(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6112257
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】ユーザ固有の参照信号送信方法および装置
(51)【国際特許分類】
H04J 99/00 20090101AFI20170403BHJP
H04J 1/00 20060101ALI20170403BHJP
H04L 27/26 20060101ALI20170403BHJP
H04B 7/10 20060101ALI20170403BHJP
H04B 7/04 20170101ALI20170403BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20170403BHJP
H04W 72/04 20090101ALI20170403BHJP
【FI】
H04J15/00
H04J1/00
H04L27/26 300
H04B7/10 A
H04B7/04
H04W16/28
H04W72/04 136
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-512219(P2016-512219)
(86)(22)【出願日】2014年5月12日
(65)【公表番号】特表2016-520267(P2016-520267A)
(43)【公表日】2016年7月11日
(86)【国際出願番号】CN2014077262
(87)【国際公開番号】WO2014180354
(87)【国際公開日】20141113
【審査請求日】2015年12月18日
(31)【優先権主張番号】201310172592.0
(32)【優先日】2013年5月10日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】田 廷▲剣▼
(72)【発明者】
【氏名】▲ヤン▼ ▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 磊
【審査官】
岡 裕之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−182150(JP,A)
【文献】
Hua Yan et al.,A Physical Layer Solution for Tomlinson-Harashima Precoding in the Framework of LTE-Advanced,Globecom Workshops, 2012 IEEE,2012年12月 7日,pp.291-296
【文献】
Edward C. Y. Peh et al.,Power and Modulo Loss Tradeoff with Expanded Soft Demapper for LDPC Coded GMD-THP MIMO Systems,IEEE Transactions on Wireless Communications,2009年 2月,Vol.8, No.2,pp.714-724
【文献】
薗部 聡司 他,下りリンク非線形MU-MIMO実験機の概要と伝搬環境測定のための参照信号の拡張,2011年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会講演論文集1,2011年 8月30日,p.441,B-5-62
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 99/00
H04B 7/04
H04B 7/10
H04J 1/00
H04J 11/00
H04L 27/26
H04W 16/28
H04W 72/04
IEEE Xplore
CiNii
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ固有の参照信号を送信する方法であって、
モジュロ識別を決定するステップ、および干渉除去されたユーザ固有の参照信号を取得するために前記モジュロ識別に基づいてユーザ固有の参照信号に対して干渉除去処理を行うステップと、
ビームフォーミングされた参照信号を取得するために前記干渉除去されたユーザ固有の参照信号に対してビームフォーミング処理を行うステップと、
前記ユーザ固有の参照信号に対するアナログ参照信号を取得するために前記ビームフォーミングされた参照信号に対してIFFT逆高速フーリエ変換およびデジタル−アナログ変換を行うステップ、およびユーザ端末に前記アナログ参照信号を送信するステップと、
を備え、
モジュロ識別を前記決定するステップの前に、前記方法は、
モジュロ演算がデータシンボルに対して行われる場合に取得される信号対雑音比とモジュロ演算が前記データシンボルに対して行われない場合に取得される信号対雑音比との間の差分に基づいてモジュロ損失を決定するステップと、
事前設定された力率に基づいて電力損失を決定するステップと、
をさらに備え、
前記モジュロ識別を前記決定するステップは、
前記モジュロ損失が前記電力損失よりも小さいかまたは大きいかに基づいて、モジュロ部に前記データシンボルに対してモジュロ演算を行うか否かを指示するために前記モジュロ識別を決定するステップ
を備える方法。
【請求項2】
前記モジュロ識別を前記決定するステップは、
前記モジュロ損失が前記電力損失より小さい場合に、前記モジュロ部に前記データシンボルに対してモジュロ演算を行うよう指示するために前記モジュロ識別を1として決定するステップ
を備え、
前記モジュロ識別に基づいて前記ユーザ固有の参照信号に対して前記干渉除去処理を前記行うステップは、
前記モジュロ識別が1である場合に、干渉除去量を0として決定するステップ、すなわち、前記ユーザ固有の参照信号に対して干渉除去処理を行わないステップ
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モジュロ識別を前記決定するステップは、
前記モジュロ損失が前記電力損失より大きい場合に、前記モジュロ部に前記データシンボルに対してモジュロ演算を行わないよう指示するために前記モジュロ識別を0として決定するステップ
を備え、
前記モジュロ識別に基づいて前記ユーザ固有の参照信号に対して前記干渉除去処理を前記行うステップは、
前記モジュロ識別が0である場合に、事前設定された手法で干渉除去量を決定するステップ、および前記干渉除去量に従って前記ユーザ固有の参照信号に対して前記干渉除去処理を行うステップ
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記モジュロ識別に基づいて前記ユーザ固有の参照信号に対して前記干渉除去処理を前記行うステップの前に、前記方法は、
前記モジュロ識別が0の場合に、前記事前設定された力率に基づいて前記ユーザ固有の参照信号に対して電力制御を行うステップ
をさらに備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
モジュロ識別を決定するように構成された決定部と、
干渉除去されたユーザ固有の参照信号を取得するために、前記決定部によって決定された前記モジュロ識別に基づいてユーザ固有の参照信号に対して干渉除去処理を行うように構成された干渉除去部と、
ビームフォーミングされた参照信号を取得するために、前記干渉除去されたユーザ固有の参照信号に対してビームフォーミング処理を行うように構成されたビームフォーミング部と、
前記ユーザ固有の参照信号に対するアナログ参照信号を取得するために、前記ビームフォーミングされた参照信号に対してIFFT逆高速フーリエ変換およびデジタル−アナログ変換を行い、ユーザ端末に前記アナログ参照信号を送信するように構成された無線周波数送信部と、
を備え、
前記決定部は、モジュロ損失および電力損失の値を決定するようにさらに構成され、
前記決定部は、モジュロ演算がデータシンボルに対して行われる場合に取得される信号対雑音比とモジュロ演算が前記データシンボルに対して行われない場合に取得される信号対雑音比との間の差分に基づいて前記モジュロ損失を決定し、
事前設定された力率に基づいて前記電力損失を決定するように構成され、
前記決定部は、前記モジュロ損失が前記電力損失よりも小さいかまたは大きいかに基づいて、モジュロ部に前記データシンボルに対してモジュロ演算を行うか否かを指示するために前記モジュロ識別を決定するように構成される、基地局。
【請求項6】
前記決定部は、前記モジュロ損失が前記電力損失より小さい場合に、前記モジュロ部に前記データシンボルに対してモジュロ演算を行うよう指示するために前記モジュロ識別を1として決定するように構成され、
前記干渉除去部は、前記モジュロ識別が前記決定部によって1として決定される場合に、干渉除去量を0として決定する、すなわち、前記ユーザ固有の参照信号に対して干渉除去処理を行わないように構成される、
請求項5に記載の基地局。
【請求項7】
前記決定部は、前記モジュロ損失が前記電力損失より大きい場合に、前記モジュロ部に前記データシンボルに対してモジュロ演算を行わないよう指示するために前記モジュロ識別を0として決定するように構成され、
前記干渉除去部は、前記モジュロ識別が前記決定部によって0として決定される場合に、事前設定された手法で干渉除去量を決定し、前記干渉除去量に従って前記ユーザ固有の参照信号に対して干渉除去処理を行うように構成される、
請求項5に記載の基地局。
【請求項8】
前記基地局は、
前記モジュロ識別が前記決定部によって0として決定される場合に、前記事前設定された力率に基づいて前記ユーザ固有の参照信号に対して電力制御を行うように構成された電力制御部、
をさらに備える、請求項7に記載の基地局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は通信分野に関し、具体的には、ユーザ固有の参照信号を送信する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MIMO(Multiple−Input Multiple−Out、多入力多出力)技術は、LTE(Long Term Evolution、ロングタームエボリューション)などのワイヤレス通信システムで広く使用されている。MU−MIMO(Multi−User MIMO、マルチユーザMIMO)技術で鍵となる処理ステップはプリコーディングである。MIMO技術において、基地局は同じ周波数および同じ時間スロットを使用して多数の端末に信号を送信する。そして多数の端末は互いに連携することができないので、多数の端末間の相互干渉が引き起こされ、端末によって受信される信号は低品質である。端末間の相互干渉は、基地局側でプリコーディング処理を行うことを通じて減少され得る。具体的には、プリコーディング処理を行うとき、基地局はダウンリンクチャネルの状態を取得しダウンリンクチャネルの状態を使用してプリコーディングを行う必要がある。プリコーディング処理が基地局によって行われた場合、端末が基地局によって送信された信号を正確に受信できるように、端末がダウンリンクチャネル応答情報を取得し、ダウンリンクチャネル応答情報を使用して受信データシンボルに対してMIMO検出を行う必要があることは、留意されるべきである。端末がダウンリンクチャネル応答情報を取得することを可能にする方法は、端末がチャネル評価を通じてダウンリンクチャネル応答情報を取得するように、基地局によって端末へユーザ固有の参照信号を送信することを通じて、端末によってスケジュールされたリソースブロックにユーザ固有の参照信号をマップすることを含む。プリコーディングは一般に、線形プリコーディングおよび非線形プリコーディングに分類することができ、THP(Tomlinson Harashima Precoding、トムリンソン−原島プリコーディング)は典型的な非線形プリコーディング技術である。ユーザ固有の参照信号を送信するプロセスの間に、基地局は、端末がダウンリンクチャネルのより正確な状態を取得するように、ユーザ固有の参照信号に対して干渉除去処理を行う必要がある。線形プリコーディング技術については、ユーザ固有の参照信号およびデータ信号に対して同じ干渉除去処理が行われる。しかしながら、非線形プリコーディング技術については、ユーザ固有の参照信号の電力は干渉除去処理を通じて増加する場合があり、データ信号に対する送信電力は基地局の限定された送信電力に起因して減少する場合があり、それにより通信システムの性能は低下する。ユーザ固有の参照信号に対する送信電力を制御するために、モジュロ演算がユーザ固有の参照信号の電力を制御するように行われる必要がある。しかしながら、ユーザ固有の参照信号は、モジュロ演算を通してモジュロオフセットを有する場合があり、ユーザ固有の参照信号のモジュロオフセットは、端末によって取得することはできない。したがって、端末によって行われるチャネル評価に、より大きな誤差がもたらされる場合があり、通信システムは低性能である。
【発明の概要】
【0003】
ユーザ固有の参照信号が送信される通信システムの性能を改善するために、本開示の実施形態に従って、ユーザ固有の参照信号を送信する方法および装置が提供され、非線形プリコーディングが通信システムで適用される。
【0004】
本開示の実施形態による技術的な解決策が以下に説明される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様で、本開示の実施形態に従ってユーザ固有の参照信号を送信する方法が提供され、方法は、
モジュロ識別を決定すること、および干渉除去されたユーザ固有の参照信号を取得するためにモジュロ識別に基づいてユーザ固有の参照信号に対して干渉除去処理を行うことと、
ビームフォーミングされた参照信号を取得するために干渉除去されたユーザ固有の参照信号に対してビームフォーミング処理を行うことと、
ユーザ固有の参照信号に対するアナログ信号を取得するために、ビームフォーミングされた参照信号に対してIFFT(Inverse Fast Fourier Transformer、逆高速フーリエ変換)およびデジタル−アナログ変換を行うこと、およびユーザ端末にアナログ参照信号を送信することと、
を含む。
【0006】
第1の可能な実装で、モジュロ識別を決定する前に、方法は、
モジュロ損失および電力損失の値を決定すること
をさらに含んでもよく、モジュロ損失および電力損失の値を決定することは、具体的には、
モジュロ演算がデータシンボルに対して行われる場合に取得される信号対雑音比とモジュロ演算がデータシンボルに対して行われない場合に取得される信号対雑音比との間の差分に基づいてモジュロ損失を決定することと、
事前設定された力率に基づいて、電力損失を決定することと
を含む。
【0007】
第1の態様の第1の可能な実装に関連して、第2の可能な実装で、モジュロ識別を決定することは、
モジュロ損失が電力損失より大きい場合に、モジュロ部にデータシンボルに対してモジュロ演算を行わないよう指示するためにモジュロ識別を0として決定すること
を含んでもよく、
モジュロ識別に基づいてユーザ固有の参照信号に対して干渉除去処理を行うことは、
モジュロ識別が1である場合に、干渉除去量を0として決定すること、すなわち、ユーザ固有の参照信号に対して干渉除去処理を行わないこと
を含んでもよい。
【0008】
第1の態様の第1の可能な実装に関連して、第3の可能な実装で、モジュロ識別を決定することは、
モジュロ損失が電力損失より大きい場合に、モジュロ部にデータシンボルに対してモジュロ演算を行わないよう指示するためにモジュロ識別を0として決定すること
を含んでもよく、
モジュロ識別に基づいてユーザ固有の参照信号に対して干渉除去処理を行うことは、
モジュロ識別が0である場合に、事前設定された手法で干渉除去量を決定し、干渉除去量に従ってユーザ固有の参照信号に対して干渉除去処理を行うこと
を含んでもよい。
【0009】
第1の態様の第3の可能な実装に関連して、第4の可能な実装で、モジュロ識別に基づいてユーザ固有の参照信号に対して干渉除去処理を行う前に、方法は、
モジュロ識別が0の場合に、事前設定された力率に基づいてユーザ固有の参照信号に対して電力制御を行うこと
をさらに含んでもよい。
【0010】
第2の態様で、基地局に適用される、本開示の実施形態に従ってユーザ固有の参照信号を送信する装置が提供され、装置は、
モジュロ識別を決定するように構成された決定部と、
干渉除去されたユーザ固有の参照信号を取得するために、決定部によって決定されたモジュロ識別に基づいてユーザ固有の参照信号に対して干渉除去処理を行うように構成された干渉除去部と、
ビームフォーミングされた参照信号を取得するために、干渉除去されたユーザ固有の参照信号に対してビームフォーミング処理を行うように構成されたビームフォーミング部と、
ユーザ固有の参照信号に対するアナログ信号を取得するために、ビームフォーミングされた参照信号に対してIFFTおよびデジタル−アナログ変換を行い、ユーザ端末にアナログ参照信号を送信するように構成された無線周波数送信部と
を含む。
【0011】
第1の可能な実装で、決定部は、モジュロ損失および電力損失の値を決定するようにさらに構成されてもよく、
具体的には、決定部は、モジュロ演算がデータシンボルに対して行われる場合に取得される信号対雑音比とモジュロ演算がデータシンボルに対して行われない場合に取得される信号対雑音比との間の差分に基づいてモジュロ損失を決定し、
事前設定された力率に基づいて、電力損失を決定するように構成されてもよい。
【0012】
第1の態様の第1の可能な実装に関連して、第2の可能な実装で、決定部は、モジュロ損失が電力損失より小さい場合に、モジュロ部にデータシンボルに対してモジュロ演算を行うよう指示するためにモジュロ識別を1として決定するように構成されてもよく、
干渉除去部は、モジュロ識別が決定部によって1として決定される場合に、干渉除去量を0として決定する、すなわち、ユーザ固有の参照信号に対して干渉除去処理を行わないように構成されてもよい。
【0013】
第1の態様の第1の可能な実装に関連して、第3の可能な実装で、決定部は、モジュロ損失が電力損失より大きい場合に、モジュロ部にデータシンボルに対してモジュロ演算を行わないよう指示するためにモジュロ識別を0として決定するように構成されてもよく、
干渉除去部は、モジュロ識別が決定部によって0として決定される場合に、事前設定された手法で干渉除去量を決定し、干渉除去量に従ってユーザ固有の参照信号に対して干渉除去処理を行うように構成されてもよい。
【0014】
第1の態様の第1の可能な実装に関連して、第4の可能な実装で、装置は、
モジュロ識別が決定部によって0として決定される場合に、事前設定された力率に基づいてユーザ固有の参照信号に対して電力制御を行うように構成された電力制御部
をさらに含んでもよい。
【0015】
本開示の実施形態に従ってユーザ固有の参照信号を送信する方法および装置で、ユーザ固有の参照信号に対してモジュロ演算を行うことは必要ではなく、ユーザ固有の参照信号は何もオフセットを持たない場合がある。したがって、ダウンリンクチャネルのより正確な状態は端末によって取得されることが可能であり、チャネル評価の正確性は強化され、通信システムの性能は改善される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示の第1の実施形態に従ってユーザ固有の参照信号を送信する方法の概略のフローチャートである。
【
図2】本開示の第2の実施形態に従ってユーザ固有の参照信号を送信する方法の概略のフローチャートである。
【
図3】本開示の第3の実施形態に従ってユーザ固有の参照信号を送信する装置の構成ブロック図である。
【
図4】本開示の第3の実施形態に従ってユーザ固有の参照信号を送信する装置の構成ブロック図である。
【
図5】本開示の第4の実施形態による基地局の構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の実施形態による技術的な解決策は、本開示の実施形態で使用される図面に関連して以下に明確にそして完全に説明される。明らかに、説明される実施形態は、すべての実施形態というよりむしろ、本開示の若干の実施形態に過ぎない。何ら創造的な努力を伴わず本開示の実施形態に基づいて当業者によって取得される他のいかなる実施形態も、本開示の保護の適用範囲に含まれる。
【0018】
第1実施形態
本開示の実施形態に従ってユーザ固有の参照信号を送信する方法が提供される。方法はMIMO機能を有するワイヤレス通信システムに適用される。方法は、ユーザ固有の参照信号を送信するために、基地局またはアクセスポイントAPによって実行することができ、ダウンリンクチャネル応答情報がチャネル評価を通じて端末によって取得され得るように、ユーザ固有の参照信号は、端末によってスケジュールされたリソースブロックにマップされる。
図1に示すように、方法はステップ101からステップ103を含む。
【0019】
101、モジュロ識別を決定すること、および干渉除去されたユーザ固有の参照信号を取得するためにモジュロ識別に基づいてユーザ固有の参照信号に対して干渉除去処理を行うこと。
【0020】
本開示の実施形態による方法は、基地局または、本明細書では限定されない、基地局の指定された機能モジュールによって実装され得る。
【0021】
102、ビームフォーミングされた参照信号を取得するために干渉除去されたユーザ固有の参照信号に対してビームフォーミング処理を行うこと。
【0022】
103、ユーザ固有の参照信号に対するアナログ信号を取得するために、ビームフォーミングされた参照信号に対してIFFTおよびデジタル−アナログ変換を行うこと、およびユーザ端末にアナログ参照信号を送信すること。
【0023】
本開示の実施形態に従ってユーザ固有の参照信号を送信する方法で、ユーザ固有の参照信号に対してモジュロ演算を行うことは必要ではなく、ユーザ固有の参照信号は何もオフセットを持たない場合がある。したがって、ダウンリンクチャネルのより正確な状態が端末によって取得され、チャネル評価の正確性は強化され、通信システムの性能は改善される。
【0024】
第2実施形態
図1に示す実施形態に基づいて、本開示の実施形態に従ってユーザ固有の参照信号を送信する方法がさらに提供される。
図2に示すように、方法はステップ201からステップ206を含む。
【0025】
201、モジュロ演算がデータシンボルに対して行われるべきかどうか決定するために使用される、モジュロ識別を基地局によって決定すること。
【0026】
モジュロ演算は主に干渉除去されたデータシンボルの電力を制御するために使用されることは、留意されるべきである。同じ技術的な効果を達成するために、代替として、基地局はデータシンボルに対して電力制御を行う、すなわち、元のデータシンボルに事前設定された力率を掛けることを通じてデータシンボルの電力を制御することができる。基地局がモジュロ演算を通じて電力を制御する場合、端末もまたモジュロ演算を通じて信号復元を行い、コンステレーション拡張を用いることによってデータシンボルを復調する必要があり、この動作の間に、「モジュロ損失」と呼ばれ得る性能損失が引き起こされる。同様に、電力が元のデータシンボルに力率を掛けることを通じて制御される場合、「電力損失」と呼ばれ得る性能損失が引き起こされる。
【0027】
具体的には、モジュロ損失は、モジュロ演算がデータシンボルに対して行われる場合に取得される信号対雑音比とモジュロ演算がデータシンボルに対して行われない場合に取得される信号対雑音比との間の差分に基づいて基地局によって決定され得る。例えば、異なるMCS(Modulation and Coding Scheme、変調および符号化方式)で、あるMCSが使用され事前設定されたパケット誤り率(通常、10%)が受信端末によってデータシンボルを受信している間に達せられるとき、モジュロ損失は、シミュレーション、すなわち、モジュロ演算が行われる場合に取得される信号対雑音比とモジュロ演算が行われない場合に取得される信号対雑音比との間の差分によって取得され得る。
【0028】
一方、電力損失は事前設定された力率に基づいて基地局によって決定され得る。例えば、データシンボルが力率を掛けられた後、受信端末は、電力損失として、受信されたデータシンボルの信号対雑音比がそれによって減少する値を決定する。
【0029】
本実施形態で、モジュロ識別を決定するために、基地局によって次の手法が使用され得る。
モジュロ損失および電力損失の値を決定すること、モジュロ損失が電力損失より大きい場合に基地局によって、モジュロ部にデータシンボルに対してモジュロ演算を行わないよう指示するために、モジュロ識別が0であると決定すること、または、モジュロ損失が電力損失より小さい場合に基地局によって、モジュロ部にデータシンボルに対してモジュロ演算を行うよう指示するために、モジュロ識別が1であると決定すること。
【0030】
具体的には、モジュロ識別が0の場合202およびステップ204が行われ、または、モジュロ識別が1の場合ステップ203が行われる。
【0031】
202、モジュロ識別が0の場合、事前設定された力率に基づいて基地局によってユーザ固有の参照信号に対して電力制御を行うこと。
【0032】
具体的には、モジュロ識別が0の場合、基地局はユーザ固有の参照信号の干渉除去量が0でないと決定し、ユーザ固有の参照信号の電力が増加する場合があり、したがってユーザ固有の参照信号の電力は制限される必要がある。例えば、基地局は、ユーザ固有の参照信号に事前設定された力率を掛けることによって、電力制御部を通じて、ユーザ固有の参照信号の電力を制御することができる。
【0033】
203、モジュロ識別が1の場合基地局によって、干渉除去量を0として決定すること、すなわち、ユーザ固有の参照信号に対して干渉除去処理を行わないこと。
【0034】
204、事前設定された手法で基地局によって干渉除去量を決定し、干渉除去量に従ってユーザ固有の参照信号に対して干渉除去処理を行うこと。
【0035】
理解を容易にするために、本実施形態は実施例で詳細に説明される。
【0036】
変調されたデータシンボルはaであり、aはS×1の次元を有する合成ベクトルであると想定され、ここでSは端末の数を表し、a
iは基地局から端末iに送信されるデータシンボルを表す。基地局はN個の送信アンテナを有し、各々の端末は1つの受信アンテナを有する。
【0037】
アップリンクチャネル評価または端末によってフィードバックされたチャネル状態情報に基づいて、基地局はチャネル行列
【数1】
を取得する。
【0038】
Hの次元はS×Nであり、式中でh
i(i=1,2,...,S)は端末iのチャネル行列を表し、h
iの次元は1×Nである。
【0039】
LQ分解はHに対して、H=LQ
H
で行われ、式中Lは、S×Sの次元を有する、対角線上に正の要素を持つ下三角行列であり、Qは、N×Sの次元を有するビームフォーミング行列であり、ここでQ
HQ=I、すなわち、行列Qの各々の列ベクトルは単位ベクトルであり、行列Qの異なる列ベクトルは互いに直交であり、ここでQ
Hは行列Qの共役転置を表す。
【0040】
具体的には、前述のステップ204で干渉除去量を計算する手法は次の式を参照して説明され得る。
【0041】
【数2】
式中、
【数3】
はk番目のストリームの干渉除去されたユーザ固有の参照信号を表し、b
iはi番目のストリームの参照信号の干渉除去量を表し、l
iiは行列Lの(i,i)番目の要素を表し、l
ikは行列Lの(i,k)番目の要素を表す。
【0042】
上記のステップ202およびステップ204の処理手順は次の数式を参照して理解され得る。
【0043】
【数4】
式中、a
iはi番目のストリームの元のユーザ参照信号のシンボルを表し、λ
iは事前設定された手法による計算で使用される力率を表す。λ
iは次の式で決定され得る。
【0045】
本実施形態で、上記のステップ202および204で、ユーザ固有の参照信号の電力は力率に基づいて制御されモジュロ演算を行う必要はなく、したがって、ユーザ固有の参照信号がモジュロ演算に起因してオフセットを生成する問題は回避され、それは端末がダウンリンクチャネルのより正確な状態を取得することを容易にし、チャネル評価の正確性を強化し、通信システムの性能を改善することは留意されるべきである。本実施形態による方法で、制御信号通信の数は増加しない場合があり、それによって信号通信のオーバヘッドを節約することは、留意されるべきである。
【0046】
205、ビームフォーミングされた参照信号を取得するために、干渉除去されたユーザ固有の参照信号に対してビームフォーミング処理を基地局によって行うこと。処理手法は次式を参照して理解され得る。
【0048】
式中、x
(DRS)はビームフォーミングされた参照信号を表し、Qはビームフォーミング行列を表し、
【数7】
は、ステップ202およびステップ204を通して取得される、ビームフォーミングされるべき入力信号を表し、Sは端末の数を表す。
【0049】
206、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing、直交周波数分割多重)信号を取得するために、IFFT(Inverse Fast Fourier Transformer、逆高速フーリエ変換器)部を通して基地局によってビームフォーミングされた参照信号を処理すること、DAC(Digital−to−Analog Converter、デジタル−アナログ変換器)部を通してOFDM信号をアナログ信号に変換すること、および端末にアナログ信号を送信すること。
【0050】
本開示の実施形態に従ってユーザ固有の参照信号を送信する方法で、ユーザ固有の参照信号に対してモジュロ演算を行うことは必要ではなく、ユーザ固有の参照信号は何もオフセットを持たない場合がある。したがって、ダウンリンクチャネルのより正確な状態が端末によって取得され、チャネル評価の正確性は強化され、通信システムの性能は改善される。一方、本実施形態で、ユーザ固有の参照信号に対して干渉除去処理を行うことが可能であり、したがって、端末はより正確なチャネル評価を行い、データストリーム間の干渉の情報を取得することができ、受信信号の品質は改善される。
【0051】
第3実施形態
本開示の実施形態に従ってユーザ固有の参照信号を送信する装置が提供される。装置は基地局に適用可能であり、
図1および
図2に示す方法を実装することができる。
図3に示すように、装置は決定部31、干渉除去部32、ビームフォーミング部33、無線周波数送信部34を含む。
【0052】
決定部31はモジュロ識別を決定するように構成される。
【0053】
干渉除去部32は、干渉除去されたユーザ固有の参照信号を取得するために決定部31によって決定されたモジュロ識別に基づいてユーザ固有の参照信号に対して干渉除去処理を行うように構成される。
【0054】
ビームフォーミング部33は、ビームフォーミングされた参照信号を取得するために、干渉除去されたユーザ固有の参照信号に対してビームフォーミング処理を行うように構成される。
【0055】
無線周波数送信部34は、ユーザ固有の参照信号に対するアナログ信号を取得するために、ビームフォーミングされた参照信号に対してIFFT逆高速フーリエ変換およびデジタル−アナログ変換を行い、ユーザ端末にアナログ参照信号を送信するように構成される。
【0056】
好ましくは、決定部31は、モジュロ損失および電力損失の値を決定するようにさらに構成される。具体的には、決定部31は、モジュロ演算がデータシンボルに対して行われる場合に取得される信号対雑音比とモジュロ演算がデータシンボルに対して行われない場合に取得される信号対雑音比との間の差分に基づいてモジュロ損失を決定し、事前設定された力率に基づいて電力損失を決定するように構成される。
【0057】
具体的には、決定部31は、モジュロ損失が電力損失より小さい場合に、モジュロ部にデータシンボルに対してモジュロ演算を行うよう指示するためにモジュロ識別を1として決定するように構成される。
【0058】
干渉除去部32は、モジュロ識別が決定部31によって1として決定される場合に、干渉除去量を0として決定する、すなわち、ユーザ固有の参照信号に対して干渉除去処理を行わないように、構成される。
【0059】
決定部31は、モジュロ損失が電力損失より大きい場合に、モジュロ部にデータシンボルに対してモジュロ演算を行わないよう指示するためにモジュロ識別を0として決定するようにさらに構成される。
【0060】
干渉除去部32は、モジュロ識別が決定部31によって0として決定される場合に、事前設定された手法で干渉除去量を決定し、干渉除去量に従ってユーザ固有の参照信号に対して干渉除去処理を行うように構成される。
【0061】
さらに、
図4に示すように、装置は電力制御部35をさらに含む。
【0062】
電力制御部35は、モジュロ識別が決定部31によって0として決定される場合に、事前設定された力率に基づいてユーザ固有の参照信号に対して電力制御を行うように構成される。
【0063】
本開示の実施形態に従ってユーザ固有の参照信号を送信する装置で、ユーザ固有の参照信号に対してモジュロ演算を行うことは必要ではなく、ユーザ固有の参照信号は何もオフセットを持たない場合がある。したがって、ダウンリンクチャネルのより正確な状態が端末によって取得され、チャネル評価の正確性は強化され、通信システムの性能は改善される。一方、本実施形態で、ユーザ固有の参照信号に対して干渉除去処理を行うことが可能であり、したがって、端末はより正確なチャネル評価を行い、データストリーム間の干渉の情報を取得することができ、受信信号の品質は改善される。
【0064】
第4実施形態
本開示の実施形態に従って基地局が提供される。基地局は、非線形プリコーディングをサポートする通信システムに適用され、
図1および
図2に示す方法を実装することができる。
図5に示すように、基地局はベースバンドユニット51および無線リモートユニット52を含む。
【0065】
BBU(Base Band Unit、ベースバンドユニット)51は、モジュロ識別を決定し、干渉除去されたユーザ固有の参照信号を取得するためにモジュロ識別に基づいてユーザ固有の参照信号に対して干渉除去処理を行い、ビームフォーミングされた参照信号を取得するために干渉除去されたユーザ固有の参照信号に対してビームフォーミング処理を行う。
【0066】
RRU(Radio Remote Unit、無線リモートユニット)52は、ユーザ固有の参照信号に対するアナログ信号を取得するために、ビームフォーミングされた参照信号に対してIFFT逆高速フーリエ変換およびデジタル−アナログ変換を行い、ユーザ端末にアナログ参照信号を送信するように構成される。
【0067】
好ましくは、BBUは、モジュロ損失および電力損失の値を決定するようにさらに構成される。具体的には、BBUは、モジュロ演算がデータシンボルに対して行われる場合に取得される信号対雑音比とモジュロ演算がデータシンボルに対して行われない場合に取得される信号対雑音比との間の差分に基づいてモジュロ損失を決定し、事前設定された力率に基づいて電力損失を決定するように構成される。
【0068】
具体的には、BBUは、モジュロ損失が電力損失より大きい場合に、モジュロ部にデータシンボルに対してモジュロ演算を行わないよう指示するためにモジュロ識別を0として決定するように構成される。
【0069】
BBUは、モジュロ損失が電力損失より小さい場合に、モジュロ部にデータシンボルに対してモジュロ演算を行うよう指示するためにモジュロ識別を1として決定するようにさらに構成される。
【0070】
任意選択で、BBUは、モジュロ識別が0として決定される場合に、事前設定された手法で干渉除去量を決定し、干渉除去量に従ってユーザ固有の参照信号に対して干渉除去処理を行うように構成される。
【0071】
BBUは、モジュロ識別が1として決定される場合に、干渉除去量を0として決定する、すなわち、ユーザ固有の参照信号に対して干渉除去処理を行わないようにさらに構成される。
【0072】
そのうえ、BBUは、モジュロ識別が0として決定される場合に、事前設定された力率に基づいてユーザ固有の参照信号に対して電力制御を行うようにさらに構成される。
【0073】
本開示の実施形態による基地局で、ユーザ固有の参照信号を送信するためにユーザ固有の参照信号に対してモジュロ演算を行うことは必要ではなく、ユーザ固有の参照信号は何もオフセットを持たない場合がある。したがって、ダウンリンクチャネルのより正確な状態が端末によって取得され、チャネル評価の正確性は強化され、通信システムの性能は改善される。一方、本実施形態の基地局で、ユーザ固有の参照信号に対して干渉除去処理を行うことが可能であり、したがって、端末はより正確なチャネル評価を行い、データストリーム間の干渉の情報を取得することができ、受信信号の品質は改善される。
【0074】
上記の実施形態によれば、当業者は、本開示が必要な汎用ハードウェアに関連したソフトウェアを用いて実装されてもよく、または、ハードウェアを用いて実装されてもよく、そしてハードウェアに関連したソフトウェアが多くの場合に好ましいことを明確に知ることができる。このような理解に従って、本開示の技術的な解決策の必須の部分または従来技術に寄与している部分は、コンピュータソフトウェア製品として具現化され得る。コンピュータソフトウェア製品は、コンピュータのフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、または光ディスクなどの読取可能な記憶媒体に格納することができ、コンピュータソフトウェア製品は、本開示のさまざまな実施形態で説明された方法を行うように(パーソナルコンピュータ、サーバまたはネットワーク装置などとすることができる)コンピュータ装置を制御するために多数の命令を含む。
【符号の説明】
【0075】
31 決定部
32 干渉除去部
33 ビームフォーミング部
34 無線周波数送信部
35 電力制御部
51 ベースバンドユニット
52 無線リモートユニット