(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記器具本体は、収容空間を有するベース部のシート幅方向の両側短辺部にヒンジ部材を介して両側起立板を根元から折畳み可能に備えて、前記ロール体を回転可能に支持するロール芯軸およびシート押え部材を両側起立板間に係脱可能に取り付けることで構成されていることを特徴とする請求項1又は2何れかに記載のロール巻きシート材の引出し長さ測定器具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来では、壁面高さ寸法などに応じた必要長さにてシート材をロール体から引き出して切り離すときの引出し長さの測定(計測)は、必要長さを目安にしてロール体から一旦シート材を引き出し展開させ、この引出し展開状態にて巻き尺(物差し)などの測定器を用いた手作業によって作業者自身が行っている。そのために、従来では、必要長さを目安にロール体からシート材を引出し展開させるための平らな広い(長い)スペースが必要となる。また、ロール体を持ってシート材を一旦引き出し、その後巻き尺などによる長さの測定を行うという二段構えの作業が必須となるために、手間が掛るばかりか、現場の状況によっては二人掛りで行う必要があるなど、作業能率が悪く、作業者への負担増となり、ひいては、工期が長引くという問題の要素となっていた。
【0005】
本発明は、このような問題を対処することを課題の一例として創案されたものである。すなわち、ロール巻きされているシート材をロール体から必要長さ引き出して切り離す作業において、ロール体からシート材を引き出す作業に平行してシート材の引出し長さの測定を同時に行なえ、かつ、その長さ測定を狭いスペースで行うことができること、使用しないときの保管時や持ち運ぶときなどにはコンパクトに収容まとめた状態にできること、などが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明によるロール巻きシート材の引出し長さ測定器具は、少なくとも以下の構成を具備するものである。
ロール巻きされているシート材をロール体から必要長さ引き出して切り離すときに、その引出し長さを測定する引出し長さ測定器具であって、
前記ロール体を回転可能に支持させる器具本体と、該器具本体に装着されて前記ロール体から引き出されるシート材への接触によって該シート材の引出し長さを測定し積算表示する測定器とを備えて構成されていることを特徴とする。
このような構成によれば、器具本体に回転可能に支持させたロール体から必要長さのシート材を引き出すことで、シート材に接触する測定器によってシート材の引出し長さが測定され積算表示(カウント表示)される。引き出したシート材は器具本体の前方においてロール状に巻き取る。つまり、作業者はシート材の引き出しに伴い測定器に順次積算表示される引出し長さを確認しながら、必要長さのシート材をロール体から引き出すことができる。
【0007】
ここで、前記器具本体は、前記シート材のシート幅に相当する平面視で略矩形状を呈するベース部を備え、シート材をロール体から引き出すとき、シート端部を位置合わせしてシート材の引出し開始地点となる前記ベース部の前側長辺部に沿わせてシート材を引き出し摺接可能な状態で押えるシート押え部材を備えている構成を採用することが好適なものとなる。
このような構成によれば、ロール体から必要長さのシート材を引き出すとき、シート材のシート端部をシート引出し開始地点(測定器の積算表示の0リセット)となるベース部の前側長辺部に位置合わせすることで、ロール体からのシート材の引き出し長さを測定器によって測定することができる。つまり、ロール体から引き出されたシート材は、シート押え部材によって一定の押え力のもとで摺接可能に押えられていることで、弛むこともなく、ピーンと張られた状態で測定器による長さ測定が行われる。そして、ロール体から必要長さのシート材を引き出した後に、シート材を切り離すときには、シート押え部材にカッタナイフなどの切断具の刃先を沿わせて切断具を引くことで、シート材を幅方向に真っ直ぐに切断し、ロール体から切り離すことができる。
【0008】
また、前記器具本体は、前記ロール体を回転可能に支持させる複数本のロール芯軸を、ロール体同士が干渉し合わない間隔おいて備えている構成を採用することが好適なものとなる。
このような構成によれば、複数のロール芯軸に回転可能に支持させている各ロール体からシート材を一緒に引き出すことで、複数枚のシート材の引出し長さを測定器によって同時に測定することができる。
【0009】
また、前記器具本体の前記ロール体の回転支持部位から前記シート押え部材によるシート押え部位に至る前記ベース部の上面に沿うシート引き出し経路上に位置させて前記測定器を配置してなる構成を採用することが好適なものとなる。
このような構成によれば、ロール体から引き出されたシート材の引出し長さの測定は、ベース部の上面に沿う平らなシート引き出し経路に位置して配置されている測定器によって行われる。つまり、測定器は引き出されるシート材との安定的な接触のもとで、シート材の引出し長さを測定し積算表示する。
【0010】
また、前記器具本体は、収容空間を有する前記ベース部のシート幅方向の両側短辺部にヒンジ部を介して両側起立板を折畳み可能に備えて、前記ロール体を回転可能に支持するロール芯軸を両側起立板間にわたり係脱取り外し可能に取り付けるように構成されていることが好適なものとなる。
このような構成によれば、持ち運ぶときや使用しないときの保管時には、ベース部の両側短辺部にヒンジ部材にて折畳み可能に起立する両側起立板間からロール芯軸などの治具構成パーツ類を取り外し、当該ロール芯軸などをベース部の収容空間内に収容するとともに、両側起立板をベース部上に折り畳むことで、コンパクトに収容まとめた状態にすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のロール巻きシート材の引出し長さ測定器具は、以上のように構成されていることで、ロール巻きされているシート材をロール体から必要長さ引き出して切り離す作業において、シート材を引き出す作業と平行してシート材の引出し長さの測定を同時に行なうことができる。しかも、シート材の引出し測定作業を狭いスペースで、一人でも容易に行うことができる。また、使用しないときの保管時や持ち運ぶときなどにおいてはコンパクトに収容まとめた状態とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。本発明の実施形態は図示の内容を含むがこれのみに限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態に係るロール巻きシート材の引出し長さ測定器具を示す斜視図であり、
図2は、同分解斜視図である。
本実施形態に係るロール巻きシート材の引出し長さ測定器具(以後、単に「測定器具」と称する)Aは、ロール巻きされているシート材Bのロール体bを回転可能に支持するとともに、必要長さのシート材Bをロール体bから引き出すとき、その引き出しと平行してシート材Bの引き出し長さの測定が同時に行なわれるように構成されている。
【0014】
≪測定器具の構成≫
測定器具Aは、
図1に示すように、ロール巻きされているシート材Bのロール体bを回転可能に支持させる器具本体1と、ロール体bから引き出されるシート材Bへの接触によってシート材Bの引出し長さを測定し積算表示する測定器2とを備えて構成されている。
また、測定器具Aは、器具本体1の後記するベース部1aの前側長辺部に沿わせてロール体Bから引き出されてくるシート材Bを引き出し摺接可能な状態に押えるシート押え部材3を備えている。
【0015】
≪器具本体の構成≫
器具本体1は、ベース部1aと、このベース部1aのシート幅方向の両側短辺部に取り付けられる両側起立板1bとから正面視で上向き開口の略コの字状に形成されている。そして、器具本体1は、ロール体bを回転可能に支持させるための複数本、図示例では3本のロール芯軸4a〜4cを両側起立板1b間に係脱架橋状に取り付けるように形成されている。
【0016】
ベース部1aは、金属やその他の適宜の強度を有する板材を用いた折り曲げ加工などによって形成されている。このベース部1aは、シート材Bのシート幅に相当する大きさ(横幅)を有する平面視で略横長矩形状に形成されている。また、ベース部1aは、両側短辺部側を開口させた長辺幅方向の収容空間Mを有する平板筒状に形成されているとともに、前側長辺部の中央部位には持ち運び用の取っ手(掴持部)5を備えている。
収容空間Mは、シート押え部材3、3本のロール芯軸4a〜4c、後記する2本の連結杆軸9a,9bなどの器具構成パーツ類を一部が重なった状態でベース部短辺幅方向に収容保管し得る大きさに形成されている。
これにより、後記の
図6に示すように、シート押え部材3、ロール芯軸4a〜4c、連結杆軸9a、9bなどの治具構成パーツ類を収容空間Mに収容保管してコンパクト(ベース部1aの大きさ内)に収容まとめられた測定器具Aを取っ手5によって容易に持ち運ぶことができるようにしている。
【0017】
両側起立板1bは、ロール芯軸4a〜4cを係脱架橋状に支持するとともに、ベース部1aの前側長辺部に沿って配置されるシート押え部材3を後記する枢軸3bを介して回動可能に支持する役目を成すもので、金属やその他の適宜の強度を有する板材を用いた打抜きやその他の加工によって形成されている。この両側起立板1bは、
図1および
図2に示すように、ベース部1aの前後方向の幅よりも狭く、高さ方向上部側の前後部位と下部側途中部位とにロール芯軸4a〜4cの軸端部を係脱自在に支持させるための軸受止め凹部6a〜6cをそれぞれ備えた形態に形成されている。
【0018】
軸受止め凹部6a〜6cは、ロール芯軸4a〜4cによって回転可能に支持されるロール体b同士が互いに干渉し合わない程度の間隔(離間寸法)をおいて両側起立板1bに対向状に形成されるとともに、ロール芯軸4a〜4cの軸端部を前後方向に離脱不能な状態で落し込み係合し得る程度の深さを有する略半円形状に形成されている。
【0019】
また、両側起立板1bは、下部側の軸受止め凹部6cからベース部1aの前方上面に向けた部位に、シート押え部材3の枢軸3bを取り付けるための取付け部7を備えている。この取付け部7は、一部を外部に向けて開口させた孔形状に形成されて、
図1に示すように、枢軸3bの軸端部を蝶ネジ20によって締結し得るようになっている。
【0020】
また、両側起立板1bは、ベース部1aの上面に沿う水平な下辺縁部側の前後部位に連結孔8をそれぞれ備えて、前後2本の連結杆軸9a,9bによって起立姿勢が連結保持されるように形成されている。連結杆軸9a,9bは、軸端部にネジ孔10を備えて、両側起立板1bの外側から蝶ネジ11によってそれぞれ締結されることで、両側起立板1b間にわたり架橋状に取り付けられるように形成されている。
【0021】
このように形成されている両側起立板1bは、垂直な後辺縁部側をベース部1aの後側長辺部上に位置させた状態で水平な下辺縁部側が蝶番などからなるヒンジ部材12によってベース部1aの両側短辺部上にそれぞれ取り付けられる。これにより、両側起立板1bは、
図6に示すように、ベース部1aの上面に倒されるように根元から折り畳まれる。
【0022】
そして、このように、ベース部1aの両側短辺部上に折り畳み可能に備えられる両側起立板1bの起立姿勢を、2本の連結杆軸9との協同で定形保持するための筋交い部材13をベース部1aの後側長辺部から両側起立板1bにわたりそれぞれ備えている。
【0023】
筋交い部材13は、両側起立板1bの垂直な後辺縁部の高さ方向途中部位に備えられている連結片部14からベース部1aの後側長辺部にネジ止めにより備えられる止着部15にわたり適宜の斜め姿勢で取り付けられることで、両側起立板1bの起立姿勢を定形保持する。この筋交い部材13は、一端側が両側起立板1bの連結片部14に蝶ネジ・ナット16によって取り付けられ、他端側がベース部1aの後側長辺部にネジ止めによって回動可能に取り付けられるように、金属などからなる板材を用いた打抜きやその他の加工によって所定の長さに形成されている。
【0024】
また、筋交い部材13は、ベース部1aの後側長辺部の止着部15に取り付けられる他端側に当該後側長辺部と平行で略L字状と成す突片部17を備えている。これにより、両側起立板1bをベース部1aの上面に折り畳んだときに、両側起立板1bの連結片部14を突片部17に蝶ネジ・ナット16によって連結することで、両側起立板1aのベース部1a上面への折畳み状態が固定される。なお、筋交い部材13の一端側と両側起立板1bの連結片部14との締結、両側起立板1bの連結片部14と筋交い部材13の他端側突片部17との連結は、同じ蝶ネジ・ナット16を用いて行われる。
【0025】
≪シート押え部材の構成≫
つぎに、ロール体bからシート材Bを引き出すとき、ベース部1aの前側長辺部に沿わせてシート材Bを引き出し摺接可能に押えるシート押え部材3について説明する。ここでは、
図1および
図2を適宜参照しながら説明する。
シート押え部材3は、シート材Bの引き出し開始地点(測定器2の積算表示の0リセット)となるベース部1aの前側長辺部に沿ってシート材Bの幅方向を一定の押え力で引き出し摺接可能な状態で押える役目、つまり、ロール体bからシート材Bを引き出すとき、シート材Bに弛みなどが生じないように一定の押え力で押えて、シート材Bをピーンと張った状態での引き出しを可能とするなどの役目に加えて、ロール体Bから引き出されたシート材Bを切り離すときに、後記の
図5に示すように、カッタナイフなどの切断具Cの刃先を宛がうための当て木として利用されるものである。
このシート押え部材3は、所定の幅を有する金属やその他の材料(透明、半透明など含む)からなる帯状板材を用いて、
図1および
図2に示すように、ベース部1aの前側長辺部の略全長に沿う長さに形成されている。そして、シート押え部材3は、両端部に取り付けられる両腕片部材3aと、この両腕片部材3a間にわたり取り付けられる枢軸3bとによって器具本体1の両側起立板1b間に回動可能で、係脱可能に取り付け連結されるように形成されている。
【0026】
両腕片部材3aは、シート押え部材3の両端部に取り付けられる前側より枢軸3bを介して両側起立板1b間に回動可能で、かつ、係脱可能に取り付けられる後側に至るにしたがって漸次幅広状に形成されている。また、両腕片部材3aのうち、一方側(
図2において右側)の腕片部材3aに回動操作用の摘み部18を備えている。
【0027】
枢軸3bは、前記した連結杆軸9a,9bと同じく、軸端部にネジ孔19を備えて、両腕片部材3aの外側から蝶ネジ20によって締結されることで、両腕片部材3a間に取り付けられるように形成されている。
これにより、蝶ネジ20を緩めた状態で当該ネジ部を両側起立板1bの取付け部7に差し込み挿入させたのちに締め付けることで、両側起立板1bに両腕片部材3aを介してシート押え部材3を取り付け連結することができる。このとき、両腕片部材3aは、両側起立板1bの外側に位置した状態で両側起立板1bに取り付けられる。
そして、後記する
図4および
図5に示すように、シート押え部材3をベース部1aの前側長辺部に沿わせてシート材Bを押える状態にするときや、
図1および
図4に二点鎖線で示すように、シート押え部材3をベース部1aの前側長辺部から離脱させた状態(シート押え解除)にするときには、蝶ネジ20を緩めることで、枢軸3bを支点に両腕片部材3aを介してシート押え部材3を回動(移動)し得るようにしている。
【0028】
≪測定器の構成≫
つぎに、ロール体bからのシート材Bの引出し長さを測定する測定具2について説明する。
図3は、測定具の一例を示す斜視図である。
測定器2は、ロール体bから引き出されるシート材Bへの接触(摩擦力)により回転する車輪2aを利用してシート材Bの引出し長さを測定(計測)し積算表示するように形成されている車輪回転式測定器「例えば、ライン精機株式会社製の長さ計(測長器)」である。
【0029】
すなわち、測定器2は、具体的な内部機構について図示を省略しているが、
図3に示すように、ボディ部2bの両側に貫通突出する回転車軸に車輪2aを備えて、ギア機構を使った機械式の文字輪表示によってボディ部2bの正面に備えられている表示窓21にシート材Bの引出し長さが表示(積算表示)されるように形成されている。
ちなみに、車輪2aの回転による測定長さは、例えば、車輪2aが3回転することで1mが表示される。また、表示単位として、例えば、1cm毎、10cm毎、1m毎に1カウントされるようになっている。
また、測定器2は、文字輪表示による測定長さの表示(積算表示)をボディ部2bの正面に備えられているリセットボタン(押しボタン)22による操作によって0リセットし得るようになっている。
【0030】
そして、このように形成されている測定器2は、
図3に示すように、ボディ部2bにフック状の取付け部材23を備えている。これにより、測定器2は、後記の
図4および
図5に示すように、取付け部材23のフック部をシート押え部材3の枢軸3bに掛止させることで、ロール体bからシート材Bを引き出すときベース部1aの平坦な上面に沿うシート引き出し経路上におけるシート押え部材3の後方位置に配置されるようになっている。
【0031】
[作用説明]
つぎに、以上のように構成されている本実施形態に係る測定器具Aに使用について簡単に説明する。ここでは、
図4に示すように、器具本体1の両側起立板1bの上部前後2ヶ所のうち、後側の軸受止め凹部6aに軸端部を係合させて架橋状に取り付けられるロール芯軸4aのみに1本のロール体bを回転可能にセットした使用例について説明する。
図4は、1本のロール体をセットしたときの使用例を示す測定器具の縦断側面図であり、
図5は、同使用例の斜視図である。ここでは、
図1を適宜参照しながら説明する
【0032】
まず、ロール体bの巻取り中心孔にロール芯軸4aを貫通状に挿し込み、ロール芯軸4aの軸端部を両側起立板1bの軸受止め凹部6aに落し込み係合させてロール体bを両側起立板1b間に回転可能にセット支持させる。つぎに、ロール体bからシート材Bを引き出すときは、測定器2を外し、シート押え部材3を
図1に示す状態に枢軸3bを支点に回動させて置く。この状態で、シート端部B1を摘まんでロール体bから引き出したシート材Bを、前後の連結杆軸9a、9bのうち、
図4に示すように、後側の連結杆軸9aに架け渡し、この連結杆軸9aからベース部1a上面のシート引き出し経路上を通してシート引き出し開始地点となるベース部1aの前側長辺部側へと引き出す。これにより、ロール体bから引き出されたシート材Bは、ベース部1a上面のシート引き出し経路に連結杆軸9aを介して引き下げ接近された状態でベース部1aの前側長辺部側に向けて略水平に引き出されることとなる。
シート材Bをベース部1aの前側長辺部側へと引き出した状態で、枢軸3bを支点にシート押え部材3を回動させてベース部1aの前側長辺部に沿わせる。この状態で蝶ナット20を締め付けてシート材Bを引き出し摺接可能な状態に押えるようにシート押え部材3を固定するとともに、取り外しておいた測定器2を取付け部材23によりシート押え部材3の枢軸3bに掛止させてシート引き出し経路上に引き出されたシート材B上に配置する。
【0033】
このようにして、ロール体bからのシート材Bの引出し準備を行った後に、例えば、建物の新築やリフォームなどの施工現場において、外壁や内壁の壁面高さ寸法などに応じた必要長さのシート材Bをロール体から引き出して切り離すときには、シート引き出し経路上のシート材Bの弛みなどを取り除いてシート端部B1を、
図1に二点鎖線で示すように、シート引き出し開始地点(測定器2の積算表示の0リセット)となるベース部1aの前側長辺部に位置合わせした後に、シート材Bの引出しを開始する。すると、シート材Bの引き出しに伴いシート材Bとの接触(摩擦力)で回転する測定器2の車輪2aによって引出し長さが測定され、その引き出し長さが文字輪表示によって測定器2の表示窓21に積算表示(カウント表示)される。
これにより、作業者はシート材Bを引き出す側の器具本体1の前方において、測定器2の表示窓21に順次に積算表示されるシート材Bの引き出し長さを確認(目視)しながら、シート材Bのロール体bからの引出し作業を平行して行うことができる。つまり、ロール体Bからシート材Bを引き出す作業と平行してシート材Bの引き出し長さの測定を同時に行なうことができる。引き出したシート材Bは、
図4および
図5に示すように、器具本体1の前方において順次にロール状に巻き取る。このとき、図示を省略しているが、引き出したシート材Bを、使われていないロール芯軸4b,4cのいずれかを用いて巻き取ることもできる。
【0034】
ロール体bから必要長さのシート材Bを引き出した後に、引き出したシート材5を切り離すときには、
図5に示すように、カッタナイフなどの切断具Cの刃先をシート押え部材3に沿わせて切断具Cを引くことで、シート材Bを幅方向に真っ直ぐに切断してロール体bから切り離すことができる。
【0035】
そして、測定器具Aを使用しないときの保管時や持ち運ぶなどの時には、
図6に示すように、器具本体1の両側起立板1b間から取り外した3本のロール芯軸4a〜4c、2本の連結軸9a、9b、そしてシート押え部材3などの器具構成パーツ類をベース部1aの収容空間Mに収容するとともに、両側起立板1bをヒンジ部材12にて根元からベース部1aの上面に折畳み、蝶ネジ・ナット16によって固定することで、測定器具Aをコンパクトに収容まとめることができる。
【0036】
以上のように、本実施形態に係る測定器具Aによれば、器具本体1の前方において、作業者はシート材Bの引き出しに伴い測定器2に積算表示される引出し長さを確認しながら、必要長さのシート材Bをロール体bから引き出す作業を行なうことができる。つまり、ロール体bからのシート材Bの引き出し作業とその長さ測定作業を、狭いスペースで、一人でも平行して同時に行なうことができる。例えば、建物の新築やリフォームなどの施工現場などにおいては、狭いスペースで、一人の作業者でも容易にシート材Bの引き出し作業とその長さ測定作業を平行して同時に行うことができる。これにより、施工現場などにおける作業能率を大幅に向上させることが可能となる。ひいては、作業者への負担減となり、また、工期の短縮化などを期待することができる。
【0037】
また、ロール体bから引き出されたシート材Bは、シート押え部材3によって一定の押え力のもとで摺接可能に押えられていることで、弛むこともなく、ピーンと張られた状態で測定器2による長さ測定が行われることで、測定器2によるシート引出し長さの測定がより安定に行われ、精度の高い長さ測定が可能になる。
また、ロール体bから必要長さ引き出したシート材Bを切り離すときには、シート押え部材3にカッタナイフなどの切断具Cの刃先を宛がい、当該シート押え部材3に沿わせて切断具を引くことで、シート材Bを幅方向に真っ直ぐに切断し、ロール体bから切り離すことができる。
【0038】
また、使用しないときの保管時や持ち運ぶ、車などに積み込むときなどときにはコンパクトに収容まとめた状態にすることができる。これにより、例えば、建物の新築やリフォームなどの施工現場への持ち運び搬入するときの取扱い性などに対する利便性が図られる。持ち運ぶときには、ベース部1aに備えられている取っ手5によって容易に持ち運ぶことができる。
【0039】
また、本実施形態に係る測定器具Aの使用例としては、
図7に示すように、器具本体1の両側起立板1bの上部前後2ヶ所にロール芯軸4a,4bを介して2本のロール体bを回転可能にセット支持させることで、2枚のシート材Bの引出し長さを同時に測定することができる。
すなわち、
図7に示すように、ベース部1aの平坦な上面に沿うシート引き出し経路上において後側(ロール芯軸4a側)のロール体bから引き出されるシート材Bの上に前側(ロール芯軸4b側)のロール体bから引き出されるシート材Bを重ね、2枚のシート材Bのシート端部B1を揃えてシート押え部材3により押えられてシート引き出し開始地点(測定器の積算表示の0リセット)となるベース部1aの前側長辺部に位置合わせして2枚のシート材Bを一緒に引き出す。これにより、上側のシート材Bへの接触により車輪2aが回転する測定器2によって2枚のシート材Bの引出し長さを同時に測定することができることで、作業能率のさらなる向上が期待することができる。換言すれば、建物の新築やリフォームなどの施工現場などにおいては、作業者への負担減となり、ひいては、工期の大幅な短縮化などを期待することができる。
【0040】
なお、
図7に示す使用例では、後側(ロール芯軸4a側)のロール体bから引き出されるシート材Bを連結杆部9aに架け渡し、前側(ロール芯軸4b側)のロール体bから引き出されるシート材Bをロール芯軸4cに架け渡して一緒に引き出すように例示しているが、前側のロール体bから引き出されるシート材Bをも連結杆部9aに架け渡して後側のロール体bから引き出されるシート材Bと一緒に引き出すことができる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても本発明に含まれる。
例えば、ロール体bから必要長さのシート材Bを引き出した後に切り離すためのカッタナイフなどの切断具Cをシート押え部材3に沿わせてスライド自在に備えることができる。これにより、作業者はカッタナイフなどを携帯しなくとも、ロール体bから引き出したシート材Bをシート押え部材3に沿わせて幅方向に切断し、ロール体Bから切り離すことができる。
【0042】
また、測定具2を、適宜のバネ力を有するバネ部材を用いてシート押え部材3の枢軸3bに取り付け装着し、シート材Bの引き出し長さを測定するようにすることができる。
つまり、シート材Bの素材問わずに、測定器2の車輪2aを所定のバネ力でシート材Bに付勢させた状態で接触回転させることで、車輪2aがスリップして回転しない(空回り)などのおそれがない安定させた回転のもとでシート材Bの引出し長さを測定することが期待できる。この場合、バネ部材は、ネジ止めやその他の止め手段を用いて枢軸3bに対して回転不動に取り付けて測定器2の車輪2aをシート材Bに所定のバネ力で接触(圧接)させるようにする。
測定器2を枢軸3bに回転不動に取り付けることで、シート押え部材3をベース部1aの前側長辺部から回動離脱させたとき、測定器2も一緒に持ち上げられ、ベース部1aのシート引き出し経路上から離れることになる。
【0043】
また、
図4に示すように、ロール体bから引き出したシート材Bをベース部1上面のシート引き出し経路に接近架け渡す連結杆軸9aにローラなどの回転部材を取り付けて、シート材Bを引き出すときの摩擦抵抗などを軽減するようにすることができる。
【0044】
また、ベース部1aの収容空間Mの両側開口部などに開閉蓋などを適宜取り付けて、持ち運び中などに内部収容物が不用意に飛び出さないようにすることができる。また、ベース部1aは、両側面開口を閉鎖させた底面開口の平板箱状と成して、当該底面開口部からシート押え部材3、ロール芯軸4a〜4c、連結杆軸9a,9bなどの器具構成パーツ類を収容空間Mに収容し得るようにすることができる。この場合、底面開口部に片開きまたは両開き(観音開き)の開閉蓋を取り付ける。