【実施例】
【0018】
本発明の実施例を
図1および
図2に示す。
図1および
図2の2はレーザ照射部、4は本体部を構成するコントローラである。
レーザ照射部2は、レーザ光を出力するレーザ発振手段としての半導体レーザ6と、半導体レーザ6によるレーザ照射条件を記憶する記憶手段としてのメモリ8と、メモリ8の内容を参照して半導体レーザ6の作動を制御する制御手段10と、電力を供給するバッテリ12を内蔵し、外形は片手で保持し易い大きさ及び形状に形成されている。
また、コントローラ4は、半導体レーザ6によるレーザ照射条件を含むレーザ照射部2の制御情報を設定する条件設定手段14と、バッテリ12を充電するための充電器16を有している。
さらに、前記条件設定手段14で設定した制御情報をコントローラ4からレーザ照射部2のメモリ8に送信し、また、コントローラ4の充電器16でレーザ照射部2のバッテリ12を充電するために、コントローラ4とレーザ照射部2を電気的もしくは電磁的に接続するための接続部18、20を、レーザ照射部2とコントローラ4の両方に設けている。
本発明では、レーザ照射部2の接続部18に露出する端子とコントローラ4の接続部20に露出する端子を接触させて、電気的に接続する接続手段を構成している。例えば、レーザ照射部2に、メモリ8に接続した信号端子と、バッテリ12に接続した電源端子とを設け、コントローラ4に、条件設定手段14に接続した信号端子と、充電器16に接続した電源端子を設けて、レーザ照射部2の接続部18とコントローラ4の接続部20を接触させることにより、電源端子と電源端子、信号端子と信号端子がそれぞれ接続されて、レーザ照射部2とコントローラ4が有線で電気的に接続されるようにしている。
ここでは、接続部18、20に露出する端子によりレーザ照射部2とコントローラ4を有線で接続する例を示したが、電磁波等を用いて電磁的に無線で転送するようにしてもよい。
【0019】
コントローラ4には、レーザ照射部2を載置させるための載置部として、レーザ照射部2を嵌め込むことのできる収容凹部22が形成されており、この収容凹部22内に接続部20が凸状の係合部として形成されている。また、レーザ照射部2には接続部20と係合可能な位置に接続部18が凹状の係合部として形成されており、レーザ照射部2をコントローラ4の収容凹部22に載置して収容させることで、凹状の接続部18に凸状の接続部20が嵌り込んで係合状態となり、レーザ照射部2のバッテリ12はコントローラ4の充電器16と有線又は無線で接続され充電することができる。充電は、図示しない充電開始スイッチを押すことで開始してもよいし、レーザ照射部2をコントローラ4に置くだけで開始するようにしてもよい。
本実施例では、レーザ照射部2を2つ備えており、載置部として収容凹部22も2箇所に形成されているが、各々1つであってもよく2つ以上の複数であってもよい。
コントローラ4には、LED表示器、液晶表示器などの表示部24を設け、充電時には、どの程度充電されているか、充電中であるか充電が終了したか等を表示するようにすると、この表示部24を見ると、レーザ照射部2が電源の面から見て使用できるか否かを判断することができるので、便利である。
【0020】
また、コントローラ4にはキースイッチやボリューム等を用いた設定入力部26を設けており、この設定入力部26を操作して、所望の出力光の強さ、照射時間を含む制御情報を設定し、コントローラ4の条件設定手段14に入力する。
コントローラ4の条件設定手段14は、レーザの出力や照射時間等の照射条件だけでなく、レーザ照射部2の各部を制御する制御信号も設定できる。レーザ照射部2にはレーザ出射させるために、照射端2Aに患者に触れることで作動する接触スイッチ28と、施術者が手動操作する手動スイッチ30の両方を設けてあり、レーザ照射部2の制御信号には、これら接触スイッチ28と手動スイッチ30のどちらのスイッチを選択するかという情報や、消費電力を少なくする休止モードにするまでの時間情報、複数個設けた治療中の音楽やメロディの中からどれを選択するかという情報、音楽やメロディの音圧、音量情報などがある。
レーザ照射部2をコントローラ4の収容凹部22に載置させるとともに、レーザ照射部2の凹状の接続部18にコントローラ4の凸状の接続部20を嵌め込んで係合状態とし、これによりコントローラ4の条件設定手段14は、レーザ照射部2のメモリ8と通信可能に接続される。この状態でコントローラ4の条件設定手段14は設定入力部26からの入力が可能となり、入力された照射条件や制御信号は接続部18、20を介して送信されメモリ8に記憶されるようになっている。
このように、レーザ照射部2の接続部18とコントローラ4の接続部20によって、電気的もしくは電磁的に接続された状態の場合に限り、コントローラ4の設定入力部26から条件設定手段14への入力が可能となり、照射条件がレーザ照射部2のメモリ8に送信されて制御手段10に設定されるので、事前にレーザ照射部2が切り離された状態でコントローラ4に照射条件を入力しておき、レーザ照射部2を接続した際にデータ送信のみを実行するよう構成した場合に生じる、コントローラ4とレーザ照射部2の接触により意図せずにデータが送信されて、誤った照射条件でレーザが照射されることがない。また、コントローラ4とレーザ照射部2の接続部18、20は、互いに係合するよう形成しているので、接続が不十分な状態で送信が開始されて途中で接続が解除されて送信が中断し、誤った照射条件で設定されたり、送信自体がされない等の送信ミスが防止される。
なお、レーザ照射部2の接続部18とコントローラ4の接続部20の形状は、凹凸が逆であってもよく、さらには、互いに係合可能であれば様々な形状の係合部として構成することができる。
また、収容凹部22には、レーザ照射部2の照射端2Aが位置する箇所に、突出する照射端2Aを挿入するための挿入孔22Aが形成されており、この挿入孔22Aに照射端2Aを挿入させるとともに、接続部18を収容凹部22に形成した接続部20に係合させることで、レーザ照射部2を収容凹部22に確実に保持させることができるようになっている。
【0021】
以上、コントローラ4からレーザ照射部2へ照射条件と制御信号を送信するデータ送信について記載したが、逆に、レーザ照射部2からコントローラ4にデータを送信して、送信内容をコントローラ4の表示部24に表示可能とすると、前回使用した照射条件を確認し、必要に応じて照射条件を変更することができるし、照射条件を変更する必要が無いときにはコントローラ4を操作する必要はないため、施術者の手間を省略化することができる。
なお、コントローラ4には、条件設定手段14や充電器16に電力を供給する電源部32が設けられ、電源コード32Aによって商用電源に接続されているが、施術時はレーザ照射部2をコントローラ4から分離して操作することができるため、移動範囲が制限されることがない。また、出力測定部34を備えており、ここに向けてレーザを照射することでレーザの出力を測定して、十分な出力があるか判定できるようになっている。
さらに、レーザ照射部2の上面には表示部36が備えられ、照射条件やバッテリ残量等を確認することができ、側部には緊急時にレーザの照射を停止させる緊急停止スイッチ38が配置されている。また、表示部36の周囲部は開閉カバー40で開閉可能に覆われており、開閉カバー40を開放した内側にはレーザ発振手段6を作動可能とするためのカード式の鍵42を差し込むようになっている。
【0022】
以下に、本発明によるレーザ治療器の使用法を概説する。
使用前に、レーザ照射部2をコントローラ4の収容凹部22に載置し、両者を電気的もしくは電磁的に接続する。
表示部24によりバッテリ12が充電されていることを確認し、不足していれば充電する。
コントローラ4の設定入力部26を操作して患者に適した照射条件を設定する。また、必要に応じて、レーザ照射部2を制御するその他の制御信号も設定する。
入力された照射条件が条件設定手段14からレーザ照射部2のメモリ8に送信されると、制御手段10に照射条件が設定されて、レーザ照射部2単独でレーザ治療器として使用できるようになる。
レーザ照射部2の照射端2Aには接触スイッチ28を設けており、照射端2Aを患者の皮膚に接触させると接触スイッチ28がオンになり、その信号が制御手段10に入力されて、レーザ光の出力が許可される。コントローラ4の設定入力部26での設定入力時に接触スイッチ28の代わりに手動スイッチ30を選択するようにして、この制御信号をレーザ照射部2に送信すると、手動スイッチ30を押すと、レーザ照射部2の照射端2Aを患者に接触させなくてもレーザを照射することができる。つまり、非接触でレーザ治療を行うことができる。
【0023】
前述のように、疼痛緩和や創傷治癒促進を目的とする低出力タイプのレーザ治療の刺激点は、圧痛点(軽く圧迫して痛みが生じる点)や、トリガーポイント(痛みの原因部位)、東洋医学で言うツボ等であるが、圧痛点を刺激することが多い。圧痛点は、通常、患部の周囲には複数個所があり、圧痛の強い順番に刺激する。
【0024】
バッテリ12を充電し照射条件を設定したレーザ照射部2を手で持って、まず、最も強い痛みが生じる圧痛点に照射端2Aを押し付けると、治療が開始し、所定の強さの光を所定の照射時間だけ照射する。照射時間が終了すると、光の出力は停止する。続いて2番目に強い圧痛点にレーザ照射部2の照射部を押し付けると、所定の強さの光を所定の照射時間だけ照射する。同様に、3番目に強い圧痛点、4番目、と順次、刺激を行う、全治療点の照射が終了すると、治療が終了する。疼痛が強い場合、照射部を押し付けると痛みが増強することがあるため、出力スイッチを用いて、非接触で使用することもある。
このようにして適切なレーザ治療を行うと、効果的な疼痛緩和を行うことができる。
創傷治癒促進では、創の周囲のダメージを受けた領域のやや外側の健康な領域を、血管や神経の走行を勘案し、複数個所を刺激する。この場合は、照射部を接触させて比較的強い刺激を行うことが多い。
創傷治癒促進では、創傷を直接刺激することもある。この場合、非接触で、比較的弱い刺激で照射時間を長くして治療を行うことが多い。
【0025】
レーザ照射部2はバッテリ12で駆動するため、電池を長持ちさせるために、使用後、一定時間が経過すると、休止モードになるようにすることもできる。
コントローラ4の設定入力部26を操作して休止モードにするまでの時間を設定し、この情報をデータ送信することにより、レーザ照射部2のメモリ8に転送すると、制御手段10がメモリ8の内容を参照して、休止モードにする。
コントローラ4の設定入力部26を操作して、どの音楽やメロディを選択するか、どの程度の音圧、音量で出力するかを設定し、レーザ照射部2のメモリ8及び制御手段10に転送すると、使用時に、選択した音楽又はメロディを設定した音圧、音量で出力する。
【0026】
本発明のレーザ照射部2は片手で持てる程度の大きさと質量であり、その移動を妨げるコード等は接続していないので、患者のどの部位でも、適切な方向からレーザを照射することができる。また、コントローラ4から離れた場所にも携帯でき、ベッドサイド等でも自由に使用できる。照射条件も任意に変更できるため、どのような患者であっても、どのような疾患であっても、どのような疾患の程度であっても、適切な照射条件にして治療を行うことができる。さらに、接触式と非接触式にして使用できるため、患者の適用を拡大することができる。その結果、より治療効果を向上させることができる。
また、休止モードにすることができるため、装置を長時間、使用できる。
さらに、音楽やメロディを任意に選択でき、しかもその音圧、音量も任意に設定できるため、心地良い治療を提供することができ、心理的な側面からも治療効果の向上を支援することができる。
このように本発明のレーザ治療器は従来の課題を解決し、操作性や課は安静を向上させ、市場上の制限を解消し、より治療効果を向上させ、しかも、介助者の労力を省力化するものである。