(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
浴槽内の浴槽水が循環される浴槽水循環回路に、浴槽水循環手段と当該浴槽水循環回路内を流れる浴槽水を加熱する加熱手段とを備えて、浴槽水を追焚きできるように構成し、
湯張運転指令が指令されると、前記浴槽内に湯を供給して設定湯張温度で設定水位の湯張を完了する自動湯張運転を行う自動湯張運転手段、及び、前記自動湯張運転手段による湯張の完了後において、前記湯張運転指令が指令されている間は、設定された追焚運転周期にて浴槽水を前記設定湯張温度に追焚きする保温運転を行う保温運転手段を設け、
追焚運転指令が指令されると、浴槽水を前記設定湯張温度に追焚きする追焚運転を行う追焚運転手段を設けた風呂設備の浴槽断熱レベル推定システムであって、
前記自動湯張運転手段による湯張の完了後で前記湯張運転指令の解除後、前記追焚運転指令を受け付けて前記追焚運転手段が前記追焚運転を実行するまでの追焚待時間を検出する第1検出手段と、
前記追焚運転において、追焚き開始後の所定のタイミングで浴槽から戻ってくる浴槽水戻温度を検出する第2検出手段と、
前記自動湯張運転から前記追焚運転までの浴槽内水位の変動の有無を検出する第3検出手段と、
外気温度の変動が所定の許容温度範囲内であるかどうかを検出する第4検出手段とを備え、
先に行われた前記自動湯張運転の終了時から、当該自動湯張運転の後に前記湯張運転指令の解除後において前記追焚運転が行われた場合の当該先側追焚運転の開始時までの第1計測期間、及び、後に行われた前記自動湯張運転の終了時から、当該自動湯張運転の後に前記湯張運転指令の解除後において前記追焚運転が行われた場合の当該後側追焚運転の開始時までの第2計測期間において、前記第3検出手段により前記浴槽内水位の変動が検出されず、かつ、前記第4検出手段により前記外気温度の変動が前記許容温度範囲内であることが確認され、且つ、先に行われた前記自動湯張運転及び後に行われた前記自動湯張運転の前記設定湯張温度及び前記設定水位が同一である推定許可条件が満たされることを条件として、
前記先側追焚運転の前記追焚待時間と前記後側追焚運転の前記追焚待時間との差、及び、前記先側追焚運転において前記第2検出手段で検出される前記浴槽水戻温度と、前記後側追焚運転において前記第2検出手段で検出される前記浴槽水戻温度との差に基づいて、前記浴槽の断熱レベルを推定する断熱レベル推定手段を備えた風呂設備の浴槽断熱レベル推定システム。
請求項1、2又は3記載の風呂設備の浴槽断熱レベル推定システムで推定される前記断熱レベルに基づいて、前記追焚運転周期を決定する追焚周期決定手段を備えた風呂設備。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
浴槽水の温度が単位時間当たりに低下する温度低下量は、外気温度や設定湯張温度の影響があるにしても、浴槽の断熱レベルに大きく影響されるものであり、近年では、浴槽の断熱レベルが高くなっている。
すなわち、浴槽の断熱レベルは、浴槽の内部に貯留した浴槽水の時間経過に伴う温度低下のし難さに対応するものであり、近年使用される浴槽は、断熱レベルが相当高くなっているため、浴槽水の温度が単位時間当たりに低下する温度低下量は、小さな値を示す傾向にある。
【0010】
説明を加えると、近年一般に使用されている浴槽としては、断熱レベルが高い高断熱浴槽、高断熱浴槽よりも断熱レベルが低い非高断熱浴槽、及び、断熱レベルが非高断熱浴槽の断熱レベルよりも低い非断熱浴槽があるが、近年では、非断熱浴槽が使用されることは少なく、高断熱浴槽や非高断熱浴槽が使用される傾向にあり、また、高断熱浴槽と非高断熱浴槽とを較べると、高断熱浴槽の方が非高断熱浴槽よりも好まれる傾向にある。
【0011】
そして、高断熱浴槽においては、目標湯張温度を38℃に設定した状態において、浴槽水の温度が1℃低下するのに要する時間が、外気温度が10℃程度の冬期においても、2時間36分10秒になり、また、非高断熱浴槽においては、目標湯張温度を38℃に設定した状態において、浴槽水の温度が1℃低下するのに要する時間が、外気温度が10℃程度の冬期においても、1時間15分10秒になる等、近年多く使用されている浴槽(高断熱浴槽、非高断熱浴槽)は、断熱レベルが高く、浴槽水の温度が1℃低下するのに要する時間が、相当長くなる(
図4参照)。
【0012】
ちなみに、非断熱浴槽においては、目標湯張温度を38℃に設定した状態において、浴槽水の温度が1℃低下するのに要する時間が、外気温度が10℃程度の冬期においても、49分になるものであり、非断熱浴槽においても、浴槽水の温度が1℃低下するのに要する時間がかなり長いといえる(
図4参照)。
【0013】
つまり、浴槽が、高断熱浴槽、非高断熱浴槽、及び、非断熱浴槽のいずれである場合においても、外気温度が高いほど、浴槽水の温度が1℃低下するのに要する時間が長く掛かることになり、また、目標湯張温度が低いほど、浴槽水の温度が1℃低下するのに要する時間が長く掛かることになるが、高断熱浴槽においては、浴槽水の温度が1℃低下するのに要する時間が、外気温度が10℃程度の冬期においても、2時間程度掛かるものとなる等、近年使用されている浴槽(高断熱浴槽、非高断熱浴槽、非断熱浴槽)においては、浴槽水の温度が1℃低下するのに要する時間が長くなる傾向にある。
【0014】
特許文献1においては、追焚運転周期(例えば、30分)が経過する毎に保温運転を実行する場合において、追焚きを開始した際に浴槽から戻ってくる浴槽水の温度と、設定湯張温度とに基づいて、浴槽水の温度が単位時間当たりに低下する温度低下量を求めるものであるが、近年一般に使用されている断熱レベルが高い浴槽においては、追焚運転周期が経過する間に浴槽水の温度が低下する量がかなり小さいため、その温度が低下する量を的確に検出できないことに起因して、浴槽水の温度が単位時間当たりに低下する温度低下量を精度良く求めることができないものであり、結果的に、追焚運転周期を適切に調整できない虞があった。
【0015】
そして、追焚運転周期を調整するにあたり、外気温度や設定湯張温度の影響を考慮する必要があるものの、浴槽の断熱レベルを精度良く求めることができれば、浴槽の断熱レベルに応じて、追焚運転周期を適切に調節することが可能となるのであり、このため、浴槽の断熱レベルを精度の良い状態で求めることが望まれている。
【0016】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、浴槽の断熱レベルを精度の良い状態で求めることができる風呂設備の浴槽断熱レベル推定システムを提供する点にある。
また、本発明の別の目的は、追焚運転周期を適切な周期に調整して、省エネルギー性の優れた運転を行うことができる風呂設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の風呂設備の浴槽断熱レベル推定システムは、浴槽内の浴槽水が循環される浴槽水循環回路に、浴槽水循環手段と当該浴槽水循環回路内を流れる浴槽水を加熱する加熱手段とを備えて、浴槽水を追焚きできるように構成し、
湯張運転指令が指令されると、前記浴槽内に湯を供給して設定湯張温度で設定水位の湯張を完了する自動湯張運転を行う自動湯張運転手段、及び、前記自動湯張運転手段による湯張の完了後において、前記湯張運転指令が指令されている間は、設定された追焚運転周期にて浴槽水を前記設定湯張温度に追焚きする保温運転を行う保温運転手段を設け、
追焚運転指令が指令されると、浴槽水を前記設定湯張温度に追焚きする追焚運転を行う追焚運転手段を設けたものであって、その第1特徴構成は、
前記自動湯張運転手段による湯張の完了後で前記湯張運転指令の解除後、前記追焚運転指令を受け付けて前記追焚運転手段が前記追焚運転を実行するまでの追焚待時間を検出する第1検出手段と、
前記追焚運転において、追焚き開始後の所定のタイミングで浴槽から戻ってくる浴槽水戻温度を検出する第2検出手段と、
前記自動湯張運転から前記追焚運転までの浴槽内水位の変動の有無を検出する第3検出手段と、
外気温度の変動が所定の許容温度範囲内であるかどうかを検出する第4検出手段とを備え、
先に行われた前記自動湯張運転の終了時から、当該自動湯張運転の後に前記湯張運転指令の解除後において前記追焚運転が行われた場合の当該先側追焚運転の開始時までの第1計測期間、及び、後に行われた前記自動湯張運転の終了時から、当該自動湯張運転の後に前記湯張運転指令の解除後において前記追焚運転が行われた場合の当該後側追焚運転の開始時までの第2計測期間において、前記第3検出手段により前記浴槽内水位の変動が検出されず、かつ、前記第4検出手段により前記外気温度の変動が前記許容温度範囲内であることが確認され、且つ、先に行われた前記自動湯張運転及び後に行われた前記自動湯張運転の前記設定湯張温度及び前記設定水位が同一である推定許可条件が満たされることを条件として、
前記先側追焚運転の前記追焚待時間と前記後側追焚運転の前記追焚待時間との差、及び、前記先側追焚運転において前記第2検出手段で検出される前記浴槽水戻温度と、前記後側追焚運転において前記第2検出手段で検出される前記浴槽水戻温度との差に基づいて、前記浴槽の断熱レベルを推定する断熱レベル推定手段を備える点を特徴とする。
【0018】
すなわち、自動湯張運転手段、保温運転手段、及び、追焚運転手段を備えた風呂設備においては、通常は、自動湯張運転に続いて、保温運転を実行する形態で使用されることになるが、自動湯張運転による湯張の完了後において湯張運転指令を解除し、入浴者が入浴する際に追焚運転を行う形態で使用される場合も多い。
【0019】
したがって、自動湯張運転による湯張の完了後において湯張運転指令を解除し、入浴者が入浴する際に追焚運転を行う形態が繰り返されるときに、先の自動湯張運転の終了の後に実行された先側追焚運転の追焚待時間、後の自動湯張運転の後に実行された後側追焚運転の追焚待時間、先側追焚運転における浴槽水戻温度、及び、後側追焚運転における浴槽水戻温度が求められることになる。
【0020】
そして、先側追焚運転の追焚待時間と後側追焚運転の追焚待時間との差、及び、先側追焚運転における浴槽水戻温度と後側追焚運転における浴槽水戻温度との差に基づいて、断熱レベル推定手段が浴槽の断熱レベルを推定することになる。
つまり、先側追焚運転における浴槽水戻温度及び後側追焚運転における浴槽水戻温度は、追焚待時間が長くなるほど、低下する傾向となり、そして、先側追焚運転における浴槽水戻温度と後側追焚運転における浴槽水戻温度との差は、先側追焚運転の追焚待時間と後側追焚運転の追焚待時間との差が同じでも、浴槽の断熱レベルが高いほど小さくなる、換言すれば、浴槽の断熱レベルに応じて変化するものであるから、断熱レベル推定手段によって、浴槽の断熱レベルを推定することができるのである。
【0021】
しかも、先側追焚運転の追焚待時間や後側追焚運転の追焚待時間は、通常の使用形態においては、1時間や2時間等の長時間であり、浴槽の断熱レベルが高い場合にも、先側追焚運転の追焚待時間や後側追焚運転の追焚待時間が経過する間には、浴槽水が設定湯張温度から十分に低下することになるから、浴槽の断熱レベルが高い場合にも、その断熱レベルを適切に推定することができる。
【0022】
さらに、断熱レベル推定手段は、推定許可条件が満たされることを条件として、浴槽の断熱レベルを推定するものであるから、浴槽の断熱レベルを精度の良い状態で推定することができる。
説明を加えると、浴槽水は、設定湯張温度が高いほど冷めやすく、外気温度が低いほど冷めやすい傾向にあり、また、浴槽内の水位が低いほど冷めやすくなる等、浴槽内の水位が変化すると、浴槽水の温度低下形態が変動する傾向となり、さらに、浴槽内水位の変動が検出される場合とは、入浴者が浴槽に入ることによって、浴槽水の温度が低下した可能性が高い状態であるから、推定許可条件が満たされることを条件として、浴槽の断熱レベルを推定することにより、浴槽の断熱レベルを精度良く推定することができるのである。
【0023】
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、浴槽の断熱レベルを精度の良い状態で求めることができる風呂設備の浴槽断熱レベル推定システムを提供できる。
【0024】
本発明の風呂設備の浴槽断熱レベル推定システムの第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記断熱レベル推定手段による断熱レベルの推定において、
前記先側追焚運転の前記追焚待時間をTi1、前記後側追焚運転の前記追焚待時間をTi2、前記先側追焚運転において前記第2検出手段で検出される前記浴槽水戻温度をTs1、及び、前記後側追焚運転において前記第2検出手段で検出される前記浴槽水戻温度をTs2として、Tc=1/(Ts1−Ts2)×(Ti1−Ti2)で求められる温度降下指標Tcに基づいて、前記温度降下指標が大きい程、前記断熱レベルが高いと推定する点を特徴とする。
【0025】
すなわち、断熱レベル推定手段が、温度降下指標Tcを、1/(Ts1−Ts2)×(Ti1−Ti2)の演算式にて求めて、温度降下指標が大きい程、浴槽の断熱レベルが高いと推定することになる。
尚、上記演算式においては、Ts1がTs2よりも小さい場合は、(Ts1−Ts2)の値は、その絶対値として扱い、同様に、Ti1がTi2よりも小さい場合は、Ti1−Ti2)の値は、その絶対値として扱うものとする。
【0026】
つまり、浴槽水は、設定湯張温度が高いほど冷めやすくなるものの、追焚待時間の間に低下する浴槽水温度は、例えば、2℃程度の小さな値であり、追焚待時間の間の浴槽水温度の低下は、浴槽の断熱レベルの変化に拘わらず、略直線的であるとみなすことができることを利用して、上述の演算式にて、温度降下指標Tcを求めて、温度降下指標が大きい程、浴槽の断熱レベルが高いと推定することになる。
【0027】
このように、温度降下指標を上述の演算式にて求めて、温度降下指標が大きい程、浴槽の断熱レベルが高いと推定するものであるから、断熱レベル推定手段の簡素化を図ることができる。
【0028】
説明を加えると、先側追焚運転の追焚待時間をTi1、後側追焚運転の前記追焚待時間をTi2、先側追焚運転における浴槽水戻温度をTs1、及び、後側追焚運転における浴槽水戻温度をTs2の夫々を設定量ずつ変化させて、それら変化させた夫々についての浴槽の断熱レベルを定めた断熱レベル推定用のマップを作成して、その断熱レベル推定用のマップと、先側追焚運転の追焚待時間をTi1、後側追焚運転の前記追焚待時間をTi2、先側追焚運転における浴槽水戻温度をTs1、及び、後側追焚運転における浴槽水戻温度をTs2とに基づいて、浴槽の断熱レベルを推定することが考えられる。
【0029】
しかしながら、この場合には、断熱レベル推定用のマップの作成が手間の掛かる作業となり、断熱レベル推定手段の簡素化を図ることができないものとなるが、温度降下指標を演算式にて求めて、求めた温度降下指標が大きい程、浴槽の断熱レベルが高いと推定するようにすることにより、断熱レベル推定手段の簡素化を図ることができるのである。
【0030】
要するに、本発明の第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、断熱レベル推定手段の簡素化を図ることができる風呂設備の浴槽断熱レベル推定システムを提供できる。
【0031】
本発明の風呂設備の浴槽断熱レベル推定システムの第3特徴構成は、上記第2特徴構成に加えて、
前記温度降下指標Tcを使用して、高断熱浴槽と、断熱性能が前記高断熱浴槽より低い低断熱浴槽とを判別する点を特徴とする。
【0032】
すなわち、近年一般的に使用されている浴槽は、断熱レベルが高い高断熱浴槽、高断熱浴槽よりも断熱レベルが低い非高断熱浴槽、及び、断熱レベルが非高断熱浴槽の断熱レベルよりも低い非断熱浴槽があるが、近年では、非断熱浴槽が使用されることは少なく、高断熱浴槽や非高断熱浴槽が使用される傾向にあることに鑑みて、断熱レベル推定手段が、温度降下指標Tcを使用して、断熱レベルが高い高断熱浴槽と、断熱レベルが高断熱浴槽より低い低断熱浴槽(非高断熱浴槽、非断熱浴槽)とを判別することになる。
【0033】
しかも、
図4を参照すると、例えば、高断熱浴槽においては、目標湯張温度を38℃に設定した状態において、浴槽水の温度が1℃低下するのに要する時間が、外気温度が10℃程度の冬期においても、2時間36分10秒になり、そして、非高断熱浴槽においては、目標湯張温度を38℃に設定した状態において、浴槽水の温度が1℃低下するのに要する時間が、外気温度が10℃程度の冬期においても、1時間15分10秒になる等、高断熱浴槽と非高断熱浴槽との間では、浴槽水の温度が1℃低下するのに要する時間が大きく異なる傾向にあるから、断熱レベル推定手段が、断熱レベルが高い高断熱浴槽と、断熱レベルが高断熱浴槽より低い低断熱浴槽(非高断熱浴槽、非断熱浴槽)とを、的確に判別できることになる。
【0034】
要するに、本発明の第3特徴構成によれば、上記第2特徴構成による作用効果に加えて、近年一般的に使用されている浴槽のうちの、断熱レベルが高い高断熱浴槽と、高断熱浴槽よりも断熱レベルが低い低断熱浴槽(非高断熱浴槽、非断熱浴槽)とを的確に判別できる風呂設備の浴槽断熱レベル推定システムを提供できる。
【0035】
本発明の風呂設備は、上記第1、第2又は第3特徴構成の風呂設備の浴槽断熱レベル推定システムで推定される前記断熱レベルに基づいて、前記追焚運転周期を決定する追焚周期決定手段を備えている点を特徴とする。
【0036】
すなわち、追焚周期決定手段が、精度の良い状態で求められた浴槽の断熱レベルに基づいて、保温運転手段が行う追焚運転の追焚運転周期を決定するものであるから、断熱レベルが高い浴槽の場合には、断熱レベルが低い浴槽の場合よりも、追焚運転周期を長く設定する等、追焚運転周期を適切に調整できる。
【0037】
このように、浴槽の断熱レベルに応じて、追焚運転周期を適切に調整できるから、不必要な追焚運転を実行することが回避して、省エネルギー性の優れた運転を行うことができる。
【0038】
要するに、本発明の風呂設備によれば、追焚運転周期を適切な周期に調整して、省エネルギー性の優れた運転を行うことができる風呂設備を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(風呂設備の全体構成)
図1に示すように、風呂設備は、温度調整した湯水を浴槽Yや給湯栓2に供給する湯水供給処理等を行う熱源機Gと、その熱源機Gの運転を制御する運転制御部Cと、その運転制御部Cに各種制御指令を指令するメインリモコンR1及び浴室リモコンR2とを備えて構成されている。
ちなみに、メインリモコンR1は炊事場の近く等に設けられ、浴室リモコンR2は浴槽Yが設置された浴室内に設けられる。
【0041】
図1に示すように、熱源機Gは、一般家庭用の水道管に接続された給水路1からの水をガス燃焼式の給湯用バーナg1によって加熱して、加熱後の湯水を給湯栓2や浴槽Yに供給する給湯用加熱部A、及び、ガス燃焼式の加熱用バーナg2によって、熱消費端末Uに循環供給する温水の加熱や浴槽Yの内部に貯留された浴槽水を追焚きする温水循環用加熱部Bを備えて構成されている。
ちなみに、熱消費端末Uとしては、例えば、浴室暖房乾燥機、床暖房装置が設けられることになる。
【0042】
(給湯用加熱部及び温水循環用加熱部の構成)
給湯用加熱部A及び温水循環用加熱部Bはいずれも、主熱交換器N1と潜熱回収式の副熱交換器N2とを備える形態に構成され、主熱交換器N1と副熱交換器N2とが、給湯用バーナg1や加熱用バーナg2から排気路5に向かう燃焼排ガスの流動方向において、副熱交換器N2が主熱交換器N1よりも下手側に位置する状態で、燃焼排ガス流動方向に沿って並設されている。
【0043】
給湯用加熱部Aにおいては、給水路1からの水が、副熱交換器N2を通流したのち、主熱交換器N1を通流する形態で流動し、温水循環用加熱部Bにおいては、熱消費端末Uや、後述する追焚用熱交換器28から戻る温水が、副熱交換器N2を通流したのち、主熱交換器N1を通流する形態で流動するように構成されている。
【0044】
そして、給湯用加熱部Aにおいては、副熱交換器N2にて、主として給湯用バーナg1の燃焼排ガスの潜熱により、給水路1からの水を加熱し、主熱交換器N1にて、主として給湯用バーナg1の燃焼排ガスの顕熱により、副熱交換器N2にて加熱された湯水を加熱するように構成されている。
【0045】
また、温水循環用加熱部Bにおいては、副熱交換器N2にて、主として加熱用バーナg2の燃焼排ガスの潜熱により、熱消費端末Uや追焚用熱交換器28から戻る温水を加熱し、主熱交換器N1にて、主として加熱用バーナg2の燃焼排ガスの顕熱により、副熱交換器N2にて加熱された温水を加熱するように構成されている。
【0046】
給湯用加熱部A及び温水循環用加熱部Bの副熱交換器N2からは、燃焼生成水である酸性の凝縮水、即ち、ドレンが生成するが、このドレンはドレンパン6によって集められて中和器7に供給され、中和器7にて中和されたドレンが、ドレンタンク8に貯留されるように構成されている。
ドレンタンク8には、ドレンの貯留量が上限貯留量以上であることを検出する上限センサ8sが設けられている。
【0047】
そして、上限センサ8sにてドレンの貯留量が上限貯留量以上であることが検出されると、ドレン排水ポンプ9が作動されて、ドレンタンク8に貯留されているドレンが、排水管4を通して、浴室の床面に設けられた排水口Dから外部に排出されるように構成されている。
ちなみに、排水管4のうちの熱源機Gの外部に位置する部分は、後述する浴槽用戻路32のうちの熱源機Gの外部に位置する浴槽戻外管32bの内部を通して配管されている。
【0048】
給湯用加熱部A及び温水循環用加熱部Bの夫々に装備された給湯用バーナg1や加熱用バーナg2には、一般家庭用の燃料ガスを供給するガス供給路Kが接続され、そのガス供給路Kには、燃料ガス供給量を調整する電磁式のガス比例弁10、燃料ガスの供給を断続する断続弁11が設けられている。
また、給湯用加熱部A及び温水循環用加熱部Bには、給湯用バーナg1や加熱用バーナg2に燃焼用空気を供給する燃焼用ファン12が設けられている。
尚、図示を省略するが、給湯用バーナg1や加熱用バーナg2の近くには、点火用のイグナイタ及び着火を検出するフレームロッドが設けられることになる。
【0049】
(一般給湯用構成)
給水路1が、給湯用加熱部Aにおける副熱交換器N2の湯水入口部に接続され、先端に給湯栓2が接続された給湯路3が、給湯用加熱部Aにおける主熱交換器N1の湯水出口部に接続されている。
したがって、給水路1を通して供給される水が、副熱交換器N2及び主熱交換器N1にて加熱されたのち、給湯路3を通して給湯栓2に供給されるように構成されている。
【0050】
給水路1には、給水温度を検出する給水サ−ミスタ13と給水量を検出する水量センサ14とが設けられ、給水路1における給水サ−ミスタ13及び水量センサ14よりも下流側の箇所が、主熱交換器N1及び副熱交換器N2を迂回する給水バイパス路15にて、給湯路3に接続されている。
【0051】
給湯路3と給水バイパス路15との接続箇所には、主熱交換器N1からの湯量と給水バイパス路15からの水量との混合比を調整するミキシング弁17が設けられ、給湯路3における給水バイパス路15の接続箇所よりも上流側には、主熱交換器N1から送出される湯水の温度を検出する出湯サーミスタ16が設けられ、給湯路3における給水バイパス路15の接続箇所よりも下流側には、上流側から順に、ミキシング弁17にて混合された後の湯水の温度を検出する給湯サーミスタ18、湯水の量を調整する水比例弁19、一般給湯の割込みを検出する割込み検出用水量センサ20が設けられている。
【0052】
(温水循環用構成)
熱消費端末Uの温水出口部と温水循環用加熱部Bにおける副熱交換器N2の入口部とが、温水循環用戻路21にて接続され、温水循環用加熱部Bにおける主熱交換器N1の温水出口部と熱消費端末Uの温水入口部とが、温水循環用往路22にて接続されている。
温水循環用戻路21には、膨張タンク23が介装され、温水循環用戻路21における膨張タンク23よりも下流側の箇所には、膨張タンク23内の温水を吸引して温水循環用加熱部Bの副熱交換器N2に送出する温水循環用ポンプ24が設けられている。
【0053】
したがって、温水循環用ポンプ24の通流作用により、温水循環用往路22及び温水循環用戻路21を通して、副熱交換器N2及び主熱交換器N1と熱消費端末Uとにわたって温水が循環されて、副熱交換器N2及び主熱交換器N1にて加熱された温水が熱消費端末Uに循環供給されるように構成されている。
【0054】
温水循環用往路22には、副熱交換器N2及び主熱交換器N1にて加熱されたのちの温水の温度を検出する循環温水サーミスタ25、及び、熱消費端末Uへの温水の供給を断続する端末用熱動弁26が設けられている。
【0055】
(追焚用構成)
温水循環用往路22における循環温水サーミスタ25よりも下流側箇所と温水循環用戻路21における膨張タンク23よりも上流側箇所とが、熱消費端末Uを迂回させて温水を循環させるための温水循環バイパス路27にて接続され、その温水循環バイパス路27には、浴槽Y内の浴槽水を追焚するための追焚用熱交換器28と追焚用熱動弁29とが設けられている。
【0056】
追焚用熱交換器28の湯水出口部と浴槽Yの側壁部下方側に装備された循環アダプタ30とが、浴槽用往路31にて接続され、循環アダプタ30と追焚用熱交換器28の湯水入口部とが、浴槽用戻路32にて接続され、その浴槽用戻路32に、浴槽Yの湯水を吸引して追焚用熱交換器28に送出する追焚用循環ポンプ33が設けられている。
【0057】
詳しくは、浴槽用往路31が、熱源機Gの内部に位置する浴槽往内管31aと、熱源機Gから外部に延出されて、循環アダプタ30の往用接続部30fに接続される浴槽往外管31bとから構成され、また、浴槽用戻路32が、熱源機Gの内部に位置する浴槽戻内管32aと、熱源機Gから外部に延出されて、循環アダプタ30の戻用接続部30bに接続される浴槽戻外管32bとから構成されている。
【0058】
したがって、端末用熱動弁26を閉弁し且つ追焚用熱動弁29を開弁した状態で温水循環用ポンプ24を作動させることにより、副熱交換器N2及び主熱交換器N1にて加熱された湯水が、熱消費端末Uを迂回した状態で追焚用熱交換器28に循環供給されることになる。
そして、その状態において、追焚用循環ポンプ33を作動させることにより、浴槽Yの内部に貯留された浴槽水を、浴槽用往路31及び浴槽用戻路32を通して追焚用熱交換器28に循環供給して、追焚用熱交換器28にて加熱する、いわゆる、浴槽Y内の浴槽水の追焚きを行えるように構成されている。
【0059】
ちなみに、本実施形態においては、浴槽用往路31及び浴槽用戻路32にて、浴槽Y内の浴槽水が循環される浴槽水循環回路が構成され、そして、追焚用循環ポンプ33が浴槽水循環手段として機能し、また、追焚用熱交換器28が、浴槽水循環回路内を流れる浴槽水を加熱する加熱手段として機能することになる。
【0060】
浴槽用戻路32の浴槽戻内管32aには、上流側から順に、浴槽用戻路32の内部の湯水の圧力を検出することによって浴槽内水位を検出する浴槽水位検出手段としての水位センサ34、浴槽Yから戻ってくる浴槽水の温度、つまり浴槽水戻温度を検出する浴槽水温度検出手段としての浴槽戻温サーミスタ35、浴槽用戻路32を開閉する電磁式の風呂2方弁36、上述の追焚用循環ポンプ33、水流スイッチ37が設けられている。
また、浴槽用往路31の浴槽往内管31aには、浴槽Yに供給される湯水の温度を検出する浴槽往温サーミスタ38が設けられている。
【0061】
(湯張用構成)
給湯路3における水比例弁19と割込み検出用水量センサ20との間の箇所から、給湯路3からの湯水を浴槽Yに供給するための湯張路41が分岐されて、その湯張路41が、浴槽用戻路32における浴槽戻内管32の追焚用循環ポンプ33と水流スイッチ37との間に相当する箇所に接続されている。
この湯張路41には、上流側から順に、湯張路41を開閉する湯張電磁弁42と、湯張逆止弁43とが設けられている。
【0062】
また、湯張路41における湯張電磁弁42と湯張逆止弁43との間には、湯張路41に連通する空気層形成用ホッパ44が介装されている。
空気層形成用ホッパ44には、湯水を排水する排水路45と、その排水路45を開閉する電磁式の排水弁46とが設けられ、排水路45の端部が、浴槽用戻路32の浴槽戻内管32aにおける風呂2方弁36と追焚用循環ポンプ33との間の箇所に接続されている。
尚、空気層形成用ホッパ44の構成及びその機能は周知であるので、本実施形態においては詳細な説明を省略する。
【0063】
したがって、湯張電磁弁42を開弁すると、給湯用加熱部Aにて加熱されたのち湯張路41を通して供給される湯水が、浴槽用戻路32に供給され、浴槽用戻路32に供給され湯水が、浴槽Yの存在側と追焚用熱交換器28の存在側の両側に向けて分流する形態で通流することになる。つまり、湯張路41を通して供給される湯水が、浴槽用往路31及び浴槽用戻路32の両方を通して浴槽Yに供給されることになる。
【0064】
(熱源機の運転制御)
熱源機Gは、上記した機器類を装備するものであって、上述の説明から明らかな如く、加熱した湯水を給湯栓2に供給する一般給湯処理、加熱した湯水を浴槽Yに供給する湯張処理、加熱した温水を熱消費端末Uに循環供給する端末加熱処理、及び、浴槽Y内の浴槽水を加熱する追焚処理、並びに、ドレン排水処理を行うように構成されている。
【0065】
すなわち、運転制御部Cが、後述する如く、メインリモコンR1や浴室リモコンR2の指令情報、及び、ケーシング39の内部に装備したセンサ類の検出情報に基づいて、ケーシング39の内部に装備した機器類を作動させて、一般給湯処理に対応する一般給湯運転、湯張処理に対応する自動湯張運転、自動湯張運転に続いて行う保温運転、浴槽Yに追加で湯張り給湯する足し湯運転、端末加熱処理に対応する端末加熱運転、及び、追焚処理に対応する追焚運転、並びに、ドレン排水処理に対応するドレン排水運転を実行するように構成されている。
【0066】
(リモコンの構成)
メインリモコンR1及び浴室リモコンR2は、同様に構成されるものであり、以下、メインリモコンR1を代表にして説明する。
図1に示すように、メインリモコンR1には、運転の開始と停止を指令する運転スイッチ81、湯張運転指令を指令する風呂自動スイッチ82、一般給湯温度を設定する給湯温度設定スイッチ83、設定湯張温度としての目標湯張温度を設定する浴槽温度設定スイッチ84、浴槽Yに湯張する設定水位としての目標水位を設定する水位設定スイッチ85、浴槽Yに追加で湯張り給湯する足し湯運転指令を指令する足し湯スイッチ86、追焚運転指令を指令する追焚スイッチ87、設定温度等の各種情報を表示する表示部88、端末加熱運転の開始を指令する端末運転スイッチ89、及び、湯張りが終了したこと等を報知する報知装置90等が設けられている。
【0067】
(運転制御の詳細)
運転制御部Cは、運転スイッチ81が操作されると制御可能な状態になり、給湯栓2が開操作されると給湯栓2から湯水を給湯する一般給湯運転を実行する。
また、運転制御部Cは、風呂自動スイッチ82がオン操作されて湯張運転指令が指令されると、浴槽Y内に湯を供給して目標湯張温度で目標水位の湯張を完了する自動湯張運転を実行するように構成されている。
つまり、運転制御部Cは、湯張運転指令が指令されると、浴槽Yの浴槽水の温度が目標湯張温度になり且つ浴槽内水位が目標水位になるように湯張する自動湯張運転を実行するように構成されている。
【0068】
また、運転制御部Cは、自動湯張運転を終了した後には、オン操作されている風呂自動スイッチ82がオフ操作されるまでの間は、換言すれば、湯張運転指令が指令されている間は、キープ用運転モード中であるとして、設定された追焚運転周期(例えば、24分)毎に、浴槽Y内の浴槽水が設定湯張温度になるように、浴槽水を追焚する保温運転を実行するように構成されている。
そして、本実施形態においては、保温運転において、浴槽内水位が目標水位になるように水位調整処理を行うように構成されている。
【0069】
つまり、運転制御部Cは、自動湯張運転を終了した後、風呂自動スイッチ82がオフ操作されて湯張運転指令が解除されるまでの間のキープ用運転モード中においては、設定された追焚運転周期(例えば、24分)毎に、浴槽Y内の浴槽水の温度が設定湯張温度になり且つ浴槽内水位が目標水位になる湯張り状態を維持するためのキープ用湯張運転を、保温運転として実行するように構成されている。
【0070】
また、運転制御部Cは、キープ用運転モード中において、追焚スイッチ87が操作されて追焚運転指令が指令された場合や、風呂自動スイッチ82のオフ操作により湯張運転指令が解除されて、キープ用運転モードが停止された状態において、追焚スイッチ87が操作されて追焚運転指令が指令された場合には、追焚運転を実行し、また、キープ用運転モード中や、キープ用運転モードが停止された状態において、足し湯スイッチ86により足し湯運転指令が指令されると足し湯運転を実行するように構成されている。
【0071】
以下、一般給湯運転、自動湯張運転、キープ用湯張運転、足し湯運転、及び、追焚運転の各運転について説明を加える。
ちなみに、本実施形態においては、運転制御部Cは、一般給湯運転を実行する一般給湯運転手段C1、自動湯張運転を実行する自動湯張運転手段C2、キープ用湯張運転(保温運転)を実行するキープ用湯張運転手段C3、追焚運転を実行する追焚運転手段C4、及び、足し湯運転を実行する足し湯運転手段C5として機能することになる。
尚、キープ用湯張運転手段C3は、保温運転としてキープ用湯張運転を実行するものであるから、保温運転手段に相当する。
【0072】
(一般給湯運転)
運転制御部Cは、給湯栓2が開かれて水量センサ14による検出水量が所定量以上になると、一般給湯運転を実行する。
一般給湯運転では、給湯用加熱部Aにおける燃焼用ファン12を駆動した後、断続弁11を開弁してイグナイタにより給湯用バーナg1に点火し、給湯温度設定スイッチ83による一般給湯温度、水量センサ14の検出水量、給水サ−ミスタ13の検出水温及び給湯サーミスタ18の検出温度などに基づいて、給湯サーミスタ18の検出温度が給湯温度設定スイッチ83にて設定された一般給湯温度になるように、ガス比例弁10の開度及びミキシング弁17の開度を調節することになる。
水量センサ14により通水が検出されなくなると、断続弁11を閉弁して給湯用バーナg1の燃焼を停止し、燃焼用ファン12も停止して一般給湯運転を終了する。
【0073】
(端末加熱運転)
運転制御部Cは、端末運転スイッチ89にて端末加熱運転の開始が指令されると、端末加熱運転を実行する。
この端末加熱運転では、端末用熱動弁26を開弁し且つ追焚用熱動弁29を閉弁した状態で温水循環用ポンプ24を作動させて、温水循環用往路22及び温水循環用戻路21を通して温水を循環させ、それに併せて、温水循環用加熱部Bにおける燃焼用ファン12を駆動した後、断続弁11を開弁してイグナイタにより加熱用バーナg2に点火し、循環温水サーミスタ25の検出温度が目標循環温度(例えば70°C)になるように、ガス比例弁10の開度を調節することになる。
【0074】
(判定処理)
運転制御部Cは、自動湯張運転、キープ用湯張運転、及び、足し湯運転を実行する際には、次に述べる判定処理を実行して、水流スイッチ37のオンオフ情報及び水位センサ34の検出水位に基づいて、浴槽内水位の確定や、浴槽戻温サーミスタ35の検出温度に基づいて浴槽Y内の浴槽水の温度の確定を行うように構成されている。
【0075】
すなわち、運転制御部Cは、判定処理においては、循環判定用設定時間の間、浴槽水排水弁92を閉弁した状態で追焚用循環ポンプ33を作動させて、その追焚用循環ポンプ33の作動中において、水流スイッチ37や浴槽戻温サーミスタ35の検出情報を読み込むことになり、また、水流スイッチ37が水流を検出することを条件として、追焚用循環ポンプ33を停止させた後、待機用設定時間が経過すると、水位センサ34の検出情報の読み込むように構成されている。
【0076】
(自動湯張運転)
運転制御部Cは、風呂自動スイッチ82がオン操作されると、判定処理にて確定した浴槽Yの湯水の水位が目標水位よりも低いときに、自動湯張運転を実行するように構成されている。
自動湯張運転では、浴槽Yに湯を供給する注湯処理と上述の判定処理を順に実行する処理を、水位センサ34の検出水位が目標水位以上になるまで繰り返し、水位センサ34の検出水位が目標水位以上になると、浴槽水の温度が目標湯張温度になるように追焚する追焚処理を実行した後、自動湯張運転を終了する。
【0077】
運転制御部Cは、注湯処理では、湯張電磁弁42を開弁し、且つ、上述の一般給湯運転と同様に給湯用バーナg1に点火し、浴槽温度設定スイッチ84にて設定された目標湯張温度、水量センサ14の検出水量、給水サ−ミスタ13の検出水温及び給湯サーミスタ18の検出温度などに基づいて、給湯サーミスタ18の検出温度が目標湯張温度になるように、ガス比例弁10の開度及びミキシング弁17の開度を調節し、そして、注湯用設定時間が経過すると、湯張電磁弁42を閉弁し、且つ、給湯用バーナg1の燃焼を停止するように構成されている。
【0078】
また、運転制御部Cは、追焚処理では、端末用熱動弁26を閉弁し且つ追焚用熱動弁29を開弁した状態で温水循環用ポンプ24及び追焚用循環ポンプ33を作動させて、浴槽Y内の湯水を浴槽用戻路32及び浴槽用往路31を通して循環させ、それに併せて、温水循環用加熱部Bにおける燃焼用ファン12を駆動した後、断続弁11を開弁してイグナイタにより加熱用バーナg2を点火することになり、さらに、浴槽往温サーミスタ38の検出温度が追焚用設定出湯温度(例えば60°C)になるように、ガス比例弁10の開度を調節することになる。
【0079】
そして、浴槽戻温サーミスタ35の検出温度が目標湯張温度以上になると、断続弁11を閉弁させて加熱用バーナg2の燃焼を停止させ、燃焼用ファン12を停止させて追焚処理を終了する。
【0080】
運転制御部Cは、注湯処理を終了したときに浴槽戻温サーミスタ35の検出温度が目標湯張温度以上の場合は、その時点で、報知装置90を作動させて自動湯張の終了を報知し、自動湯張運転を終了したときに浴槽戻温サーミスタ35の検出温度が目標湯張温度よりも低くて追焚処理を実行した場合は、その追焚処理を終了した時点で、報知装置90を作動させて自動湯張運転の終了を報知するように構成されている。
【0081】
(キープ用湯張運転)
運転制御部Cは、自動湯張運転を終了した後において風呂自動スイッチ82がオン状態になっている間のキープ用運転モード中においては、キープ用湯張運転を実行する。
すなわち、追焚運転周期が経過する毎に、判定処理を実行して、浴槽Yの湯水の温度及び浴槽Yの湯水の水位を検出する。
【0082】
判定処理を実行した結果、浴槽Yの湯水の水位が目標水位よりも低いときは、浴槽Yの湯水の温度に拘わらず、注湯処理と判定処理を順に実行する処理を、水位センサ34の検出水位が通常用目標水位以上になるまで繰り返し、検出水位が通常用目標水位以上になったときに、浴槽戻温サーミスタ35の検出温度が目標湯張温度よりも低い場合は、浴槽戻温サーミスタ35の検出温度が目標湯張温度以上になるまで追焚処理を実行する。
【0083】
判定処理を実行した結果、浴槽Yの湯水の水位が目標水位以上で且つ浴槽Yの湯水の温度が目標湯張温度よりも低いときは、浴槽戻温サーミスタ35の検出温度が目標湯張温度以上になるまで追焚処理を実行する。
ちなみに、判定処理を実行した結果、浴槽Yの湯水の水位が目標水位以上で且つ浴槽Yの湯水の温度が目標湯張温度以上のときは、当然ながら、特別な処理は実行されない。
【0084】
(追焚運転)
運転制御部Cは、追焚スイッチ87が操作されると、先ず追焚用循環ポンプ33を作動させ、追焚用循環ポンプ33を作動させてから設定経過時間(例えば、10秒)経過すると、浴槽戻温サーミスタ35の検出温度を読み込む。
【0085】
浴槽戻温サーミスタ35の検出温度が目標湯張温度よりも低い場合は、上述した追焚処理と同様に、端末用熱動弁26を閉弁し且つ追焚用熱動弁29を開弁した状態で温水循環用ポンプ24及び追焚用循環ポンプ33を作動させて、浴槽Y内の湯水を浴槽用戻路32及び浴槽用往路31を通して循環させ、それに併せて、温水循環用加熱部Bにおける燃焼用ファン12を駆動した後、断続弁11を開弁してイグナイタにより加熱用バーナg2を点火することになり、さらには、浴槽往温サーミスタ38の検出温度が追焚用設定出湯温度(例えば60°C)になるように、ガス比例弁10の開度を調節して、浴槽水を加熱する。
【0086】
そして、浴槽戻温サーミスタ35の検出温度が目標湯張温度以上になると、その時点から設定追加時間(例えば、30秒)の間、浴槽水の加熱を継続した後、断続弁11を閉弁させて加熱用バーナg2の燃焼を停止させ、燃焼用ファン12を停止させて追焚運転を終了する。
【0087】
ちなみに、本実施形態においては、追焚運転を行う場合に、後述する第3検出手段S3によって浴槽内水位の変動の有無を検出する必要があるときには、追焚運転を開始する際に、予め上述した判定処理を行うことになり、その判定処理を開始してから、つまり、追焚用循環ポンプ33を作動させてから設定経過時間(例えば、10秒)経過すると、浴槽戻温サーミスタ35の検出温度を読み込み、浴槽戻温サーミスタ35の検出温度が目標湯張温度よりも低い場合は、判定処理が終了したのちに、上述の如く、浴槽水を加熱することになる。
【0088】
(足し湯運転)
運転制御部Cは、足し湯スイッチ86が操作されて足し湯運転指令が指令されると、上述した判定処理を実行して、その判定処理にて浴槽Yの湯水の水位が目標水位よりも低いと判定すると、足し湯運転を実行することになる。
足し湯運転では、注湯処理と判定処理を順に実行する処理を、水位センサ34の検出水位が目標水位以上になるまで繰り返すように構成されている。
【0089】
(浴槽の断熱レベル)
浴槽Yを断熱レベルに基づいて分別すると、断熱レベルが優れた高断熱浴槽、高断熱浴槽よりも断熱レベルが低い非高断熱浴槽、及び、断熱レベルが非高断熱浴槽よりも低い非断熱浴槽が存在する。
断熱レベルは、浴槽Yの内部に貯留した浴槽水の時間経過に伴う温度低下のし難さに対応するものである。
【0090】
図4は、高断熱浴槽、非高断熱浴槽、及び、非断熱浴槽の夫々について、目標湯張温度を38℃、42℃、46℃に設定した状態において、浴槽水の温度が1℃低下するのに要する時間を、外気温度が10℃程度の冬期、外気温度が20℃程度の中間期、及び、外気温度が30℃程度の夏期の夫々において計測した結果を示すものである。
【0091】
浴槽Yが、高断熱浴槽、非高断熱浴槽、及び、低断熱浴槽のいずれである場合においても、外気温度が高いほど、浴槽水の温度が1℃低下するのに要する時間が長く掛かることになり、また、目標湯張温度が低いほど、浴槽水の温度が1℃低下するのに要する時間が長く掛かることになる。
【0092】
図5は、高断熱浴槽に貯留された浴槽水の時間経過に伴う温度低下状況を示すものであって、具体的には、約38℃、約42℃、約46℃の浴槽水の温度が、時間経過に伴って低下している状況を示している。
浴槽水の温度が高いほど、時間経過に伴って急激に温度が低下する傾向となるが、2℃程度低下する間は、略直線的に温度が低下すると見なすことができる。
【0093】
ちなみに、図示は省略するが、非高断熱浴槽及び低断熱浴槽においても、同様な温度低下状況を示すものである。
つまり、非高断熱浴槽及び低断熱浴槽は、高断熱浴槽に較べて、浴槽水の温度が時間経過に伴って急激に温度が低下する傾向となるが、2℃程度低下する間は、略直線的に温度が低下すると見なすことができる。
【0094】
(断熱レベル推定システム)
本実施形態の風呂設備には、浴槽Yの断熱レベルを求める断熱レベル推定システムが装備されており、以下、断熱レベル推定システムについて説明する。
【0095】
自動湯張運転手段C2による湯張の完了後で湯張運転指令の解除後、追焚運転指令を受け付けて追焚運転手段C4が追焚運転を実行するまでの追焚待時間を検出する第1検出手段S1と、追焚運転において、追焚き開始後の所定のタイミングで浴槽Yから戻ってくる浴槽水戻温度を検出する第2検出手段S2と、自動湯張運転から追焚運転までの浴槽内水位の変動の有無を検出する第3検出手段S3と、外気温度の変動が所定の許容温度範囲内であるかどうかを検出する第4検出手段S4とが設けられ、さらには、浴槽の断熱レベルを推定する断熱レベル推定手段C6が設けられている。
【0096】
第1検出手段S1は、運転制御部Cにて構成されるものであって、自動湯張運転手段C2による湯張が完了すると、その時点からの経過時間の計測を開始し、その後、湯張運転指令が解除され、追焚運転指令により追焚運転手段C4が追焚運転を実行すると、それまでに計測した経過時間を、追焚待時間として設定するように構成されている。
【0097】
第2検出手段S2は、運転制御部Cにて構成されるものであって、追焚運転が開始されたのち、追焚き開始後の所定のタイミングとして、追焚用循環ポンプ33を作動させてから60秒が経過した時点において、浴槽戻温サーミスタ35の検出温度を読み込んで、浴槽Yから戻ってくる浴槽水の浴槽水戻温度として定めるように構成されている。
そして、本実施形態においては、上述の如く、追焚運転指令が指令されると、先ず、判定処理を実行することになるので、追焚き開始後の所定のタイミングとは、判定処理を開始してから60秒が経過した時点に設定されている。
【0098】
ちなみに、追焚き開始後の所定のタイミングとして、判定処理を開始してから60秒が経過した時点に設定することによって、浴槽水の循環速度が1.0m/Sの場合に、浴槽用戻路32及び浴槽用往路31の配管長さが想定される最大長さ(例えば、25m)以下であれば、浴槽Yから戻ってくる浴槽水戻温度が、浴槽Yの断熱レベルを精度良く求めるのに適する温度として検出される。
【0099】
尚、浴槽水の循環速度が1.0m/Sで、浴槽用戻路32及び浴槽用往路31の配管長さが25mであれば、浴槽水が熱源機Gに到達する時間は、25秒となるが、運転初期の配管放熱が定常状態となる時間を加算して、上記の60秒が設定されている。
【0100】
第3検出手段S3は、運転制御部Cにて構成されるものであって、本実施形態においては、上述の如く、追焚運転を開始する際に判定処理を実行して、浴槽Yの水位を検出し、検出した水位が目標水位に対して設定量以上異なる場合には、浴槽内水位の変動が有ると判断するように構成されている。
【0101】
第4検出手段S4は、運転制御部Cにて構成されるものであって、熱源機Gに装備した外気温検出用の温度センサ50の検出情報を読み込んで、外気温度の変動が所定の許容温度範囲内であるかどうかを検出するように構成されている。
許容温度範囲は、例えば、+5℃と−5℃の範囲、換言すれば、10℃の範囲に設定されている。
【0102】
断熱レベル推定手段C6は、先に行われた自動湯張運転の終了時から、当該自動湯張運転の後に湯張運転指令の解除後において追焚運転が行われた場合の当該先側追焚運転の開始時までの第1計測期間(
図2参照)、及び、後に行われた自動湯張運転の終了時から、当該自動湯張運転の後に湯張運転指令の解除後において追焚運転が行われた場合の当該後側追焚運転の開始時までの第2計測期間(
図2参照)において、第3検出手段S3により浴槽内水位の変動が検出されず、かつ、第4検出手段S4により外気温度の変動が許容温度範囲内であることが確認され、且つ、先に行われた自動湯張運転及び後に行われた自動湯張運転の目標湯張温度(設定湯張温度)及び目標水位(設定水位)が同一である推定許可条件が満たされることを条件として、浴槽の断熱レベルを推定するように構成されている。
【0103】
つまり、第1計測期間と第2計測期間とを加えて評価期間内に、第3検出手段S3により浴槽内水位の変動が検出されず、かつ、第4検出手段S4により外気温度の変動が許容温度範囲内であることが確認され、且つ、先に行われた自動湯張運転及び後に行われた自動湯張運転の目標湯張温度(設定湯張温度)及び目標水位(設定水位)が同一であると、推定許可条件が満たされるとして、断熱レベル推定手段C6が浴槽の断熱レベルを推定することになる。
【0104】
ちなみに、一般家庭に装備された風呂設備の使用形態は、通常、1日に1回だけ湯張する形態となるから、先に行われる自動湯張運転と後に行われる自動湯張運転とは、前日と本日等のように、異なる日になることが多いが、1日に2回等、1日に数回の湯張が行われた場合には、先に行われる自動湯張運転と後に行われる自動湯張運転とは、1日のうちに現れることになる。
【0105】
そして、断熱レベル推定手段C6は、推定許可条件が満たされると、第1検出手段S1にて検出する先側追焚運転の前記追焚待時間と、第1検出手段S1にて検出する後側追焚運転の追焚待時間との差、及び、先側追焚運転において第2検出手段で検出される浴槽水戻温度と、後側追焚運転において第2検出手段で検出される浴槽水戻温度との差に基づいて、浴槽の断熱レベルを推定するように構成されている(
図2参照)。
【0106】
具体的には、先側追焚運転の追焚待時間をTi1、後側追焚運転の前記追焚待時間をTi2、先側追焚運転において第2検出手段S2で検出される前記浴槽水戻温度をTs1、及び、後側追焚運転において第2検出手段で検出される前記浴槽水戻温度をTs2とした場合において、温度降下指標Tcを下記式にて求める。
Tc=1/(Ts1−Ts2)×(Ti1−Ti2)
尚、上記演算式においては、Ts1がTs2よりも小さい場合は、(Ts1−Ts2)の値は、その絶対値として扱い、同様に、Ti1がTi2よりも小さい場合は、Ti1−Ti2)の値は、その絶対値として扱うものとする
【0107】
そして、上記式にて求められる温度降下指標Tcに基づいて、温度降下指標Tcが大きい程、浴槽Yの断熱レベルが高いと推定するように構成されている。
本実施形態においては、温度降下指標Tcを使用して、断熱性(断熱レベル)が優れた高断熱浴槽と、断熱性能(断熱レベル)が高断熱浴槽より低い低断熱浴槽とを判別するように構成されている。
【0108】
つまり、温度降下指標Tcは、浴槽水戻温度(浴槽水温度)が1℃低下するのに要する時間を示す指標であると考えることができるが、その温度降下指標Tcが、2時間以上に相当する値の場合には、高断熱浴槽と判別し、温度降下指標Tcが、2時間未満に相当する値の場合には、低断熱浴槽であると判別するように構成されている。
ちなみに、一般に使用されている浴槽は、上述の如く、高断熱浴槽、非高断熱浴槽、及び、非断熱浴槽であるから、低断熱浴槽としては、非高断熱浴槽、及び、非断熱浴槽が相当することになる。
【0109】
(追焚運転周期の調節)
本実施形態においては、上記した浴槽断熱レベル推定システムで推定される断熱レベルに基づいて、追焚運転周期を決定する追焚周期決定手段C7が装備されている。
この追焚周期決定手段C7は、運転制御部Cにて構成されるものであって、高断熱浴槽であると判別した場合には、冬期の場合には、追焚運転周期を2時間とし、中間期の場合には、3時間とし、夏期の場合には、追焚運転周期なし(追焚不要)に設定することになり、低断熱浴槽であると判別した場合には、予めさせた周期(例えば、24分)が、追焚運転周期として設定されることになる。
【0110】
すなわち、自動湯張運転を終了した後において風呂自動スイッチ82がオン状態になっている間のキープ用運転モード中においては、上述の如く、追焚運転周期が経過する毎に、キープ用湯張運転(保温運転)が実行されることになり、追焚運転周期は、通常は、例えば、24分に設定されるが、上記した浴槽断熱レベル推定システムにて、浴槽Yの断熱レベルの優れた高断熱浴槽であると推定されたときには、追焚周期決定手段C7が、上述の通り、追焚運転周期を調整するように構成されている。
【0111】
また、追焚周期決定手段C7は、自動湯張運転を終了した後に風呂自動スイッチ82がオン状態になっている間のキープ用運転モード中において、第3検出手段S3にて浴槽内水位の変動が検出された場合には、浴槽Yが高断熱浴槽であると推定された場合であっても、追焚運転周期を通常の周期(例えば、24分)に設定するように構成されている。
【0112】
(運転制御部の制御作動)
次に、運転制御部Cが、自動湯張運転を終了した後に実行するキープ用運転モードに対応するキープ用運転処理を、
図3のフローチャートに基づいて説明する。尚、運転制御部Cは、このキープ用運転処理の他に、一般給湯運転に対応する処理や足し湯運転に対応する処理等の各種の処理を順次実行するものであり、キープ用運転処理を実行した後は、一般給湯に対応する処理等の他の処理に移行し、他の処理を実行した後、再びキープ用運転処理を実行することを繰り返すことになる。
【0113】
キープ用運転処理は、風呂自動スイッチ82がオン状態になっている間のキープ用運転モード中においては、追焚運転周期毎にキープ用湯張運転(保温運転)を実行する処理を行うものであるが、その他、浴槽Yの断熱レベルを推定するため処理や、推定した断熱レベルに基づいて、追焚運転周期を決定する処理等の諸々の処理を実行することになる。
また、キープ用運転モードは、自動湯張運転が終了すると自動的に設定され、且つ、自動湯張運転を終了してからの時間がキープ用運転時間(例えば、4時間)に達すると、終了するものであり、キープ用運転処理は、キープ用運転モードを終了させる処理をも実行することになる。
【0114】
以下、
図3のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、自動湯張運転後のキープ用運転モード中であるか否かを判別する(#1)。
すなわち、自動湯張運転が終了した後においては、キープ用運転モードが自動的に設定されることになるが、後述の如く、風呂自動スイッチ82がオフ状態に操作されて湯張運転指令が解除された場合(#4参照)や、キープ用運転時間(例えば、4時間)が経過した場合(#9参照)には、キープ用運転モードが解除されることになり(#10参照)、キープ用運転モードが解除されてキープ運転モード中ではないと判別したときには、他の処理に移行することになる。
【0115】
但し、本実施形態の場合には、浴槽Yの断熱レベルの推定が終了していない場合には、風呂自動スイッチ82がオフ状態に操作されて湯張運転指令が解除されても、浴槽Yの断熱レベルを推定するため処理を実行するために、後述の如く、キープ用運転モードが継続されることになる。尚、この場合においても、キープ用運転時間(例えば、4時間)が経過した場合には、キープ用運転モードが解除されることになる。
【0116】
#1にて、キープ用運転モード中であると判別したときには、次に、浴槽Yの断熱レベルを推定済みであるか否かを判別し(#2)、推定済みであると判別したときには、推定した断熱レベル及びセット解除指令(#8参照)に基づいて、追焚運転周期を決定する追焚運転周期決定処理を実行する(#3)。尚、セット解除指令は、後述の如く、浴槽内水位の変動が検出されると設定されるものである。
【0117】
本実施形態の場合には、予め設定した周期(例えば、24分)が、追焚運転周期として設定されているが、上述の如く、高断熱浴槽である場合には、冬期の場合には、追焚運転周期を2時間とし、中間期の場合には、3時間とし、夏期の場合には、追焚運転周期なし(追焚不要)に設定されることになり、低断熱浴槽である場合には、予め設定した周期(例えば、24分)が、継続して、追焚運転周期として設定されることになる。
そして、セット解除指令が設定されている場合には、浴槽Yが高断熱浴槽であると推定されていても、予め設定した周期(例えば、24分)が、追焚運転周期として設定されることになる。
【0118】
#3の追焚運転周期決定処理を実行した後は、次に、湯張運転指令が解除されたか否かを判別し(#4)、解除されているときには、キープ用運転モードを解除する処理を実行する(#10)。そして、#10の処理を実行した後は、一般給湯に対応する処理等の別の処理に移行することになる。
【0119】
#4にて、湯張運転指令が解除されていないと判別したときには、次に、追焚運転周期であるか否かを判別し(#5)、追焚運転周期であるときには、キープ用湯張運転(保温運転)を実行する(#6)。ちなみに、このキープ用湯張運転を行う際には、セット解除指令が設定されていないときには、上記した判定処理にて浴槽内水位が検出されることになり、セット解除指令が設定された後においては、上記した判定処理が省略される。
【0120】
#6の処理を実行したのちは、次に、キープ用湯張運転を行う際に検出した浴槽内水位に基づいて、浴槽内水位が目標水位から変動しているか否かを判別し(#7)、水位変動が有った場合には、セット解除指令を設定する処理を実行する(#8)。
尚、上述の如く、セット解除指令が指令されると、浴槽Yが高断熱浴槽であると推定されていても、予め設定した周期(例えば、24分)が、追焚運転周期として設定されることになり(#3参照)、そして、追焚運転周期になると、キープ用湯張運転(保温運転)が実行される(#5、#6参照)。
【0121】
#5の処理にて、追焚運転周期でないと判別したとき、#7の処理にて、水位変動がないと判別したとき、及び、#8の処理を実行したのちには、次に、キープ用運転時間(例えば、4時間)が経過しているか否かを判別し(#9)、経過していると判別したときには、上述した#10の処理を実行して、一般給湯に対応する処理等の別の処理に移行することになる。
#9の処理にて、キープ用運転時間(例えば、4時間)が経過していないと判別したときには、#10の処理を実行したときと同様に、一般給湯に対応する処理等の別の処理に移行することになる。
【0122】
#2にて、推定済みでないと判別したときには、次に、計測解除が設定済みであるか否かを判別する(#11)。
すなわち、自動湯張運転が終了した後において、未だ、断熱レベルの推定が終了していない場合には、断熱レベルの推定のための計測が開始されることになるが、自動湯張運転が終了した後において、湯張運転指令が解除されるまでの間に追焚運転周期になって、キープ用湯張運転(保温運転)が実行された場合には、断熱レベルを推定するためのデータが取得できなくなるため、後述の如く、計測解除が設定されることになる(#16、#17、#18参照)。
【0123】
#11にて、計測解除の設定済であると判別したときには、上述の#4の処理に移行して、以下、上述の通りの処理が実行される。
また、#11にて、計測解除の設定済でないと判別したときには、次に、自動運転終了後の経過時間や外気温度の計測の開始を設定する計測開始設定が済んでいるか否かを判別し(#12)、設定済みでないと判別したときには、経過時間の計測の開始を設定し(#13)、続いて、外気温度の計測の開始を設定する(#14)。
【0124】
ちなみに、経過時間の計測開始の設定は、自動湯張運転が終了した直後に設定されるものとなるから、計測される経過時間は、上記した先側追焚運転又は後側追焚運転の追焚待時間に相当することになる。
同様に、外気温度の計測開始は、自動湯張運転が終了した直後に設定されるものとなるから、計測される外気温度は、上記した第1計測期間又は第2計測期間の外気温度に相当することになる。
【0125】
尚、経過時間の計測は、キープ用運転処理とは別の処理にて実行されることになり、同様に、外気温度の計測も、キープ用運転処理とは別の処理にて、設定時間間隔(例えば、5分)にて外気温度を計測する形態で実行されることになる。
【0126】
#12にて、計測開始の設定済であると判別したときや、#13及び#14の処理を実行したのちには、次に、湯張運転指令が解除されているか否かを判別し(#15)、湯張運転指令が解除されていないと判別したときには、続いて、追焚運転周期であるか否かを判別する(#16)。
【0127】
#16にて、追焚運転周期であると判別したときには、キープ用湯張運転(保温運転)を実行し(#17)、次に、計測解除の設定を実行し(#18)、その後、上述した#9の処理に移行する。
また、#16にて、追焚運転周期であると判別しないときにも、上述した#9の処理に移行することになる。
【0128】
#15にて、湯張運転指令が解除されていると判別したときには、続いて、追焚運転指令が有ったか否かを判別し(#19)、追焚運転指令がないときには、上述した#9の処理に移行する。
【0129】
#19にて、追焚運転指令が有ったと判別したときには、上述した経過時間や外気温度を、断熱レベルを推定するための情報として記憶する記憶処理を実行し(#20)、続いて、追焚運転を実行する(#21)。
#20の記憶処理においては、既に経過時間が記憶されている場合には、今回計測した経過時間を、後側追焚運転の追焚待時間Ti2として記憶し、未だ、経過時間が記憶されていない場合には、先側追焚運転の追焚待時間Ti1として記憶する。
同様に、既に外気温度が記憶されている場合には、今回計測した外気温度を、第2測定期間の外気温度として記憶し、未だ、外気温度が記憶されていない場合には、第1測定期間の外気温度として記憶することになる。
【0130】
#21の追焚運転においては、先ず上記した判定処理が実行されて、追焚き開始後の所定のタイミング(60秒経過後)に浴槽水戻温度が検出され、また、浴槽内水位が検出されることになり、そして、それらの検出情報が、断熱レベルを推定するための情報として記憶されることになる。
この記憶にあたり、既に浴槽水戻温度が記憶されている場合には、今回計測した浴槽水戻温度を、後側追焚運転の浴槽水戻温度Ts2として記憶し、未だ、浴槽水戻温度が記憶されていない場合には、先側追焚運転の浴槽水戻温度Ts1としてき記憶されることになる。
同様に、既に浴槽内水位が記憶されている場合には、今回計測した浴槽内水位を、第2計測期間の浴槽内水位として記憶し、未だ、浴槽内水位が検出されていない場合には、第1計測期間の浴槽内水位として記憶する。
【0131】
#21の追焚運転が終了すると、断熱レベルを推定するための情報の2回分の計測、つまり、先の自動湯張運転に続く計測及び後の自動湯張運転に続く計測が終了したか否かを判別し(#22)、2回分の計測を終了していないときには、上述した#10の処理に移行することになる。
【0132】
#22にて、2回分の計測を終了していると判別したときには、次に、上記した推定許可条件を満足しているか否かを判別し(#23)、推定許可条件を満足していると判別したときには、浴槽Yの断熱レベルを推定する断熱レベル推定処理を実行し(#24)、その後、上述した#10の処理に移行することになる。
【0133】
また、#23にて、推定許可条件を満足していないと判別したときには、断熱レベルの推定のために記憶している情報の全てをリセット(消去)するリセット処理を実行し(#25)、その後、上述した#10の処理に移行することになる。
ちなみに、リセット処理が実行された場合には、断熱レベルが推定済とならないため、断熱レベルを推定するための情報を取得するための処理が、上述の通り、繰り返されることになる。
【0134】
尚、上述したフローチャートにおいては、#21の処理にて計測された浴槽内水位が、目標水位から変動している場合においても、その水位変動を、#24の処理にて判別するようにしたが、#21の処理の実行後に、直ちに、計測された浴槽内水位が目標水位から変動しているか否かを判別し、水位変動がある場合には、直ちに、#25のリセット処理を実行する形態で実施してもよい。
【0135】
また、上記フローチャートにおいては、記載を省略したが、断熱レベルの推定済ではなく、かつ、湯張運転指令が解除されていないときに、追焚運転指令が指令されて追焚運転が行なわれた場合や、足し湯運転指令が指令されて足し湯運転が行なわれた場合には、#18の計測解除を設定する処理が実行されることになる。
【0136】
また、断熱レベルを適正通り推定するためには、先側追焚運転の追焚待時間Ti1及び後側追焚運転の追焚待時間Ti2が、設定待時間(例えば、1時間)以上大きく、かつ、先側追焚運転の追焚待時間Ti1と後側追焚運転の追焚待時間Ti2との差が、設定差時間(例えば、1時間)以上大きい条件が満たされることが好ましいものであるから、この条件を、推定許可条件に加える形態で実施してもよい。
【0137】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(1)上記実施形態においては、推定した断熱レベルに基づいて追焚運転周期を決定するにあたり、高断熱浴槽と低断熱浴槽とを判別して、高断熱浴槽である場合には、冬期の場合には、追焚運転周期を2時間とし、中間期の場合には、3時間とし、夏期の場合には、追焚運転周期なし(追焚不要)に設定し、低断熱浴槽である場合には、予め設定した周期(例えば、24分)を、継続して、追焚運転周期として設定する場合を例示したが、例えば、温度降下指標Tcに基づいて、浴槽内の浴槽水が1℃低下するのに要する時間を、追焚運転周期に定める等、追焚運転周期を決定する具体構成は、各種変更できる。
【0138】
尚、推定した断熱レベルに基づいて追焚運転周期をどのような形態で決定する場合においても、浴槽内水位の変動が検出されたときには、上述の実施形態にて記載の如く、追焚運転周期を予め設定した周期(例えば、24分)に設定するように構成することが好ましい。
【0139】
(2)上記実施形態においては、自動湯張運転を終了した後、風呂自動スイッチ82がオフ操作されて湯張運転指令が解除されるまでの間のキープ用運転モード中においては、保温運転として、設定された追焚運転周期毎に、浴槽Y内の浴槽水の温度が設定湯張温度になり且つ浴槽内水位が目標水位になる湯張り状態を維持するためのキープ用湯張運転を実行する場合を例示したが、保温運転としては、浴槽Y内の浴槽水の温度が設定湯張温度になるように追焚きする形態で実施してもよい。
【0140】
(3)上記実施形態においては、温水循環用加熱部Bにて加熱された温水が通流する追焚用熱交換器28にて、浴槽水を追焚きする場合を例示したが、浴槽水を温水循環用加熱部Bに対して循環させて、浴槽水を温水循環用加熱部Bにて加熱することにより、浴槽水を追焚きする形態で実施してもよい。
【0141】
(4)上記実施形態で説明したキープ用運転処理においては、推定許可条件を満たさない場合には、断熱レベルを推定するために計測して記憶した全ての情報を消去させる形態を例示したが、例えば、先の自動湯張運転の終了後に計測して記憶した情報と、後の自動湯張運転の終了後に計測して記憶した情報とのうち、先の自動湯張運転の終了後に計測して記憶した情報を消去して、後の自動湯張運転の終了後に計測して記憶した情報を、先の自動湯張運転の終了後に計測して記憶した情報として、再度利用する等、断熱レベルを推定するために計測して記憶した情報を消去させる形態は、種々変更できるものである。
【0142】
(5)上記実施形態においては、推定した断熱レベルに基づいて、追焚運転周期を自動的に決定する場合を例示したが、推定した断熱レベルを表示させて、その表示結果に基づいて、追焚運転周期を手動操作によって設定する形態で実施してもよい。
【0143】
(6)上記実施形態においては、第3検出手段S3が、追焚運転を開始する際に判定処理を実行して、浴槽Yの水位を検出し、検出した水位が目標水位に対して設定量以上異なる場合には、浴槽内水位の変動が有ると判断するように構成する場合を例示したが、浴槽Yの水位を常時検出できる水位センサを装備する場合には、その水位センサの検出情報に基づいて、浴槽内水位の変動の有無を判断するように構成することになる。
【0144】
また、浴槽Yの水位を検出するセンサ類を装備しない場合には、キープ用運転モード中において、シャワーの使用によって長時間でかつ大流量の給湯が行われたことを判別した際には、入浴者が浴室に存在する状態であり、入浴者が浴槽Yに入ることによって、浴槽内水位の変動が生じることが予測されるため、浴槽内水位の変動が有ると判断させるように構成してもよい。尚、入浴者が浴室に存在する状態であることを判別する別の例としては、キープ用運転モード中において、浴室に装備された暖房乾燥機の暖房運転が開始される、または、キープ用運転モード中において、浴室リモコンR2が優先モードに切換えられると、入浴者が浴室に存在する状態であると判別することができる。
【0145】
(7)浴槽Yの断熱レベルを推定する別の方法として、第1検出手段S1及び第2検出手段S2によって、自動湯張運転手段による湯張の完了後から、湯張運転指令の解除後、追焚運転指令を受け付けて追焚運転手段が追焚運転を実行するまでの追焚待時間、及び、追焚き開始後の所定のタイミングで浴槽Yから戻ってくる浴槽水戻温度を検出することが、時系列的に3回行われたときに、それら3組の追焚待時間と浴槽水戻温度との関係が、リニアに温度低下している関係であれば、それらの3組のうち、2組の追焚待時間と浴槽水戻温度とを、先側追焚運転の追焚待時間、先側追焚運転における浴槽水戻温度、後側追焚運転の追焚待時間、及び、後側追焚運転における浴槽水戻温度として用いて、浴槽Yの断熱レベルを推定することが考えられる。
【0146】
ちなみに、3組の追焚待時間と浴槽水戻温度とがリニアに温度低下している関係とは、追焚待時間が単位時間経過する際に浴槽水戻温度が低下する温度低下量、又は、浴槽水戻温度が単位量低下する際の追焚待時間の経過時間を、3組の追焚待時間と浴槽水戻温度とのうちの、2組の追焚待時間と浴槽水戻温度とを用いて求めたときに、3組のうちの2組として、いずれの組を選択しても、温度低下量又は経過時間が設定範囲(同じ及びほぼ同じ)になる関係である。
【0147】
そして、この別の方法においては、3組の追焚待時間と浴槽水戻温度とが検出される際に、入浴等により浴槽内水位の変動があると、3組の追焚待時間と浴槽水戻温度とがリニアに温度低下している関係とはならないから、追焚待時間と浴槽水戻温度を検出する際の推定許可条件として、第3検出手段S3により浴槽内水位の変動が検出されないとの条件を省略した推定許可条件を用いることが可能となる。
【0148】
同様に、この別の方法においては、3組の追焚待時間と浴槽水戻温度とが検出される際に、外気温度が大きく変動すると、3組の追焚待時間と浴槽水戻温度とがリニアに温度低下している関係とはならないから、追焚待時間と浴槽水戻温度を検出する際の推定許可条件として、第3検出手段S3により浴槽内水位の変動が検出されないとの条件を省略するのに加えて、第4検出手段S4により外気温度の変動が許容温度範囲であることが確認されるとの条件を省略した推定許可条件を用いることが可能となる。