(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
枠部材と、この枠部材に固定されたスライドレールと、このスライドレールに案内されて開閉移動自在となっている扉体とを含んで構成される開閉装置を組み立てるための組立施工方法であって、
前記枠部材にスライドレールを固定するためのスライドレール固定工程と、このスライドレール固定工程の後に実施される工程であって、前記枠部材を前記開閉装置の施工現場に搬入してこの施工現場で設置するための枠部材設置工程と、この枠部材設置工程の後に実施される工程であって、前記スライドレールと前記扉体とを連結するための扉体連結工程と、を含んでおり、
前記スライドレールは、前記枠部材の側のアウター部材と、前記扉体の側のインナー部材とを含んで構成されているとともに、前記インナー部材の一部は、このインナー部材よりも長い長さで前記アウター部材に前記扉体の開閉移動方向へ形成されている溝からこのアウター部材の内部に挿入されており、前記溝の全長のうち、前記インナー部材が配置されていない部分が取り外し可能の遮蔽部材により遮蔽され、前記扉体連結工程を実施する前に、前記遮蔽部材を取り外す作業を行うことを特徴とする開閉装置の組立施工方法。
請求項1に記載の開閉装置の組立施工方法において、前記遮蔽部材の取り外し作業が行われる前の前記インナー部材は、前記扉体の開閉移動方向となっている前記アウター部材の長さ方向の一方の端部の側に寄せられており、前記遮蔽部材は、前記溝の全長のうち、前記インナー部材から外れている部分を取り外し可能に遮蔽していることを特徴とする開閉装置の組立施工方法。
請求項2に記載の開閉装置の組立施工方法において、前記インナー部材は前記アウター部材の長さ方向に複数個あり、前記遮蔽部材の取り外し作業が行われる前のこれらのインナー部材は、互いに当接した直列状態となって前記アウター部材の長さ方向の前記一方の端部の側に寄せられており、前記遮蔽部材は、前記溝の全長のうち、前記複数個のインナー部材から外れている部分を取り外し可能に遮蔽していることを特徴とする開閉装置の組立施工方法。
請求項2又は3に記載の開閉装置の組立施工方法において、前記扉体連結工程を実施する前に、全開位置に達した前記扉体を内部に収納する戸袋を形成するための作業が行われ、前記アウター部材の長さ方向の前記一方の端部は、前記全開位置とは反対側の全閉位置の側の端部であることを特徴とする開閉装置の組立施工方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
枠部材やスライドレール、扉体等が搬入された引戸装置の施工現場では、スライドレールが固定される前記枠部材等の各種の枠部材を組み立てることにより、引戸装置の外枠組みを形成する作業や、スライドレールに扉体を連結する作業、さらには、扉体の開閉移動のための調整作業等の各種の作業を行わなければならない。このため、引戸装置の施工現場で行わなければならない作業は多数あり、このため、この施工現場で行う作業の効率を向上させ、作業の簡単化を図ることができるようにするために、この施工現場で行わなければならない作業を少なくすることが望まれる。
【0005】
本発明の目的は、開閉装置の施工現場で行わなければならない作業を削減でき、施工現場での作業効率の向上、作業の簡単化を図ることができる開閉装置の組立施工方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る開閉装置の組立施工方法は、枠部材と、この枠部材に固定されたスライドレールと、このスライドレールに案内されて開閉移動自在となっている扉体とを含んで構成される開閉装置を組み立てるための組立施工方法であって、前記枠部材にスライドレールを固定するスライドレール固定工程と、このスライドレール固定工程の後に実施される工程であって、前記枠部材を前記開閉装置の施工現場に搬入してこの施工現場で設置するための枠部材設置工程と、この枠部材設置工程の後に実施される工程であって、前記スライドレールと前記扉体とを連結するための扉体連結工程と、を含んでいることを特徴とするものである。
【0007】
本発明では、枠部材にスライドレールを固定するスライドレール固定工程は、開閉装置の施工現場では実施されず、この施工現場に枠部材が搬入される前に実施されるため、開閉装置の施工現場で行わなければならない作業を削減でき、これにより、施工現場での作業効率の向上、作業の簡単化を図ることができるようになる。
【0008】
なお、スライドレール固定工程は、施工現場に枠部材が搬入される前であれば任意な場所、時期に行ってよく、例えば、枠部材や扉体等が製造される工場で行ってもよい。
【0009】
本発明において、扉体の開閉移動を案内するためにアウター部材とインナー部材とを含んで構成されるスライドレールは、アウター部材が枠部材の側の部材となっていて、インナー部材が扉体の側の部材となっていてもよく、あるいは、アウター部材が扉体の側の部材となっていて、インナー部材が枠部材の側の部材となっていてもよい。
【0010】
スライドレールが、枠部材の側のアウター部材と、扉体の側のインナー部材とを含んで構成される場合には、インナー部材の一部は、このインナー部材よりも長い長さでアウター部材に扉体の開閉移動方向へ形成されている溝からこのアウター部材の内部に挿入されるため、この溝の全長のうち、インナー部材が配置されていない部分を取り外し可能の遮蔽部材により遮蔽し、前記扉体連結工程を実施する前に、この遮蔽部材を取り外す作業を行うようにすることが好ましい。
【0011】
これによると、前記扉体連結工程を実施するまで、溝の全長のうち、インナー部材が配置されていない部分は遮蔽部材により遮蔽されているため、スライドレールの内部、言い換えると、アウター部材の内部に塵埃等の異物が侵入することを防止でき、このため、前記扉体連結工程でスライドレールに扉体が連結されたときに、この扉体の円滑な開閉移動を保障することができる。
【0012】
なお、枠部材の側のアウター部材とは、枠部材に直接固定されたアウター部材でもよく、あるいは、枠部材にブラケット等の中間部材を介して間接的に固定されたアウター部材でもよいとの意味である。また、扉体の側のインナー部材とは、扉体に直接連結されたインナー部材でもよく、あるいは、扉体に連結部材等の中間部材を介して間接的に連結されたインナー部材でもよいとの意味である。
【0013】
上述したようにアウター部材の前記溝の全長のうち、インナー部材が配置されていない部分を取り外し可能の遮蔽部材により遮蔽し、前記扉体連結工程を実施する前に、この遮蔽部材を取り外す作業を行うようにする場合には、インナー部材をアウター部材の長さ方向の途中に配置し、溝の全長のうち、インナー部材の両側の部分を遮蔽部材で遮蔽するようにしてもよく、あるいは、インナー部材を、扉体の開閉移動方向となっているアウター部材の長さ方向の一方の端部の側に寄せておき、溝の全長のうち、インナー部材から外れている部分を遮蔽部材で遮蔽するようにしてもよい。
【0014】
前者によると、遮蔽部材はインナー部材の箇所で分断された複数個となるが、後者によると、遮蔽部材を分断されていない長寸の部材とすることができるため、遮蔽部材をアウター部材に取り付けて溝を遮蔽するための作業及び遮蔽部材をアウター部材から取り外すための作業を短時間で行えることになる。
【0015】
本発明において、インナー部材の個数は、1個でもよく、アウター部材の長さ方向に配置された複数個でもよい。
【0016】
インナー部材がアウター部材の長さ方向に複数個ある場合には、遮蔽部材の取り外し作業が行われる前のこれらのインナー部材を、互いに当接した直列状態にさせてアウター部材の長さ方向の一方の端部の側に寄せておき、前記溝の全長のうち、複数個のインナー部材から外れている部分を遮蔽部材で遮蔽するようにする。
【0017】
これによると、インナー部材の個数が複数個となっていても、遮蔽部材を分断されていない長寸の部材とすることができ、遮蔽部材をアウター部材に取り付けて溝を遮蔽するための作業及び遮蔽部材をアウター部材から取り外すための作業を短時間で行えることになる。
【0018】
なお、本発明において、遮蔽部材は、取り外し可能にアウター部材の溝を遮蔽することができるものであれば、任意の部材でよく、例えば、粘着剤が塗布されたテープでもよく、あるいは、溝に嵌入する突条部を有する硬質又は軟質のバー状部材でもよい。
【0019】
本発明は、全開位置に達した扉体を内部に収納する戸袋を備えている開閉装置に適用できるとともに、このような戸袋を備えていない開閉装置にも適用することができる。
【0020】
本発明を全開位置に達した扉体を内部に収納する戸袋を備えている開閉装置に適用する場合であって、前記扉体連結工程を実施する前に、戸袋を形成するための作業が行われる場合には、1個又は複数個のインナー部材を寄せておくアウター部材の長さ方向の前記一方の端部を、全開位置とは反対側の全閉位置の側の端部とすることが好ましい。
【0021】
これによると、前記枠部材設置工程の前に実施される前記スライドレール固定工程において、既に枠部材にスライドレールが固定されていても、扉体の側となっているインナー部材は、戸袋とは反対側になっているアウター部材の長さ方向の前記一方の端部に寄せられているため、アウター部材の一部が戸袋の内部に挿入されていても、この戸袋の影響を受けずに、インナー部材に扉体の側を連結する作業を容易に行うことができる。
【0022】
なお、インナー部材に扉体の側を連結する作業とは、インナー部材と扉体とを直接連結する作業でもよく、あるいは、インナー部材と扉体とを、扉体及び/又はインナー部材に取り付けられた連結部材等の中間部材を介して間接的に連結する作業でもよい。
【0023】
また、本発明において、スライドレールと扉体とを連結する前記扉体連結工程は、任意の連結構造に基づく任意の連結作業により行うことができる。
【0024】
その一例は、扉体連結工程を、スライドレールの側と扉体の側とのうち、一方に取り付けられた介在部材の係合部を他方に形成された被係合部に係合することにより実施することである。
【0025】
これによると、スライドレールと扉体とを連結する作業を、スライドレールの側と扉体の側とのうち、一方に取り付けられた介在部材の係合部を他方に形成された被係合部に係合するという簡単な作業により容易に行うことができる。
【0026】
なお、スライドレールの側とは、スライドレール自体でもよく、あるいは、スライドレールに取り付けられた部材でよい。また、扉体の側とは、扉体自体でもよく、扉体に取り付けられた部材でもよい。
【0027】
上述のように扉体連結工程を、スライドレールの側と扉体の側とのうち、一方に取り付けられた介在部材の係合部を他方に形成された被係合部に係合することにより実施する場合には、係合部を被係合部に係合するための方向を任意に設定することができる。
【0028】
その一例は、スライドレールの側と扉体の側とのうち、一方に取り付けられた介在部材の係合部を他方に形成された被係合部に係合することを、係合部を、扉体の厚さ方向の一方の側へ向かって開口している被係合部に、この一方の側から扉体の厚さ方向の他方の側へ係合することとすることである。
【0029】
これによると、扉体を、この扉体の厚さ方向に移動させるだけの簡単な作業により、係合部を被係合部に係合させることができるため、扉体連結工程を容易に実施することができる。
【0030】
なお、上述の介在部材は、被係合部に係合可能となった係合部を有していれば、任意な部品、材料によるものでよく、安価に入手できるボルトを介在部材とした場合には、このボルトの頭部を係合部とすることができる。
【0031】
前記スライドレール固定工程でスライドレールが固定される前記枠部材が、他の枠部材と共に前記開閉装置の外枠組みを形成する部材となっている場合には、スライドレールが固定された枠部材を開閉装置の施工現場に搬入してこの施工現場で設置するための前記枠部材設置工程を、スライドレール固定工程が実施された枠部材と、他の枠部材とを、開閉装置の施工現場に搬入してこの施工現場で組み合わせることにより、開閉装置の外枠組みを形成するための工程としてもよい。
【0032】
これによると、枠部材設置工程において、開閉装置の外枠組みを形成できることになるため、完成した外枠組みに予めスライドレールが配置されていることになり、これにより、スライドレールと扉体とを連結するための前記扉体連結工程を、外枠組みの完成後に直ちに又は短時間経過後に迅速に実施することが可能となる。
【0033】
また、本発明において、前記スライドレール固定工程が実施される枠部材を開閉装置の施工現場に搬入する前に、この枠部材に扉体と関連する関連手段を取り付ける作業を実施してもよい。
【0034】
これによると、スライドレール固定工程が実施される枠部材には、スライドレールと、扉体と関連する関連手段とが取り付けられ、これらの取付作業は、枠部材が開閉装置の施工現場に搬入される前に行われるため、開閉装置の施工現場で行わなければならない作業を一層削減できて、施工現場での作業効率の向上、作業の簡単化を一層有効に図ることができるようになる。
【0035】
なお、枠部材に、スライドレールと、扉体と関連する関連手段とを取り付けることは、施工現場に枠部材が搬入される前であれば任意な場所、時期に行ってよく、例えば、前記スライドレール固定工程と同じく、枠部材や扉体等が製造される工場で行ってもよい。
【0036】
すなわち、枠部材に前記関連手段を取り付ける作業を工場において行い、この枠部材を開閉装置の施工現場に搬入した後に、この施工現場において、スライドレールと扉体とを連結するための前記扉体連結工程を実施するようにしてもよい。
【0037】
また、扉体と関連する関連手段は、扉体の移動速度を低速化するためのものや、扉体の開閉移動のうち、少なくとも一方の移動を自動的に行わせるためのもの、さらには、扉体の停止位置を規定するためのもの等の任意のものでよい。
【0038】
扉体と関連する関連手段が、扉体の開閉移動のうち、少なくとも一方の移動を自動的に行わせるためのものである場合には、このための装置は、扉体が自動移動の方向とは逆方向へ手動等で移動するときに自動移動するための移動力が蓄圧されるぜんまいばね式のものでもよく、あるいは、リニアモータによるものでもよい。
【0039】
また、本発明において、扉体を開閉移動させるためのガイド手段となっているスライドレールは、水平又は略水平に前記枠部材の固定されるものでよく、あるいは、扉体が扉体自身の重量で閉じ移動できるようにするために、水平方向に対し傾斜して前記枠部材に固定されるものでもよい。
【0040】
本発明は任意の開閉装置に適用することができ、この開閉装置は、引戸装置でもよく、折れ戸装置等でもよい。また、これらの開閉装置における扉体は、上吊り式の扉体でもよい。
【0041】
また、本発明を引戸装置に適用する場合には、この引戸装置の扉体の個数は、1個でもよく、複数個でもよい。扉体の個数が複数個となっている引戸装置については、複数個の扉体の閉じ方向が同じとなっていて、これらの扉体が開閉移動方向にずれることにより、出入口等の開口部を全閉とする引戸装置でもよく、あるいは、2個の扉体の開閉移動方向が互いに逆方向となっている引き分け式のものでもよい。
【0042】
また、複数個の扉体の閉じ方向が同じとなっていて、これらの扉体が開閉移動方向にずれることにより、出入口等の開口部を全閉とする引戸装置については、これらの扉体が扉体の厚さ方向にずれて配設されている引き違い式の引戸装置でもよく、あるいは、1個の扉体の内部に別の扉体が出入り可能となっている入れ子式の引戸装置でもよい。
【0043】
また、引戸装置は、前述したように、全開位置に達した扉体を収納するための戸袋を備えていてもよく、あるいは、戸袋を備えていなくてもよい。戸袋を備えている引戸装置については、この戸袋が壁に内部に収納されている壁収納式戸袋でもよい。
【0044】
また、戸袋は、扉体の厚さ方向の両面を覆う部分を有している両面式戸袋でもよく、あるいは、扉体の厚さ方向の片面だけを覆う部分を有している片面式戸袋でもよい。
【発明の効果】
【0045】
本発明によると、開閉装置の施工現場で行わなければならない作業を削減でき、施工現場での作業効率の向上、作業の簡単化を図ることができるという効果を得られる。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る開閉装置は上吊り式の引戸装置であり、
図1には、この引戸装置の全体の正面図が示されており、この引戸装置は、建物内の部屋と廊下のように、建物の内部に設けられている二つの空間部を仕切る位置に設置されている。
【0048】
初めに、この引戸装置の構造について説明する。
【0049】
図1において、引戸装置の外枠組みは、上枠部材10と、扉体1が全閉位置に達して出入口2を閉じたときに、この扉体1の戸先側の端部である先端が当接する戸先側の縦枠部材11と、この戸先側の縦枠部材11とは扉体1の移動方向反対側に配置されている戸尻側の縦枠部材12と、これらの縦枠部材11と12の間に配置されているとともに、出入口2を開けたときの扉体1が収納される戸袋3における出入口2側の端部に配置された縦額縁部材13とにより形成され、板材の折り曲げ品であるこれらの上枠部材10と戸先側の縦枠部材11と戸尻側の縦枠部材12と縦額縁部材13は、引戸装置の外枠組みを形成する枠部材となっているとともに、これらの部材10〜13及びこれらの部材10〜13に取り付けられている部材は、開閉移動する扉体1に対して不動となっている不動部材となっており、扉体1は、これらの不動部材に対して左右方向に開閉移動自在である。
【0050】
出入口2は、上枠部材10と戸先側の縦枠部材11と縦額縁部材13と床4とで囲まれた空間であり、この出入口2は扉体1で開閉され、出入口2を開けたときの扉体1が収納される戸袋3は、壁5の内部に収納された壁収納式の戸袋である。なお、床4に沓摺り部材を上記不動部材として配置してもよい。
【0051】
上枠部材10は、戸先側の縦枠部材11から戸尻側の縦枠部材12まで延びる長さを有し、縦額縁部材13は、戸袋3及び壁5における出入口2側の見切り部材となっている。また、上枠部材10には、出入口2と対応する部分において、点検カバー14で通常時は塞がれている開口部が設けられ、点検カバー14は、戸先側の縦枠部材11と縦額縁部材13に設けられた突片部11A,13Aにビス15A,15Bにより取り付け、取り外し可能となっており、点検カバー14を取り外すことにより、上枠部材10の内部に配置されている部材や機構、装置等についてのメインテナンス作業等を行えるようになっている。
【0052】
上枠部材10の内部には、扉体1を開閉移動させるための移動機構が収納配置されており、
図2は、この移動機構を示すために
図1で示されている縦額縁部材13、点検カバー14及び壁5を省略した図であって、扉体1が全閉位置に達しているときを示しており、また、
図3は、扉体1が全開位置に達しているときを示している。
【0053】
なお、
図1に示されているように、縦額縁部材13に近い出入口2の箇所には、床4に立設された支柱の上端に回転自在に取り付けられた水平のガイドローラ6が配置されており、このガイドローラ6は、扉体1の下面に下向きに開口して扉体1の開閉移動方向へ長く形成されているガイド溝の内部に挿入され、出入口2を開閉するための扉体1の移動は、この扉体1の下部がガイドローラ6で案内されながら行われるようになっている。
【0054】
次に、扉体1を開閉移動させるために上枠部材10の内部に収納配置されている移動機構について説明する。
図4、
図5、
図6は、
図2のS4−S4線断面図、
図2のS5−S5線断面図、
図2のS6−S6線断面図である。
図4に示されているように、上枠部材10は、上面部10Aと、この上面部10Aにおける扉体1の厚さ方向の一方の端部から垂下した垂下部10Bとを有し、この垂下部10Bとは扉体1の厚さ方向の反対側は、点検カバー14によって通常時は塞がれている上枠部材10の開口部10Cとなっている。また、垂下部10Bの下側の箇所には、縦額縁部材16が扉体1の厚さ方向に縦額縁部材13と対向して設けられ、この縦額縁部材16も、引戸装置の外枠組みを形成する枠部材となっているとともに、前述の不動部材ともなっている。
【0055】
垂下部10Bには、逆L字形のブラケット17が止着具18で止着され、このブラケット17は、
図2及び
図3に示されているように、扉体1の開閉移動方向への長い長さを有している。また、扉体1には、扉体1の上部である上面において、2個の連結部材20が扉体1の開閉移動方向に並んで取り付けられ、これらの連結部材20は、
図4及び
図5に示されているように、扉体1の厚さ方向に延びる上辺部21と、扉体1の厚さ方向に延び、上辺部21と平行又は略平行となっている下辺部22と、上辺部21と下辺部22とをこれらの上辺部21及び下辺部22における上枠部材10の前記開口部10C側の端部で結合する側辺部23とからなるコ字形状又は略コ字形状となっており、下辺部22は、ボルト24により扉体1の上面に結合されている。
【0056】
また、
図4に示されているように、逆L字形となっているブラケット17の上部の水平部17Aと、連結部材20の上辺部21との間には、ガイド手段となっているスライドレール25と接続体30とが配置されており、スライドレール25は、扉体1を上枠部材10の長さ方向に沿って案内させるもので、扉体1を前述した不動部材となっているこの上枠部材10に対し開閉移動自在とするガイド手段となっている。このため、本実施形態では、ブラケット17とスライドレール25と接続体30と連結部材20は、上枠部材10と扉体1との間に配置されているとともに、スライドレール25と扉体1とを連結するために、これらのスライドレール25と扉体1との間に、接続体30と連結部材20とが介設されており、スライドレール25と扉体1は、接続体30と連結部材20とにより連結されている。
【0057】
図2及び
図3に示されているように、本実施形態のスライドレール25は、戸先側の縦枠部材11と戸尻側の縦枠部材12との間の間隔よりも少し短い長さを有している。また、本実施形態のスライドレール25は、
図4に示されているように、ブラケット17の上部の水平部17Aに止着具19で止着された上側のアウター部材26と、下側のインナー部材27と、アウター部材26の内部にボールリテーナ28で転動自在に保持されて収納された多数のボール29とを含んで構成され、アウター部材26の下向きとなっている溝26Aからアウター部材26の内部に挿入されたインナー部材27の上部27Aと、アウター部材26との間にボール29が介入されている。
【0058】
ボールリテーナ28及びボール29は、アウター部材26の長さとなっているスライドレール25の全長に渡って配置されており、インナー部材27の長さは、アウター部材26の長さよりも短くなっており、このインナー部材27は、扉体1の上面にボルト24で取り付けられている連結部材20と同じ個数である2個設けられている。
【0059】
そして、
図4に示されているように、それぞれのインナー部材27は、スライドレール25の下側に配設されている接続体30に結合具33で結合され、これらの接続体30は、接続体30の下側に配設されている連結部材20の上辺部21にボルト34で連結されている。
【0060】
以上の構成により、
図1で示されている扉体1の把持部1Aによって扉体1を開閉操作すると、アウター部材26とインナー部材27の上部27Aとの間に介入されているボール29が転動することにより、インナー部材27はアウター部材26に案内されて移動し、これにより、扉体1は、ガイド手段であるスライドレール25に案内されて上枠部材10に対し開閉移動する。
【0061】
このため、以上の説明から分かるように、本実施形態におけるアウター部材26は、前述の不動部材となっている上枠部材10側のスライドレール構成要素となっており、また、インナー部材27は、扉体1側のスライドレール構成要素となっている。
【0062】
そして、インナー部材27よりも上側に配置されているアウター部材26の内部にインナー部材27の上部27Aを挿入するためにアウター部材26に形成されている溝26Aは、下向きに開口しているため、溝26Aからアウター部材26の内部に塵埃等が侵入することを有効に防止でき、これにより、扉体1の円滑な移動を長期間に渡って保障できるようになっている。
【0063】
さらに、逆L字形状のブラケット17の上部の水平部17Aは、アウター部材26の溝26Aを上方で覆っているため、この水平部17Aの遮蔽作用によっても、溝26Aからアウター部材26の内部に塵埃等が侵入することを有効に防止できる。
【0064】
また、本実施形態では、扉体1は、この扉体1よりも上側に配設されているスライドレール25に連結部材20及び接続体30を介して連結されているため、この扉体1は、スライドレール25から吊り下げられた上吊り式の扉体となっている。
【0065】
図7には、スライドレール25と扉体1とを連結するための接続体30と連結部材20との結合構造が示されている。前述したように、スライドレール25のインナー部材27は、連結部材20と同じ個数である2個あり、それぞれのインナー部材27に接続体30が
図4の結合具33で結合されている。これらの接続体30は、扉体1の開閉移動方向に延びる2個の突片部31Aを有していて、板金の折り曲げで形成されている箱状部材31と、この箱状部材31の開口している一方の面を塞ぐための蓋部材32とを含んで構成されている。それぞれの突片部31Aは、
図4の結合具33でインナー部材27に結合されており、箱状部材31の底部31Bには、蓋部材32で塞がれる開口面から扉体1の厚さ方向へ延びていて、先端が閉じている溝31Cが形成されている。
【0066】
図4に示されているボルト34は、
図7に示されているように、頭部34Aを上向きとして連結部材20の上辺部21のねじ孔21Aに上からねじ込まれ、このねじ込みは、頭部34Aの下面と上辺部21の上面との間に、箱状部材31の底部31Bの厚さ寸法と同じ又はこの厚さ寸法よりも少し大きい隙間を確保した状態で行われる。箱状部材31の開口面を蓋部材32で塞ぐ前に、ボルト34の頭部34Aを箱状部材31の内部に挿入することにより、ボルト34の軸部を箱状部材31の底部31Bの溝31Cに挿入し、この後に、箱状部材31の開口面を蓋部材32で塞ぎ、この蓋部材32を、箱状部材31に形成されているねじ孔に螺入されるビス35によって箱状部材31に止める。
【0067】
以上により、接続体30と連結部材20とがボルト34によって連結されて、これらの接続体30と連結部材20とにより、スライドレール25と扉体1とが連結されることになり、また、扉体1は接続体30及び連結部材20を介してスライドレール25から吊り下げられることになる。
【0068】
本実施形態では、
図4から分かるように、ボルト24による連結部材20の下辺部22と扉体1との結合位置や、ボルト34による連結部材20上辺部21と接続体30との結合位置、さらには、結合具33による接続体30とスライドレール25のインナー部材27との結合位置、止着具19によるスライドレール25のアウター部材26とブラケット17の上部の水平部17Aとの結合位置は、扉体1の厚さ方向についての同じ位置又は略同じ位置となっているとともに、これらの結合位置は、扉体1の厚さ方向におけるこの扉体1の重心位置と一致又は略一致している。このため、扉体1をスライドレール25から吊り下げている連結部材20が前述したようにコ字形状又は略コ字形状となっても、扉体1を直立状態又は略直立状態とさせて開閉移動させることができる。
【0069】
図2及び
図3に示されているように、上枠部材10の内部空間には、戸先側の縦枠部材11に近い箇所において、扉体1を自動的に閉じ移動させるためのぜんまいばね式の自動閉鎖装置40が配置され、この自動閉鎖装置40は、上枠部材10の
図4で示した垂下部10Bに取り付けられている。自動閉鎖装置40からは、この自動閉鎖装置40の内部に設けられている巻取りリールに一端が連結されてこの巻取りリールに巻回されている合成樹脂製又は金属製等の紐状部材41が導出され、この紐状部材41の他端は、扉体1に2個設けられている連結部材20のうち、戸先側の連結部材20A、すなわち、扉体1の閉じ側に設けられている連結部材20Aに連結されている。巻取りリールには、自動閉鎖装置40の内部に収納されているぜんまいばねの一端が連結され、このぜんまいばねの他端は、自動閉鎖装置40の装置本体に連結されている。
【0070】
なお、自動閉鎖装置40には、ぜんまいばねのばね力の初期値を変更できるようにするためのラチェット機構42が設けられている。
【0071】
また、
図2及び
図3に示されているように、上枠部材10の内部空間には、戸尻側の縦枠部材12に近い箇所において、扉体1の全開位置を規定するための戸当り部材43が配置され、この戸当り部材43も上枠部材10の垂下部10Bに取り付けられている。
【0072】
図2に示されているように、扉体1の戸先側の端部となっている扉体1の先端が戸先側の縦枠部材11に当接していて、扉体1が前記出入口2を全閉としているときに、
図1で示す把持部1Aを握った手によって扉体1を全開位置側へ開き移動させると、自動閉鎖装置40から紐状部材41が繰り出されることにより巻取りリールが回転し、この回転によりぜんまいばねに戻しばね力が蓄圧される。そして、扉体1が戸当り部材43で規定される全開位置等に達した後に、把持部1Aから手を離すと、ぜんまいばねに蓄圧された戻しばね力により巻取りリールが逆回転して、紐状部材41は巻取りリールに巻き取られ、これにより、扉体1は、紐状部材41に作用する引っ張り力によって自動的に全閉位置まで閉じ移動する。このため、本実施形態に係る引戸装置は、自動閉鎖式の引戸装置になっている。
【0073】
また、上枠部材10の内部空間には、
図2及び
図3に示されているように、シリンダ式の制動装置50が、ピストンロッド51を戸尻側の縦枠部材12に向けて配置され、ピストンロッド51の先端にはマグネット51Aが設けられている。本実施形態における扉体1の開閉移動と関連する関連手段となっているこの制動装置50は、
図4に示されているように、上枠部材10の垂下部10Bに結合具53で結合された取付部材54にブラケット55を介して取り付けられている。取付部材54は、アルミ製又はアルミ合金製の押し出し成形品又は引き抜き成形品であり、このため、同じ断面形状が長さ方向に連続しており、取付部材54は、長さ方向が扉体1の開閉移動方向となって上枠部材10の垂下部10Bに結合具53で結合されている。ブラケット55の取付部材54への止着は、ブラケット55の孔に挿入したビス等の止着具56を、取付部材54の溝54Aに回り止め状態で挿入された板ナット57に螺入させることにより行われている。
【0074】
図2及び
図3に示されているように、扉体1に2個設けられている連結部材20のうち、戸尻側の連結部材20B、すなわち、扉体1の開き側に設けられている連結部材20Bには、受圧部材58が取り付けられている。扉体1が
図2で示す全閉位置に達しているときに、受圧部材58の戸先側の先端部58Aに、制動装置50のピストンロッド51のマグネット51Aが磁力で吸着している。扉体1を上述したように開き移動させると、
図3に示されているように、ピストンロッド51は伸び作動し、ピストンロッド51の伸び作動の限度を越えて扉体1が開き移動すると、受圧部材58がマグネット51Aから分離して扉体1はさらに開き移動する。また、扉体1が自動閉鎖装置40の自動閉鎖力により閉じ移動すると、その途中において受圧部材58の戸先側の先端部58Aにマグネット51Aが当接するため、扉体1がさらに閉じ移動を継続することにより、受圧部材58の先端部58Aからの荷重を受けるピストンロッド51は縮み作動を開始し、制動装置50には、このときにシリンダ式の制動装置50の内部の空気を絞りながら排出するバルブが設けられているため、扉体1は、このバルブの絞り作用による制動力を受けることにより、閉じ移動速度を低下させて自動閉鎖装置40により全閉位置まで自動移動する。
【0075】
なお、上記バルブは、ピストンロッド51が伸び作動するときには、空気を絞らずにシリンダ式の制動装置50の内部に流入させるタイプのものであるため、全閉位置等からの扉体1の開き移動を、自動閉鎖装置40のぜんまいばねに戻しばね力を蓄圧させるだけの小さな力によって行える。
【0076】
また、以上のように全閉位置へ向かって閉じ移動しているときの扉体1の移動速度を低下させるための装置は、上記シリンダ式の制動装置50に限定されず、例えば、扉体1と上枠部材10とのうちの一方に取り付けられたラック部材と、他方に取り付けられ、このラック部材に噛合するピニオン部材を有するロータリー式のダンパー装置とを含んで構成され、扉体の全閉位置へ向かう閉じ移動によってピニオン部材がラック部材で回転することにより、ロータリー式のダンパー装置の内部に充填されている粘状物質等によって制動力が生ずるものでもよい。
【0077】
図7には、扉体1の戸尻側の連結部材20Bに取り付けられている受圧部材58が示されている。この受圧部材58は板金の折り曲げ品であって、上述した戸先側の先端部58Aと、戸尻側の後端部58Bと、これらの先端部58Aと後端部58Bとを連結している基部58Cとを有する。この基部58Cは、複数の結合具59により連結部材20Bの前記側辺部23に結合され、先端部58Aと後端部58Bは、基部58Cからの折り曲げによって扉体1の厚さ方向へ突出している。また、先端部58Aは、後端部58Bと同様に鉛直又は略鉛直の面を有する中央部58Dと、この中央部58Dの上下辺部から斜めに扉体1の閉じ方向へ突出している上片部58E及び下片部58Fとからなる。上片部58Eは、中央部58Dの上辺部から斜め上向きに扉体1の閉じ方向へ突出し、下片部58Fは、中央部58Dの下辺部から斜め下向きに扉体1の閉じ方向へ突出している。
【0078】
制動装置50のピストンロッド51の先端に設けられているマグネット51Aが受圧部材58の先端部58Aに磁力で吸着するときは、この先端部58Aのうち、中央部58Dの下部の箇所に吸着し、このような吸着箇所は、
図2のS5−S5線断面図である
図5に示されている。
【0079】
ピストンロッド51は、制動装置50の本体に片持ち状態で摺動自在に支持されており、このため、扉体1が全閉位置から開き移動してピストンロッド51が伸び作動すると、ピストンロッド51の先端のマグネット51Aの位置は、ピストンロッド51自身及びマグネット51A自身の重量により少しずつ下側へ下がることになり、この下がり量は、ピストンロッド51の伸び作動限で最大となってしまう。このため、扉体1が全開位置等から閉じ移動し、この閉じ移動の途中において、マグネット51Aが受圧部材58の先端部58Aに当接するときには、この当接が、マグネット51Aの一部が下片部58Fに当って行われることになり、この下片部58Fは、中央部58Dの下辺部から斜め下向きに扉体1の閉じ方向へ突出しているため、ピストンロッド51の先端のマグネット51Aの位置が下側へ下がっていても、扉体1の閉じ移動によってピストンロッド51が縮み作動するときに、下片部58Fの押し上げ作用によってマグネット51Aが上側へ押し上げられながら、ピストンロッド51は縮み作動することになる。
【0080】
このため、ピストンロッド51が制動装置50に片持ち状態で摺動自在に支持されていても、このピストンロッド51を円滑に縮み作動させることができる。
【0081】
また、本実施形態では、
図7で示す受圧部材58の後端部58Bが
図2及び
図3示した戸当り部材43に当接したときに、扉体1はそれ以上開き側へ移動することができないようになっている。このため、本実施形態に係る受圧部材58は、扉体1の全開位置、言い換えると、開き移動限を規定するための開き移動限規定手段の一部を構成するものとなっており、戸当り部材43が、この開き移動限規定手段における前述の不動部材である上枠部材10側の部材となっているとともに、受圧部材58は、開き移動限規定手段における扉体1側の部材となっている。
【0082】
さらに、本実施形態の受圧部材58の先端部58Aは、前述したように、中央部58Dと、この中央部58Dの上下辺部から斜めに扉体1の閉じ方向へ突出している上片部58E及び下片部58Fとが設けられたものとなっており、上片部58Eは、中央部58Dの上辺部から斜め上向きに扉体1の閉じ方向へ突出し、下片部58Fは、中央部58Dの下辺部から斜め下向きに扉体1の閉じ方向へ突出しているため、受圧部材58の先端部58Aは、基部58Cの上下の中央部を通る水平線に対して上下対称の形状となっている。また、受圧部材58の後端部58Bも、基部58Cの上下の中央部を通る水平線に対して上下対称の形状となっている。
【0083】
このため、この受圧部材58は、本実施形態に係る引戸装置に対して左右勝手違いとなっている引戸装置の扉体に、上下を逆としかつ左右を逆とすることにより用いることができるようになっており、このため、受圧部材58を、これらの引戸装置の扉体に共通して使用することができる。また、本実施形態に係る引戸装置の扉体1と、この引戸装置に対して左右勝手違いとなっている引戸装置の扉体とが引き分け式に配置されている引戸装置においても、受圧部材58をそれぞれの扉体に共通して使用することができる。
【0084】
さらに、本実施形態に係る引戸装置には、
図2及び
図3に示されているように、扉体1を全開位置で停止させておくための全開位置停止装置60も設けられている。本実施形態における扉体1の開閉移動と関連する関連手段となっているこの全開位置停止装置60は、扉体1に配置された扉体1側の手段61と、不動部材である上枠部材10に配置された上枠部材10側の手段62とからなる。全開位置停止装置60を構成するこれらの手段61と62のうち、扉体1側の手段61の拡大図は、
図8に示され、上枠部材10側の手段62の拡大図は、
図9及び
図10に示されている。
【0085】
図8に示されているように、全開位置停止装置60の扉体1側の手段61は、扉体1に2個設けられている連結部材20のうち、戸先側の連結部材20Aの側辺部23に2個のビス63,64で結合され、先端部が連結部材20Aから扉体1の閉じ側へ突出しているとともに、扉体1の開閉移動方向へ延びる長さを有しているアーム部材65と、
図4に示されているように、このアーム部材65の先端部に結合具66で回転不能に結合された芯部材67の外周に回転自在に配置されている筒状の回転部材68とを含んで構成されており、全開位置停止装置60における被係止部材となっているこの筒状の回転部材68は、扉体1の厚さ方向へ水平又は略水平に延びる長さを有している。
図8で示す2個のビス63,64が挿入されているアーム部材65の2個の孔のうち、回転部材68とは反対側のアーム部材65の後端部の側に形成されていて、ビス64が挿入されている孔65Aは、上下に長い長孔となっている。
【0086】
このため、ビス63及び64を緩めることにより、アーム部材65をビス63を支点として上下に揺動させることができ、この揺動により、回転部材68の高さ位置が上下に調整され、この後にビス63と64を締め付けることにより、回転部材68の高さ位置をその位置に固定した状態にできる。なお、回転部材68の上下調整距離はそれほど大きくないため、上下に長い長孔65Aは、ビス63を挿入するためにアーム部材65に形成されている丸孔を中心とする円弧状の長孔でもよく、あるいは、直線的に上下に長い長孔でもよい。
【0087】
全開位置停止装置60を構成する前記手段61と62のうち、上枠部材10側の手段62は、
図2〜
図4で示した制動装置50を上枠部材10に取り付けるために用いられている前記取付部材54を利用して上枠部材10に取り付けられている。すなわち、この手段62は、
図9及び
図10に示されているように、取付部材54における扉体1の開き側の端部又はこの端部の近くに複数の止着具70で止着されたベース部材71と、このベース部材71に複数のビス72で取り付け、取り外し自在に取り付けられ、全開位置停止装置60における係止部材となっている板ばね73とを含んで構成されている。
図2のS6−S6線断面図である
図6から分かるように、ベース部材71は板金の折り曲げ品であって、上面部71Aと、この上面部71Aにおける扉体1の厚さ方向の一方の端部から垂下した垂下部71Bとからなる。
図9及び
図10に示されているように、垂下部71Bは、扉体1の開閉移動方向に連続した長さを有しているが、上面部71Aは、垂下部71Bの全長に渡って設けられておらず、垂下部71Bにおける扉体1の開き側の箇所に設けられている。
【0088】
図6に示されているように、止着具70によるベース部材71の取付部材54への止着は、
図4で説明した止着具56による制動装置50のブラケット55の取付部材54への止着と同様に、ベース部材71の垂下部71Bの孔に挿入した止着具70を、取付部材54の溝54Bに回り止め状態で挿入された板ナット74に螺入させることにより行われる。
図9及び
図10に示されているように、ベース部材71の垂下部71Bの上部には、取付部材54側へ突出した突出部71Cが形成されており、この突出部71Cは、垂下部71Bにおける取付部材54側とは反対側の面に窪み部71Dを形成する押し出し加工を行うことによって設けられており、垂下部71Bを取付部材54に止着具70と板ナット74により止着する際に、突出部71Cは、上枠部材10に結合具53で結合されているためにこの上枠部材10と同じく前述の不動部材となっている取付部材54の上面54Cに当接、係止した状態で載せられる。そして、突出部71Cが設けられている位置は、止着具70によって行われるベース部材71の取付部材54への止着位置よりも扉体1の開き移動側の位置となっている。
【0089】
なお、ベース部材71の垂下部71Bの上下寸法を長くすることにより、止着具70が螺入される板ナット74を、制動装置50のブラケット55を取付部材54に止着するために
図4の板ナット57を挿入した取付部材54の溝54Aに挿入してもよい。すなわち、板ナット57を挿入する溝と、板ナット74を挿入する溝とを、取付部材54の同じ溝としてもよい。これにより、取付部材54に設ける溝を1個としてもよい。
【0090】
また、
図9に示されているように、ベース部材71への板ばね73の取り付けは、板ばね73における扉体1の開き側の箇所をベース部材71の上面部71Aに複数のビス72で水平又は略水平に結合することにより行われ、弾性部材である板ばね73における扉体1の閉じ側の箇所には、折り曲げ加工により上方へ山形で突出した突起部73Aが形成されている。
【0091】
扉体1が
図2で示されている全閉位置等に達しているときに、把持部1Aにより扉体1を開き移動させると、扉体1が全開位置の近くに達したときに、全開位置停止装置60の被係止部材となっている前述の回転部材68が全開位置停止装置60の係止部材となって板ばね73の突起部73Aに当接し、さらに扉体1を開き移動させると、板ばね73が、この板ばね73の上側に配設されている回転部材68からの押圧力によって下側へ弾性的に撓み変形して、回転部材68は突起部73Aを通過する。この通過後に、板ばね73は弾性復元力により上方へ弾性復帰し、回転部材68は板ばね73の突起部73Aに係止される。
【0092】
このときには、
図3で示されているように、扉体1の連結部材20Bに取り付けられている受圧部材58の後端部58Bが前述の戸当り部材43に当接しているため、扉体1は全開位置に達しており、このため、扉体1は、全開位置停止装置60の被係止部材である回転部材68が係止部材となっている板ばね73の突起部73Aに係止することにより、全開位置に停止する。すなわち、このときには、板ばね73に対し上下方向に対向している
図9の二点鎖線で示す回転部材68が、板ばね73の突起部73Aにおける扉体1の開き側の傾斜面に当接しており、板ばね73の弾性力に基づき回転部材68と板ばね73との間で生ずる弾性係止力により、扉体1は全開位置に停止することになる。
【0093】
この後に、把持部1Aにより扉体1を閉じ移動させると、回転部材68が板ばね73を下側へ弾性的に撓み変形させて突起部73Aを通過するため、扉体1を全閉位置から全開位置側へ移動させることができる。
【0094】
本実施形態に係る全開位置停止装置60は以上のように構成されており、そして、この全開位置停止装置60における上枠部材10側の手段62を構成しているベース部材71を本実施形態の不動部材となっている取付部材54に止着している止着具70が配置されている箇所は、
図1で示した出入口2の範囲内と対応する箇所であって、
図1で示した上枠部材10から点検カバー14を取り外すことによって外部に露出する箇所となっている。このため、止着具70によってベース部材71を取付部材54に止着する作業を、縦額縁部材13が出入口2側の見切り材となっている前記戸袋3及び壁5を形成した後でも、点検カバー14を取り外すことにより、容易に行えるようになっている。
【0095】
また、本実施形態では、板ばね73における扉体1の開き側の箇所が複数のビス72で結合されているベース部材71の部分は、すなわち、前述したベース部材71の上面部71Aは、
図9に示されているように、取付部材54における扉体1の開き側の端部から外れた部分となっており、この外れた部分となっている上面部71Aにおいて、板ばね73は複数のビス72によりベース部材71に結合されているため、前述したように扉体1が全閉位置等から全開位置側へ開き移動して回転部材68が板ばね73の突起部73Aを通過する際や、この通過後に回転部材68が突起部73Aに係止した際に、回転部材68から板ばね73に作用する押し下げ力により、ベース部材71には、このベース部材71を取付部材54に止着している止着具70の箇所を中心にベース部材71を
図9において時計方向へ回動させようとする荷重が作用することになる。
【0096】
しかし、ベース部材71には、前述したように、取付部材54の上面54Cに当接、係止状態で載っている突出部71Cが設けられており、この突出部71Cが設けられている位置は、止着具70によるベース部材71の取付部材54への止着箇所よりも扉体1の開き側の位置となっているため、ベース部材71を
図9において時計方向へ回動させようとする荷重は、突出部71Cによって支持されることになり、したがって、例えば、
図6で示した板ナット74と取付部材54の溝54Bとの間に上下の隙間等が存在していても、ベース部材71が
図9において時計方向へ回動することは、突出部71Cで阻止されることになる。
【0097】
すなわち、本実施形態では、この突出部71Cが、回転部材68と板ばね73との間で作用する前記弾性係止力によりベース部材71が取付部材54に取り付けられた箇所を中心に回動することを阻止するための回動阻止部となっており、ベース部材71が
図9において時計方向へ回動することは阻止されるため、扉体1を全開位置で停止させておくための上述の弾性係止力を所定の大きさに維持することができる。
【0098】
また、前述したように、ベース部材71を取り付けるための不動部材となっている取付部材54は、扉体1を開閉移動させるための移動機構が内部に収納された枠部材となっている上枠部材10に結合具53で結合されているとともに、
図3及び
図9から分かるように、取付部材54は、扉体1で開閉される前述の出入口2と対応する範囲内だけに配置されており、この取付部材54における扉体1の開き側の端部は、前述した縦額縁部材13における扉体1の閉じ側の側面13Bの位置と同じ位置、又はこの側面13Bの位置に対し扉体1の開閉移動方向へ少しずれた位置まで達しているが、取付部材54における扉体1の開き側の端部は、縦額縁部材13の側面13Bから
図1で示した戸袋3の内部の奥深い箇所まで達していない。
【0099】
このため、扉体1の開閉移動方向に長い長寸部材となっている取付部材54が配設されている範囲は、
図1で示した出入口2と対応する範囲であって、
図1で示した上枠部材10から点検カバー14を取り外すことによって外部に露出する範囲となっている。このため、取付部材54が複数の結合具53で上枠部材10に結合されている箇所も、上枠部材10から点検カバー14を取り外すことによって外部に露出する箇所となっており、これにより、戸袋3及び壁5を形成した後でも、点検カバー14を取り外すことにより、取付部材54を結合具53で上枠部材10に結合する作業を容易に行える。
【0100】
さらに、扉体1を全開位置に停止させておくために回転部材68が係止する板ばね73の突起部73Aが設けられている箇所も、出入口2の範囲内と対応する箇所であって、上枠部材10から点検カバー14を取り外すことによって外部に露出する箇所であり、この箇所は、
図1で示した戸袋3から外れた箇所となっているため、回転部材68が板ばね73の突起部73Aに係止している状態を、点検カバー14を取り外すことにより、容易に確認することができる。
【0101】
また、ベース部材71が
図9において時計方向へ回動することを阻止するための前述の回動阻止部は、ベース部材71に形成されていて、取付部材54に当接する突出部71Cとなっているため、この回動阻止部を簡単な構造で容易に形成することができる。
【0102】
また、突出部71Cは、この突出部71Cが設けられるベース部材71を押し出し加工し、この押し出し加工によって押し出された部分としているため、突出部71Cを、押し出し加工により容易に形成することができる。
【0103】
また、
図9に示されているように、本実施形態に係るベース部材71には、板ばね73をビス72で結合するための前述した上面部71Aと同様の上面部71A’が、ベース部材71の垂下部71Bにおける扉体1の閉じ側の箇所に設けられている。これらの上面部71Aと71A’は、ベース部材71における扉体1の開閉移動方向の中央位置に対し左右対称に形成されており、また、突出部71Cは、ベース部材71における扉体1の開閉移動方向の中央位置と一致する位置に設けられている。そして、止着具70によりベース部材71の垂下部71Bを取付部材54に止着することは、上面部71A’の下側だけではなく、上面部71Aの下側でも行えるようになっている
これを言い換えると、ベース部材71は、取付部材54に、ベース部材71における扉体1の開閉移動方向における互いに対称位置関係となっている箇所で取り付け可能となっており、また、板ばね73は、ベース部材71における扉体1の開閉移動方向における互いに対称位置関係となっている箇所で、扉体1の開閉移動方向の向きを逆にして取り付け可能となっている。
【0104】
このため、板ばね73の突起部73Aを扉体1の閉じ側へ向け、ベース部材71における板ばね73の結合箇所を上面部71A’とすることにより、ベース部材71及び板ばね73を、本実施形態に係る引戸装置に対して左右勝手違いとなっている引戸装置にも共通して用いることができ、また、本実施形態に係る引戸装置の扉体1と、この引戸装置に対して左右勝手違いとなっている引戸装置の扉体とが引き分け式に配置されている引戸装置にも、ベース部材71及び板ばね73を、これらの扉体を全開位置で停止させるための共通の部材として使用することができる。
【0105】
そして、本実施形態に係る引戸装置に対して左右勝手違いとなっている引戸装置等に本実施形態に係るベース部材71を直ちに用いることができるようにするために、このベース部材71の垂下部71Bには、止着具70を挿入するための孔71Eが、上面部71Aの下側においても、予め形成されており、また、上面部71A’にも、ビス72を螺入するためのねじ孔71Fが予め形成されている。
【0106】
また、本実施形態の全開位置停止装置60における扉体1側の手段61を構成している回転部材68は、
図8で説明したように、ビス63を支点として上下に揺動可能となっているアーム部材65の先端部に取り付けられているため、この回転部材68の高さ位置は、上下方向に調整可能となっている。この調整方向は、扉体1を全開位置で停止させておくために、回転部材68が、全開位置停止装置60における扉体1側の手段61を構成している板ばね73の突起部73Aに係止したときに、回転部材68と板ばね73との間で作用する前記弾性係止力を調整することができる方向となっている。このため、前述したように
図8で示されている2個のビス63,64を緩めてアーム部材65をビス63を中心に揺動させ、回転部材68の高さ位置を上下に調整することにより、この回転部材68の位置が板ばね73に対して調整され、これにより、扉体1が全開位置に達しているときにおける板ばね73の突起部73Aへの回転部材68の係止力、言い換えると、扉体1についての全開位置停止力を調節することができる。
【0107】
そして、このような調整作業によって適切な全開位置停止力を得られたか否かについての確認作業は、前述したように、扉体1を全開位置に停止させておくために回転部材68が係止する板ばね73の突起部73Aが設けられている箇所が、出入口2の範囲内と対応する箇所であって、上枠部材10から点検カバー14を取り外すことによって外部に露出する箇所であるため、点検カバー14を取り外すことにより、又は点検カバー14を取り外しているときに、回転部材68の位置を上下に調整する作業を行って、扉体1を全開位置まで開き移動させることにより、容易に実施することができる。
【0108】
なお、全開位置停止力を得られたか否かの確認作業を行った後に、扉体1を閉じ側へ移動させた後に、回転部材68の高さ位置を調整するための上述の作業を行ってもよい。
【0109】
以上説明した本実施形態では、扉体1と、この扉体1を開閉移動自在に案内し、不動部材である上枠部材10にブラケット17で取り付けられたスライドレール25とが、連結部材20を介して連結されており、この連結部材20は、前述した
図4及び
図5に示されているように、扉体1の厚さ方向に延びる上辺部21と、扉体1の厚さ方向に延び、上辺部21と平行又は略平行となっている下辺部22と、上辺部21と下辺部22とをこれらの上辺部21及び下辺部22における上枠部材10の前記開口部10C側の端部で結合する側辺部23とからなるコ字形状又は略コ字形状となっている。そして、上枠部材10の垂下部10Bに取付部材54を介して取り付けられている
図4の前記制動装置50、及び同じく上枠部材10の垂下部10Bに取付部材54を介して取り付けられている
図6の全開位置停止装置60の上枠部材10側の手段62は、連結部材20の側辺部23と対応する高さ位置に配置され、また、扉体1の開閉移動と関連する関連手段となっているこれらの制動装置50及び全開位置停止装置60の上枠部材10側の手段62は、
図4及び
図6に示されているように、連結部材20側に突出しているとともに、この突出方向は、上枠部材10の開口部10C側となっている。
【0110】
本実施形態では、連結部材20の側辺部23は、上辺部21におけるスライドレール25の結合箇所及び下辺部22における扉体1の結合箇所から扉体1の厚さ方向へずれているずれ部となっており、このずれ部のずれ方向は、制動装置50及び全開位置停止装置60の上枠部材10側の手段62の上述した突出方向と同じ方向となっている上枠部材10の開口部10C側となっているため、扉体1が開閉移動するときに、連結部材20が、これらの制動装置50及び全開位置停止装置60の上枠部材10側の手段62と干渉することがなく、この干渉の発生を防止して扉体1を開閉移動させることができる。
【0111】
また、本実施形態では、それぞれが扉体1の開閉移動と関連する関連手段となっている制動装置50及び全開位置停止装置60の上枠部材10側の手段62は、
図2及び
図3に示されているように、扉体1の開閉移動方向にずれて上枠部材10の垂下部10Bに取付部材54を介して取り付けられているため、連結部材20がこれらの制動装置50及び全開位置停止装置60の上枠部材10側の手段62と干渉することなく、扉体1は開閉移動することになる。
【0112】
また、
図4に示されているように、前述した2個の連結部材20のうち、扉体1の閉じ側に設けられている連結部材20Aの側辺部23には、全開位置停止装置60の扉体1側の手段61を構成する回転部材68が、この側辺部23の上述のずれ方向とは反対側への側辺部23からの突出量を有する突出部となって配置されている。しかし、この回転部材68が配置されている高さ位置は、上枠部材10の垂下部10Bに取付部材54を介して取り付けられた制動装置50の高さ位置に対して上下にずれているため、扉体1の厚さ方向におけるこれらの回転部材68の配置箇所と制動装置50の配置箇所とが互いに重なる箇所となっていても、これらの回転部材68と制動装置50とを干渉させることなく、扉体1を開閉移動させることができる。
【0113】
さらに、
図6に示されているように、2個の連結部材20のうち、扉体1の開き側に設けられている連結部材20Bの側辺部23には、前述したように、制動装置50と協働して扉体1の閉じ移動速度を低下させるための受圧部材58の先端部58Aが、この側辺部23の上述のずれ方向とは反対側への側辺部23からの突出量を有する突出部となって配置されているが、側辺部23のずれ量は、受圧部材58の先端部58Aと、全開位置停止装置60の上枠部材10側の手段62とが干渉しない大きさとなっているため、受圧部材58の先端部58Aの高さ位置と、全開位置停止装置60の上枠部材10側の手段62の高さ位置とが、互いに重なる高さ位置となっていても、これらの受圧部材58の先端部58Aと全開位置停止装置60の上枠部材10側の手段62とを干渉させることなく、扉体1を開閉移動させることができる。
【0114】
次に、以上説明した本実施形態の引戸装置についての組立施工方法について述べる。
【0115】
この引戸装置の前記外枠組みを形成するための部材となっている上枠部材10や、戸先側の縦枠部材11、戸尻側の縦枠部材12、さらには、縦額縁部材13,16は、工場で生産され、また、扉体1等も工場で生産される。
【0116】
また、工場では、
図11に示されているように、スライドレール25の2個のインナー部材27をアウター部材26の長さ方向の一方の端部に寄せることと、スライドレール25の全長、言い換えるとアウター部材26の全長に渡ってこのアウター部材26に形成されている溝26Aの全長のうち、インナー部材27が配置されていない部分をマスキングテープ80で遮蔽することとが行われる。すなわち、本実施形態におけるインナー部材27は、扉体1に2個設けられている連結部材20と対応して2個あるため、
図11に示されているように、両端にエンドキャップ81,82が取り付けられているアウター部材26の長さ方向の一方の端部に、2個のインナー部材27を互いに当接させた直列状態にさせて寄せて配置し、この後に、溝26Aの全長のうち、2個のインナー部材27が配置されていない部分をマスキングテープ80で遮蔽する。このマスキングテープ80は、片面に塗布されている粘着剤でアウター部材26に取り外し可能に付着される遮蔽部材となっている。
【0117】
なお、2個のインナー部材27が互いに当接した直列状態となって寄せられて配置されるアウター部材26の一方の端部とは、すなわち、2個のエンドキャップ81,82のうち、エンドキャップ81が配置されている側の端部とは、
図1〜
図3等で示されている扉体1の閉じ側の端部である。
【0118】
また、溝26Aの全長のうち、2個のインナー部材27が配置されていない部分をマスキングテープ80で遮蔽する前に、
図11に示されているように、スライドレール25のアウター部材26を、
図4で説明した逆L字形となっているブラケット17の上部の水平部17Aに止着具19で止着しておく。さらに、マスキングテープ80により遮蔽作業を行う前、又はこの遮蔽作業を行った後に、それぞれのインナー部材27に、扉体1の2個の連結部材20ごとに設けられている接続体30の箱状部材31の突片部31Aを結合具33で結合することと、箱状部材31の開口面に蓋部材32を配置しておくこととを行っておく。
【0119】
そして、前記工場では、上枠部材10の垂下部10Bに逆L字形のブラケット17を
図4で示した止着具18で止着する作業が行われ、また、これ以外の作業も工場で行われる。この作業には、
図2及び
図3で説明した自動閉鎖装置40や戸当り部材43を上枠部材10の垂下部10Bに取り付ける作業が含まれる。
【0120】
以上のそれぞれ作業を行った後に、上枠部材10、戸先側の縦枠部材11、戸尻側の縦枠部材12、縦額縁部材13,16、扉体1等を、引戸装置が設置される施工現場に搬入し、この施工現場において、予め工場でスライドレール25が固定された上枠部材10や、戸先側の縦枠部材11、戸尻側の縦枠部材12、縦額縁部材13,16の設置作業を行うとともに、これらの上枠部材10と戸先側の縦枠部材11と戸尻側の縦枠部材12と縦額縁部材13,16とを組み合わせることにより、この施工現場において引戸装置の外枠組みを形成する作業を行う。
【0121】
また、この施工現場では、
図1で示した壁5を形成する作業も行われ、この壁5を形成する作業は、施工現場で設置される壁用下地材に複数枚の壁ボードを張り付ける作業により行われ、壁5が形成されることにより、この壁5の内部に、全開位置に達した扉体1を収納するための前記戸袋3が形成されることになる。
【0122】
このように壁5の内部に戸袋3が形成されることにより、この戸袋3の内部に、上枠部材10の略半分となっている上枠部材10における扉体1の開き側の長さ部分が収納されることになり、この長さ部分にも、扉体1を全開位置まで案内するためのスライドレール25を配置しなければならないが、本実施形態では、戸袋3及び壁5を形成する作業が行われる施工現場に上枠部材10が搬入される前に、この上枠部材10には、予め工場において、スライドレール25がブラケット17を介して固定されているため、戸袋3及び壁5の施工作業に影響されることなく、上枠部材10にスライドレール25を配置できることになる。
【0123】
また、施工現場では、上枠部材10から点検カバー14を取り外すことにより開口する上枠部材10の
図4で示した開口部10Cからの作業により、上枠部材10の垂下部10Bに取付部材54を結合具53で結合する作業と、上枠部材10に制動装置50を取り付けるために、取付部材54に制動装置50のブラケット55を止着具56及び板ナット57で止着するための作業と、取付部材54に、
図9及び
図10で説明した全開位置停止装置60の上枠部材10側の手段62を構成していて、板ばね73が取り付けられているベース部材71を、止着具70及び板ナット74により止着するための作業とが行われる。なお、これらの作業は、前述の工場において予め実施しておいてもよい。
【0124】
さらに、扉体1にボルト24で取り付けられた2個の連結部材20のうち、連結部材20Aに、全開位置停止装置60の扉体1側の手段61を構成する
図8のアーム部材65をビス63,64で取り付ける作業や、連結部材20Bに、受圧部材58を
図7の結合具59で結合する作業は、工場で予め行ってもよく、あるいは、引戸装置の施工現場で行ってもよい。
【0125】
以上の作業の終了後に、引戸装置の施工現場において、引戸装置の外枠組みを形成する枠部材となっている上枠部材10に固定されたスライドレール25に扉体1を連結する作業を行う。この作業を行うときには、
図11で示したそれぞれの接続体30の箱状部材31から蓋部材32を取り外しておく。
【0126】
図12には、スライドレール25に扉体1を連結するための作業が示されている。この作業を行うときには、上枠部材10から点検カバー14を取り外すことにより開口する上枠部材10の開口部10Cからの作業により、初めに、スライドレール25のアウター部材26から前述の
図11で示したマスキングテープ80を取り外す作業を行い、次いで、スライドレール25の2個のインナー部材27を、
図11で示されているエンドキャップ81の側からエンドキャップ82の側に近づく方向へ移動させる。なお、マスキングテープ80がアウター部材26に取り付けられている箇所は、それぞれのインナー部材27が配置されていない箇所であって、マスキングテープ80の長い部分は戸袋3の内部に収納された状態となっているが、マスキングテープ80における扉体1の閉じ側の端部は、上枠部材10から点検カバー14を取り外すことにより外部に露出する箇所となっているため、スライドレール25のアウター部材26からマスキングテープ80を取り外す作業は、作業者がマスキングテープ80における扉体1の閉じ側の端部を把持して、この端部を下側へ引っ張ることにより、マスキングテープ80の全長をアウター部材26から剥離することができる。
【0127】
このようにマスキングテープ80をスライドレール25から取り外す作業を行った後に、
図12に示されているように、扉体1を両手で持った作業者が、扉体1の姿勢を、この扉体1の上部を上枠部材10の開口部10C側に傾けることによって直立姿勢から傾斜させた姿勢としながら、扉体1の戸尻側の端部を戸袋3の内部へ少し挿入して、扉体1の下面に形成されている前記溝に
図1のガイドローラ6を挿入する。
【0128】
そして、作業者は、スライドレール25のそれぞれのインナー部材27及びこれらのインナー部材27に結合されたそれぞれの接続体30の位置を、扉体2のそれぞれの連結部材20の位置と一致させ、次いで、扉体1を両手で持った作業者が、扉体1の上部を上枠部材10の開口部10Cとは反対側へ移動させることにより、すなわち、扉体1の全体としては、扉体1をこの扉体1の厚さ方向であるスライドレール25が配置されている側へ移動させることにより、扉体1を直立姿勢とする。このように扉体1を直立姿勢とするときに、扉体1のそれぞれの連結部材20の上辺部21に取り付けられているボルト34の頭部34Aを、それぞれの接続体30の箱状部材31の内部に挿入して、ボルト34の軸部をこの箱状部材31の底部31Bに形成されている溝31C(
図7も参照)に挿入する。
【0129】
これにより、ボルト34の頭部が係合部となり、箱状部材31の底部31Bの溝31Cが、この係合部が係合する被係合部となって、スライドレール25と扉体1は、接続体30と、連結部材20と、この連結部材20に取り付けられているボルト34とを介して連結されることになり、ボルト34は、スライドレール25と扉体1との間に介在された介在部材となる。
【0130】
以上のようにしてスライドレール25と扉体1とを連結した後に、接続体30の箱状部材31の開口面に
図7で示されている蓋部材32をビス35で取り付ける。これにより、ボルト34が自由回転することが、ボルト34の頭部34Aが蓋部材32に当接することにより防止され、このため、ボルト34が自由回転することにより生ずるスライドレール25に対する扉体1の高さ位置の変化の発生をなくすことができる。
【0131】
以上の作業を行った後に、上枠部材10に取り付けられている自動閉鎖装置40の紐状部材41の端部を扉体1の連結部材20Aに連結する作業や、上枠部材10の開口部10Cを点検カバー14で塞ぐなどの残余の作業を行う。
【0132】
以上により、引戸装置を施工現場に組立設置する作業が終了し、扉体1は、スライドレール25に案内されて開閉移動することなる。
【0133】
以上説明した本実施形態の引戸装置の組立施工方法は、枠部材である上枠部材10にスライドレール25を固定するためのスライドレール固定工程と、このスライドレール固定工程の後に実施される工程であって、上枠部材10を引戸装置の施工現場に搬入してこの施工現場で設置するための枠部材設置工程と、この枠部材設置工程の後に実施される工程であって、スライドレール25と扉体1とを連結するための扉体連結工程と、を含んでいるため、上枠部材10にスライドレール25を固定する作業は、引戸装置の施工現場では実施されず、この施工現場に上枠部材10が搬入される前の工場において実施されるため、引戸装置の施工現場で行わなければならない作業を削減でき、これにより、施工現場での作業効率の向上、作業の簡単化を図ることができる。
【0134】
また、扉体1との連結する作業が行われる前のスライドレール25には、アウター部材26にインナー部材27よりも長い長さで形成されている溝26Aの全長のうち、インナー部材27が配置されていない部分において、マスキングテープ80が取り付けられているため、扉体1との連結する作業を行うまで、具体的には、上枠部材10を工場から引戸装置の施工現場まで搬送するときを含む期間中において、スライドレール25の内部であるアウター部材26の内部に塵埃等の異物が侵入することをマスキングテープ80で防止することができ、これにより、引戸装置の組立施工後における扉体1の円滑な開閉移動を保障できる。
【0135】
また、マスキングテープ80がスライドレール25に取り付けられるときには、2個のインナー部材27は、互いに当接した直列状態となってアウター部材26の長さ方向の一方の端部の側に寄せられており、マスキングテープ80は、アウター部材26の溝26Aの全長のうち、2個のインナー部材27から外れている部分を遮蔽するものとなっているため、インナー部材27が2個あっても、マスキングテープ80をインナー部材27の箇所で分断されたものとする必要がなく、マスキングテープ80をスライドレール25の長さ方向に連続した長寸法のものとすることができるため、スライドレール25へのマスキングテープ80の取り付け作業、及びスライドレール25からのマスキングテープ80の取り外し作業を容易に行うことができる。
【0136】
また、2個のインナー部材27が互いに当接した直列状態となって寄せられるアウター部材26の一方の端部は、戸袋3の内部に挿入される部分ではなく、扉体1の全開位置とは反対側の全閉位置の側の端部であって、上枠部材10から点検カバー14を取り外すことにより外部に露出する端部となっているため、マスキングテープ80を取り外した後に、それぞれのインナー部材27に結合された接続体30と、前述の介在部材であるボルト34と、扉体1の上面に取り付けられた連結部材20とを介してスライドレール25に扉体1を連結する作業を、戸袋3の影響を受けることなく、容易に行うことができる。
【0137】
また、介在部材となっているボルト34によってスライドレール25と扉体1とを連結する作業は、係合部であるボルト34の頭部34Aを、接続体30の箱状部材31の底部31Bに被係合部として形成されている溝31Cに係合させるという簡単な作業によって行うことができるため、この作業の容易化を図ることができる。
【0138】
さらに、被係合部となっている溝31Cは、扉体1の厚さ方向の一方の側である上枠部材10の開口部10C側へ向かって開口しているものとなっているため、係合部であるボルト34の頭部34Aを溝31Cに係合させるための作業は、頭部34Aを溝31Cに、上枠部材10の開口部10C側から扉体1の厚さ方向の他方の側である上枠部材10の垂下部10B側へ係合することにより行えるため、この係合作業を、上枠部材10の開口部10Cから上枠部材10の内部に挿入されたボルト34を、この開口部10Cとは反対側の垂下部10B側へそのまま移動させることにより、容易に行うことができる。
【0139】
さらに、本実施形態では、上枠部材10と共に縦枠部材11、戸尻側の縦枠部材12、縦額縁部材13,16が引戸装置の施工現場に搬入されると、これらの枠部材10〜12及び縦額縁部材13,16の組み立てにより、引戸装置の外枠組みが形成されるため、完成したこの外枠組みに予めスライドレール25が配置されていることになり、このため、スライドレール25と扉体1とを連結するための作業を、外枠組みの完成後に直ちに又は短時間経過後に迅速に実施することが可能となる。
【0140】
また、本実施形態では、上枠部材10を引戸装置の施工現場に搬入する前の工場において、この上枠部材10には、扉体1の開閉移動と関連する関連手段となっている自動閉鎖装置40や戸当り部材43を取り付ける作業が行われるため、引戸装置の施工現場で行わなければならない作業を一層削減でき、これにより、施工現場での作業効率の向上、作業の簡単化を一層有効に図ることができる。
【0141】
図13には、
図1で示した引戸装置とは異なる引戸装置が示されており、
図14は、
図13のS14−S14線断面図である。以下の説明では、
図1の引戸装置で用いられている部材や手段等と同じものには同一の符号を付することとする。
【0142】
図13及び
図14で示す引戸装置の外枠組みは、上枠部材110と、扉体101が全閉位置に達して出入口102を閉じたときに、この扉体101の戸先側の端部である先端が当接する戸先側の縦枠部材111と、この戸先側の縦枠部材111とは扉体101の移動方向反対側に配置されている戸尻側の縦枠部材112とで形成されている。戸先側の縦枠部材111と戸尻側の縦枠部材112との間に架設されている上枠部材110には、通常時は点検カバー114で塞がれている開口部が戸先側の縦枠部材111から戸尻側の縦枠部材112まで形成されているため、この開口部は、上枠部材110の全長に渡って形成されていることになる。
【0143】
扉体101は、上枠部材110の内部に収納配置されている移動機構により開閉移動し、また、扉体101で開閉される出入口102の床104に立設された支柱の上端に回転自在に取り付けられた水平のガイドローラ106が、扉体101の下面に下向きに開口して扉体1の開閉移動方向へ長く形成されているガイド溝の内部に挿入されており、このガイドローラ106で扉体101の下部が案内されながら、上記移動機構により扉体101の開閉移動が行われる。そして、この移動機構は、
図2及び
図3等で説明したものと同じであり、扉体101は、後述するように、この移動機構を構成しているスライドレールから連結部材を介して吊り下げられた上吊り式の扉体となっている。
【0144】
また、全開位置に達した扉体101が収納される戸袋103は、この扉体101の厚さ方向の一方の面だけを壁105で覆う片面式の戸袋となっている。そして戸尻側の縦枠部材112には、全開位置に達した扉体1の閉じ側の端面が当接する戸当り部材143が取り付けられている。
【0145】
図15は、
図14のS15−S15線断面図である。上枠部材110の上面部110Aの端部から垂下している垂下部110Bには、逆L字形状にブラケット17が止着具18で止着されているとともに、取付部材54が結合具53で結合されている。ブラケット17の上部の水平部17Aには、スライドレール25のアウター部材26が止着具19で止着され、スライドレール25のインナー部材27には、扉体101の上面に結合された連結部材120が結合具133によって結合されている。インナー部材27と同じく2個設けられている連結部材120のそれぞれは、扉体101の厚さ方向に延びる上辺部121と、扉体101の厚さ方向に延び、上辺部121と平行又は略平行となっている下辺部122と、上辺部121と下辺部122とをこれらの上辺部121及び下辺部122における上枠部材110の開口部110C側の端部で結合する側辺部123とからなるコ字形状又は略コ字形状となっており、上辺部121とインナー部材27とが結合具133で結合されている。
【0146】
連結部材120の下辺部122と扉体101は、ボルト124とナット125とで結合されており、ボルト124の軸部は下辺部122のねじ孔122Aに螺入されていて、ボルト124の頭部124Aは、扉体101に形成されている溝101Aから扉体101の内部に挿入されている。そして、下辺部122から上方へ突出しているボルト124の軸部に螺合されたナット125の締め付けにより、連結部材120の下辺部122と扉体101とがボルト124及びナット125とで結合されている。なお。溝101Aは、扉体101の厚さ方向のうち、上枠部材110の開口部110C側とは反対側へ向かって開口したものとなっている。
【0147】
取付部材54には、
図4で示した前記実施形態と同様に、制動装置50のブラケット55が止着具56と板ナット57とにより止着され、また、扉体101に2個設けられている連結部材120のうち、扉体101の閉じ側の連結部材120Aには、全開位置停止装置60の扉体101側の手段61が配置されている。
【0148】
この実施形態でも、工場において、上枠部材110にブラケット17を介してスライドレール25を固定するための作業が行われ、また、工場では、スライドレール25のインナー部材27と連結部材120とを結合具133で結合する作業も行われている。したがって、工場では、扉体101と連結部材120とを結合する作業は行われず、この作業は、引戸装置の施工現場で行われる。
【0149】
図16は、引戸装置の施工現場で行う扉体101と連結部材120とを結合する作業、言い換えると、スライドレール25に扉体101を連結するための扉体連結作業を示している。この作業を行うときには、初めに、ナット125の回転によりボルト124の頭部124Aを下げておき、次いで、扉体101の上部を、
図15で示されている点検カバー114が取り外された上枠部材110の開口部110Cからこの上枠部材110の内部に挿入する。この挿入作業は、前記実施形態と同様に、扉体101の姿勢を、この扉体101の上部を開口部110C側に傾けることによって直立姿勢から傾斜させた姿勢としながら、扉体101の下面に形成されている溝に
図13のガイドローラ106を挿入することによって行う。
【0150】
この後に、扉体101の姿勢を直立の姿勢にすることにより、扉体101の全体としては、扉体101をこの扉体101に厚さ方向である上枠部材110の垂下部110B側へ移動させ、これにより、ボルト124の軸部を扉体101の溝101Aに挿入するとともに、ボルト124の頭部124Aを扉体101の内部に挿入する。次いで、ナット125の締め付け作業を行い、この締め付け作業によってボルト124の頭部124Aを上昇させることにより、
図15に示されているように、連結部材120と扉体101とをボルト124及びナット125により結合する。この結合は、ボルト124が、スライドレール25と扉体101との間に介在した介在部材となり、ボルト124の頭部124Aが係合部となり、溝101Aが、この係合部が係合する被係合部となって行われる。
【0151】
なお、この実施形態でも、予め工場において、アウター部材26の溝26Aの全長のうち、インナー部材27が配置されていない部分を遮蔽部材であるマスキングテープで遮蔽しておき、このマスキングテープは、ボルト124及びナット125による扉体101と連結部材120との結合作業を行う前に、引戸装置の施工現場において、アウター部材26から取り外される。
【0152】
この実施形態では、点検カバー114で開閉可能となっている上枠部材110の開口部110Cは、上枠部材110の全長、言い換えると、戸先側の縦枠部材111から戸尻側の縦枠部材112までの長さとなっているため、工場において、前記実施形態と異なり、2個のインナー部材27を互いに当接させた直列状態にしてアウター部材26の長さ方向の一方の端部に寄せておかなくてもよく、したがって、マスキングテープによって遮蔽するアウター部材26の溝26Aの部分は、前記実施形態と同じ部分でなくてもよい。
【0153】
また、
図16で示す実施形態では、ボルト124及びナット125による扉体101と連結部材120との結合作業を行う前に、2個の連結部材120のうち、連結部材120Aに全開位置停止装置60の扉体101側の手段61を配置する作業が行われているが、この作業は、ボルト124及びナット125による扉体101と連結部材120との結合作業後に行ってもよい。