(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記突状ガイド部材は、前記周縁隔壁部から突出あるいは基体から延在するように設けられ、前記突出する突出量あるいは延在する延長量が変化するテーパー部を有する請求項1に記載の電池モジュール。
前記基体の表面側に設けられた少なくともひとつの組電池と、前記基体の裏面に設けられた少なくともひとつの組電池と、を接続するバスバーを有する請求項6に記載の電池モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の実施形態に係る電池モジュールを構成する単位電池100及びその予備加工工程を示す図である。この単位電池100としては、リチウムイオンが負極と正極とを移動することにより充放電が行われるリチウムイオン二次単位電池が用いられる。
【0022】
単位電池100の電池本体部110は、複数のシート状正極と複数のシート状負極とがセパレータを介して積層された電極積層体、および電解液(いずれも図示しない)が、平面視で矩形のラミネートフィルム外装材内に収容された構造となっている。そして、電池本体部110の一方の端部からは、正極引き出しタブ120及び負極引き出しタブ130が引き出されている。上記のような複数のシート状正極と複数のシート状負極とがセパレータを介して積層された積層方向をシート厚方向として定義する。
【0023】
正極引き出しタブ120及び負極引き出しタブ130は、いずれも平面状で、ラミネートフィルム外装材内において、それぞれ、シート状正極、シート状負極と直接またはリード体などを介して接続されている。ラミネートフィルム外装材は、熱融着樹脂層を有する金属ラミネートフィルムにより構成されている。より具体的には、例えば2枚の金属ラミネートフィルムが、熱融着樹脂層同士を相対して重ねられてラミネートフィルム外装材を構成し、シート状正極、シート状負極およびセパレータを有する電極積層体や電解液を、内部に収容した状態でラミネートフィルム外装材の外周辺が熱シールされることで、その内部が密閉されている。
【0024】
ここで、ラミネートフィルム外装材よりなる電池本体部110から引き出される正極引き出しタブ120や負極引き出しタブ130などの金属片は、「引き出しタブ」と称することとし、ラミネートフィルム外装材の内側でセパレータや電解液などを介して積層されているシート状正極やシート状負極を「電極」と称する。
【0025】
なお、電極積層体には、上記のように複数のシート状正極と複数のシート状負極とがセパレータを介して積層したものの他に、シート状正極とシート状負極とがセパレータを介し積層したものを巻回し、これが圧縮されることにより積層体をなすものも含まれる。
【0026】
上記のような単位電池100においては、正極引き出しタブ120の材質としてはアルミニウムまたはアルミニウム合金が、また、負極引き出しタブ130の材質としては、ニッケル、他の金属にニッケルメッキを施した材料(ニッケルメッキ材。例えば、ニッケルメッキをした銅など)、ニッケルと他の金属のクラッド(ニッケルクラッド材。例えば、ニッケル−銅クラッドなど)が一般的に用いられている。本実施形態においては、アルミニウム製の正極引き出しタブ120が、また、ニッケルメッキをした銅からなる負極引き出しタブ130がそれぞれ用いられている。
【0027】
以上のように構成される単位電池100に対して、電池モジュールに組み込み前段としての予備加工を実施する。まず、
図1(A)に示すように、単位電池100の周縁部におけるラミネートフィルム外装材の4箇所に、位置合わせ貫通孔111を設ける。このような位置合わせ貫通孔111は、後の工程において、単位電池100を単位電池収容体200にセットする際に用いる。
【0028】
単位電池収容体200には単位電池位置合わせ突起部241が設けられているが、単位電池100を単位電池収容体200に載置する際には、単位電池位置合わせ突起部241を位置合わせ貫通孔111に貫通させるようにすれば、簡単に単位電池100を単位電池収容体200にセッティングすることが可能となり、製造効率がよい。
【0029】
続いて、
図1(B)の工程においては、正極引き出しタブ120及び負極引き出しタブ130の2箇所、正極引き出しタブ120と負極引き出しタブ130との間に位置するラミネートフィルム外装材の1箇所の計3箇所に絶縁テープ115を貼着して、より確実な絶縁性を確保するようにする。
【0030】
また、
図1(B)の工程においては、銅製の継ぎ足しタブ部材140を、溶着部143で超音波溶着することで、正極引き出しタブ120に接続する。このような継ぎ足しタブ部材140を用いる理由について説明する。
【0031】
本発明に係る電池モジュールを構成する上では、単位電池100の正極引き出しタブ120と、この単位電池100に隣り合う単位電池100の負極引き出しタブ130とを、ネジによって機械的に銅製のバスバーに固着することで、電気接続を行うようにする。
【0032】
ここで、単位電池100のアルミニウムを含む正極引き出しタブ120と、銅製のバスバーとを機械的に固着させる構成では、電位差の問題により所定の年月が経過した後の導電性が劣化する可能性がある。
【0033】
そこで、本発明に係る電池モジュールにおいては、上述のように、単位電池100の正極引き出しタブ120には、銅製の継ぎ足しタブ部材140を溶着により接合しておく。そして、銅製の継ぎ足しタブ部材140と、バスバーとを機械的に固着することによって、電位差による導電性劣化の問題を解決する。このような構成によれば、機械的な電気接続部では、同種の金属材料による電気接続となり、電位差の問題がなく、年月の経過による導電性の劣化が発生することがほとんどなくなる。
【0034】
続く、
図1(C)の工程においては、正極引き出しタブ120に継ぎ足された継ぎ足しタブ部材140に貫通孔145を設け、負極引き出しタブ130に貫通孔135を設ける。これらの貫通孔は、後述するように(1)単位電池100を単位電池収容体200に機械的に固定するため、(2)単位電池収容体200のバスバーにタブを電気的に接続するため、及び、(3)タブとセンス線を電気的に接続するために利用される。
【0035】
続く、
図1(D)の工程においては、単位電池100の電池本体部110に両面テープ150を貼り付ける。両面テープ150は、電池本体部110のそれぞれの面に3条ずつ、計両面合わせて6条を貼り付けるようにする。この両面テープ150の単位電池100と貼着していない面は、単位電池収容体200との貼着、及び、カバー体のカバー体絶縁シートとの貼着に利用されることで、電池モジュール内での単位電池100の位置が固定される。
【0036】
次に、以上のように準備加工された単位電池100を収容するための単位電池収容体200の詳細な構成について説明する。
図2及び
図3は本発明の実施形態に係る電池モジュールを構成する上で用いられる電池収容体200を説明する図である。また、
図26乃至
図29は電池収容体200の断面図であり、
図30は
図26乃至
図29で示す断面図が電池収容体200におけるどの箇所であるかを説明する図である。
図26は
図30のA−A断面を見た図であり、
図27は
図30のB−B断面を見た図であり、
図28は
図30のC−C断面を見た図であり、
図29は
図30のD−D断面を見た図である。
【0037】
電池収容体200は、ABSなどの合成樹脂製の部材であり、電池収容体200においては、単位電池100などが組み付けられ、単位電池100同士などの配線が行われる。
【0038】
電池収容体200は、平板状の基体と、基体の2つの主面である表面および裏面の周縁部に形成された周縁隔壁部と、を有する。周縁隔壁部は、基体表面側に設けられた第1面周縁隔壁部と、基体裏面側に設けられた第2面周縁隔壁部と、から構成されている。ここで、
図2は電池収容体200の基体表面側を斜視的にみた図であり、
図3は電池収容体200の基体裏面側を斜視的にみた図である。
図2に示されている基体表面側の電池収容体の主面を第1面210、また、
図3に示されている基体裏面側の電池収容体の主面を第2面220として、以下、説明する。
【0039】
第1面210においては、基体表面の周縁を囲むように、基体表面から垂直方向に立設した第1面周縁隔壁部211が設けられている。この第1面周縁隔壁部211で囲まれた内側のエリアは、後述するカバー体によって遮蔽される。
【0040】
また、第1面210における第1面周縁隔壁部211で囲まれた内側のエリアにおいては、基体表面から垂直方向に立設した第1面区画分け隔壁部212が設けられており、第1面内で互いに隣接する単位電池100の間の隔壁を成している。また、第1面区分け隔壁部218も設けられており、第1区分け隔壁部212と共に単位電池100を収容する収容室などを区画分けする構成になっている。
【0041】
第1面210においては、主として、上記のような第1面区画分け隔壁部212と第1面区分け隔壁部218によって、単位電池100を収容する収容室である第1電池収容室215、第2電池収容室216と、単位電池100のタブの電位を検出するためのセンス線を収容する収容室である第1面配線収容室217とが構成されるようになっている。
【0042】
上記のような第1面区画分け隔壁部218においては、壁部の高さが、他の部分より低くされた線引き回し切り欠き部214が設けられることで、センス線などを一方の収容室から他方の収容室へと引き回すことが可能とされている。
【0043】
同様に、第2面220においても、基体裏面の周縁部に囲むように、基体裏面から垂直方向に立設した第2面周縁隔壁部221が設けられている。この第2面周縁隔壁部211で囲まれた内側のエリアは、後述するカバー体によって遮蔽される。
【0044】
また、第2面220における第2面周縁隔壁部221で囲まれた内側のエリアにおいては、基体裏面から垂直方向に立設した第2面区画分け隔壁部222が設けられており、第2面内で互いに隣接する単位電池100の間の隔壁を成している。また、第2面区分け隔壁部228も設けられており、第2区分け隔壁部222と共に単位電池100を収容する収容室などを区画分けする構成になっている。
【0045】
第2面220においては、主として、上記のような第2面区画分け隔壁部222と第2面区分け隔壁部228によって、単位電池100を収容する収容室である第3電池収容室225、第4電池収容室226と、単位電池100のタブの電位を検出するためのセンス線を収容する収容室である第2面配線収容室227とが構成されるようになっている。
【0046】
上記のような第2面区画分け隔壁部228においては、壁部の高さが、他の部分より低くされた線引き回し切り欠き部224が設けられることで、センス線などを一方の収容室から他方の収容室へと引き回すことが可能とされている。
【0047】
上記に示すように、単位電池収容体200は、第1面210において第1電池収容室215及び第2電池収容室216の2つの単位電池100の収容室を有しており、第2面220において第3電池収容室225及び第4電池収容室226の2つの単位電池100の収容室を有しており、両面で合わせて計4つの単位電池100の収容室を有している。仮にひとつの電池収容室に1つの単位電池100を収容するものとすると、本実施形態に係る単位電池収容体200では、最大で4つの単位電池100を収容することが可能である。なお、本発明における電池モジュールでは、単位電池収容体200で収容可能とする単位電池100の数は、この例に限定されるものではなく、単位電池収容体200の両面を利用するのであれば、単位電池収容体200で収容可能とする単位電池100の数は、任意の数とすることができる。
【0048】
単位電池収容体200の一方の端部(第1電池収容室215及び第4電池収容室226が配されている側の端部)においては、第1貫通孔231が設けられており、その第1貫通孔231と、第1面周縁隔壁部211及び第2面周縁隔壁部221の周縁隔壁部との間には第1コネクタ232が設けられる。この第1コネクタ232からは、直列接続される単位電池100の電源が取り出せるようになっている。
【0049】
第1コネクタ232には、第1面210に収容される単位電池100からの電源線、及び、第2面220に収容される単位電池100からの電源線が接続されるために、第1面210と第2面220との間を貫通する上記のような第1貫通孔231が設けられていることが好ましい。
【0050】
また、第1貫通孔231は単位電池100からの電源線を第1コネクタ232に接続する作業を行う際のスペースをも提供するものであり、製造効率上も有効である。
【0051】
同じく、単位電池収容体200の一方の端部(第1電池収容室215及び第4電池収容室226が配されている側の端部)においては、第2貫通孔233が設けられており、その第2貫通孔233と、第1面周縁隔壁部211及び第2面周縁隔壁部221の周縁隔壁部との間には第2コネクタ234が設けられる。この第2コネクタ234からは、直列接続される各単位電池100のタブの電位情報が取り出せるようになっている。このような各単位電池100のタブの電位情報によって、後述するバッテリー管理回路ユニット500が各々の単位電池100の管理を行うことができるようになっている。
【0052】
第2コネクタ234には、第1面210に収容される単位電池100からのセンス線、及び、第2面220に収容される単位電池100のタブ電位のセンス線が接続されるために、第1面210と第2面220との間を貫通する上記のような第2貫通孔233が設けられていることが好ましい。
【0053】
また、第2貫通孔233は単位電池100からのセンス線を第2コネクタ234に接続する作業を行う際のスペースをも提供するものであり、製造効率上も有効である。
【0054】
単位電池収容体200の一方の端部(第1電池収容室215及び第4電池収容室226が配されている側の端部)であり、第1貫通孔231と第2貫通孔233との間には、第1面210と第2面220との間を貫通する取手貫通孔235が設けられており、取手貫通孔235とその周囲が取手部236として機能するようになっている。このような取手部236は、電池モジュールの取り扱い性を向上させるものである。
【0055】
単位電池収容体200における第1面210の第2電池収容室216と、第2面220の第3電池収容室225との間には、第1面210と第2面220との間を貫通するバスバー引き回し貫通孔237が設けられている。
【0056】
本発明に係る電池モジュールにおいては、各電池収容室に配された電池が直列接続されるが、このバスバー引き回し貫通孔237によって、1つのバスバーを第1面210の第2電池収容室216と、第2面220の第3電池収容室225との間を跨がせることが可能となり、これにより、第2電池収容室216に収容される単位電池100と第3電池収容室225に収容される単位電池100とを、このバスバーを介して電気接続することができるようになっている。
【0057】
また、単位電池収容体200の一方の端部(第1電池収容室215及び第4電池収容室226が配されている側の端部)には、第1面210と第2面220との間を貫通するヒューズ取り付け貫通孔238が設けられている。直列接続される単位電池100の電源ラインにはヒューズを介挿するが、このヒューズがヒューズ取り付け貫通孔238を利用して配置される。また、ヒューズ取り付け貫通孔238の両長手方向近傍には、ヒューズや端子、バスバーを螺着するために利用される2つのヒューズ固着ネジ孔249が配されている。これらヒューズ固着ネジ孔249は、内周にネジパターンが切られた金属の筒状体が、樹脂で形成される単位電池収容体200に一体モールドで埋め込まれるような形で設けられることが好ましい。
【0058】
また、単位電池収容体200には、第1面210と第2面220との間を貫通するカバー体係止貫通孔239が2箇所に設けられている。単位電池収容体200においては、後述するように、第1面210に配された単位電池100や各種配線を第1面カバー体310により、また、第2面220に配された単位電池100や各種配線を第2面カバー体320により遮蔽するが、カバー体の取付けに際し、カバー体に設けられた係止片は、先のカバー体係止貫通孔239が係合するようになっている。
【0059】
第1電池収容室215、第2電池収容室216、第3電池収容室225、第4電池収容室226のそれぞれの収容室には、基体表面または基体裏面から立設されてなり、略十字形状をなした単位電池載置部240が設けられている。
【0060】
これらの単位電池載置部240は、各収容室の4箇所に設けられている。また、単位電池載置部240の基体表面または基体裏面からの高さは、単位電池100の電極積層領域105の厚さの略半分程度である。これにより、単位電池100が収容室にセットされたとき、これを安定させることが可能となる。
【0061】
また、単位電池載置部240の十字形の中央部には、ピン突起状の単位電池位置合わせ突起部241が設けられている。単位電池100が収容室にセットされたとき、4つの単位電池位置合わせ突起部241が、単位電池100の周縁部におけるラミネートフィルム外装材の4箇所に設けられている位置合わせ貫通孔111に、それぞれ嵌合するようになっている。これにより、単位電池100を単位電池収容体200に取り付ける際には、簡単に単位電池100の位置合わせを行うことができるので、生産性が向上する。
【0062】
また、第1電池収容室215、第2電池収容室216、第3電池収容室225、第4電池収容室226のそれぞれの収容室には、基体表面または基体裏面から立設されたタブ部材載置部245が設けられている。これらのタブ部材載置部245は、各収容室の2箇所に設けられている。
【0063】
これらのタブ部材載置部245は、基体表面または基体裏面からの高さが場所によって異なるようにされており、これにより、後述するバスバーが安定的に載置することができるようになっている。具体的には、バスバーが載置される箇所に相当するタブ部材載置部245の高さは、載置されない箇所に比べて低くなっている。
【0064】
また、タブ部材載置部245の一部には、タブ部材固着ネジ孔246が設けられている。タブ部材固着ネジ孔246は、内周にネジパターンが切られた金属の筒状体が、樹脂で形成される単位電池収容体200に一体モールドで埋め込まれるような形で設けられることが好ましい。
【0065】
このタブ部材固着ネジ孔246を利用して、単位電池100のタブと、バスバーと、センス線の端子とを一体的に、ネジで螺着することで、(1)単位電池100を単位電池収容体200に機械的に固定し、(2)単位電池収容体200のバスバーにタブを電気的に接続し、及び、(3)タブとセンス線を電気的に接続することができるようになっている。
【0066】
単位電池収容体200の外周における一方の対向する端部には、第1端側突状ガイド部材250、及び、第2端側突状ガイド部材255が設けられている。これら第1端側突状ガイド部材250、及び、第2端側突状ガイド部材255は、凸部が長手方向に連続するような構造であり、後述するラックにおける凹部に、これらをスライドさせることで、本発明に係る電池モジュールを蓄電装置のラックに収容することが可能となる。
【0067】
第1端側突状ガイド部材250の両端部にはテーパー部251及びテーパー部252が、また、第2端側突状ガイド部材255の両端部にはテーパー部256及びテーパー部257がそれぞれ設けられることで、上記のように、ラックにおける凹部に電池モジュールを差し込み入れる際には、差し込みが容易となり取り扱い性が向上する。また、ラックにおける凹部から電池モジュールを取り外す際には、各テーパー部がアソビとなるので、電池モジュールの抜き去り方向に留意する必要性があまりなく、取り扱い性が向上する。
【0068】
第1端側突状ガイド部材250の幅と、第2端側突状ガイド部材255の幅とは、互いに異なるものを用いることで、想定していない姿勢で、電池モジュールがラックに対して抜き差しされることを防止することが可能となる。なお、第1端側突状ガイド部材250の幅は、或いは、第2端側突状ガイド部材255の幅は、基体表面または基体裏面と垂直な方向でみた長さとして定義することができる。
【0069】
第1端側突状ガイド部材250及び第2端側突状ガイド部材255はいずれも、基体表面および基体裏面とは異なる側面であって、対向する2つの側面に基体表面あるいは基体裏面の平面方向に沿って設けられるものである。
第1端側突状ガイド部材250及び第2端側突状ガイド部材255は、周縁隔壁部(211,221)から突出あるいは基体から延在するように設けられるものある。また、各テーパー部は、前記突出する突出量あるいは延在する延長量が変化するものである、ということができる。
【0070】
単位電池収容体200においては、第1面210に配された単位電池100や各種配線を第1面カバー体310により、また、第2面220に配された単位電池100や各種配線を第2面カバー体320により遮蔽する構造を採る。このために、第1面カバー体310を第1面210にネジにより螺着するために用いられるカバー体固着ネジ孔260が、第1面210に9個設けられている。同様に、第2面カバー体320を第1面220にネジにより螺着するために用いられるカバー体固着ネジ孔260が、第2面220に同じく9個設けられている。それぞれの面に、カバー体固着ネジ孔260は9個設けられているが、全てのカバー体固着ネジ孔260でネジ留めする必要はない。また、カバー体固着ネジ孔260を一の面に設ける数は、9個に限らず任意の数とすることができる。また、図に例示するように、カバー体固着ネジ孔260を設置する位置は、第1面210と第2面220で互いに対称になるように隣接して配置している。こうすることで、同位置に配置する場合に比べ、ネジ孔に要する厚を減じることができるので、電池モジュールを薄型化し易くできる。
【0071】
次に、以上のように構成される単位電池収容体200に単位電池100などの各部品を組み付けて、本発明に係る電池モジュールとする工程について説明する。
【0072】
まず、
図4及び
図5を参照して、単位電池収容体200の第1面210における取り付け工程について説明する。
【0073】
第1コネクタ232、第2コネクタ234が設けられている区画と、第1電池収容室215の区画との間に設けられているタブ部材載置部245に第1バスバー271を載置する。この第1バスバー271には、タブ部材載置部245に載置したときに、タブ部材固着ネジ孔246と対応する箇所に2つの貫通孔が設けられている。
【0074】
電源線281の電源線端子282の孔と、第1バスバー271の貫通孔(第1コネクタ側の貫通孔)と、タブ部材固着ネジ孔246にはネジ283が挿通される。続いて、電源線端子282と第1バスバー271とタブ部材固着ネジ孔246とを一体的にネジ283で螺着することで、機械的固着及び電気的接続を行う。
【0075】
電源線281の電源線端子282が設けられていない方の端部は、第1コネクタ232のケーシングで囲われた不図示の端子と電気接続が図られる。
【0076】
また、第1面区画分け隔壁部212が形成するスペースには、サーミスタ286が配され、このサーミスタ286のサーミスタ接続線285は、第2コネクタ234の不図示の端子と電気接続が図られる。
【0077】
サーミスタ286は、電池モジュール内の温度を検出し、その検出信号は第2コネクタ234を介してバッテリー管理回路ユニット500に送信される。本発明に係る電池モジュールにおいては、バッテリー管理回路ユニット500が、このサーミスタ286から温度データを取得して、これに基づいて放電停止などの制御を行うようにしている。
【0078】
次に、第1電池収容室215の区画と第2電池収容室216の区画との間に設けられているタブ部材載置部245に第2バスバー272を載置する。この第1バスバー272には、これをタブ部材載置部245に載置したときに、タブ部材固着ネジ孔246と対応する箇所に2つの貫通孔が設けられている。
【0079】
次に、第1面210における第2電池収容室216に設けられているタブ部材載置部245と、第2面220における第3電池収容室225に設けられているタブ部材載置部245と、に第3バスバー273を取り付ける。この第3バスバー273の断面は、略Z字状をなしており、バスバー引き回し貫通孔237を利用して、第1面210と第2面220との間を跨ぐようにして取り付けられる。この第3バスバー273には、これが所定位置に取り付けられたとき、タブ部材固着ネジ孔246と対応する箇所に2つの貫通孔が設けられている。
【0080】
続いて、
図5に示すように、第1電池収容室215と第2電池収容室216のそれぞれに単位電池100を載置する。このとき、単位電池収容体200の単位電池位置合わせ突起部241を単位電池100の位置合わせ貫通孔111に貫通させるようにすればよいので、簡単に単位電池100を単位電池収容体200に載置することができる。
【0081】
なお、単位電池100を各収容室に載置する上では、両面テープ150が利用され、収容室に貼り付けられる形で固定される。
【0082】
次に、
図5に示すように、センス線287のセンス線端子288の孔と、タブ部材の孔(負極引き出しタブ130の貫通孔135、又は継ぎ足しタブ部材140の貫通孔145)と、バスバーの貫通孔と、タブ部材固着ネジ孔246とにネジ289が挿通される。続いて、センス線端子288とバスバーとタブ部材とタブ部材固着ネジ孔246とを一体的にネジ289で螺着することで、これらの機械的固着及び電気的接続を行う。
【0083】
センス線287のセンス線端子288が設けられていない方の端部は、第2コネクタ234の不図示の端子と電気接続が図られる。センス線端子288で検出されるタブの電位は、第2コネクタ234を介してバッテリー管理回路ユニット500に送信される。バッテリー管理回路ユニット500は、各タブからの電位データを取得して、これに基づいて放電停止などの制御を行うようにしている。
【0084】
センス線端子288と第2コネクタ234との間のセンス線287の引き回しには、第1面配線収容室217が利用される。
【0085】
次に、
図6及び
図7を参照して、単位電池収容体200の第2面220における各種部品の取り付け工程について説明する。
【0086】
まず、第3電池収容室225の区画と第4電池収容室226の区画との間に設けられているタブ部材載置部245に第4バスバー274を載置する。この第4バスバー274には、タブ部材載置部245に載置したときに、タブ部材固着ネジ孔246と対応する箇所に2つの貫通孔が設けられている。
【0087】
また、第4電池収容室226の区画と、第1コネクタ232、第2コネクタ234が設けられている区画との間に設けられているタブ部材載置部245に第5バスバー275を載置する。この第5バスバー275には2つの貫通孔が設けられているが、一方の貫通孔はタブ部材載置部245におけるタブ部材固着ネジ孔246と対応する箇所に、もう一方の貫通孔はヒューズ固着ネジ孔249と対応する箇所に設けられている。
【0088】
続いて、ヒューズ取り付け貫通孔238にはヒューズ290が載置される。一方のヒューズ290の端子孔と、第5バスバー275との貫通孔と、ヒューズ固着ネジ孔249とには、ネジ283が挿通され、ヒューズ290と第5バスバー275とタブ部材固着ネジ孔246とを一体的にネジ283で螺着することで、これらの機械的固着及び電気的接続を行う。
【0089】
また、他方のヒューズ290の端子孔と、電源線281の電源線端子282と、ヒューズ固着ネジ孔249とには、ネジ283が挿通され、ヒューズ290と電源線端子282とヒューズ固着ネジ孔249とを一体的にネジ283で螺着することで、これらの機械的固着及び電気的接続を行う。
【0090】
また、電源線281の電源線端子282が設けられていない方の端部は、第1コネクタ232の不図示の端子と電気接続が図られる。
【0091】
続いて、
図7に示すように、第3電池収容室225と第4電池収容室226のそれぞれに単位電池100を載置する。このとき、単位電池収容体200の単位電池位置合わせ突起部241を単位電池100の位置合わせ貫通孔111に貫通させるようにすればよいので、簡単に単位電池100を単位電池収容体200に載置することができる。
【0092】
なお、単位電池100を各収容室に載置する上では、両面テープ150が利用され、収容室に貼り付けられる形で固定される。
【0093】
次に、
図7に示すように、センス線287のセンス線端子288の孔と、タブ部材の孔(負極引き出しタブ130の貫通孔135、又は継ぎ足しタブ部材140の貫通孔145)と、バスバーの貫通孔と、タブ部材固着ネジ孔246とにネジ289が挿通される。続いて、センス線端子288とバスバーとタブ部材とタブ部材固着ネジ孔246とを一体的にネジ289で螺着することで、これらの機械的固着及び電気的接続を行う。
【0094】
センス線287のセンス線端子288が設けられていない方の端部は、第2コネクタ234の不図示の端子と電気接続が図られる。センス線端子288で検出されるタブの電位は、第2コネクタ234を介してバッテリー管理回路ユニット500に送信される。バッテリー管理回路ユニット500は、各タブからの電位データを取得して、これに基づいて放電停止などの制御を行うようにしている。
【0095】
センス線端子288と第2コネクタ234との間のセンス線287の引き回しには、第2面配線収容室227が利用される。
【0096】
以上のように、単位電池収容体200に各種部品を取り付けることで、4つの単位電池100を直列接続した電圧は、第1コネクタ232から取り出すことができる。また、それぞれの単位電池100のタブ電位、及び、サーミスタによる検出温度は、第2コネクタ234から取り出すことができる。
【0097】
次に、以上のように各種部品が取り付けられた単位電池収容体200を遮蔽するカバー体について説明する。
図8は本発明の実施形態に係る電池モジュールを構成する上で用いられる第1面カバー体310を説明する図であり、
図9は第2面カバー体320を説明する図である。第1面カバー体310と第2面カバー体320とは鏡対称の関係にある以外は同様の構成を有しているので、以下、第1面カバー体310を例にとり説明する。
【0098】
第1面カバー体310は、単位電池収容体200の第1面210に収容される単位電池100、電源線281、センス線287やサーミスタ286などを遮蔽するアルミニウム製のカバー用の部材である。
【0099】
第1面カバー体310には、第1面カバー体310が第1面210に取り付けられたとき、第1電池収容室215に収容されている単位電池100と、第2電池収容室216に収容されている単位電池100とを押圧するための絞り加工(電池押圧絞り加工部311)が施されている。また、電池押圧絞り加工部311によって、単位電池100を押圧する面は押圧面312として定義される。電池押圧絞り加工部311に基づく押圧面312は、第1面カバー体310装着時、単位電池100の電極積層領域105を押圧することで、単位電池100の経年使用による膨張などを押さえ込み、単位電池100の寿命を伸ばす効果を有する。
【0100】
なお、電池押圧絞り加工部311は
図8の紙面から飛び出す方向で形成されているものである。破線は、第1面カバー体310の裏面側の様子を示したものである。
【0101】
また、第1面カバー体310には、第1面カバー体310が第1面210に取り付けられたとき、カバー体固着ネジ孔260と対応する位置に、ネジ孔314と切り欠き部315とが形成されている。ネジ孔314の周囲には、ネジ孔絞り加工部313が設けられることで、ネジ孔314の周囲における第1面カバー体310と第1面210とが密着する形で、第1面カバー体310が固着される。なお、ネジ孔絞り加工部313は
図8の紙面から飛び出す方向で形成されているものである。
【0102】
また、第1面カバー体310の一辺には、単位電池収容体200に設けられている2箇所のカバー体係止貫通孔239に係合する係止片316が設けられている。
【0103】
次に、単位電池収容体200に収容された単位電池100や配線類を保護するために、以上のような第1面カバー体310に絶縁性を付与する工程について以下に説明する。まず、
図10に示すように、第1面カバー体310に対して2条の両面テープ350を貼着する。
【0104】
続いて、2条の両面テープ350を利用して、
図11に示すカバー体絶縁シート360を、第1面カバー体310に貼り付ける。カバー体絶縁シート360には、第1面カバー体310の押圧面312に対応した押圧面対応型抜き部361と、第1面カバー体310のネジ孔314に対応したネジ孔対応型抜き部362と、第1面カバー体310の切り欠き部315に対応したネジ孔対応切り欠き部363と、が設けられている。
【0105】
引き続き、第1面カバー体310の2つの押圧面312には、3条の両面テープ370が貼着される。この3条の両面テープ370が利用されることで、それぞれの押圧面312には、押圧面絶縁シート380が貼り付けられる。
【0106】
続いて、
図13に示すように、絶縁シートが施された第1面カバー体310及び第2面カバー体320を、第1面カバー体310と第2面カバー体320とで単位電池収容体200を挟み込むようにして取り付ける。第1面カバー体310と第2面カバー体320を単位電池収容体200に取り付ける上では、それぞれの係止片316、326をカバー体係止貫通孔239に係合させる。
【0107】
なお、第1面カバー体310と第2面カバー体320とで単位電池収容体200を挟み込む際には、単位電池100に設けられている両面テープ150が利用され、押圧面絶縁シート380と単位電池100とが貼り合わされる。
【0108】
また、第1面カバー体310側から7本のネジ390を利用して、第1面カバー体310と単位電池収容体200のカバー体固着ネジ孔260とを螺着する。同様に、第2面カバー体320側からも7本のネジ390を利用して、第2面カバー体320と単位電池収容体200のカバー体固着ネジ孔260とを螺着する。
【0109】
図14は、以上のような工程により製造される本発明の実施形態に係る電池モジュール400を示す図である。
図14(A)は電池モジュール400の主面をみた図であり、
図14(B)は
図14(A)のXの方向から電池モジュール400をみた図であり、
図14(C)は
図14(A)のYの方向から電池モジュール400をみた図である。
【0110】
電池モジュール400の外観としては、電池の電源が取り出される第1コネクタ232と、電池のタブ電位や温度などのモニタデータが取り出される第2コネクタ234が露出した状態となる。
【0111】
また、電池モジュール400の一方の対向する端部には、それぞれ両端部にテーパー部を有する第1端側突状ガイド部材250及び第2端側突状ガイド部材255が配された構造となる。これらの突状ガイド部材は後述する蓄電装置のラックに電池モジュール400が取り付けられる際に利用される。
【0112】
また、
図31は本発明の実施形態に係る電池モジュール400の断面図である。
図31において、
図31(Q)は
図31(P)のA−A断面を見た図であり、
図31(R)は
図31(P)のB−B断面を見た図である。
【0113】
以上のような本発明に係る電池モジュール400によれば、周縁隔壁部(211、221)により電池モジュール400の剛性を高く保てるので、薄型化が容易で信頼性を保ちやすい電池モジュール400が提供できる。
【0114】
また、面内で隣接する単位電池100それぞれの間に設けた区分け隔壁部(212、222)により一の電池の異常発熱などが他の電池に伝播し難く保てるので、高い難燃性が確保しやすい電池モジュールが提供できる。加えて、電池搭載面の両面に設けた区分け隔壁部(212、222、218、228)により電池モジュール400の剛性を高く保てるので、薄型化が容易で信頼性を保ちやすい電池モジュール400が提供できる。
【0115】
また、単位電池100をシート厚方向に押圧するカバー体(310、320)により電池要素100の変形を効果的に抑制できるので、繰返し充放電性能などの電池特性を良好に保ち易い電池モジュール400が提供できる。加えて、電池搭載面の両面に設けた周縁リブ部や区分け隔壁部により電池モジュールの剛性を高く保てるので、薄型化が容易で信頼性を保ちやすい電池モジュールが提供できる。
【0116】
次に、単位電池収容体200の収容室の全てを単位電池100に取り付けずに利用する形態について
図15乃至
図17を参照して説明する。
【0117】
これまで説明した電池モジュール400においては、単位電池収容体200における4つの収容室の全てに単位電池100が収容され、これらが直列接続され、第1コネクタ232からは単位電池100の4倍の電圧を取り出すようにしていた。
【0118】
ところで、電池モジュール400を直列接続した電圧を利用する充電装置においては、単位電池100の4倍の倍数の電圧が常に利用される分けではない。そこで、電池モジュール400の中に、例えば、単位電池100を1つのみ搭載した、単位電池100の1倍の電圧が取り出させるものを用意することで、種々の充電装置に対応することが可能となる。
【0119】
以下、単位電池収容体200の収容室の1つのみに単位電池100を取り付けて、単位電池100と同電圧を取り出す電池モジュール400について
図15乃至
図17を参照して説明する。以下において、単位電池収容体200や単位電池100などは、これまで説明したものと同様のものが用いられるので説明を省略する。
【0120】
図15及び
図16は上記のような単位電池100と同電圧を取り出す電池モジュール400の各種部品の取り付け工程を説明する図である。このような電池モジュール400では、第2面220の第4電池収容室226に単位電池100を収容して、電池モジュール400を構成する。
【0121】
まず、第4電池収容室226の区画と、第1コネクタ232、第2コネクタ234が設けられている区画との間に設けられているタブ部材載置部245に第5バスバー275を載置する。この第5バスバー275には2つの貫通孔が設けられているが、一方の貫通孔はタブ部材載置部245におけるタブ部材固着ネジ孔246と対応する箇所に、もう一方の貫通孔はヒューズ固着ネジ孔249と対応する箇所に設けられている。
【0122】
続いて、ヒューズ取り付け貫通孔238にはヒューズ290が載置される。一方のヒューズ290の端子孔と、第5バスバー275との貫通孔と、ヒューズ固着ネジ孔249とには、ネジ283が挿通され、ヒューズ290と第5バスバー275とタブ部材固着ネジ孔246とを一体的にネジ283で螺着することで、これらの機械的固着及び電気的接続を行う。
【0123】
また、他方のヒューズ290の端子孔と、電源線281の電源線端子282と、ヒューズ固着ネジ孔249とには、ネジ283が挿通され、ヒューズ290と電源線端子282とヒューズ固着ネジ孔249とを一体的にネジ283で螺着することで、これらの機械的固着及び電気的接続を行う。
【0124】
また、電源線281の電源線端子282が設けられていない方の端部は、第1コネクタ232の不図示の端子と電気接続が図られる。
【0125】
続いて、第3電池収容室225の区画と第4電池収容室226の区画との間に設けられているタブ部材載置部245に第4バスバー274を載置する。この第4バスバー274には、タブ部材載置部245に載置したときに、タブ部材固着ネジ孔246と対応する箇所に2つの貫通孔が設けられている。
【0126】
また、
図15に示すように、電源線281の電源線端子282の孔と、第4バスバー274の貫通孔と、タブ部材固着ネジ孔246にはネジ283が挿通される。続いて、電源線端子282と第4バスバー274とタブ部材固着ネジ孔246とを一体的にネジ283で螺着することで、これらの機械的固着及び電気的接続を行う。電源線281の電源線端子282が設けられていない方の端部は、第1コネクタ232の不図示の端子と電気接続が図られる。電源線281の引き回しには、第2面配線収容室227が利用される。
【0127】
続いて、
図16に示すように、第4電池収容室226のみに単位電池100を載置する。このとき、単位電池収容体200の単位電池位置合わせ突起部241を単位電池100の位置合わせ貫通孔111に貫通させるようにすればよいので、簡単に単位電池100を単位電池収容体200に載置することができる。
【0128】
なお、単位電池100を各収容室に載置する上では、両面テープ150が利用され、収容室に貼り付けられる形で固定される。
【0129】
次に、
図16に示すように、センス線287のセンス線端子288の孔と、タブ部材の孔(負極引き出しタブ130の貫通孔135)と、第4バスバー274の貫通孔と、タブ部材固着ネジ孔246とにネジ289が挿通される。続いて、センス線端子288と第4バスバー274とタブ部材とタブ部材固着ネジ孔246とを一体的にネジ289で螺着することで、これらの機械的固着及び電気的接続を行う。
【0130】
センス線287のセンス線端子288が設けられていない方の端部は、第2コネクタ234の不図示の端子と電気接続が図られる。センス線端子288で検出されるタブの電位は、第2コネクタ234を介してバッテリー管理回路ユニット500に送信される。バッテリー管理回路ユニット500は、各タブからの電位データを取得して、これに基づいて放電停止などの制御を行うようにしている。
【0131】
センス線端子288と第2コネクタ234との間のセンス線287の引き回しには、第2面配線収容室227が利用される。
【0132】
このように、単位電池収容体200に各種部品を取り付けることで、1つの単位電池100と同じ電圧を、第1コネクタ232から取り出すことができる。また、搭載される1つの単位電池100のタブ電位、及び、サーミスタによる検出温度は、第2コネクタ234から取り出すことができる。
【0133】
以上のような単位電池収容体200にカバー体を設けるときにおいては、第1面210は単位電池100が配されていないブランクの構成となるので、第1面210側に設ける第1面カバー体310としてはカバー体絶縁シート360を省略することができる。
【0134】
一方、第1面210においては、第4電池収容室226のみに単位電池100が搭載された構成であり、第3電池収容室225はブランクとなるので、カバー体絶縁シート360と押圧面絶縁シート380を1つのみ貼着した、
図17に示すような第2面カバー体320を利用することできる。
【0135】
以上のような単位電池収容体200と、カバー体とを用いて、
図13にしたのと同様の方法で、単位電池収容体200を遮蔽することで、単位電池100と同電圧を取り出す電池モジュール400を構成することができる。
【0136】
続いて、以上のような本発明に係る電池モジュール400の管理を行うバッテリー管理回路ユニット500の構成の概略について説明する。
図18、
図19、
図20はバッテリー管理回路ユニット500の製造工程を説明する図である。また、
図21はバッテリー管理回路ユニット500を示す図である。
【0137】
図18において、バッテリー管理回路ユニット500を構成する各基板やコネクタ類が取り付けられるシャーシ510は、底面部511と、この底面部511から垂直に延在する側壁部512とからなっている。底面部511には、複数のネジ孔部513が底面部511から垂直に立設するようにして設けられている。
【0138】
また、シャーシ510の対向する2つの側壁部512には、側壁部512の長手方向にわたり複数の通風孔515が設けられている。対向する2つの側壁部512間は、通風孔515により、気流が流れやすいようになっている。
【0139】
また、シャーシ510の側壁部512には、電池モジュール400との電気接続を行うためのコネクタ516が取り付けられている。また、底面部511には基板から発せられる熱を放熱するための放熱シート517が取り付けられる。
【0140】
図19は第1回路基板520の製造工程を示している。第1回路基板520には、FETなどの使用時に発熱する半導体部品521が搭載されているが、これら半導体部品521には、底面部524とこれから垂直方向に延在するフィン525とからなるヒートシンク523が、図示するようにボルト527、ナット528で取り付けられる。
【0141】
なお、本実施形態においては、半導体部品521にヒートシンク523を取り付ける際には、ボルト527、ナット528からなる固着手段を用いているが、ヒートシンク523を半導体部品521に取り付ける際には、接着剤を用いて両者を貼着するようにしても良い。さらに、ヒートシンク523を半導体部品521に取り付ける際に、ボルト527、ナット528と接着剤とを併用するようにしても良い。
【0142】
図20は第1回路基板520と第2回路基板540とをシャーシ510に対して、ネジ孔部513を利用してネジ545で固定する工程を示しており、
図21は完成したバッテリー管理回路ユニット500を示している。
【0143】
図21に示すように、通風孔515が設けられた対向する2つの側壁部512に垂直な方向と、ヒートシンク523のフィン525の長手方向とは平行の関係となっている。このため、通風孔515から出入りする気流により、ヒートシンク523のフィン525が効率的に冷却され、半導体部品521の効率を向上させることが可能となっている。
【0144】
以上のように構成される電池モジュール400及びバッテリー管理回路ユニット500を用いることで蓄電装置600を構成することが可能となる。
図22は本発明の実施形態に係る電池モジュール400が用いられた蓄電装置600の概要を示す図である。
【0145】
蓄電装置600の筐体590の中には、複数の電池モジュール400を収容するモジュール収容ラック550と、このモジュール収容ラック550に一体的に取り付けられたバッテリー管理回路ユニット500とが収容される。さらに、筐体590における、これらの上下の空間には、パワーコンディショナーやバッテリー管理回路ユニット500冷却のための送風ユニットなども設けられるが、
図22ではこれらを図示していない。
【0146】
モジュール収容ラック550の上下には、13対の凹状ガイド部材560が設けられている。上下1対の凹状ガイド部材560に対して、1つの電池モジュール400がその上下に設けられている第1端側突状ガイド部材250(下側)、第2端側突状ガイド部材255(上側)で填り合い、挿抜可能となる。
【0147】
なお、第1端側突状ガイド部材250の幅と、第2端側突状ガイド部材255の幅とは、互いに異なるものとし、これに対応するようにモジュール収容ラック550側の凹状ガイド部材560の凹部の幅を上下で異ならせるように構成すると、電池モジュール400の天地を間違えると、モジュール収容ラック550に電池モジュール400を挿入できなくなるので、誤使用の防止に役立てることができる。
【0148】
モジュール収容ラック550に収容されている13個の電池モジュール400は、隣り合う電池モジュール400の第1コネクタ232同士が不図示のワイヤーハーネスで直列接続されることで、バッテリー管理回路ユニット500に入力される。
【0149】
図22に示す実施形態においては、4つの単位電池100の直列接続が収納された電池モジュール400が12個、及び、1つの単位電池100が収納された電池モジュール400が1個、の計13個の電池モジュール400がモジュール収容ラック550に取り付けられており、全ての電池モジュール400の合計で単位電池100の49倍の電圧を取り出せるようになっている。
【0150】
一方、13個の電池モジュール400の第2コネクタ234は、それぞれ独立した配線で、バッテリー管理回路ユニット500に接続される。バッテリー管理回路ユニット500はこれにより、各単位電池100の電位データと、各電池モジュール400内の温度データを取得して、これに基づいて放電停止などの制御を行うようにしている。
【0151】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。他の実施形態においては、電池モジュール400の1つの電池収容室に収容する電池の構成が先の実施形態と異なるものであるので、以下この点について説明する。
【0152】
先の実施形態においては、電池モジュール400の1つの電池収容室には単位電池100が1つ収納される構成となっていたが、本実施形態においては、複数の単位電池100が互いに並列接続された組電池が、電池モジュール400の1つの電池収容室に収容されるようになっている。
【0153】
これをより具体的に説明する。
図23は本発明の他の実施形態に係る電池モジュール400を構成するための、単位電池100の並列接続からなる組電池を説明する図である。
図23の例では、2つの単位電池100を並列接続して1つの組電池を構成する場合を示しているが、3つ以上の単位電池100を並列接続して1つの組電池を構成するようにしても良い。
【0154】
図23に示す実施形態では、一方の単位電池100の正極引き出しタブ120及び負極引き出しタブ130を折り曲げて、他方の単位電池100の折り曲げていない正極引き出しタブ120及び負極引き出しタブ130に接続するようにしている。ここで、2つの単位電池100の、互いに同じ極性同士の引き出しタブが、例えば
図24に示すように溶着で接合される。これにより、
図24に示すような、単位電池100の並列接続からなる組電池を得る。
【0155】
本実施形態においては、上記のような組電池を、単位電池収容体200における第1電池収容室215、第2電池収容室216、第3電池収容室225、第4電池収容室226に収容して、先の実施形態と同様の要領で直列接続を行う。
【0156】
このような実施形態によれば、1つの電池収容室に1つの単位電池100を収容するものに比べて、より容量の大きい電池モジュール400を構成することが可能となる。
【0157】
以上、本発明に係る電池モジュールによれば、周縁隔壁部により電池モジュールの剛性を高く保てるので、薄型化が容易で信頼性を保ちやすい電池モジュールが提供できる。
【0158】
また、面内で隣接する単位電池それぞれの間に設けた区分け隔壁部により一の電池の異常発熱などが他の電池に伝播し難く保てるので、高い難燃性が確保しやすい電池モジュールが提供できる。加えて、電池搭載面の両面に設けた区分け隔壁部により電池モジュールの剛性を高く保てるので、薄型化が容易で信頼性を保ちやすい電池モジュールが提供できる。
【0159】
また、単位電池をシート厚方向に押圧するカバー体により電池要素の変形を効果的に抑制できるので、繰返し充放電性能などの電池特性を良好に保ち易い電池モジュールが提供できる。加えて、電池搭載面の両面に設けた周縁リブ部や区分け隔壁部により電池モジュールの剛性を高く保てるので、薄型化が容易で信頼性を保ちやすい電池モジュールが提供できる。
【0160】
以下、本発明の第2の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0161】
上述した本発明の第1の実施の形態に係る電池モジュール400は、単位電池100の一方の端部から正極引き出しタブ120と負極引き出しタブ130が引出されている、いわゆる片タブの単位電池を収容する。また、電池モジュール400の片面に2枚、両面で4枚の単位電池100を収容する。また、電池モジュール400のモジュール収容ラック550への挿抜は、電池モジュール400の上下に各1本設けた突状ガイド部材(250、255)をモジュール収容ラック550の凹状ガイド部材560に嵌め合わせることで実現している。
【0162】
しかし、本発明の電池モジュールは、こういった構成に限られるものでない。
【0163】
図25は本発明の第2の実施形態にかかる電池モジュール700の主要構成部分を示す斜視図と平面図である。
【0164】
図25(A)と
図25(C)は、本電池モジュール700を第1面側から見た図であり、
図25(B)と
図25(D)は、本電池モジュール700を第2面側から見た図である。
【0165】
本発明の第2の実施の形態に係る電池モジュール700は、単位電池701の一方の端部から正極引き出しタブ702が引き出され、他方の端部から負極引き出しタブ703が引き出されている、いわゆる両タブの単位電池701を収容している。
【0166】
また、電池モジュール700は、片面に4枚まで、両面に8枚までの単位電池701を収容できる。ただし、本実施例の電池モジュール700は、7枚の単位電池701を搭載する場合の構成を例示している。
【0167】
また、電池モジュール701は、上下各2本の凸状ガイド部材704を備えており、この2本の凸状ガイド部材704を、モジュール収容ラック550の凹状ガイド部材560の互いに隣り合う2本の凹状部に嵌め合わせることで、モジュール収容ラック550と挿抜することができる。
【0168】
一般に、電池モジュールは、収容する単位電池の厚さが変わると、それに合せて電池モジュール自体の厚さも変える場合が多い。しかし、上述したように、嵌め合わせに用いるガイド部材の本数を調整することで、互いに厚さの異なる電池モジュールであっても同じモジュール収容ラックに収容することができる。
【0169】
なお、第1の実施形態で詳述したとおり、本実施例の凸状ガイド部材704の幅も、電池モジュール701の上下で互いに異なるものとすることにより、モジュール収容ラック550への誤った方向での挿抜を防止することができる。
【0170】
第2の実施形態の電池モジュール700で単位電池701を直列接続する場合、
図25に示すとおり、面内で隣り合う単位電池701の正極タブ702と負極タブ703の収容方向が互いに逆になる方向に単位電池701を収容し、面内で隣合う単位電池701は、バスバー706で正極引き出しタブ702と負極引き出しタブ703を交互に接続し、第1面と第2面との接続には第1の実施形態で用いた第3バスバー273と同様の、第1面と第2面とに跨る、バスバー707で接続することで、単位電池間の配線経路長を短縮できる。
【0171】
第2の実施形態の電池モジュール700は、第1の実施形態の電池モジュール400と同様に、第1面周縁隔壁部708、第2面周縁隔壁部709、第1面区分け隔壁部710、第2面区分け隔壁部711を有する。従って、第1の実施形態の電池モジュール400と同様に、電池モジュールの剛性を高く保てるので、薄型化が容易で信頼性を保ちやすい電池モジュールが提供できる。
【0172】
また、電池モジュール701の電池収容室を遮蔽する不図示のカバー体も、第1の実施形態の第1カバー体310や第2カバー体320と同様に、不図示の電池押圧絞り加工部で単位電池701の電極積層領域705を押圧するように構成することができる。従って、第1の実施形態の電池モジュール400と同様に、電池要素の変形を効果的に抑制できるので、繰返し充放電性能などの電池特性を良好に保ち易い電池モジュールが提供できる。
【0173】
本発明は、近年、クリーンエネルギーの蓄電装置等の分野において、用途が急速に拡大しているリチウムイオン電池等の電池モジュールに係るものである。リチウムイオン二次電池は、他の電池に比べて高いエネルギー密度を有するので、安全性確保のために、特に高い難燃性が求められている。電池の難燃性は、電極材料を難燃性に優れたものにすることで高めることもできるが、単位電池を内蔵する電池モジュールの構造上の工夫によっても高い難燃性の確保ができる。本発明に係る電池モジュールによれば、組電池それぞれの周縁部外に設けた区分け隔壁部により一方の電池の異常発熱などが他方の電池に伝播し難く保てるので、容量の大きく、高い難燃性が確保しやすい電池モジュールが提供でき、産業上の利用性が非常に大きい。