【実施例】
【0184】
本明細書を通して用いる化学の略号は以下のとおりである:Cyはシクロへキシルであり、dbaはジベンジリデンアセトンであり、EtOAcは酢酸エチルであり、DMEはジメトキシエタンであり、dppeは1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンであり、dppfは1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンであり、THFはテトラヒドロフランであり、DCMはジクロロメタンであり、S−Phosはジシクロへキシル(2′,6′−ジメトキシ−[1,1′−ビフェニル]−2−イル)ホスフィンである。
【0185】
〔化合物Aの合成〕
【0186】
5−ブロモ−2−フェニルピリジンの調製
【化34】
【0187】
5−ブロモ−2−ヨードピリジン(15 g, 52.8 mmol)、フェニルボロン酸(6.44 g, 52.8 mmol)、Pd(PPh
3)
4(0.611 g, 0.528 mmol)、及び炭酸カリウム(83 g, 598 mmol)を、4:1のDME及び水(260 mL)の溶液に添加した。その反応混合物を窒素ガスで30分間脱ガスし、不活性雰囲気中で18時間還流させながら撹拌した。反応混合物を冷やし、水に注ぎ、食塩水と酢酸エチルの間に分配した。有機層を一緒にあわせ、MgSO
4上で乾燥させ、有機溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、溶出液として5〜15%DCM/ヘキサンを用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、5−ブロモ−2−フェニルピリジン(4.18 g, 33.8%)を白色固体として得た。
【0188】
2−フェニル−5−(トリイソプロピルシリル)ピリジンの調製
【化35】
【0189】
THF(200 mL)中に5−ブロモ−2−フェニルピリジン(3.21 g, 13.71 mmol)を溶かした。これを−78℃に冷やした。その冷やした溶液に、ヘキサン中の2.5Mのn−BuLiを1.88mL、滴下により添加した。TLCによって、リチウム−ハロゲン交換の完了について、反応を観察した。完全なリチウム化の後、THF(15 mL)中に溶かしたクロロトリイソプロピルシラン(2.185 mL, 16.46 mmol)をその反応媒体にゆっくり添加した。反応温度を−78℃にさらに45分間保ち、次にそれを常温まで温まるようにさせておき、さらに48時間撹拌した。未精製反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液で失活させ、食塩水と酢酸エチルの間に分配させた。水層を集め、酢酸エチルで再度洗った。有機層を一緒にあわせ、MgSO
4上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。その淡黄色固体を、溶出液としてヘキサン中1〜4%酢酸エチルを用いてシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、2−フェニル−5−(トリイソプロピルシリル)ピリジン(2.3 g, 54%)を得た。
【0190】
化合物Aの調製
【化36】
【0191】
イリジウム錯体(1.77 g, 2.48 mmol)及び2−フェニル−5−(トリイソプロピルシリル)ピリジン(2.32 g, 7.45 mmol)をエタノール(165 mL)に添加し、窒素ガスをバブリングさせてそのスラリーを脱ガスした。その反応混合物を24時間、加熱還流させた。その反応混合物を常温まで冷やし、セライト(登録商標)の詰め物を通して濾過し、沈殿物をジクロロメタンに再溶解した。その未精製物質を、2:1(v/v)のDCM/ヘキサンを用いるカラムクロマトグラフィーによって精製した。最終化合物を昇華後単離して、所望する生成物(1.03 g, 42%)を得た。
【0192】
〔化合物Bの合成〕
【0193】
4−ブロモ−2−フェニルピリジンの調製
【化37】
【0194】
500mLの丸底フラスコに、DME(100 mL)中の2,4−ジブロモピリジン(9.90 g, 41.8 mmol)、フェニルボロン酸(5.10 g, 41.8 mmol)、及び炭酸カリウム(11.55 g, 84 mmol)を仕込んだ。その反応混合物を水(40 mL)で希釈した。これを30分間脱ガスし、Pd(PPh
3)
4(0.483 g, 0.418 mmol)を添加し、その反応混合物を22時間、還流させながら撹拌した。その混合物を食塩水及び酢酸エチルで希釈した。有機層を水で洗い、乾燥させ、セライト(登録商標)上に吸着させ、ヘキサン中0〜5%の酢酸エチルで溶出させる400gのカラム上でクロマトグラフィーにかけて、所望の生成物(5.30 g, 54%)を透明な無色オイルとして得た。
【0195】
2−フェニル−4−(トリイソプロピルシリル)ピリジンの調製
【化38】
【0196】
4−ブロモ−2−フェニルピリジン(4.25 g, 18.16 mmol)をTHF(200 mL)中に溶かし、−78℃に冷やした。n−ブチルリチウム(7.99 mL, 19.97 mmol)をその反応混合物に滴下により添加して、これをさらに30分間、−78℃で撹拌した。クロロトリイソプロピルシラン(3.62 mL, 27.2 mmol)をその反応混合物にゆっくり添加し、これを撹拌して室温まで温めた。未精製反応混合物を食塩水と酢酸エチルの間で分配させた。有機層を集め、MgSO
4上で乾燥させ、有機溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、シリカゲル上で、溶出液として1〜5%酢酸エチル/ヘキサンを用いるカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(3.9 g, 69%)を得た。
【0197】
化合物Bの調製
【化39】
【0198】
2−フェニル−4−(トリ−イソプロピルシリル)ピリジン(3.93 g, 12.61 mmol)及び上記イリジウム錯体(3 g, 4.20 mmol)をエタノール(120 mL)に添加し、窒素ガスで脱ガスした。その反応混合物を窒素下で18時間還流させた。粗生成物を、セライト(登録商標)の詰め物を通して濾過し、エタノールで洗った。残った黄色残留物をDCMに溶かした。有機溶媒を減圧下で除去した。その黄色残留物を、シリカゲル上で、溶出液として2:1(v/v)のジクロロメタン/ヘキサンを用いるカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物B(1.7 g, 50%)を黄色固体として得た。
【0199】
〔化合物Cの合成〕
【0200】
2−(3−ブロモフェニル)ピリジンの合成
【化40】
【0201】
2−ブロモピリジン(12.05 mL, 127 mmol)、3−ブロモフェニルボロン酸(25.4 g, 127 mmol)、及び炭酸カリウム(52.5 g, 380 mmol)を、トルエン及び水の9:1混合物(600 mL)に添加した。その反応混合物を窒素ガスで15分間脱ガスし、Pd(PPh
3)
4(1.463 g, 1,266 mmol)を添加した。その反応混合物をさらに30分間脱ガスし、その後窒素ガス下で18時間加熱し還流させた。未精製反応混合物を室温まで冷やし、セライト(登録商標)の詰め物を通して濾過し、濾液を食塩水と酢酸エチルの間で分配させた。有機層を集め、MgSO
4上で乾燥させ、有機溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、1〜4%酢酸エチル/ヘキサンを用いてシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製した。2−(3−ブロモフェニル)ピリジン(10 g, 33.7%)を無色オイルとして単離した。
【0202】
2−(3−(トリ−イソプロピルシリル)フェニル)ピリジンの合成
【化41】
【0203】
2−(3−ブロモフェニル)ピリジン(7.46 g, 31.9 mmol)を、500mLの三ツ口丸底フラスコ中でTHF(300 mL)に溶かした。この系を脱気して窒素で満たすことを3回行い、次に窒素下に保った。そのフラスコをドライアイス/アセトン浴中に置き、−60℃より低くまで冷やした。2.5Mのn−ブチルリチウム(14.0 mL, 35.1 mmol)を添加した。その溶液は淡黄色から暗緑色溶液に変わった。1時間後、クロロトリイソプロピルシラン(10.91 mL, 51.0 mmol)をシリンジで小分けにして添加し、同時に反応温度を−60℃より低く保ち、その後そのドライアイス浴を取り除いた。その反応物が常温まで温まるようにさせておいた。3時間後、その反応混合物を水で失活させ、次に食塩水と酢酸エチルの間で分配した。水性部分を酢酸エチルで2回抽出した。一緒にした有機層を食塩水で一度洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、溶媒蒸発させて橙色オイルを得た。粗生成物をセライト(登録商標)上に吸着させ、ヘキサン中1〜5%の酢酸エチルの移動層を用いるクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(4.3 g, 43.3%)を黄色オイルとして得た。
【0204】
化合物Cの調製
【化42】
【0205】
2−(3−(トリイソプロピルシリル)フェニル)ピリジン(7.19 g, 23.08 mmol)、上記イリジウム錯体(5.49 g, 7.69 mmol)、及びエタノール(150 mL)を250mL一口丸底フラスコ中で一緒にした。その懸濁液を夜通し加熱して激しく還流させた。その反応物を室温まで冷やし、次に焼結フィルターロート中のセライト(登録商標)の詰め物を用いて濾別して明るい黄色の固体を得た。その固体をエタノールでよく洗った。粗生成物を、そのセライト(登録商標)をDCMで洗うことによって回収し、次に黄色固体になるまで濾液を蒸発させた。その固体を、1:1(v/v)のヘキサン:ジクロロメタンで溶出させるシリカゲルカラム上で精製した。所望の画分を一緒にし、蒸発させて化合物C(3.35 g, 53.7%)を黄色固体として得た。
【0206】
〔化合物Dの合成〕
【0207】
2−(4−ブロモフェニル)ピリジンの合成
【化43】
【0208】
500mLの二口フラスコに(4−ブロモフェニル)ボロン酸(10.17 g, 50.6 mmol)を添加した。その反応混合物をDME(125 mL)で希釈した。2−ヨードピリジン(5.38 mL, 50.6 mmol)及び炭酸ナトリウム(10.73 g, 101 mmol)を添加し、次に水(50 mL)を添加した。この混合物を窒素で15分間脱ガスし、Pd(PPh
3)
4(0.59 g, 0.506 mmol)を添加した。その反応物を18時間還流させながら撹拌し、冷やした。DME(50 mL)及び水(40 mL)をその反応混合物に添加した。得られた混合物を再度窒素で脱ガスし、追加のPd(PPh
3)
4(0.59 g, 0.506 mmol)と2.5gの追加のボロン酸を添加した。これを再加熱し、夜通し還流させながら撹拌した。粗生成物を酢酸エチル及び水で希釈した。有機層を濃縮し、ヘキサン中2〜5%酢酸エチルで溶出させる400グラムのカラム上でクロマトグラフィーにかけて、所望する生成物(7.9 g, 67%)を白色固体として得た。
【0209】
2−(4−トリイソプロピルシリル)フェニル)ピリジンの合成
【化44】
【0210】
2−(4−ブロモフェニル)ピリジン(4.78 g, 20.42 mmol)を500mLの三ツ口丸底フラスコに入れ、窒素雰囲気下でTHF(200 mL)に溶かした。そのフラスコをドライアイス/アセトン浴中に置き、−60℃より低くまで冷やした。2.5Mのn−ブチルリチウム(9.39 mL, 23.48 mmol)を、セプタムを通してシリンジで少しずつ添加し、同時に反応温度を−60℃より低く保った。30分後、クロロトリイソプロピルシラン(5.24 mL, 24.50 mmol)を少しずつシリンジから速やかに添加し、反応温度は−60℃より低く保った。その反応物を3時間にわたって室温まで温まるようにさせておいた。その反応混合物を水で失活させ、次に食塩水及び酢酸エチルを入れた分液ロートに移した。水性部分を酢酸エチルで2回抽出した。一緒にした有機層を飽和食塩水で一度洗った。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させて8.5gの粗生成物を橙色オイルとして得た。その粗生成物をセライト(登録商標)上に吸着させ、ヘキサン中2〜5%酢酸エチルを用いてシリカ上で精製した。クーゲルロールでの真空蒸留によって、標題化合物を黄色固体(2.42 g, 38%)として得た。
【0211】
化合物Dの調製
【化45】
【0212】
上記イリジウム錯体(2.29 g, 3.21 mmol)、2−(4−(トリイソプロピルシリル)フェニル)ピリジン(3.0 g, 9.63 mmol)、及びエタノール(70 mL)を、250mLの一口丸底フラスコ中で混合した。その懸濁液を、窒素下で24時間、加熱して激しく還流させた。その反応物を室温まで冷やし、次に焼結フィルターロート中のセライト(登録商標)の詰め物を使用して濾過した。その固体をエタノールで良く洗った。フィルターケーキを次にジクロロメタンで別のフラスコ中へ洗い出し、濾液を蒸発させて明るい黄色固体(1.46 g)を得た。その粗生成物をセライト(登録商標)上に吸着させ、75/25、次に50/50のヘキサン/ジクロロメタン(v/v)溶媒系を使用してシリカゲル上で精製して明るい黄色固体を得た(0.88 g, 47.4%)。
【0213】
〔化合物1の合成〕
【0214】
2−フェニル−5−(トリフェニルシリル)ピリジンの調製
【化46】
【0215】
5−ブロモ−3−フェニルピリジン(3.0 g, 12.8 mmol)をTHF(200 mL)に溶かした。この溶液をつぎに−78℃に冷やした。その冷やした溶液に、ヘキサン中2.5Mのn−BuLi(1.88mL)を滴下により添加した。完全なリチウム−ハロゲン交換の後、THF(15 mL)に溶かしたクロロトリフェニルシラン(4.53 g, 15.38 mmol)をその反応媒体にゆっくり添加した。その反応混合物を−78℃にさらに45分間保ち、その後それを常温まで温まるようにしておいた。2時間後、未精製反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液で失活させ、食塩水と酢酸エチルの間に分配させた。水層を集め、酢酸エチルで再洗浄した。一緒にした有機層をMgSO
4上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、溶出液としてヘキサン中1〜4%の酢酸エチルを用いてシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、2−フェニル−5−(トリフェニルシリル)ピリジン(3.17 g, 60%)を白色固体として得た。
【0216】
化合物1の調製
【化47】
【0217】
上記イリジウム錯体(2.186 g, 3.06 mmol)及び2−フェニル−5−(トリフェニルシリル)ピリジン(3.8 g, 9.19 mmol)をエタノール(56 mL)中で混合し、窒素下で18時間加熱還流させた。その反応混合物を室温に冷やし、セライト(登録商標)の詰め物を通して濾過した。固体残留物を集め、セライト(登録商標)上にコーティングし、溶媒としてDCMを用いてシリカゲルの詰め物を通して、1.87gの粗生成物を得た。この生成物を、ヘキサン−ジクロロメタンの2:1混合物(v/v)を用いてシリカゲル上でクロマトグラフィーにかけ、さらに昇華させて、化合物1(0.85 g, 30.3%)を得た。
【0218】
〔化合物2の合成〕
【0219】
2−フェニル−4−(トリフェニルシリル)ピリジンの合成
【化48】
【0220】
500mLの二口フラスコに4−ブロモ−2−フェニルピリジン(5.12 g, 21.87 mmol)を仕込んだ。そのフラスコ中の気体を脱気し、窒素を充填した。その反応混合物をTHF(200 mL)で希釈し、これをドライアイス/アセトン浴中においた。次に、n−ブチルリチウム(9.62 mL, 24.06 mmol)を添加し、その反応物を30分間撹拌し、次にTHF(20 mL)中に溶かしたクロロトリフェニルシラン(7.74 g, 26.2 mmol)を添加し、その浴を取り除いた。2時間後、その反応物を水で失活させ、酢酸エチル及び水で希釈した。有機層を食塩水、次に水で洗い、乾燥させた。生成物を、ヘキサン中5〜10%酢酸エチルで溶出させる400gカラム上でクロマトグラフィーにかけて、生成物を白色固体(6.64 g, 73%)として得た。
【0221】
化合物2の調製
【化49】
【0222】
500mLの丸底フラスコ中に、エタノール(100 mL)中の2−フェニル−4−(トリフェニルシリル)ピリジン(6.40 g, 15.47 mmol)及び上記イリジウム錯体(3.68 g, 5.16 mmol)を入れた。これを20時間還流させながら撹拌した。その反応混合物を濾過し、ヘキサン及びエタノールで洗った。次に、濾過ロートを別の濾過フラスコ上に置き、粗生成物とセライト(登録商標)をDCMで洗った。濾液を蒸発させて3.65gの粗生成物を得た。粗生成物を、1:1(v/v)のDCM−ヘキサンで溶出させる3×150gのシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、2.64gの生成物を得た。この生成物をアセトニトリル(200 mL)中に懸濁させ、13時間還流させながら撹拌した。その混合生成物を次に冷やし、濾過して2.2gを得た。これを315℃で昇華させて1.68gの化合物2を得た。
【0223】
〔化合物3の合成〕
【0224】
2−(3−(トリフェニルシリル)フェニル)ピリジンの調製
【化50】
【0225】
2−(3−ブロモフェニル)ピリジン(5 g, 21.36 mmol)をTHF(214 mL)に溶かし、−78℃に冷やした。n−ブチルリチウム(ヘキサン中の2.5 M溶液, 9.40 mL, 23.50 mmol)をその冷やした反応混合物にゆっくり添加し、完全に添加した後、これをさらに30分間、冷たい浴中で撹拌した。THF(30 mL)中に溶かしたクロロトリフェニルシラン(7.56 g, 25.6 mmol)をその反応混合物にゆっくり添加し、これを次に室温まで昇温するようにさせておき、さらに18時間撹拌した。その反応混合物を飽和NH
4Cl溶液で失活させた。その反応混合物を食塩水と酢酸エチルの間に分配させた。有機層を一緒にし、MgSO
4上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。灰白色の粗生成物を、2〜8%酢酸エチル/ヘキサンを溶出液として用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製した。単離した油状物質をヘキサン/DCMから再結晶して、2−(3−(トリフェニルシリル)フェニル)ピリジン(6.91 g, 78%)を白色結晶性固体として得た。
【0226】
化合物3の調製
【化51】
【0227】
上記イリジウム錯体(3.74 g, 5.24 mmol)及び2−(3−(トリフェニルシリル)フェニル)ピリジン(6.5 g, 15.72 mmol)をエタノール(150 mL)に添加し、30分間窒素ガスをバブリングさせることによって脱ガスした。反応混合物を窒素下で18時間還流させた。冷却した反応混合物を、セライト(登録商標)の詰め物を通して濾過した。集めた固体をエタノール、次にヘキサンで洗った。沈殿物をDCM中に溶かした。有機溶媒を減圧下で除去して淡黄色固体を得て、これを7:3(v/v)のDCM:ヘキサンを用いるカラムクロマトグラフィーによってさらに精製した。化合物3(2 g, 41.8%)を、昇華によってさらに精製した後で明るい黄色固体として単離した。
【0228】
〔化合物4の合成〕
【0229】
2−(3−(メチルジフェニルシリル)フェニル)ピリジンの合成
【化52】
【0230】
2−(3−ブロモフェニル)ピリジン(3 g, 12.82 mmol)を無水THF(250 mL)に添加し、−78℃に冷やした。クロロ(メチル)ジフェニルシラン(4.24 mL, 19.22 mmol)をその溶液に滴下により添加し、室温になるようにさせておき18時間撹拌した。その反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液で失活させた。粗生成物を食塩水及び酢酸エチルの間に分配させた。有機層を一緒にし、乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。単離した生成物を、1〜5%酢酸エチル/ヘキサンを溶出液として用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。単離した物質を蒸留によってさらに精製して、2−(3−(メチルジフェニルシリル)フェニル)ピリジン(3.9 g, 69%)を得た。
【0231】
化合物4の調製
【化53】
【0232】
上記イリジウム錯体(2.234 g, 3.13 mmol)及び2−(3−(メチルジフェニルシリル)フェニル)ピリジン(3.3 g, 9.39 mmol)を、エタノール及びメタノールの1:1混合物に添加し、30分間窒素ガスをバブリングさせることによって脱ガスした。その反応混合物18時間加熱還流させ、その時間の後、反応混合物を冷やし、セライト(登録商標)の詰め物を通して濾過した。残留物をエタノール、次にヘキサンで洗い、次にジクロロメタンに溶かした。有機溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を、溶出液として7:3(v/v)のDCM:ヘキサンを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、所望の生成物(0.97 g, 51%)を昇華後に単離した。
【0233】
〔化合物5の合成〕
【0234】
2−(4−(トリフェニルシリル)フェニル)ピリジンの合成
【化54】
【0235】
2−(4−ブロモフェニル)ピリジン(3.0 g, 12.82 mmol)を250mLの三ツ口フラスコに添加した。これを脱気し、窒素を充填して戻した。反応混合物をTHF(120 mL)で希釈し、そのフラスコをドライアイス/アセトン浴中に置いた。n−ブチルリチウム(5.64 mL, 14.10 mmol)を添加し、溶液が淡黄色から緑に変わり、沈殿物が形成された。クロロトリフェニルシラン(4.53 g, 15.4 mmol)を窒素下で別のフラスコに入れ、THF(15 mL)に溶かした。30分後、そのクロロトリフェニルシランを添加し、ドライアイス浴を取り除いた。反応物を常温まで撹拌し、淡黄色透明溶液になった。2時間後、反応混合物を食塩水及び酢酸エチルで希釈した。有機層を水で洗い、乾燥させ、セライト(登録商標)上に吸着させた。ヘキサン中5〜10%酢酸エチルで溶出させる200gカラム上でのクロマトグラフィーにより所望する生成物を白色固体として得た(4.1 g, 77%)。
【0236】
化合物5の調製
【化55】
【0237】
上記イリジウム錯体(2.301 g, 3.22 mmol)及び2−(4−(トリフェニルシリル)フェニル)ピリジン(4.0 g, 9.67 mmol)を250mLの三ツ口フラスコに添加した。その反応混合物をエタノール(100 mL)で希釈し、その反応物を20時間還流しながら撹拌した。その反応混合物を、次にセライト(登録商標)を通して濾過し、ヘキサン、次にメタノールで洗った。濾過ロートを次に別のフラスコ上に置き、濾過ケーキをジクロロメタンで洗った。未精製黄色固体になるまで濾液を蒸発させ、これを1:1(v/v)のDCM:ヘキサンの移動相を用いてシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製して、1.8gの生成物を得て、これを昇華して純粋な化合物5(1.32 g, 63%)を得た。
【0238】
〔化合物6の調製〕
【化56】
【0239】
5−(メチルジフェニルシリル)−2−フェニルピリジンの合成
5−ブロモ−2−フェニルピリジン(5 g, 21.36 mmol)を220mLのTHFに溶かし、−78℃に冷やした。BuLi(9.4 mL, 2.5M)をその反応混合物に滴下して添加し、完全なハロゲン−リチウム交換するまで−78℃で撹拌し、これはGCによって観察した。反応温度を−78℃に保ちながら、15mLのTHF中に溶かしたクロロ(メチル)ジフェニルシラン(5.82 mL, 27.8 mmol)をゆっくり添加し、その反応混合物をさらに18時間、撹拌を続けた。反応混合物を数滴の飽和NH
4Cl溶液で失活させ、その後、食塩水と酢酸エチルの間に分配させた。有機層を一緒にし、無水MgSO
4上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させて茶色のオイルを得た。粗生成物を、溶出液として5〜7%酢酸エチル/ヘキサンを用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製した。5−(メチルジフェニルシリル)−2−フェニルピリジン(4.8 g, 64%)を無色オイルとして単離した。
【0240】
【化57】
【0241】
化合物6の合成
Irppyトリフラート中間体(3.22 g, 4.51 mmol)及び5−(メチルジフェニルシリル)−2−フェニルピリジン(4.76 g, 13.54 mmol)を90mLのエタノールに添加し、30分間脱ガスした。反応混合物を24時間加熱還流させ、次に冷やした。黄色沈殿物を集め、水、次にヘキサンで洗い、最後に真空オーブン中50℃で乾燥させた。未精製物質を、溶出液として30〜70%DCM及びヘキサンを用いてシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、化合物6(1.4 g, 36%収率)を得た。
【0242】
〔化合物11の調製〕
【化58】
【0243】
5−ブロモ−4−メチル−2−フェニルピリジンの合成
2,5−ジブロモ−4−メチルピリジン(15 g, 59.8 mmol)、フェニルボロン酸(6.63 g, 54.3 mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.256 g, 1.087 mmol)、及び炭酸カリウム(47.7 g, 345 mmol)を260mLの1:1のジメトキシエタン及び水に添加した。反応混合物を、バブリングさせた窒素ガスによって30分間脱ガスさせ、窒素下で4時間還流させた。室温に冷やした後、反応混合物を食塩水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を一緒にし、無水MgSO
4上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、シリカゲル上で、溶出液として1〜3%酢酸エチル/ヘキサンを用いるカラムクロマトグラフィーによって精製した。5−ブロモ−4−メチル−2−フェニルピリジン(11.30 g, 93%)を単離した。
【0244】
【化59】
【0245】
5−(ジメチル(フェニル)シリル)−4−メチル−2−フェニルピリジンの合成
5−ブロモ−4−メチル−2−フェニルピリジン(6.14 g, 24.75 mmol)を200mLの無水THFに溶かし、−78℃に冷やした。クロロジメチル(フェニル)シラン(6.23 ml, 37.1 mmol)を30mLのTHFに溶かし、先の反応混合物に滴下により添加した。反応混合物を室温まで18時間にわたって撹拌した。反応混合物を飽和NH
4Cl溶液で失活させ、酢酸エチルで抽出した。一緒に合わせた有機層を無水MgSO
4上で乾燥させ、溶媒を蒸発させて粗生成物を得た。溶出液として1〜5%酢酸エチル/ヘキサンを用いるクロマトグラフィーの後、5−(ジメチル(フェニル)シリル)−4−メチル−2−フェニルピリジン(5.01 g, 66.7%)を白色固体として単離した。
【0246】
【化60】
【0247】
化合物11の合成
5−(ジメチル(フェニル)シリル)−4−メチル−2−フェニルピリジン(5 g, 16.48 mmol)及びIrppyトリフラート中間体(2.94 g, 4.12 mmol)を150mLのエタノールに添加し、30分間脱ガスした。反応混合物を18時間、加熱し還流させた。未精製反応混合物を、セライト(登録商標)の詰め物を通して濾過した。集めた沈殿物をエタノール、次いでヘキサンで洗い、最後にDCMに再度溶かした。黄色いDCM溶液から溶媒を除去して、3.5gの未精製黄色物質を得た。粗生成物を、溶出液として1:1から7:3のDCM/ヘキサンを用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、2.3gの純粋な物質を得た。
【0248】
化合物37の調製
【化61】
【0249】
2−(3−(ジメチル(フェニル)シリル)フェニル)ピリジンの合成
2−(3−ブロモフェニル)ピリジン(4.41 g, 18.84 mmol)を220mLのTHFに溶かし、−78℃に冷やした。その反応混合物に9.4mLの2.5M
nBuLIを滴下により添加し、完全なハロゲン−リチウム交換が起こるまで−78℃で撹拌した。この時点で、15mLのTHFに溶かしたクロロジメチル(フェニル)シラン(3.79 mL, 22.61 mmol)をその反応混合物に添加し、それを夜通しで室温まで温まるようにした。反応混合物を飽和NH
4Cl溶液で失活させ、酢酸エチルで抽出した。有機相を一緒にし、無水MgSO
4上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。油状物を、5〜10%酢酸エチル/ヘキサンを用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、2−(3−(ジメチル(フェニル)シリル)フェニル)ピリジン(4.37 g, 15.10 mmol, 80%収率)を得た。
【0250】
【化62】
【0251】
化合物37の合成
2−(3−(ジメチル(フェニル)シリル)フェニル)ピリジン(4 g, 13.82 mmol)及びIrppyトリフラート中間体(3.29 g, 4.61 mmol)を150mLのエタノールに溶かし、30分間脱ガスした。反応混合物を窒素ガス下で18時間加熱還流させた。室温に冷やして、黄色沈殿物を濾別し、ヘキサンで洗った。未精製物質をヘキサン中30〜70%DCMを用いてシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、1gの所望する生成物を得た。
【0252】
本明細書に記載した様々な態様は例示の目的であり、本発明の範囲を限定することを意図していないことが理解される。例えば、本明細書に記載した多くの物質及び構造は、本発明の精神から離れることなく、その他の物質及び構造で置き換えることができる。特許請求の範囲に記載した本発明は、したがって、本明細書に記載した具体的な例及び好ましい態様からの変形を含むことができ、それは当業者には明らかである。本発明が何故機能するのかについての様々な理論は限定することを意図していないことが理解される。