(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6112860
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】エアタンクパージ制御方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20170403BHJP
B60G 17/052 20060101ALI20170403BHJP
B60T 17/00 20060101ALN20170403BHJP
【FI】
B01D53/26 230
B60G17/052
!B60T17/00 B
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-285525(P2012-285525)
(22)【出願日】2012年12月27日
(65)【公開番号】特開2014-83537(P2014-83537A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年12月18日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0119619
(32)【優先日】2012年10月26日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 政 勳
【審査官】
松村 真里
(56)【参考文献】
【文献】
特表平05−505758(JP,A)
【文献】
特開2004−057986(JP,A)
【文献】
特開2010−221110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/26−53/28
B60G 17/00−17/08
B60T 17/00−17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサーでエアを圧縮する第1段階と、
上記第1段階でエア圧縮後カートリッジを介して水気をとり除く第2段階と、
上記第2段階を介して水気が除去されたエアをエアタンクに貯蔵する第3段階と、
上記第3段階のエアタンク内部圧力を測定及び判断する第4段階と、
上記第4段階でエアタンク内部圧力が所定圧力を超過する場合、第1ソレノイドバルブを作動させる第5段階と、
上記第5段階後、第2ソレノイドバルブ作動可能の可否を判断する第6段階と、
上記第6段階で第2ソレノイドバルブ作動可能時、第2ソレノイドバルブを作動させる第7段階と、
上記第7段階で第2ソレノイドバルブ作動時、パージバルブを作動させてカートリッジ性能向上を介して上記エアタンクの水気をとり除く第8段階と、
上記第8段階で上記エアタンクの水気除去後、エアタンク内部圧力を再測定及び判断する第9段階と、
上記第9段階でエアタンクの内部圧力が所定圧力未満の場合、上記第1ソレノイドバルブと第2ソレノイドバルブをオフさせる第10段階、を含み、かつ、上記第5段階と第7段階は、第1ソレノイドバルブ及び第2ソレノイドバルブ作動時、APUを作動させることを特徴とするエアタンクパージ制御方法。
【請求項2】
上記第3段階は
上記エアタンク内部に温湿度計が備えられるようにして上記エアタンク内部の温度及び湿度を測定する第3−1段階と、
上記エアタンク内部の温湿度計が電子制御部(ECU)と連動されるようにして上記エアタンクの露点温度を測定する第3−2段階と、
上記エアタンク内部の温度と露点温度差が15度未満なのかを測定及び判断する第3−3段階と、
上記第3−3段階で上記エアタンク内部の温度と露点温度差が15度未満の場合、第2ソレノイドバルブを作動させる第3−4段階と、をさらに含むことを特徴とする請求項1記載のエアタンクパージ制御方法。
【請求項3】
上記第4段階の所定圧力は11.5barに設定し、第10段階の所定圧力は10.8barに設定することを特徴とする請求項1記載のエアタンクパージ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアタンクパージ制御方法に係り、より詳しくは、エアタンクのパージ回収を最適化してカートリッジ性能低下時期を把握するためのエアタンクパージ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、大型トラックやバスなどの車の空圧ブレーキ、エアサスペンション、シート、エアコンなどの空圧使用装置に水気が含まれた空気を供給すれば異常作動を誘発することがある。
例えば、空圧ブレーキの場合、水気の含まれた空気が供給されると制動トークの低下や左右偏心制動などを誘発することがある。
一方、従来のエアタンクは図 1に示されたようにAPU( Air Pressure Control Unit、10)を含み、APU10はカートリッジを備えて大型トラックやバスなどの車の空圧ブレーキ、エアサスペンション、シート、エアコンなどの空圧使用装置に水気のない空気を提供するようになっている。
【0003】
このとき、APU10 設計時にはエアコンプレッサーと接続される入口側の温度が 75℃ 以下であること、出口側の温度が 30℃ 以下であること、内部温度が 65℃ 以下を維持することなどを求めている。
しかし、従来のエアタンクはAPUのカートリッジ再生のためのパージ(purge) 回数が非常に多く発生するため燃費が低下し、カートリッジ寿命が低下して商品価値が下がる問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−051637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題点を解消するためになされたものであって、エアタンクのパージ回収を最適化してカートリッジ性能低下時期を把握するためのエアタンクパージ制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような本発明は、コンプレッサーでエアを圧縮する第1段階と、 上記第1段階でエア圧縮後カートリッジを介して水気をとり除く第2段階と、 上記第2段階を介して水気が除去されたエアをエアタンクに貯蔵する第3段階と、 上記第3段階のエアタンク内部圧力を測定及び判断する第4段階と、 上記第4段階でエアタンク内部圧力が所定圧力を超過する場合、第1ソレノイドバルブを作動させる第5段階と、 上記第5段階以後、第2ソレノイドバルブ作動可能の可否を判断する第6段階と、 上記第6段階で第2ソレノイドバルブ作動可能時、第2ソレノイドバルブを作動させる第7段階と、 上記第7段階で第2ソレノイドバルブ作動時、パージバルブを作動させカートリッジ性能の向上を介して上記エアタンクの水気をとり除く第8段階と、 上記第8段階で上記エアタンク水気除去後、エアタンク内部圧力を再測定及び判断する第9段階と、 上記第9段階でエアタンクの内部圧力が所定圧力未満の場合、上記第1ソレノイドバルブと第2ソレノイドバルブをオフさせる第10段階、を含むことを特徴とする。
【0007】
このとき、上記第5段階と第7段階は第1ソレノイドバルブ及び第2ソレノイドバルブ作動時、APUを作動させるようにすることを特徴とする。
【0008】
一方、上記第3段階は上記エアタンク内部に温湿度計が備えられるようにして上記エアタンク内部の温度及び湿度を測定する第3−1段階と、 上記エアタンク内部の温湿度計が電子制御部(ECU)と連動されるようにして上記エアタンクの露点温度を測定する第3−2段階と、 上記エアタンク内部の温度と露点温度差が 15度未満なのかを測定及び判断する第3−3段階と、 上記第3−3段階で上記エアタンク内部の温度と露点温度差が 15度未満の場合、第2ソレノイドバルブを作動させる第3−4段階、をさらに含むことを特徴とする。
【0009】
一方、上記第5段階の所定圧力は 11.5 barに設定し、第10段階の所定圧力は 10.8 barに設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、エアタンクのパージ作動回数を減少させて燃費を向上させるとともに、カートリッジ作動回数も低減させて耐久性を増大させ、カートリッジの取替え寿命を予測することができるようにして商品価値を向上させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】本発明のエアタンクパージ制御方法を示すフローチャートである。
【
図3】本発明のエアタンクパージ制御方法の第3−1段階ないし第3−4段階を示すフローチャートである。
【
図4】本発明のエアタンクパージ制御方法の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施例を図面を参照して詳しく説明する。
本発明のエアタンクパージ制御方法は図 2 ないし図 4に示されたように、コンプレッサーでエアを圧縮する第1段階(S10)と、カートリッジを介して水気をとり除く第2段階(S20)と、エアを貯蔵する第3段階(S30)と、エアタンクの圧力を測定及び判断する第4段階(S40)と、第1ソレノイドバルブを作動させる第5段階(S50)と、第2ソレノイドバルブ作動の可能可否を判断する第6段階(S60)と、第2ソレノイドバルブを作動させる第7段階(S70)と、パージバルブを作動させる第8段階(S80)と、エアタンクの圧力を再測定及び判断する第9段階(S90)と、第1ソレノイドバルブと第2ソレノイドバルブをオフさせる第10段階(S100)を含む。
【0013】
図 2に示されたように、第1段階(S10)はコンプレッサーを介してエアを圧縮させる段階である。
第2段階(S20)は、第1段階(S10)でエアを圧縮させた後、カートリッジを介して圧縮されたエアの水気をとり除く段階である。
第3段階(S30)は、第2段階(S20)を介して水気が除去されたエアをエアタンクに貯蔵する段階である。
このとき、エアタンク内部には後述する温湿度計(温度及び湿度を測定)が取り付けられるようにし、エアタンク内部の温度及び湿度データを測定することができるようにする。
【0014】
第4段階(S40)は、第3段階(S30)のエアタンク内部圧力を測定し、測定された内部圧力が所定圧力を超過する場合は次の段階である第5段階(S50)に移動することになり、所定圧力以下の場合は再度エアタンク内部圧力を測定することになる。
このとき、エアタンク内部の所定圧力は 11.5 barに設定することが好ましい。
第5段階(S50)は、第4段階(S40)でエアタンク内部圧力が 11.5 barを超過する場合、第1ソレノイドバルブを作動させる段階である。
【0015】
第6段階(S60)は、第5段階(S50) 以後、第2ソレノイドバルブ作動可能の可否を判断する段階で、第2ソレノイドバルブが作動が可能になれば次の段階である第7段階(S70)に進むことになり、第2ソレノイドバルブが作動不能になれば、後述する第9段階(S90)に進む。
第7段階(S70)は、第6段階(S60)で第2ソレノイドバルブ作動可能時、第2ソレノイドバルブを作動させる段階である。
一方、第5段階(S50)と第7段階(S70)は第1ソレノイドバルブ及び第2ソレノイドバルブ作動時、APUを作動させるようにして後述するパージバルブ作動を可能にするのが好ましい。
【0016】
第8段階(S80)は、第7段階(S70)で第2ソレノイドバルブ作動時、パージバルブ(purge valve)を作動させてエアを大気に放出することになり、カートリッジ性能向上を介してエアタンクの水気をとり除くことを可能にする段階である。
第9段階(S90)は、第8段階(S80)でエアタンク水気除去後エアタンク内部の圧力を再測定する段階で、測定された内部圧力が所定圧力より低い場合は次の段階である第10段階(S100)に移動することになり、所定圧力以上の場合は再度エアタンク内部圧力を測定することになる。このとき、エアタンク内部の所定圧力は 10.8 barに設定するのが好ましい。
第10段階(S100)は、第9段階(S90)でエアタンク内部の圧力が 10.8 bar 未満の場合、第1ソレノイドバルブと第2ソレノイドバルブをオフさせる段階である。
【0017】
一方、図 3に示されたように水気が除去されたエアをエアタンクに貯蔵する第3段階(S30)は温度及び湿度を測定する第3−1段階(S31)と、露点温度を測定する第3−2段階(S32)と、温度差を測定及び判断する第3−3段階(S33)と、第2ソレノイドを作動させる第3−4段階(S34)をさらに含む。
第3−1段階(S31)は、エアタンク内部に温湿度計が備えられるようにしてエアタンク内部の温度及び湿度を測定する段階である。
第3−2段階(S32)は、第3−1段階(S31)のエアタンク内部の温湿度計が電子制御部(ECU、Electronic Control Unit)と連動されるようにし、電子制御部を介してエアタンクの露点温度を測定する段階である。
【0018】
第3−3段階(S33)は、エアタンク内部の温度と露点温度差を測定する段階で、エアタンク内部温度と露点温度の差が 15度より低いかを測定し、15度より低いと次の段階に進むことになり、15度より高いとエアタンク内部の温度及び湿度を測定する第3−1段階(S31)に移動し、温度及び湿度を再測定する段階である。
第3−4段階(S34)は、第3−3段階(S33)でエアタンク内部の温度と露点温度差が 15度未満の場合、第2ソレノイドバルブを作動させる段階である。
【0019】
図 4は、本発明のエアタンクパージ制御方法の構成図を示すもので、コンプレッサーとエアヒーターがAPUと連結され、APUは温湿度計が備えられたエアタンクと連結され、温湿度計は電子制御部(ECU)と連動されエアタンクの温度及び湿度データを介して露点温度を計算し、エアタンク内部の温度で露点温度をマイナス(−)した温度が 15度より低い場合、第2ソレノイドバルブを作動させてエアタンクのパージ作動を始める。このように、本発明はエアタンクのパージ作動を制御して作動回数を減少させることにより、カートリッジ作動回数も低減させて耐久性を増大させ、カートリッジの取替え寿命を予測できるようにするとともに燃費を向上させるようにする。
【0020】
以上のように、本発明は限定された実施例と図面により説明されたが、本発明はこれにより限定されず、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者により本発明の技術思想と下記に記載される特許請求範囲内で多様な修正及び変形が可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0021】
S10 : 第1段階
S20 : 第2段階
S30 : 第3段階
S31 : 第3−1段階
S32 : 第3−2段階
S33 : 第3−3段階
S34 : 第3−4段階
S40 : 第4段階
S50 : 第5段階
S60 : 第6段階
S70 : 第7段階
S80 : 第8段階
S90 : 第9段階
S100 : 第10段階