特許第6113054号(P6113054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6113054
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】連れ回り防止工具
(51)【国際特許分類】
   B25B 13/00 20060101AFI20170403BHJP
   F16L 55/00 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   B25B13/00 C
   F16L55/00 Z
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-230483(P2013-230483)
(22)【出願日】2013年11月6日
(65)【公開番号】特開2015-89603(P2015-89603A)
(43)【公開日】2015年5月11日
【審査請求日】2016年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120352
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100128901
【弁理士】
【氏名又は名称】東 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】三瀬 剛
(72)【発明者】
【氏名】栩木 勇佑
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 修
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−056851(JP,U)
【文献】 特開2000−158349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 13/00 − 13/58
B25B 17/00
F16L 55/00
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管に螺着された筒状部材と、当該筒状部材に対して同心状に螺装される螺着部材を対象とし、前記筒状部材に対する前記螺着部材の装脱時に前記筒状部材の連れ回りを防止する連れ回り防止工具であって、
前記筒状部材の外周に外嵌する外嵌部材が、その内周面に前記筒状部材の外周面から径方向外方に突設された突起に嵌合する嵌合部を備え、かつ、前記筒状部材の径方向に開閉自在な一対の外嵌部材片により構成されるとともに、前記筒状部材への外嵌状態で前記一対の外嵌部材片を連結して固定する固定手段を備え、前記外嵌部材に連設の握り部材が、前記筒状部材の軸心方向に延出されている連れ回り防止工具。
【請求項2】
前記一対の外嵌部材片が、前記筒状部材の軸心に沿う枢支軸により開閉自在に枢着され、前記筒状部材の軸心方向視において、当該筒状部材の軸心を中心として径方向における前記枢支軸の反対側に前記固定手段が設けられている請求項1に記載の連れ回り防止工具。
【請求項3】
前記固定手段が、前記一対の外嵌部材片にそれぞれ設けられた貫通孔と、それら両貫通孔にわたって挿脱自在なピン部材からなる請求項2に記載の連れ回り防止工具。
【請求項4】
前記ピン部材が、軸方向においてピン外径が縮小するテーパー状ピン部材である請求項3に記載の連れ回り防止工具。
【請求項5】
前記突起が前記筒状部材の外周面に複数個設けられ、当該複数個の突起に嵌合可能な前記嵌合部が、前記外嵌部材の内周面に前記突起の個数以上設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の連れ回り防止工具。
【請求項6】
前記握り部材が、前記筒状部材の軸心方向に延出するシャフト部材と、当該シャフト部材の遊端部側からシャフト部材に直交して延出する握り部からなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の連れ回り防止工具。
【請求項7】
前記外嵌部材と握り部材とが、互いに分離および連結自在に構成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の連れ回り防止工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管に螺着された筒状部材と、当該筒状部材に対して同心状に螺装される螺着部材を対象とし、前記筒状部材に対する前記螺着部材の装脱時に前記筒状部材の連れ回りを防止する連れ回り防止工具に関する。
【背景技術】
【0002】
このような連れ回り防止工具としては、例えば、地中に設けられた狭いプロテクター内に位置するガス管の抽水管において、当該抽水管に螺着されたソケット(筒状部材の一例)およびソケットに対して同心状に螺装されるプラグ(螺着部材の一例)を対象とし、ソケットの外径よりも大きな内径を有してソケットを囲繞可能な筒枠と、当該筒枠に対して均等角度離して挿通された3組のネジ機構を備え、当該ネジ機構が、前記筒枠に相対移動自在に挿通されてその先端部がソケットの外周面に接当する基端ボルトと、当該基端ボルトと逆ネジでその先端部がプロテクターの内周面に接当する先端ボルトと、前記基端ボルトと先端ボルトとにわたって螺合されたターンバックルから構成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−278985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献に記載の連れ回り防止工具では、使用に際して、3組のネジ機構を構成する各基端ボルトの先端部をソケット外周面へ接当させ、各先端ボルトの先端部をプロテクター内周面へ接当させる作業が必要で、使用後においては、逆の作業により取り外す必要があり、使用に際して作業性が悪いという問題があった。
また、各基端ボルトのソケット外周面への接当による摩擦力と各先端ボルトのプロテクター内周面への接当による摩擦力のみでソケットの連れ回りを防止するものであるから、例えば、ソケットからプラグを取り外す場合、ソケットに対してプラグが錆び付いていると、摩擦力により十分に対抗することができず、ソケットが一緒に回転してしまう可能性も高い。
それ以上に、ソケットの外周部に各先端ボルトの先端部を接当させるためのプロテクター内周面またはそれに相当する他物の存在が不可欠であり、例えば、ソケットの外周部に多数の配管類が存在するような状況下での狭所では使用不可能となり、この点に改良の余地があった。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的は、筒状部材の外周部にプロテクターなどが存在しないような狭所においても使用可能で、しかも、作業性がよく、筒状部材の連れ回りを確実に防止することのできる連れ回り防止工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明は、管に螺着された筒状部材と、当該筒状部材に対して同心状に螺装される螺着部材を対象とし、前記筒状部材に対する前記螺着部材の装脱時に前記筒状部材の連れ回りを防止する連れ回り防止工具であって、
その特徴構成は、前記筒状部材の外周に外嵌する外嵌部材が、その内周面に前記筒状部材の外周面から径方向外方に突設された突起に嵌合する嵌合部を備え、かつ、前記筒状部材の径方向に開閉自在な一対の外嵌部材片により構成されるとともに、前記筒状部材への外嵌状態で前記一対の外嵌部材片を連結して固定する固定手段を備え、前記外嵌部材に連設の握り部材が、前記筒状部材の軸心方向に延出されている点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、管に螺着された筒状部材の外周に外嵌する外嵌部材が、その内周面に筒状部材の外周面から径方向外方に突設された突起に嵌合する嵌合部を備え、かつ、筒状部材の径方向に開閉自在な一対の外嵌部材片により構成されて、筒状部材への外嵌状態で一対の外嵌部材片を連結して固定する固定手段を備えているので、一対の外嵌部材片を開いた状態で、その内周面の嵌合部が筒状部材の外周面から突設された突起に嵌合するようにセットし、固定手段によって一対の外嵌部材片を連結固定するだけの比較的簡単な作業により、たとえ狭所内であっても、筒状部材に対して一対の外嵌部材片からなる外嵌部材を外嵌固定することができる。
特に、筒状部材に外嵌する外嵌部材が、筒状部材の径方向に開閉自在な一対の外嵌部材片により構成されるので、外嵌部材を外嵌するべき筒状部材よりも螺着部材側に、当該筒状部材よりも大きな径を有する部材、例えば、螺着部材がバルブの開閉つまみ等のような筒状部材よりも大きな径を有する部材の場合や、筒状部材に回転操作具が設けられていて、当該回転操作具が径方向の外方へ突出しているような場合であっても、外嵌部材を構成する一対の外嵌部材片を開状態にして筒状部材に外嵌することにより、筒状部材の所望箇所に外嵌部材を確実に外嵌固定することができる。
そして、その外嵌部材に連設の握り部材が、筒状部材の軸心方向に延出されているので、当該握り部材が螺着部材側へ延出するように配置し、例えば、一方の手(左手)で握り部材の遊端部側を握って筒状部材の回転を阻止した状態で、他方の手(右手)で回転操作具を操作して螺着部材を回転操作することにより、筒状部材の連れ回りを確実に防止して螺着部材を回転操作することができる。
その結果、本発明の連れ回り防止工具によれば、筒状部材の外周部にプロテクターなどが存在しないような狭所においても使用可能で、しかも、作業性がよく、筒状部材の連れ回りを確実に防止することができる。
【0008】
本発明による連れ回り防止工具の更なる特徴構成は、前記一対の外嵌部材片が、前記筒状部材の軸心に沿う枢支軸により開閉自在に枢着され、前記筒状部材の軸心方向視において、当該筒状部材の軸心を中心として径方向における前記枢支軸の反対側に前記固定手段が設けられている点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、一対の外嵌部材片が、筒状部材の軸心に沿う枢支軸により開閉自在に枢着されているので、一対の外嵌部材片からなる外嵌部材の筒状部材への外嵌固定作業や取り外し作業がより一層簡単となり、しかも、前記固定手段が、筒状部材の軸心方向視において、当該筒状部材の軸心を中心として径方向における枢支軸の反対側に設けられているので、外嵌部材の筒状部材への外嵌固定は強固なものとなり、筒状部材の連れ回りをより確実に防止することができる。
【0010】
本発明による連れ回り防止工具の更なる特徴構成は、前記固定手段が、前記一対の外嵌部材片にそれぞれ設けられた貫通孔と、それら両貫通孔にわたって挿脱自在なピン部材からなる点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、固定手段が、一対の外嵌部材片にそれぞれ設けられた貫通孔と、それら両貫通孔にわたって挿脱自在なピン部材からなるので、両貫通孔へのピン部材の挿脱による簡単な作業で、筒状部材に対する外嵌部材の外嵌固定作業や取り外し作業を行うことができる。
【0012】
本発明による連れ回り防止工具の更なる特徴構成は、前記ピン部材が、軸方向においてピン外径が縮小するテーパー状ピン部材である点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、両貫通孔に挿脱するピン部材が、軸方向においてピン外径が縮小するテーパー状ピン部材であるから、両貫通孔にわたってテーパー状ピン部材を挿入する際、先鋭な方から挿入することで両貫通孔への挿入を容易に行うことができ、筒状部材の外径に寸法誤差等があり、外嵌部材の内周面にぴったりと収まらない場合でも、テーパー部分が貫通孔内面と接触することにより確実に固定できる。また、筒状部材の外周面に泥や錆などが付着していても、テーパー状ピン部材を強力に押し込むことにより、泥や錆などを押し潰して両貫通孔の軸心を一致させることができ、外嵌部材の筒状部材への外嵌固定を確実に行うことができる。
【0014】
本発明による連れ回り防止工具の更なる特徴構成は、前記突起が前記筒状部材の外周面に複数個設けられ、当該複数個の突起に嵌合可能な前記嵌合部が、前記外嵌部材の内周面に前記突起の個数以上設けられている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、筒状部材の外周面から突設の突起が複数個設けられ、当該複数個の突起に嵌合可能な嵌合部が、外嵌部材の内周面に前記突起の個数以上設けられているので、筒状部材に対する外嵌部材の外嵌固定位置、言い換えると、握り部材の位置を選択することができ、たとえ筒状部材の外周部に障害物があっても、その障害物を避けて握り部材を所望の箇所に位置させることができる。
【0016】
本発明による連れ回り防止工具の更なる特徴構成は、前記握り部材が、前記筒状部材の軸心方向に延出するシャフト部材と、当該シャフト部材の遊端部側からシャフト部材に直交して延出する握り部からなる点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、握り部材が、筒状部材の軸心方向に延出するシャフト部材と、当該シャフト部材の遊端部側からシャフト部材に直交して延出する握り部からなるので、シャフト部材に直交する握り部を握ることで力が入れやすくなり、強い力で筒状部材の連れ回りを確実に防止することができる。
【0018】
本発明による連れ回り防止工具の更なる特徴構成は、前記外嵌部材と握り部材とが、互いに分離および連結自在に構成されている点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、外嵌部材と握り部材とを互いに分離することで、連れ回り防止工具の持ち運びや保管が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】連れ回り防止工具の分解斜視図
図2】連れ回り防止工具の要部の分解斜視図
図3】抽水管およびプロテクターの正面図
図4】連れ回り防止工具の使用方法を示す正面図
図5】連れ回り防止工具の使用方法を示す平面図
図6】連れ回り防止工具の使用方法を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明による連れ回り防止工具の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明に係る連れ回り防止工具は、例えば、図3に示すように、地中に埋設されたガス管(図示せず)内に溜まった水を抽水するための抽水管1において、当該抽水管1に螺着された筒状部材としてのソケット2および当該ソケット2に対して同心状に螺装される螺着部材としてのプラグ3を対象とし、ソケット2に対するプラグ3の装脱時、つまり、プラグ3の上端に設けられた回転操作部3aを回転操作してプラグ3を装脱させる際にソケット2の連れ回りを防止するために使用する。
すなわち、抽水管1の上端部に螺着されるソケット2およびプラグ3は、地中に設けられた狭いプロテクター4内に位置するため、プロテクター4の蓋4aを開けて上方からソケット2に対してプラグ3を螺着したり取り外したりする際、通常のレンチ類でソケット2の連れ回りを防止することは不可能である。
【0022】
本発明の連れ回り防止工具5は、通常のレンチ類の使用が不可能または困難な狭所であっても容易に使用することができ、図1および図2に示すように、ソケット2の外周に外嵌する外嵌部材6を備え、当該外嵌部材6は、例えば、硬質ジュラルミンからなる一対の外嵌部材片7、8により構成される。
各外嵌部材片7、8は、その基端側に段部7b、8bを備え、ソケット2の軸心L(図3図6参照)に沿う枢支軸9が両段部7b、8bにわたって挿通され、ソケット2の径方向に開閉自在に枢着されている。各外嵌部材片7、8の先端側にも、それぞれ段部7c、8cが設けられ、各段部7c、8c、つまり、ソケット2への外嵌状態において、ソケット2の軸心L方向視において、当該軸心Lを中心として径方向における枢支軸9の反対側には、貫通孔7a、8aがそれぞれ穿設され、枢支軸9の中心には、正方形の連結孔9aが同心状に設けられている。
【0023】
各外嵌部材片7、8に穿設の貫通孔7a、8aは、ピン部材10と協働して、当該一対の外嵌部材片7、8をソケット2に外嵌した状態で一対の外嵌部材片7、8を連結して固定するための固定手段11を構成する。つまり、図5および図6に示すように、枢支軸9により枢着された一対の外嵌部材片7、8を開状態にしてソケット2に外嵌し、両貫通孔7a、8aにわたってピン部材10を挿入することにより、一対の外嵌部材片7、8をソケット2に外嵌して固定し得るように構成され、当該ピン部材10は、両貫通孔7a、8aへの挿入を容易にするため、その軸方向においてピン外径が縮小するテーパー状ピン部材10に形成されている。
そして、ソケット2の外周面には、その軸心Lを中心として180°の位置に軸心Lに沿って延びる突起としての突条2aが2個突設され、一対の外嵌部材片7、8の内周面、言い換えると、外嵌部材6の内周面には、前記2個の突条2aに嵌合する一対の嵌合部としての凹入部12が4対(合計8個)設けられている。
【0024】
連れ回り防止工具5は、更に、金属製の棒材やパイプ材からなる握り部材13を備え、当該握り部材13は、シャフト部材14と握り部15により構成される。
シャフト部材14の一端部には、図2に拡大して示すように、外嵌部材6の枢支軸9に設けられた連結孔9aに嵌入して外嵌部材6に対して連結自在な嵌入部16が設けられている。当該嵌入部16は、シャフト部材14の軸心方向視において、正方形の連結孔9aに嵌入する断面がほぼ正方形の嵌入軸部16aと嵌入軸部16aの一面から突出して連結孔9aの内面に接触する凸部16bにより構成される。
シャフト部材14の他端部には、図1に示すように、握り部15を連結するための断面正方形の嵌入穴17aを有する連結部17が設けられていて、当該シャフト部材14に対して、前記テーパー状ピン部材10がチェーンなどの紐状体10aを介して取り付けられている。
【0025】
握り部15の中間には、図1に示すように、シャフト部材14の連結部17に設けられた嵌入穴17aに嵌入してシャフト部材14に連結自在な断面がほぼ正方形の嵌入部18が設けられ、当該嵌入部18を嵌入穴17aに嵌入することにより、握り部15が、シャフト部材14の遊端部からシャフト部材14に直交して横方向側方へ延出する状態で、シャフト部材14に連結される。ただし、握り部15は、必ずしもシャフト部材14の遊端部から横方向側方へ延出する必要はなく、シャフト部材14の遊端部の近傍から延出していてもよく、要するに、シャフト部材14の遊端部側から延出していればよい。
握り部15の中間には、更に、前記嵌入部18に対向する状態で、継ぎ足し用の別のシャフト部材(図示せず)を連結するための断面正方向の嵌入穴19aを有する継ぎ足し用連結部19が設けられ、必要に応じて継ぎ足し用のシャフト部材を連結し得るように構成されている。
【0026】
つぎに、この連れ回り防止工具5の使用方法について説明する。
まず、外嵌部材6に握り部材13を連結する。つまり、外嵌部材6の枢支軸9の連結孔9aにシャフト部材14の嵌入部16を嵌入し、外嵌部材6にシャフト部材14を連結するとともに、シャフト部材14の連結部17の嵌入穴17aに握り部15の嵌入部18を嵌入し、シャフト部材14に握り部15を連結する。
そして、例えば、図3に示すように、ガス管の抽水管1に螺着されたソケット2およびプラグ3を対象とし、図外の抽水ポンプを接続するためにプラグ3を取り外す場合であれば、図4図6に示すように、外嵌部材6を構成する一対の外嵌部材片7、8を開いてソケット2に外嵌し、固定手段11により固定する。ただし、先に外嵌部材片7、8をソケット2に外嵌固定し、その後、外嵌部材6に握り部材13を連結してもよい。
【0027】
外嵌部材片7、8のソケット2への外嵌固定は、両外嵌部材片7、8の内周面に設けられた4対の凹入部12のいずれか一対がソケット2の外周面に設けられた2個の突条2aに嵌合するようにセットし、両外嵌部材片7、8に穿設の貫通孔7a、8aにわたってテーパー状ピン部材10を挿入して固定する。
外嵌部材片7、8をソケット2に外嵌固定すると、図4に示すように、握り部材13のシャフト部材14がソケット2の軸心Lに沿って上方に延出し、握り部材13の握り部15を握れば、ソケット2の連れ回りを防止することができるので、例えば、先端にプラグ3の回転操作部3aに外嵌する外嵌部20aを有する回転操作具20を使用し、左手で握り部15を握り、右手で回転操作具20を回転操作することにより、たとえ狭いプロテクター4内に位置するプラグ3であっても、ソケット2の連れ回りを確実に防止してプラグ3を取り外すことができる。また、プラグ3を螺着するときも同様で、この連れ回り防止工具5を使用することにより、ソケット2の連れ回りを確実に防止してプラグ3を螺着することができる。
【0028】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、外嵌部材6を一対の外嵌部材片7、8により構成し、当該一対の外嵌部材片7、8を枢支軸9により枢着して開閉自在に構成した例を示したが、一対の外嵌部材片7、8を枢着することなく互いに分離自在(開閉自在)に構成し、当該一対の外嵌部材片7、8の基端部と先端部に固定手段を設けて、ソケット2に外嵌固定自在に構成して実施することもできる。
また、上記実施形態のように、一対の外嵌部材片7、8を開閉自在に枢着する場合、その固定手段11は貫通孔7a、8aとピン部材10に限るものではなく、例えば、一対の外嵌部材片7、8を挟持して固定するクランプ装置などを使用し、それを固定手段11とすることもできる。
【0029】
(2)上記実施形態では、外周面に2個の突条2aを有するソケット2を対象とし、その2個の突条2aに嵌合する一対の凹入部12を外嵌部材6の内周面に4対設けた例を示した。つまり、ソケット2の外周面に2個を一対とする突条2aを設けた例を示したが、3個を一対とする突条2aを設けることも可能であり、また、外嵌部材6の内周面に設ける凹入部12に関しても、必ずしも4対に限るものではなく、ソケット2側の突条2aに嵌合する一対あるいは2対以上の凹入部12を設けて実施することができる。
更に、対象とするソケット2が外周面に突条2aを1個しか有していない場合には、凹入部12をひとつだけ設けることも、また、複数個設けることも可能である。
要するに、ソケット2の外周面に設ける突条2aの数や外嵌部材6の内周面に設ける凹入部12の数は適宜変更可能であるが、突条2aを複数個設け、その複数個の突条2aに嵌合可能な凹入部12を突起2aの個数以上設けることが、ソケット2に対する外嵌部材6の外嵌位置を選択できて便利である。
【0030】
(3)上記実施形態では、握り部材13をシャフト部材14と握り部15により構成した例を示したが、握り部15は必ずしも必要ではなく、シャフト部材14のみにより握り部材13を構成することもでき、また、その握り部材13と外嵌部材6を分離および連結自在に構成せず、握り部材13と外嵌部材6を一体化した状態で実施することもできる。
また、本発明の連れ回り防止具5は、ガス管の抽水管1に螺着されたソケット(筒状部材)2およびプラグ(螺着部材)3を使用対象として限定するものではなく、狭い空間内に位置する筒状部材2および当該筒状部材2に同心状に螺装される螺着部材3を備えたあらゆるものを対象として使用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 管
2 筒状部材
2a 突起
3 螺着部材
5 連れ回り防止工具
6 外嵌部材
7、8 外嵌部材片
7a、8a 貫通孔
9 枢支軸
10 テーパー状ピン部材
11 固定手段
12 嵌合部
13 握り部材
14 シャフト部材
15 握り部
L 筒状部材の軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6