特許第6113047号(P6113047)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6113047
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】現像剤組成物の調製プロセス
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/08 20060101AFI20170403BHJP
   G03G 9/10 20060101ALI20170403BHJP
   G03G 9/097 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   G03G9/08 391
   G03G9/10
   G03G9/08 374
   G03G9/08 344
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-217038(P2013-217038)
(22)【出願日】2013年10月18日
(65)【公開番号】特開2014-92784(P2014-92784A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2016年10月17日
(31)【優先権主張番号】13/669,740
(32)【優先日】2012年11月6日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ジェー・ハーシュ
(72)【発明者】
【氏名】キップ・エル・ジュグル
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・アール・ファルボ
【審査官】 福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−108312(JP,A)
【文献】 特開2005−316057(JP,A)
【文献】 特開2007−086093(JP,A)
【文献】 特開2011−002802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G9/00−9/16
G03G13/01
G03G13/08
G03G15/01
G03G15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像装置及び担体分注システムを備える複写機において現像剤組成物を調製するためのプロセスであって、
前記現像装置の現像剤容器に、体と、樹脂、顔料、ポリオレフィン、第1の相溶化剤、第1の電荷制御剤および第1の金属酸化物表面添加剤で構成される第1のトナーとで構成される第1の現像剤を与えることと、
前記担体分注システムの貯蔵器に、担体と、第2の電荷制御剤および第2の金属酸化物表面添加剤で構成される第2の透明トナーと、で構成される第2の現像剤を加えることと
前記貯蔵器から前記現像剤容器に前記第2の現像剤を分注することとを含む、プロセス。
【請求項2】
現像装置及び担体分注システムを備える複写機において現像剤組成物を調製するためのプロセスであって、
体と、樹脂、顔料、ポリオレフィン、第1の相溶化剤、第1の電荷制御剤および第1の金属酸化物表面添加剤で構成される第1のトナーとで構成される第1の現像剤、前記現像装置の現像剤容器に与えることと、
前記担体分注システムの貯蔵器に、担体と、第2の電荷制御剤および第2の金属酸化物表面添加剤で構成される第2の透明トナーと、で構成される第2の現像剤を加えることと
前記貯蔵器から前記現像剤容器に前記第2の現像剤を分注することとを含み、
前記第2の金属酸化物表面添加剤が、前記第2の透明トナーの表面積を、表面積被覆率の範囲が50%〜100%となる量で覆う、プロセス。
【請求項3】
前記第1の現像剤のための前記第1の表面添加剤が、二酸化チタンである、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記第1の現像剤のための前記第1の表面添加剤が、前記第1のトナーの0.1重量%〜5.0重量%の量で存在する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記第2の現像剤のための前記第2の表面添加剤が、前記第2のトナーの0.1重量%〜5重量%の量で存在する、請求項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記第2の現像剤が一定の速度で添加される、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項7】
前記第1の電荷制御剤が、第1のトナー中に0.5重量%〜3重量%の量で存在する、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項8】
前記第2の現像剤のための前記第2の金属酸化物表面添加剤が、前記第2のトナーの0.1重量%〜5重量%の量で存在する、請求項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記第2の現像剤のための前記第2の表面添加剤が、前記第2のトナーの0.1重量%〜5重量%の量で存在する、請求項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、静電複写機およびレーザープリンターのような電子写真用機械に使用する一連の電子写真用トナーに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真用トナー(以下、トナーと称する)と担体とを含む二成分系現像剤を利用する静電複写機(以下、複写機と称する)において、初期の供給トナーは、複写プロセス開始時から現像装置内に担体と一緒に入っており、一方、補充用トナーは、トナーホッパーに入っている。現像装置に入っているトナーを、この現像装置の中で担体と混合して現像剤を得る。このようにして作られる現像剤は、磁気ローラーによって感光性ドラムに供給されるか、またはドナーロールに供給され、そこからトナー層が感光性ドラムに与えられる。トナーホッパーに入っているトナーは、トナー濃度を検知するセンサーによって現像装置内に入っている現像剤中のトナー濃度の低下が観察されると、現像装置に供給される。その後、現像装置に供給されたトナーを担体と混合して現像剤を作成し、次いで、上に述べたのと同じように感光性ドラムに供給する。現像剤に入ったトナーは、感光性ドラムの上に作られた静電潜像に吸着され、次いで、紙に転写され、紙の上に望ましいトナー画像が得られる。
【0003】
紙に転写した後に感光性ドラム表面に残ったトナーを、洗浄装置の洗浄ブレードによって感光性ドラム表面から剥がし取る。
【0004】
従来の複写機では、トナーホッパーに入っている補充用トナーは、複写プロセス開始時から現像装置に入っているトナーと同じである。通常は、上述のトナーは、トナー粉末と、トナー粉末の表面に付着した添加剤とで構成されている。このトナー粉末は、使用する物質を混合し、この混合物を混練し、混合物を粉砕して粉末にし、得られた粉末が所望の粒径を有するように大きさにしたがって分けることによって得られる。その代わりとなる製造方法は、小さな粒子を凝集させ、融着させ、正しい最終粒径のトナーを作成する化学プロセスを含む。トナーに使用される添加剤として、例えば、電荷制御剤および洗浄剤を挙げることができる。
【0005】
本開示は、一般的に、トナーおよび現像剤組成物に関し、さらに具体的には、現像剤の劣化特性を制御するプロセスに関する。本明細書で以下に記載する実施形態では、本開示は、現像材料の状態に鋭敏な印刷板の中の現像ワイヤに関する。現像材料の状態は、時間経過に伴って変化するか、または劣化することがある。現像剤の状態の変化を軽減するために、現像剤容器に担体のみを一定速度で加えてもよい。このプロセスは、担体の分注として知られている。さらに、必要な場合、文書間領域にパッチを書き込むことによって(すなわち、MACパッチ)、最低限のトナースループットを達成することができる。有効ではあるが、担体の分注もMACパッチも高価である。
【0006】
少量の新鮮なトナーを分注することによって、低い面積被覆率で長時間運転した後の性能を高めることができることが知られている。この利点は、新鮮なトナーの表面にあるトナー添加剤によるものである。
【0007】
本開示のトナーおよび現像剤組成物は、本開示の実施形態では、透明トナー粒子表面に接着する添加剤を提供する。これらの透明トナー粒子を担体と混合して現像剤を作成してもよく、次いで、既存の担体分注システムを介し、容器に分注してもよい。本開示のトナーおよび現像剤組成物は、電子写真用に選択され、特に、カラープロセスを含め、ゼログラフィー式画像形成および印刷プロセスのために選択される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書で以下にさらに詳細に記載するために、本開示は、媒剤として透明トナー粒子の表面積を使用し、既存の担体分注機構を用いて現像剤容器にトナー添加剤を移動することを提供する。
【0009】
本開示の一態様では、担体と、樹脂、顔料、ポリオレフィン、第1の相溶化剤、第1の電荷制御剤、第1の金属酸化物表面添加剤で構成される第1のトナーとを含む第1の現像剤を与えることと、これに、担体、第2の透明トナー、第2の相溶化剤、第2の電荷制御剤、第2の金属酸化物表面添加剤を含む第2の現像剤を加えることとを含む、現像剤組成物を調製するためのプロセスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、添加剤が表面に叩き付けられている、個々の「劣化した」トナー粒子の走査型電子顕微鏡画像である。
図2図2は、表面添加剤を含む個々の「新鮮な」トナー粒子の走査型電子顕微鏡画像である。
図3図3は、新鮮なトナーを加えて2分後の個々の「劣化した」トナー粒子の走査型電子顕微鏡画像である。
図4図4は、新鮮なトナーを加えて16分後の個々の「劣化した」トナー粒子の走査型電子顕微鏡画像である。
図5図5は、新鮮なトナーを加えて48分後の個々の「劣化した」トナー粒子の走査型電子顕微鏡画像である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
低い面積被覆率で長時間運転すると、容器中でトナー粒子が使用される平均時間が長くなる。これにより、表面添加剤がトナー表面に叩き付けられるか、または擦り切れ、最終的に、表面添加剤の有効性が低下する。ある印刷板では、小さなトナー平面が高度に帯電してしまい、HSDワイヤに付着するというワイヤ汚染を引き起こす問題が生じる。このワイヤへの付着によって、不均一となり、現像度が低くなる。他の印刷板では、添加剤の状態が変化したトナーは、表面に対する接着性が変化し、感光性ドラムへの現像または紙への転写が低下する。現在、担体の分注とMACパッチの組み合わせを使用し、この問題を軽減している。担体の分注において、4種類すべての現像剤容器を供給するために、担体のみを含む1個の貯蔵器が用いられる。新鮮な担体を安定して供給することでワイヤの汚染が減るが、その有効性に対する実際の機構はよくわかっていない。トナー添加剤が、劣化したトナーの影響を減らすのに有効であることも知られている。容器に分注される少量の新鮮なトナーは、その添加剤を液だまり全体に分け合い、ワイヤを汚染しやすいか、または他の問題を起こしやすい現像剤の状態を回復させることができる。MACパッチは、最低量のトナースループットを確保する方法である。しかし、長期間にわたって平均化されると、ある量の新鮮なトナーおよび添加剤が必要となる。もっと短い期間では、トナーのスループットは、安定しないことがある。
【0012】
担体の分注およびMACパッチは、両方とも消耗材料(担体およびトナー)を使用するため、高価な方策である。または、ワイヤ汚染の問題を管理するのに必要な添加剤のみを分注したい。しかし、添加剤は、きわめて小さな粒子であり、制御した様式で分注するのは難しい。
【0013】
提案される一実施形態は、透明トナー粒子表面にトナー添加物を付着させ、担体と混合し、担体分注システムを介して現像剤に分散する。それぞれの現像剤容器は、着色トナーおよび透明トナーで構成されるトナーの平衡混合物に達するだろう。
【0014】
小さなトナー粒子は、添加剤を保持するための非常に大きな表面積を与える。現像剤の健康状態を維持するのに必要な量の添加剤を、少量の透明トナーによって運ぶことができることが理解されるべきである。この量の分注される透明トナーは、得られる混合トナーの色を薄めないため、重要である。
【0015】
低い運転費用、画質について、分注する担体の量とともに、この担体と混合する透明トナーの量、透明トナー上のトナー添加剤の濃度および種類をすべて最適化することができる。現行の担体分注システムを使用してもよく、添加剤の添加率を均一にしてもよい(すなわち、一定の率)。均一な添加率は、ここに引用したシステムで使用するトナーパージ事象を省くことができる。均一な担体添加率によって、一定速度の分注のため、添加剤の合計量を低減することができる。
【0016】
上述のように、透明トナー粒子の表面を媒剤として使用し、既存の担体分注機構を用いて現像剤容器にトナー添加剤を移動する。媒剤は、制御された様式で少量のトナー添加剤を分注する方法を提供する。また、媒剤は、いままでに実施された方法よりも均一になり得る添加剤の分注率も提供する。これにより、正味の費用低下および/または担体、透明トナー、添加剤の率を最適化することによる画質の向上を達成する。
【0017】
上述のものは、新鮮な担体分注システムからトナーに似た透明ポリマー粒子とブレンドしたトナー表面添加剤を分注し、担体とトナー添加剤とをあらかじめブレンドしておくことによって、現像剤の性能を維持する方法を提供する。この方法によって、担体の消費量が減り、現像剤の性能が高まる。
【0018】
上述のように、本開示の一連の電子写真用トナーは、トナー粒子の初期の供給と、補充剤または現像剤粒子の補充用供給とを含み、両方とも、粒子表面に付着した添加剤を含む。第2の(すなわち、透明)トナー上の添加剤の重量比は、第2のトナー粒子の粒径によって変わり得る。この重量比によって、第2の(すなわち、透明)トナーの表面積の約50%〜約100%の表面積被覆率を覆うことができる。
【0019】
使用可能な添加剤の例は、電荷制御剤、洗浄剤などである。電荷制御剤として、疎水性シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、脂肪酸金属塩からなる群から選択される少なくとも1種類の材料から作られる微細粉末を使用してもよい。洗浄剤として、ポリスチレン、またはポリフルオロエチレン、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種類の材料から作られる微細粉末から作られる微細ビーズを使用してもよい。好ましくは、電荷制御剤または洗浄剤のような添加剤に使用される微細ビーズまたは微細粉末は、平均粒径が2μm以下である。
【0020】
上述のトナー粒子は、例えば、得られるトナーに色をつける着色剤、着色剤を紙に固定する樹脂系バインダー、得られたトナーに対し、望ましい程度の帯電度を与える電荷制御剤、得られたトナーが固定ローラーに接着するのを防ぐ粘着防止剤のような構成要素から調製することができる。
【0021】
使用可能な樹脂系バインダーの例は、ポリスチレン、スチレンコポリマー、例えば、スチレン−ブタジエンコポリマーおよびスチレン−アクリレートコポリマー、ポリエチレン、エチレンコポリマー、例えば、エチレン−酢酸ビニルコポリマーおよびエチレン−ビニルアルコールコポリマー、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フタル酸ジアリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂である。
【0022】
使用可能な着色剤の例は、カーボンブラック、ニグロシン、アニリンブラック、カルコオイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンイエロー、メチレンブルー、du Pontオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーン、シュウ酸化合物、ランプブラック、ローズベンガル、およびこれらの混合物である。トナー粉末は、別個のトナー画像を作成するのに十分な量の着色剤を含んでいるはずである。
【0023】
使用可能な電荷制御剤の例は、アミノ化合物、四級アンモニウム塩、例えば、N−ベンジル−N,N−ジメチル−N−ヘキサデシルアンモニウムクロリドおよびN−デシル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、有機染料、特に、塩基性染料およびその塩、例えば、ニグロシン、塩酸ニグロシン、サフラニン、クリスタルバイオレットである。これらの中で、ニグロシンおよび塩酸ニグロシンは、時々、正電荷制御剤として用いられる。
【0024】
使用可能な粘着防止剤の例は、ポリプロピレン、ポリエチレン、パラフィンワックスである。トナーを調製するために個々に使用する場合、これらの粘着防止剤は、固定ローラーからのトナーの剥離性を高めるのに非常に有用である。
【0025】
本開示のこれらの目標および他の目標は、樹脂粒子、顔料粒子で構成されるトナー組成物、その現像剤組成物、およびそのプロセスを提供することによって、本開示の実施形態で達成することができる。いくつかの実施形態では、本開示は、担体と、樹脂、顔料、ポリオレフィン、ポリオレフィンワックス、相溶化剤、電荷制御剤、表面添加剤で構成されるトナーとで構成される第1の現像剤を与えることと、これに、担体、相溶化剤、電荷制御剤、表面添加剤で構成される第2の補充現像剤を加えることとを含む、現像剤組成物を調製するためのプロセスに関する。
【0026】
本開示のトナー、現像剤組成物およびプロセスのために選択される適切なトナー樹脂の具体例としては、熱可塑性プラスチック、例えば、ポリアミド、ポリオレフィン、スチレンアクリレート、スチレンメタクリレート、スチレンブタジエン、架橋したスチレン、ポリエステル(押出成形された架橋ポリエステルを含む)、エポキシ、ポリウレタン、ビニル樹脂(ホモポリマーまたは2種類以上のビニルモノマーのコポリマーを含む)、ジカルボン酸と、ジフェノールを含むジオールとのポリマー系エステル化生成物が挙げられる。ビニルモノマーとしては、スチレン、p−クロロスチレン、不飽和モノオレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなど、飽和モノオレフィン、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ブタン酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルを含むモノカルボン酸エステルのようなビニルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、これらの混合物などが挙げられる。具体的な樹脂の例としては、スチレン含有量が約70〜約95重量%のスチレンブタジエンコポリマー、ジカルボン酸と、ジフェノールを含むジオールとのエステル化生成物が挙げられる。他の具体的なトナー樹脂としては、スチレン/メタクリレートコポリマー、スチレン/ブタジエンコポリマー、PLIOLITES(商標)、懸濁重合したスチレンブタジエン、ビスフェノールAとプロピレンオキシドとを反応させた後、得られた生成物をフマル酸と反応させて得られるポリエステル樹脂、テレフタル酸ジメチル、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、ペンタエリスリトール、スチレンアクリレートの反応から得られる分岐ポリエステル樹脂、およびこれらの混合物が挙げられる。また、分子量Mが約1,000〜約10,000のポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、パラフィンポリオレフィンが、フューザーロール剥離剤としてトナー組成物中に、またはトナー組成物表面に含まれていてもよい。
【0027】
例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、アニリンブルー、マグネタイト、またはこれらの混合物のような多くのよく知られている適切な顔料または染料を、トナー粒子の着色剤として選択することができる。顔料は、トナー組成物を高度に着色するのに十分な量で存在するはずである。一般的に、顔料粒子は、トナー組成物の合計重量を基準として約1重量%〜約20重量%、好ましくは、約2〜約10重量%の量で存在するが、本開示の目的が達成される限り、これより少ない量または多い量の顔料粒子を選択してもよい。
【0028】
トナー表面添加剤は、金属酸化物、例えば、酸化アルミニウム、酸化セリウム、二酸化チタン、酸化ケイ素、特に、フュームドシリカなどであってもよい。二酸化チタンは、一例となる表面添加剤であり、本明細書に示す量で存在する。
【0029】
また、本開示のトナー組成物と、流動補助添加剤を含む外部添加剤粒子とをブレンドしてもよく、添加剤は、通常は、その表面に存在する。これらの添加剤の例としては、フュームドシリカ、例えば、AEROSIL(商標)、金属塩および脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛を含む)などが挙げられ、添加剤は、一般的に、約0.1重量%〜約5重量%、好ましくは約0.1重量%〜約1重量%の量で存在する。
【0030】
また、トナー組成物中に、低分子量ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはその混合物、例えば、それぞれ10〜90、90〜10の第1および第2のポリオレフィン、Allied ChemicalおよびPetrolite Corporationから市販されるもの、Eastman Chemical Products,Inc.から市販されるEPOLENE N−15.TM、三洋化成工業株式会社から入手可能な重量平均分子量が小さなポリプロピレンであるVISCOL 550−P.TM.、三井化学株式会社製の800PポリオレフィンおよびP200ポリオレフィンなどが含まれていてもよい。選択される市販のポリエチレンは、重量平均分子量が約1,000〜約1,500であり、一方、本開示のトナー組成物のために利用される市販のポリプロピレンは、重量平均分子量が約4,000〜約5,000であると考えられる。
【0031】
既知の電荷添加剤は、トナーのために有効な量で、例えば、約0.5〜約3重量%の量で選択されてもよく、添加剤の例としては、本明細書で述べた特許に示されているもの、オリエント化学工業株式会社(日本)から入手可能なP51などが挙げられる。
【0032】
現像剤組成物の配合物の場合、トナー粒子とともに、担体構成要素を混合し、特に、トナー組成物と反対の極性を摩擦電気によって与えると推定することができる要素と混合する。したがって、本開示の担体粒子は、負の極性を持つトナー粒子が担体粒子に接着し、担体粒子を取り囲むことができるように正の極性を有することができるように選択してもよい。担体粒子の具体例としては、鉄粉末、鋼鉄、ニッケル、鉄、フェライト(銅亜鉛フェライトを含む)、マグネタイトが挙げられ、これらが好ましい。さらに、担体粒子として、ニッケルベリー担体を選択してもよい。選択される担体粒子は、コーティングとともに用いてもよく、コーティングを用いずに用いてもよく、コーティングは、一般的に、スチレン、メタクリル酸メチル、シラン(例えば、トリエトキシシラン)、ポリメタクリル酸メチルのターポリマー、他の既知のコーティングなどを含む。担体粒子は、コーティング中にも含まれていてもよく、コーティングは、一実施形態では、約0.1〜約3重量%の量で存在していてもよく、導電性基質(例えば、カーボンブラック)は、約5〜約30重量%の量で存在していてもよい。また、例えば、KYNAR(登録商標)およびポリメチルメタクリレート混合物を含め、帯電列で非常に近い位置にないポリマーコーティングを選択してもよい。コーティングの重量は、本明細書に示すようにさまざまであってもよいが、一般的に、約0.3〜約2重量%、好ましくは、約0.5〜約1.5重量%のコーティングの重量を選択する。また、導電性構成要素(例えば、カーボンブラック)を約20〜約40%の量で含む担体コーティングを選択してもよい。
【0033】
さらに、担体粒子の直径は、好ましくは、ほぼ球状の形であり、一般的に、約3ミクロン〜約300、好ましくは、約20〜約90ミクロンであり、それによって、現像プロセス中に、担体粒子は、静電画像への付着を避けるのに十分な密度および慣性を有することができる。担体の構成要素を、トナー組成物と種々の適切な組み合わせで、例えば、担体約100〜約200部に対し、トナーあたり約1〜10部を混合してもよい。
【0034】
本開示のトナーおよび現像剤組成物は、負に帯電することができる限り、従来の感光体を備える静電複写画像形成装置で使用するために選択されてもよい。したがって、本開示のトナーおよび現像剤組成物を、負に帯電することができる層状の感光体とともに用いてもよい。画像形成および印刷プロセスのために選択可能な無機感光体の具体例としては、セレン、セレンアロイ、例えば、ヒ化セレン、セレニウムテルルなど、ハロゲンがドープされたセレン基質、ハロゲンがドープされたセレンアロイが挙げられる。
図1
図2
図3
図4
図5