【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例によって限定されるものではない。尚、ここで作製したカバーテープの各種特性は下記に示す評価方法によって評価した。
【0033】
(1)耐ブロッキング性
図4を参照しながら、カバーテープの耐ブロッキング性評価方法を説明する。
直径93mmのプラスチックコア20に幅5.5mm×長さ500mでスリット加工してカバーテープの基材層表面の帯電防止層側が外方となるようレコード状に巻いた後に、60℃ドライ環境および40℃×90%R.H.環境にそれぞれ24時間投入する。各環境下から取り出した後、23℃×50%R.H.の環境下に1時間放置し、同じく23℃×50%R.H.の雰囲気下で巻芯部の残りが20m程度になるまで繰り出した状態で、巻芯部の20mを残してカバーテープを切断する。
図4に示す治具21に巻芯部のスリット品22を時計回りの向きでテープを繰り出せるように取り付けた後、冶具の「0」の位置(
図4中、時計盤で方向を特定して3時の位置)で静置した状態でカバーテープを20cm繰り出し、その先端部に1gの荷重23を取り付ける(
図4(a))。ついで、繰り出し部が冶具上の「6」(
図4中、時計盤で方向を特定して9時の位置)に来るように時計回りに180°回転させる(
図4(b))。回転直後に1gの荷重23により巻取状態のカバーテープから自然に繰り出し部が剥離されて移動した後に繰り出し部が停止する位置を読み取る(例えば
図4(c)に示すようになる)。
【0034】
上記方法によれば、荷重23が示す治具21上の評価点数「0」から「6」がブロッキングの度合いを示す。すなわち、評価点数が「6」ではブロッキングした状態となり、評価点数が小さくなるに連れて耐ブロッキング性に優れることを意味し、評価点数が「0」であれば全くブロッキングしていないことを示すこととなる。この方法は耐ブロッキング性の評価としては非常に厳しいものであることから、評価点数が「3」以下であれば耐ブロッキング性を有するカバーテープであるものと判断できる。
【0035】
(2)表面抵抗率(23℃×50%R.H.)
耐ブロッキング性評価と同じ環境下にスリット加工品を投入し、同様に巻芯部を用いて三菱化学社のハイレスタUP MCP−HT450を使用し、JIS K 6911の方法にて、23℃×50%R.H.雰囲気下、印加電圧500Vで基材層表面の帯電防止層側の表面抵抗率を測定する。
【0036】
(3)表面抵抗率(23℃×30%R.H.)
上記(2)と同じ測定器を用いて23℃×30%R.H.雰囲気下に24時間放置した後に同一雰囲気下にて、印加電圧500Vで基材層表面の帯電防止層側の表面抵抗率を測定する。
【0037】
また、実施例及び比較例において、基材層11、中間層12、接着層13、帯電防止層14及び接着層13の表面に形成した帯電防止層15について(
図2参照)、以下の原料を用いた。
(基材層11の原料)
・ 二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製)、厚み12μm
(中間層12の原料)
・ m−LLDPE:ハーモレックスNH745N(日本ポリエチレン社製)
(接着層13の樹脂)
・ スチレン−ブタジエンブロック共重合体1:クリアレン(電気化学工業社製、ピカット軟化温度:76℃、スチレン比:83質量%)
・ スチレン−ブタジエンブロック共重合体2:TR−2000(JSR社製、ピカット軟化温度:45℃、スチレン比:40質量%)
・ ハイインパクトポリスチレン:トーヨースチロールE640N(東洋スチレン社製、ピカット軟化温度:99℃)
・ エチレン−α−オレフィンランダム共重合体:タフマーA(三井化学社製)
・ アクリル系樹脂:EC−242(新中村化学工業社製、Tg=60℃)
【0038】
(帯電防止層14)
・ ワックス成分:
ケミパールW500(三井化学社製、オレフィン系ワックス水分散体、固形分:40%、平均粒径:2.5μm(コールターカウンター法))
ケミパールW900(三井化学社製、オレフィン系ワックス水分散体、固形分:40%、平均粒径:0.6μm(マイクロトラック法))
ケミパールW100(三井化学社製、オレフィン系ワックス水分散体、固形分:40%、平均粒径:3.0μm(コールターカウンター法))
ケミパールW400(三井化学社製、オレフィン系ワックス水分散体、固形分:40%、平均粒径:4.0μm(コールターカウンター法))
MYE−35G(丸芳化学社製、オレフィン系ワックス水分散体、固形分:35%、平均粒径:0.2μm)
AQACER498(BYK社製、パラフィンワックス水分散体、固形分:50%、平均粒径:0.1μm(へグマンゲージ法))
・ バインダー樹脂:
エリーテルKA3556(ユニチカ社製、ポリエステル樹脂、ガラス転移温度:80℃)
・ 無機系帯電防止剤:
ラポナイトS482(Rockwood Additives社製、ケイ酸マグネシウム、燐片状(短辺:1nm、長辺:25nm)
(帯電防止層15)
・ 帯電防止剤:
ボンディップPM(コニシ社製、四級アンモニウムアクリレートエチル硫酸塩)
・ バインダー樹脂:
NKポリマーMK−100EC−242(新中村化学工業社製、ガラス転移温度:55℃、メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチルのランダム共重合体のエマルジョン溶液)
・ アンチブロッキング材:
AERODISP W630(日本アエロジル社製、球状アルミナ、平均粒径:0.12μm)
【0039】
<実施例1>
スチレン−ブタジエンブロック共重合体「クリアレン」(電気化学工業社製)42.5質量%と、スチレン−ブタジエンブロック共重合体「TR−2000」(JSR社製)22.5質量%と、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体「タフマーA」(三井化学社製)25質量%と、ハイインパクトポリスチレン:トーヨースチロール「E640N」(東洋スチレン社製)10質量%を、タンブラーを用いてプリブレンドし、径40mmの単軸押出機を用いて210℃で混練し、毎分20mのライン速度で接着層(
図2中、13)を構成する樹脂組成物を得た。この接着層の樹脂組成物を用いて、インフレーション押出機を用いて製膜を行い、接着層を構成する15μm厚のフィルムを得た。更に、基材層(
図2中、11)を構成する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み12μm)に二液硬化型ポリウレタン型アンカーコート剤を、ロールコーターを用いて塗布しておき、当該塗布面と上述した接着層のフィルムとの間に、中間層(
図2中、12)を構成する溶融したm−LLDPE「ハーモレックスNH745N」(日本ポリエチレン社製)を25μmの厚みになるように押出し、押出ラミネート法によって積層フィルム(
図2中、11〜13の積層体)を得た。積層フィルムの基材層と接着層の両表面にコロナ処理した後、基材層表面に帯電防止層1(
図2中、14)として予め水で希釈して固形分濃度が3.5%となるように作製しておいた無機系帯電防止剤水溶液「ラポナイトS482」(Rockwood Additives社製)60質量%とワックス成分となる「ケミパールW500」(三井化学社製)25質量%及びポリエステル樹脂「KA3556」(ユニチカ社製)15質量%を混合した分散液をグラビアコーターにより乾燥後の塗工厚みが0.1μmになるように塗布し、次いで接着層表面に形成させる帯電防止層2(
図2中、15)として予め作製しておいたボンディップPM(コニシ社製)31質量%、NKポリマーMK−100EC−242(新中村化学工業社製)25質量%とAERODISP W630(日本アエロジル社製)44質量%を混合した分散液を、グラビアコーターを用いて、乾燥後の塗工厚みが0.3μmになるように塗布したカバーテープを得た。
【0040】
<実施例2〜9、比較例1〜9>
帯電防止層(
図2中、14)を、表1及び表2に記載した組成比率にて形成した以外は、実施例1と同様にして本発明の実施例2〜3に係るカバーテープ及び比較例1、3〜9に係るカバーテープを作製した。また、帯電防止層を表1及び表2に記載した組成比率にて形成し、接着層(
図2中、13)をアクリル系樹脂「EC−242」(新中村化学工業社製)によって形成した以外は、実施例1と同様にして本発明の実施例4〜9に係るカバーテープ及び比較例2に係るカバーテープを作製した。
【0041】
上記実施例1〜9及び比較例1〜9に係るカバーテープについて、前述した各種特性を求めた。その結果を表1及び表2に併せてまとめる。
【表1】
【表2】
この結果から分かるように、実施例1〜9に係るカバーテープは、いずれも、高温環境下及び高温高湿環境下で優れた耐ブロッキング性を示し、且つ、低湿度下でも安定した帯電防止性能を示した。これに対して、比較例1〜9に係るカバーテープは、高温環境下又は高温高湿環境下での耐ブロッキング性か、低湿度下での帯電防止性能の少なくともいずれかが所望の性能を達成できなかった。