中から上昇率を高くすることも可能である。また、最初は上昇率が高く、途中に上昇率がゼロの期間を設け、その後に再び押付力を上昇させる構成とすることも可能である。
【0073】
(H06)前記実施例において、斜行の検知、補正を行う時期として、ジョブ開始時を設定する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、電源投入時のみにするとか、2次転写装置T2の交換がされた場合に行ったりする等、任意に変更可能である。また、斜行の検知、補正を、2次転写ロールT2bが接近位置に向けて1段階移動した状態で実行することが望ましいが、これに限定されない。例えば、2段階目や3段階目等、接近位置(4段階目)に達する前に実行することが可能である。
(H07)前記実施例において、2次転写ロールT2bに連動して、加圧ロールFpも移動させることが望ましいが、これに限定されない。加圧ロールFpは離間させない構成とすることも可能である。同様に、連続紙Sの搬送停止時は、中間転写ベルトBや加熱ロールFhから離間させることが望ましいが、接触した状態とすることも可能である。
【0074】
(H08)前記実施例において、プルロールR11にトルクリミッタTLを設ける構成を例示したが、これに限定されない。例えば、連続紙Sの張力を検知するセンサを設け、電磁クラッチのオン/オフで駆動の伝達を制御することも可能である。また、加熱ロールFhや2次転写ロールT2b、給紙ロールR4にトルクリミッタTLやワンウェイクラッチ等の空回り可能な構成を設けることも可能である。
(H09)前記実施例において、下流側の部材R11,Fh,B,R4の方が高速であることが望ましいが、連続紙Sが挟まれる定着領域Q5よりも下流側では、紙しわの問題が発生しにくいので、例えば、プルロールR11と定着装置Fの搬送速度を同一にすることが可能である。
【0075】
(H010)前記実施例において、斜行検知センサーとして光学式センサーの構成を例示したが、これに限定されない。例えば、連続紙のエッジ端部に接触することで検知する接触式(ハード式)センサを使用することも可能である。
(H011)前記実施例において、媒体の一例としての連続紙を例示したが、媒体は紙に限定されず、樹脂製のフィルム等も使用可能である。